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長時間作用型カルシウム拮抗薬アゼルニジピンの心血管系 に対する作用の薬理学的研究 2013

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長時間作用型カルシウム拮抗薬アゼルニジピンの心血管系 に対する作用の薬理学的研究

2013年

藤 澤 道 雄

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目 次

序章 …………………………………………………………………………………. 5

第 1章 洞房結節動脈灌流標本における、アゼルニジピン、アムロジピンおよ

びニフェジピンの心拍数減少作用 ………………………………………………. 10

1.実験方法 ……………………………………………………………………. 11

1-1.使用薬物と試薬 …………………………………………………….. 11

1-2.使用動物 …………………………………………………………….. 11

1-3.麻酔犬・生体位洞房結節灌流標本の作製 ……………………….. 11

1-4.実験タイムコース ………………………………………………….. 13

1-5.統計解析 …………………………………………………………….. 13

2.結果 …………………………………………………………………………. 14

3.考察 …………………………………………………………………………. 18

4.小括 …………………………………………………………………………. 20

第 2章 麻酔犬にアゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンを静脈内

投与した際の心拍数及び血圧に対する影響 ……………………………………. 21

1.実験方法 ……………………………………………………………………. 22

1-1.使用薬物と試薬 …………………………………………………….. 22

1-2.使用動物 …………………………………………………………….. 22

1-3.麻酔犬における静脈内投与実験 ………………………………….. 23

1-4.薬理学的自律神経遮断犬における静脈内投与実験 …………….. 23

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1-5.実験スケジュール ………………………………………………….. 23

1-6.統計解析 …………………………………………………………….. 24

2.結果 …………………………………………………………………………. 24

2-1.自律神経正常犬の心拍数および血圧に対する作用 …………….. 24

2-2.薬理学的自律神経遮断犬の心拍数および血圧に対する作用 ….. 28

2-3.カルシウム拮抗薬による降圧作用と心拍数変化の解析 ……….. 30

3.考察 ………………………………………………………………………….. 32

4.小括 ………………………………………………………………………….. 35

第 3章 麻酔犬にアゼルニジピンまたはアムロジピンを静脈内投与した際の、

頸動脈洞圧受容体反射経路に対する影響 ………………………………………. 36

1.実験方法 ……………………………………………………………………. 37

1-1.使用薬物と試薬 …………………………………………………….. 37

1-2.使用動物 …………………………………………………………….. 37

1-3.麻酔犬・頸動脈洞定圧灌流標本の作製 ………………………….. 38

1-4.頸動脈洞圧受容体反射実験 ……………………………………….. 40

1-5.ノルエピネフリン誘発の頻脈および昇圧に対する作用の検討 .. 41

1-6.統計解析 …………………………………………………………….. 42

2.結果 …………………………………………………………………………. 42

2-1.頸動脈洞圧受容体反射実験 ……………………………………….. 42

2-2.ノルエピネフリン誘発頻脈および昇圧に対する作用 ………….. 45

3.考察 …………………………………………………………………………. 47

4.小括 …………………………………………………………………………. 50

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第 4章 ラット狭心症モデルにおける、アゼルニジピンの抗心筋虚血作用と心

筋酸素需要に対する作用の検討 …………………………………………………. 51

1.実験方法 ……………………………………………………………………. 52

1-1.使用薬物と試薬 ……………………………………………………. 52

1-2.使用動物 ……………………………………………………………. 53

1-3.バソプレッシン誘発心筋虚血モデルの作製 ……………………. 53

1-4.統計解析 ……………………………………………………………. 54

2.結果 ………………………………………………………………………… 54

2-1.AVP誘発による心電図変化 ……………………………………… 54

2-2.カルシウム拮抗薬の抗心筋虚血作用の比較 …………………… 56

2-3.カルシウム拮抗薬の心拍数および血圧に対する作用 ………… 57

3.考察 ……………………………………………………………………….... 59

4.小括 ………………………………………………………………………… 62

第 5章 ブタ摘出冠動脈における、アゼルニジピン及びアムロジピンによるカ

ルシウム誘発およびセロトニン誘発血管収縮抑制作用 ……………………… 63

1.実験方法 …………………………………………………………………… 64

1-1.使用組織と使用薬物 ……………………………………………… 64

1-2.摘出血管標本の調整方法 ………………………………………… 65

1-3.カルシウム拮抗薬の血管収縮抑制作用の評価方法 …………… 65

1-4.カルシウム拮抗薬の短時間暴露実験 …………………………… 66

1-5.統計解析 .…………………………………………………………... 67

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2.結果 ………………………………………………………………………… 68

2-1.カルシウム誘発血管収縮抑制作用のタイムコース ………….... 68

2-2.カルシウムおよびセロトニン誘発収縮抑制作用 …………….... 69

2-3.カルシウム拮抗薬を短時間処置した際の作用 ……………….... 70

3.考察 ………………………………………………………………………… 73

4.小括 ………………………………………………………………………… 75

総括 ………………………………………………………………………………… 76

謝辞 ………………………………………………………………………………… 78

引用文献 …………………………………………………………………………… 79

主論文目録 ………………………………………………………………………… 90

主査および副査名 …………………………………………………………………… 91

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序 章

高血圧治療薬として、ジヒドロピリジン(DHP)系カルシウム拮抗薬は降

圧効果の確実性から汎用され、また脳血管障害などの合併症の予防においても

その有用性が高く評価されてきた。しかし当初、カルシウム拮抗薬には服薬後

の急速な血圧低下に起因して、頻脈、顔面紅潮、頭痛、立ちくらみなどの副作

用がしばしば見られた。長期予後を考えた時、急激な血圧低下に伴う交感神経

系やレニン・アンジオテンシン系の活性化は、心血管系の臓器保護には不利に

働くことから、虚血性心疾患を増悪させる危険性が指摘されることにもなった

(1,2)。このような副作用を回避するため短時間作用型のニフェジピンから作用持

続を改良した長時間作用型のカルシウム拮抗薬が数多く開発され、その中でも

薬物の血中濃度の立ち上がりが緩徐で持続的な薬効を示すアムロジピンが開発

された(3,4)。そして、高血圧患者を対象とした大規模臨床試験 ALLHAT 試験に

て、長時間作用型のカルシウム拮抗薬は利尿薬やアンジオテンシン変換酵素阻

害薬と比較して、心筋梗塞の発症頻度において全く差がないことが示された(5)。

さらに VALUE 試験においても、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と比較して、

心筋梗塞の発症に差がないだけでなく、脳卒中に関してはアムロジピンの方が

有用であることが示された(6)。このような経緯から、カルシウム拮抗薬は作用

の持続性に優れ、反射性頻脈など心臓刺激作用が少なく、交感神経系やレニン・

アンジオテンシン系の活性化をもたらさない薬剤が理想とされた。一方、カル

シウム拮抗薬の有用性が高く評価されるに伴って、作用機序が異なり種々の特

徴を持った薬剤が開発されてきた。従来は L 型カルシウムチャネル拮抗薬がほ

とんどであったのに対し、N 型カルシウムチャネル拮抗作用を併せ持つシルニ

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ジピン(7)、T 型カルシウムチャネル拮抗作用を併せ持つエホニジピン(8)などが

開発された。シルニジピンは交感神経系のシグナル伝達に関わる N 型カルシウ

ムチャネルの抑制により、反射性頻脈を惹起しにくいことが報告されている(9)。

アゼルニジピンは、降圧作用の緩徐な発現と持続性に加え、心拍数を増加

し難い DHP系カルシウム拮抗薬として開発された薬剤である(10-12)。高血圧患

者におけるアゼルニジピンの降圧作用は、昼間および夜間ともにアムロジピン

と同等の降圧プロファイルを示し、作用の持続性の指標である、服用後の最大

降圧度と次の服用前の降圧度の比率であるトラフ/ピーク比(T/P ratio)もアム

ロジピンと同等以上であることが報告されている(13)。アムロジピンは交感神経

系の興奮が少ないとされているが、高血圧患者において反射性頻脈を引き起こ

すことが報告されている(14,15)。国内の高血圧患者を対象としたアゼルニジピン

とアムロジピンの比較臨床試験において、両薬剤は類似の降圧作用を示したが、

アムロジピンではわずかではあるが心拍数が上昇した(16)。一方、アゼルニジピ

ンは頻脈を起こさず、逆に心拍数を減少させるという非常にユニークな作用が

認められた。その後実施された幾つかの臨床試験においても、アゼルニジピン

による心拍数の減少が確認されている(17,18)。これらの試験において、アゼルニ

ジピンによる心拍数の減少は数拍であるが、N 型や T 型には影響せず、L 型カ

ルシウムチャネル選択的なDHP系カルシウム拮抗薬が心拍数を減少させるとい

うことは、これまで全く観察されていない現象である。近年の大規模臨床試験

により、心拍数が高値であることは心血管イベントの独立因子であることが示

されており(19-21)、心拍数減少による心筋酸素需要の減少は、虚血性心疾患の

患者にとって心保護作用が期待される。また、アゼルニジピンは、高血圧患者

を対象とした試験において、レニン・アンジオテンシン系の活性化を起こしに

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くい

全性

いる

作用

収縮

これ

心症

ルシ

流供

って

する

ほと

いことも報告

性に優れたカ

カルシウム

。ベンゾジ

用は、冠動脈

縮抑制作用に

れらの薬剤は

症患者への使

シウム拮抗薬

供給の改善と

てもたらされ

ことが期待

んど報告さ

アゼルニジ

告されてい

カルシウム

ム拮抗薬は

ジアゼピン

脈血管拡張

による心筋

は過度の薬

使用に際し

薬の抗狭心

と、末梢血

れる。アゼ

待されるが

されていな

ジピン、アム

いることから

ム拮抗薬とし

は高血圧治療

ン系カルシ

張による冠循

筋酸素需要を

薬効による副

しては十分な

心症効果は、

血管抵抗減少

ゼルニジピ

が、これまで

ない。

ムロジピン

- 7 -

ら(22)、心血

して期待さ

療薬のほか

ウム拮抗薬

循環改善作

を抑える作

副作用が生

な注意が必

、血管選択

少作用によ

ンもアムロ

でアゼルニ

ンおよびニフ

血管イベン

される。

か狭心症治

薬のジルチ

作用に加え

作用が寄与し

生じないよ

必要となって

択性が高く

よる心臓に

ロジピンと

ニジピンの

フェジピン

ントを誘発す

療薬として

アゼムによ

、心拍数減

している。

う、心機能

ている。一

冠血管拡張

対する後負

同様に抗狭

抗狭心症作

ンの構造を F

することな

ても用いら

よる抗心筋

減少作用と

しかしなが

能障害のあ

一方、DHP

張作用によ

負荷の減少

狭心症作用

作用につい

Fig.1に示し

なく安

られて

筋虚血

心筋

がら、

ある狭

系カ

よる血

少によ

用を有

いては

した。

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アゼルニジピンの構造的特徴として、1,4-DHP環の 2位にアミノ基を、3位に疎

水性でかさ高い置換基を有する。そのためアゼルニジピンの疎水性は他の DHP

系カルシウム拮抗薬よりも極めて高く、組織親和性が他のカルシウム拮抗薬と

比較して高い。それぞれの Log P値はアゼルニジピン:5.18、アムロジピン:3.95、

ニフェジピン:2.20と報告されている(23)。また、DHP環 4位の炭素原子が光学

的不斉であるため光学異性体が存在するが、通常の DHP系カルシウム拮抗薬は

S-異性体が強いカルシウムチャネル拮抗活性を示すのに対し、アゼルニジピンで

は R-異性体が高い活性を示す。このような化学構造的特徴がアゼルニジピンの

特長を導いているのかも知れない。

本研究は、臨床試験で認められたアゼルニジピンの心拍数を減少させるメ

カニズムを非臨床実験により明らかにすることを目的として実施した。第 1 章

では、なるべく生体位に近い状態で心臓ペースメーカーに対するアゼルニジピ

ンの直接的な陰性変時作用を検討するため、麻酔犬の洞房結節動脈灌流標本を

作製し、心拍数に対する影響をアムロジピン、および短時間作用型のニフェジ

ピンと比較した。第 2 章では、麻酔犬に静脈内投与した際の心拍数に対する影

響についてアムロジピンと比較し、さらに自律神経系の関与について調べるた

め、薬理学的自律神経遮断を施した条件で同様の実験を行ない、降圧に伴う交

感神経系の活性化の関与について考察した。第 3 章では、アゼルニジピンの頸

動脈洞の圧受容体反射経路に対する影響について検討した。アゼルニジピンの

心拍数減少作用について、交感神経中枢のニューロンの抑制により、反射性頻

脈や末梢交感神経亢進を起こさせないことが報告されている(24)。そこで我々は、

麻酔犬を用いて頸動脈洞の定圧灌流標本を作製し、アゼルニジピン処置した後、

頸動脈洞の圧をコントロールして心拍数の変動を観察した。本研究では、これ

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らすべての実験において、降圧作用の効力と持続性が似ているアムロジピンを

対照薬として用い、アゼルニジピンの心拍数に対する作用をアムロジピンと比

較することで、臨床において観察されている心拍数減少の作用メカニズムにつ

いて考察した。

本研究のもう一つの目的として、アゼルニジピンの抗狭心症作用を検討す

るため、第 4 章では、ラットの狭心症モデルを用いて、アゼルニジピンの抗心

筋虚血作用を対照薬のアムロジピンと比較した。狭心症モデルとして、冠攣縮

性狭心症のモデルに近いバソプレッシン誘発の心筋虚血モデルを用いて評価し

た。第 5 章では、カルシム拮抗薬の抗心筋虚血作用の主要な作用と考えられる

冠動脈血管拡張作用について検討するため、ブタの心臓から摘出した冠動脈血

管を用いて、アゼルニジピンとアムロジピンの冠動脈収縮抑制作用を比較した。

さらに同様の標本において、アゼルニジピンの作用の持続性を検討するため、

アゼルニジピンの冠動脈血管に対する組織親和性をアムロジピンと比較した。

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第 1章 洞房結節動脈灌流標本における、アゼルニジピン、アムロ

ジピンおよびニフェジピンの心拍数減少作用

正常時の心拍数は洞房結節ペースメーカー細胞の自動性に依存している。

ペースメーカー電位は主として過分極により誘発される内向き電流 If、内向きカ

ルシウム電流である Ica、および外向きカリウム電流である Ikにより構成される

(25,26)。DHP系カルシウム拮抗薬の標的である電位依存性 L型カルシウムチャ

ネルを通じた内向き電流はペースメーカーの活動電位の立ち上がり相に寄与す

るとされている。生体位における洞房結節の自動性は、洞房結節細胞自身のこ

れらの電気的特性と、その特性を調節する働きを有する自律神経によって決定

される(27)。従って、DHP系カルシウム拮抗薬は洞房結節ペースメーカーの活動

電位の立ち上がり相を抑制することで心拍数を減少させるが、従来の DHP系カ

ルシウム拮抗薬では全身投与した場合、直接の陰性変時作用よりも血管選択性

が高いため、降圧作用に伴う圧受容体反射によって直接の心拍数減少は打ち消

され、交感神経系の活性化により心拍数の上昇が観察されることになる。本章

では、心臓ペースメーカーに対するアゼルニジピンの直接的な陰性変時作用を、

なるべく生体位に近い標本で評価するため、麻酔下のイヌを用いて、in situ 洞

房結節動脈灌流標本を作製し、洞房結節動脈に薬物を投与した際の心拍数に対

する影響を観察した。対照薬として、短時間作用型 DHP系カルシウム拮抗薬で

あるニフェジピン、および長時間作用型 DHP系カルシウム拮抗薬であるアムロ

ジピンを用い、最終的には、アゼルニジピンとアムロジピンの陰性変時作用の

効力を比較した。

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1.実験方法

1-1.使用薬物と調整方法

アゼルニジピンは宇部興産株式会社で合成したものを使用した。ベシル酸

アムロジピン(以下、アムロジピン)は市販の錠剤から第一三共株式会社にて

抽出したものを使用した。ニフェジピン(Sigma Chemical Co.)、アトロピン(硫

酸アトロピン注射液、田辺製薬)、アセチルコリン(オビソート注射液、第一三

共㈱)および N,N-dimethylformamide(DMF、和光純薬工業㈱)は市販のものを

使用した。各薬物とも DMFに溶解後、生理的食塩液で希釈して使用した。投与

液の最終濃度は、アゼルニジピンは 0.2および 0.1 mg/mL(DMFの最終濃度 40 %)、

アムロジピンは 1、0.2および 0.1 mg/mL、ニフェジピンは 0.1および 0.01 mg/mL

とした。すべての薬液は 10 µL 以下の容量で灌流回路からマイクロシリンジを

用いて投与した。

1-2.使用動物

雄性ビーグル種成犬(体重 11-14 kg、日本農産工業㈱)を使用した。実験に

使用するまで、温度 23~26度、湿度 31~69%、照明時間 7:00 - 19:00、餌は固形

飼料(オリエンタル酵母工業㈱)を与え、水は自由摂取させ飼育した。実験は

第一三共株式会社に設置された動物倫理委員会の規定に従い実施した。

1-3. 麻酔犬・生体位洞房結節灌流標本の作製

イヌをペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル、シェーリングプ

ラウアニマルヘルス社)35 mg/kg の静脈内投与により麻酔し、背位に固定し、

気道にカニューレを挿管して人工呼吸を行った。実験中は麻酔維持のため、同

麻酔薬を 5 mg/kg/hrの速度で舌静脈より持続注入した。血圧測定のため、カテ先

圧トランスデューサ(SPR-524、Millar Instrument Inc.)を左大腿動脈から挿入し、

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圧アンプ(AP-641G、日本光電工業㈱)に接続して瞬時血圧を計測し、この血圧

信号を電気的に平滑化して平均血圧を測定した。心電図は Apex-Base 誘導によ

り生体アンプ(AB-620G、日本光電工業㈱)を介して測定し、心電図 R 波によ

り心拍計(AT-601G、日本光電工業㈱)を駆動させ心拍数を測定した。薬物の静

脈内投与のため右股動脈にカニューレを挿入した。

In situイヌ洞房結節灌流標本は James & Nadeau (28)および Hashimotoら(29)

の方法に従って作製した。すなわち、右側第 5 肋間にて開胸した後、心嚢膜を

切開してハンモックを作製した。右冠状動脈から分岐し、右心房表面を走行す

る洞房結節動脈を周囲の組織から 10 mm前後剥離した。1000 unit/kgのヘパリン

ナトリウム(Sigma-Aldrich Co.)を静脈内投与した後、右股動脈にカテーテルを

挿入し、peristaltic pump(Minipuls2、Gilson Co. Inc.)を用いて股動脈血をネラト

ンチューブに接続した細いカニューレから洞房結節動脈に導いた。そのカニュ

ーレに対して並列にスターリングの抵抗管を置いて回路を定圧で灌流し、余剰

の動脈血は股静脈に戻した。体外循環回路を灌流する血液量は 20-30 ml/min と

した。洞房結節動脈の灌流圧を圧トランスデューサ(TP-400T、日本光電工業㈱)

を用いて圧アンプで、血流量を観血式血流プローブ(type 1N、Transonic Systems

Inc.)を用いてトランジットタイム血流計(T106、Transonic Systems Inc.)により

それぞれ測定した。実験中はヘパリンを 200 unit/kg/hrで股静脈から持続注入し、

血液凝固を防止した。心拍数、血圧、洞房結節動脈血流量および灌流圧は熱ペ

ン書きレコーダー(RECTHIoriz8K、日本電気三栄㈱)上に 5 mm/min の速度で

記録した。動脈血の血液ガス(pO2、pCO2)および pH を随時、全自動 pH・血

液ガス分析装置(model 840、バイオメディカル㈱)でモニターし、イヌの状態

を生理的レベルの範囲に維持した。

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標本作製後、カニュレーションを行った洞房結節動脈が洞房結節部を灌流

していることの確認のため、アセチルコリン 0.1-1 µgの動脈内投与によって徐脈

が生じることを確認した。アセチルコリンを投与しても徐脈が生じない標本、

および洞房結節動脈が細く未発達でカニュレーションが不可能であった標本は

実験から除外した。

1-4.実験タイムコース

カルシウム拮抗薬の心拍数減少作用を評価するためには、薬物投与前の心

拍数がなるべく高い方が望ましいため、アトロピン 0.1 mg/kg を静脈内投与し、

ベースラインの心拍数を高く維持した。アゼルニジピンとアムロジピンは作用

持続が長いため、同一個体で両薬剤の影響を比較することは難しいことから、

アゼルニジピンまたはアムロジピンの投与前に作用持続の短いニフェジピンを

投与し、心拍数の減少がある程度観察されることを確認した標本を用いて実験

を行った。ニフェジピンは 0.1および 0.3 µgをマイクロシリンジにてネラトンチ

ューブから直接投与し、心拍数減少作用および血流増加反応を観察した。ニフ

ェジピンの反応が消失した後、アゼルニジピンの 1 µgを投与し、以後 15分間隔

で 3および 10 µgを累積投与した。アムロジピン群においても、ニフェジピンの

投与終了後に、アムロジピン 1、3, 10 および 30 µgを 15分間隔で累積投与した。

また、アゼルニジピンの溶媒を投与し、心拍数と血流量に対する溶媒の影響を

観察した。

1-5.統計解析

全てのデータは平均値±標準誤差として表した。心拍数と洞房結節動脈血

流量の投与前値および薬物投与後の変化についてアゼルニジピンとアムロジピ

ンの 2群間で t-testを行った。また、ニフェジピンによる心拍数減少および血流

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量増加作用についてアゼルニジピン投与群とアムロジピン投与群の間で t-testを

行った。統計解析には SAS System Release 8.2(SAS Institute Inc.)を使用した。

検定の有意水準は両側 5%とした。

2.結果

洞房結節の周囲の組織には右冠動脈から分岐した洞房結節動脈が血液を供

給している。しかしながら個体によって右冠動脈の分岐が一様でないため、我々

は洞房結節動脈にカニュレーションした後、アセチルコリンの投与によって徐

脈が観察された標本のみ薬物評価に用いた。アゼルニジピンとアムロジピンそ

れぞれ 6 例ずつ計 12 例のデータを取得するために 19 個体を使用し、実験に不

適切と判断したのは 7標本であった。

Fig.2 に溶媒、アゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンを洞房結

節動脈に投与した際の、心拍数および洞房結節動脈の血流量の変化を表す典型

チャートを示した。溶媒を投与すると血流量は一過性に増加したが、心拍数は

全く影響を受けなかった。アゼルニジピン 10 µgの投与により心拍数はゆっくり

と持続的に減少し、投与 10-15分後に最大反応が観察された。血流量は直ちに増

加したが、この反応は溶媒の影響によるものと考えられ、その後の投与 5 分目

をピークとする緩やかな血流量の増加がアゼルニジピン本来の作用と考えられ

た。アムロジピン 30 µgを投与すると、アゼルニジピンと同様に心拍数は緩徐か

つ持続的に減少し、持続的な血流増加反応が観察された。アゼルニジピンとア

ムロジピンの心拍数減少作用は持続的であるため各用量の投与 15分後のデータ

を解析した。ニフェジピン 0.1 µg を投与すると、心拍数は急激かつ一過性に減

少したが、投与 5 分後には投与前値まで回復した。血流量は投与直後に溶媒に

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よる

最大

Figurnifedmodeblock

増加反応よ

大反応を示す

re 2. Represedipine on heael of sinus nkers and vehi

よりも顕著

す時点での

entative traciart rate (HR)

node under cicle were adm

著に増加した

のデータを解

ings illustrati) and sinus onstant perfuministered in

- 15 -

た。ニフェ

解析した。

ing the effecnode arteria

fusion pressunto the sinus

ェジピンの反

ts of vehicleal blood flowure in anesthnode artery

反応は持続

, azelnidipinw (BF) in anhetized dogs.as bolus.

続に乏しいた

ne, amlodipinn in situ perf. Calcium ch

ため、

ne and fusion hannel

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- 16 -

薬物の投与前の平均血圧、心拍数および洞房結節動脈血流量の実測値を

Table 1に示した。いずれもアゼルニジピンとアムロジピンの投与前値に有意差

は認められなかった。また、アゼルニジピン群とアムロジピン群におけるニフ

ェジピンの心拍数減少作用および血流増加作用は同等であったことから、両群

のカルシウム拮抗薬に対する標本の反応性に差はないと考えられた。

Table 1. Baseline values of mean blood pressure, heart rate and sinus node arterial blood flow (SNBF). Mean Blood Pressure Heart Rate SNBF

(mmHg) (beats/min) (ml/min)

Azelnidipine group (n=6)

Nifedipine 127 ± 4 153 ± 6 1.07 ± 0.11

Azelnidipine 130 ± 5 152 ± 5 1.07 ± 0.11

Amlodipine group (n=6)

Nifedipine 134 ± 4 152 ± 4 1.34 ± 0.22

Amlodipine 128 ± 3 152 ± 5 0.92 ± 0.12

各薬物投与後の心拍数、および洞房結節動脈血流量の変化を Fig.3に示した。

アゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンは用量依存的な心拍数減少

作用を示した。ニフェジピンの心拍数減少作用はアゼルニジピンとアムロジピ

ンのそれぞれ約 10 倍から約 50 倍強力であった。アゼルニジピンとアムロジピ

ンの心拍数減少作用の効力を比較すると、アゼルニジピンの方が 5 倍以上強力

であることが示された。洞房結節動脈血流量はニフェジピンによって一過性か

つ顕著に増加し、その効力はアゼルニジピンやアムロジピンの 300 倍以上と考

えられた。アゼルニジピンの血流増加作用の効力をアムロジピンと比較すると

わずかに強い程度だった。

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Figurrate (sinusazelnbaselThe eamlodcomp

re 3. Compar(HR) and the node. HR a

nidipine and ine. The efeffects of nidipine were

pared betwee

rative dose-re sinus node and BF wereamlodipine. ffects of azeifedipine wer

tested. Theen the azelnid

esponse effearterial bloo

e measured Values repr

elnidipine andre examined number of dipine and am

- 17 -

ects of azelniod flow (BF)at 15 and 5 resent the md amlodipin

d in every prthe experim

mlodipine gr

idipine, amlo) in the in sitmin, respec

means ± S.E. e were examreparation be

ments is showroups.

odipine and ntu perfusion ctively, after

of absolute mined in sepaefore those own in paren

nifedipine onpreparation administratichanges fro

arate preparaof azelnidip

nthesis. *P <

n heart of the ion of

om the ations. ine or

< 0.05

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- 18 -

3.考察

洞房結節動脈にアゼルニジピン、アムロジピンあるいはニフェジピンを直

接投与すると、いずれも心拍数を用量依存的に減少させたことから、これら DHP

系カルシウム拮抗薬の洞房結節に対する本来の作用はペースメーカー活動の抑

制であることが確認された。本実験において心拍数減少作用の効力を比較する

と、ニフェジピンが最も強力で、その効力はアゼルニジピンの約 10倍であった。

アゼルニジピンの心拍数減少作用はアムロジピンよりも約 5倍強力であった。

洞房結節動脈の血流増加をピークの効果で比較すると、ニフェジピンはアゼル

ニジピンやアムロジピンよりも 300倍以上強力であった。一方、アゼルニジピ

ンとアムロジピンの血流増加作用は効力において洞調律抑制ほど明らかな差は

無かった。洞房結節動脈の血流量の増加は、カルシウムチャネル拮抗作用によ

る血管拡張作用の指標とみなすことが出来る。従って、血流増加作用と心拍数

減少作用の効力の結果から、アゼルニジピンはアムロジピンと比較して相対的

に心拍数減少作用、すなわち陰性変時作用が強いことが示された。

Takahashiらは類似のイヌの心臓標本を用いて、0.3-3 µgのニフェジピンを

洞房結節動脈に投与したとき一過性の心拍数減少(2%-15%)と右冠動脈血流量

の大きな増加(70%-130%)を生じることを報告している(30)。我々の実験では

ニフェジピン 0.1および 0.3 µg投与により血流量は約 200-240%増加し、心拍数

は 6-9%減少した。つまり、我々の実験では心拍数減少作用が強く現れている。

彼らの論文における洞房結節動脈血流量は 3.7 mL/minであり、我々の標本の血

流量の 1.0 mL/min前後と比べて多い。そのため、我々の実験標本では洞房結節

中のニフェジピン濃度がより高くなったことが推定される。このことが彼らの

実験結果に比して、本試験でニフェジピンがより低用量で心拍数を減少させた

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- 19 -

原因と考えられる。Yamamotoらはラットから摘出した洞房結節/右心房標本を用

いて、アゼルニジピンとアムロジピンの陰性変時作用について検討している(31)。

その結果、アゼルニジピンはアムロジピンよりも陰性変時作用が約 10倍強力で

あることを報告している。このようなアゼルニジピンの強力な陰性変時作用に

ついて、その分子メカニズムは明らかとなっていない。ブタ心臓膜ミクロソー

ムを用いた 3H-ニトレンジピン結合に対する阻害実験において、アゼルニジピン

の結合阻害活性はアムロジピンよりも強力であることが示されていることから

(23)、アゼルニジピンの洞調律抑制作用がアムロジピンよりも強力であることは

L型カルシウムチャネルに対する強い遮断作用によって説明されると推察され

る。

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- 20 -

4.小括

1) 麻酔犬の洞房結節動脈にアゼルニジピンおよびアムロジピンを投与すると、

心拍数は持続的に減少した。ニフェジピンを投与すると一過性で顕著な心拍

数の減少が認められた。

2) アゼルニジピンの心拍数減少作用をそのピークで比較するとアムロジピン

の 5倍以上、ニフェジピンの約 1/10であった。

3) 心拍数減少作用と洞房結節動脈血流増加作用の効力から、アゼルニジピンは

アムロジピンと比較して相対的に心拍数減少作用が強力であった。

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- 21 -

第 2章 麻酔犬にアゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピ

ンを静脈内投与した際の心拍数及び血圧に対する影響

第 1章において、長時間作用型のアゼルニジピンとアムロジピンの心拍数

減少作用と血管拡張作用を相対的に評価すると、同程度の血管拡張作用を示す

際の心拍数減少作用はアゼルニジピンの方が強力であることが示唆された。次

に我々は、アゼルニジピンとアムロジピンをまるごとの動物に投与した場合、

降圧作用と心拍数に対する影響がどのような関係にあるのか検討した。非臨床

においては、アゼルニジピンを無麻酔の高血圧自然発症ラット(SHR)に経口

投与した場合、従来の高血圧治療薬と比較して、反射性の心拍数増加が軽度で

あることや(32)、SHRに 1日 1回 15週間投与すると、溶媒群と比較して心拍数

の有意な減少が観察されたことが報告されている(33)。

本章では、麻酔および人工呼吸下のイヌを用いて、アゼルニジピン、アム

ロジピンおよびニフェジピンを静脈内投与した際の心拍数と血圧に対する作用

を観察した。ペントバルビタールで麻酔したイヌにおいても圧受容体を介した

反射機能は保持されており、降圧に伴う反射性頻脈を観察することが出来る。

本実験ではアゼルニジピンと類似した持続性の降圧作用を有する対照薬として

アムロジピンを用い、それとは対極的に短時間作用型で顕著な反射性頻脈を惹

起する対照薬としてニフェジピンを用いて、アゼルニジピンの心拍数と血圧に

対する影響について検討した。また、自律神経系の影響を排除することによっ

て、カルシウム拮抗薬の心拍数と血圧に対する直接的な影響を観察することが

出来る。そこで、βアドレナリン受容体拮抗薬とムスカリン受容体拮抗薬を処

置して薬理学的に自律神経系を遮断した条件下にて、上記の麻酔犬と同様にし

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てアゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンを静脈内投与し、心拍数

と血圧に対する作用を比較した。

1. 実験方法

1-1.使用薬物と試薬

アゼルニジピンは宇部興産株式会社で合成したものを使用した。ベシル酸

アムロジピン(以下、アムロジピン)は市販の錠剤から第一三共株式会社にて

抽出したものを使用した。ニフェジピン、プロプラノロール、イソプロテレノ

ール、polyethylene glycol (PEG)-400(以上、Sigma Chemical Co.)、DMF(和光純

薬工業㈱)、アトロピン(硫酸アトロピン注射液、田辺製薬)、アセチルコリン

(オビソート注射液、第一三共㈱)およびニトログリセリン(ミリスロール注、

日本化薬㈱)は市販のものを使用した。

アゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンは溶媒(30%(v/v) DMF、

30%(v/v) PEG-400および 40%(v/v) 蒸留水)に溶解し、10 mg/mL溶液を作製し

た。アゼルニジピンとアムロジピンはさらに PEG-400 と蒸留水の 1:1 混合液で

希釈し 3 mg/mL溶液を作製して使用した。ニフェジピン溶液は PEG-400と蒸留

水の混合液で希釈し 1 および 0.1 mg/mL 溶液を作製した。アセチルコリン、イ

ソプロテレノールおよびプロプラノロールは生理食塩液に溶解して使用した。

アトロピンは希釈することなく使用した。すべての薬液は大腿静脈から静脈内

投与し、少量の生理食塩液とともに約 3 mL/minの速度で注入した。

1-2.使用動物

雄性ビーグル種成犬(体重 9 - 14 kg、日本農産工業㈱およびエルエスジー㈱)

を使用した。実験に使用するまで、温度 23~26°C、湿度 31~69%、照明時間

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7:00 - 19:00、餌は固形飼料(オリエンタル酵母工業㈱)を与え、水は自由摂取さ

せ飼育した。実験は第一三共株式会社に設置された動物倫理委員会において承

認を受け、規定に従い実施した。

1-3. 麻酔犬における静脈内投与実験

イヌはペントバルビタールナトリウム 35 mg/kgの静脈内投与により麻酔後、

背位に固定し、人工呼吸を行った。左大腿動脈に挿入したカテ先圧トランスデ

ューサを圧アンプに接続し瞬時体血圧および平均血圧を測定した。心拍数は心

電図の R 波をトリガーとして心拍計を駆動させ測定した。左大腿静脈に薬物投

与用カテーテルを挿入した。実験中は麻酔維持のため、ペントバルビタールナ

トリウムを約 5 mg/kg/hrの速度で持続注入した。

1-4.薬理学的自律神経遮断犬における静脈内投与実験

1-3.と同様にして標本を作製した後、以下のようにして薬理学的自律神経

遮断を行った。最初に、アセチルコリン 1 µg/kgおよびイソプロテレノール 0.1

µg/kgの静脈内投与による心拍数および血圧の変化を観察した。次に、アトロピ

ン 0.1 µg/kgおよびプロプラノロール 0.3 µg/kgを順次静脈内投与し、実験中はプ

ロプラノロールを 0.15 mg/kg/hrで持続注入した。アトロピンとプロプラノロー

ルの投与後、アセチルコリンによる降圧反応およびイソプロテレノールによる

頻脈がともに完全に消失することで自律神経系が薬理学的に遮断されているこ

とを確認した。カルシウム拮抗薬の投与後にも適宜、アセチルコリンとイソプ

ロテレノールの投与を行い、自律神経遮断が維持されていることを確認した。

1-5.実験スケジュール

自律神経正常犬の実験では、心拍数と血圧が安定した後、最初にニトログ

リセリン(0.3および 1 µg/kg)を静脈内投与し、降圧に伴う反射性の心拍数増加

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- 24 -

が生じることを確認した。アゼルニジピン、アムロジピン、ニフェジピンおよ

び溶媒の投与スケジュールは自律神経正常犬と薬理学的自律神経遮断犬で同様

のタイムコースで薬物投与を行った。それぞれ、投与前の心拍数と血圧を測定

した後、アゼルニジピン(0.03 - 1.0 mg/kg)またはアムロジピン(0.03 - 3.0 mg/kg)

を約 30分間隔で累積的に静脈内投与した。ニフェジピン(0.001 - 0.1 mg/kg)は

約 30分間隔で、段階的に増量して静脈内投与した。各薬物の投与量は事前の予

試験により決定した。それぞれ各用量の投与 1、5、10、20 および 30 分後に心

拍数と血圧を測定した。

1-6.統計解析

心拍数と血圧のデータは投与前値からの実測変化分の平均値±標準誤差で

表した。溶媒投与群に対するアゼルニジピンあるいはアムロジピン投与群の有

意差検定には、各投与量で定常状態の得られる投与後 30 分の値を用いて t-test

により有意差検定を行った。ニフェジピン投与群は投与 1 分後の値を用いて溶

媒投与群との t-testを行った。薬理学的自律神経遮断犬の実験では、心拍数と血

圧の変化分について自律神経遮断群と正常群の間で t-testによる有意差検定を行

った。統計解析には SAS System Release 8.2(SAS Institute Inc.)を使用した。検

定の有意水準は両側 5%とした。

2.結果

2-1.自律神経正常犬の心拍数および血圧に対する作用

アゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンを麻酔犬に静脈内投与

した際の心拍数と血圧に対する作用の典型チャートを Fig.4に示した。

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Figurnifedof the

した

では

低下

内投

re 4. Represe

dipine on heae drugs was i

アゼルニジ

た。心拍数は

は徐々に減少

下し、心拍数

投与は、0.00

entative traciart rate (HR) intravenously

ジピンを静

は0.03および

少した。一

数は降圧に

01 mg/kg投

ngs illustratiand blood pry administer

静脈内投与す

び0.1 mg/kg

一方、アムロ

に伴い増加す

投与直後に

- 25 -

ing the effectressure (BP) red as indicat

すると、血

gの投与で

ロジピンを

する反応が

急峻かつ一

ts of azelnidiin autonomi

ted by the arr

血圧は緩やか

ではほとんど

を静脈内投与

が認められた

一過性の血

ipine, amlodically intact drows.

かに、かつ

ど変化しな

与すると速

た。ニフェ

圧低下と心

dipine and dogs. Each d

つ持続的に低

ないが、0.3 m

速やかに血圧

ェジピンの静

心拍数の増

dose

低下

mg/kg

圧は

静脈

増加が

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生じた。0.01 mg/kgの用量ではより大きな降圧が生じるとともに心拍数の増加は

持続した。しかし 0.1 mg/kgの高用量を投与すると、降圧度は増大したにもかか

わらず、Fig.4に示すように心拍数は投与直後に減少する例が認められた。

各薬物および溶媒による心拍数と平均血圧に対する用量作用関係を Fig.5に

まとめた。溶媒の静脈内投与は血圧、心拍数に全く影響を与えなかった。アゼ

ルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンの投与により平均血圧は用量依

存的に低下した。ニフェジピンによるピーク時の降圧作用は他の 2剤よりも遥

かに強力で、アゼルニジピンとアムロジピンの降圧作用の効力を比較すると、

アゼルニジピンが 3-5倍強力であった。それぞれ用量ごとに降圧作用がピークに

達するまでの時間の平均値を求めると、アゼルニジピンでは 16.5±1.0分、アム

ロジピンでは 3.0±0.2分であり、作用発現の速度はアゼルニジピンがより緩徐

であった。アゼルニジピンの心拍数に対する作用は 0.03 mg/kgで軽微に増加す

る傾向が見られたが、1 mg/kgの投与量では溶媒群と比較して有意な減少が認め

られた。一方、アムロジピン投与群では反射性の頻脈が観察され、0.3 mg/kgで

有意に増加した。ニフェジピン投与群では、最高用量の 0.1 mg/kgを除いていず

れの用量でも有意な心拍数の増加が観察された。アムロジピンやニフェジピン

の場合は溶媒群と比較して、アゼルニジピンのような有意な心拍数減少作用は

観察されなかった。ニフェジピンの 0.1 mg/kgでは投与前値よりも心拍数が減少

する傾向にあったが、溶媒群との比較では有意差は認められなかった。

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Figurrate (obtainpanelValueparen

re 5. Compar(HR) and mened 30 min al) Data were es are expresnthesis. *P <

rative dose-reean blood preafter adminisobtained 1 m

ssed as the m 0.05 compa

esponse effeessure (MBPstration of eamin after adm

means ± S.Eared with corr

- 27 -

ects of azelniP) in autonomach dose of aministration oE. The numbresponding v

dipine, amlomically intactazelnidipine, of each dose

ber of the expvalues of the

odipine and nt dogs. Left pamlodipine oof nifedipin

periments is svehicle grou

nifedipine onpanel) Data wor vehicle. R

ne or vehicle.shown in up.

n heart were Right

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- 28 -

2-2.薬理学的自律神経断犬の心拍数および血圧に対する作用

アトロピンとプロプラノロールによる薬理学的自律神経遮断の前後の心拍

数と平均血圧の値を Table 2にまとめた。薬理学的自律神経遮断処置前と比較し

て、心拍数は有意に低値を示したが平均血圧はほとんど変化しなかった。

Table 2. Baseline values of heart rate and mean blood pressure before and after the treatment of autonomic blockade in anesthetized dogs.

Heart Rate Mean Blood Pressure

(beats/min) (mmHg)

N Before After Before After

Azelnidipine group 5 150 ± 6 127 ± 2 150 ± 4 142 ± 6

Amlodipine group 5 146 ± 5 120 ± 6 143 ± 6 135 ± 6

Nifedipine group 3 124 ± 22 113 ± 5 138 ± 4 134 ± 2

自律神経遮断犬にアゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンを静

脈内投与した際の心拍数および平均血圧に対する作用を、自律神経正常犬にお

けるデータと比較して Fig.6にまとめた。自律神経正常犬と比較して、各薬物の

降圧作用はアトロピンとプロプラノロール処置による自律神経遮断の影響を全

く受けなかった。自律神経遮断犬にアゼルニジピンを投与した際の心拍数減少

作用は、自律神経正常犬に比べ若干強い傾向にあった。一方、アムロジピン群

とニフェジピン群では、自律神経正常犬で観察された反射性の心拍数増加は完

全に消失した。アムロジピンでは 0.3 mg/kgを投与した際の心拍数が自律神経正

常犬と比較して減少を示し、高用量ではさらに減少する傾向を示した。また、

アゼルニジピンの 1 mg/kg投与群で 1例(1/5)、アムロジピンの 3 mg/kgを投与し

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た動

ック

Figurrate ((closeof azeeach showdogs.

動物では全例

発生前まで

re 6. Compar(HR) and meed symbols) elnidipine ordose of nifed

wn in parenth.

例(5/5)に洞

でのデータ

rative dose-reean blood pre

dogs. Left pr amlodipinedipine. Valueesis. *P < 0.

洞房ブロック

を採用した

esponse effeessure (MBPanel) Data w. Right paneles are expres05 compared

- 29 -

クまたは房

た。

ects of azelniP) in autonomwere obtainedl) Data were

ssed as meand with corres

房室ブロック

dipine, amlomically intactd 30 min afte obtained 1 m

ns ± S.E. Thesponding val

クが発生し

odipine and nt (open symber administramin after admnumber of t

ues of auton

したため、ブ

nifedipine onbols) and bloation of each ministration the experime

nomically inta

ブロ

n heart cked dose of

ents is act

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- 30 -

2-3.カルシウム拮抗薬による降圧作用と心拍数変化の解析

自律神経正常犬と遮断犬において、各薬物を静脈内投与した際の各用量お

よび各測定時点(1, 5, 10, 20および 30分)における平均血圧の降圧度の平均値

を横軸に、心拍数変化の平均値を縦軸にグラフ化した(Fig.7)。自律神経正常犬

において、降圧と心拍数の関係は上に凸の曲線を描き、2次曲線によく近似され

た(Fig.7A)。一方、自律神経遮断犬における各薬物の降圧作用と心拍数の関係

は負の傾斜を持つ直線に近似できた(Fig.7B)。すなわち、薬物ごとに、降圧作

用が強いほど心拍数減少作用が強いという比例関係が認められた。この近似直

線の傾斜の違いから、アゼルニジピンはアムロジピンやニフェジピンと同程度

の降圧作用を示すとき、心拍数減少作用がより強いことが示された。さらに薬

剤ごとに、これらの 2次曲線と直線に囲まれた面積部分を計算し、図式化した

ものを Fig.7Cに示した。この面積部分は降圧に伴う交感神経興奮と心臓迷走神

経抑制の総和の指標、言い換えれば圧受容体反射が関与する度合いの指標とみ

なすことが出来る。アゼルニジピンと比較してアムロジピンは約 2倍、ニフェ

ジピンは約 4倍、圧受容体反射を生じやすい結果となった。

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Figur(△MBthe chazelncoeffamlodand △0.91, areas amlodratio

re 7. The corBP) in intacthanges from

nidipine, amloficient of corrdipine, and n△HR in the aand 0.47 for surrounded dipine and nto azelnidipi

rrelation betwt (A) or autonthe baselineodipine, or nrelation ® ofnifedipine, reazelnidipine ar azelnidipinby the conve

nifedipine weine.

ween changesnomically bl

e values at 1, nifedipine. A)f each conveespectively. Band amlodipie, amlodipinex curves (A

ere normalize

- 31 -

s in heart ratlocked dogs (5, 10, 20, an

A) The plots wex curve was B) There wasine groups. T

ne, and nifediA) and the reged by the are

te (△HR) and(B). Each dand 30 min aftwere fitted by

0.99, 0.94, as a good lineThe r of eachipine, respecgression lineea for azelnid

d mean bloodata point is thfter administry quadratic cand 0.81 for ear correlatioh regression lctively. C) Grs (B). The ar

dipine and sh

d pressure he mean valuration of curves. The azelnidipine

on between △line was 0.96raph showingreas for hown as the a

ue of

, △MBP 6, g the

area

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- 32 -

3.考察

生体における洞房結節の自動性は、それ自体の電気的特性のみならず自律

神経系の影響によって決定される(27)。本実験において、自律神経正常犬では、

ニフェジピンあるいはアムロジピンを静脈内投与すると、かなりの高用量を投

与しても交感神経系の亢進による心拍数増加が観察され、心拍数の減少は観察

されなかった。一方、アゼルニジピンの静脈内投与では 0.03 mg/kg投与時に心

拍数は僅かに増加傾向であったに過ぎず、用量を増加すると降圧作用の増強と

ともに心拍数は減少に転じており、ニフェジピンやアムロジピンの作用とは大

きく異なっていた。

そこで、自律神経系の関与を排除した麻酔犬において、カルシウム拮抗薬

の心拍数と血圧に対する作用を検討した。各薬物の降圧作用はプロプラノロー

ルとアトロピン処置下でまったく影響されなかったため、降圧作用と心拍数変

化の関係をより明確に判断することが出来た。本実験の結果から、アゼルニジ

ピンの 2つの特徴が明らかとなった。一つ目は、アゼルニジピンの心拍数減少

作用は自律神経遮断犬においても、あまり影響されていなかったことから、自

律神経正常犬において反射性頻脈を誘発し難く、交感神経系に対してほとんど

影響を与えていないことが示唆された。一方、ニフェジピンやアムロジピンで

は自律神経遮断により反射性の心拍数増加は完全に消失し、アムロジピンでは

明らかに心拍数減少作用が認められた。すなわち、アムロジピンの直接の洞調

律抑制作用は降圧に伴う反射性の心拍数促進効果によってマスクされていたこ

とが明らかであった。

改めて、Fig.7に示したそれぞれの降圧作用と心拍数変化の関係を考察して

みると、自律神経正常犬において観察された上に凸の曲線は、ある降圧レベル

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- 33 -

で反射性頻脈が最大に達し、降圧がそのレベルを超えると心拍数の増加の程度

は少なくなることを意味する。そして降圧がさらに強くなると薬剤によっては

徐脈を生じる。一方、自律神経遮断犬におけるアゼルニジピンとアムロジピン

の降圧作用と心拍数の関係は、正の傾斜を持つ直線に近似できた。そこで、自

律神経遮断犬において降圧作用の効力が同等である時点において、それぞれの

心拍数減少作用を比較すると、アゼルニジピンがアムロジピンやニフェジピン

よりも心拍数をより減少させることが示された。DHP系カルシウム拮抗薬は直

接作用として陰性変時作用を有するが(34,35)、心臓よりも血管に対する選択性が

高いために血管拡張作用が強く発現し、圧受容体反射による洞調律促進効果が

カルシウム拮抗薬本来の洞調律抑制作用をはるかに凌駕するため、心拍数は増

加する方向にあると説明されている(36)。

反射性頻脈を惹起する圧受容体反射は血圧低下の大きさだけでなく、血圧

低下の速度にも依存しており、急峻な降圧作用を有するカルシウム拮抗薬ほど

反射性頻脈が強く現れる(37,38)。本実験において、アゼルニジピンはアムロジピ

ンと比較して降圧の速度が明らかに遅く、静脈内投与後の降圧作用のピークに

至るまでの平均時間はアゼルニジピンの方がより時間を要した。すなわち、ア

ゼルニジピンが反射性頻脈を惹起し難い理由として、作用発現の速度が遅いこ

とが考えられた。アゼルニジピンの作用発現が遅い理由は、アゼルニジピンの

物性に依存していると考えられる。アゼルニジピンは極めて疎水性が高く、細

胞膜の脂質二重層に分布しやすいと考えられる。さらに、そのかさ高い構造の

ために細胞膜における移動速度も遅いと考えられている。このような細胞膜を

介して作用点に至る機序について、Rhodesらは membrane approach theoryとして

提唱している(39)。すなわち、アゼルニジピンは血管の管腔側から標的細胞であ

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- 34 -

る血管平滑筋細胞までの到達に時間がかかること、そして血管平滑筋細胞膜に

取込まれてからカルシウムチャネルのDHP結合部位への移行が遅いことにより、

作用発現に時間がかかると推察された。

短時間作用型のニフェジピンは、洞房結節灌流標本実験において、アゼル

ニジピンやアムロジピンよりも強力な心拍数減少作用が認められた。一方、麻

酔犬に静脈内投与した場合、かなりの高濃度を処置しないと心拍数の減少は認

められなかった。また降圧作用が飽和していると思われる高用量においても、

一過性の心拍数の減少が観察されたに過ぎず、心拍数は速やかに回復した。こ

れらのことから、カルシウム拮抗薬が心拍数を減少させるには血中または組織

中濃度の条件だけでは不十分であり、洞房結節の L型カルシウムチャネルに対

する化合物の親和性が重要であると考えられる。この点については L型カルシ

ウムチャネルに対する解離定数を求めることや、化合物の組織クリアランスを

測定するなど更なる検討が必要と考えられる。

以上の結果より、アゼルニジピンがアムロジピンと比較して心拍数を減少

させ易い理由として、反射性頻脈を生じ難いこと、そして本来有する陰性変時

作用が強力であることが示唆された。

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- 35 -

4.小括

1) アゼルニジピンをペントバルビタール麻酔下のイヌに静脈内投与すると、降

圧作用の発現が緩やかで、反射性頻脈を生じ難く、高用量では心拍数を減少

させることが示された。

2) アムロジピンとニフェジピンでは降圧に伴い、有意な反射性の頻脈が認めら

れた。

3) 薬理学的除神経犬において、アムロジピンによる反射性頻脈は消失し、高用量

ではアゼルニジピンと同様に心拍数は減少した。同等な降圧作用が得られる

際の心拍数減少作用は、アゼルニジピンが最も強力であった。

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- 36 -

第 3章 麻酔犬にアゼルニジピンまたはアムロジピンを静脈内投与

した際の、頸動脈洞圧受容体反射経路に対する影響

我々は麻酔犬を用いてアゼルニジピンの直接的な陰性変時作用や血行動

態に対する作用をアムロジピンと比較検討し、アムロジピンに比べアゼルニジ

ピンの陰性変時作用は強力であること、降圧の作用発現が緩徐であることから

圧受容体脱活性化が生じ難いことを明らかにした。我々はアゼルニジピンが圧

受容体反射を生じにくいことを、その緩やかな降圧作用発現に関連付け、これ

ら二つの理由によってアゼルニジピンは心拍数を減少させるものと考察した。

一方、アゼルニジピンが交感神経系の中枢である延髄腹外側の吻側領域

(RVLM)において交感神経ニューロンの電気活動を直接的に抑制することで、

反射性頻脈や末梢交感神経の亢進を抑制する可能性が示唆されている (24,40)。

またラットの in vivo実験でもアゼルニジピンが交感神経活性を抑制することが

示唆されている(41,42)。そこで我々は、アゼルニジピンが中枢のみならず末梢を

含む一連の圧受容体反射経路に影響を与えるか否かを検討する目的で、イヌの

頸動脈洞定圧灌流モデルを作製し、アゼルニジピンの降圧反射に対する影響を

検討した。頸動脈洞受容器には洞神経が分布しており、血圧の低下を頸動脈洞

壁の伸展性の低下として感知し、洞神経の求心性インパルスが減少し、延髄に

ある心臓抑制中枢の抑制が解除され、迷走神経活動の抑制とともに交感神経活

動が亢進して心拍数が増加する。本実験では、頸動脈洞圧受容体を生体から遊

離した開ループの評価系においてアゼルニジピンの頸動脈洞圧受容体反射に対

する影響を解析した。また、降圧に伴う反射反応は、最終的に心臓交感神経終

末から遊離されたノルエピネフリンが効果器に作用することから、ノルエピネ

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- 37 -

フリンの作用に対してアゼルニジピンが何らかの影響を及ぼす可能性も考えら

れる。そこで、麻酔犬にノルエピネフリンを静脈内投与し、外因性に加えられ

たノルエピネフリンの作用に対するアゼルニジピンの影響について、対照薬の

アムロジピンとともに検討した。

1.実験方法

1-1.使用薬物と試薬

アゼルニジピンは宇部興産株式会社で合成したものを使用した。ベシル

酸アムロジピン(以下、アムロジピン)は市販の錠剤から第一三共株式会社に

て抽出したものを使用した。ノルエピネフリン(NE、Sigma Aldrich Co.)および

臭化ヘキサメトニウム(和光純薬工業㈱)は市販のものを使用した。

アゼルニジピンとアムロジピンの薬液は、それぞれ必要量の薬物を秤量後、

DMFに溶解し、生理食塩液で希釈して 1 mg/mL および 3 mg/mLを作製した。

アゼルニジピンとアムロジピンの用量は麻酔犬に静注した際の降圧作用の効力

(第 2章)に基づいて、アゼルニジピンは 0.03 mg/kg および 0.1 mg/kg、アムロ

ジピンは 0.1 mg/kg および 0.3 mg/kgの累積投与とした。溶媒群には生理食塩液

で希釈した 50% DMF溶液を使用し、アゼルニジピンの投与容量に相当する量を

投与した。ノルエピネフリンおよびヘキサメトニウムはともに生理食塩液に溶

解して 0.1 mg/mL および 40 mg/mL を作製した。

1-2.使用動物

実験には雄性ビーグル種成犬(体重 9 - 15 kg、日本農産工業㈱より購入)、

および雄性 HBD 成犬(体重 19 - 22 kg、オリエンタル酵母工業㈱より購入)を

使用した。イヌは以下の条件で飼育した。すなわち、温度 23~26°C、湿度 31

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- 38 -

~69%、照明時間 7:00 - 19:00、餌は固形飼料(オリエンタル酵母工業㈱)を与

え、水は自由摂取させた。実験は第一三共株式会社に設置された動物倫理委員

会の規定に従い実施した。

1-3.麻酔犬・頸動脈洞定圧灌流標本の作製

イヌはケタラール(第一三共㈱)約 0.3 mL/kg を筋注して鎮静化させた後、

α-chloralose(和光純薬工業㈱)と urethane(Sigma Aldrich Co.)の混合液(それ

ぞれ 50 mg/mL、500 mg/mL を含む)を用いて、約 50/500 mg/kgを静脈内投与し

て麻酔した。イヌは背位に固定し人工呼吸を行った。手術中および実験中は麻

酔維持のため α-chloralose/urethane 溶液を適宜静脈内に追加投与した。体血圧測

定のため右上腕動脈にカテ先圧トランスデューサを挿入し、圧アンプに接続し

て瞬時血圧を測定し、この血圧信号を電気的に平滑化して平均血圧を測定した。

右大腿静脈に薬物投与用カテーテルを挿入した。自己血による頸動脈洞の体外

循環回路は Koikeら(43)の方法に準じて作製した(Fig.8)。以下に概略を述べる。

動脈血を導くため左右の股動脈を剥離した。筋弛緩薬を静注後、頸部皮膚およ

び筋層を正中線に沿って広く切開し、左右の頸静脈を剥離した。以下の操作は

左右の血管系に対して行った。甲状腺動脈分岐部すぐの末梢側で約20 mm ほど、

総頸動脈と迷走交感神経幹を一緒に剥離した後、それぞれを分離した。次に内

頸動脈、前喉頭動脈、後頭動脈、上行咽頭動脈、舌動脈および外頸動脈を剥離

した。総頸動脈と外頸動脈を残して全ての動脈枝を結紮した。上行咽頭動脈よ

りカテ先圧トランスデューサを逆行性に挿入して頸動脈洞内圧(CSP)を測定し

た。ヘパリンナトリウム溶液(Sigma-Aldrich, Co.)500 unit/kg を静注した後、

股動脈、総頸動脈、外頸動脈そして頸静脈の順にカニュレーションを行い、股

動脈と総頸動脈、外頸動脈と頸静脈をそれぞれシリコンチューブで接続して体

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- 39 -

外循環回路を作製した。頸動脈洞を一定流量(40-60 mL/min)、一定圧(125 mmHg)

で灌流するために、股動脈と総頸動脈の間にロータリーポンプ(MasterFlex、

Barnant Co.)、外頸動脈と頸静脈の間にスターリング抵抗管をそれぞれ設置した。

スターリング抵抗管は水銀マノメーターと連結させておき、スターリング抵抗

管の圧を増減させることによって頸動脈洞内圧を任意に変化させた。回路の血

流量(BF)は超音波血流プローブ(2N、Transonic Systems Inc.)を介してトラン

ジットタイム血流計(T106、Transonic Systems Inc.)により測定した。

大動脈圧受容体からの大動脈神経を介した中枢への信号入力や迷走神経との

相互作用を介する影響を排除するために、頸部にて両側の迷走交感神経幹を大

動脈神経と一緒に切断した。実験中は、適宜採血を行い動脈血中の血液ガス、

pH を全自動 pH 血液ガス分析装置によりチェックし、動物の状態を生理的レベ

ルに維持した。心電図はAB 誘導により生体アンプを介して計測し、心電図R 波

により心拍計を駆動させて心拍数を測定した。心拍数、平均血圧、CSP、BF お

よび心電図を熱ペン書きレコーダーに 10 mm/min の速度で記録した。

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Figuranest

1-4.

mmH

CSP

CSP

で繰

CSP

ムロ

応を

0.3 m

薬物

灌流

re 8. Schemthetized dog

頸動脈洞

頸動脈洞受

Hg から約

の下降を 9

下降によ

繰り返し行っ

下降による

ジピンの 0

を観察した。

mg/kgを累積

物投与により

流量あるいは

matic represeg

圧受容体反

受容体を介

60 mmHg

90 秒間維持

り惹起され

った。CSP下

る反射反応

0.1 mg/kgを

反応終了

積投与し、そ

り CSPがベ

は水銀マノ

entation of a

反射実験

介する反射

左右同時に

持した後、

れる反射反応

下降の大き

応が安定した

を静注し、

了後、アゼル

その約 30

ベースライ

メーターを

- 40 -

an in situ ca

射反応は左

に瞬時に下

左右同時に

応が安定す

さは可能な

た後、アゼ

その約 30

ルニジピン

分後にCSP

ンの 125 m

を操作して

arotid sinus

左右の CSP

下降させるこ

にベースラ

するまで、C

な限り毎回

ゼルニジピン

分後に CS

ンの 0.1 mg/k

P下降によ

mmHgより

て 125 mmH

perfused pr

P をべース

ことによっ

ラインに復帰

CSP 下降を

回同一レベル

ンの 0.03 m

SP下降を実

kgまたはア

る反射反応

低下した場

Hgに調整し

reparation i

スラインの

って惹起させ

帰させた。

を 20-30 分

ルに維持し

mg/kgまた

実施し、反

アムロジピ

応を観察し

場合には頸

した。CSP

in an

の 125

せた。

この

分間隔

した。

たはア

反射反

ピンの

した。

頸動脈

下降

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- 41 -

による反射反応の大きさを CSP 下降の大きさにより基準化し、頻脈ゲイン

Gain(HR)、昇圧ゲイン Gain(MBP)として以下の式により算出した。

Gain(HR) = ΔHR / ΔCSP

Gain(MBP) = ΔMBP / ΔCSP

ここで、ΔHR = CSP 下降により惹起される心拍数増加の最大変化

ΔMBP = CSP 下降により惹起される昇圧反応の最大変化

ΔCSP = 左右の CSP の圧下降の平均値

薬物あるいは溶媒投与後の Gain(HR)と Gain(MBP)は、投与前のそれらの大きさ

を 100%とした相対値(%)を算出した。

1-5.ノルエピネフリン誘発の頻脈および昇圧に対する作用の検討

イヌはケタラールの筋注後、α-chloraloseと urethane(約 50/500 mg/kg)の

静注により麻酔した。犬は背位に固定し、気道に気管カニューレを挿入し人工

呼吸を行った。血圧は右上腕動脈に挿入したカテ先圧トランスデューサにより

測定した。右大腿静脈に薬物投与用カテーテルを挿入した。心拍数は心拍計に

より測定した。薬理的に自律神経節遮断を行うため、ヘキサメトニウム 10 mg/kg

を静注し、その後 10 mg/kg/hrで持続注入を行った。この条件下においてもわず

かに迷走神経反射が観察されたため、左右の迷走交感神経幹を頸部にて切断し

た。心拍数、血圧および心電図を熱ペン書きレコーダー上に 5 mm/minの速度で

記録した。

血行動態が十分安定したことを確認後、ノルエピネフリンの 1または 2 μg/kg

を静注して心拍数及び血圧の上昇を観察し、これを 20 - 30 分間隔で繰り返した。

ノルエピネフリンの投与量は頸動脈圧受容体反射による心拍数 および平均血

圧変化にほぼ匹敵する変化を生じる量として決定した。ノルエピネフリン静注

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- 42 -

による反応が安定した後、頸動脈洞灌流実験と同じ用量とタイムコースでアゼ

ルニジピン(0.03, 0.1 mg/kg, i.v.)およびアムロジピン(0.1, 0.3 mg/kg, i.v.)の影

響を観察した。薬物投与後のノルエピネフリン静注による頻脈と昇圧反応は、

薬物投与前のそれぞれの反応を 100%とする相対値(%)として表した。

1-6.統計解析

データは全て平均値±標準誤差で表した。反射反応およびノルエピネフリ

ン反応に対する溶媒群とアゼルニジピン群またはアムロジピン群の比較には、

各群間において二元配置分散分析を行い、さらに用量毎に t-testを行った。麻酔

犬にアゼルニジピンおよびアムロジピンを静脈内投与した際の心拍数および平

均血圧に対する作用も二元配置分散分析を行い、用量毎に t-testを行った。統計

解析には SAS System Release 8.2(SAS Institute Inc.)を使用した。検定の有意水

準は両側 5%とした。

2. 結果

2-1.頸動脈洞圧受容体反射実験

頸動脈洞圧受容体を介する反射反応の実例を Fig.9に示した。本例ではCSP

をベースラインレベル(125 mmHg)から左右同時に瞬時に約 60 mmHg低下さ

せると、心拍数と平均血圧は顕著な上昇を示した。90 秒後、CSP を元のレベル

に瞬時に戻すと、平均血圧は速やかに、心拍数は少し遅れてもとのレベルに回

復した。このように CSP の下降に対して生体の反射反応は非常に鋭敏であるこ

とがわかった。溶媒群、アゼルニジピン群およびアムロジピン群において、CSP

の変化の程度はほぼ同等であり、反射を惹起するためのインプットにはほとん

どバラツキは無かった。溶媒投与前の CSP 低下による実測の変化分として、心

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拍数

Gain

FigurpressThe cmmH

示し

与の

過に

群の

た。

数上昇が 46

n(MBP)は 1

re 9. Represure (MBP) icarotid sinus

Hg to elicit ba

投与前値を

した。低用量

の溶媒群では

に伴った反応

の投与前の

Gain(HR)は

±6 bpm、

1.69±0.20で

sentative trainduced by cs pressure (Caroreceptor r

を 100%と

量投与の溶

は 80%前後

応性の減弱

Gain(HR)お

は、アゼル

昇圧は 96

であった。

acings illustrcarotid baroreCSP) on botreflex.

し、投与後

溶媒群では両

後まで各 Ga

弱が認められ

および Gain

ルニジピンお

- 43 -

6±8 mmHg

rating changreceptor refleth sides was

後の Gain(H

両 Gainに変

ainは低下し

れた。アゼ

n(MBP)は溶

およびアム

g であり、

ges in heartex for the ves simultaneo

HR)と Gain

変化が見ら

しており、

ゼルニジピ

溶媒群との

ムロジピン

Gain(HR)は

t rate (HR) hicle and az

ously reduced

(MBP)の変

れなかった

本実験条件

ンあるいは

の有意な差は

の低用量及

は 0.80±0

and mean zelnidipine grd from 125

変化を Fig.

たが、高用

件下では時

はアムロジ

は見られな

及び高用量

.10、

blood roups. to 65

10に

用量投

時間経

ジピン

なかっ

量いず

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れの

及び

れた

ルで

ある

Figurgainspress0.03 for acontr< 0.0

の投与群にお

び高用量いず

た。アゼルニ

であった。G

が、カルシ

re 10. Effectss of carotid ure reductionor 0.1 mg/kg

azelnidipine rol gains dete5 compared

おいても溶

ずれの薬物

ニジピン群

Gain(HR)、G

シウム拮抗

s of vehicle, barorecepto

n were obtaig iv for azelnor amlodipin

ermined in eawith corresp

溶媒群に対す

物投与群にお

群とアムロジ

Gain(MBP)

抗薬による抑

azelnidipineor reflex (Gained in the conidipine or amne, respectivach of the 3 gponding valu

- 44 -

する有意な

おいても有

ジピン群の

)はともに圧

抑制作用の

e, or amlodipain-HR and ontrol run anmlodipine, revely). Data groups. Valu

ues of vehicle

な差はなかっ

有意かつ用

の Gain(MB

圧受容体反

の有無はパラ

pine on heartGain-MBP)

nd 30 min afespectively; were expres

ues are expree group.

った。Gain(

量に応じた

BP)の低下の

反射活性のパ

ラメータに

t rate and me). Responsesfter administhigh dose: 0

ssed as the pssed as the m

(MBP)は低

た抑制が認

の程度は同

パラメータ

により異なっ

ean blood pres to carotid trations (low0.1 or 0.3 mgpercentage o

means ± S

低用量

認めら

同レベ

タでは

った。

essure sinus

w dose: g/kg iv of the .E. *P

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- 45 -

2-2.ノルエピネフリン誘発頻脈および昇圧に対する作用

溶媒群において投与前のノルエピネフリン静注による頻脈は 54±5 bpm、昇

圧反応は 82±20 mmHgであった。溶媒群におけるノルエピネフリンによる頻脈

および昇圧反応は再現性よく観察された。アゼルニジピン群あるいはアムロジ

ピン群の薬物投与前のノルエピネフリンによる頻脈および昇圧反応は溶媒群の

それらと有意な違いは無かった。

Fig.11 にノルエピネフリン誘発の頻脈および昇圧反応に対するアゼルニジ

ピンとアムロジピンの影響をまとめた。ノルエピネフリン誘発の頻脈はアゼル

ニジピン低用量投与による変化は認められないが、アゼルニジピン高用量投与

群で 19%と、僅かだが有意に抑制されていた。一方、アムロジピン群では、高

用量投与群においてもノルエピネフリンによる頻脈に対する影響は観察されな

かった。ノルエピネフリンによる昇圧反応は、アゼルニジピンおよびアムロジ

ピンの投与量に応じて抑制され、その程度はアゼルニジピンとアムロジピン投

与群で同じレベルであった。アゼルニジピン、アムロジピンおよび溶媒を静注

した時のベースラインの血圧、心拍数の変化を Fig.12 に示した。アゼルニジピ

ンおよびアムロジピンは用量依存的な降圧作用を示した。アゼルニジピン群は

0.1 mg/kgの用量で有意な心拍数の減少(9.8±1.9 bpm)が認められた。アムロジ

ピンの 0.3 mg/kg投与で心拍数を減少させる傾向を示した。

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Figurtachywere pressAML*P <

Figurbasel± S.E

re 11. Effecycardia (uppe

expressed aure (MBP).

L, 0.1 mg/kg)0.05 compar

re 12. Effectine hemodyn

E. *P < 0.05

ts of azelnier) and pressas percent chThe effects ) or high dosred with corr

ts of azelnidnamics in ancompared w

dipine (AZ)sor (lower) rehanges from were obtain

se (AZ, 0.1 Aresponding v

dipine (AZ, esthetized gaith correspon

- 46 -

) and amlodesponse in acontrol resped 30 min a

AML, 0.3 mgvalue of vehi

n=4), amlodanglionic blonding value o

dipine (AMLnesthetized g

ponses of heaafter adminisg/kg). Valuescle group.

dipine (AMLocked dogs. Vof vehicle gr

L) on norepganglionic bart rate (HRtration of lo

s are expresse

L, n=4) and Values are exroup.

pinephrine-inblocked dogsR) and mean ow dose (AZed as means

vehicle (n=xpressed as m

nduced . Data blood

Z, 0.03 ± S.E.

=4) on means

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- 47 -

3.考察

我々は延髄の循環反射中枢を含めて頸動脈洞圧受容体反射機能をトータル

に評価する実験系として麻酔犬の頸動脈洞自己血灌流標本を選択した。この標

本では頸動脈洞を介した圧反射経路に影響する神経のうち、頸動脈洞神経を除

いて大動脈神経、低圧神経、迷走神経を切断した後、頸動脈洞を体外循環した。

血液を強制的に送液するポンプとスターリングの抵抗管によって CSP を任意の

圧に維持することが可能で、降圧剤による体血圧低下の影響を受けることなく

CSP を毎回同じレベルに設定できる。このことは、反射中枢へのインプットシ

グナルを一定に出来る利点がある。実際、薬物や投与量、時間経過に関わり無

く CSPの変化をほぼ一定にすることが出来た。

さらに我々は頸部にて両側迷走交感神経幹を外科的に切断した。この神経

の遮断によって、大動脈弓にある圧受容体からの反射中枢へのインプット、心

肺低圧受容器からの求心性神経さらには圧受容体反射と相互作用することが知

られている迷走神経の遠心性活動も遮断される。よってこれらの神経切断によ

って頸動脈圧受容体反射系は他の反射系からほぼ完全に遊離され、開ループ系

として頸動脈洞内圧変化による血圧、心拍数のゲインを解析することにより反

射経路に対する薬物の影響を比較的純粋に検討することが可能となった。CSP

は 125 mmHg付近が頸動脈洞の圧受容体の最も感受性が高い圧であり、60 mmHg

以下では圧受容体の感受性が低下すると報告されていることから(44,45)、本実験

においては CSPを 125 mmHgに維持し、そこから 65mmHgに一気に低下させる

条件を選択した。この範囲での圧変化により最適なインプットシグナルを中枢

に伝えることが出来るものと考えられる。実際、CSP 下降に応じて直ちに 100

mmHg前後の大きな昇圧反応と 50 bpm前後の強い頻脈が生じていた。

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- 48 -

本研究で用いたアゼルニジピンの投与量は、第 2章の結果に従って 0.03 お

よび 0.1 mg/kgとし、アムロジピンの投与量はアゼルニジピンとの降圧作用の効

力比から 3 倍量の 0.1 および 0.3 mg/kgを用いた。アゼルニジピンはこの用量で

降圧作用を示すが反射性頻脈はほとんど示さず、アムロジピンでは降圧作用に

伴う反射性の有意な心拍数増加が観察されている。

Gain(HR)は、アゼルニジピンの低用量及び高用量いずれの投与群において

も溶媒群の Gain(HR)と変わらなかった。一方、Gain(MBP)はアゼルニジピンの

低用量及び高用量いずれの投与群においても抑制された。アムロジピンにおい

ても同様の結果が観察された。Gain(HR)、Gain(MBP)はともに開ループの Gain

であるので本来同一の傾向を示すはずである。しかしながら、Gain(HR)が不変

で Gain(MBP)が低下する理由として、カルシウム拮抗薬は心臓よりも血管に対

する選択性が高いため、神経終末から遊離されたノルエピネフリンによる血管

収縮をアゼルニジピンやアムロジピンが血管平滑筋レベルで機能的に拮抗した

と考えられた。そこで、同様の麻酔剤、迷走交感神経幹切除、自律神経節ブロ

ックを行ったイヌを用いて、外因性ノルエピネフリンの昇圧反応、頻脈に対す

る作用を確認した結果、アゼルニジピンもアムロジピンも外因性ノルエピネフ

リンによる昇圧反応を用量依存的に抑制した。その抑制の度合いは圧受容体反

射実験における Gain(MBP)の抑制の程度とほぼ一致していた。従って、アゼル

ニジピンやアムロジピンによる Gain(MBP)の抑制は血管平滑筋レベルでの神経

伝達物質のノルエピネフリンに対する機能的拮抗と考えられる。アゼルニジピ

ンは高用量において外因性ノルエピネフリンによる心拍上昇を抑制したが、ノ

ルエピネフリン投与以前に心拍数を有意に減少させており、この場合もまた洞

房結節レベルでアゼルニジピンの陰性変時作用が勝ったものと考えられる。以

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- 49 -

上より、Gain(HR)は反射活性をより純粋に反映するパラメータであり、Gain(HR)

に対してアゼルニジピンとアムロジピンは影響を及ぼさなかったことから、ア

ゼルニジピンとアムロジピンは頸動脈洞圧受容体を介する循環反射に対する抑

制作用は有さないものと考えられた。

ヒトの圧受容体反射機能に対する影響はアゼルニジピンで検討されていな

いが、運動時の交感神経活動亢進に対する影響は検討されている。Arita らは高

血圧患者を用いて運動負荷による血圧上昇、心拍数増加および神経液性因子の

変化に及ぼすアゼルニジピン、アムロジピンおよびニフェジピンの影響を報告

している(46,47)。アゼルニジピンやアムロジピンは運動時の心拍数や血漿中ノル

エピネフリン濃度に変化は見られないが、ニフェジピンは両者を有意に増加さ

せることから、アゼルニジピンもアムロジピンも交感神経活動を抑制すること

は無いことが示唆されている。

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- 50 -

4.小括

1) アゼルニジピンとアムロジピンは頸動脈洞の圧低下によって惹起される反

射性の心拍数増加に対して影響を与えなかったが、昇圧反応に対しては抑

制作用を示した。両薬剤はともに圧受容体反射経路に影響を及ぼさないこ

とが示唆された。

2) アゼルニジピンとアムロジピンは、外因性ノルエピネフリンによる頻脈に

はほとんど影響しなかった。昇圧反応に対しては抑制作用を示したが、こ

の抑制は、ノルエピネフリンの血管収縮作用に対する直接的な機能的拮抗

作用に拠るものと考えられた。

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- 51 -

第 4章 ラット狭心症モデルにおける、アゼルニジピンの抗心筋虚

血作用と心筋酸素需要に対する作用の検討

狭心症の一つの病態として、冠動脈の異常収縮に基づく絶対的な血流不足

により心筋虚血を引き起こす冠攣縮性狭心症がある。カルシウム拮抗薬は特に

冠動脈スパズムあるいは冠血管緊張の亢進によって生じるような狭心症の治療

に効果的とされる。冠血管攣縮の発生には人種差があることが報告されており、

急性心筋梗塞患者においてアセチルコリン投与によってスパズムが誘発される

のは欧米人よりも日本人に多いことが報告されている(48-50)。そのためカルシ

ウム拮抗薬は冠攣縮性の狭心症治療薬の第一選択薬として推奨されている

(51-53)。JMIC-B試験では心筋梗塞患者を対象に、カルシウム拮抗薬とβ遮断薬

での長期予後を検討しており、カルシウム拮抗薬投与群において心不全および

冠攣縮による不安定狭心症の発症率が有意に低い結果であった(54)。また、冠攣

縮は冠動脈硬化部位で発生すること、また薬剤溶出ステントを施術した冠血管

においても内皮機能障害により発生しやすいことが報告されている(55-57)。す

なわち、冠攣縮は急性冠症候群の発生原因の一つであり、冠攣縮の強力な阻害

作用を有するカルシウム拮抗薬の役割が見直されている。また、正常血圧の冠

動脈疾患患者を対象として、代表的なカルシウム拮抗薬のアムロジピンと ACE

阻害薬のエナラプリルの効果を比較した CAMELOT試験では心血管イベント抑

制効果がアムロジピンに認められた(58)。これはアムロジピンの抗酸化作用、抗

炎症作用などの pleiotropic effectによる可能性が示唆されており、同じカルシウ

ム拮抗薬の中でも薬剤によって心保護効果が異なると考えられる。一方、ニフ

ェジピンのような第一世代のカルシウム拮抗薬は作用時間が短く、反射性の頻

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- 52 -

脈により心筋酸素需要を増やす恐れが有る。そのため特に冠動脈疾患を有する

患者に対しては交感神経系の賦活化を生じにくい長時間作用型のカルシウム拮

抗薬が広く用いられている(59,60)。

アゼルニジピンはイヌの心筋虚血再灌流標本において、アムロジピンに匹

敵する抗心筋虚血作用を示し、その心筋保護作用には心拍数の減少作用が部分

的に寄与したことが報告されている(61)。アゼルニジピンによる心拍数の減少作

用は心筋酸素消費量を減少させることから、優れた心保護作用を有することが

期待される。また、DHP 系カルシウム拮抗薬の中でも脂溶性の高い化合物は作

用の持続が長く、臓器保護作用に優れていることが知られており(62,63)、アゼル

ニジピンもまた脂溶性が高いカルシウム拮抗薬であることから持続的な抗心筋

虚血作用を有することが期待される。これらの非臨床および臨床で認められる

特性から、アゼルニジピンは望ましい抗心筋虚血作用を有すると考えられるが、

その実験的および臨床的な証拠については十分な検討がなされていない。

本試験では、アゼルニジピンの抗心筋虚血作用をバソプレッシン(AVP)誘

発ラット心筋虚血モデルを用いて検討した。バソプレッシンは強力な内因性血

管収縮物質であり、ヒトおよび種々の動物において外因性に投与された場合、

冠血管攣縮による心筋虚血を生じることが報告されている(64,65)。本モデルはカ

ルシウム拮抗薬の抗心筋虚血作用の評価系としてよく使用されているが(66,67)、

我々は従来報告されている方法をもとに、再現性良く評価できること、長時間

の薬効評価を行えることを目的として実験方法を修飾した。

1.実験方法

1-1.使用薬物と試薬

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- 53 -

アゼルニジピンは第一三共株式会社で合成したものを使用した。ベシル酸

アムロジピン(以下、アムロジピン)は市販の錠剤から第一三共株式会社にて

抽出したものを使用した。Carboxymethyl cellulose sodium salt(CMC、和光純薬

工業㈱)および Arginine vasopressin(AVP、㈱ペプチド研究所)は市販のものを

使用した。アゼルニジピンは必要量を秤量後、CMCとともに乳鉢中に入れ、蒸

留水を加え、0.5、1.5または 5.0 mg/mLの懸濁液を調製した(それぞれ 1.0、3.0

または 10 mg/kg投与用)。同様にしてアムロジピンの 1.5または 5.0 mg/mLの懸

濁液を調製した(それぞれ 3.0または 10 mg/kg投与用)。AVPは 4.4 μg/mL溶液

を調製したものを小分けしてストック溶液とし、試験当日に室温で融解し、生

理食塩液で 0.44 µg/mLに希釈して実験に用いた。

1-2.使用動物

雄性 Donryu系ラット(8-9週齢、日本チャールス・リバー㈱)を使用した。

実験に使用するまで、ラットは室温 23±2℃、湿度 55±5 %の飼育室で飼育し、

固形飼料 FR-2(株式会社船橋農場)を自由に摂取させ、自動給水装置により水

道水を自由に摂取させた。1 週間以上馴化させた後、健康な動物を実験に使用し

た。実験は第一三共株式会社に設置された動物倫理委員会の規定に従い実施し

た。

1-3.バソプレッシン誘発心筋虚血モデルの作製

ラットにイナクチン 100 mg/kgを腹腔内投与して麻酔し、実験台に背位に固

定した。ポリエチレンカニューレを左大腿動脈に挿入し、圧トランスデューサ

-に接続して、圧アンプを介し血圧を測定した。第Ⅱ誘導による心電図は生体

アンプを介して測定した。心拍数は心電図 R 波により心拍計を駆動させて測定

した。AVP 注入のため大腿静脈にカニューレを挿入した。AVP の注入レートは

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- 54 -

予備検討の結果から決定し、シリンジポンプ(CFV-2100、日本光電工業㈱)を

用いて 110 ng/kg/minの速度で 5分間持続注入すると、心電図 ST波の最大下降

が注入開始 4分後に観察された。実験は、アゼルニジピンの 1, 3, 10 mg/kg、ア

ムロジピンの 3, 10 mg/kgおよび溶媒を経口投与し、各用量において別の個体を

用いてそれぞれ経口投与1、4、8、12時間後にAVP誘発による虚血性心電図変化に

対する作用を観察した。ラットを薬効評価時刻の 30分前に麻酔して AVP持続注

入の準備を行い、投与後のそれぞれの時刻にあわせて AVP注入を開始した。AVP

注入前に、心拍数、収縮期血圧、平均血圧を測定した。注入開始 4 分後に平均

血圧、心拍数、および心電図 ST下降を測定した。測定終了後、麻酔薬を静脈カ

ニューレより過剰量投与し安楽死させた。

1-4.統計処理

すべてのデータは平均値および標準誤差を算出した。AVP 誘発心筋虚血実

験では、用量、時間とその交互作用を固定効果とする 2 元配置分散分析を行っ

た。交互作用が有意でない場合に、用量毎に最小 2 乗推定量を推定し Dunnett

検定を実施した。さらに副次的に時間毎に溶媒群との比較を Dunnett検定で行っ

た。統計解析には SAS System Release 8.2(SAS Institute Inc.)を使用した。検定

の有意水準は両側 5%とした。

2. 結果

2-1. AVP誘発による心電図変化

ラットに溶媒もしくはアゼルニジピン 3 mg/kgを投与し、その 4時間後に

麻酔下で AVP を静脈内に持続注入した際の血圧、心拍数および心電図 ST の変

化の典型例を Fig.14 に示した。溶媒投与群では、AVP 持続注入により、顕著な

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血圧

心電

した

とと

虚血

血圧

時間

は溶

いた

圧上昇と心拍

電図 ST は A

た(Fig.14A)

もに、後負

血に陥り心筋

圧は減少する

間後に評価し

溶媒投与群と

た(Fig.14B)

拍数減少を

AVP 注入に

。AVP注入

負荷の上昇

筋収縮障害

る経過をた

した例では

と同程度ま

)。

を生じた。溶

により徐々

入によって

昇により心筋

害が起こる。

たどったと考

は、血圧上昇

で昇圧して

- 55 -

溶媒投与群

に下降し、

て冠動脈血管

筋酸素消費

。AVP 注入

考えられる

昇の速度が

ていた。心

群において

注入 4 分

管の収縮に

費量が増加

入後半では

る。アゼルニ

が抑制された

電図 STの

、心筋虚血

分後において

による血液供

した結果、

は心筋収縮力

ニジピンの

たが、AVP

の変化は完全

Figure 14t r a c i n g svasopressichanges iand e lec(ECG) in radministraazelnidipiThe arrowof AVP receivingAV P - i n delevation and a gradin ECG. a z e l n i dST-depressc o mp l e t

血の指標で

て最大下降

供給が減少

心筋が徐

力の低下に

の 3 mg/kg投

P 注入 4 分

全に抑制さ

4. Represens i l l u s t r ain (AVP)-inin blood prect rocardiorats 4 hr afteation of vehiine (3.0 mg

ws show theinfusion. Ig vehicle d u c e d a sin blood pre

dual ST depreIn rat rece

d i p i n e sion in ECGe l y i n h i b

である

降を示

少する

徐々に

により

投与 4

分後に

されて

ntative a t i n g duced essure gram

er oral icle or g/kg). e start In rat

(A), s t e e p essure ession eiving ( B ) ,

G was i t ed .

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- 56 -

2-2.カルシウム拮抗薬の抗心筋虚血作用の比較

AVP 注入による 4分後の平均血圧の上昇度にはばらつきがあったが、アゼ

ルニジピンとアムロジピンで溶媒投与群よりも有意に変化分が小さい群は無か

った。アゼルニジピンとアムロジピンを投与した場合、AVP 注入前の平均血圧

が有意に低下している群においては、溶媒投与群よりも平均血圧の変化分が大

きくなる例が観察された。このことから本実験系におけるアゼルニジピンとア

ムロジピンの AVP誘発の昇圧作用に対する影響は小さいと考えられた。

アゼルニジピン、アムロジピンおよび溶媒の投与 1、4、8および 12時間後

における AVP注入 4分後の心電図 STの変化を Fig.15に示した。溶媒投与群に

おいて心電図 ST下降は各時点で -0.36 ~ -0.38 mVの範囲にあり、ほぼ一定で

あった。アゼルニジピンは、AVP 誘発心電図 ST 下降を用量依存的に抑制した

(Fig.15A)。アゼルニジピンによる ST下降の有意な抑制は 1 mg/kg投与群では

投与後 4および 8時間、3および 10 mg/kg投与群では投与後 1、4、8および 12

時間のすべての時点で認められ、投与 4 時間後に薬効のピークが観察された。

アゼルニジピンの 10 mg/kg 投与群はいずれの時点においてもほぼ完全に ST下

降を抑制した。アムロジピン投与群では、3 mg/kg投与群で投与後 4時間のみ、

10 mg/kg投与群ではすべての時点において有意なST下降の抑制が認められたが、

投与後 12時間では効果は減弱した(Fig.15B)。投与後 4時間後に薬効のピーク

が観察された。

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Figurvasopat 1, 4(n=10

2-3.

を Fi

は有

では

時点

も降

圧が

れた

に上

少に

投与

re 15. Effectspressin-induc4, 8 and 12 h0-12). * P <

カルシウ

各薬物投

ig.16に示し

有意な平均血

は投与 4およ

点において有

降圧していた

が認められた

た。

心拍数は、

上昇した。ア

に転じ、4お

与群では、投

s of single orced ECG ST-hr after admi0.05, ** P <

ム拮抗薬の

与後、AVP

した。溶媒

血圧の低下

よび 8時間

有意な降圧

た。アムロ

た。10 mg/

アゼルニ

アゼルニジ

および 12時

投与 1時間

ral administr-segment depnistrations o0.01 vs. veh

の心拍数お

P注入前の

投与群と比

下は認められ

間後に有意な

圧が認められ

ジピンでは

/kg 投与群

ニジピン 1お

ジピン 10 m

時間で有意差

間後に有意な

- 57 -

ration of azelpression in r

of the drugs. Dhicle.

および血圧に

の麻酔下にて

比較して、ア

れなかった

な低下が見

れた。降圧

は、3 mg/kg

群では全ての

および 10 m

mg/kg投与群

差が認めら

な増加が観

lnidipine (A)ats. Anti-ischData are exp

に対する作

て測定した

アゼルニジ

た。アゼルニ

見られ、10

圧のピークは

g投与群で

の時点につ

mg/kg投与

群では投与

られた。一方

観察された。

) or amlodipihemic effects

pressed as me

作用

た心拍数と平

ジピンの 1 m

ニジピンの

mg/kg投与

は投与 4 時

で投与 4時間

ついて有意な

与群の投与

与 4時間以降

方、アムロジ

ine (B) on s were exameans ± SEM

平均血圧の

mg/kg投与

3 mg/kg投

与群では全

時間の時点

間後に有意

な降圧が認

1時間後に

降、心拍数

ジピン 10 m

mined

の変化

与群で

投与群

全ての

点が最

意な降

認めら

に有意

数は減

mg/kg

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の投

は 10

Figurrate, meas(n=10

AVP注入

投与により用

0 mg/kgの

re 16. Effectmean bloodured at 1, 4,0-12). * P <

入前の麻酔下

用量依存的

投与 4およ

ts of single od pressure a, 8 and 12 h0.05, ** P <

下において

的かつ持続的

よび 8時間

oral administand rate preshr after drug

0.01 vs. veh

- 58 -

て、RPPはア

的に減少し

後で有意に

tration of azssure producadministrati

hicle.

アゼルニジ

した。一方

に減少した

zelnidipine (Act (RPP) in ions. Data ar

ジピンの 3お

、アムロジ

A) or amlodirats. These

re expressed

および 10 m

ジピン投与

ipine (B) one parameters

as means ±

mg/kg

与群で

n heart were

± SEM

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- 59 -

3.考察

アゼルニジピンの in vivoにおける心筋虚血抑制作用をラットAVP誘発心筋

虚血モデルで評価した。AVP は強力な血管収縮物質で、血管平滑筋細胞のバソ

プレッシン受容体に結合して、電位依存性カルシウムチャネルを介して細胞外

カルシウムイオンの流入を誘導し、血管収縮を誘発する。AVP を静脈注入する

と血圧が上昇し、引き続き心電図上 ST部が下降した。AVPは血圧上昇による心

臓に対する過度の後負荷上昇により酸素需要を増加し、一方シビアな冠動脈の

収縮により心臓への血液供給を減少させる。その結果、心内膜側の虚血、ある

いは非貫壁性虚血が誘導され、体表面心電図 ECG の ST 部の下降を生じると考

えられている(68)。

AVP 誘発ラット狭心症モデルにおいて、アゼルニジピン、アムロジピンと

もに抗心筋虚血作用は 12時間以上(アゼルニジピンの 3及び 10 mg/kg、アムロ

ジピンの 10 mg/kg投与時)と非常に持続的であった。アゼルニジピンの 1及び

3 mg/kgの抑制効果はそれぞれアムロジピンの 3及び 10 mg/kgの効果に相当し、

本実験においてアゼルニジピンの抗心筋虚血作用はアムロジピンよりも投与量

ベースで比較すると強力であることが示された。

アゼルニジピンは、降圧作用の減少が認められない 1mg/kgの用量において

も、心電図 ST下降を抑制した。従って、本モデルにおけるアゼルニジピンの抗

心筋虚血作用の主要な薬効のメカニズムは冠動脈拡張作用による血流供給の改

善作用によることが示唆された。アゼルニジピンの麻酔イヌの各種血流量に対

する作用を検討した試験において、腎動脈血流や大腿動脈血流に影響が認めら

れない用量で、冠動脈及び頸動脈の血流量を増加させることが観察されており、

アゼルニジピンは冠血管に対する血管拡張作用がその他の血管床と比較して強

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- 60 -

力であることが示唆されている(23)。アムロジピン投与群では、有意な心電図

ST下降と降圧作用がほぼ完全に一致しており、冠動脈により選択的な血流改善

効果があるのかどうかは明らかでなかった。

本研究において、アゼルニジピン投与群では心拍数が有意に減少した。心

拍数減少作用が認められるのは降圧作用よりもより高用量を投与した場合であ

った。また、アゼルニジピンの降圧作用は投与 4 時間後をピークとするが、心

拍数は投与 4時間の時点よりも投与 12時間の時点の方が減少しており、薬効の

発現速度に関して相関は認められなかった。心筋酸素需要の指標である Rate

Pressure Product(RPP)を算出したところ、アゼルニジピン投与群では RPPは顕

著かつ持続的に減少し、アゼルニジピンの抗心筋虚血作用の効力、及び持続性

のプロファイルと非常に類似していた。アゼルニジピンの 10 mg/kg投与群では、

投与 12時間後において平均血圧は回復傾向にあるものの、ほぼ完全に心電図 ST

下降を抑制しており、アゼルニジピンの持続的な抗虚血作用には、心拍数減少

に基づく心筋酸素需要の減少が寄与している可能性が考えられた。一方、アム

ロジピン投与群では、RPP の減少はアムロジピンの降圧作用が顕著に認められ

た時点のみ観察された。従って本試験において、アムロジピンの抗心筋虚血作

用に心筋酸素需要の減少は寄与せず、冠血管の収縮抑制作用が主たる薬効であ

ると考えられた。

心筋酸素需要を決定する因子は圧仕事量、心拍数、心筋の収縮性とされる。

心拍数の減少は心筋酸素需要が減少し、さらに心拍数の減少は心臓の拡張期の

時間が長くなるため、冠動脈血流量の増加が見込まれるため、血液供給の面か

らも心保護的に働くことが期待される。心拍数を減少させるカルシウム拮抗薬

には、ベンゾジアゼピン系およびフェニルアルキルアミン系の薬剤がある。し

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- 61 -

かし、これらの薬剤は心臓に対して陰性変力作用を有するため、心不全のよう

な心機能が低下している患者には推奨されない(69,70)。そこで、心拍数の減少が

狭心症の治療にどのような影響を及ぼすかについて、Ifチャネル阻害薬であるイ

バブラジンの臨床試験で治療効果が検討されている。狭心症患者を対象とした

イバブラジンとアムロジピンの比較臨床試験において、イバブラジンは心拍数

減少作用に基づく心筋酸素需要減少効果により、アムロジピンに匹敵する抗心

筋虚血作用を示した(71)。イバブラジンの臨床試験では心拍数を 10 拍余り減少

させていた。アゼルニジピンの場合、臨床においてはそれほど減少していない

ため、実際の心筋酸素需要減少効果は弱いかもしれない。本試験系において、

アゼルニジピンの心筋酸素需要減少効果がどの程度、薬効に寄与したのかは不

明である。しかし臨床においては、他の DHP系カルシウム拮抗薬と比較した場

合、心拍数減少効果を有しているアゼルニジピンの方が、少なくとも心筋酸素

需要をより増加させることなく、優れた心筋保護作用を発揮することが期待さ

れる。

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- 62 -

4.小括

1)アゼルニジピンはラット AVP誘発狭心症モデルにおいて、主として冠攣縮

抑制作用により抗虚血作用を示し、その作用はアムロジピンよりも強力で、

持続性はアムロジピンに匹敵した。

2)アゼルニジピンは心拍数減少作用により強力な心筋酸素需要減少作用を有

することが示唆された。

3)アゼルニジピンの抗心筋虚血作用の持続性には心筋酸素需要減少作用の関

与が推察された。

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- 63 -

第 5 章 ブタ摘出冠動脈における、アゼルニジピン及びアムロジピ

ンによるカルシウム誘発およびセロトニン誘発血管収縮抑制作用

AVP 誘発ラット狭心症モデルにおいて、アゼルニジピンとアムロジピンは

持続的な抗心筋虚血作用を示したが、それは強力かつ持続的な血管拡張作用に

基づく、心臓への血液供給の改善が主要な薬効と考えられる。そこで本章では、

ブタ心臓より摘出した冠動脈血管を用いて、アゼルニジピンとアムロジピンの

血管収縮抑制作用の効力と持続性を比較することで、両薬剤の冠血管に対する

作用の差異を明らかにすることを目的とした。In vivo 狭心症モデルはラットを

用いて評価していることから、本章においても同じ種の動物を用いて in vitroの

検証実験が望ましかったが、実際にラットの冠動脈を用いた評価系や、反対に

ブタの狭心症モデルを使用することは非常に難しい。ブタの冠動脈血管の生理

反応はヒトのそれに近く、前臨床実験のツールとして非常に有用であることが

報告されている(72)。そこでヒトにおける効果を予測するためにも、我々はブタ

の冠動脈を使用することとした。

本実験では血管収縮刺激として、塩化カルシウムとセロトニンを使用した。

血管平滑筋の電位依存性 L 型カルシウムチャネルの開口そのものに対する薬物

の作用を比較するため、高カリウム栄養液により細胞膜を脱分極の状態にし、

そこに塩化カルシウムを添加して誘発した血管収縮に対するアゼルニジピンと

アムロジピンの作用を検討した。一方、セロトニンは受容体介在型カルシウム

チャネルの開口によって血管収縮を惹起する。セロトニンはブタの冠動脈攣縮

モデルにおいて冠攣縮誘発刺激薬として用いられているほか(73)、臨床において

は異型狭心症を含め、冠動脈収縮の誘発物質として虚血性心疾患の病態への関

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- 64 -

与が知られている(74)。本実験ではマグヌス法を用いて、まず、ブタの摘出冠動

脈のカルシウム誘発収縮反応に対するアゼルニジピンとアムロジピンの収縮抑

制作用のタイムコースを検討した。次に、両薬剤のセロトニンおよびカルシウ

ム誘発収縮抑制作用の効力を比較した。さらに、アゼルニジピンの血管組織に

対する親和性について検討するため、アゼルニジピンとアムロジピンを摘出血

管に短時間暴露し、栄養液中に薬剤が存在しない条件下でカルシウム誘発血管

収縮反応を観察した。

1.実験方法

1-1.使用組織と使用薬物

ブタの心臓は東京芝浦臓器㈱より屠殺された日に購入して実験に用いた。

ブタ心臓は混合ガスを通気した栄養液に浸し、氷冷下にて第一三共の実験室に

運搬した。

アゼルニジピンは第一三共株式会社で合成したものを使用した。ベシル酸

アムロジピン(以下、アムロジピン)は市販の錠剤から第一三共株式会社にて

抽出したものを使用した。Dimethyl sulfoxide(DMSO)、bovine serum albumin(BSA)

セロトニンおよび塩化カルシウム(以上、Sigma Chemical Co.)、U-46619(Cayman

chemical Co)およびブラジキニン(ペプチド研究所)は市販のものを使用した。

アゼルニジピンとアムロジピンはDMSOに溶解後、蒸留水で希釈して使用した。

栄養液の組成 (mM)

Krebs-Henseleit (KH)液: NaCl, 119.8 KCl, 4.7 CaCl2, 2.5 MgSO4, 1.2 KH2PO4, 1.2

NaHCO3, 25.0 D(+)-glucose, 5.6

80K+ KH液: NaCl, 45.7 KCl 78.8 CaCl2, 2.5 MgSO4, 1.2 KH2PO4, 1.2 NaHCO3,

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- 65 -

25.0 D(+)-glucose, 5.6

80K+ Ringer-Locke (RL)液: NaCl, 79.6 KCl, 80.0 CaCl2, 2.2 MgCl2, 2.1 NaHCO3,

6.0 D(+)-glucose, 2.8

Ca2+-free EGTA 80K+ RL液: NaCl, 79.6 KCl, 80.0 MgCl2, 2.1 NaHCO3, 6.0

D(+)-glucose, 2.8 EGTA, 0.1

Ca2+-free 80K+ RL液: NaCl, 79.6 KCl, 80.0 MgCl2, 2.1 NaHCO3, 6.0 D(+)-glucose,

2.8

1-2.摘出血管標本の調整方法

ブタ心臓より左冠動脈を摘出し、幅約 3 mmのリング状標本を 8個作製した。

標本は、37℃に温め、混合ガス(95%O2 + 5% CO2)を通気した KH液 20 mLを満

たしたオルガンバス中に懸垂し、張力トランスデューサ(TB-611T、日本光電工

業)に接続して、ひずみ圧力用アンプ(AP-601G、日本光電工業)を介して等尺性張

力を測定した。標本に休止時張力を 1 g負荷した。張力は熱ペン書きレコーダー

(8K23、日本電気三栄)上に 1 mm/minの速度で記録した。摘出した内皮付きの

血管は、U-46619 (1x10-7 M)によって十分な収縮反応性を示し、ブラジキニン

(1x10-7 M)による弛緩反応を示した標本のみ使用した。測定値は、標本ごとにア

ゼルニジピンとアムロジピン処置前の刺激薬による収縮高を 100%とした相対

値で表した。

1-3.カルシウム拮抗薬の血管収縮抑制作用の評価方法

カルシウム誘発血管収縮抑制作用を観察する実験では、カルシウム塩の析

出を避けるため、PO4 塩を含まない RL 液を栄養液として使用した。標本を

Ca2+-free EGTA 80K+ RL液で 3回、10分間洗浄し、栄養液を Ca2+-free 80K+ RL

液に交換して 10分おきに 2回洗浄してバス内の Ca2+を除去した。最初に、塩化

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- 66 -

カルシウム 10-2 Mによる血管収縮作用を観察した後、アゼルニジピン、アムロ

ジピン(ともに 1x10-8, 3x10-8 M)、または溶媒を処置し、1、3、5時間後に塩化カ

ルシウム収縮反応を観察した。その結果、アゼルニジピン群では処置 5 時間後

に最大抑制作用が観察された。そこで、処置後 5 時間目においてアゼルニジピ

ンとアムロジピンのカルシウム誘発血管収縮抑制作用の効力を比較した。すな

わち、塩化カルシウムの累積投与(1x10-5 - 1x10-2 M)による濃度-収縮反応を観察

した後、アゼルニジピン、アムロジピン(ともに 3x10-9, 1x10-8, 3x10-8 M)、また

は溶媒を投与し、処置 5 時間後における塩化カルシウムの濃度-収縮反応に対

する抑制作用を観察した。塩化カルシウムを累積投与するタイミングは、前の

濃度での収縮がほぼプラトーに達した後に次の濃度の薬液を添加した。

セロトニン誘発血管収縮の実験では栄養液に KH 液を使用し、薬物処置前

のセロトニン累積投与(1x10-9 - 3x10-6 M)による濃度-収縮反応を観察した後、

KH 液で十分洗浄し、アゼルニジピン、アムロジピン (ともに 3x10-9, 1 x10-8,

3x10-8 M)、または溶媒を投与して、処置 5 時間後にセロトニンの濃度-収縮反

応に対する抑制作用を観察した。

各標本の濃度-収縮反応は Hillの式(70)を用いて曲線に近似し、その式から

アゼルニジピンとアムロジピンの各濃度における最大収縮反応(Emax)および

50%有効濃度(EC50)をコントロールの収縮反応に対する比率で表した。

1-4.カルシウム拮抗薬の短時間暴露実験

アゼルニジピンとアムロジピンの短時間暴露実験では、予検討の結果から、

タイムコースを調べた実験よりも 3 倍高い薬物濃度を使用した。まず、薬物処

置前のカルシウム(1x10-2 M)による収縮反応を 15分間観察した後、アゼルニジピ

ン、アムロジピン (ともに 3 x10-8, 1x10-7 M)、または溶媒を処置し、処置 15分後

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- 67 -

にカルシウム誘発収縮反応を 15分間観察した。栄養液を洗浄後、ただちに薬物

をバス内に添加してさらに 10分間薬物を処置し、合計 40分間薬物を暴露した。

その後、血管標本を Ca2+-free EGTA 80K+ RL液および Ca2+-free 80K+ RL液で洗

浄し、薬物を栄養液中から除去後 1、3、5 時間の時点においてカルシウム誘発

収縮反応を観察した。観察終了後には再びカルシウムの除去操作を行った。

次に、薬物の血管組織からの除去を促進する目的で、ウシ血清アルブミ

ン(BSA)を栄養液に添加する実験を行った。この実験では 40分間の薬物の処

置終了後より 1% BSAを含む Ca2+-free 80K+ RL液で血管をインキュベーション

して、上記と同様にして 1、3、5時間後にカルシウム誘発収縮反応を観察した。

1-5.統計解析

すべてのデータは平均値±標準誤差を算出した。濃度-反応関係を観察した

実験では、各群について Emax および EC50を算出し、これらの値について溶媒

処置群と各薬物処置群の間で Dunnett検定を行った。ただし、濃度-反応関係に

対する曲線近似が収束せず、Emax および EC50が推定できなかった例はデータ

解析から除外した。検定の有意水準は両側 5%とした。統計解析には SAS System

Release 8.2(SAS Institute Inc.)を使用した。

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2.結

2-1.

縮反

され

めら

は処

間後

Figto azporciand 3calciu(n=8)

結果

カルシウ

アゼルニジ

反応をほとん

れた(Fig.17

れたが、そ

アムロジピン

処置後 3 及び

後には定常状

gure 17. Timzelnidipine (Ane coronary300 min expum induced ).

ム誘発血管

ジピン (3 x

んど抑制し

7)。アゼル

その時点で

ンは処置 1

び 5 時間後

状態に達す

me courses foA) or amlod arteries. Th

posure to thecontraction

管収縮抑制

x10-9, 1x10

しないが、処

ルニジピンの

で定常状態に

時間後よ

後でほぼ同等

すると考えら

or inhibition dipine (B) athe calcium-ine drugs. Thebefore the d

- 68 -

制作用のタイ

0-8 M)は処置

処置後の時

の処置 5 時

に達したか

り収縮抑制

等であった

られ、アゼ

of calcium-it concentratinduced contre contractile drug treatme

イムコース

置後 1時間

時間経過に

時間後にお

かどうか判断

制作用が観

た。アムロ

ゼルニジピン

induced (10-ions of 1x10ractile resporesponse wa

ent. Data are

間では塩化カ

依存して抑

おいて最大の

断できなか

観察され、そ

ジピンの作

ンとは異な

-2 M) contra0-8 and 3x10onse was meas expressede expressed

カルシウム

抑制作用が

の抑制作用

かった。

その作用の

作用は処置

なっていた。

action by exp0-8 M in is

easured at 60d as percentaas means ±

ムの収

が観察

用が認

の程度

置 1 時

posure olated 0, 180 age of

SEM

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2-2.

依存

抑制

はデ

かっ

有意

誘発

され

んど

Figurat cocalciucontrtreatm

カルシウ

アゼルニジ

存的にカルシ

制作用が強力

データの解析

た(Fig.18

アゼルニジ

意に減少し、

発血管収縮を

れなかった。

ど同等である

re 18. Calciuoncentrationum-induced ractile responment. Data ar

ムおよびセ

ジピン(3 x1

シウム誘発

力なため H

析から除外

8)。

ジピンとア

EC50は有

を濃度依存

。アゼルニ

ると考えら

um-induced cs of 1x10-

contractile rnse was exprre expressed

セロトニン

10-9 - 3x10-

発血管収縮を

Hill の式に

外し、デー

アムロジピン

有意に増加し

存的に抑制し

ニジピンとア

れた。

contractions 8 and 3x10response waessed as perc as means ±

- 69 -

ン誘発収縮抑

-8 M)とアム

を抑制した

に近似できな

タの例数が

ンともにカ

した(Tabl

し、Emaxを

アムロジピ

treated with0-8 M in ias measuredcentage of caSEM (n=8).

抑制作用

ムロジピン(

た。カルシウ

ない例があ

が足りない

カルシウム誘

le 3)。一方

を有意に減

ピンによる

h azelnidipinisolated por

d at 300 minalcium induc

(3 x10-9 - 3

ウム拮抗薬

あった。その

場合は統計

誘発刺激に

方、両薬剤と

減少させたが

血管収縮抑

e (left) and arcine coronan exposure tced contractio

3x10-8 M)は

薬の高用量で

のため、こ

計解析を行

による Ema

ともセロト

が、EC50は

抑制効果は

amlodipine (ary arteries.to the drugson before the

は濃度

では、

これら

行わな

ax を

トニン

は影響

はほと

(right) . The s. The e drug

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Tablethe in

The serotoData EC50Dunna) P numb

2-3.

シウ

な変

発血

アム

ムロ

5時間

ピン

た。

e 3. Emax anncubations w

contractile ronin or 10-2 Mare express

0 values werenett test. value was n

ber of experim

カルシウ

Fig.19にア

ム 10-2 M

変化を示した

血管収縮は処

ムロジピンを

ジピン処置

間目ではほ

ン(3x10-8, 1x

しかしアゼ

nd EC50 valuwith azelnidip

response is M calcium ced as meanse determined

not determinments.

ム拮抗薬を

アゼルニジ

による血管

た。アムロ

処置 15分後

を栄養液か

置下と同程

ほぼ完全に

x10-7 M)処

ゼルニジピ

ues of serotopine and aml

expressed ahloride befors ± SEM. n:d by curve fit

ned, as the D

を短時間処

ピンとアム

管収縮反応

ジピン(3x

後で有意に

から除去 1

程度に抑制さ

回復してい

処置 15分後

ピンを 40分

- 70 -

onin and calcodipine isola

as a percentre the drug tr: the numbeitting. *P<0.0

Dunnett test

処置した際の

ムロジピン

応、および薬

x10-8, 1x10-7

に抑制された

時間目に行

されていた

いた。アムロ

後のカルシウ

分間処置後、

cium-inducedated porcine

tage of the reatment. r of experim05 as compa

was not co

の作用

ンの 40分間

薬物除去後

7 M)処置群

た(それぞ

行ったカル

たが、3時間

ロジピンと

ウム誘発血

栄養液中

d contractioncoronary art

response ind

ments in whired with the

nducted bec

間処置下にお

後の血管収縮

群において、

ぞれ 74 3 %

ルシウム誘発

間目には回復

とは対照的に

血管収縮は抑

中から除去後

ns at 300 minteries

duced by 1

ich the Emavehicle, usin

cause of the

おける塩化

縮反応の経

、カルシウ

%, 54 4 %

発血管収縮

復し、洗浄

に、アゼル

抑制されな

後 1時間目

n after

0-6 M

ax and ng the

small

化カル

経時的

ウム誘

%)。

縮はア

浄開始

ルニジ

なかっ

では

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カルシウム誘発血管収縮の有意な抑制が観察された(それぞれ 79 5 %, 62

5 %)。この収縮抑制作用は洗浄後の時間が長くなるほど増強され洗浄 5 時間目

ではそれぞれ 50 5 %, 25 5 %であった。洗浄 5時間後において、カルシウム

誘発血管収縮反応の抑制が定常状態に達しているか不明であった。

次に、カルシウム拮抗薬を洗浄後、BSA を含む栄養液を用いて同様にカル

シウム誘発血管収縮を観察すると、アゼルニジピン短時間処置群では血管収縮

抑制作用はほぼプラトーとなり、持続的な減弱は観察されなかった。一方、ア

ムロジピン短時間処置群では洗浄後、速やかに血管収縮抑制作用が消失するこ

とが示され、BSA による薬物のクリアランス効果はアムロジピンにおいても同

様に認められるものであった。

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Figurconcecoronwashwith was mremocontr

re 19. Effeentrations ofnary arterieshed repeatedl

(lower panemeasured beval of the dr

raction before

ects of temf 3x10-8 ans. After a 40ly with drug-el) 1% bovinefore and durugs. The cone the drug tre

mporary expd 1x10-7 M0-min expos- and calciumne serum alburing the exntractile respeatment. Dat

- 72 -

posure to aM on calciumsure to azelnm-free Ringebumin (BSAxposure (15 ponse was exta are expres

azelnidipine m-induced conidipine or er-Locke solu

A). Calcium-imin), and a

xpressed as psed as mean

(A) or amontraction inamlodipine, ution withouinduced (10-at 60, 180 apercentage os ± SEM (n=

mlodipine (Bn isolated po

the vesselsut (upper pan-2 M) contr

and 300 minof calcium in=4-5).

B) at orcine

were nel) or action

n after nduced

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- 73 -

3.考察

ブタ摘出冠動脈血管を用いて、アゼルニジピンとアムロジピンによる冠動

脈血管の収縮抑制作用を比較、検討した。血管収縮を誘発する手段として塩化

カルシウムとセロトニンによる、機序の異なる刺激方法を用いた。高カリウム

栄養液で脱分極させた血管に対する塩化カルシウム誘発の血管収縮反応は、電

位依存性カルシウムチャネルの活性化に依存するため、薬物の電位依存性カル

シウムチャネル拮抗作用を機能的に評価することが出来る。一方、セロトニン

誘発の冠血管収縮は、受容体作動性カルシウムチャネルの活性化だけでなく、

受容体からイノシトール三リン酸を介した細胞内カルシウム貯蔵部位から遊離

されたカルシウムも関与する。セロトニンは血小板より遊離される血管作動物

質であり、冠動脈疾患の患者や狭心症患者に投与すると冠攣縮を誘発すること

が報告されている(75,76)。

本実験において、アゼルニジピンとアムロジピンは処置後 5 時間において

同等なカルシウム誘発収縮抑制およびセロトニン誘発収縮抑制を示したことか

ら、摘出血管レベルにおける両薬剤の血管拡張作用の効力はほぼ同等であるこ

とが示唆された。しかしながら、アゼルニジピンの血管収縮抑制作用の発現は

アムロジピンのそれとタイムコースが全く異なっていた。アムロジピンは処置

後 1時間から収縮抑制作用が観察され、ほぼ最大薬効に近い作用に達していた。

一方、アゼルニジピンは作用発現が非常に緩やかで徐々に収縮抑制作用が発揮

し、処置後 5 時間においてアムロジピンと同等の収縮抑制効果が観察された。

実験系の限界でこれ以上の観察は難しかったが、5時間後において定常状態に到

達していない可能性も考えられた。アゼルニジピンとアムロジピンをブタ摘出

冠動脈血管に短時間暴露した後、栄養液中から除去すると、アムロジピンは収

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縮抑制作用がインキュベーション時間の経過とともに減弱するのに対し、アゼ

ルニジピンでは時間経過とともに抑制作用の増強が観察された。従って、薬物

除去後も血管内に取込まれたアゼルニジピンがそのかさ高い構造のためにゆっ

くりと組織内を移動し、標的のチャネルに到達して抑制作用を発揮したと考え

られる。以上の結果から、アゼルニジピンの降圧作用が緩徐であるのは、血管

レベルで作用発現が遅いことが一つの理由であることが推察された。

本実験におけるアゼルニジピンとアムロジピンの作用持続の差は血管組織

内の滞留性の差であり、その差はそれぞれの化合物の脂溶性に由来すると推測

される(23)。事実、血管組織から薬物の離脱を促進するため BSA を栄養液中に

加えた場合、アゼルニジピンによる抑制効果は減弱しアムロジピンの作用消失

はさらに加速された。臨床試験または非臨床実験において、アゼルニジピンと

アムロジピンで降圧作用の持続時間はほぼ変わらないことが観察されているが、

血中濃度半減期は、ヒトではそれぞれ約 9 時間および約 39 時間(16)、ラットで

はそれぞれ3.8時間および8.2時間であり(23,77)、薬効と薬物動態に乖離がある。

すなわち、アムロジピンでは薬効の半減期と血中濃度半減期はほぼ一致するが、

アゼルニジピンでは薬効の半減期が血中濃度半減期よりも長いことを示唆して

いる。このような性質の違いは、アゼルニジピンは他のカルシウム拮抗薬と比

較して疎水性が高いため、血管平滑筋に対して非常に高親和性であることに由

来すると考えられた。アゼルニジピンのこの特長が持続的かつ強力な薬効に寄

与していると考えられる。

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4.小括

1) ブタ摘出冠動脈血管標本において、カルシウム誘発血管収縮反応に対して

アゼルニジピンによる収縮抑制作用の発現が非常に緩徐であることが示さ

れた。

2) アゼルニジピンとアムロジピンのカルシウム誘発およびセロトニン誘発冠

動脈収縮抑制効果はほぼ同等であることが示された。

3) アゼルニジピンを血管に短時間処置した場合、栄養液中から消失した後も

持続的かつ強力な血管収縮抑制作用を発揮したことから、アムロジピンと

比較して血管組織に対する親和性が非常に高いことが示唆された。アゼル

ニジピンのこのような特長が持続的な薬効に寄与していると推察された。

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- 76 -

総 括

本研究は、DHP系カルシウム拮抗薬であるアゼルニジピンが、高血圧患者に

投与したところ心拍数の減少が観察されたという知見に基づき、非臨床試験に

おいてその心拍数減少作用のメカニズムを解明することを目的とした。また、

アゼルニジピンは高血圧症治療薬として用いられているが、抗狭心症薬として

の有効性について、その特長とあわせて対照薬であるアムロジピンと比較、検

討した。

アゼルニジピンは、麻酔下のイヌに累積静脈内投与した実験において、ア

ムロジピンやニフェジピンと異なり反射性頻脈を誘発することなく、心拍数を

減少させ易いというユニークな作用を有することが示された。アゼルニジピン

の降圧作用の発現はアムロジピンよりも緩徐であり、そのため降圧に伴う反射

性頻脈を誘発し難いことが示唆された。薬理学的に自律神経系を遮断した条件

下では、アムロジピンも心拍数を減少させる作用が観察されたが、同じ降圧作

用を示す際の効果を比較すると、アゼルニジピンはより強力な心拍数減少作用

を有することが示唆された。また、洞房結節動脈の灌流標本において、洞房結

節に対する直接の心拍数減少作用を観察すると、アゼルニジピンはアムロジピ

ンよりも 5倍以上強力な作用を有することが示された。さらに、麻酔犬の頸動

脈洞定圧灌流標本を用いた評価系において、アゼルニジピンは頸動脈洞の圧受

容体反射経路に対して影響を及ぼすことは無いことが示された。従って、アゼ

ルニジピンの心拍数減少作用機序として、本来の陰性変時作用が強力であるこ

と、そして反射性頻脈を惹起し難いことにより、高血圧患者に投与されると、

心拍数を減少させると考えられた。

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アゼルニジピンはラット狭心症モデルにおいて、アムロジピンに優るとも

劣らない強力かつ持続的な抗心筋虚血作用を有することが示された。アゼルニ

ジピンは、アムロジピンよりも強力かつ持続的に心筋酸素需要を減少させてお

り、この効果が抗心筋虚血作用に寄与したと推察された。

ブタ摘出冠動脈血管の実験から、アゼルニジピンの血管収縮抑制作用の発

現が非常に緩徐であることが示され、それ故、アゼルニジピンの降圧作用の発

現も緩徐であることが示唆された。さらに摘出血管の実験により、血管組織に

対する親和性が非常に高いことが示された。この特徴によりアゼルニジピンは、

持続的な抗心筋虚血作用と降圧作用を発揮することが示唆された。

以上の結果から、アゼルニジピンは反射性頻脈を誘発することなく、むし

ろ心拍数を減少させる作用を有する長時間作用型の降圧薬として、心保護効果

の高い降圧薬であることが示唆された。また、アムロジピンに優るとも劣らな

い抗心筋虚血作用が示され、アゼルニジピンは心拍数減少に基づく強力な心筋

酸素需要減少作用を有しており、他のカルシウム拮抗薬に無い特長を有するこ

とが示唆された。

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- 78 -

謝 辞

本論文の作成および発表にあたり、有益なる御助言と温かい御指導を賜り

ました 千葉大学大学院薬学研究院 高齢者薬剤学研究室 上野光一 教授に心よ

り厚く御礼申し上げます。

本研究は、第一三共株式会社研究開発本部 研究開発企画部 小池博之 博士、

同 研究開発業務部 寄兼良輔 博士、および昭和伊南総合病院前院長 千葉茂俊

博士の御懇篤なる御指導の下に行なわれ、完成をみたものであります。ここに

深く感謝の意を表します。

本研究の機会を賜り過分の御便宜と御配慮を承りました第一三共株式会社

研究開発本部 研究開発企画部長 赤羽浩一 博士、同・研究担当部長 大槻昌彦

博士、同・研究開発企画部 芝野 俊郎 博士、同・研究開発企画部 西田健一 博

士、同・生物医学研究所主席研究員 佐田登志夫 博士に厚く御礼申し上げます。

また本研究の遂行にあたり、共同研究者としてご協力いただいた第一三共

株式会社プロジェクト推進部 松岡優子さん、並びに第一三共 RDノバーレ株式

会社 松尾珠代さんに心より感謝申し上げます。

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主論文目録

本学位論文内容は下記の発表論文による。

1. Fujisawa M, Yorikane R, Matsuoka Y, Koike H, Ueno K. The pharmacological

differences in anti-anginal effects of long-lasting calcium channel blockers:

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2. Fujisawa M, Yorikane R, Chiba S, Koike H. Chronotropic effects of azelnidipine, a

slow- and long-acting dihydropyridine-type calcium channel blocker, in anesthetized

dogs: a comparison with amlodipine. J. Cardiovasc. Pharmacol. 53(4):325-32 (2009)

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主査および副査名

本学位論文の審査は千葉大学大学院薬学研究院で指名された下記の審査委員に

より行われた。

主査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 医学博士 高野 博之

副査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 村山 俊彦

副査 千葉大学大学院教授(医学研究院) 薬学博士 石井 伊都子