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雨水を水資源として開発活用する屋上緑化システム
(雨水流出制御型屋上緑化開発)
平成20年度 JSTシーズ新技術説明会
2008,10,29
東洋大学 工学部 環境建設学科教授 荻原 国宏
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屋上緑化の現状(Web検索)
• 屋上の防水工事関係企業リベットリーフ、日産緑化、折板屋根、東邦レオ
• 植栽を専門とする業者クレアテラ、環境開発、15*緑、協和エクシオ、日本植生
• 総合建設業者ハザマ、京急建設、西武建設、近電
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•屋上での防水、防根工事が必要•植生は特殊(セダム等)•土壌は軽量土壌•散水の水は水道を利用•庭園型は土壌層が厚い•芝生型は雑草の駆除が必要
従来方式の特徴
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研究開発の目的、方針
開発の目的
•都市のヒートアイランド現象の緩和•都市型洪水の緩和と水利用•植物環境の継続(植生に土地の雑草を使用する)
開発の方針
•省エネルギー(市販電力、水道を使わない)•メインテナンスフリー•屋上設置工事の簡素化
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技術の新規性と概要
•雨水を水資源としてとらえ、屋上に降った雨は緑化システムで利用し、残りの水は第二水道として利用する。
•底部水槽(植生育成と保全)、下部水槽(雨水集水)、上部水槽(植生への散水)の三個の水槽をシステム内に用意する。
•水槽の大きさによって、雨水流出量を減らし、また流出時間を遅延させ、都市の洪水災害を軽減することが可能なシステムである。
本方式の目指す方向本方式の目指す方向
粗放型の屋上緑化(その土地の植生の利用、粗放型の屋上緑化(その土地の植生の利用、雑草型を基本とする)雑草型を基本とする)
散水(点滴型の散水方式で、散水量散水(点滴型の散水方式で、散水量をを節約)節約)
雨水の貯留(50mm雨水の貯留(50mm//hr程度の降雨hr程度の降雨強度強度までまでは流出しない、貯留水の水洗便所等への利は流出しない、貯留水の水洗便所等への利用)用)
可搬型を基本とし設置の容易さと維持管理の可搬型を基本とし設置の容易さと維持管理の簡素化簡素化
散水散水制御機構に自然エネルギーの利用(ソー制御機構に自然エネルギーの利用(ソーラーシステム)ラーシステム)
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システムの基本構成
緑化ユニット: 緑化層、底部水槽(植生への水分補給、雨水貯留)
下部水槽(雨水の集水、貯留)
上部水槽(散水)で構成
点滴型散水制御装置、揚水ポンプを付帯設備とし、その電力はソーラーパネルの電力を使用
すべて可搬型を基本とし設置の容易さを目指す
メンテナンスフリーを目指し維持管理の簡素化
システムシステムの概略の概略①
②③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
①上部水槽、②点滴型散水装置、③緑化層、④揚水ホース⑤揚水ポンプ、⑥排水ホース、⑦下部水槽、⑧底部水槽
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緑化ユニットの基本構成
可搬型の箱とし、緑化層と底部水槽で構成し、その間は難透水性の板で仕切られている
緑化層の土壌の厚さは3~5cm程度とし、植生は雑草を使う
散水は点滴型の散水方式により、散水量を節約する
底部水槽は植生への水分補給と雨水の貯留をする
可搬型を基本とし設置の容易さと維持管理の簡素化
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従来型との比較
従来型従来型 流出制御型流出制御型
植生植生 セダム等外来種セダム等外来種が主が主 雑草雑草
土層の厚さ土層の厚さ 77--3030 cmcm 33--55 cmcm
土壌土壌 軽量人工土壌軽量人工土壌 一般土壌一般土壌
散水散水 水道水(スプリンクラー、人手)、水道水(スプリンクラー、人手)、雨水(地下貯留)雨水(地下貯留)
雨水(点滴型、屋上貯留)雨水(点滴型、屋上貯留)
雨水雨水流出制御流出制御 なしなし あり(あり(50mm50mm//hrhrカット)カット)
防水、防根工事防水、防根工事 必要必要 不要不要
雨水の利用雨水の利用 なしなし、一部利用、一部利用 利用利用
効果効果 ヒートアイランドヒートアイランド ヒートアイランドヒートアイランド洪水制御、余剰水の利用洪水制御、余剰水の利用
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植生変化(雑草型) 2005-2006
8月23日
雑草が生長
9月8日
花をつけた雑草
10月種を付けた雑草
2月7日冬の雑草
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植生変化(雑草型) 2006-20083月28日枯れ草の下に花が咲いている
5月8日雑草が枯れ草の中に
5月25日新しい雑草で覆われる
2008年6月26日
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研究(2005-2008年度)
屋上緑化の効果についての確認
1)屋上表面温度の低減効果
2)雨水流出の遅延、低減効果
3)最適散水量の把握
4)蒸発量の把握
(トタン屋根との比較で効果を確認)
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観測装置
上部水槽
下部水槽下部水槽
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観測項目
• 温度—①気温、②緑化ユニット裏面、③トタン屋根裏面• 水位—④緑化ユニット、下部水槽水位、⑤トタン屋根下部水槽水位
⑥上部水槽水位
• 雨量—雨量計で測定
• 各観測値は5分間隔でデーターを取得しExcel で解析
• 2006年度春までは上記の6点を一つのデーターロガーで、その後は12点を二つのデータロガーで記録
• 雨量はデジタル式で専用データーロガーに記録
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観測データーの処理と解析
各下部水槽内の水位の変化から緑化層とトタン屋根からの雨水流出量を算出をした。
上部水槽の水位変化から散水量の把握をした。
気温と各層の裏面の温度変化から緑化層による屋上の温度軽減効果の把握をした。
(2006年度まで)
気温、各槽の表面温度、裏面温度の温度変化から、層内貯熱量、熱伝達量などの解析をした。
(2007年度)
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温度変化(9月8日から22日)
最下段の曲線はトタン屋根と緑化ユニットの温度差である。緑化槽での温度軽減効果を表している。
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流出量の差
雨量計との比較で、トタン屋根でも流出量の減少が現れている。緑化ユニットでの流出量削減ははるかに大きい
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累積流出量
累積体積 L
0
200
400
600
800
1000
J-05 S-05 O-05 D-05 F-06 M-06 M-06 J-06
緑化
トタン
散水量
緑化雨量
平均散水量 34.5L/m, 1.15L/d流出量比(緑化/トタン) 61.4%, 41.2%(除散水量)
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散水量の変化
点滴型散水装置から緑化ユニットへの散水量の変化で、降雨の無いときの上部水槽の水位変化から算出。5L/day以上出ている日は降雨直後で上部水槽の水位が上がり、圧力が掛かった時である。
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実用化に向けた課題
緑化ユニットの各種屋上への展開手法の標準化マニュアル作成。
軽量、耐久性のある緑化ユニットの開発。
埋土種子を含む土壌ブロックの開発。
木造傾斜屋根への展開と標準化マニュアルの作成。
地方自治体の補助金認可(雨水貯留、屋上緑化)の取得。
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想定される用途一般ビルの屋上への設置
一般住宅の平屋根構造への設置
工場などの鉄骨構造の屋根への緑化
一般住宅木造傾斜屋根への設置
公園、運動場、道路中央分離帯などの緑化
想定される業界
想定されるユーザー
ビル所有者、マンション所有者、一般住宅所有者、官庁など
想定される企業
屋上緑化企業、マンション開発企業、住宅販売会社、緑化事業者、官庁関係
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企業への期待
• 化工品メーカー:軽量、安価、耐久性のある緑化ユニットの開発
• 緑化企業:実際のビル、木造住宅の屋上への展開
• マンション開発: 住宅開発販売企業:設計時にこのシステムの展開
• 官庁:官庁事業(公園、官庁の建物)への採用、補助金
の認定
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本技術に関する知的財産権• 発明の名称 :緑化システム
• 出願番号 :特願 2006-059198
• 出願人 :東洋大学 荻原国宏
• 発明者 :荻原国宏
お問い合わせ先
科学技術振興機構(JST)
技術移転促進部 シーズ展開課
技術移転プランナー 苅田 充二
TEL :03-5214 - 7519
FAX :03-5214 - 8454
e-mail:[email protected]