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平成 28 年版 内藤ゼミ活動報告書

内藤ゼミ活動報告書 · 2017-07-31 · 内藤ゼミ 平成28 年活動記録に寄せて 3 の各氏に調査のご協力とご助言を頂戴しました。関係者の皆様に心から感謝申し上げま

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平成 28 年版

内藤ゼミ活動報告書

内藤ゼミ 平成 28 年活動記録に寄せて

2

内藤ゼミ 平成 28 年活動記録に寄せて

北海学園大学経営学部

教授 内藤 永

ふと気がつくと私たちの生活においてインターネットの利用

は日常となり、札幌の繁華街では外国人があふれています。学

生たちが海外に足を運ぶのも珍しいことではなくなりました。

グローバル化の影響が日常となったのは、今の学生たちが高校

生になった辺りではないでしょうか。わずか数年で社会は激変

しています。そして、この変化の波はもう止めることができま

せん。

高学歴を持ち、大きな組織に属せば安泰な人生を送れる、と

いう時代は既に終わりました。個人的な能力を磨くこと、そし

て、その能力を活かすためにネットワークに参画していくこと

が求められます。そのためには、能力を磨き続ける日々の鍛錬、そして、他者を理解する

コミュニケーション能力の養成が必須です。

北海学園大学経営学部内藤ゼミは、これらの時代の要請に応えるため、グローバルな情

報を毎日読む習慣を身につけるための「メールマガジン」プロジェクト、知的能力を磨く

ための「読書」(平成 28年度は「リバース・イノベーション」の日本語・英語による読

破)、そして、海外渡航をした上での調査活動を続けてきました。

学生たちに求め続けたのは、日々自らの頭で考え、行動し、その成果を可視化すること

です。「今すぐやれ!」をゼミの基本方針とし、行動に結び付かない浮ついた発言は徹底

的に排除してきました。強引とも思えるこの指導方針は、北海道では奇異に映るかもしれ

ませんが、ハングリーに学び続けるアジアの学生と比べれば、このゼミでやっていること

はまだまだ生ぬるいものです。

ここに学生たちの成果物を記録としてまとめました。振り返って見た時に、調査の手

法、分析方法、解釈、将来展望、そして、日本語力そのすべてが「まだまだだった」と思

えるほど成長して欲しいと思います。

北広島市からは平成 28年度学生地域活動事業として 10万円の助成金を頂戴し、ベトナ

ム調査が実現しました。特に、北広島市企画財政部政策推進室企画課主任の杉原史惟氏、

同主査の高嶋真一氏には懇切丁寧なご指導をいただきました。北広島市のスイーツ店「安

寿真」の代表取締役である東隆史氏には、調査内容の決定と実施の際に多大なるご協力を

いただきました。また、ベトナムのダナン市では、NOK ASIA FOODS COMPANY CEOの中村圭

佑氏、ホーチミン市では孤児のトレーニングレストランを経営する Huong Lai の白井尋氏

北海学園大学経営学部

教授 内藤 永

内藤ゼミ 平成 28 年活動記録に寄せて

3

の各氏に調査のご協力とご助言を頂戴しました。関係者の皆様に心から感謝申し上げま

す。

このような取り組みが可能となったのは、学生たちの頑張りはもちろんのこと、学生た

ちの親御さんお一人お一人のご理解と援助によるものです。心から御礼申し上げます。あ

りがとうございました。

平成 29年は更なる成長を目指して学生たちと共に努力して参ります。関係者の皆様に

おかれましては引き続きのご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2016年 師走

29年ぶりの大雪の札幌にて

内藤研究室 ゼミ長代行あいさつ

4

平成 28年 12月 13日(火)

内藤研究室 ゼミ長代行あいさつ

内藤ゼミ ゼミ長代行 矢崎 達也

世界的な競争と共存が起こっている現代社会において、日本

国内で通用する人材に留まることなく、グローバル社会でも活

躍できる人材となることが、「グローバル人材の育成」を最終目

的としている内藤研究室(以下、内藤ゼミ)の学生に求められて

います。また、海外で活躍するには語学力だけでは通用しませ

ん。そのため内藤ゼミでは語学力だけでなく、情報収集力、読解

力をはじめとする個人の能力を向上させ、多様性豊かなグロー

バル社会でも唯一無二の存在になるべく努力を重ねています。

私たち内藤ゼミ生は、目まぐるしい変化を遂げ続けている現

代社会においても通用する人材となるべく以下の取り組みを行

ってきました。

1. ニュース記事の共有、記事まとめによる情報収集力向上

2. 読書による読解力の向上

3. 英文読解による語学力向上

この 3つの取り組みを継続して行うことで、個人の能力の向上を図っています。

また、個人の能力向上だけでなく、内藤ゼミとして成長を図るために、スイーツプロジェ

クトと呼称されるプロジェクトにも取り組んでいます。目的としては、北海道のスイーツを

香港のスイーツ店に運搬し、販売することであり、その前段階として台湾、ベトナムにおい

て市場調査を実施しました。

北広島市からは平成 28 年度学生地域活動事業として 10 万円を頂戴し、北広島市企画財

政部政策推進室企画課主任の杉原史惟様、同主査の高島真一様にはご指導とご鞭撻を頂き、

北広島市スイーツ店安寿真、代表取締役東隆史様にはベトナムスイーツ調査に当たって多

大なるご協力を頂きました。内藤ゼミ生を代表して心から感謝を申し上げます。

内藤ゼミ生は、これからもグローバル人材に一歩でも近づくべく、日々邁進していきます。

その道のりは決して容易ではありませんが、家族の助けなしでは海外に足を運ぶことはお

ろか、勉強することすらできません。また、内藤ゼミ発足から私たちに丁寧なご指導を頂い

ています、内藤永教授には心からの感謝の気持ちを申し上げるとともに、これからもご助力

のほどを頂きたく思います。私たちは、内藤永教授をはじめとする様々な方の指導とご協力

のもとに活動できていることを忘れずに、さらなる成長を目指していきますので、ご理解と

ご協力をよろしくお願いします。

内藤ゼミ ゼミ長代行

矢崎 達也

内藤研究室メンバー紹介

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内藤研究室メンバー紹介

北海学園大学経営学部内藤研究室の学生は、グローバルビジネス人材となることを目標に

日々活動している。以下、内藤研究室で活動を行うメンバーである。

教授 北海学園大学経営学部 内藤 永

連絡先 [email protected]

【メンバー】

北海学園大学経営学部経営学科 第 2学年 片原 悠貴

同 上 第 2学年 瀬川 和輝

同 上 第 2学年 高石 彩華

同 上 第 2学年 永井 沙采

同 上 第 2学年 長谷川 修哉

同 上 第 2学年 山田 雄基

北海学園大学経営学部経営情報学科 第 2学年 小池 一成

同 上 第 2学年 作家 世成

同 上 第 2学年 鈴木 優

同 上 第 2学年 相馬 菜摘

同 上 第 2学年 能戸 美由

同 上 第 2学年 矢崎 達也

写真 1 内藤研究室メンバー

目次

6

目次

内藤ゼミ 平成 28年活動記録に寄せて .............................................................................. 2

内藤研究室 ゼミ長代行あいさつ ..................................................................................... 4

内藤研究室メンバー紹介.................................................................................................... 5

目次 ................................................................................................................................... 6

第1章 台湾スイーツ調査結果 ......................................................................................... 7

Ⅰ.調査班員紹介............................................................................................................ 7

Ⅱ.概要 .......................................................................................................................... 9

Ⅲ.実施方法 ................................................................................................................... 9

Ⅳ.店舗情報 ................................................................................................................. 10

Ⅴ.顧客情報 ................................................................................................................. 12

Ⅵ.商品情報 ................................................................................................................. 14

Ⅶ.まとめ・結論.......................................................................................................... 17

Ⅷ.展望 ........................................................................................................................ 17

Ⅸ.参考 ........................................................................................................................ 18

第2章 ベトナムスイーツ調査結果 ................................................................................. 20

Ⅰ.調査班員紹介.......................................................................................................... 20

Ⅱ.概要 ........................................................................................................................ 21

Ⅲ.アンケートの実施方法 ........................................................................................... 22

Ⅳ.アンケート実施結果 ............................................................................................... 24

Ⅴ.アンケート結果に基づく分析・考察 ..................................................................... 35

Ⅵ.分析・考察結果を基にした新商品の提案 .............................................................. 37

Ⅶ.分析結果を基にした新規プロジェクトの提案 ...................................................... 41

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ ...................................................................... 42

Ⅰ.メンバー紹介.......................................................................................................... 42

Ⅱ.概要 ........................................................................................................................ 43

Ⅲ.プランの具体的内容 ............................................................................................... 43

Ⅳ.プランの優位性 ...................................................................................................... 44

Ⅴ.実現方法、実行時期、課題 .................................................................................... 46

Ⅵ.市場性 .................................................................................................................... 48

Ⅶ.事業採算・収支予測 ............................................................................................... 50

第1章 台湾スイーツ調査結果

7

第1章 台湾スイーツ調査結果

作成日:平成 28年 12月 6日

作成者:能戸美由・片原悠貴・山田雄基・鈴木優

Ⅰ.調査班員紹介

我々台湾合宿班は平成 28年 5月 13日~5月 16日の 4日間、台湾に赴き、台湾におけるス

イーツ市場の調査を、実際にスイーツ店を訪問し味、価格帯、店舗の雰囲気などに重点を

置き調査を行った。以下、調査メンバーである。

【参加学生】

北海学園大学経営学部経営学科 第 2学年 赤石 紗恵

同 上 第 2学年 片原 悠貴

同 上 第 2学年 長谷川 修哉

同 上 第 2学年 原田 匠

同 上 第 2学年 山田 雄基

北海学園大学経営学部経営情報学科 第 2学年 小池 一成

同 上 第 2学年 作家 世成

同 上 第 2学年 能戸 美由

同 上 第 2学年 矢崎 達也

北海学園大学経営学部経営学科 第 3学年 井上 智惠

引率者 北海学園大学 経営学部 教授 内藤 永

計 11名

写真 2 台湾合宿参加学生

第1章 台湾スイーツ調査結果

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【台湾調査風景】

写真 3 台湾での調査の様子

第1章 台湾スイーツ調査結果

9

Ⅱ.概要

北海学園大学経営学部内藤研究室の学生はグローバルビジネス人材となることを目的に

日々活動している。当研究室では、情報収集力を高めるためにメールマガジンの配信、海外

実績を積むための海外調査、北海道の企業と提携してのスイーツプロジェクトなどの活動

をしている。

その中でスイーツプロジェクトは、国内外でのスイーツ調査を行い、その結果をもとに、

① 北海道の既存のスイーツを香港に運ぶ

② 市場調査を行い、必要に応じて企業と連携して商品開発する

③ その商品が売れた場合にはインターネット販売を行う

という流れを進める計画である。

スイーツを海外に運搬するにあたって、アジア圏に赴きスイーツ調査行い、その結果を分

析、それをもとに企業と提携して香港で商品販売を行うことを考えている。北海学園大学経

営学部内藤研究室には、海外旅行初心者が多く、初めての海外訪問地として安全な場所であ

るとともに、中華系の人が多く住んでいるという点で、香港と類似している台湾に赴き、①

の活動を行う手始めとして、市場調査を行うこととした。

我々北海学園大学経営学部内藤研究室の学生は、北海道のスイーツを香港に運搬するた

めには、アジア圏で販売されているスイーツにどのような特徴があるのかを調査しに行く

必要があると考えた。また、北海学園大学経営学部内藤研究室の最終目標の達成手段として、

香港に北海道のスイーツを運搬し、Web販売することが挙げられる。これを台湾のスイーツ

市場調査の目的とする。

市場調査結果から台湾の特徴的な商品としてかき氷があげられ、そのかき氷には豆類や

黒蜜を使用しており、自然な甘さを重視していることが分かった。北海道のスイーツを輸出

する場合、輸送費、原材料費、そして現地での値段を考慮すると、大衆向けスイーツ店をタ

ーゲットとした場合に得られる利益が見込めないため、富裕層向けスイーツ店をターゲッ

トとする。海外に持っていくスイーツは日本よりも素材の味を生かした商品のほうが現地

の嗜好に合う。

Ⅲ.実施方法

北海学園大学経営学部内藤研究室台湾調査チームは、調査員全 11名を 3 班に分けて平成

28 年 5 月 13 日~5 月 15 日にかけて台湾台北市中心地にてスイーツ市場調査を行った。市

場調査は、調査内容に重なりが起きないよう Web上で調査した店舗(スイーツのジャンルや

店舗所在地域が偏らないよう目星をつけた)に出向き、自分たちで準備した台湾スイーツ情

報記入シート(別紙参照)を用いて、調査班の意見をまとめた。その調査シートは店舗情報、

商品情報、顧客情報の 3つの観点に着目したものである。調査する商品はその店の看板商品

第1章 台湾スイーツ調査結果

10

となるものを中心に調査した。

Ⅳ.店舗情報

3 つの調査班は事前に Web で調べた富裕層向けや大衆向けスイーツ店の合計 8 店舗を訪

れ、ジャンル、営業時間、席数の 3つの観点に着目し、調査を行った。以下、その結果であ

る。

表 1 調査店舗一覧

店舗名 ジャンル 営業時間 席数

Goman Mango かき氷 11:30~22:00 カウンタ 5席

テーブル 22席

和茗 和風スイーツ 13:00~22:00 92席

Dazzling Café

Pink

パンケーキ/ケーキ

その他軽食

日-木曜日:12:30~23:00

金・土曜日:12:00~24:00 60席

九龍豆花蓮子

専売店 豆を使ったスイーツ 11:00~23:00 約 26席

双連○仔湯 かき氷 10:30~22:00 二階建て

60×2 120席

Mango Chacha かき氷 4月-11 月:11:00~23:00

12月-3 月:13:00~23:00 22席

Sweet tea 高級スイーツ 11:00~21:30 約 60席

思慕昔 かき氷

スムージー

1F:10:00~23:00

2F:12:00~21:00 約 70席

【ジャンル】

台湾ではかき氷を扱う店舗が多い。かき氷の次に豆類を扱ったスイーツを提供する店舗

が多く、和風スイーツが目立つ。大衆向けのスイーツ店では、かき氷や豆類といったトッピ

ングが豊富なスイーツを提供している。富裕層向けのスイーツ店では、ショートケーキやパ

ンケーキといった高級スイーツを提供している。

第1章 台湾スイーツ調査結果

11

【営業時間】

昼から夜遅くにかけて営業している店が多い。日本と比較すると、台湾では営業終了時間

が遅いため、仕事帰りの会社員などがゆっくり楽しむことができ、夕食後に家族でスイーツ

店を利用することが出来ると考えられる。

【座席数】

各店舗の大きさに合わせて備え付けられていた。日本と比較すると、台湾では座席を一目

で見渡し、どんな顧客層が来店しているか分かるような開放的な空間になっている。

【その他】

調査店舗に含まれていないが、台湾の中心地、台北のデパートやお土産店では日本の企業

が数多く進出している。例えば、ビアードパパやミスドが挙げられる。日本のスイーツ販売

店舗に比べ、1店舗当たりのスイーツの種類が豊富で、顧客がトッピングを選ぶ選択型、カ

スタマイズ型のスイーツ店舗が多い。

写真 4 富裕層向けスイーツ店 Sweet tea

写真 5 大衆向けスイーツ店 九龍豆

花蓮子専売店

第1章 台湾スイーツ調査結果

12

Ⅴ.顧客情報

台湾では、大きいサイズのスイーツを複数人でシェアし、リーズナブルに食べることがで

きる大衆向けスイーツ店と、1人 1つのスイーツを注文し、スイーツにお金をかけて楽しむ

ことがメインの富裕層向けスイーツ店の 2 種類が存在し、この 2 種類の店舗それぞれで顧

客の滞在時間、年齢層が変わってくる。そこで、この 2つの形態の店舗の共通点とそれぞれ

の特徴についてまとめた。

表 2 2種類のスイーツ店の比較

大衆向けスイーツ店 富裕層向けスイーツ店

スイーツの

注文方法

みんなで 1~数種類のスイーツ

を注文し、シェアする。

みんなで 1~数種類のスイーツを注文し、

シェアする。

1 人 1つのスイーツを注文して食べる。

顧客層 家族連れ、観光客、学生同士な

どが多く訪れる。

女性同士、カップル、観光客、年配の集団

など。中でも女性が多く訪れる。

滞在時間 スイーツを食べ終わったら店

を出る。

会話等を楽しむため、滞在時間が長い。

スイーツの

種類

かき氷や豆系スイーツが多い。 かき氷や豆系だけでなく、ケーキや、パン

ケーキ等もある。

注文の流れ 注文→会計→着席 着席→注文→会計

【スイーツの注文方法】

大衆向けスイーツ店は、1~数種類のスイーツを複数人でシェアするスタイルがメインで

あるが、富裕層向けスイーツ店は、シェアするだけでなく、1人 1つのスイーツ(ショート

ケーキやパンケーキ等の食べきれるサイズのもの)を注文して食べるというスタイルも見

受けられた。日本のスイーツ店では、1人 1つのスイーツを注文するスタイルがメインであ

るため、スタイルの違いが見受けられる。

【顧客層】

大衆向けスイーツ店、富裕層向けスイーツ店も、複数人で訪れることが多い。中でも富裕

層向けスイーツ店は女性客が多く見受けられた。日本のスイーツ店の顧客層と比べてもあ

まり大差ない。

第1章 台湾スイーツ調査結果

13

【滞在時間】

大衆向けスイーツ店は、食事が終わったら店を出る傾向にあり、富裕層向けスイーツ店は

食事が終わった後にも長居し、会話を楽しんでいた。日本でも似たような傾向にある。

【スイーツの種類】

大衆向けスイーツ店では、かき氷や豆類のスイーツが多く提供されている。富裕層向けス

イーツ店はかき氷や豆類スイーツに加え、ショートケーキやパンケーキ等の一人で食べる

ことのできるスイーツも見受けられた。日本のスイーツ店は、豆類スイーツはあまり見られ

ないため、日本と台湾の大きな違いと言える。近年台湾風かき氷店が日本に進出しており、

台湾のかき氷文化を日本が取り入れつつある。

【その他】

注文の方法に関しては、大衆向けスイーツ店は「注文→会計→着席」のスタイルをとって

いる店舗が多い。富裕層向けスイーツ店は「着席→注文→会計」の流れのスイーツ店がメイ

ンである。しかし、ショーケースにケーキを入れて販売するお店などでは、日本のカフェで

よくある「注文→会計→着席」という流れであった。

第1章 台湾スイーツ調査結果

14

Ⅵ.商品情報

調査を行った全 19品目は多岐に渡ったが、その中で情報の多いものと、特徴的であった

かき氷(品)、パンケーキ(品)、あんみつデザート(品)の 3つの商品について、日本と台

湾の比較を行った。

表 3 3商品の内容・価格・味

商品内容 価格 味

かき氷

味付き氷の上に、

フルーツや豆類を

トッピングする。

500~900円

トッピングの甘みが強く、

味がしっかりしている。

パンケーキ

日本と変わらな

い。 900円前後

味は薄いが、トッピングの

甘さとバランスが取れて

いる。

あんみつ

自分で好みの豆を

選んで注文する。

大衆向け:167~330円

富裕層向け:450~800

味は薄いが、トッピングの

甘さとバランスが取れて

いて、さっぱりしている。

【商品内容】

・かき氷

台湾のかき氷は、氷自体に味がついており、それにフルーツをトッピングしたり、味の

アクセントとして、シロップをかけたりすることが多かった。日本は、味のない氷にシ

ロップをかけることで味をつけるため、同じかき氷という商品でも別物である。

・パンケーキ

台湾と日本において大差はなかった。

・あんみつデザート

台湾のあんみつは自分でトッピングを選ぶスタイルが多く、トッピングの中でも豆類の

トッピングが多かった。日本のあんみつは自分でトッピングを選ぶのではなく、トッピ

ングされたものが提供されることが多い。日本もトッピングとして豆(主に小豆など)

があるが、台湾の種類には及ばない。

第1章 台湾スイーツ調査結果

15

【価格】

・かき氷

台湾では複数人でシェアできる量で 1 つ約 500 円~900 円で提供されている。日本では

かき氷はお祭り等で販売されていることが多く、価格帯としては 1 つ 250 円~400 円く

らいで、スイーツ店で販売されている台湾かき氷に類似した商品は 1人用で 500円~700

円程度である。そのため、台湾と日本では一人当たりが負担する費用は日本のほうが多

いと考えることが出来る。

・パンケーキ

価格帯に関しても日本と台湾であまり大差はない。

・あんみつデザート

台湾では、大衆向けスイーツ店、富裕層向けスイーツ店のどちらでも扱われているので、

幅広い価格帯である。大衆向けスイーツ店では複数人でシェアできる量で 167 円~330

円程度、富裕層向けスイーツ店でも同じような量で、450円~800円程度で提供されてい

る。日本では、1人分の量が 400円~700円で提供されているため、日本より台湾のほう

があんみつデザートを食べや水と考えられる。

【味】

・かき氷

日本のものと比べると、氷自体に味が付きシロップはあっさりしている。上にトッピン

グするフルーツの甘みが強いので、シロップや氷の味が薄くても、味がしっかりしてい

る。

・パンケーキ

日本のものと比べると、生地全体の味気がない。

・あんみつデザート

日本のものと比べると、味が薄い。しかし、トッピングにゼリー、豆、フルーツがあり、

トッピング自体の甘みが強いので、あんみつデザート全体の甘さのバランスが取れてい

る。

【その他】

かき氷・パンケーキ・あんみつデザートは台湾で調査したどの店でも日本のものを比べ、

全体的に味が薄めでさっぱりしている。だが、スイーツに使われている素材(例えば、かき

氷の上に乗るマンゴー)の甘さが引き立ち、全体の甘さのバランスが取れたスイーツが多い。

台湾のスイーツの量は多く、その理由として顧客は複数人で来店し一つのスイーツを分け

合って食べることが多いためである。使われるトッピング台湾のスイーツ市場では「マンゴ

ー」と「豆」と「フルーツ」が広く受け入れられ、それらを使用したスイーツ商品が多いこ

とがわかる。

第1章 台湾スイーツ調査結果

16

写真 7 大衆向けスイーツ店 双連○仔湯

かき氷(紅豆・花豆・ 緑豆・パイナップル)

写真 6 大衆向けスイーツ店 思慕昔

かき氷(手作りパンナコッタとフルーツミクス雪花氷)

写真 8 富裕層向けスイーツ店 DazzlingCafePink パンケーキ

(バニラクリームとフレンチトースト)

第1章 台湾スイーツ調査結果

17

Ⅶ.まとめ・結論

スイーツを楽しむ顧客層は、日本と台湾で大きな違いはない。台湾でのスイーツ店は大衆

向けと富裕層向けの 2 種類がある。大衆向けスイーツは、3~4 人で分けられる量で、トッ

ピングがあり、カスタマイズ型であるという特徴がある。トッピングとしては、素材をその

まま活用しているものが多い。一方、富裕層向けのスイーツは、複数人で食べられるスイー

ツに加え、ショートケーキといった 1人で食べられる量のスイーツも見受けられる。商品と

しては、かき氷や豆類、黒蜜を主に扱い、自然な甘さを重視している。台湾の富裕層向けス

イーツは、日本と同程度の価格で売られているが、複数人でシェアするという側面から 1人

当たりが 1つのスイーツにかけるコストは日本より低い。

Ⅷ.展望

北海道のスイーツを輸出する場合、輸送費、原材料費、そして現地での値段を考慮すると、

大衆向けスイーツ店をターゲットとした場合に得られる利益が見込めない。故に富裕層向

けスイーツ店をターゲットとするのが得策である。富裕層に向けた商品としては豆類スイ

ーツ以外にもケーキやパンケーキ等も候補に入る。ただ、海外に持っていくスイーツは日本

よりも味は薄めで、素材の味を生かした商品のほうが現地の嗜好に合う。①自然な甘さを追

及する、②量は一人用程度、③価格的には日本と同じ程度、が良いと考えられる。課題とし

ては以下のことが挙げられる。

1. 香港と台湾の消費者傾向は似ているかどうかの検証。

2. 香港調査へ向け、提携してくれる企業の選定。

3. 香港カフェに向けての商品開発。

4. 香港スイーツプロジェクトに役立つ情報の獲得。

我々スイーツプロジェクトは今後、この調査結果をもとに、香港と台湾のスイーツの嗜好

の違いを見分ける必要があると感じた。香港に出向き、店舗・商品・顧客に焦点を当てた調

査を台湾調査と同じような形式で行う。その際に台湾と香港の味の嗜好が似ていると仮定

し、台湾調査で得た情報から香港で人気の出そうな日本のスイーツを持っていき、どのよう

な評価を受けるかアンケートを用いて調査したいと考えている。そのために提携できる企

業を探していく。

第1章 台湾スイーツ調査結果

18

Ⅸ.参考

【台湾から日本へ進出している Mango Chachaの分析】

平成 26年 4月に東京・原宿に日本で初めて台湾発のかき氷店“Mango Chacha”が開店し

た。

〔ターゲッ ト〕 若い女性

〔場 所〕 都心周辺(有楽町に開店したが、すでに閉店していた)

〔位 置 づ け〕 日本進出した海外のかき氷店

〔コンセプ ト〕 世界中の人たちがマンゴーでつながる、パッションと愛

〔売りポイント〕 低カロリーでシロップなし

〔戦 略〕 ファッション誌に店情報を掲載、

かき氷のほかにランチメニューを始めた

食べ放題フェアなど顧客を集めるためのイベント開催

かき氷が台湾現地の価格より割高

Mango Chachaの分析から、スイーツターゲットをある程度絞り定め、確実な売りポイン

トを見つけ顧客にアピールすることが大切である。Mango Chachaは女性をターゲットに決

め低カロリーでシロップなしを売りにした。しかし Mango Chachaが原宿に開店した当初は

行列ができたが、現在は開店当初に比べあまり客が増えない様子である。日本にかき氷店は

少なく、同じジャンルで競争店舗は無いと思われるが、同じ価格で女性がターゲットで低カ

ロリーを売りにしているスイーツ店は、日本に多く存在している。

【文献】

台湾のスイーツ 食べログ(https://tabelog.com/taiwan/rstLst/sweets/)

台北 旅行ガイド 2016 年 トリップアドバイザー(https://www.tripadvisor.jp/)

mangochacha japan (http://mangochacha.jp/)

第1章 台湾スイーツ調査結果

19

資料 1 スイーツ調査用紙

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

20

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

作成日:平成 28年 12月 4日

作成者:矢崎達也・長谷川修哉・永井沙采・相馬菜摘

Ⅰ.調査班員紹介

以下は平成 28 年 8 月 23 日~27 日にかけて、ベトナムのダナン、ホーチミンにおいてス

イーツ店を訪問しスイーツ調査をおこなった班員である。

【参加学生】

北 海 学 園 大 学 経 営 学 部 経 営 学 科 第 2学年 永井 沙采

同 上 第 2学年 長谷川 修哉

同 上 第 2学年 山田 雄基

同 上 第 3学年 井上 智恵

北海学園大学経営学部経営情報学科 第 2学年 小池 一成

同 上 第 2学年 相馬 菜摘

同 上 第 2学年 矢崎 達也

引率者 北海学園大学 経営学部 教授 内藤 永

計 8名

写真 9 スイーツ調査のアンケートに協力して下さったレストランの従業員の方々

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

21

Ⅱ.概要

このプロジェクトは北海学園大学経営学部内藤研究室内でのスイーツプロジェクトの一

環として発足した。ベトナムで調査を実施する以前には、台湾において平成 28年 5月に

もスイーツの調査を実施した。台湾調査では、店舗情報・顧客情報・商品情報を主な調査

観点とし、台湾の台北市内のスイーツ店 8店舗に赴き調査した。台湾調査からは、店舗に

は大衆向けと富裕層向けの 2種類があることがわかった。顧客層は日本と台湾で大きな違

いはないが、特徴的な商品としてはかき氷や豆類、黒蜜を主に扱い、1つあたりの量が日

本より多いため、ため、自然な甘さを重視していた。

北広島市の平成 28年度学生地域活動事業において北広島市内にあるスイーツ店、安寿

真(北広島市朝日町 1 丁目 4-7、代表取締役東隆史)の商品開発の一役を担わせて頂くこ

とになり、研究室の学生が直接ベトナムのホーチミンとダナンへ赴き、商品開発や販売戦

略に関わるアンケート調査を実施した。調査地にベトナムを選考した理由として、近隣諸

外国のスイーツ事情がすでに成熟しており、既存の日本商品は価格面で苦戦することが分

かっていたことが問題として挙げられた。そこで、日本とは少し時差のある国で、日本の

製品が溢れるタイやシンガポールを避け、新興国への参入が期待できるベトナムでの市場

調査を行うことにした。台湾調査、ベトナム調査の結果を分析し、商品開発に繋げ、販

売・プロモーションを行う。また、本プロジェクトの目的は、北海学園大学経営学部内藤

ゼミ内のスイーツプロジェクトで必要とされる情報収集並びに、安寿真との商品開発に向

けて必要とされるスイーツの情報収集である。市場調査による情報収集の結果、アンケー

トに用いた 3種類のスイーツはベトナムの物価の安さといった側面から価格面で苦戦する

ことが分かり、インバウンド向けに商品開発、販売を行うことでベトナム人観光客の誘致

につなげる。そこで、インバウンド向けにパッケージの提案や市場調査によって得られた

ベトナム人の嗜好を基に白いどら焼きやアイシングクッキーといった新商品の提案も行

う。さらに、北広島市にある未活用の点在した観光資源を活用することで、北広島市を中

心とした新事業として、既存の A級リゾートのステップアップとなる、安価で手頃な B級

リゾート事業を提案する。

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

22

Ⅲ.アンケートの実施方法

1.調査観点

上記より、ベトナムにおけるベトナム人のスイーツに対する考え方を調査する上で 2つ

のことに観点をおいた。1つ目は、ベトナム人のスイーツに対する意識調査である。意識

調査とは日常的にベトナム人が抱いているスイーツに対する考え方を調査するために実施

した。2つ目は、安寿真のスイーツ(どら焼き・クッキー・マドレーヌ)に対する意見お

よび感想の調査である。安寿真のスイーツとベトナムで販売されている一般的なスイーツ

とのギャップを調査するために実施した。

2.実施対象

ホーチミンとダナンにある日本人がオーナーを務めるレストラン 3店舗において、日本

人オーナーとそこで働く現地スタッフ男女 30名にアンケートを実施した。私たちがベト

ナムで調査を行った際に訪れたレストランが日本人オーナーのレストランであり、日本と

ベトナムの食文化の違いに対しての理解があったため、今回の調査協力を依頼した。

3.アンケート項目

アンケートの質問の項目としては、ベトナム人のスイーツに対する意識調査として、購

買費度や消費金額などについての質問を実施した。また、試食用として提供した安寿真の

どら焼き、クッキー、マドレーヌに対するベトナム人の意見および感想の調査として、価

格・嗜好・デザイン面等での質問を実施した。

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

23

4.実際のアンケート用紙(和訳)

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

24

Ⅳ.アンケート実施結果

1. ベトナム人のスイーツに対する意識調査

①ベトナム人のスイーツの購買頻度を調査するために、「スイーツを食べる頻度」につい

て質問した。

図 1 ベトナム人のスイーツを食べる頻度(n=30)

スイーツを毎日食べると答えた人は 27%、週 2~3 回食べると答えた人は 34%、週 1 回食

べると答えた人は 30%だった。これらの数字を合計すると、1週間の間に最低 1回でもスイ

ーツを食べる人は全体の 9 割以上にも上る。一方で、月 1 回食べると答えた人とほとんど

食べないと答えた人は共に 3%という結果となった。

26.7%

33.3%

30.0%

3.3%3.3% 3.3%

毎日

週2~3回

週1回

月1回

ほとんど食べない

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

25

②安寿真でのスイーツの海外展開を考えた際に、ケーキやシュークリームといった生菓子

は鮮度の維持が困難であるという情報が事前に得られたため、焼き菓子に焦点をしぼりベ

トナム人の好みを調査するために、「好きな焼き菓子」について質問した。なお、この質問

は複数回答可としている。

図 2 好きな焼き菓子調査(n=30)

好きな焼き菓子のトップとして挙げられたクッキーは 30 人中 12 人いたが、全体の半分

を切る結果となった。マドレーヌは 5人、マフィンは 4人が好きな焼き菓子に挙げ、2人が

ケーキを焼き菓子と捉え好きな焼き菓子として回答していた。なお、その他にはワッフルや

チョコなどが挙げられていた。

12

54

2

8

4

0

2

4

6

8

10

12

14

クッキー マドレーヌ マフィン ケーキ その他 未回答

単位

:人

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

26

③事前調査より、アンケート実施地であるホーチミンとダナンの最高気温は毎月 30度前後

にまで上昇するため、チェー(ベトナムで有名なフルーツの入った冷たい飲み物)を中心と

した飲めるスイーツに人気が集まっていることがわかったため、現地の人が好む飲み物を

調査するために、「好きな飲み物」について質問した。なお、この質問は複数回答可として

いる。

図 3 好きな飲み物調査(n=30)

紅茶を好きな飲み物に挙げた人は 30人中 5人おりトップであったが、全体の約 15%強に

留まった。甘い飲み物を好む人は 3人、緑茶・ココナッツ・抹茶・ミルク・マンゴーを好き

な飲み物に挙げた人はそれぞれ 2人であった。その他には、コーラやソーダといった炭酸飲

料とチェーが挙げられていたが、チェーと回答した人は 1人だけだった。

5

3

2 2

4

3

0

1

2

3

4

5

6

紅茶

甘い飲み物

ココナッツ

抹茶

その他

未回答

単位

:人

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

27

④ベトナム人が 1度のスイーツ代にいくらかけるのかを調査するために、「スイーツ 1回

あたりの消費金額」について質問した。

図 4 スイーツ 1回あたりの消費金額(n=30)

スイーツ 1 回当たりの消費金額で 100 円と回答した人は 30 人中 10 人と最も多く、グラ

フからは消費金額が右下がりになっていることが読み取れる。全体の約 3 分の 2 にあたる

19 人が 100 円~150 円以内と回答しており、300 円以上と回答した人は 1 人にとどまった。

⑤ベトナムにおける北海道の認知度を調査するために、「北海道のイメージ」について質

問した。

図 5 北海道に対するイメージ(n=30)

30人中 17人が北海道について「知らない・わからない」と回答した。また、北海道に

対するイメージとして「桜」や「美しい風景」をあげた人は 30人中 6人いたが、全体の 2

割に留まった。

109

5

2

01

3

0

2

4

6

8

10

12

100円 150円 200円 250円 300円 それ以上 未回答

単位

:人

17

5

1

7

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

知らない 桜 美しい風景 未回答

単位

:人

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

28

2.安寿真の 3商品を試食したベトナム人の意見等

①ベトナム人が各スイーツに対して、いくらまでなら支払うことができるかを調査するた

めに、「各スイーツの許容支払額」について質問した。

図 6 各スイーツにおける許容支払額(n=30)

どら焼きとクッキーは共に全体の約 5割の人が 100円を許容支払額とし、最も大きい比

率となった。マドレーヌに関しては 100円を許容支払額とする人の割合は 36%に留まった

が、これが最大比率であった。また、75円と許容支払額を最低額にした人と 150円と回答

した人は共に 3つのスイーツ全てで 2割前後いた。200円以上と回答した人は、いずれの

スイーツでも 1割を下回る結果となった。

23.3% 20.0% 23.3%

53.3%50.0%

36.7%

16.7%23.3%

26.7%

0.0%

3.3%6.7%0.0% 0.0% 0.0%

0.0% 0.0% 0.0%6.7% 3.3% 6.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

どら焼き クッキー マドレーヌ

75円

100円

150円

200円

250円

それ以上

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

29

②ベトナム人はカフェでコーヒーと一緒にスイーツを楽しみ傾向が強いこと、さらにその

コーヒー(ベトナムコーヒー)は日本のコーヒーと比較して甘いことが事前調査でわかっ

ていたため、ベトナムコーヒーと合わせてスイーツを食べたときの印象を調査するため

に、「ベトナムコーヒーと合わせて食べるには甘いか」という質問をした。

図 7 ベトナムコーヒーと合わせて食べるには甘いか(n=30)

甘いと回答した人はどら焼きとマドレーヌでともに 30人中 16人でちょうどいいと回答

した人を 3~4人上回った。クッキーに関しては 14人がちょうどいいと回答し、13人が甘

いと回答したため、意見が割れる結果となった。

16

13

16

1314

12

1

32

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

どら焼き クッキー マドレーヌ

甘い

ちょうどいい

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

30

③ベトナム人は各スイーツがどこでなら売れると思うかを調査するために、「想定される購

入場所」について質問した。なお、この質問は複数回答可としている。

図 8 想定される購入場所(n=30)

どら焼きとクッキーはともに全体の半数にあたる約 15人の人が、想定される購入場所

にスーパーマーケットとスイーツ店を挙げた。マドレーヌにおいては、コンビニ・スーパ

ーマーケット・スイーツ店の 3つが想定される購入場所として、全体の 3分の 1にあたる

約 10人から挙げられた。一方、デパート・オンラインショップでの購入を想定する人は

各スイーツともに 1~2人に留まった。なお、マドレーヌのその他はカフェが挙げられ

た。

4

7

9

13 13

10

16

14

10

21 11

0 00 011 1

6

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

どら焼き クッキー マドレーヌ

単位

:人

コンビニ

スーパー

マーケット

スイーツ店

デパート

オンライン

ショップ

その他

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

31

④ベトナム人がどのような目的で各スイーツを購入するか調査するために、「どのような

目的で購入するか」という質問をした。なお、この質問は複数回答可としている。

図 9 どのような目的で購入するか(n=30)

各スイーツともに自分用と回答した人が半数にあたる 15人を超えておりトップ、次い

でお土産と回答した人が約 10人と続く結果となった。その以外の項目を挙げた人はいず

れも 2~3人に留まり、その他の項目には家族用が挙げられていた。

5

32

109 9

2

0

2

17

1920

23 3

01

221 1

0

5

10

15

20

25

どら焼き クッキー マドレーヌ

単位

:人

誕生日プレゼ

ント

お土産

お歳暮

自分用

カフェの飲み

物と一緒に

その他

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

32

⑤ベトナム人が各スイーツのサイズについてどのような感想を抱くかを調査するために、

「サイズについてどう思うか」について 7段階に分けて質問した。

図 10 サイズについてどう思うか(n=30)

いずれの回答もちょうど良いとの回答が 6割を超えた。一方で、どら焼きとマドレーヌ

に関しては、「少し大きい」と回答した人がともに 13%という結果になった。「小さい」と

いう回答は唯一目立ったのは、どら焼きの 10%であった。

0.0% 3.3% 0.0%

10.0% 3.3% 3.3%

3.3%6.7% 10.0%

63.3%

73.3% 70.0%

13.3% 6.7%13.3%

0.0% 3.3% 0.0%0.0% 0.0% 0.0%

10.0% 3.3% 3.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

どら焼き クッキー マドレーヌ

小さすぎる

小さい

少し小さい

ちょうど良い

少し大きい

大きい

大きすぎる

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

33

⑥事前調査より、アジアに人はパッケージを重要視して商品を購入する傾向が強いことが

わかっていたため、各スイーツにおいてベトナム人が考えるパッケージを調査するため

に、「どのようなパッケージが適していると思うか」について質問した。

図 11 どのようなパッケージが適していると思うか(n=30)

どら焼きとマドレーヌに関しては、紙製の箱の中が適しているという回答が約 6割であ

り、クッキーにおいては約 4割となった。また、ビニールの包装が適しているという回答

はクッキーで最も多い 43%、どら焼きとマドレーヌはともに 26%という結果になった。缶

の中という回答はいずれも 10%を切っており、最も少ない結果となった。なお、各スイー

ツのその他には、中身が見えるパッケージやお店でのショーケース販売などの、商品が直

接確認できるものが挙げられた。

63.3%

33.3%

60.0%

3.3%

6.7%

3.3%

26.7%

43.3%

26.7%

3.3%

6.7%3.3%

3.3% 10.0% 6.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

どら焼き クッキー マドレーヌ

紙製の箱

の中

缶の中

ビニール

の包装

その他

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

34

⑦各スイーツの食感についてベトナム人がどのように感じるのか調査するために、「食感

いついて改善が必要か」について質問した。

図 12 食感について改善が必要だと思うか(n=30)

クッキーとマドレーヌにおいて「改善すべき」と答えた人と「改善しなくてよい」と答

えた人の割合はほぼ同じであった。それに対して、どら焼きは「改善すべき」と答えた人

の割合が「改善しなくてよい」と答えた人の割合を約 2倍上回っており、他の 2つのスイ

ーツに比べて改善すべきという声が多かった。

26.7% 30.0%36.7%

50.0%33.3%

36.7%

23.3%36.7%

26.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

どら焼き クッキー マドレーヌ

改善すべき

改善しなく

てよい

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

35

⑧図 12での結果を踏まえて、各スイーツで改善すべきと答えた人の主な理由を調査する

ために、「改善すべきと答えた理由」ついて 7段階に分けて質問した。なお、この質問は

⑦の質問で「改善すべき」と答えた人のみに問う質問であるため、サンプル数は各スイー

ツによって異なる。

図 13 改善すべきと答えた人の理由(どら焼き:n=8、クッキー:n=9、マドレーヌ:n=11)

改善すべきと答えた人の主な理由は各スイーツともに「柔らかい」が最も多かった。た

だし、どら焼きに関しては「ちょうど良い」という回答が「柔らかい」という回答と同数

あったため、柔い固い以外にも食感の改善点があるという結果になった。また、固さを改

善点に挙げた人はどら焼きで 1人、クッキーで 3人、マドレーヌで 2人いた。

Ⅴ.アンケート結果に基づく分析・考察

1.北海道の認知度

図 5を参照すると、北海道のイメージがないと回答した人は 17人であり、「桜」と回答し

た人は 5人であったが、桜というイメージは漠然とした日本へのイメージであった。北海道

のイメージはおろか、日本のイメージを持っている人の少なさが分かるため、プロモーショ

ン活動する際にまずは日本の認知度を向上させる必要がある。結果として、地方のスイーツ

店がこの状況からスイーツを運搬し、販売するのは認知度の面からは難しいと言える。

0 0 0

3

5

4

1 1 1

3

0

2

1

2 2

0

1

00 0 00 0

2

0

1

2

3

4

5

6

どら焼き クッキー マドレーヌ

単位

:人

柔らかすぎる

柔らかい

少し柔らかい

ちょうど良い

少し固い

固い

固すぎる

未回答

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

36

2.嗜好

①どら焼き

どら焼きはベトナムでは全く馴染みがなく、甘すぎるといった声が多く見受けられたた

め、日本独自のスイーツとしてベトナムでプロモーションを行い、甘さを控えることによっ

て販売の余地を見出すことができる。

②クッキー

アンケート結果より、クッキーはベトナムにおいて広く受け入れられているスイーツだ

ということがわかった。しかし、ベトナムではカフェで飲み物と一緒に食べられているため、

試食の際のようにクッキーだけで食べると、高温多湿な気候であるベトナムではパサパサ

とした喉が渇くスイーツになってしまうため、あまり好まれない傾向がある。そのため、し

っとりとした食感のクッキーであれば、販売が可能であると推測できる。

③マドレーヌ

マドレーヌは試食を実施した 3 種類のスイーツの中で最も支払える価格の許容範囲が広

かったため、嗜好の面からはベトナム人にとって人気が高く、どら焼きやクッキーよりベト

ナムでの販売に適していると言える。また、食感においてもしっとりとしているため、低価

格での生産が可能であれば、既存のマドレーヌが販売可能であると推測できる。

3.結論

北海道に対する認知度はほぼゼロに近く、唯一イメージできる「桜」も漠然としたイメー

ジであるため、プロモーション活動に関しては日本という枠組みから行わなければならな

いことがわかった。また、安寿真のどら焼き、クッキーはベトナム人に合わせたカスタマイ

ズが必要であることが判明した。具体的には、どら焼きはベトナムの甘いコーヒーとも合わ

せて食べられるように甘さを控え、クッキーは高温多湿なベトナムでも食べやすいように

しっとり感を出す必要がある。マドレーヌに関しては既存のままでも好評であった。しかし、

価格面での厳しさが共通してあげられた。アンケート結果の図 4からもわかる通り、今回ア

ンケートに協力してくれた現地のベトナム人の 30人中 19人(約 3分の 2)が 1回のスイー

ツにかける消費金額を 150円以下としているため、ベトナムで輸送費を考慮すると、ベトナ

ムで安寿真が単独でのスイーツ販売をすることは現状では困難であるとの結論に至った。

しかし、ターゲット層をアンケート対象者より高収入の中間層以上に絞り、なおかつインバ

ウンドにシフトし、本スイーツプロジェクトを 1 つのソリューションとした新たな北広島

市を中心とするプロジェクトを考案することで、来道ベトナム人への安寿真のスイーツを

販売することが可能になると考える。

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

37

Ⅵ.分析・考察結果を基にした新商品の提案

【新商品の提案背景】

以上のベトナムでのアンケート調査の分析・考察を踏まえて北広島市の活性化、認知度向

上に繋がるような北海道土産としての新商品を安寿真と開発する。

【新商品開発テーマ】

北広島市発祥の北海道スイーツによる地域活性化と認知度向上。

【新商品コンセプト】

北海道は四季が明確で、それぞれの季節が代表的な風物詩を有していることが魅力であ

ると考え、商品を通して表現し、伝えていく。

【全商品共通プロモーション】

ここ数年で急激な利用者数の増加がみられるインスタグラムなど SNS を活用した口コミ

を広める。必要となる人材確保には地元の主婦を採用する。これにより、地域の雇用を増や

すことができる。北広島市に来る外国人観光客が必ず宿泊するというクラッセホテルでの

販売をすることで北広島発祥の北海道の新たなお土産としてこの商品が広まり、安寿真の

店舗と北広島の知名度の向上と共にブランド力の構築を図る。そして商品の売り上げが増

加すればクラッセホテルと安寿真のお店のみで売ることによって商品の希少価値を上昇さ

せ、B級リゾート事業(第 3 章)で、外国人観光客ツアーの中に安寿真の店舗訪問を組み込

み、北広島市への集客を図る。パッケージもデザインにこだわり、食べ終わった後も容器を

使えるという面もプロモーションにつながる。

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

38

提案商品①

【商品名】

アイシングクッキー

【商品概要】

クッキーの表面にアイシングと呼ばれる、砂糖や卵白を着色してデコレーションする方

法を用いて、春には桜の花、夏にはラベンダー、秋には紅葉、そして冬には北海道のシンボ

ルである雪にちなんだ雪の結晶をクッキーの上に描き四季を表現する。

【具体案】

人によって好みが分かれる桜やラベンダー味の生地にするよりも、ベトナム観光客にと

って馴染みのある味にするためにラズベリー、海外で定評のある抹茶、オレンジピール、ホ

ワイトチョコなどの素材本来の味を生かした生地にする。生地の甘さを控えめにし、アイシ

ングの砂糖で甘さを出す。この四種のクッキーから好みの味と必要な枚数をカスタマイズ

し、容器に詰め込む。容器は二種類用意し、一つは自宅用のシンプルな容器、もう一つはプ

レゼント用の華やかなデザインにする。

【イメージ図】

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

39

提案商品②

【商品名】

スノーボールクッキー

【商品概要】

四季の中でも特に北海道の冬、雪をイメージしたスイーツであり、生地に米粉を使用した

一口大の食べやすいクッキー。

【具体案】

しっとり、ホロホロ系の食感のクッキーに粉砂糖をまぶしたもの。パッケージはビンも

考えたがお土産として持ち運ぶことを想定すると、ビンは割れる可能性があるため透明な

筒状のプラスチックケースを利用する。ケースに雪だるまや雪の結晶が降っているように

見えるイラストを付けて中のスノーボールと一緒にみえることで北海道の冬をイメージで

きるようなパッケージにする。売り上げが好調であれば季節ごとに提案商品①でも述べた

生地の味への変更や、桜、ラベンダー、紅葉などのデザインを用いたパッケージを変える

ことができればより売り上げにつながる。

【イメージ図】

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

40

提案商品③

【商品名】

白いどら焼き

【商品概要】

アンケート調査結果からどら焼きを改良した商品で雪の白さと柔らかさを連想させる白い

どら焼き

【具体案】

餡子が甘すぎるというアンケート結果から中の餡子を変更し、クリームチーズをふんだ

んに使った餡子の代わりになるようなもので代用する。これは甘さを控え、なおかつ口の

中の水分を無くさないためでもある。外見は雪をイメージして白い生地にし、米粉を用い

て作成する。ふわふわな食感で雪のイメージを付ける。パッケージはまず一つ一つを袋で

包装し、その外側を和柄のハンカチで包む。これにより帰国後もそのままハンカチとして

使用できるようにする。柄も数種類から選べるようにする。ハンカチであれば外でも使用

できるため、多くのベトナム人の目を引き、さらなるプロモーション効果が期待できる。

【イメージ図】

第2章 ベトナムスイーツ調査結果

41

Ⅶ.分析結果を基にした新規プロジェクトの提案

ベトナムで安寿真のスイーツを販売するよりも、インバウンド向けに北広島市でスイー

ツを販売する方が適しているため、新千歳空港や札幌中心部、北海道の各観光地へのアクセ

ス面での優位性が高い北広島市でベトナム人観光客をターゲットにスイーツ販売を行う。

しかし、北広島市の現状としてベトナム人観光客のみならず、訪れる外国人観光客が少ない

ことが問題としとて挙げられる。そこで、中間層以上のベトナム人観光客をターゲットにし

たスイーツのインバウンドに着目し、北広島市内におけるスイーツ店やスキー場、クロッケ

ーといった未活用の観光資源と組み合わせることでベトナム人観光客の誘致を図るプラン

を提案する。これは既存の高級リゾートである A級リゾートへのステップアップとして、北

広島市を拠点とした手軽で安価に楽しめる「B級リゾート」をオールシーズン可能なツアー

として提供するものである。ベトナム人観光客を誘致する理由としては、ビザの緩和、新興

国の中間層の増加により今後ベトナム人観光客数の増加が予想されるためである。これを

産官学一体のプロジェクトとして提案することで北広島市を中心とする地域活性化を図る

(42ページ以降の第 3章参照)。そして、B級リゾート事業の1つのコンテンツとして、ア

ンケート結果を基に安寿真に商品開発を協力して頂き、ベトナム人観光客向けのスイーツ

を販売する。現状北広島市にはブランド力のあるスイーツが存在しないため、スイーツ販売

を通して北広島ブランドの確立へ向けて、本プロジェクトを利用したベトナム人観光客に

よる口コミや SNS による情報発信により目指す。新商品のブランド力向上と共に北広島市

の知名度向上を図り、ベトナム人観光客の集客拡大に繋げる。

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

42

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

作成日:平成 28年 10月 31日

作成者:矢崎達也・片原悠貴・瀬川和輝・長谷川修哉・高石彩華・相馬菜摘

Ⅰ.メンバー紹介

私たちは、平成 28年度キャンパスベンチャーグランプリ・ビジネス部門に応募した。キ

ャンパスベンチャーグランプリとは、学生によるベンチャービジネスのアイデアや事業プ

ランを基に、新事業を提案し競うコンテストである。以下が作成に携わったメンバーである。

【参加学生】

北 海 学 園 大 学 経 営 学 部 経 営 学 科 第 2学年 片原 悠貴

同 上 第 2学年 瀬川 和輝

同 上 第 2学年 高石 彩華

同 上 第 2学年 長谷川 修哉

北海学園大学経営学部経営情報学科 第 2学年 相馬 菜摘

同 上 第 2学年 矢崎 達也

計 6名

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

43

Ⅱ.概要

ビザの緩和、新興国の中間層の増加により今後ベトナム人観光客数の増加が予想される。そ

こで、既存の高級リゾートである A級リゾートへのステップアップとなる、北広島市を拠点

とした手軽で安価に楽しめる「B 級リゾート」をオールシーズン可能なツアーとして提供す

る。産官学一体のプロジェクトとして提案することで北広島市を中心とする地域活性化を

図る。

Ⅲ.プランの具体的内容

【社会的背景】

日本を訪れる外国人観光客に対するインバウンド政策は他の先進国から比較しても大きく

劣っている。北広島市の現状として、観光資源の活用が進んでおらず、いわゆる「爆買い」

と呼ばれる 1 度に大量の商品を購入するブームは終わりを迎えており、個人旅行に対する

提案力が求められている。

【着想のきっかけ】

本学の内藤研究室では、スイーツプロジェクトと呼称される、スイーツ店の商品を海外展開

あるいは、インバウンド向けに商品開発、情報発信していくプロジェクトにおいて、北広島

市と協力し、学生地域活動支援事業としてベトナム調査(平成 28年度夏)を既に実施して

いる。また、私自身がバックパック旅行の最終目的地であるベトナムを実際に訪れ、著しい

経済発展、外資参入によるライフスタイルの変化といった可能性を肌で感じた。

【着眼点】

本事業では、ベトナム人観光客の誘致を目標にしているが、中部国際空港、福岡国際空港に

おいて訪日ベトナム人観光客が約 2万人に対し、新千歳空港は 1000人すら割っている状況

である。北海道の空の玄関口である新千歳空港からは、JRを利用すれば 20分で北広島市に

到着し、札幌以外の北海道の主要な観光地に渋滞を避け、日帰りで観光をすることができる。

外国人観光客の来道者数の増加を目標に、今日なくてはならないインバウンドへの取り組

みが極めて遅れているベトナムにターゲットを絞り、来道観光客の増加を産官学の連携に

よって目指す。

【提案】

本事業を提案する背景には、北広島市の立地の利便性の優位性が要因として挙げられるた

め、既存の富裕層向けのプラン作成ではなく、新規に中間層をターゲットとする。そこで、

北広島市を起点とした B級リゾート事業を提案する。立地の良さを生かし、北海道満喫への

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

44

入り口を北広島市に設ける。初心者向けのスキー場、日本食の食べ方、温泉の入り方など、

スキーであればニセコや富良野、温泉あれば登別といった道内各地へ足を運んでもらうた

め、A級リゾートへのステップになるような体験を北広島市の B級リゾートを活用し提供す

る。本事業における B 級リゾートとは、中間層をターゲットとし、訪日ベトナム人観光客の

平均消費額である 20万円以内で、リゾート気分を気軽に味わえる贅沢をすること、と定義

づける。

【目標と波及効果】

本事業の最終目標は年間来道ベトナム人観光客を中部、福岡と並ぶ 2 万人を北海道に誘致

し、その 3 割である約 6000 人が北広島市に拠点を置くことである。また、事業開始から 5

年目の平成 33年度には、2億 4600万円が北広島市に流れる金額となり、これは北広島市の

年間歳入の約 1%にあたる金額である。これによって、地域の活性化、それに伴う波及効果

が期待できる。

Ⅳ.プランの優位性

【現状と発想の転換による独創性と新規性】

本事業が B 級リゾートの拠点と考える北広島市は、観光客にとっては新千歳空港から札幌

に移動する際に、何もなく立ち寄る価値もない通過駅に過ぎない。観光地としての立地は良

いがインバウンドの整備がされていなく観光地としての魅力が不足していることが要因の

1 つとして挙げられる。だが、北広島市内に点在している観光資源の組み合わせ次第では観

光客を北広島市に取り込めると考え、本事業プランを企画した。

【A級リゾート・観光地へのアクセス】

北広島市は札幌市と新千歳空港の中間に存在し、北海道の観光地を旅行する際の拠点とな

りうる地理的優位性がある。以下は北広島市から北海道の主な観光地までの JR所要時間を

まとめた表である。

表 4 北広島市から主要観光地までの所要時間

観光地名 所要時間 観光地名 所要時間

新千歳空港 20分 富良野(スキー景観) 3時間

札幌(ショッピング) 25分 ニセコ(スキー温泉) 3時間~4時間

小樽(観光) 1時間 20分 帯広(乗馬) 3時間 30分~4時間

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

45

【B級リゾートとしての品揃え】

北広島市には、安価で手軽にリゾート気分を味わうことができる観光資源が点在している。

安価にブランド商品を入手することができる大型アウトレットモール、安価に北海道の幸

を楽しめるレストランとスイーツ店、初心者向けのパークゴルフコースやクロッケー、天然

温泉、自然豊かなサイクリングロードがある。今まで点在していたこれらの観光資源をネッ

トワーク化し、北広島市のツアーに組み込むことによって B級リゾートツアーが実現する。

【新規性】

『B 級リゾート』を北海道観光の『入門編』、として位置づけをする。本事業の狙いとする

ところは、B級から A 級へのステップアップの入門段階を設けることで、北海道全体へのイ

ンバウンドのきっかけ作りをすることだ。

図 14 B級リゾートから A級リゾートへステップアップ

A 級の観光地とは、価格と手軽さの面で差別化を図ることで競合を避けることができる。

【準備状況】

現在我々は北広島市の菓子店の安寿真と提携し海外スイーツの発想を取り入れた菓子を共

同制作する計画を実行している。そのために実際にベトナムへと足を運び海外スイーツ調

査や、日本の菓子を食べてもらい、それに関するアンケートに答えてもらうという調査を行

った。この活動において我々は北広島市役所から学生地域活動支援事業として補助金を頂

き、その資金は調査費用とした。この活動を通して我々と北広島市役所、菓子店の安寿真が

繋がったことは本プロジェクトの第一歩と言える。ベトナム人に向けたインバウンド政策

において安定した収益の獲得が実現すれば、その後は日本人旅行客やベトナム以外の外国

人観光客へと新たにターゲットを広げ、北広島市は『B級リゾート地』というブランド確立

を狙い、さらなる経済発展による地域活性化を狙う事ができる。

小樽

ニセコ

富良野

B 級から A 級へステップアップ!

B 級リゾート(北広島)

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

46

Ⅴ.実現方法、実行時期、課題

【基本戦略】

3 つの幹となる基本戦略がある。1つ目に産官学を上げた観光関連のネットワーク化だ。利

用されていない観光資源の活用、北広島市を挙げての取り組み、学生視点からのプラン提案、

実行といった北広島市において今まで存在しなかった体系のビジネスモデルとなる。観光

関連のネットワーク化を図ることによって、点在していた観光資源を有効に活用すること

ができる。2つ目にプロモーション活動に重点を置いた誘致活動を行う。近年ネットが普及

しているベトナムにおいて、ネット広告は今後重要なコンテンツとなるため、口コミ文化を

利用した SNSにおける広告を用い、本事業の誘致を図る。3つ目に A級リゾートへのコンシ

ェルジュ機能の強化として、北広島市外に訪れたい観光客に対して、ニセコや富良野など北

海道の A 級リゾートの情報を提供し、本事業の目的の 1 つである A 級リゾートへのステッ

プアップを推進する。

【事業活動計画】

本事業は 5か年計画であり、次のような計画となる。

・1年目(在学中)

関連企業または協力が必要な企業が多いため、企業とのネットワーク化を図る。また、

スイーツ店の安寿真には既に調査の協力を頂いているため、今回も協力を依頼する。

・2年目(在学中)

前年のネットワーク作りを踏まえ、関係各所にプラン提出を行う。また、資金調達を

行い、試験的にベトナム人を誘致することで、課題点の把握や口コミの情報源としての

役割が期待できる。それに加え、ベトナムから新千歳空港への直行便就航への働きかけ

や、旅行会社が集まる商談会への参加など、引き続きネットワーク作りは継続して行う。

・3年目(起業 1年目)

試験的な誘致の結果を受けて、問題点を改善し本事業の核となる観光客のパッケージ

ツアーを開始する。このとき、ベトナム人の目標来道者数は最終目標である 2 万人の 3

割の 6000人、前段階として、1割の 2000人の達成を目指す。

・4年目(起業 2年目)

プロモーションの幅を拡大する。訪日ベトナム人観光客だけに絞って情報発信してい

くだけでなく、日本国内や近隣諸外国の中間層にもプロモーション活動をしていく。

・5年目(起業 3年目)

最終目標である北広島市に 6000人のベトナム人観光客を誘致するだけでなく、前年で

行った他国へのアプローチの効果により、多くの外国人観光客の誘致を図る。

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

47

図 15 事業活動計画

【課題と改善策】

本事業を課題として事業規模の適正化が挙げられる。計画では、来道ベトナム人観光客を 2

万人誘致し、そのうち 1 割から 3 割を誘致する目標数で計画しており、誘致できる観光客

が多くても少なすぎても事業として成り立たない恐れがある。例えば、誘致できる外国人観

光客の人数が多ければ、バスや北広島市内のスイーツ店のキャパシティにより、予定人数を

超過すると計画上の予算では外国人観光客全員を捌き切れない。これは、従業員の増加また

は予約の打ち切りで人数の調整を行い、月毎の収入を安定させる。また、予約数が少なすぎ

る場合、収入が減少してしまうため事業として収入が安定せず、事業が成り立たない。B級

リゾート参加者に対してアンケート調査を実施し、実施プランを改善することで、旅行客の

ニーズに合わせたツアー内容を提供していく。

3年目(起業 1年)

事業運用開始

プロモーションの拡大

4年目(起業 2年)

ターゲットの拡大

収入の安定化

5年目(起業 3年)

ネットワーク構築 プラン提出・試験運用

プロモーション開始

1年目(在学中) 2年目(在学中)

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

48

【本事業のイメージ図】

Ⅵ.市場性

【現状】

平成 27年日本にはおおよそ 1973万人もの訪日外国人観光客が押し寄せた。平成 26年

度、平成 27年度の法務省の出入国管理統計表によると、羽田・成田を除く上位 3つの国

際空港を利用する訪日客は以下の通りである。

表 5 ベトナム・タイ・マレーシアの日本主要空港への入港人数

(平成 26年度)

(平成 27年度)

(人)出典:法務省出入国管理統計

北海道に着目すると、中国、タイ、マレーシアの新興国の富裕層のインバウンドはニセコ、

富良野などで成功している。その一方で、ベトナムと新千歳空港の直行便がないことが、ベ

トナムのような新興国の中間層を中心としたインバウンドが伸び悩んでいる原因である。

タイやマレーシアのインバウンドが成功した背景には「雪」をテーマとしたプロモーション

が大きく影響している。マレーシアでは平成 26年度から見るとおよそ 2倍もの来道者数を

数えている。そのため、ベトナムへのプロモーションが来道者数増加に繋がる。

新千歳空港 中部国際空港 福岡国際空港ベトナム 429 14,482 8,135タイ 73,033 41,297 41,867マレーシア 13,779 14,482 5,501

新千歳空港 中部国際空港 福岡国際空港ベトナム 998 22,504 12,063タイ 86,201 51,012 60,149マレーシア 26,565 8,774 6,886

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

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【将来予測】

平成 26年日本はインバウンド政策としてベトナムに対し入国査証(ビザ)の緩和を行った。

その影響を受け訪日ベトナム人は増加し、平成 27年の 9月時点で 13万 9100 人、平成 28年

9 月時点では 17万 7900人ものベトナム人が訪日し、増加傾向である。福岡国際空港、中部

国際空港は 2 万人もの人数が確保できているため、この 2 万人を将来予測として新千歳空

港に取り込みを図るものである。

【ターゲット層のプロファイル】

ベトナムでは月収 7万円を超える中間層の割合が平成 24年時点で 11%を数え、2020年に

はおよそベトナム人の 23%が中間層となることが予想され、ベトナムをはじめとする新興

国の中間層にニーズがある。また、ベトナム人が訪れたい日本の地域のアンケートの結

果、北海道が 1位だった。このアンケート結果により、ベトナム人は北海道に高い興味や

関心があることが伺える。なお、4年後の平成 32年には富裕層と中間層を合わせたベトナ

ム全国民の 34%が B級リゾー

トの対象となり、インバウンド

の成功が期待できる。中間層は

金銭面などハードルが高いた

め、A級リゾートへのステップ

アップとして B級リゾートを提

供することができる。

出典:ボストンコンサルティング グループ

【スイーツ調査の結果】

ベトナム人は第 2 章の調査結果より、どら焼きなど未知なるスイーツよりもマドレーヌな

ど既存のスイーツを受け入れやすく、楽しむ傾向がある。これらのアンケート結果を受けて、

スイーツ店の安寿真は洋菓子店であるためベトナム人に受け入れられやすい。

図 16 ベトナム人階級データ

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

50

Ⅶ.事業採算・収支予測

1.事業計画

【1年目と 2年目】

本事業は私たち学生、北広島市、一般企業が結びつくことで成り立つ官学共同体のプロジェ

クトである。企業とのネットワーク作りを行う 1年目、広告宣伝と実際の誘致に取り組む 2

年目のスタートアップ費用は、北広島市からの助成金を得られることが決まっているため、

その助成金収入で賄う。

【3年目以降】

過去 2年間で培った調査結果と広告宣伝効果を生かすことで、実際に事業を展開させる。

以下の表とグラフはその際の収支予測である。

図 17 今後 3年間の収支予測(単位:千円)

2019年 2020年 2021年 2019年 2020年 2021年比率分析 売上高 218,360 436,720 655,080 マージン3%①売上高成長率 200% 150% 変動費②売上原価率 97% 97% 97%   売上原価 212,000 424,000 636,000③営業利益率 95.2% 95.7% 95.8%   広告宣伝費 300 400 500④税率 19% 19% 19%      計 212,300 424,400 636,500 変動費合計

固定費  管理費 1,545 1,660 2,160     初期投資費 385 0 0     支払家賃 540 540 540     消耗品費 360 720 1,080     水道光熱費 120 120 120     通信料 120 240 360     雑費 20 40 60 保険料 960 1,920 2,880  人件費 1,920 2,880 3,840 2人ずつ増やす  減価償却費 33 33 33 定額法、耐用年数10年     計 4,458 6,493 8,913 固定費合計

営業利益 207,842 417,907 627,587 売上高-変動費-固定費税引前当期純利益 207,842 417,907 627,587  法人税等 39,490 79,402 119,242当期純利益 168,352 338,505 508,345 税引前当期純利益—法人税等

事務所諸経費

予測予測分析 予測損益計算書作成

予測備考

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

2019年 2020年 2021年

今後3年の売上高と営業利益予測

営業利益 売上高

第3章 キャンパスベンチャーグランプリ

51

2.収支予測のポイント説明

【年間顧客数】

平成 31年はベトナムからの来道観光者数が約 2 万人に昇ると予想されるため、そのうちの

1 割にあたる 2000 人の誘致を前提とする。その後、平成 32 年には 2 割にあたる 4000 人、

平成 33 年には 3 割にあたる 6000 人の誘致を掲げている。この数字をもとに収益予測を算

出した。

【マージン】

利用顧客からマージンを得ることが本事業の主な収益源である。マージンの比率は大手旅

行代理店 JTB が 10%であることを踏まえて、私たちが実現可能でなおかつ最低限の収益が

計上できる 3%に設定した。これによりベトナム人観光客に約 10 万円で北広島市 2 泊 3 日

の旅行プランを提供することができる。また、事業が軌道に乗る 3年目からは団体割引の活

用や宣伝広告範囲の拡大を目指す。

【人件費】

起業 3 年目の平成 31 年は 2 人での運営を行う。年間 2000 人を 1 週間あたりの顧客数に換

算すると約 40人となるため、週末のみの利用で十分に運営することが可能である。その後

起業 5 年目までの 2 年間は 1 年ごとに 2 名のアルバイトを採用することで無理なく運営を

行う。

【売上高と営業利益】

売上高は北広島市に落ちる金額を示しており、営業利益は収益性を示しているため、この 2

つの指標は本事業において重要な役割を担う。そのため、今後 3年間の推移予測を前ページ

のグラフにまとめて可視化した。

内藤ゼミ活動報告書平成 28 年版

平成 28 年 12月 16 日 発行

作成者 北海学園大学経営学部 内藤ゼミ

発行者 矢崎達也

発行所 北海学園大学経営学部内藤研究室

〒062-0605

北海道札幌市豊平区旭町 4丁目 1-40

印 刷 北海学園大学経営学部