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平成22年度 課題研究発表会 要旨集 平成22年9月30日 東京工業大学附属科学技術高等学校 システムデザイン・ロボット分野

課題研究発表 会 要旨集 - 東京工業大学附属科学技術高等学校sdr/projectstudy/2010/abst_2010.pdf · 2011-05-06 · 課題研究発表 ... 日時 平成22年9月30日

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平成22年度

課題研究発表会

要旨集

平成22年9月30日

東京工業大学附属科学技術高等学校

システムデザイン・ロボット分野

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平成22年度課題研究発表会プログラム 日時 平成22年9月30日 木曜日 会場 3号館 4階 大講義室

10:00 開会

来賓紹介 10:10 発表開始

1.シーケンス制御を用いたクラリネット演奏ロボットの開発

Development of an Automatic Clarinet Performance Robot by Sequence Control

2.二足直立と四輪走行の変形が可能なロボットの開発

Development of a Transformation Robot which can stand on two legs and run four wheels

3.揺動スライダクランク機構を用いたアメンボ型水上移動ロボットの開発

Development of a Water Strider Robot by Oscillating Slider-Crank Mechanism

4.複数台の自律型ロボットを同時制御したときの効率

Controlling Autonomous Robots and Research Efficiency

5.瓦礫踏破能力をもつ跳躍・回転移動体の開発

Development of a Jumping & Rolling Inspector with the Debris-Traverse Ability

6.無限軌道を採用した探索ロボットの災害時における有用性

Consideration in Usability of a Search Robot using a Caterpillar at Disaster Site

7.自由度が高く便利な卓球球出し機の開発

Development of a useful flexible machine which shoots table tennis balls

8.スターリングエンジンを利用した交流発電

AC Generation by means of Stirling Engine

9.スターリングエンジンモデルの理論値と実測値の比較と研究

Our research on comparing Stirling Engine models' theoretical data and actual data

10.ポンポン船の動力部および船体の違いによる速度性能の考証

The Examination of the speed of the PomPom Ship caused by the difference of the boiler and the hull

11.三輪電気自動車の制御システムの考証

The Examination of Control system of the Three Wheels Electric Vehicle

12:10 講評 12:30 閉会

※ 発表7分,質疑3分(1鈴5分,2鈴7分,3鈴10分)

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P 1/2

シーケンス制御を用いたクラリネット演奏ロボットの開発

Development of an Automatic Clarinet Performance robot by Sequence Control

発表者氏名 佐原 なな 望月 萌

指導教員 門田和雄

1.研究目的

複数のエアシリンダをシーケンス制御で作動させ、木管楽器のみの特徴であるリ

ードを用いたクラリネットの自動演奏ロボットを製作し、音色の計測を行なう。

2.研究内容

(1)ロボット本体の製作

単動式エアシリンダ 11本とクラリネットを支えるための本体を鋼板で製作した。

本体はエアシリンダの動作の様子が見やすいように、傾けて固定した。本体は全長

720mmである。

エアシリンダで7つの指穴と 4つのキーを 0.35MPaで押さえることで管の長さを調

節し、音の高さを変える。エアシリンダの先端にスーパーボールとシリコン材を取

り付け、指穴をスーパーボールのみより確実に塞ぐことができる。

マウスピースをプラスチック製のタッパーで覆い吹鳴器とした。マウスピースに

取り付けたリードをシリコン材で押さえ、この吹鳴器に0.05MPaの空気を送ること

で吹鳴器内部とマウスピース内部の空気圧の差を作り出し、クラリネットへ空気が

流れることによってリードが振動し、発音・演奏する。

図 1 本体 全体像

図 2 リードを押さえる機構(可変部)

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(2)ロボット指部のプログラムの作成

11 本のエアシリンダを時間制御で動かすためのプログラムを作成した。 X001 の

スイッチを入れることで、吹鳴部へ空気を流し込み、同時に指部のエアシリンダが

作動する。その後はシーケンサ内部のタイマーによって、指部エアシリンダはクラ

リネットを演奏する。

今回は演奏できる音域と使用できる音(ド~ラ)を考慮し、『きらきら星』を演

奏させるプログラムを作成した。四分音符を 8ms とした。

3.研究結果

ロボット本体を作成し、シーケンスプログラムを作成することで、指部、吹鳴部別

での演奏ができた。しかし、どちらとも出せる音に制限があった。これは、指部では

多くの指穴を押さえる際に鋼板がたわみ、吹鳴器の密閉性も変化してしまい、吹鳴部

では、多くの指穴を押さえる場合とそうでない場合によってリードに加える力、吹き

込む空気の量の調節が必要と考えられ、現状ではタンギング(空気を送り込むのを一

時的に止め、音を区切る技術)についても再現ができていない。

また、指部エアシリンダに取り付けられたスーパーボール、リードを押さえるシリ

コン材共に調節が困難であり、更に作動中に動いてしまうということが主な課題であ

る。これらの点を改良することによって、演奏可能な音域が広がり、安定した演奏が

できると考えられる。

図 3 指部

図 4 シーケンサの作動方法

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P 1/2

図 2 弐号機

図 1 初号機

二足直立と四輪走行の変形が可能なロボットの開発

Development of a Transformation Robot which can stand on two legs and run four wheels

4.石渡 和也 33.本多 寿矢 38.八木 彬 39.横山 慎弥

指導教員 門田 和雄

1. 研究目的

二足直立の状態から四輪走行の状態に操作で変形することができ、またその逆も可能なロボット

を開発し、そのロボットが持つ利点を考察する。

2. 研究内容

プログラムによって変形が可能なロボットを製作する。またそのロボットが持つ利点を検証する。

①模型の製作

どのような形状のロボットを作るか、またどこに負荷がかかりやすいか、といった点について検

討するために模型を製作した。

模型は初号機(図 1)、弐号機(図 2)の二機を製作

した。初号機はおおまかな形状を決定するため、弐

号機は初号機を踏襲して製作した。立ち上がる時に

上半身を押し上げるために腕を長くし、左右を安定

させるために股の広さを変更した。また、重心を低

くし安定させるために脚を短くした。製作した結果、

前に倒れるように変形するロボットを製作するこ

とにした。

②製図

各部分と全体の製図(図4)を行った。製図ソフトは『鍋 CAD』を用いた。

③重心の決定

製作するにあたり、ロボットの重心は変形する際に重要であると考え、その位置が腰になるよう

に設計した。重心の位置はサーボモータの位置から求めた。なお、ロボットの前後左右は対称に設

計したので重心は高さだけを求めた。重心は次式から求めた。

④ロボットの仕様

サーボモータは3種類使用した(表 1)。記号は(図 4)と対応している。

表 1 仕様したサーボモータ

ボルト[V] サイズ[mm] 速度[s/60°] トルク[kg・cm] 質量[g] 記号 Sanwa sx01 4.8 390×200×360 0.19 3.2 45 A GWS MINI 4.8 350×169×320 0.19 3.4 26.6 B GWS S03T 4.8 395×200×356 0.33 7.4 64 C

mn : サーボモータの質量 yn : サーボモータの中心の高さ Gy : 重心の高さ

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P 2/2

図 3 製作したロボット 図 4 図面(半身)

ロボット(図 3)の仕様を表 2にまとめる。

表 2 ロボットの仕様

サーボモータAは走るために回転するもので、下から二番目にあたるサーボモータCの前に取り

つけた。サーボモータBは即座にバランスを取るために高速のサーボモータを用いた。その他はサ

ーボモータBを使用した。これは力が強く、低コストであるために採用した。

⑤ロボットの製作

主にアルミ板、プラスチック板で製作した。ロボットをパーツごとに分担して製作し、それを組

み合わせるという形で作業を進めた。

特に脚部は、安定した姿勢を保つため、左右対象になるように心掛けて作業をした。脚部はサー

ボモータ3個と5枚のアルミ板で構成されている(図 4)。脚部は他の部分より負担がかかり壊れやす

いと考えたため、交換が容易な設計にし、不備が生じた際にすぐ対処できるようにした。

⑥本体の制御

本体の制御ソフトは『RobovieMaker2』を用いた。制御はフローチャート式で、いくつもの姿勢を

一連の動作として実行させることと、各々のサーボモータを一度に制御することができる。

変形において最も問題になったのはバランスだった。一つの姿勢から次の姿勢に移る際に慣性力

がはたらき予想できない動きをする。それによって安定した姿勢をつなぎ合わせたはずの姿勢でも、

連続すると転倒するという事態を招いた。この問題は一連の動作をフローチャートで細かく区切り、

微調整をすることでバランスを取った。それでもバランスが悪い部分においては一つのブロックに

時間をかけることで転倒が起きる割合を減らすことができた。

3. 結論

二足直立と四輪走行の相互変形が可能なロボットを開発することができた。開発したロボットは

直立二足の状態では物を持ち上げる、四輪走行の状態では走行するという異なる動作を一台で行う

ことができた。

4. 課題と改善点

主な課題として変形の正確さが挙げられる。脚部の交換を容易にすることに重点を置いたため、

角度の精度に誤差を含んでしまい、転倒することがあった。改善案として、並行リンクを用いるこ

とが考えられる。

二足直立時 四輪走行時

横幅[mm] 314 220

縦幅[mm] 120 500

高さ[mm] 420 147

重心[mm] 225

質量[g] 1390

自由度 13

重心[mm] 225 B

A

C

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P 1/2

揺動スライダクランク機構を用いた

アメンボ型水上移動ロボットの開発

Development of a Water Strider Robot by Oscillating Slider-Crank Mechanism

発表者氏名 五十嵐遊馬 岡部荘太郎 鈴木晃大 高田新

担当教員 山口正勝 ◆研究目的 ・将来的に,水上の探索や水上から水中の探索,散乱物の回収などで活躍する新しい

水上移動手段に発展出来るようなアメンボ型ロボットを製作する。

・水上で静かにスムーズな動きをする本物のアメンボのように,騒音が少なく操作性

の良いものを目指し,推進板の形状について検証し考察する。

◆導入

本来のアメンボは前脚,中脚,後脚,各 2 本ずつ計 6 本の脚を持っていて,前脚・

後脚により体を支持し,中脚を前後に動かすことによって推進している。

今回のロボットはこのアメンボと同様の推進方法を実現することを目指す。

また,旋回については実際のアメンボとは異なる手段で行う。

◆各機構等について

・揺動スライダクランク機構

この機構は工作機械などにも利用されており,送りと戻りの速さに差をつけること

ができる。これによって,脚部動作の効率の向上を図る。

・蝶番

戻りの際に折りたたむことで,水の抵抗を軽減する。

・発泡スチロール

前脚・後脚に発泡スチロールを取り付ける事によって,機体を水面に浮かせる。

・制御

CPU ボード (RobovieMaker2 (Vstone 社 ))を使用して,制御を行い,無線による操作

を可能とした。

◆実験について

ロボット製作と同時進行でオールにかかる力及び推進板の形状の考察のために実験

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を行った。まず,オールの大きさと形状の違いによる,オールにかかる力 F[N]の変化

について調べるために,中脚の模型を用いて推進板が水面(水中)を水平に回転する

実験を行った。P:動力 [W], I:電流 [A],V:電圧 [Ⅴ ],T:トルク [N・m],ω:角速

度 [rad/s],n:回転数 [rpm],回転中心から推進板までの距離を r[m]として,測定結果

をもとに,次式からオールにかかる力を算出した。

P = IV = Tω, ω =2πn60

, T = Fr

次に,ロボットの完成後,実際にロボットに取り付けたオールの大きさを変え,一

掻きで進む距離を測定して比較する事で,最適なオールの大きさを検証した。

◆結果・考察 オールにかかる力を調べる実験の結果,面積の違いでは大きな違いが出たが,形状

の違いではあまり違いが出なかった。このことから,形状の違いよりも面積の違いが

オールにかかる力へ影響を及ぼすことが分かった。 完成後の実験では,測定の結果やそのグラフ(図1)から,面積が 70~80cm2 程度

のものが適していると考えられる。それ以外のオールでは,面積が大きいものはオー

ルの送りで進む距離が大きいが,オールの戻りで後ろに下がる距離も大きく,面積の

小さいものでは送りで進む距離と戻りで後ろに下がる距離が共に小さく,面積の大き

いものと同様にあまり進まなかった。 これは,オールの重さや,体積の違いによる水から受ける浮力の違いなどによって,

戻りの際にオールの上がりやすさが変わることなどが理由だと考えられる。

▲製作したアメンボ型ロボット

図1

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複数台のロボットを同時制御したときの効率Controlling Auto■ o■ ous Robots and Research Efficiency

発表者 8番 大橋穣 22番 瀬戸匠 26番 寺元健太郎

指導教員 坂田充弘

●目的

複数台のロボットに仕事を分担することによって、いかに仕事の効率が変わるかを研究する。

●実験内容

2台の掃除ロボットを製作 し、1.8[m]四方の正方形の場所を掃除する。

①l台で掃除したときと、2台で掃除したときに要した時間を比較する。

②その後、以下のものを変更し、再び①を行う。

・オムニホイル

・モータ

③効率を計算し比較する。(1台で掃除したときにかかった時間を、2台で掃除したときにかかった

時間で割つたものを効率とする。)

●掃除ロボット仕様

マイコン ArduinoMega(プ ログラムは C言語で記述 )

センサ 超音波距離センサ、赤外線距離センサ、

マイクロスイッチを搭載。

モータ I:回転数 70[rp皿 ]、 トルク 17[N・ m]

Ⅱ:回転数 163[rp皿 ]、 トルク 7.4× 10・ 1[N・ d

(駆動) オムニホイルを使用し全方向移動が可能。 ロボット側面写真

:ダイセン

:土佐電子

I:直径 40 1mm]、 幅 29 1mm]、 メーカー

Ⅱ:直径 48[Dull]、 幅 40[mm]、 メーカー

(ブラシ)前後にゴミを集めるため搭載。

〈※ I、 Ⅱは②での変更点)

P 、

P /

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P

●詳細部分説明

・ゴミを集めるプラシ部

ブ ラ シが 回転 して ゴ ミを集 め る。掃 除機 な ど と

違いちりやほこり以外の大きいゴミも集めることがで

きる。

ゴミが挟まってブラシが回転できなくなるような場合

を想定 して動力伝達は過負荷がかかると空転するプー

リーにした。

・リレーとモータ ドライバ

それぞれ、以下の特徴を活かしモータ制御をした。

・ リレー :大電流でも直接モータに伝える事が出来る。

・モータ ドライバ :PⅧ を用いて速度制御が出来る。

●実験結果

1台で掃除 2台で掃除 効率

Iのかかつた時間[s] 134 64 21

Ⅱのかかった時間[s] 87 45 19

両方のロボットとも 2台で掃除すると 1台で掃除したときのほぼ半分

の時間で掃除をすることができた。オムニホイルの直径の大きいⅡの

方が掃除にかかった時間は少なかったが効率が良いのは Iの方だった。

●考察

Ⅱのロボットでは 2台が同じ場所を掃除してしまい効率が落ちてしまった。原因としてはⅡのロボ

ットに使用したオムニホイルが空転しやすかったため、直進性などが悪く制御がしづらかったこと

にあると考えられる。

●今後の展望

ロボットの移動性が悪かったので、オムニホイルの軸にロータリーエンコーダを取 り付けて、駆動

輸の回転数を合わせられるようにしたい。またそれぞれのロボットが掃除した場所を記録しながら

掃除をすれば、同じ場所を 2度掃除したり、掃除をせずに通り過ぎたりということも防げると思う。

↑ブラシ部分

左 :リ レー、右 :モータ ドライバ

↑実験風景

P /

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瓦礫踏破能力をもつ跳躍・回転移動体の開発 Development of Jumping and Rolling Inspector with the Debris-Traverse Ability

3 年 C 組 渥實栄作 深澤薫 鈴木敦智 松本研太

指導教員 門田和雄

1. 研究目的

災害地での活動を想定し、瓦礫を跳び越えることのできるロボットを開発し、跳

躍メカニズムとして空気圧を用いて 1.0mの跳躍と箱の跳び越えを実現させる。また、

工夫を凝らすことによって低コストの研究・開発を目指す。

2. 作業手順

(1) 試作機の開発

(2) 空気圧シリンダの製作

(3) 流量と跳躍距離の測定

(4) 自作空気圧シリンダ搭載機の開発

(5) 耐衝撃のための試行

3. 研究内容

サイズ:横幅 470mm 高さ 340mm 奥行

き 340mm

総質量:1.65 kg

空気圧シリンダによる跳躍

有線によるリモコンのコントロール

直流モータによる車輪駆動

・流量と跳躍距離についての実験

方法

(1) 電磁弁、チューブの内径の組み合わせを変えることで、流量を変化させる。

(2) 自作空気圧シリンダだけを 0.5MPa の圧縮で鉛直に跳ばし、距離を測定する。

(3) 測定結果をもとに、流量と跳躍距離を比較する。

図 1 跳躍・回転移動体

図 2 自作空気圧シリンダ

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AvQ =

結果から理論式を導入すると

以下の通りになる。

等加速度直線運動 gh2vv 2o

2 =− …①

流量の式

①と②より理論式

したがって、流量を大きくするほどより高い跳躍を行うができる。

4. 研究成果

(1) 100 円均一の空気入れの改良を行い、既存の同ストローク長の空気圧シリンダに

比べて 1.0kg から 50g に軽量化し、0.6MPa の圧縮空気に耐えられる空気圧シリン

ダを製作することで 1.30m の鉛直方向の跳躍を実現した。

(2) 瓦礫を想定した高さ 0.30m、奥行き 0.55m の箱に対して、斜方への跳躍ができる

ロボットの開発をした。

(3) プラスチック製のバケツの蓋を利用することでタイヤの軽量化を実現した。

(4) 車輪に半球板を装着することで、横転姿勢を回避できるようにした。

5. 今後の課題

(1) 衝撃を数値で測定し、改善策が効果を発揮していたか客観的に判断する。

(2) 不整地の環境下で走行・跳躍を行い、ロボットの実用性を検証する。

流量 ]sm[

3  跳躍距離 [mm]

2.108 2300

1.304 880

1.170 708

1.109 636

1.090 615

重力加速度

跳躍距離  

初速度

最高到達地点での速度

シリンダの受圧面積   

  流量  

]sm[ g

[mm]h

]sm[ v

]sm[ v

][mA

]sm[Q

2

o

2

3

表 1 実験結果

2

2

gA2Qh =

…②

0

500

1000

1500

2000

2500

0 0.5 1 1.5 2

跳躍

距離

[mm

]

流量[m³/s]

流量と跳躍距離の関係図 3

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無限軌道を採用した探索ロボットの災害時における有用性

Consideration in Usability of a Search Robot using a Caterpillar at Disaster Site

発表者氏名 越前 壮一 大野 彰之 小川 晴 関口 貢太 藤原 秀太

指導教員 山口 正勝

1.研究目的

人命救助に貢献したいという理由で,災害現場で活躍できる無限軌道を採用した探

索ロボットを製作し,能力の検証と今後の探索ロボットの性能の考察をする。

2 .研究内容

過去の課題研究で製作された災害救助ロボットを参考に,無限軌道などの機能を持

つロボットを製作し,以下のような研究を行う。

・被災地を想定した段差や不整地を走行させ,踏破可能な障害の高さや障害の特性に

ついて検証する。

・ロボットに搭載したカメラ・ライト・放水機能について,災害現場を想定して遠隔

操作を行った時の機能の有用性について考察する。

・ロボットの駆動速度について理論値と実際の速度を比較し,機動性を考察する。

3 .本体について

全長 :440mm 全幅 :330mm 高さ :240mm 重さ: 13100 g コード長: 10m

使用モータ: 12V×4(駆動用) 24V×1(前腕部上下用)

搭載機能:探査用カメラ ,放水機能 ,ライト

特徴:

・駆動機構に無限軌道を採用した。前腕部

は,モータを利用して上下運動を可能と

した。

・遠隔操作ができるように上下に視界を動

かせられるカメラを搭載した。送電・操

作は有線により行う。

・放水機能による消火活動や,LED ライトによる夜間・暗所での活動など,ロボット

に汎用性を持たせた。

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P 2/2

4.実験結果

*理論値 理論最高速度 v=0.323[m/s]

*実行値()

前腕部を外した場合 平均速度 v′=0.253[m/s]

前腕部を取付けた場合 平均速度 v″=0.210[m/s]

5.成果

*無限軌道の採用

通常の車輪では走行や困難であるある程度の凸凹や

傾斜,段差のスムーズな走行を可能にした。

*アームの上下機能

本体駆動部の無限軌道だけでは上れない段差を乗り越えることを可能とし,不整地

では接地面積を大きくすることによって走行時の操作のブレを減らした。

*カメラとライトの遠隔操作

ロボットの前方を照らすライトを遠隔操作で点灯させることによって,暗い場所で

も前方を確認し,被災者を見つけることができるようになった。

6 .考察

前腕部を取り付けることで,段差を踏破する能力を向上させることが実証できた。

しかし機動力は低下した。実際の災害現場で活動するには,モータの動力伝達効率の

向上と前腕部の軽量化による,さらなる機動力の向上が必要と考えられる。

また,被災者発見の汎用性を向上させるには,音声を伝えるマイクや赤外線センサ

を取り付けることがよいと考えられる。

操作性 考察

平面 操作技術は

必要ない

本体部分の無限軌道を駆動部と同時に操作すること

で,左右に方向転換が可能

不整地(凹凸

の多い地面)

やや操作技

術が必要

前腕部の無限軌道を動かすことによって,方向転換を

することが可能

段差 高い操作技

術が必要

前腕部を下に押しつけながら本体駆動部,前腕部の無

限軌道を同時に動かすことで, 50mm まで踏破可能

暗所 操作技術は

必要ない

ライトを点灯することで,視界を確保でき,平面での

操作と同時に本体部分の無限軌道の操作だけで,左右

に方向転換が可能

表1

図1

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P

自由度が高く便利な球出し機の製作

発表者氏名 〈18)杉山 茂 (241竹内 悠策 128)戸塚 心 ●ol吉野 輝

指導教員 坂田 充弘

① 研究目的

150km/h超 えのスマッシュといった トッププロの打つようなスピー ドのボールを出し、

さらに発射する高さや方向、スピー ドを調節できる自由度の高く便利な卓球球出し機の開

発をする。

② 研究内容

(1)研究の目標を以下のように決定 した。

・ 150km/hの ボール速度を実現する

。ボールの発射方向を調節を可能にする

・軽量化を図り、持ち運びしやす くする

。ボールの回転速度や発射のビッチの調節を

可能にする

(2)球を出すメカニズム 図 1 発射 口

(D発射日 (図 1)先端に取り付けられた 4つのローラをあらかじめ回転させておく。

(nlそ こに往復スライダクランク機構を使ったビス トンを使つてボールを押し出す。

(iii)ロ ーラの回転によって加速したボールが発射される。

(3)ス ペック(図 2)

・寸法 縦 40cm、 横 40cm、 高さ 204cm

・発射日の高さは 9o~ 130cmの範囲で上下可能

・発射回の角度は左右に 60° 、上下に 20° の範囲で可動

・DCモータは、発射日に 4つ。上 下、左右角度に 1つずつ。ビス トンに 1つ。高さ調節

に 1つで、合計 8つ使用

・ボールを約 200個 までためることが可能。

・キャスターによリスムーズな移動が可能

・軽量化のため、主要材料はアルミニウム合金で、強度が必要な部分はステンレス、発

射口にはアクリルを使用。

・ボール入れの部分など、諸部分を取 り外せるようになっていて、持ち運びがしやすく

なっている。

P /

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P

③各機構の概要

各機構はスイッチングアダプタを使い電圧を変えるこ

とでボールを出すピッチなどを調節することができる。

(D左右角度

リンク機構を応用 し、360° 回転を 60° の往復回転

移動を可能にした。

また、スイッチをオンにし続けることで、自動で左

右に首を振 りながらボールを出すことが可能である。

(ii)ピ ス トン

往復スライダクランク機構を利用 し、連続でボール

を出すことが可能。

(iii)上下角度 図2 球出し機の全体像

軸を直接モータとつなぎ、角度を調整す ることができる。また、正転逆転スイ ッチを利

用 している。

(iv)上 下高さ

ラック&ピニオンと正転逆転スイ ッチを利用 して自由に発射 日の高さを調節す

ることが可能。

④実験

(1)平均速度の測定

1、 ボールを一定の高さから水平方向へ発射する。

2、 ボールが床に着地した時の飛距離と時間を計測する。

3、 2のデータからボールの平均速度を算出する。

4、 電圧を変えて再び測定を繰り返す。

(2)回 転方向の検証

1、 回転をかけたボールを発射 し、卓球用ラバーにあてその跳ね返った距離や方向を

調べる。

2、 1のデータから回転数を算出する。

⑤改善点

・ラックが重く、つかむところが無いので持ち運びが少し困難

→つかめる部分をつける

。支えが弱く多少不安定

→支えを増やし、強度の向上を図る

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ス タ ー リ ン グ エ ン ジ ン を 利 用 し た 交 流 発 電ス タ ー リ ン グ エ ン ジ ン を 利 用 し た 交 流 発 電ス タ ー リ ン グ エ ン ジ ン を 利 用 し た 交 流 発 電ス タ ー リ ン グ エ ン ジ ン を 利 用 し た 交 流 発 電

AC Generation by means of Stirling Engine

発表者 No.11 鍛治田 雄輝 No.12 狩野 詩生

指導教員 岩城 純

1.1.1.1.研究目的研究目的研究目的研究目的

・スターリングエンジンを製作し、それを用いて発電する。

・実験で得られたデータから、スターリングエンジンの有用性を見出す。

2.2.2.2.概要概要概要概要

・・・・スターリングエンジンについてスターリングエンジンについてスターリングエンジンについてスターリングエンジンについて

ディスプレーサ形を金属削り出しにより製作。

[動作原理][動作原理][動作原理][動作原理]

図 1図 1図 1図 1 等等等等温膨張過程温膨張過程温膨張過程温膨張過程 図 2図 2図 2図 2 等容放熱過程等容放熱過程等容放熱過程等容放熱過程

図3図3図3図3 等温圧縮過程等温圧縮過程等温圧縮過程等温圧縮過程 図4図4図4図4 等容加熱過程等容加熱過程等容加熱過程等容加熱過程

・・・・発電機について発電機について発電機について発電機について

図5のように、固定したコイルに、パワーピストンに

取り付けた永久磁石を出し入れし、電磁誘導により発電

する。

・計測方法について・計測方法について・計測方法について・計測方法について

図6のような方法で、10[ms]間隔で電圧データを取り込み、

一定の条件下における電力の大小で比較する。 図5図5図5図5 発電の仕組み発電の仕組み発電の仕組み発電の仕組み

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・抵抗を10Ωに固定。

・電圧の実効値を直流における電圧とみなす。

・発電機、導線の内部抵抗は無視する。

3.3.3.3.実験実験実験実験 図6図6図6図6 計測方法計測方法計測方法計測方法

スターリングエンジンを改良しながら発電力の違いを検討し、さらにLEGOブロックの

模型を使用し、コイルの巻き数、幅による発電力の違いを検証する。

LEGO模型による実験で使用するコイルはそれぞれ、 100 回巻、 500 回巻、1000回巻、

また、コイル幅 7.5 ㎜、15㎜のものを用意した。ただし設計上1000回巻、幅 7.5 ㎜の

コイルは製作できなかった。 また、スターリングエンジンによる実験においては、

1000回巻、幅15㎜のコイルに統一して実験を行った。

4.4.4.4.実験結果実験結果実験結果実験結果

5.5.5.5.考察考察考察考察

フ ァ ラ デー電磁誘導の法則 よ り 発電力は巻 き 数に比例 し 、 磁束密度の時間変化が大

き いほ ど 大 き く な る 。 し か し 図 8 の結果か ら はそ の よ う な関係性は見 ら れな い 。 こ れ

は 、 第一に コ イ ルの層が厚 く な り 、 外側にな る につれて磁束の変化が小 さ く な っ た た

め と 、 第二に巻 き 数が増え る と 導線の抵抗が大 き く な る ため と 考え る 。

プ ロ ト タ イ プ 、 初期モデル 、 改良モデルにおい て 、 エ ン ジ ン の回転に変化が あ っ た こ

と か ら 、 パ ワ ー ピ ス ト ン と シ リ ン ダー間の密閉性 、 フ ラ イ ホ イ ール と 軸受間の摩擦 、

フ ラ イ ホ イ ール と ロ ッ ド の位置関係に よ っ て エ ン ジ ン の動作性能が向上す る 原因が あ

る と 推察で き る 。

6.6.6.6.これからの課題これからの課題これからの課題これからの課題

・発電量の正確な値を導く方策を検討する。

・コイルと磁石の位置関係による発電力の変化を調べる。

・コイルの幅による起電力の違いを検証する。

・往復運動による発電ではきれいな正弦波で発電できなかったため、きれいな正弦波に近

づけるための、スターリングエンジン、および発電機の改良を考える。

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スターリングエンジンモデルスターリングエンジンモデルスターリングエンジンモデルスターリングエンジンモデルの理論値と実測値の比較と研究

Research on comparing stirling engine model’s

Theoretical measurements and Actual measurements

発表者 14 番 酒井翼 15 番 坂根真之 35 番 南野直人 37 番 諸井海樹

担当教員 岩城純

1.1.1.1.目的目的目的目的

スターリングエンジンモデルを製作し、その運動における動力の実測値と理論値を

比較する。その際、独自の動力測定実験法を考案し、その測定値をPCに取り込み、グ

ラフなどに反映することが出来るプログラムの開発も行う。

2.2.2.2.研究概要研究概要研究概要研究概要

エンジンモデルは、作りやすさやパーツの交換のしやすさを考慮し、手に入りやすい

材料を基本的に使用してモデルを製作した。

プログラムは VisualC#を用い、各種センサを用いて動力測定プログラムを構築した。

また、理論値を求めるための式として、シュミットの理論式を活用した。

最終的に、完成したエンジンモデルとプログラムによって得られた実測値と理論値を

比較し、考察した。

3.3.3.3.エンジンモデル概要エンジンモデル概要エンジンモデル概要エンジンモデル概要

今回製作したエンジンモデルは、スターリングエンジンの2シリンダーディスプレー

サー型(γ 型)を採用した。2シリンダーディスプレーサ型スターリングエンジンはディ

スプレーサピストンにより膨張空間と圧縮空間それぞれの容積を変化させ、その圧力差

で作動するパワーピストンによって動力を取りだす方式である。

4.4.4.4.実験方法実験方法実験方法実験方法

エンジンモデルの出力軸とモータを直接連結し、その

状態で駆動させて電圧を測定し、その他必要なデータ

を各種センサによって求めた。

図1図1図1図1 エンジンモデル外観エンジンモデル外観エンジンモデル外観エンジンモデル外観

5.5.5.5.実験結果・理論値実験結果・理論値実験結果・理論値実験結果・理論値

実験結果は表1の通りである。理論値を求める公式を式(1)に示す。

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表1.データ表

電圧(V) 実測値(μW) 回転数(rpm) 理論値(μW) 効率

1.22 49.52 300 424.31 11.7

1.28 54.53 300 484.93 11.2

1.47 72.48 300 530.39 13.7

1.25 52.34 300 469.77 11.1

6.6.6.6.理論値を求めるのに用いた理論値を求めるのに用いた理論値を求めるのに用いた理論値を求めるのに用いたシュミットの理論式シュミットの理論式シュミットの理論式シュミットの理論式を以下に示すを以下に示すを以下に示すを以下に示す

Wout=1.1 DτX

τ

41

1

+

−PmVEsinβ(

n60 ) …(1)

Wout:軸出力の理論値 n:回転数[rpm] Pm:平均作動ガス圧力[MPa] VE:膨張空間掃気

容積[cm3] XD:死容積比(=VD/ VE) β:ピストン位相差[deg] τ:温度比(=Tc/Th)

Tc:圧縮空間温度[℃] Th:膨張空間温度[℃] VD:無効容積

7.7.7.7.各種センサ各種センサ各種センサ各種センサ

今回の実験に使ったセンサは以下の通りである。

・マイクロスイッチ D3M-01L1 (図2)

小型の接触型スイッチ。フライホイールに取り付け

た突起がスイッチを作動させることにより回転周期

を測定、毎分回転数を算出する。

図2図2図2図2....マイクロスイッチ外観マイクロスイッチ外観マイクロスイッチ外観マイクロスイッチ外観

・温度センサ (図 3)

熱電対 K 型サーモカップルデバイスセンサ

異種の2つの金属で構成される 2 接点の温度差により

熱起電力が発生するゼーベック効果を応用した温度

センサである。

今回は室温を基準として冷接点補正を行った。

8.8.8.8.考察考察考察考察 図3図3図3図3....温度温度温度温度センサ外観センサ外観センサ外観センサ外観

実測値と理論値の誤差を生む要因は、フライホイール部分に少し歪みが生じていたこ

とや、エンジンモデル自体が振動によってぶれたりしたことによるメカニカルロスが

原因と考えられる。また、膨張側シリンダの非加熱部分から外部へ逃げる熱が大きいこ

とにより、熱効率が低くなる。したがって非加熱部分を断熱する必要がある。冷却方法

が空冷であるため、熱交換効率が悪いと考えられるので、水冷化などといった冷却方法

の見直しも必要である。センサを取り付けたことで発生する抵抗による動力の損失も考

慮にいれるべきである。

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ポンポン船の動力部及び船体の違いによる速度性能の考証ポンポン船の動力部及び船体の違いによる速度性能の考証ポンポン船の動力部及び船体の違いによる速度性能の考証ポンポン船の動力部及び船体の違いによる速度性能の考証

The Examination of the speed of the PomPom Ship caused by the differThe Examination of the speed of the PomPom Ship caused by the differThe Examination of the speed of the PomPom Ship caused by the differThe Examination of the speed of the PomPom Ship caused by the difference of the boiler and the hullence of the boiler and the hullence of the boiler and the hullence of the boiler and the hull

発表者名 (5)板橋壮平 (25)竹田史明 (27)問谷侑司 (29)中山賢典

指導教員 岩城純

1.1.1.1. 研究目的研究目的研究目的研究目的

ポンポン船の船体およびボイラー部の違いによって、ポンポン船の速度性能がどのように変わる

かを考察する。

2. 2. 2. 2. 研究方法研究方法研究方法研究方法

(1). 船体の形状と速度性能について

ポンポン船の速度性能を考証するにあたって、まず船体の形状に注目する。実験内容は、三角

形と台形の船体に電動モータおよび支柱との連結を目的とした紐を取り付け、船体が決められた

道程を一周するまでにかかる時間を測る。そして、それらのデータを比較し、速度がより大きい

ものはどちらかを選定する。

(2). ボイラー部と速度性能について

三角形の船体と支柱とを軽い棒で連結し、それぞれ条件を変えたボイラーを船体に取り付け、

長時間でも安定した火力を出せるターボジェットライターを用いて熱する。そしてボイラーを取

り付けた船体が、決められた道程を一周するまでにかかる時間をそれぞれ測り、最も速度性能の

良いものを調べる。

今回、比較条件として、ボイラーコイル部の巻き数は1~4巻、コイル部内径は2~4mm、船

体からの吹き出し口の長さは 10,40,70mm、材質は銅とアルミとした。

3. 3. 3. 3. 研究結果研究結果研究結果研究結果

(1). 船体の形状と速度性能について

図図図図 1111 形状の比較形状の比較形状の比較形状の比較

図 1より、船体の形状による速度の違いは見られなかった。理由としては、この実験では紐を用い

たため、船体において向きが固定されず、電気モータの動力がうまく伝わらなかったからと考えられ

る。

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目

速度

速度

速度

速度[m/s]

[m/s]

[m/s]

[m/s]

測定回数測定回数測定回数測定回数

台形

三角形

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(2). ボイラー部と速度性能について

この実験では三角形の船体を用いた。内径 2mmと吹き出し部の長さ 10mmのものは突沸が頻繁に

起こり、安定した値を取ることができなかったため、実験結果として用いないこととした。

図図図図 2222 巻き数巻き数巻き数巻き数の比較の比較の比較の比較 図図図図 3333 内径内径内径内径の比較の比較の比較の比較

図図図図 4444 吹き出し口の長さ吹き出し口の長さ吹き出し口の長さ吹き出し口の長さの比較の比較の比較の比較 図図図図 5555 材質材質材質材質の比較の比較の比較の比較

4. 4. 4. 4. 考察考察考察考察

(1).巻数について

多いものは、内部の水が規則性を持って、状態変化を繰り返した。しかし、少ないものはうまく

冷却されず、内部の水が水蒸気となったまま戻らなかったため、ポンポン船が失速したと考える。

(2).内径について

測定のしにくかった 2mm のものは、内部に蓄えられる水と外部から吸い込む水の量が極端に少な

いため、冷却されにくい。そのため、巻き数の少ないものと同様に、内部の水が水蒸気のまま戻ら

なかったため、ポンポン船が失速したと考える。

(3).吹き出し口の長さについて

短いものは、水に浸っている銅パイプの表面積が小さいので、銅パイプ自体の冷却がうまくいか

なかったことに不具合の原因があると推測できる。

(4).材質について

また、アルミは銅と比べて、熱伝導率が悪く、火力に対して冷却が間に合わず、突沸を繰り返した。

5. 5. 5. 5. 結論結論結論結論

以上より、最も速度性能の良いポンポン船のボイラー部は、「巻き数が 4巻、内径が 4mm、吹き出し

口の長さが 70mm、材質が銅」のものとわかった。また、船体による違いは見られなかった。

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

1回目 2回目 3回目

速度

速度

速度

速度[m/s]

[m/s]

[m/s]

[m/s]

測定回数測定回数測定回数測定回数

1巻

2巻

3巻

4巻0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

1回目 2回目 3回目

速度

速度

速度

速度[m/s]

[m/s]

[m/s]

[m/s]

測定回数測定回数測定回数測定回数

4mm

3mm

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

1回目 2回目 3回目

速度

速度

速度

速度[m/s]

[m/s]

[m/s]

[m/s]

測定回数測定回数測定回数測定回数

70mm

40mm

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

1回目 2回目 3回目

速度

速度

速度

速度[m/s]

[m/s]

[m/s]

[m/s]

測定回数測定回数測定回数測定回数

アルミ

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3輸電気自動車の制御システムの考証The Examinatlon of Control system of the Three Wheels Electric Vehicle

発表者 天野翼 神山昂大 坂本松太朗 松下元斗

指導教員 坂田充弘

1.研究目的

現代の車に求められている「環境性」「安全性Jの高い自動車を製作する。

2.研究目的の達成に向けて

校内の走行で安全を確保できる最大の速度 lolkm/h]を 目標の速度とする。また、狭いスペースで

も安定して小回りを利かせることのできる自動車を製作する。

コントロールバネルに「プッシュスィッチ」、「カロ速度センサ」を取り付け、前輪ふたつのモータ

を制御する。これにより前輪のタイヤの回転数を変えることができるようになり、後輪のキャスタ

ータイヤを使用することで、その場で自動車を旋回させることが可能になる。

製作する自動車は、廃棄ガスや騒音が少なく環境にやさしい「電気自動車」とする。

3.活動内容

① lo[km/h]で走行をするために必要なバッテリー、モータの性能を算出する。

②車体の製作

車体前部に搭載するもの・・・モータ、バイク風タイヤ×2、 モータ ドライバ

車体後部に搭載するもの・・・イス、バッテリー、キャスタータイヤ× 1、 マイコン

プッシュスィッチ、加速度センサ、スイングロックユニット

③スイッチ、加速度センサを使用して、前後左右斜め 8方向に車を動かすプログラムを作成する。

5.制御システム

スイッチ、加速度センサからの値をマイコンで読み取り、プログラムに沿ってモータ ドライバに

出力する。マイコンヘと信号を送り、モータドライバで電圧を制御して左右のモータを回転させる。

4.完成した自動車

全体 乗車した人からの視点

P /

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製作した自動車、モータ、バッテリーの規格。前述の通リバッテリーおよびモータは、常用速度

10〔km/hlを 出すために必要な規格を算出して次のように選定した。

車体

横幅 1250[mm]

縦幅 2000[mm]

車高 1600[mm]

質量 133[kgl

フレーム材料SS400鋼材

アルミの角パイプ

バッテリー

形式名 85D26R

5時間率容量 55[Ah]

普通充電電流 55[Al

公称電圧 12[V]

モータ

形式名DCギヤード

モータ

電圧 12EVl

電流 22EAl

回転速度 140rrpm]

トリレク 78[N/m]

6.実験

①lo[m]を走りきるまでの時間を測定する。測定した時間より、自動車の出すことの最高速度を求

め、算出した理論値と比較する。また、実際に自動車を運転してみて、自動車の様子を考察する。

②ブッシュスイッチによる制御と加速度センサによる制御を、模型を使用して比較する。 2[mlの

直線コースに等間隔に4つ コーンを立て、往復するまでにかかる時間を計測し、結果を考察する。

7.実験結果・考察

①実験の結果、最高速度は 8 01km/h]が 限界であった。誤差の原因は次の2つであると思われる。

i地面の凹凸から生じる振動をうまく吸収できず、キャスタータイヤが揺れてしまい、無駄にエネ

ルギーを消費してしまった。さらに走行距離も延びてしまった。

五車体の左右で数センチのズレが生じてお り、まっすぐ進むために軌道を修正する必要があった。

2つのモータをそれぞれ制御することによって、ステアリング機構を用いなくても自動車の向き

を変えることができ、左右のタイヤの回転を真逆にすることでその場で回転することができた。

②模型で実験を行った。スイッチ制御では走り切るまでに平均 17.96秒。加速度センサ制御では走

り切るまでに平均 2430秒かかった。スイッチ制御の方が 6秒以上も早い結果となったが、加速度

センサ制御は、手首の動きだけで制御できるのでスイッチと比べて左右の切り替えが容易だった。

8.今後の課題

鋼材の寸法は勿論、ボル トを通す穴の位置まで寸分の狂いもなく左右で揃えること。サスペンシ

ョンなど、振動を吸収する機構を取り付けること。この 2つで車体はまっすぐ進むと思う。

後輪に使用したキャスタータィヤは自由に動くようにしていたので、走行時に左右にぶれてしま

い、そのせいで思い通りに車を旋回させることができないことがあった。そこで、キャスターの向

きを自在に固定できるようにする方法を考える必要がある。

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