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早稲⽥⼤学マニフェスト研究所議会改⾰調査部会
2020/04/10早稲⽥⼤学マニフェスト研究所
新型コロナ感染が拡⼤するなか、「議会を開かない」「市⺠へ傍聴の⾃粛要請」といった報道が散⾒される。予算の⼤幅な⾒直しも考えられるなか、3密を避けて議会を開かないとすれば、議会は機能停⽌である。⾸⻑の専決処分に委ねるのか、それとも地域の医療や経済を守る話し合いを続けるのか、⾮常時こそ議会が試されている。
緊急発表
「地方議会は、新型コロナにどう対応したか?」 その1
議会改革度調査2019
早稲⽥⼤学マニフェスト研究所 2
地方議会の新型コロナ対応を追加調査
早稲⽥⼤学マニフェスト研究所では、2020年2⽉末から、全国1,788の都道府県議会および市区町村議会を対象に「議会改⾰度調査2019」を実施している。(※今回調査で10年⽬10回⽬となる。結果は5⽉末に公表予定)
調査期間中に、新型コロナの感染拡⼤が⾒られたことから、急遽、3⽉議会開会中の定例議会でどのような対応がとられたか、⾃由記⼊回答をいただく形で追加調査した。
現時点で、調査に回答した議会の約1割にあたる141議会から回答をいただいた。(※141議会の内訳:9府県議会・95市議会・36町村議会)
今般の国の緊急事態宣⾔を受け、「地⽅議会は、新型コロナにどう対応したか?」について、その取り組みや今後の議会のあるべき姿に関する提⾔を先⾏発表することとした。
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新型コロナ対応の主な取り組み
61.0%56.0%
32.6%19.9%
17.0%15.6%
9.9%
9.2%
7.1%
6.4%
5.0%
4.3%
3.5%
2.8%
2.1%
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%
⼿指・会議室の消毒マスクの着⽤
傍聴の⾃粛・制限・中⽌⼀般質問・質疑の中⽌・取下げ
会期の縮⼩・延⻑会議室の換気
ネット視聴への誘導当局説明員の出席最⼩化
審議⽇数の短縮座席間隔の拡幅
対策連絡会議の議会設置別室(モニター室など)視聴への誘導
⼀般質問・質疑の持ち時間短縮当局説明の省略・短縮広い会議室への移動意⾒書提案・可決
当局説明員の途中⼊退場の許可⼀般質問から⽂書質問へ切替傍聴者の⽒名等記⼊義務飲⽔の持み込み許可空間除菌剤の設置
検温の実施視察受⼊れの⾃粛対応⽅針の議会策定
新型コロナに対する3⽉議会開会中の議会対応(n=141)
※回答数について補⾜新型コロナの感染拡⼤をうけて、全議会を対象にした「議会改⾰度調査2019」に追加調査。⾃由回答形式で聴取している。対応があった議会のうち141議会から回答があった。
■少数回答▽議事・審議関連微熱等のある議員の出席⾃粛審議時間短縮 審査順⼊れ替え 議事順序替え⼝頭から⽂書通告・書⾯報告へ 説明員代理出席特別委員会の延期 会議中⽌・延期こまめに休憩 ⾃席発⾔ 携帯持込可タブレット化 郵送陳情の審査
▽その他休校中の⼦供に議場開放 議場コンサート中⽌⾏事の⽬安を出す 選挙運動⾃粛 視察⾒送り
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取り組みから見えること
u「マスク着⽤、消毒、検温、室内換気、⼈と⼈との距離をとる」など、⼀般的に推奨されていることを励⾏
u「⼀般質問の中⽌」や「説明員出席の最⼩化」など、⾏政側に配慮した取り組みが⽬⽴った
u次の取り組みなどは、今後⼀般化されてもよいと思われる。⇒執⾏部説明において⼝頭で報告させていたものを⽂書に置き換える(審議効率化を⽬的)
⇒ネット中継の拡⼤や中継動画の即時公開(傍聴機会の代替)
⇒飲み⽔の持ち込みを認める(乾燥防⽌を⽬的)
⇒こまめに休憩をとる(室内換気や演壇消毒を⽬的)
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【事例①】茨城県取手市議会の取り組み
取⼿市議会では、新型コロナウィルス感染症拡⼤を受け設置された議会災害対策会議を、ウェブ会議システム「Zoom」を利⽤して開催し、今後の対応を協議した。
※取⼿市議会のほか、磐⽥市議会の議会運営委員会でも新型コロナを受けて、同様のシステムを利⽤して試験的実施を始めている。
取⼿市議会・議会事務局https://www.facebook.com/toride.gikai/posts/147717693429059磐⽥市議会(草地博昭⽒)https://www.facebook.com/photo.php?fbid=3014121785339661
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【事例②】島根県大田市議会の取り組み
回答時点で島根県内の感染が確認されていない⼤⽥市議会では、先んじて「新型コロナウィルス感染症発⽣時の議会対応⽅針」を議会運営委員会において決定した。⽅針のなかで、感染のフェーズを4つに分け対応を定めている。
① 県内または隣接市町で発⽣した場合⇒窓を開けるなど常時換気すること
② 市内で発⽣した場合⇒議場を開放したまま会議を⾏うこと
③ 議員または議会事務局職員に発⽣した場合⇒会期の短縮、⽇程の変更・中⽌を⾏うこと
④ 議員または議会事務局職員の家族に発⽣した場合⇒登庁しないこと
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【事例③】京都府議会の取り組み
u地⽅⾃治法では、会議を開く要件に議員の半数以上の出席が必要であることのみ定め、参集場所を指定していない。
u参集場所として、会議規則では議事堂に参集することを定めている。
u京都府議会では、本会議(代表質問)を議事堂以外の舞鶴市や精華町で開催した例がある。
u⼀般的に議会版BCPでは、有事の際に議事堂が使えない場合、議事堂以外の代替場所を設定したうえで開催することが定められている。
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その他、特徴的な取り組みu通常では審議されていない郵送陳情を、⼀定要件を満たせば審議の対象とした。(広島市議会)
u予算審議の迅速化・効率化を図るため、議会側から当局説明のひな形を⽰し、説明に要する時間短縮を図った。(新⼗津川町議会)
u臨時休校中の⼦どもたちの居場所づくりとして、議会の会議室を開放した。(岩⼿県議会)
uタブレット端末を通じて議会事務局から議員に情報提供した。(岩⼿県議会)
u議会BCPに災害時以外にウィルス発⽣時の対応も追加した。(御殿場市議会)
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提 言
以上を踏まえ、次の⼆点を提⾔する。※なお、提⾔内容を具現化するための課題や⽅策を、「その2」で発表予定。
1. 会議規則や議会BCPを⾒直し、議事堂に参集できない場合の参集場所(物理的空間、オンライン空間)の指定⽅法や指定先確保を⾏う例)会議規則の参集規定に以下を追加する「ただし、有事の際は議⻑が別に指定する場所⼜は場に参集する」
1. オンライン空間(ウェブ)で会議を開くために、議員全員がパソコン・タブレット端末を所有するなど、ペーパレス化(紙削減・業務効率化)とは別の観点から議会のICT化を早急に進めること例)議会機能維持の観点から有事の際のICT活⽤を議会基本条例に規定する例)ICT活⽤に⻑けた事務局職員をオンラインファシリテーターに充てる
調査結果に関しては、下記サイトにて随時公開していきます。
早稲⽥⼤学マニフェスト研究所議会改⾰調査部会http://www.waseda-manifesto.jp/gikaikaikaku※「議会改⾰度調査2019」は、2019年中の取り組みを対象にしています。
調査概要はサイト内にてご参照ください。
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ご案内
早稲⽥⼤学マニフェスト研究所議会改⾰調査部会 担当:⻑内、⻘⽊
〒103-0027 東京都中央区⽇本橋1-4-1-5階Mail:[email protected]
Tel:03-6214-1315Fax:03-6214-1186