40
「復刻製品が成功するメカニズム」 115 復刻製品が成功するメカニズム 飯島友典 加納政宗 小林果歩 長谷川愛 前嶋美樹 渡辺有希江 <要旨> 近年、復刻製品市場の拡大が著しい。復刻製品に関する従来の研究では復刻製品から感 じる懐かしさ(ノスタルジア)を消費者は好む傾向にあると主張されている。しかし、そ のノスタルジアがどのように喚起されるのかを実証的に明らかにしている既存研究はない。 そこで本論は、復刻製品に関連する諸要因とそれらが復刻製品購買意図に及ぼす影響を特 定化することによって、復刻製品が成功するメカニズムを明らかにすることを目的に展開 される。 <キーワード> ノスタルジア/復刻製品/4A/経年数/オリジナル製品 1章 はじめに 1 節 現状分析 近年、パーソナル 3D プリンターやスマートフォンなどのハイテクノロジーな製品が増加して いる。技術の進歩は著しく、それに伴い、私たちの生活はより快適になっている。一方で、技術 の発達を感じさせない、シンプルな製品も多く存在している。復刻製品はその一例であると考え られる。私たちが復刻製品を目にする機会は増えており、近年の復刻製品ブームは、各種雑誌や 新聞記事でも頻繁に取り上げられている。新しい技術が開発され、新製品が増加する中で、レト ロな雰囲気を持つ復刻製品は、なぜブームとなっているのであろうか。 株式会社総合プランニングが行った『食品、飲料、消費財分野における復刻版マーケットの実 態と将来性予測分析(2012 年版)』によると、食品、飲料などの消費財分野における復刻製品市 場は 2011 年ベースで 601 億円と推計され、前年比で 153%の急成長を見せている。また、2015 年には 621 億円に達すると予測されており、復刻製品市場は今後も拡大傾向にあることが伺える。 復刻製品が消費者の懐かしさを喚起させ、定番製品としての知名度を活用することで、広告宣伝 費を抑制できる利点を有していることなどを背景に、このブームはしばらく続くと予想されてい る(日本経済新聞夕刊,2012 2 23 日付,1 面)。また、復刻製品は、販売する企業にのみ利 点があるだけではない。近年、菓子類、飲料の復刻版が数多く販売されている。そのようなノス

復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

115

復刻製品が成功するメカニズム

飯島友典 加納政宗 小林果歩

長谷川愛 前嶋美樹 渡辺有希江

<要旨>

近年、復刻製品市場の拡大が著しい。復刻製品に関する従来の研究では復刻製品から感

じる懐かしさ(ノスタルジア)を消費者は好む傾向にあると主張されている。しかし、そ

のノスタルジアがどのように喚起されるのかを実証的に明らかにしている既存研究はない。

そこで本論は、復刻製品に関連する諸要因とそれらが復刻製品購買意図に及ぼす影響を特

定化することによって、復刻製品が成功するメカニズムを明らかにすることを目的に展開

される。

<キーワード>

ノスタルジア/復刻製品/4A/経年数/オリジナル製品

第1章 はじめに

第 1 節 現状分析

近年、パーソナル 3D プリンターやスマートフォンなどのハイテクノロジーな製品が増加して

いる。技術の進歩は著しく、それに伴い、私たちの生活はより快適になっている。一方で、技術

の発達を感じさせない、シンプルな製品も多く存在している。復刻製品はその一例であると考え

られる。私たちが復刻製品を目にする機会は増えており、近年の復刻製品ブームは、各種雑誌や

新聞記事でも頻繁に取り上げられている。新しい技術が開発され、新製品が増加する中で、レト

ロな雰囲気を持つ復刻製品は、なぜブームとなっているのであろうか。

株式会社総合プランニングが行った『食品、飲料、消費財分野における復刻版マーケットの実

態と将来性予測分析(2012 年版)』によると、食品、飲料などの消費財分野における復刻製品市

場は 2011 年ベースで 601 億円と推計され、前年比で 153%の急成長を見せている。また、2015

年には 621 億円に達すると予測されており、復刻製品市場は今後も拡大傾向にあることが伺える。

復刻製品が消費者の懐かしさを喚起させ、定番製品としての知名度を活用することで、広告宣伝

費を抑制できる利点を有していることなどを背景に、このブームはしばらく続くと予想されてい

る(日本経済新聞夕刊,2012 年 2 月 23 日付,1 面)。また、復刻製品は、販売する企業にのみ利

点があるだけではない。近年、菓子類、飲料の復刻版が数多く販売されている。そのようなノス

Page 2: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

116

タルジアを喚起させるマーケティング活動が展開され続けている背景には、消費者が懐かしい雰

囲気を持つものを好んで受け入れる傾向を有しているからであるという(堀内,2007)。つまり、

消費者も懐かしさを感じることのできる製品が販売されることを望んでいる。このように、復刻

製品によって、企業と消費者との双方がそれぞれにメリットを享受しており、それゆえに、復刻

製品市場は魅力的な市場であると言えよう。

先述したように、市場には数多くの復刻製品が展開されている。しかし、すべての復刻製品が

同じような特徴を有しているわけではない。例えば、オリジナル製品が販売された当時のまま復

刻されるパターン、オリジナル製品の販売当時とはパッケージやロゴを変更して復刻されるパタ

ーン、さらには期間限定で復刻されるパターンなど、復刻のされ方は多種多様である。他方、特

定の製品カテゴリーに限られることなく、様々な製品カテゴリーから復刻製品が発売されている。

どの復刻製品も懐かしさを訴求する点で共通しているものの、オリジナル製品が販売されてから

復刻製品が販売されるまでの経年数に大きな分散が見られる。1923 年に森永製菓株式会社から

販売された「マリー」のように、2013 年に復刻されるまで 90 年も経過している製品もあれば、

1999 年に販売された「チョコエッグ」のように、2009 年に復刻されるまで 10 年しか経過してい

ない製品もある。一見、オリジナル製品販売からの経年数が長ければ長いほど、消費者に懐かし

さを訴求するように思われるが、経年数が異なっても、復刻製品はそれぞれ成功している。それ

ゆえ、懐かしさが訴求される要因は、オリジナル製品販売からの経年数だけでなく、他に何らか

の要因に帰するのかもしれない。

そこで本論は、「いかなるメカニズムによって復刻製品は成功するのか」という研究課題を設

定し、消費者行動論的観点からこれを明らかにすることを目的とする。

第 2 節 本論の構成

本論は、「いかなるメカニズムによって復刻製品は成功するのか」という課題を解決するため

に、本章以降は以下のように展開される。第 2 章では、復刻製品の現状について述べる。第 3

章では、ノスタルジアとその規定要因に関する既存研究のレビューを行う。続く第 4 章では、第

3 章で概観した既存研究レビューを踏まえながら、復刻製品の購買意図に影響を及ぼす要因を明

確にし、それらの因果的関係についての仮説を設定する。その後、第 5 章では、その仮説の実証

分析を行った上でその結果を考察し、その仮説の経験的妥当性を吟味する。そして、終章である

第 6 章では、それまでの議論を踏まえ、本論の学術的・実務的インプリケーション、および本論

の限界と今後の課題について言及する。

第 2 章 復刻製品について

第 1 節 復刻製品の種類

前章で述べたように、市場には数多くの復刻製品が展開されている。また、復刻パターンは多

Page 3: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

117

岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の 5

つの復刻パターンについて、事例を挙げながら詳細に検討していく。

はじめに、復刻製品は、製品の記念となる節目の年に発売されることが多い。例えば、2013

年 3 月に雪印メグミルク株式会社から復刻された「雪印ネオマーガリンソフト復刻版」は、オリ

ジナル製品の販売から 45 周年を記念して復刻された製品である。現在の消費者嗜好に合わせた

多少の味の変更があるものの、この製品はオリジナル製品販売当時のパッケージ・デザインを採

用している。同様に、2012 年 8 月に株式会社湖池屋から販売された「コイケヤポテトチップス」

は、オリジナル製品の販売から 50 周年の発売を記念して、「うすしお味」、「コンソメ」、そして

「のり塩」の 3 つの味で復刻された。1980 年代初めのパッケージ・デザインをモデルに復刻版

パッケージが制作され、オリジナル製品販売当時を想起させるデザインとなっている。

続いて、復刻製品は、販売チャネルや期間を限定して発売されることもある。2009 年 11 月に

サッポロビール株式会社は「<復刻>サッポロ缶ビール」を、コンビニエンス・ストアにチャネ

ルを限定し、さらに数量限定で販売した。同様に、江崎グリコ株式会社から販売されている「ビ

スコ」、「プリッツ」、および「ワンタッチカレー」の復刻製品は、全国に 14 店舗展開されている

「ぐりこ・や」というグリコの製品を扱うアンテナ・ショップでのみ販売されている。

第 3 に、パッケージが変更されて販売される復刻製品も存在する。大正製薬株式会社は、「リ

ポビタンD復刻版」を 1962 年発売当時のデザインをアレンジして 2005 年に復刻販売した。字体

やワシのマークを当時のものにして、復刻製品には当時のキャッチ・コピーを使用したラベルが

付されている。同様に、株式会社明治は、2013 年で発売 45 周年を迎える「カール」のチキンス

ープ味を復刻した。復刻製品のパッケージに使用されているカールのロゴや背景の色は、1968

年発売当初のデザインをイメージしている。

第 4 に、オリジナル製品とは異なる機能を有している復刻製品も存在する。2012 年に株式会

社不二家から復刻された「復刻ルック(ア・ラ・モード)」は、当時の組み合わせであるバナナ味、

ストロベリー味、キャラメル味、およびコーヒー味の 4 種類で発売された。前者 3 種類について

は、当時のままの味で復刻されているものの、コーヒー味については、現代の趣向に合わせて味

の改良がなされている。また、株式会社ナイキは、1995 年に発売していたスニーカー「エアマ

ックス 95」を新たな素材を用いて機能改善し、「エアマックス 95 エンジニアードメッシュ」と

して 2013 年に復刻発売した。

第 5 に、復刻する製品を企業が決定するのではなく、消費者が選択する場合もある。日清食品

株式会社は、2011 年 4 月から 6 月まで「歴代カップヌードル復活総選挙」を開催した。これは、

過去に販売されたカップヌードルの中から、もう一度食べたい味を消費者に選択してもらい、人

気が高かった上位3位を復刻するという企画であった。総投票数は1867933票にまで上り、133134

票を獲得して 1 位となった「カップヌードル 天そば」は、2012 年 1 月に復刻された。また、

森永製菓株式会社も、2011 年 11 月から 12 月に「ハイチュウなつかしの味総選挙」を行った。

過去に販売されていた 8 種の味の中から、消費者が復刻してほしい味に投票し、結果として 1

位になった「ハイチュウ ヨーグルト味」が 2012 年 6 月に全国で復刻された。

Page 4: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

118

以上のように、5 つの復刻パターンを列挙してきたが、復刻製品にはまだ他にも様々な復刻パ

ターンが観察される。先述したように、復刻製品におけるオリジナル製品の販売からの経年数の

差異だけでなく、特徴の違いも考慮することにより、復刻製品が成功するメカニズムを特定でき

るのではないであろうか。そこで本論は、オリジナル製品販売から復刻製品販売までの経年数や

復刻様式の違いにも着目し、復刻製品の既存研究の実証分析と兼ね合わせた消費者研究を行う。

第 2 節 復刻製品の定義

前節において種々の事例を検討してきた。それらに基づいて本論では、復刻を「過去に販売さ

れていた製品が、販売終了ないしパッケージ変更を経験した後、再び販売されること」と定義し、

そのような製品を復刻製品と称する。したがって、レトロな雰囲気を感じさせるパッケージや製

品名で販売されている、東洋水産の「マルちゃん 昔ながらのソース焼そば 下町ウスターソー

ス味」など、過去に販売されていた事実がなく、見た目の懐かしさをコンセプトとして販売して

いる新製品は、本論の定義に照らして、復刻製品に該当しない。他方、マクドナルドの「グラタ

ンコロッケバーガー」のように、「復活」を謳っていても、毎年期間限定で発売されているため、

本論ではそのような製品を復刻製品と見なさない。

かくして、復刻製品を上記のように定義した上で、以下の議論を展開する。

第 3 節 復刻製品の現状分析

本節では、いかなる理由で消費者が復刻製品を購買するのかという論題に焦点を合わせて議論

しつつ、既存研究を概観する。

まず、現在販売されている新製品と復刻製品とを比較してみよう。このとき、復刻製品がブー

ムを起こしていることに対して、違和感を覚える人がいる可能性もある。一般的に、新製品の方

が復刻製品よりも選好されると考えられよう。それというのも、新製品が、次の 2 点で優位性を

獲得していると思われるからである。第 1 に、新製品は機能面での改良が見られ、それゆえに、

考えられる復刻製品に比してより高い優位性を獲得しているかもしれない。第 2 に、新製品はパ

ッケージを時代のトレンドに合わせてデザインしており、それゆえに、現代消費者の嗜好により

合致しているという点で、復刻製品に比して高い優位性を獲得しているかもしれない。それにも

かかわらず、復刻製品はブームを起こしつつ、その市場を拡大させているのである。

サントリー食品インターナショナルが、2011 年に清涼飲料水「はちみつレモン」をかつての

デザインに変更した上で復刻製品を販売したところ、派生製品を含めた売上は、2011 年の目標

を 8 割上回った。この成功についてサントリーは、「定番商品に安心感を覚える消費者が多い」

(日本経済新聞夕刊,2012 年 2 月 23 日付,1 面)と述べている。他にも、メイトーブランドの

協同乳業株式会社は、「復刻版牛乳と卵でつくったなめらかプリン」を発売した。協同乳業株式

会社は、復刻版を発売した理由を、「不況や昨年の震災の影響で消費が安定志向になり、消費者

は、子供時代や青春時代に慣れ親しんだ商品や信頼のおける商品を購入する傾向がある」(協同

乳業株式会社メイトー: 公式 web サイト: 復刻版「牛乳と卵でつくったなめらかプリン」新発売

Page 5: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

119

- 新着情報)と述べている。

これらのことに基づくと、消費者が新製品ではなく復刻製品を選択するのは、復刻製品が消費

者に安心感を与えるからであると考えられる。このことに関連して、Davis(1979)は、時代の

混乱の中で消費者は、将来に期待するよりも過去に後戻りし、新奇なものよりも見慣れたものを

求め、発見よりも確実性を求めると主張している。また、Cattaneo and Guerini(2010)によると、

「消費者は、現代が不安定であったり、高いリスクを知覚したりする場合に、ブランドの有する

歴史の安定性や継続性を喚起させるレトロ・ブランドに安心感を感じる」(p. 11)と主張してい

る。これらのことから、復刻製品は消費者に安心感を与える機能を有していると考えられる。不

況や社会不安が巻き起こっている状況であれば、さらに復刻製品が消費者に与える安心感は増幅

するであろう。

しかし、安心感を与えるだけならば、復刻製品でなくとも、長期間存続しているブランドの製品

や、ロングセラーの製品であっても同様に安心感を与えることは可能であろう。Keller(1998)

によれば、ブランドはリスク低減機能を有しているという。そうすると、ブランドによってリス

クが軽減すれば、それは確実性を獲得し、消費者に安心感を与えることもできよう。しかし、ブ

ランドが有しているリスク軽減機能は、消費者が当該ブランドに対して確実な品質を期待できる

ということを意味している。他方、復刻製品が消費者に与える安心感は、現代に対する不安を感

じているときに、その不安を満たしてくれるような感情である(Brown, Kozinets, and Sherry, 2003)。

つまり、現代に対する欠乏感を、復刻製品から得られる過去への安心感で補うということであろ

う。例えば、復刻製品を介して、オリジナル製品における人や物へのつながりを思い起こすこと

は、復刻製品特有の安心感であると考えられる。したがって、ブランドが消費者にもたらす安心

感と復刻製品が消費者にもたらすそれとは異なる概念であると考えられよう。

転じて、Ayozie(2013)は、消費者自身が望ましくないと感じる状況の下において、ノスタ

ルジアが消費者行動に有意な影響を及ぼしうると主張している。さらに、そのことに復刻製品の

存在意義を見いだしている。関連して、ノスタルジアの役割と重要性について、Cattaneo and

Guerini(2010)は「消費者があらゆる製品に対して、ノスタルジアを知覚して製品を購買して

いるわけではないものの、ノスタルジアは確かに肯定的な感覚を引き起こし、特定製品の購買に

は影響を及ぼしうる」(p. 11)と主張している。また、Brown and Kozinets(2003)によれば、人々

は、混乱した不安定な文化的状況に置かれた時、または、時代が劇的に変化する時に、ノスタル

ジア傾向を示すと主張している。具体的に、2001 年 9月 11 日の米国で起こった同時多発テロは、

人々のノスタルジア傾向を強化するきっかけになったという。そして実際に、テロ直後からカッ

プ・ケーキやチョコレート・クッキーなどの食品カテゴリーにおいて、伝統的な製品の売り上げ

が向上した(Brown and Kozinets, 2003)。それゆえに、不安定な時代に過去に回帰するようなレ

トロ・マーケティングの重要性が高まり、結果としてレトロ・ブランディングが増加する。

以上のレビューから明らかなように、復刻製品に関して、過去への回帰傾向に関連する「ノス

タルジア」概念が重要である。そこで本論は、「ノスタルジア」に焦点を合わせて、その観点か

ら復刻製品の有効性を吟味する。

Page 6: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

120

第 3 章 既存研究レビュー

第 1 節 ノスタルジアに関するレビュー

前章では復刻製品の復刻パターンに加えて、復刻製品とノスタルジアとが深く関係していると

いうことを述べた。ここでは、ノスタルジアという概念についての既存研究をレビューする。

ノスタルジアに関して、これまで多くの研究の蓄積がなされてきた。とりわけ、ノスタルジア

は社会学的観点から研究されることが多いものの、近年ではマーケティングの観点からもノスタ

ルジアについて盛んに研究が行われている。詳細なレビューに先立って、まず、既存のノスタル

ジアの定義について確認しておこう。

Belk(1990)は、ノスタルジアを「物、場面、匂い、音楽の旋律によって促されるかもしれな

い切ないムード」(p. 670)と定義している。また、Baker and Kennedy(1994)は、ノスタルジア

を「過去の経験、製品、サービスへの感傷的あるいはほろ苦いあこがれ」(p. 169)と定義してい

る。これら 2 つのノスタルジアについての定義は、「切ない」や「感傷的」などの用語が用いら

れていることから明らかなように、ノスタルジアに否定的な意味が含まれていると見なされる。

また、Davis(1979)は、ノスタルジアを「現在もしくは差し迫った状況に対するなんらかの否

定的な感情を背景にして、生きられた過去を肯定的な響きでもって呼び起こすこと」(邦訳,p. 27)

と定義している。この定義もまた、ノスタルジアに関する否定的な感情を含んでいる。ただし、

彼は、現在や未来に対して不安や恐れを感じている場合、人々が美化した過去を肯定的に受け取

るということを示唆している。同様に、水越(2006)によると、ノスタルジアは過去へのあこが

れと関連していて、ほろ苦く甘い(bittersweet)という両義性を担っているという。ノスタルジ

アに過去へのあこがれを指摘している点では、水越(2006)の主張は評価できる。Davis(1979)

によるノスタルジアの定義は、ノスタルジアが過去を美化するという点で、Belk(1990)と Baker

and Kennedy(1994)の定義はそれぞれ異なると考えられる。したがって、Davis(1979)と水越

(2006)のノスタルジアに対する観点と、Belk(1990)と Baker and Kennedy(1994)のノスタ

ルジアに対する観点とは異なっていると考えられる。

他方、Holbrook and Schindler(1991)は、ノスタルジアを、「人が、若かったとき(成人期初

期、青年期、幼少期、さらには生まれる前までも)、今より一般的だった(人気だった、流行し

ていた、あるいは広く流布していた)もの(人、場所、物)に対する選好(一般的な好意、肯定

的態度、あるいは好意的感情)」(p. 330)と定義している。そう定義した上で、彼らは、経験し

ていない過去のものに対してもノスタルジアを知覚しうると主張している。

また、Holak and Havlena(1998)は、「過去と関連したもの(物、人、経験、考え)の反映に

よってもたらされる肯定的に結合された、複雑な感覚、感情または気分」(p. 218)と定義してい

る。これら 2 つの定義は、ノスタルジアが肯定的な感情を伴うものであると捉えているという点

で共通している。また、これらには否定的な側面が含まれておらず、したがって、Belk(1990)

と Baker and Kennedy(1994)の定義とは異なっていると考えられる。以上までの諸研究におけ

るノスタルジアの定義は下記の図表 1 に示される通りである。

Page 7: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

121

上記のようにノスタルジアは多義的な概念である。そこで、その多義性を明確化するために、

ノスタルジアを分類する研究が行われてきた。

第 1 に、Stern(1992a, 1992b)は、ノスタルジアを歴史的(historical)ノスタルジアと個人的

(personal)ノスタルジアの 2 つに分類している。歴史的ノスタルジアとは、消費者が生まれる

前の歴史上の人物などに対して知覚するノスタルジアである。このノスタルジアに関して、例え

ば、Goulding(2002)は、実験を行った結果、自らの生まれる 10~15 年前の時代に対してノス

タルジアを知覚しやすいということを明らかにした。すなわち、消費者は、自分が実際に経験し

たことのないことに対してもノスタルジアを知覚しうるのである。製品、ブランド、および消費

方法についての物語を伝えるために、歴史的ノスタルジアを利用する広告戦略は、消費者を刺激

して、想像上の過去へ感情移入させる。歴史的ノスタルジアが、想像上に再現された過去を理想

化するのに対して、他方、Stern(1992a, 1992b)は、個人的ノスタルジアが個人的に思い出され

た過去を理想化すると述べている。個人的ノスタルジアは、消費者個人の経験に対して生じる。

このことについて、Holak and Havlena(1992)が行った実験によれば、消費者は自らの経験に関

係のあるもの(食料品や映画、誕生日など)からノスタルジアを知覚するという。

第 2 に、Davis(1979)は、ノスタルジアを 3 つに分類した。その第 1 は素朴な(simple)ノス

タルジアである。これは、「あの頃はいまよりも物事がうまくいった、もっと美しかった・もっ

と健康的だった・もっと幸福だった・もっと上品だった・もっと刺激があったと信じこんでいる

主観的な状態」(邦訳,p. 27)を指す。このノスタルジアを知覚する人は、過去のある時代に熱

い思いを寄せていて、現在にてどれだけ技術が進歩しようとも、その過去を賞賛する。第 2 は内

省的(reflexive)ノスタルジアである。人は過去を感傷的に美化し、現在を非難するだけではな

い。ノスタルジックな主張のもつ真実性、正確性あるいは代表性について、人々は経験に応じて、

ある種の疑問を感じることがある。つまり、このノスタルジアは、人が過去にあった事柄や事象

に疑問を抱くことを意味する。第 3 は、解釈された(interpreted)ノスタルジアである。人は過

去に対するノスタルジックな反応に対して疑問を呈し、少なくとも潜在的にはその反応を、問題

をはらんだものと見なす。そして、人はそのノスタルジアを対象化して分析しようとする。つま

り、ある場所である時期に自分が知覚しているノスタルジアに対して、「なぜここでこの時期に

感じるのであろうか」や「他の場所では感じないのであろうか」などの疑問を抱いて、その分析

を行う(Davis, 1979)。

第 3 に、Baker and Kennedy(1994)は、ノスタルジアを現実的(real)ノスタルジア、仮想的

(simulated)ノスタルジア、および集合的(collective)ノスタルジアの 3 つに分類している。現

実的ノスタルジアとは、直接経験したことのある過去への感傷やほろ苦いあこがれである。過去

の写真や人気だった歌などによって、現実的ノスタルジアは喚起される。現実的ノスタルジアに

ついて、Havlena and Holak(1996)の実験は、人々がカラーの画像よりも白黒の写真をノスタル

ジックであると知覚するということを示した。続いて、仮想的ノスタルジアとは、間接的に経験

した過去への感傷やほろ苦いあこがれである。人は、直接には経験しなかった過去の出来事を美

化して、再現することもある。その再現された出来事に対する感傷的な感情が、仮想的ノスタル

Page 8: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

122

ジアであり、これは骨董品や博物館などを見ることによって喚起される。そして、集合的ノスタ

ルジアとは、文化、世代、もしくは国家を表す過去に対するほろ苦いあこがれである。これは、

個人的な概念ではなく集団的な概念であり、例えば、アメリカでは、ホットドッグや野球、国旗

など文化を象徴するものに接触したり、それらを想起したりすることによって喚起されるような

ノスタルジアである。

第 4 に、Havlena and Holak(1996)はノスタルジアを、個人的経験と集合的経験の区分、直接

的経験と間接的経験の区分に基づいて 4 つに分類した。第 1 の個人的かつ直接的経験である個人

的(personal)ノスタルジアは、個人の直接経験によって喚起される。例えば、休日に家族と夕

食をとることに対して、このノスタルジアが喚起されるという。Holak and Havlena(1992)は、

家族や友人と過ごしたことが、人々にノスタルジアを喚起させるということを実験によって明ら

かにした。このノスタルジアは、Baker and Kennedy(1994)の現実的ノスタルジアと類似してい

る。第 2 は、個人的かつ間接的経験である対人的(interpersonal)ノスタルジアである。例えば、

これは家族や親友の思い出から喚起されるという。そして、第 3 の集合的かつ直接的経験である

文化的(cultural)ノスタルジアは、消費者の直接的経験と共有されたシンボルとに基づいてい

る。最後に、集合的かつ間接的経験である仮想的(virtual)ノスタルジアである。これは、間接

的で集合的な経験によって喚起され、消費者自身の文化的歴史に関するものや異なる文化的環境

に対するあこがれを示している。以上の諸研究におけるノスタルジアの分類は下記の図表 2 から

図表 5 に示される通りである。

以上のように、ノスタルジアの分類を試みる既存研究を概観したが、ノスタルジアという概念

を厳密に分類することは困難であると考えられる。なぜなら、分類しても説明できない部分をノ

スタルジアは常に含んでいるからである。したがって、本論ではノスタルジアを分類せず、1 つ

の概念として捉えることとする。その上で、ノスタルジアそのものを分類するのではなく、ノス

タルジアを喚起させる要素を識別・分類する方略が模索される。ノスタルジアを誘発する要因を

特定化する既存の研究は少ないものの、このことについて議論すべき余地が十分にあろう。以上

より、本論ではノスタルジアを分類せず、ノスタルジアを喚起させる要因を特定化すべく議論を

展開する。

さて、これまでの議論を踏まえると、ノスタルジアは、肯定的な側面と否定的な側面とを有し

ている。また、ノスタルジアは過去を美化する。加えて、消費者は、自らが経験していない過去

のことに対してもノスタルジアを知覚する。ここで、復刻製品に議論を限定すると、それによっ

て喚起されるノスタルジアは、既存の研究者が主張するように、肯定的な側面と否定的な側面を

有しているとは考えがたい。なぜなら、復刻製品によって消費者が過去の辛い出来事などを想起

し、復刻製品を購買するとは考えがたいからである。また、製品としての魅力を知覚してもらう

ために、肯定的な感情のみを引き起こすノスタルジアを想定するべきかもしれない。したがって、

ノスタルジアによる復刻製品の有効性を吟味しようとする本論では、ノスタルジアに否定的な側

面は含めないこととする。

かくして、ノスタルジアが肯定的感情であること、過去と関連していること、過去を美化して

Page 9: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

123

いることを踏まえて、本論ではノスタルジアを「経験、未経験にかかわらず、過去の物、人、お

よび場所を美化して、想起した肯定的な感情」と定義し、次節ではこのノスタルジアを喚起する

要因について既存研究を概観する。

図表 1 ノスタルジアの定義

研究 ノスタルジアの定義

Belk(1990) 物、場面、匂い、音楽の旋律によって促されるかもしれない切ない

ムード。

Baker and Kennedy

(1994) 過去の経験、製品、サービスへの感傷的あるいはほろ苦いあこがれ。

Davis(1979) 現在もしくは差し迫った状況に対するなんらかの否定的な感情を背

景にして、生きられた過去を肯定的な響きでもって呼び起こすこと。

Holbrook and Schindler

(1991)

人が、若かったとき(成人期初期、青年期、幼少期、さらには生ま

れる前までも)、今より一般的だった(人気だった、流行していた、

あるいは広く流布していた)もの(人、場所、物)に対する選好(一

般的な好意、肯定的態度、あるいは好意的感情)。

Holak and Havlena

(1998)

過去と関連したもの(物、人、経験、考え)の反映によってもたら

される肯定的に結合された、複雑な感覚、感情または気分。

本論の定義 経験、未経験にかかわらず、過去の物、人および場所を美化して、

想起した肯定的な感情。

(Belk(1990)、Baker and Kennedy(1994)、Davis(1979)、Holbrook and Schindler(1991)、Holak and Havlena(1998)を

もとに筆者が作成)

Page 10: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

124

図表 2 Stern(1992a, 1992b)の 2 つのノスタルジア

(Stern(1992a, 1992b)をもとに筆者が作成)

図表 3 Baker and Kennedy(1994)の 3 つのノスタルジア

(Baker and Kennedy(1994)をもとに筆者が作成)

Page 11: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

125

図表 4 Davis(1979)の 3 つのノスタルジア

(Davis(1979)をもとに筆者が作成)

図表 5 Havlena and Holak(1996)の 4 つのノスタルジア

(Havlena and Holak(1996)をもとに筆者が作成)

Page 12: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

126

第 2 節 ノスタルジアの規定要因

Brown, et al.(2003)は、フォルクス・ワーゲンのニュービートルとスターウォーズを例に、

インターネット上でその財に関連した記述や意見を集め、ネトノグラフィ(netnography)を行っ

た結果、レトロ・ブランドが成功する重要な要因として、「アレゴリー(Allegory)」、「オーラ

(Aura)」、「アルカディア(Arcadia)」、および「アンチノミー(Antinomy)」の 4 つ(4A)を挙

げている。ここで、レトロ・ブランドが「前の歴史的な時代から製品やサービスのブランドの復

活あるいは再スタートである」(Brown, et al., 2003)と定義されていることに鑑みて、復刻製品

を販売することは、レトロ・ブランディングの有用な手法の 1 つと見なしうるであろう。前章に

おいて述べた通り、復刻製品とノスタルジアとは強く関連しており、消費者の復刻製品購買の要

因となりうる。そうすると、レトロ・ブランドの有効性について Brown, et al.(2003)の挙げる

4 つの要因は、ノスタルジアを喚起し、復刻製品購買を促進する重要な要因と見なしえよう。し

たがって、本論では Brown, et al.(2003)の 4A がノスタルジアの規定要因であると読み替えて

議論を展開する。

第 1 のアレゴリーについて、Stern(1988)は社会の変化や消費者の嗜好によって、日々変化

するものであると述べている。それを受けて Brown, et al.(2003)は「ブランド・ストーリー」、

すなわち、製品の歴史は更新され続けている。製品の象徴的な歴史が消費者の記憶の中に留まっ

ていることは、レトロ・ブランディングにおいて重要であるという(Brown and Kozinets, 2003)。

第 2 のオーラについて、Keller(1998)はブランド・アイデンティティの側面であると述べて

いる。それを受けて、Brown, et al.(2003)は「本物らしさ」、すなわち、ブランドを本物として

識別させるものと主張している。つまり、そのブランドと識別するために必要なアイデンティテ

ィを表現するブランド要素であり、レトロ・ブランディングにおいて、消費者が発売された製品

を識別できる要素を盛り込むことが重要である。

第 3 のアルカディアについて、Brown, et al.(2003)は「理想化された過去」、つまり理想化さ

れたブランド・コミュニティのことであると述べている。また、堀内(2007)は「コミュニティ

的理想郷のことで、過去が理想郷として描かれていることである」(p. 186)と解釈している。消

費者が過去を美化することは、レトロ・ブランディングにおいて不可欠である(Brown and

Kozinets, 2003)。加えて、理想化された過去を共有する、ブランド・コミュニティの重要性も指

摘している(Brown and Kozinets, 2003)。

最後に、アンチノミーについて Brown, et al.(2003)は「二律背反」、つまり技術進歩により利

便性は増したが、せわしなさを感じてしまう現代と、利便性は劣っても拘束感の少なかった過去

の両方を望む感情のことであると述べている。それを踏まえて、堀内(2007)は二律背反を「パ

ラドックスが内在すること(伝統とテクノロジーといった、一見矛盾する側面を備えていること)」

(p. 186)と解釈している。レトロ・ブランディングにおいて、時代と技術の変化によって生じ

る二面性を考慮する必要があるといえよう。

以上のように Brown, et al.(2003)は、レトロ・ブランディングの成功要因として、アレゴリ

ー、オーラ、アルカディア、およびアンチノミーの 4 つを特定化している。ただし、レトロ・ブ

Page 13: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

127

ランディングの具体的手法を想定して、実証分析を行ってはいない。それゆえ、この点で限界を

抱えている研究であると指摘されよう。

第 4 章 仮説

第 1 節 概念の定義

前章では、ノスタルジアとそれを規定する 4 つの要因の詳細について吟味した。本節では、そ

れを基に、それぞれの要因を事例に照らし合わせ、概念を再考していく。

第 1 のアレゴリーについて、Stern(1988)は社会の変化や消費者の嗜好によって、日々変化

するものであると述べている。それを受けて Brown, et al.(2003)は「ブランド・ストーリー」、

すなわち、製品の象徴的な話、物語あるいは教訓と主張している。アレゴリーの代表的な事例と

して、タカラトミー製「フラワーロック」が挙げられる。1988 年、人とモノとをつなぐという

コンセプトで販売されたこの製品は、大人も購買する玩具として話題を呼び、全世界で 850 万個

の売り上げを記録した。20 年後、一世を風靡したこの「フラワーロック」は、時代に合わせて

新しい機能とデザインを取り入れ、「フラワーロック 2.0」として復刻販売された。これは「フラ

ワーロック」の歴史を消費者が認識していたため、「フラワーロック 2.0」が成功を収めたと考え

られる。以上のことを踏まえて、本論ではアレゴリーを「復刻製品が発売されるまでに生じた、

象徴的出来事を含めた歴史」と定義する。

第 2 のオーラについて、Brown, et al.(2003)は「本物らしさ」、すなわち、そのブランドを本

物として認識させるものと主張している。このとき、特定のブランドを識別するためのブランド

要素は、ブランド・アイデンティティを表現するものであり(Keller, 1998)、ブランドのオーラ

にとって重要であるという(Brown, et al., 2003)。ゆえに、多くの製品に見られる、パッケージ

およびロゴをブランド要素として扱うことが適切であると考えられる。

また、復刻製品はオリジナル製品との類似性を有しているべきであろう。なぜなら、オリジナ

ル製品とかけ離れたパッケージやロゴで復刻製品を販売したとしても、消費者はそのオリジナル

製品の復刻製品だと認識することができず、新製品として捉えてしまう可能性があるからである。

以上のことを踏まえて、本論ではオーラを「復刻製品とオリジナル製品のパッケージおよびロゴ

の類似性」と定義する。例えば「コカ・コーラ」は、当時の瓶のパッケージを忠実に再現し、視

覚的にノスタルジアに働きかけることに成功した事例であろう。しかし、オリジナル製品を当時

のまま精巧に再現し、成功した事例は数少ない。オリジナル製品を精巧に再現することによって、

「古臭い」や「時代遅れ」といった負の感情が誘発される可能性がある。このことについて Keller

(1998)はブランド要素としてのパッケージおよびロゴが、意味性を有しているとした。意味性

とは、ブランドの価値や効用に関する情報を伝達できることである。つまり、パッケージやロゴ

などから、消費者にブランドの価値を伝達することが重要であるとされている。森永製菓「マリ

ー」は、オリジナル製品のパッケージに改良を加えて復刻し、成功した事例として挙げられる。

Page 14: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

128

オリジナル製品発売から 90 周年を記念して販売された「復刻版マリー」は、当時のパッケージ

のデザインを取り入れ、現代風のデザインに変更しつつ、復刻したものであった。オリジナル製

品「マリー」が販売された当時は、ビスケットは高級品として扱われ、一般の人々が手に入れら

れるものではなかった。しかし、森永製菓が大衆向けに「マリー」を販売した結果、ビスケット

に対する消費者の意識は、「高貴なもの」から「親しみやすいもの」として変化していった。そ

して、2009 年に販売された「復刻版マリー」は、90 年前のパッケージ・デザインとは異なるパ

ッケージを採用しているものの、「多くの人が手に入れられるような親しみやすさを有するビス

ケット」という製品の価値は変わらず提供されている。

第 3 のアルカディアについて、Brown, et al.(2003)は「理想化された過去」、つまり理想化さ

れたブランド・コミュニティのことであると述べている。また、堀内(2007)は、「コミュニテ

ィ的理想郷のことで、過去が理想郷として描かれていることである」(p. 186)と解釈している。

バンダイの「キン肉マン消しゴム」を例に挙げて、アルカディアについて考えてみよう。「キン

肉マン消しゴム」は、漫画『キン肉マン』に登場するキャラクターの消しゴムフィギュアであり、

オリジナル製品は累計 1億 8000万個を売り上げ、1980年代に小学生男児を中心に人気を博した。

2008 年にコミック連載開始 29 周年を記念して、製品名を通称であった「キンケシ」に変更し、

復刻された。この復刻版の主なターゲットであった 30 代男性は、小学生としてオリジナル製品

に親しんでいた当時を懐かしんだ。また、復刻版の発売にインターネット上では、「キンケシ」

のコミュニティが形成されたことは、復刻製品である「キンケシ」の成功要因の 1 つと考えられ

るかもしれない。以上のことを踏まえて、本論ではアルカディアを「復刻製品によって過去のコ

ミュニティを理想郷として思い描くこと」と定義する。また、人と人同士のつながりだけでなく、

人とモノとのつながりなど、周囲の状況もアルカディアの意味として含まれる。

最後に、アンチノミーについて Brown, et al.(2003)は「二律背反」、つまり技術進歩により利

便性は増したが、せわしなさを感じてしまう現代と、利便性は劣っても拘束感の少なかった過去

の両方を望む感情のことであると述べている。それを踏まえて、堀内(2007)は二律背反を「パ

ラドックスが内在すること(伝統とテクノロジーといった、一見矛盾する側面を備えていること)」

(p. 186)と解釈している。そして、この相反する感情から、最新の技術と旧式の融合した復刻

製品が求められていると考えられている(Brown and Kozinets, 2003)。Brown, et al.(2003)も、

オリジナル製品を精巧に復刻した製品は、最新の製品に比べて、性能が劣っている点が問題とし

て指摘している。バンダイ製「たまごっち」を扱いアンチノミーについての例を見ていく。「た

まごっち」とは 1996 年に“デジタル携帯ペット”というコンセプトで発売され、当時の女子高生

を中心に大ブームを巻き起こした。8 年ぶりの復刻となった「かえってきた!たまごっちプラス」

は、赤外線機能を搭載し、他の人との通信を可能にすることで、コミュニケーション要素が大幅

に進化した。最先端の技術を扱っている復刻製品と、機能面が劣るが単純なオリジナル製品の両

者に肯定的な感情を示している状態が、二律背反の状態であると考えられる。以上のことを踏ま

えて、本論ではアンチノミーを「復刻製品から知覚する、現代の利便性と過去の安堵感との両方

を望む感情」と定義する。

Page 15: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

129

第 2 節 仮説

本節では第 1 項で製品購買意図に及ぼす影響に関する仮説を、第 2 項ではノスタルジアに及ぼ

す影響に関する仮説についてそれぞれ吟味する。第 1 項で用いられる態度とは、感情をベースと

した製品に対する評価のことで、購買行動を説明するために必要な概念である。また、一般的に

態度は、購買意図に影響を及ぼすと考えられている。以下より、これらを踏まえた上で復刻製品

購買意図に及ぼす影響についての仮説を第 1 項で展開していく。

第 1 項 復刻製品購買意図に及ぼす影響についての仮説

第 3 章第 1 節でノスタルジアを「経験、未経験にかかわらず、過去の物、人、および場所を美

化して、想起した肯定的な感情」と定義した。ノスタルジアは過去の物、人、および場所に対す

る感情であることを考慮すれば、過去に対する態度として見なされるであろう。また、復刻製品

は過去に一度販売されていた製品であるため、復刻製品購買意図には、過去への態度が有意な影

響を及ぼすと考えられる。すなわち、復刻製品によって喚起されるノスタルジアが高くなると、

その製品に対する態度が高くなり、それゆえに復刻製品の購買意図も付随して高まると予想され

る。Cattaneo and Guerini(2010)も同様の指摘をしている。よって、以下の仮説を提唱する。

仮説 1:ノスタルジアは復刻製品購買意図に正の影響を及ぼす。

第 2 項 ノスタルジアの規定要因に関する仮説

本論において、アレゴリーは「復刻製品が発売されるまでに生じた象徴的な出来事を含めた歴

史」と定義される。また、アレゴリーはノスタルジアを誘発させる要因と見なしうる(Brown, et

al., 2003)。社会に対してインパクトを及ぼしうる象徴的な出来事を起こしたことのある復刻製

品であれば、それを直接経験したかどうかにかかわらず(Holbrook and Schindler, 1991)、消費者

は、それを手がかりにして過去を思い出すことがあろう。このとき、消費者は、その象徴的な歴

史を介して思い出された過去に、ノスタルジアを知覚するようになると考えられる。したがって、

以下の仮説を提唱する。

仮説 2:アレゴリーはノスタルジアに正の影響を及ぼす。

本論において、オーラは「復刻製品とオリジナル製品のパッケージおよびロゴの類似性」と定

義される。また、オーラは、ノスタルジアを誘発させる要因と見なしうる(Brown, et al., 2003)。

オリジナル製品のパッケージと類似する復刻製品であれば、消費者はそれを手がかりにして過去

を懐かしく感じるかもしれない。実際に消費者は、パッケージ・デザインから種々の意味を獲得

する(Ulrich, 2008)。しかしながら、注意すべきことに、パッケージがもたらす製品の意味は、

時間の経過とともに更新されうる。このことを考慮すると、現代の技術とオリジナル製品の様相

を適切に調和させることが復刻製品にとって重要である(Brown, et al., 2003)。このとき、オリ

Page 16: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

130

ジナル製品と全く同様のパッケージを採用する復刻製品は、時間経過に伴って、連想される意味

も変容しているため、消費者に過去を想起させることを失敗してしまうであろう。つまり、オリ

ジナル製品と復刻製品とのパッケージの類似性の高さは、意味伝達の失敗を招いて、消費者のノ

スタルジアを低める結果となりうる。したがって、以下の仮説を提唱する。

仮説 3:オーラはノスタルジアに負の影響を及ぼす。

本論において、アルカディアは、「復刻製品によって過去のコミュニティを理想郷として思い

描くこと」と定義される。また、アルカディアは、ノスタルジアを誘発させる要因と見なしうる

(Brown, et al., 2003)。消費者がオリジナル製品を使用していた時の人間関係、併用していた物、

さらにはそれを使用した主な場所などを思い描けるような復刻製品であれば、それを直接経験し

たかどうかにかかわらず(Holbrook and Schindler, 1991)、消費者は、それを手がかりにして過去

を思い出すことがあろう。このとき、消費者は、理想郷としてのコミュニティを思い描き、過去

への憧憬を知覚するようになると考えられる。したがって、以下の仮説を提唱する。

仮説 4:アルカディアはノスタルジアに正の影響を及ぼす。

本論において、アンチノミーは「復刻製品から知覚する現代の利便性と過去の安堵感との両方

を望む感情」と定義される。また、アンチノミーは、ノスタルジアを誘発させる要因と見なしう

る(Brown, et al., 2003)。現代の技術と過去に感じた安堵感とを知覚しうる復刻製品であれば、

それを直接経験したかどうかにかかわらず(Holbrook and Schindler, 1991)、消費者は、それを手

がかりにしてより強力に過去を意識するであろう。このとき、消費者は現代の利便性と過去の安

堵感というこれら 2 つを望む感情を介して思い出された過去に、ノスタルジアを知覚するように

なると考えられる。したがって、以下の仮説を提唱する。

仮説 5:アンチノミーはノスタルジアに正の影響を及ぼす。

第 5 章 実証分析

第 1 節 調査の概要

第 1 項 分析方法の吟味

本論の概念モデルの経験的妥当性を吟味するため、構造方程式モデリング(Structural Equation

Modeling: SEM)を用いる。SEM とは、複数の構成概念間の因果的関係を統計的に検討するため

の分析技法である。本論のモデルには、直接的に観測することができない複数の構成概念が含ま

れており、また、それらの因果的関係を想定している。よって、当該分析方法を採用することが

Page 17: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

131

妥当であると考えられる。

なお、この分析を実行するにあたって、IBM SPSS Amos ver.19、および IBM SPSS Statistics ver.19

を使用した。

第 2 項 調査の概要

調査対象者は、都内大学のマーケティング科目を受講している大学生 187 名であり、その講義

において出席点を加えるというインセンティブを与え、本調査に協力していただくよう依頼した。

1 人の調査対象者に 2 つの異なる製品について回答していただいたため、全サンプル数は 374 で

あり、そのうち、分析に利用することのできない回答を除いた有効回答数は 350(有効回答率は

93.6%)であった。調査に際して、7 点リカート法を採用し、本論のモデルを構成する複数の概

念に関する各質問群について、回答者に 7 段階の度合いによって示された「とてもそう思う」か

ら「全くそう思わない」までの中で、最も近い数値を選択するよう求めた。

他方、本論では財の差異、およびオリジナル製品販売からの経年数の差異を、それぞれ考慮し

て調査対象製品として設定した。概要は以下の表の通りである。

図表 6 調査対象製品

食品

チョコエッグ

(フルタ製菓株式会社)

マリー

(森永製菓株式会社)

オリジナル製品 1999 年発売 1923 年発売

復刻製品 2009 年発売 2013 年発売

経年数 10 年 90 年

玩具

フラワーロック

(株式会社タカラトミー)

ファービー

(株式会社タカラトミー)

オリジナル製品 1988 年発売 1999 年発売

復刻製品 2008 年発売 2013 年発売

経年数 20 年 14 年

第 3 項 観測変数の設定

質問票の作成に際し、既存研究の測定尺度を採用し、各観測変数を設定した。「ノスタルジア」

は Holbrook(1993)から、「購買意図」については、Baker and Churchill(1997)および Dodds, Monroe,

and Grewal(1991)からそれぞれ測定尺度を用いた。なお、「アレゴリー」、「オーラ」、「アルカ

ディア」、および「アンチノミー」については、測定尺度に言及している既存研究がないため、

Brown, et al.(2003)と堀内(2007)を参考にして、本論独自の測定尺度を用いた。

Page 18: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

132

本分析に先立て、これらのすべての概念について、クロンバックの α係数を算出した結果、「ア

ンチノミー」は 0.619 と十分に高い値であるとは言いがたいものの、その他のすべての構成概念

について、既存研究(Hair, Anderson, Tatham, and Black, 1995)が推奨する 0.700 以上の良好な値

を示している。関連して、すべての概念について確認的因子分析を実施して、SCR(合成信頼性)

および AVE を算出した結果、SCR については、既存研究(Hair, et al., 1995)の推奨する 0.500

以上という基準をすべて満たしている一方、AVE(平均分散抽出)については、「アンチノミー」

のみ既存研究の推奨する値0.500を下回った。それ以外の概念については0.500を上回っている。

以上の結果から、「アンチノミー」の測定尺度の信頼性・妥当性について、本論は限界を抱えて

いると指摘される。

なお、上記の変数以外に、コントロール変数を設定する。Cialdini(2009)は製品入手不能性

を希少性(scarcity)と見なし、数量的制約と時間的制約は製品の価値を増大させると主張して

いる。さらに、そのような希少性は消費者の購買意図を増大させるということが、実証的に明ら

かにされている(今城,2013)。オリジナル製品の中には現在入手することが不可能、もしくは

極めて困難な製品も存在し、それゆえに希少性に差異が見られるかもしれない。また、復刻製品

も、第 2 章において述べられたように、数量や期間の限られた製品が存在する。それゆえに、復

刻製品間でも希少性に差異が見られる。そうすると、これら 2 つの希少性が、復刻製品の購買意

図に影響していることも想定される。そこで、「オリジナル製品の希少性」と「復刻製品の希少

性」とが復刻製品の購買意図に及ぼす影響を統制するために、両概念をコントロール変数として

モデル内に含める。なお、両概念の測定尺度については、柴田・大内・神崎・横内(2008)を参

考にして、本論独自に測定尺度を作成した。

第 2 節 分析結果

第 1 項 モデルの全体的妥当性

各モデルのパス係数の推定には最尤推定法が用いられた。最適化計算は正常に終了し、各モデ

ルの全体的妥当性に関しては、以下のような結果が得られた。まず、χ²検定量は 425.907(p=0.000)

であった。χ²値/d.f.は、2.278 という数値が出力され、既存研究(Hair, et al., 1995)が推奨する 3.000

以下という基準を満たしている。また、モデルの説明力を示す GFI は、0.900 であり、既存研究

(Hair, et al., 1995)が推奨する 0.900 以上という基準を満たしているために、モデルの適合性が

高いと判断される。さらに、自由度が増減することによる見せかけの適合度変化を考慮している

指標である平均二乗誤差平方根(RMSEA)は 0.061 であり、既存研究(Hair, et al., 1995)の推奨

する 0.080 以下という基準値を下回るため、収集データは、それぞれに正しく適合していると判

断される。

以上のことより、本論の概念モデルは十分に高い全体的妥当性を示していると判断されよう。

そこで続いて、モデルの部分的妥当性の評価に進むことにする。

Page 19: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

133

第 2 項 モデルの部分的妥当性

モデルについて、設定したパス係数の標準化係数値と t 値は、図表 8 に要約されるとおりであ

る。

図表 7 モデル全体の評価指標

χ²値

(p 値)

425.907

(0.000) χ²値/d.f. 2.278

GFI 0.900 CFI 0.953

RMSEA 0.061 RMR 0.100

AIC 557.907 BIC 812.531

図表 8 パス係数

符号仮説 標準化係数 t 値 分析結果

仮説 1 ノスタルジア→復刻製品購買意

+ 0.460***

7.989 支持された

仮説 2 アレゴリー→ノスタルジア + 0.339***

5.909 支持された

仮説 3 オーラ→ノスタルジア - -0.098* -1.896 支持された

仮説 4 アルカディア→ノスタルジア + 0.521***

7.798 支持された

仮説 5 アンチノミー→ノスタルジア + -0.070 -1.066 支持されなかった

オリジナル製品希少性→復刻製品購買

意図

― 0.031 0.591 ―

復刻製品希少性→復刻製品購買意図 ― -0.010 -0.175 ―

ただし、***、**、*はそれぞれ 1%、5%、10%水準で有意。無印は非有意であることを指す。

Page 20: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

134

図表 9 分析結果パス図

第 3 節 考察

まず、コントロール変数として設定した希少性について見てみよう。オリジナル製品の希少性

と復刻製品購買意図との間の標準化係数は 0.031 であり、非有意であった(t=0.591)。同様に、復

刻製品の希少性と復刻製品購買意図との間の標準化係数は−0.010 であり、非有意であった

(t=−0.175)。これらのことから、両概念が復刻製品の購買意図に有意な影響を及ぼしているわけ

ではないという知見を得た。

他方、仮説 1 のノスタルジアは復刻製品購買意図に正の影響を及ぼすということについて、ノ

スタルジアと復刻製品購買意図との間の標準化係数は 0.460 であり、正の値かつ 1%水準で有意で

あった(t=7.989)。このことから仮説1は経験的に支持されたと判断できるであろう。したがっ

て、復刻製品購買意図には、ノスタルジアが影響を及ぼすということが考えられる。それゆえに、

消費者が懐かしさを感じることによって、復刻製品を購買しようとするという知見が得られた。

以上のことから、復刻製品購買を促進する要因として、ノスタルジアが最も重要な要因と見な

しうることが示唆される。

アレゴリー

オリジナル製品の

希少性

オーラ

復刻製品

購買意図 ノスタルジア

復刻製品の

希少性

アルカディア

アンチノミー

0.399***

−0.098 *

0.521 ***

−0.070

0.031

−0.010

0.460***

* :10%水準で有意

***:1%水準で有意

χ²: 425.907

χ²/d.f.: 2.278

GFI: 0.900

CFI: 0.953

RMSEA: 0.061

Page 21: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

135

続いて、復刻製品購買を促進するノスタルジアがいかなる要因に起因しているのかについて、

仮説 2 から仮説 5 に対応するパス係数を見てみよう。

仮説 2(アレゴリーはノスタルジアに正の影響を及ぼす)について、アレゴリーとノスタルジ

アとの間の標準化係数は 0.339 であり、正の値かつ 1%水準で有意であった(t=5.909)。よって、

このことから仮説 2 は経験的に支持されたと判断できるであろう。この結果から、社会に対して

インパクトを及ぼしうる象徴的な出来事を起こしたことのある復刻製品であれば、消費者はその

オリジナル製品を直接経験したかどうかにかかわらず、その復刻製品を手がかりにして過去を思

い出すことができる。それゆえ、消費者は、その象徴的な歴史を介して思い出された過去に、ノ

スタルジアを知覚するようになるという知見が得られた。

仮説 3(オーラはノスタルジアに負の影響を及ぼす)について、オーラとノスタルジアとの間

の標準化係数は−0.098 であり、負の値かつ 10%水準で有意であった(t=−1.896)。よって、このこ

とから仮説 3 は経験的に支持されたと判断できるであろう。この結果から、オリジナル製品と全

く同様のパッケージを採用する復刻製品は、製品から連想される意味が、時間経過に伴って変容

しているために、消費者に過去を想起させることに失敗してしまう。つまり、オリジナル製品と

復刻製品とのパッケージの類似性の高さは、意味伝達の失敗を招いて、消費者のノスタルジアを

低める結果となりうるという知見が得られた。

仮説 4(アルカディアはノスタルジアに正の影響を及ぼす)について、アルカディアとノスタ

ルジアとの間の標準化係数は 0.521 であり、正の値かつ 1%水準で有意であった(t=7.798)。よっ

て、このことから仮説 4 は経験的に支持されたと判断できるであろう。この結果から、消費者が

オリジナル製品を使用していた時の人間関係、併用していた物、さらにはそれを使用した主な場

所などを思い描けるような復刻製品であれば、消費者は、それを手がかりにして過去を思い出す

ことができる。このとき、消費者は、理想郷としてのコミュニティを思い描き、過去への憧憬を

知覚するようになると考えられるという知見が得られた。

仮説 5(アンチノミーはノスタルジアに正の影響を及ぼす)について、アンチノミーとノスタ

ルジアとの間の標準化係数は−0.070 であり、非有意であった(t=−1.066)。よって、このことから

仮説 5 は経験的に支持されなかったと判断されるであろう。この結果から、現代の技術と過去に

感じた安堵感とを知覚しうる復刻製品であれば、消費者は、それを手がかりにしてより強力に過

去を意識することができる。このとき、消費者は、現代の利便性と過去の安堵感というこれら 2

つを望む感情を介して思い出された過去に、ノスタルジアを知覚するようになるという知見が得

られなかった。

第 6 章 おわりに

第 1 節 学術的インプリケーション

本論は、「いかなるメカニズムによって復刻製品は成功するのか」という研究課題について、

Page 22: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

136

Brown, et al.(2003)をもとに、消費者行動論の見地から仮説の検証を行った。Brown, et al.(2003)

は、ノスタルジアに影響を及ぼす要因としてアレゴリー、オーラ、アルカディア、およびアンチ

ノミーの 4 つを提案したものの、その測定と復刻製品購買意図との関連性の検証を行っていなか

った。それとは対照的に、本論では、それら 4 つのノスタルジアの規定要因を測定した上で、4

つの要因とノスタルジアとの関係性、およびノスタルジアと復刻製品購買意図との関係性につい

て実証分析を行った。そのような本論は、下記のような学術的インプリケーションを提供してい

る。

第 1 に、Brown, et al.(2003)の限界を解決するために、4 つのノスタルジアの規定要因を測定

したことは一定の学術的意義があると考えられる。さらに、それがもたらす帰結を論理的・経験

的に吟味しえたといえよう。

第 2 に、既存研究で復刻製品購買意図に影響を及ぼすと考えられる「オリジナル製品の希少性」

と「復刻製品の希少性」とは、それぞれ、復刻製品の購買を有意に促進しないことが明らかにさ

れた。それとは対照的に、本論が焦点を合わせたノスタルジアは、復刻製品購買に有意な影響を

及ぼしていることを明らかにした。このことは、既存研究(Cattaneo and Guerini, 2010)の主張を

再確認し、学術的に意義深いと考えられる。

第 3 に、復刻製品の有効性に関する既存研究(柴田・他,2008)は、製品カテゴリーによる差

異を考慮していなかった。それゆえに、実証分析に使用された製品カテゴリー特有の効果を排除

できていない可能性がある。本論は、食品と玩具という特徴の異なる製品を対象に実証分析を行

ったため、製品カテゴリーの差異によって生じる効果を適切に排除していると考えられる。それ

ゆえに、ノスタルジアと前件・後件要因との関係性についてより一般的な知見を得たと言えよう。

かくして本論は、以上の点に鑑みて、十分な学術的貢献をなしている。

第 2 節 実務的インプリケーション

本論の第 4 章の仮説、および第 5 章の分析結果より、ノスタルジアは復刻製品購買意図に正の

影響、アレゴリーとアルカディアもそれぞれノスタルジアに正の影響を及ぼし、オーラはノスタ

ルジアに負の影響を与えるという知見を得た。つまり、オリジナル製品を復刻する場合には、ア

レゴリーとアルカディアを高め、オーラを低めることが重要である。

上記の結果に加え、アレゴリー、オーラ、アルカディア、およびアンチノミーのそれぞれの因

子得点を算出し、質問紙調査に使用した 4 製品それぞれについて一元配置分散分析を行った(補

録 4 を参照)。なお、本分析においてノスタルジアとの関係性が経験的に支持されなかったアンチ

ノミーについては言及しないこととする。分析の結果、オリジナル製品販売から復刻製品販売ま

での経年数の長さによって、ノスタルジアが喚起されるプロセスに差異があるという知見を得た。

オリジナル製品販売から経年数が長い復刻製品に関しては、それら 3 つの要因のうち、特にオー

ラを抑制することによって、ノスタルジアを喚起することができるという知見が得られた。他方、

経年数が短い復刻製品に関しては、3 つの要因のうち、特にアレゴリーとアルカディアによって

ノスタルジアが喚起されていた。このことは、一様に成功しているように見えた復刻製品が、す

Page 23: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

137

べて同じように成功しているのではなく、オリジナル製品販売からの経年数の長さにより、ノス

タルジアが喚起されるプロセスに違いがあることを明らかにした。

これに関連して、企業はそのオリジナル製品をターゲット世代が認知しているか否かを特定す

ることがある程度可能である。そして、消費者を分類し、プロモーションの方法を変えることで、

より効率的に復刻製品戦略を展開することができるであろう。

これらのことより、経年数の短い製品を復刻する場合、アレゴリーとアルカディアを高める必

要がある。よって、オリジナル製品を知っている世代をターゲットにする場合、過去に形成され

ていたコミュニティや、その製品の輝かしい歴史が消費者の記憶にとどまっているうちに復刻す

べきである。また、オリジナル製品を知らない世代の消費者に対しては、オリジナル製品の象徴

的出来事や歴史を感じさせるようなプロモーションを行った上で、過去のコミュニティを想起さ

せるような製品として復刻すべきである。他方、経年数の長い製品を復刻する場合、オーラを低

める必要がある。オーラとは、復刻製品とオリジナル製品のパッケージおよびロゴの類似性のこ

とであり、オリジナル製品を認知している消費者とそうでない消費者によって差異がないため、

プロモーションを行う上で消費者を分類する必要はないと考えられる。よって、オリジナル製品

販売当時に大衆向け製品として売り出されていた製品であるならば、現代でも多くの人に好まれ

るようなパッケージやロゴに変更して復刻すべきである。このように、オリジナル製品販売から

の経年数の長さによって、消費者を分類し、復刻のパターンを変えることで、復刻製品の有効性

を効率的に消費者に訴えかけることができるであろう。

第 3 節 本論の限界

以上のような成果をあげた本論だが、他方で、いくつかの限界が指摘されるであろう。

第 1 に、質問紙調査において、本論では時間的・金銭的制約ゆえに対象者を大学生に設定した

ため、調査対象世代の偏りが限界として指摘されよう。今回の研究対象が復刻製品であることを

考えると、消費者の年齢によって調査の結果に差が見られるかもしれない。それゆえ、今後は無

作為抽出法を用いて、より幅広い世代のデータに基づき調査を行う必要があろう。

第 2 に、質問紙調査を実施するにあたって、対象者の世代の他にも消費者間の差異を吟味して

いないことが挙げられる。例えば、オリジナル製品の使用経験がある場合とない場合とでは、復

刻製品に対する消費者の態度が異なることも考えられる。このことを考慮した上で、本論のモデ

ルを改良する余地が残されている。

第 3 に、概念モデルにおけるアンチノミーの信頼性係数が、既存研究の推奨する値に達してい

なかったことも問題視されるべきであろう。今後、アンチノミーに関する観測変数をより精緻に

吟味する必要がある。

第 4 に、いくつかの既存研究では、ノスタルジアをいくつかに分類することを提案していたも

のの、本論ではノスタルジアを 1 つの概念として捉えている。このことについて、一定の論理的

妥当性が認められるものの、より詳細に他の概念との関係性を吟味するためには、ノスタルジア

を分類する必要があるかもしれない。もしくは、本論で構築されたモデルの頑健性を吟味するた

Page 24: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

138

めに、対立するモデルとしてノスタルジアを分類するモデルを構築して比較しなければならない

かもしれない。ただし、このことは、本論の限界であると同時に、復刻製品研究のみならず、ノ

スタルジア研究の抱える限界でもある。

第 4 節 今後の課題

いくつかの限界が指摘されるものの、本論の成果に基づき、今後、以下のような研究の展開が

期待される。

まず、本論は、消費者行動研究の見地から、復刻製品が成功するメカニズムを明らかにするこ

とができた。今後、同様の見地に立つならば、復刻製品が成功する要因として、消費者を取り巻

く環境要因である、製品が復刻させる時代の状況や、消費者に関連する他の心理的要因も考慮し

てモデル改良を行うことが期待される。例えば、経済不況時における消費者の心理的状態を考慮

して、復刻製品の有効性を吟味することは興味深いであろう。

また、本論では、復刻を「過去に販売されていた製品が販売終了ないし、パッケージの変更を

経験した後、再び販売されること」と定義し、そのような製品を復刻製品と称した。他方、レト

ロな雰囲気を感じさせるパッケージや製品名で販売しているが、過去に販売されていた事実がな

く、視覚的に懐かしさを訴求する製品も存在している。本論の構築したモデルを拡張すれば、製

品復刻とは異なるレトロ・マーケティングの有効性を吟味することができるであろう。その上で、

レトロ・マーケティングのいかなる手法がより有効なのかを吟味することも、今後、議論する余

地のあるテーマであろう。

以上のように、本論はいくつかの限界を残しながらも、多くの成果を挙げ、今後の研究の進展

に役立つものであると結論付けられる。

参考文献

Ayozie, Daniel Ogechukwu (2013), “Consumerism the Shame of Marketing in Nigeria: Challenges to

Corporate Practices,” Universal Journal of Management and Social Sciences, Vol. 3, No. 3, pp.

49-71.

Baker, Stacey M and Patricia F. Kennedy (1994), “Death by Nostalgia : A Diagnosis of Context−Specific

Cases,” Advances in Consumer Research, Vol. 21, pp. 169-174.

Belk, Russell W. (1990), “The Role of Possessions in Constructing and Maintaining a Sense of Past,”

Advances in Consumer Research, Vol. 17, pp. 669-676.

Benjamin, Walter (1999), The Arcades Project , Howard University Press.

Brown, Stephen (1999), “Retro-Marketing: Yesterday's Tomorrows, Today!” Marketing Intelligence and

Planning, Vol. 17, No. 7, pp. 363-76.

――― (2001), Mareting - The Retro Revolution, Sage Publications.

Page 25: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

139

――― and Robert V. Kozinets (2003), “Sell Me the Old, Old Story: Retromarketing Management and the

Art of Brand Revival,” Journal of Customer Behaviour, Vol. 2, No. 2, pp. 133-147.

―――, ―――, and John F. Sherry, Jr. (2003), “Teaching Old Brands New Tricks: Retro Branding and the

Revival of Brand Meaning,” Journal of Marketing, Vol. 67, No. 3, pp. 19-33.

Cialdini, Robert B. (2009), Influence: Science and Practice, Allyn and Bacon.

Davis, Fred (1979), Yearning for Yesterday: A Sociology of Nostalgia, The Free Press, 間場寿一・荻野美

穂・細辻恵子訳 (1990),『ノスタルジアの社会学』,世界思想社。

di Eleonora Cattaneo and Carolina Guerini (2010), “Nostalgia Booming in Marketing Communication:

Does It Matter in Retro Branding Activities?” Università Carlo Cattaneo LIUC, pp. 1-12.

Goulding, Christina. (2002), “An Exploratory Study of Age Related Vicarious Nostalgia and Aesthetic

Consumption,” Advances in Consumer Research, Vol. 29, pp. 542-546.

Hair, Joseph F., Rolph E. Anderson, Ronald L. Tatham, and William C. Black (1995), Multivariate Data

Analysis with Readings 4th

ed., Prentice Hall.

Havlena, William J. and Susan L. Holak (1996), “Exploring Nostalgia Imagery through the Use of

Consumer Collages,” Advances in Consumer Research, Vol. 23, pp. 35-42.

Holak, Susan L. and William J. Havlena (1992), “Nostalgia: an Exploratory Study of Themes and Emotions

in the Nostalgic Experience,” Advances in Consumer Research, Vol. 19, pp. 380-387.

――― and ――― (1998), “Feelings, Fantasies and Memories: An Examination of the Emotional

Components of Nostalgia,” Journal of Business Research, Vol. 42, No. 3, pp. 217-226.

Holbrook, Morris B. (1993), “Nostalgia and Consumption Preferences: Some Emerging Patterns of

Consumer Tastes,” Journal of Consumer Research, Vol. 20, No.2, pp. 245-256.

――― and Robert M. Schindler (1991), “Echoes of the Dear Departed Past: Some Work in Progress on

Nostalgia,” Advances in Consumer Research, Vol. 18, pp. 330-333.

Holt, Douglas B. (1997), “Poststructuralist Lifestyle Analysis: Conceptualizing the Social Patterning of

Consumption in Postmodernity,” Journal of Consumer Research, Vol. 23, No. 4, pp. 326-350.

――― (2004), How Brands Become Icons, Harvard Business School Press, 斉藤裕一訳(2005)『ブラン

ドが神話になる日』,ランダムハウス講談社。

堀内圭子(2007),「消費者のノスタルジア――研究の動向と今後の課題――」,『成城文藝』(成城

大学),第 201 号,179-198 頁。

今城周造(2013),「製品入手可能性の制約が購買意図に及ぼす効果――リアクタンス理論による

分析――」,『昭和女子大学生活心理研究所紀要』, (昭和女子大学),第 15 巻, 1-10 頁。

Keller, Kevin L. (1998), Strategic Brand Management Third Edittion, Pearson Education, 恩藏直人訳

(2010)『戦略的ブランド・マネジメント』,東急エージェンシー。

Kozinets, Robert V. (1999), “Utopian Enterprise: Articulating the Meanings of Star Trek’s Culture of

Consumption,” Journal of Consumer Research, Vol. 28, No. 1, pp. 67-88.

Page 26: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

140

水越康介 (2006),「ノスタルジア消費に関する理論的研究」,『製品研究』,第 55 巻 1・2 号(通巻

216・217 号),16-30 頁。

Ulrich, Orth R. and Keven. Malkewit (2008), “Holistic Package Design and Consumer Brand Impressions,”

Journal of Marketing, Vol. 72, No.3, pp. 64-81.

柴田大樹・大内みさと・神崎紗蓉子・横内拓幸(2010),「復刻製品戦略の有効性」,『慶應マーケ

ティング論究』,第 6 巻,715-766 頁。

Stern, Barbara B. (1988), “Medieval Allegory: Roots of Advertising Strategy for the Mass Market,” Journal

of Marketing, Vol. 52, No. 3, pp. 84-94.

――― (1992a), “Nostalgia in Advertising Text: Romancing the Past,” Advances in Consumer research,

Vol. 19, No. 1, pp. 388-389.

――― (1992b), “Historical and Personal Nostalgia in Advertising Text: The Fin de Siècle Effect,” Journal

of Advertising, Vol. 21, No. 4, pp. 11-22.

参考 URL・参考資料

江崎グリコ株式会社 公式 HP:復刻版各種|ぐりこや商品紹介

(http://www.ezaki-glico.net/glicoya/good2.html, 2013 年 10 月 27 日アクセス)。

株式会社湖池屋 公式 HP:50 周年記念の復刻版パッケージ! 「復刻版 コイケヤポテトチップス」

期間限定発売 「のり塩/うすしお味/コンソメ」3 品

(http://koikeya.co.jp/news/detail/340.html, 2013 年 10 月 27 日アクセス)。

株式会社タカラトミー 公式 HP:トップページ|ファービー|商品情報|

(http://www.takaratomy.co.jp/products/furby/index.php,2013 年 10 月 5 日アクセス)。

株式会社タカラトミー 公式 HP:『フラワーロック 2.0』新発売!

(http://www.takaratomy.co.jp/product_release/pdf/p080618.pdf, 2013 年 10 月 28 日アクセ

ス)。

株式会社総合プランニング 公式 HP

(http://www.sogop.co.jp/news/archives/2012/06/press_rele_4.html, 2013 年 9 月 20 日アクセ

ス)。

株式会社フレンテ 公式 HP

(http://frente.co.jp/index.html, 2013 年 10 月 25 日アクセス)。

株式会社明治 公式 HP:祝 45 周年!発売当時の味わいとデザインが甦る、復刻版「カール」登場!

「カール チキンスープ」新発売

(http://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2013/detail/20130411_01.html, 2013 年 10月 31

日アクセス)。

Page 27: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

141

カルピス株式会社 公式 HP:「カルピス」発売 90 周年の取り組み|プレスリリース|

(http://www.calpis.co.jp/corporate/press/nr_00366.html, 2013 年 10 月 25 日アクセス)。

協同乳業株式会社メイトー 公式 HP:「復刻版 牛乳と卵でつくったなめらかプリン」新発売 - 新

着情報

(http://www.meito.co.jp/news/cat1/000339.html, 2013 年 10 月 27 日アクセス)。

サッポロビール株式会社 公式 HP:<復刻>サッポロ缶ビール」限定発売のお知らせ(2009 年 09

月 17 日)

(http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000010196/index.html, 2013 年 10 月 27 日アク

セス)。

大正製薬株式会社 公式 HP:発売当時のデザインを再現「リポビタン D 復刻版」数量限定発売 |

(http://www.taisho.co.jp/company/release/2005/05_1121-j.htm, 2013 年 10 月 26 日アクセ

ス)。

日清食品株式会社 公式 HP:ニュース詳細|ニュースリリース|会社情報|

(http://www.nissinfoods.co.jp/com/news/news_release.html?nid=2512, 2013 年 10月 27日ア

クセス)。

バンダイ株式会社 公式 HP:プレミアム・ゴールドフィギュア『純金製キンケシ®』

(http://search.bandai.co.jp/?go=http%3A%2F%2Fwww.bandai.co.jp%2Freleases%2Fimages

%2F3%2F46422.pdf%23page%3D1%26f%3Dr&rid=2007306&ref=0, 2013 年 10 月 28 日ア

クセス)。

Fashionsnap:NIKE エンジニアードメッシュ加工の新「AIR MAX」シリーズ発売

(http://www.fashionsnap.com/the-posts/2013-01-08/nike-air-max/,2013 年 10 月 27 日アク

セス)。

フルタ製菓株式会社 公式 HP:チョコエッグ博物館

(http://www.furuta.co.jp/chocoegg/index.html, 2013 年 10 月 5 日アクセス)。

ミスタードーナッツ 公式 HP

(http://www.misterdonut.jp/, 2013 年 10 月 25 日アクセス)。

森永製菓株式会社 公式 HP:「ハイチュウ」なつかしの味 総選挙で No.1 の味を復刻!「ハイチュ

ウ<ヨーグルト>期間限定で新発売

(http://www.morinaga.co.jp/company/pdf/20120605_01.pdf, 2013 年 10 月 27 日アクセス)。

森永製菓株式会社 公式 HP:ビスケットシリーズラインナップ

(http://www.morinaga.co.jp/biscuit/campaign/, 2013 年 10 月 5 日アクセス)。

森永製菓株式会社 公式 HP:ビスケット誕生秘話『時代を超えたビスケット、マリー』

(http://www.morinaga.co.jp/biscuit/history/story/ex_marie.php, 2013年 10月 28日アクセス)。

森永製菓株式会社 公式 HP:『復刻版マリー』期間限定発売

( http://www.morinaga.co.jp/cgi-bin/company/newsrelease/mrg_cmp_readnews.cgi?no=67,

2013 年 10 月 28 日アクセス)。

Page 28: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

142

雪印メグミルク株式会社 公式 HP:「雪印 ネオソフト」に復刻版登場 - 雪印メグミルク

(www.meg-snow.com/news/2013/pdf/20130215-552.pdf, 2013 年 10 月 25 日アクセス )。

日本経済新聞夕刊:「復刻版」熱い、車・食品など続々 定番に安心感

(2012 年 2 月 23 日付,1 面)。

Page 29: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

143

補録 1 質問紙調査表

復刻製品に関する意識調査

<ご挨拶>

私たちは、現在、東京経済大学経営学部森岡耕作ゼミナールでマーケティングに関する研究・調査を

行っています。近年の復刻製品市場に関心を持ち、日々研究を進めています。この調査を進めるにあた

って、復刻製品に対する消費者の意識のデータを必要としています。

ご回答いただいた内容は研究以外の目的に使用されることはなく、個人を特定する情報が外部に流出

することは一切ございません。また、分析の精度を高める為に、似たような質問がいくつか設定されて

いますが、必ずすべての質問にご回答いただきますようお願い申し上げます。

<ご回答にあたって>

・他の方と相談されることなく、ご自身の考えを記入してください。

・お手数ですが、ご回答が終わりましたら、記入漏れがないかもう一度ご確認ください。

※調査結果につきましては、下記のとおりご報告させていただく予定です。

関東学生マーケティング大会(2013 年 11 月 30 日/於:学習院大学目白キャンパス)

東京経済大学経営学部ゼミ報告会(2013 年 12 月 21 日/於:東京経済大学国分寺キャンパス)

東京経済大学経営学部森岡耕作ゼミナール(長谷川班)

飯島友典・加納政宗・小林果歩・長谷川愛・前嶋美樹・渡辺有希江

Page 30: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

144

①チョコエッグ(フルタ製菓株式会社)について伺います。以下の項目についてあてはまるものに○

をつけてください。

Page 31: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

145

②フラワーロック(株式会社タカラトミー)について伺います。以下の項目についてあてはまるもの

に○をつけてください。

Page 32: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

146

(1)森永マリー(森永製菓株式会社(MORINAGA&CO.,LTD.))について伺います。以下の項目について

あてはまるものに○をつけてください。

Page 33: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

147

(2)ファービー(株式会社タカラトミー)について伺います。以下の項目についてあてはまるものに

○をつけてください。

Page 34: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

148

補録 2 質問紙調査資料

①チョコエッグ(フルタ製菓株式会社)

オリジナル製品

復刻製品

製品名 チョコエッグ動物シリーズ 1(日本の動物) チョコエッグ 10th(日本の動物)

製品概要

1999年発売。

卵型のチョコレートの中に

精工な日本の動物のフィギュアが入っており、

食玩ブームの火付け役となった。

2009年発売。

発売から 10周年記念&累計 50弾の記念として

初代と同じ日本の動物のフィギュア入りを発売。

Page 35: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

149

②フラワーロック(株式会社タカラトミー)

オリジナル製品

復刻製品

製品名 フラワーロック フラワーロック 2.0

製品概要

1988年発売。

全世界で累計 850万個売り上げた。

周囲の音に反応し、踊るように動く。

2008年発売。

新機能として、LEDが常にカラフルに光り、

音楽プレーヤーとの連動機能などが搭載された。

Page 36: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

150

(1)森永マリー(森永製菓株式会社(MORINAGA&CO .,LTD.))

オリジナル製品

復刻製品

製品名 マリー丸缶入り 24枚復刻版マリー

製品概要

1923年発売。

森永の代表的なビスケット。

これまで高級品であったビスケットを

大衆化させた。

2013年発売。

発売 90周年記念として復刻された。

当時の素朴な味も再現されている。

Page 37: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

151

(2)ファービー(株式会社タカラトミー)

オリジナル製品

復刻製品

製品名 ファービー ファービー

製品概要

1999年発売。

動きを交えて話す人形として

社会現象を巻き起こした。

全世界で 4000万個を販売。

2013年発売。

初代ファービーよりも語彙が豊富であり、

スマートフォンとの連動機能なども追加された。

Page 38: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

152

補録 3 各概念の測定尺度

構成概念 質問項目 α 係数 SCR AVE

アレゴリー

そのオリジナル製品は、一時代の歴史を築いた。

0.894

0.894

0.738 そのオリジナル製品は、発売されていた当時を象徴するものである。

その復刻製品は、発売当時流行していた。

オーラ

その復刻製品は、オリジナル製品に似ている。

0.838

0.842

0.642 その復刻製品は、オリジナル製品の復刻版だと十分に認識できる。

その復刻製品は、オリジナル製品の雰囲気を十分に感じる。

アルカディア

その復刻製品は、過去の人との楽しかったつながりを思い出させる。

0.866

0.887

0.732 その復刻製品は、過去の楽しかった周囲の環境を思い出させる。

その復刻製品によって過去の人との楽しかった繋がりを思い出すことができ

ない。

アンチノミー

その復刻製品は、昔の技術の乏しさを感じる。

0.619

0.556

0.313 その復刻製品をみると、技術の変化のすごさを十分に感じることができる。

その復刻製品からは、現代の技術進歩を感じられない。

オリジナル製品

の希少性

そのオリジナル製品は、常に入手することができる。

0.856

0.884

0.725 そのオリジナル製品は、いつでも販売されている。

そのオリジナル製品は、いつでも販売されているわけではない。

復刻製品

の希少性

その復刻製品は、常に入手することができる。

0.871

0.880

0.713 その復刻製品は、いつでも販売されている。

その復刻製品は、いつでも販売されているわけではない。

ノスタルジア

その復刻製品をみると、昔に戻りたい気持ちになる。

0.754

0.773

0.541

その復刻製品をみると、古き良き時代のことを思い出す。

その復刻製品をみると、昔に戻りたいとは決して思わない。

その復刻製品をみると、今という時代が生き生きしていると感じる。

その復刻製品をみると、今日が色あせて感じる。

その復刻製品をみると、懐かしさを感じる。

復刻製品

購買意図

その復刻製品を使ってみたい。

0.903

0.914

0.783 その復刻製品を試してみたい。

その復刻製品を絶対に買いたくない。

Page 39: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

153

補録 4 各因子における製品間比較表

F 値:32.859*** (***:1%水準で有意)

F 値:18.187*** (***:1%水準で有意)

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

アレゴリー因子の製品間比較

チョコエッグ ファービー フラワーロック マリー

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

オーラ因子の製品間比較

チョコエッグ ファービー フラワーロック マリー

Page 40: 復刻製品が成功するメカニズム - 東京経済大学web.tku.ac.jp/.../articles/group/2013/group_2013_retro.pdf「復刻製品が成功するメカニズム」 117 岐にわたり、様々な製品カテゴリーにおいて復刻製品は発売されている。本節では復刻製品の5

「復刻製品が成功するメカニズム」

154

F 値:16.881*** (***:1%水準で有意)

F 値:7.876*** (***:1%水準で有意)

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

アルカディア因子の製品間比較

チョコエッグ ファービー フラワーロック マリー

-0.3

-0.25

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

アンチノミー因子の製品間比較

チョコエッグ ファービー フラワーロック マリー