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2011. 1 I n t e r B E E 2 0 1 0 Vol.136 発行所 (株)ユニワールド Price ¥500.- 月刊 フルデジタル・イノベーション 2011 年 1 月号 2011 年 1 月 1 日発行 〒 156-0043 東京都世田谷区松原 2 - 34 - 9  Tel. 03 - 5376 - 7267 特別記事:InterBEE2010 特集 ビデオ・サーバシステム・ソリューション最前線 Vol.136 2011 1 Price 500.- 映像制作 オーディオ デジタル放送時代のプロ映像 / 音響制作技術とプロダクツ情報月刊フルデジタル・イノベーション Event Focus ‥‥‥‥‥‥‥ 「音の日」第17回 日本プロ音楽録音賞授賞式/第15回「音の匠」顕彰式 「国際フラットパネルディスプレイ2010」 徹底検証地上デジタル放送‥‥反転は本物か? 民放経営の現在・過去・未来 デジタルシネマ Now ‥‥‥‥S3D の問題点 サテライトスクェア‥‥‥‥‥ 「宙博(ソラハク)2010」と「iEXPO 2010」 CG contents ‥‥‥‥‥‥‥トロン:レガシー User's Report ‥‥‥‥‥‥r STUDIO

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ユニワールド

2011.1

InterBEE 2010

特集/ビデオ・サーバシステム・ソリューション再前線

Vol.136

発行所 (株)ユニワールド

  Price ¥

500.-月刊 フルデジタル・イノベーション 2011年1月号 2011

年1月1日発行

〒156-0043 

東京都世田谷区松原2 - 34 - 9  

Tel. 03 - 5376 - 7267

特別記事:InterBEE2010 特集 ビデオ・サーバシステム・ソリューション最前線

Vol.136

2011  1Price 500.-

映 像 制 作

オーディオプロ

デジタル放送時代のプロ映像/音響制作技術とプロダクツ情報■月刊フルデジタル・イノベーション

■Event Focus ‥‥‥‥‥‥‥「音の日」第17回 日本プロ音楽録音賞授賞式/第15回「音の匠」顕彰式                「国際フラットパネルディスプレイ2010」■徹底検証地上デジタル放送‥‥反転は本物か? 民放経営の現在・過去・未来■デジタルシネマNow ‥‥‥‥S3Dの問題点■サテライトスクェア‥‥‥‥‥「宙博(ソラハク)2010」と「iEXPO 2010」■CG contents ‥‥‥‥‥‥‥トロン:レガシー■User's Report ‥‥‥‥‥‥ r STUDIO

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InterBEE 2010レポート II

 JEITA社団法人 電子情報技術産業協会は、日本放送協会、社団法人 日本民間放送連盟の後援により、2010年11月17日 (水 )から19日 (金 )までの3日間、千葉市美浜区の幕張メッセにて、音と映像と通信のプロフェッショナル展として「InterBEE 2010」を開催した。 展示会場では過去最高の824社 (うち海外30ヶ国 /地域より478社 )が出展、合計小間数は1,347小間で、幕張メッセ4ホールから8ホールまでを使用しての開催となった。本年は映像関連に続いて境めなしで音響関連ブースとなったり、従来音響機器の専門メーカーや販社であった出展社でも、映像関連機器の取り扱いや展

示が増える傾向にあり、映像・音響の双方のホールに出展した会社も見受けられた。 また本年は、音響機器においては世界標準となった音圧レベルの統一に関する業界の動きは早く、この分野での新製品が目立った。 今号では前号に引き続き、映像・放送関連機材部門とプロオーディオ部門の各社の出展概要を主体に掲載する。

InterBEE2010レポート IIInterBEE2010レポート II

 NEC 日本電気 HDTV高感度CCDカラーカメラ、デジタル FPU装置中継伝送機器、APS送出システム、地上デジタルテレビ送信機など幅広いジャンルの多岐にわたる製品を紹介。 特に新製品としては、H.264超低遅延対応素材伝送用コーデック装置やポータ

ブルカメラ「NC-H1000P」などの新製品を出品した。 同製品は、HDVT高感度カメラ「NC-H1000」をベースにバッテリーでの運用やビューファインダーの装着、伝送装置のドッキングを可能とした製品。光伝送装置や小型FPUとの組み合わせで報道や中継システムの構築が可能なほか、高感度CCDと近赤外波長帯透過フィルターにより夜間の更なる高感度撮影が可能となった。(写真右) また、映像圧縮時の遅延を業界最小クラスの10msecに抑えたデジタル映像圧縮・伝送装置「VC-7700」(写真右)も出品。同製品は、映像圧縮方式として、MPEG-2に比べ2倍以上の圧縮率を実現する最新の映像圧縮国際規格「H.264 [email protected]」を採用しており、映像信号のほかに、デジタル字幕データや放送局間制御信号などの補助データ信号も伝送することが可能である。 VC-7500/7510、VD-7500/7510は、独自の高画質アルゴリズムを搭載した超低遅延モードに加え、低レート高画質モードに対応したボードコーデックで、今回の出展ではSHF帯トリプルモードFPU装置TVL-D500シリーズとの組み合わせで、H.264の超低遅延伝送(約14ms)の実演デモを行った。

 富 士 通 「ファイルベース時代に向けたワークフローの革新」をテーマとして、ファイルベース化に向けたソリューションやクラウドサービス、映像処理技術などを紹介。 放送事業者の業務フローにあわせ、「映像伝送」「保存/検索」「配信」の3つのコーナーにて出展。 「映像伝送コーナー」では、従来から提供している IPシリーズを活

用した新しいソリューションのほか、報道素材高速ファイル伝送からファイルベースによる番組交換方式(ARIB TR-B31)に対応したオンライン納品までを視野にいれた、近未来型ワークフローを紹介。情報カメラ常時蓄積システム、取材映像共有システムのほか、ファイルベースメディアプラットフォームとして、報道素材高速ファイル伝送・ファイルによるオンライン納品などの製品や超高速ファイル伝送システムBI.DAN-GUN(ビーアイ・ダンガン)を展示した。 また、「保存/検索」のコーナーでは、同社のサーバ、ストレージ技術を活かし、増え続ける膨大な映像資産の管理をファイルベース運用に切り替え、共有・検索・アーカイブを効率的に行うシステムを紹介した。 配信コーナーにおいては、リアルタイム映像をIPTV向けにライブ配信するシステムを応用した放送局の「局内共聴システム」と、市販のデジタルテレビでデコードできるシステムを紹介。また、IPネットワーク経由でのVOD視聴端末として普及の進む市販のIPTV(DTV情報化研究会ネットテレビ仕様に準拠したTV等)を受信端末に利用し、H.264によるHD映像素材のリアルタイムライブ配信を実現するIPビデオ配信"Live On Demand" を紹介した。

超高速ファイル伝送システムBI.DAN-GUNなどを紹介した映像展示コーナー

IPビデオ配信"Live On Demand"と「保存/検索」のコーナーでのメディアプロセシング

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InterBEE 2010レポート II

 伊藤忠ケーブルシステム ビデオトランスポートソリューションとして、マルチサービスプラットフォームをはじめとした、映像配信に最適な製品群を紹介。 また、放送/送出システムソリューションとしては、従来の送出システムから一歩進んだソリューションを提案した。 特に本年は、スリースクリーン

(=モバイルTV、IPTVやデジタルTV)H.264ビデオトランスコーダ/エンコーダの動態展示、保守サービスに関する提案も行った。 出展製品としては、新製品Envivio 社「4Caster C4²」を展示。同製品は、モバイルTV、IPTV、デジタルTV(スリースクリーン)へのライブおよびVOD配信向けのマルチプラットフォーム・マルチプロファイル対応H.264トランスコーダ/エンコーダで、1Uの筺体に最大4系統入力を有し、マルチフォーマットのH.264ベースエンコーディングに対応する。また、1入力から、iPhone/iPad、Android、Windows Media、Silverlight、Flash Media やQuick Time などへ同時にエンコードすることで、多様化したビデオ配信サービスに高い運用効率を提供可能である。なお、「4Caster C4²」は、イーサネット系統と電源が二重化冗長で、またロードバランス管理およびシステム冗長構成を組むことが可能である。 その他出展製品は、低遅延H.264HD/SDエンコーダ「MAKITO」、トータルIP配信ソリューション「Video Furnace System5」などであった。

 共信コミュニケーションズ フェアライト初公開の新製品「Constellation EVO System」やオーディオ /ビデオキャプチャ、プレイバック、ファイルトランスファーシステムのPyxis などの最新CC-1エンジンによる放送用オーディオ /ビデオ編集機器を中心に出展した。 メインステージでは「FAIRLIGHT 3D-Pyxis」と「Panasonic PT-DZ8700」を用いた150インチスクリーンでの3Dプレゼンテーションを上映。最新のビデオディスクレコーダー3D-Pyxis からのプレイバックでブースの案内を行なった。 オーディオプロダクションシステムはFPGAベースのハードウェアによりストレスの無いMAワークフローを構築可能なミキシングとDAW、NLVを完全統合した新世代のメディア・プロダクション・システム「FAIRLIGHT EVO」を使用した。 また、2D映像をリアルタイムに3D変換し、3Dコンテンツ制作の大幅な効率化を実現した3Dシステムツール「JVC STREOSCOPIC Image Processor」や最高画質を提供し続けてきた世界標準の方式変換器「Snell Alchemist Ph.C-HD」なども発表した。 その他 iPad & Android モバイル配信システム「Touch Stream +

Adobe Flash Media Server」や、ノンリニア編集システム「Apple Xsan + Baton(QC)」、「Avid ISIS-5000」、「Adobe CS5 + REX-MR05」、テープレス&ファイルベースツール「Pipeline HD Dual」などを展示した。

 Vinten 創設100周年を迎えた同社では、この記念すべき年に、これまで数々の賞を受賞してきたヴィジョンシリーズから、小型軽量カムコーダー向けに高いコストパフォーマンスを提供する待望の新製品 「Vision blue」、コンパクトなヘッド設計で幅広い荷重範

囲に対応するスタジオカメラ用・中継用新製品「Vector 430」を発表した。 「Vision blue」は、現行モデルの Pro-5 と Pro-6 をリニューアルし、重量バランスが切り換え式だったものを、無段階で重量バランスが調節できるという機構を搭載した。一方「Vector 430」は、コンパクトで軽量な独自設計により、10kg~ 43kgの小型ボックスレンズから大型VF付きポータブル、ビルトアップ式スタジオカメラなどの幅広い用途に対応する新製品。 また、「Vision AS シリーズ」を展示。これまで多くのプロカメラマンに愛用されてきたヴィジョンシリーズが、スタイリッシュなブラックボディとカメラの簡単着脱を可能にするサイドロード式カメラプレートを搭載し、一昨年発表されたもので、ラインアップは、「Vision 3AS」「Vision 5AS」「Vision 8AS」「Vision 10AS」などである。そのほか、ENG三脚の定番「Vision 100」世界中で愛用される米国バッテリーブランド「アントンバウアー」なども展示した。

「Vision blue」と「Vector 430」の展示コーナー

 アイディーエクスサ ー バ ー シ ス テ ム「Play

Magic」をはじめ、 3Dモニター、各種 ENDURAアクセサリー(ショルダーアダプター)、BPバッテリー等の各種新製品を展示。信 頼 性 の 高 いSSD(Solid

State Drive) を採用した、画期的な映像・音声送出サーバーである

「PlayMagic MFP-100」はMulti Format Play out Serverで、放送・業務用市場で一般的に運用されているHDD 型のサーバーに代わる、信頼性の高いSSD を採用した高い運用性とコストダウンに貢献する送出サーバーで、「PlayMagic SSD」を介して映像・音声素材の転送/ 再生を行う1U サイズの送出サーバーである。 (写真上)3Dモニタでは、有機 ELを使った15インチマルチフォーマットモニ

ター「TDM-150W」を出展(写真下) 。高コントラスト比・高視野角・高い応答速度を誇るアクティブシャッター方式で、色の再現性が高い製品である。また、V-Mount 駆動の高出力タイプの

LEDハンドライト「MK-L3V」は、白色 LED採用にて、低電力・高寿命を実現した新タイプハンドライトと、ENDURA バッテリーで駆動できるV-Mountタイプ電源BOXとのセットとなっている。 その他、 「BP-H120A・BP-H110A・BP-N65」などのBPバッテリーも従来品からリニューアルされたパッケージの製品を展示した。

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InterBEE 2010レポート II

 平和精機工業

 アイベックステクノロジー オリジナルMPEGコアの開発により、放送設備のデジタル化への課題を解決する2種の新製品を出展。中継先への「送り返し」として放送波が使われているが、デジタル化後には遅延が生じ大きな問題となると予想される。同社の「HLD-3000」はH.264 に対応し、「送り返し」画像の遅延を1フレーム以下に抑え、この課題を解決する。 また、「MC-1000」は、CATVの自治体/地域情報、行政情報、防災情報等の自主放送を低レートで行うエンコーダで、狭帯域で複数の自主放送チャンネルを確保出来る。■超低遅延H.264コーデック「HLD-3000」は、同社独自の開発によりH.264コーデック時間を限りなくゼロに近づけ、遅延の感じられない画像・音声伝送を可能にした、ハイビジョン対応/ 超低遅延H.264コーデック装置。■MPEG-2 低レートエンコーダ「MC-1000」は、CATV 放送用途に特化したMPEG-2 低レート対応エンコーダ。アナログからデジタルへの移行時に、帯域不足による自主放送チャンネル数の確保が必要な場合に最適の装置である。フレームレートを最小2fps~とすることで、約500Kbps~の低ビットレートでの自主放送を可能とした。自治体の地域情報、行政情報、防災情報等の静止画文字情報等や、情報カメラの映像をコマ送り方式でエンコードする。

 OMNEON ネットワーク経由でのダイレクト編集、ProXchange による高速トランスコードにも対応し、新 製 品2UContents Server の 採用により「MediaGrid Base pack」でGBコストの低減と高帯域を実現したアクティブ・ストレージ「MediaGrid」をは

じめ、Media Application Server と連動して稼動し、ProXplore から転送、トランスコード、リラッピングなどの設定が可能で、分散処理に対応した高速トランスコード・アプリケーションの新製品「ProXchange」、新フォーマットとしてAVC Intra をサポートした送出サーバー「Spectrum」、本年のNABで初めて一般公開したグラフィックオンエア統合型のメディア・サーバー「MediaDeck GX」などを出展した。■「Omneon Spectrum」メディアサーバーシステムは、テレビ番組の取込み、制作、送出アプリケーションに対応し、業界トップの拡張性、安定性、コスト効率を誇るビデオサーバーインフラストラクチャ。高い柔軟性と拡張性を提供するモジュール構成でデザインされたSpectrumシス

テムは、チャンネル数、メディアフォーマット、帯域幅、ストレージ容量を必要に応じて緻密に構成できるばかりでなく、ニーズの変化に応じて、構成を容易に変更することができる。■「Omneon MediaGrid」は、メディアワークフローにおいてアクティブな役割を果たす世界初のコンテンツストレージシステム。単なる高性能共有ストレージに留まらず、メディア制作アプリケーションを直接サポートするOmneon MediaGrid は、格納されたコンテンツに対して、メディア処理を行うことができる。また同製品は、コンテンツを統合して管理作業を削減、ワークフローを最適化する。■統合型メディアサーバー「Omneon MediaDeck」は、コスト効率が良く、運営が容易なSD最大6チャンネル又は、HD最大4チャンネル対応のプラットフォームを必要とする放送局やビデオプロフェッショナル向

けにデザインされたブロードキャスト品質のビデオサーバー。 Omneon Spectrum の 統 合型メディアサーバーであるMedia Deck は、ストレージ、システム管理、ギガビットEthernet 接続、ビデオI/O モジュールを便利な2ラックユニットにまとめた製品である。

 昨今のデジタル一眼レフによる動画撮影の普及とともに、軽量コンパクトモデルの新製品を発表。 フルーイドヘッドのシネシリーズに新しく「シネDSLR」を登場させた。普通のビデオカメラ使用時以外に、デジタル一眼を載せる時のためにプレー

ト部にカメラセット用パーツを用意。このプレートは別に購入することができ、従来のサイドロックタイプのザハトラーヘッドであれば、使うことができる。 また大型機用としては、100 ㎜ボールヘッドの「ビデオ18 S1」「ビデオ20 S1」も新登場。従来機ではそれぞれ10段階および12段階だったカウンタ-バランス数が、両機とも16 段階に増加。様々なスタイルでの撮影時に、より正確にカウンターバランスを調整することが可能となった。 ヘッド前面には、ビデオシリーズでは初めてとなる荷重域切替スイッチ(ブーストボタン)を搭載。両機の荷重範囲内で、LowとHigh の2つの荷重域をセットすることが可能な製品である。

 Sachtler

 新シリーズRSシリーズを中心として小型カメラ用のDVシリーズ、搭載重量13-25kg の LS シリーズ、各種カメラ対応のリモートコントロール、躍動感溢れる映像を作り出すジブアーム JB-30やトラッキングレールシステムTR-320、スタジオ仕様のペデスタルシステムなどを展示。  昨今のビデオカメラ小型・高性能・低価格化に伴い新開発されたRSシリーズのうち、「RS-250」シリーズは高性能と圧倒的なコストパフォーマンスを兼ね備えている。

 ダイワ/スリック 業務用から小型カメラまで幅広くカバーするビデオ三脚「DSTシリーズ」3機種が新登場。いずれもLED照明付き水準器搭載で、使い勝手を向上さた製品で、沈降式ビデオボスを採用し適正搭載重量2㎏の「DST43」、沈降式ビデオボスを採用し適正搭載重量4㎏の「DST73」、油圧トルク2段切り換え式で適正搭載重量6~8㎏の「DST103」である。 また、同社取り扱いのアメリカdedolight社製スタジオ照明も幅広く展示した。

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 NTTアドバンステクノロジー HDV, MXF, AVI などあらゆるファイルフォーマットに対応したトランスコードアプリケーションで、ARIB 対応のH.264を出力することもはもちろん、Windows MediaやFlashも出力可能な3種類の製品『H.264 ソフトウェア・エンコーダSDK』

『MVC ソフトウェア・コーデックSDK』『RealFeelトランスコーダ』をはじめ、高速トランスコードシステム『VAT-100』、『JPEG 2000 リアルタイムコーデック』、非圧縮HDTV-IP Gateway『XG-2』などを出展。 『VAT-100』は、AVC/H.264 HDTV ソフトウェアエンコーダ「HDVE-100」SDKと映像に特化したクラウドコンピューティング技術を用いた高速トランスコードシステム。 また、『JPEG 2000 リアルタイムコーデック』は、4K 映像をリアルタイムで、JPEG 2000 方式によりIP ネットワークで配信できるコーデック装置で、4Kコンテンツのライブ配信やVOD再生が可能、映画館での上映や高精細CGの再生等多様なニーズへ対応する製品。 非圧縮HDTV-IP Gateway 『XG-2』は、高精細TV 映像の中継以外にも、IPネットワークを使った高品位TV会議や高品位映像の多地点配信、高品位映像を用いた遠隔医療・診断、教育機関における遠隔講義などが行える製品である。

  フ ルHD 3D 素 材 を 最大2 系統同時に伝送でき、4K2K 素材伝送にも対応する「MPC1010」を出展。イベントの3D 映像ライブ中継や、映画館への3D 映像素材伝送を高画質に行うのに適したマルチチャンネルエンコーダ。展示会場では、3D映像素

材伝送の実演を行った。その他に16QAMやOFDMと組み合わせたCATV 事業者様向けのソリューション展開、HOG用のレピータとして、キャリアAP からヘッドエンドまでを光ファイバで接続するのに適したメディアコンバータによる非圧縮映像伝送の実演を行なった。■MPEG-2 HDTV/SDTVの新製品 マルチチャンネルエンコーダ「MPC1010」は、イベントの3D 映像ライブ中継や、映画館への3D 映像素材伝送を高画質に行うのに適したマルチチャンネルエンコーダ。最大4チャンネルの同時エンコードが可能で、STC/GOPを完全同期して出力できる。フルHDTV 3D 素材を最大2系統同時に伝送でき、4K2K素材伝送にも対応する。展示会場では、3D映像素材伝送の実演を行う。

■AVC/H.264 MPEG-2 対応レシーバ内蔵デコーダ 「HVD6100」は、AVC/H.264 クロマ4:2:2 HDTV 対応デコーダ機能とDVB-S2 対応デモジュレータ機能を世界で初めて一体化したIRD。デモジュレータ機能として、高性能な衛星放送規格DVB-S2 やDVB-DSNG、DVB-Sに対応。復調方式は、QPSK/8PSKに加え、従来のIRDでは対応していなかった、より伝送効率の良い16APSK/32APSK 方式にオプションで対応している。■WDM対応メディアコンバータ「プラスレピータシリーズ」は、メディアコンバータ・レピータ機能(中継)・波長変換を1台で実現。CWDM/DWDM波長多重フィルタと組み合わせることで、WDM伝送装置として使用できる。SD-HDI、HD-SDI に対応しており、IP 信号と合わせてWDM伝送が可能。さらに、プラスアンプ(ブースタアンプ)と組み合わせることで、無中継での長距離接続を実現。HOG用のレピータとして、キャリアAP からヘッドエンドまでを光ファイバで接続するのに適している。CATV 事業者をはじめ、通信キャリアや大学、多くの企業への納入実績がある。展示会場では、非圧縮HDTV 映像を1μs以下の超低遅延で伝送する様子を紹介した。■その他出展製品は、AVC/H.264&MPEG-2 エンコーダ/デコーダ「HV9100シリーズ」、MPEG-2 エンコーダ/デコーダ 「H5100シリーズ&RU3100シリーズ」、フルハイビジョンひかりTV電話RiscaVision 「RV1000」などである。

 NTT Electronics

 フィックスターズ 3Dエンコーダ「Accelcoder」 (アクセルコーダー) を出展。同製品は、IPTV (ARIB) およびBlu-ray 規格に対応した、プロ向けのH.264ビデオエンコーダで、高速エンコードエンジンとVTRデッキコントロール機能を備え、ビデオのキャプチャからエンコードまでをリアルタイムに行

える。 中間ファイルの生成が不要で、大量のエンコードが必要な場面でも、スピーディに高品質

なデータを出力することができる。また、右眼用、左眼用それぞれの映像を入力することで、IPTV などのコンテンツ配信で利用可能なサイドバイサイド形式およびBlu-ray 3D 向けエンコードにも対応している。

 カリーナシステム ベースバンド入力、ファイルフォーマット入力に対応した高画質なH.264ファイル制作に最適なインテリジェントエンコードシステム「Cambria ADE」 をはじめ、新製品の「Cambria FTC」。技術展示として3D MVCエンコードシステム「Cambria 3D」、USTREAM対応 FLASHメディアサーバー向けライブエンコードシステム「Cambria Live」を出展した。

 ミューズテクス カナダMatrox 社の最新入出力製品群を一堂に集めて出展。S3D編集に対応し て い る「MXO2 Mini」「MXO2 LE」「MXO2」「MXO2 Rock」は、従来のよりも一層小型・省電力化した製品で、バッテリーでの運用が可能なコストパフォーマンスの高い製品となっている。 また、新製品では「Convert DVI」を紹介。DVI で出力された映像をHD、SDビデオ信号に変換することが可能な低価格でハイエンドスキャンコンバーターを実現した製品である。 また、3Dステレオスコピックワークフローの展示では、DASHWOODの説明も行なった。

「MXO2 LE」はHDSDI とHDMI の 入出力、アナログコンポーネント/コンポジット/S-ビデオの入出力とプロに必要な入出力を網羅。ビデオバッテリ入力を装備。ステレオキャノン入出力、ゲンロック(2値/3値)、9ピンリモート、リアルタイムハードウェアスケーリング、HDとSDの同時出力機能、HDMIモニターキャリブレーション機能等々、低価格なのに大幅に豊富な機能を搭載した新モデル

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 三信電気 各種プロ映像制作ソリューションを取り扱う同社ブースでは、「映像のファイルベース化」を基軸として、米国HARRIS 社のマルチフォーマットコンバータ、映像自動送出システム、IPTVエンコーダ、ルーティングスイッチャ、マルチビューワを幅広く展示

紹介したのをはじめ、FibreChannel iSCSI 編集ネットワークシステム「Studio NetworkSolutions」、Avid Technology「Symphony Nitris DX」「Media Composer Mojo DX」を説明展示した。 また3D関連製品では、パナソニックのAG-3DA1を始めとした3D制作ソリューション、「NetBlender」3D Blu-ray オーサリングシステム、Victor の 3Dイメージプロセッサーなどを出展。その他「digital rapids」のHDリアルタイムエンコーダー「Stream ZHD」(写真左)、またノンリニア編集関連製品ではApple「Final Cut Pro」や「SONNET」e-SATAストレージ・カードリーダーQio、「INLET TECHNO-LOGIES」マルチフォーマットエンコーダーなども展示した。

 映像・音声の自動監視により「映像・音声障害を未然に防止できること」「万が一、障害が起きたとしても短時間での復旧を可能とすること」「品質管理業務を自動化することで、運用者の負担を軽減すること」を実現すべく、新製品を含めた充実のラインナップを紹介し、素材、送出および再送信それぞれに最適なソリューションを展示した。 自動監視装置QuMax シリーズは、同期の追従を強化した「Flex Sync」、数フレームのフリーズやミュートを検知する「Super Double End」および誤検知を低減するフィルタ「3D Filter」等の新機能を加えることで、より一層信頼性を向上した。 新製品の自動品質検査装置「VP3000H」は、『ブロックノイズ、フリーズ、ブラックアウト、音声ミュート』などのVTRテープの再生時のエラー発生の有無を比較なしで検査する。さらに、『デジタルノイズ、映像カクリ、映像瞬断、音声瞬断、リップシンク』等のファイルへの圧縮変換時のエラー発生の有無を比較検査する。 また、同製品は、操作性に優れたポータブル型の検査装置として、検査結果をわかりやすく表示すると同時に、各検査項目の感度調整も簡単に行える。検査結果は、全てWeb Interfaceを通じて、どこからでも簡単に取り出すことができる。 その他「MPEG PROBE」を参考展示。IPTV/CATV等の様々なシーンでの品質チェックために、これまで『QuMaxシリーズ』で実績を重ねてきた自動監視機能を、PCサーバー上で動作するソフトウェアとして開発した。 上記ほかにも客観品質評価装置「VP21H」なども展示した。

 K-WILL KDDI 研究所 Beyond 3D TV と題して将来の映像アプリケーション技術と、高品質映像関連ソリューションの展示を行った。技術展示では、8Kフル解像度の超高精細映像の伝送システムをシアターにて上映。その他にも「スタジアム3D自由視点」、「スリースクリーンサービス技術」、「ソーシャルリモコン技術」など最先端技術を紹介した。製品展示では、映像の品質検査の効率化を可能にする「MP-Factory」、地球上どこからでも映像伝送が可能な「VistaFinder」などを紹介した。

 画質評価エンジンを搭載した「MP-Factory」は、地デジ、IPTV、Blu-ray などの様々な映像サービスに対応した映像・音声のコーデックをはじめ、高速フレーム精度編集や RTP 送受信などの多彩な機能を提供するソフトウェア開発キット。新たに、映像の品質検査の効率化を可能にする独自の自動画質評価機能を搭載するなど、より幅広いワークフローに適用可能な、高品質映像関連ソリューションを提供する。 また、ライブストリーミングソリューション「VistaFinder」は、可搬型映像伝送システムUQ WiMAX や インマルサット BGAN を含む、様々なネットワークを用いた映像のライブ・蓄積伝送が可能な、携帯型映像伝送システム。新たに、スマートフォンによる簡易映像配信、中継サーバを用いたVOD 配信、複数拠点映像の同時受信などの機能を加え、あらゆるシーンにおける映像撮影配信技術の提供が可能となった。

 芙蓉ビデオエージェンシー H.264機器を中心に、コンバーターやスイッチャーなど様々な機器を出展。

 H.264 IVDR レコーダ「HDR 1000」(写真上)は、H.264/ AVC CODEC を使用した HD-SDI 信号の録画再生装置で、IVDR (250GBカートリッジタイプHDD)を装備し、フルHD映像を高画質(20Mbps) で約23時間記録出来る。録画と再生を同時に行う、HD-SDI 信号の追いかけ再生が可能となっている。 また、タイムコード発生器「LTC101M」は小型BOXのリニアタ

イムコード信号発生器。GPS(全地球測位システム)で受信し、時刻を校正することができる。受信部は、電波の届く範囲へ移動できるようにセパレート形式に

なっている。タイムコードは、タイムスーパー信号としてキャラクター文字をHD-SDI信号に乗せて出力する。SDI出力信号には、垂直インターバルタイムコード(VITC)を、HANCに乗せて出力する。HD-SDI 信号はブラック信号、又はARIB-CBを選択が可能な製品。

ルーターコントロールパネル「Magellan」、ネットワークコントロールパネル「NUCLEUS」、スイッチャ&マルチビューワ「Platinum & CENTRIO」、HD/SDビデオサーバ「NEXIO Volt」などが並ぶHARRIS製品の展示コーナー。なお、「ADCシリーズ」APTシステムは、日本のユーザの放送要件に対応した同社開発のプラグインアプリケーション「PLF」と「PLM」を用意している。

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 Blackmagic Design 茶とクリームの展示コーナーの壁の色を基調とした世界共通デザインの広いブースにて出展。■本年夏にEchoLab社を買収し、同社がリリースを開始したプロダクションスイッチャ「ATEM」は、従来型のM/Eスタイルのオペレーションを採用したATEM 2M/E とATEM 1M/E プロダクションスイッチャで、パワフルで低価格。し か もSuper Source、Stingerトランジション、DVEトランジション、13レイヤーのキーヤー、マルチフォーマット入出力、内蔵マルチビューワ、内蔵メディアプレイヤなどを搭載している注目度の高い製品である。■また、今年発売されたばかりの「DaVinci Resolve」のMac 版 も登場。ソフトウェア単体での販売のほか、コントロールサーフェスを加えたモデルも展示された。コントロールサーフェスを使えば直感的かつ高速にカラーコレクションができる。■3D関連製品としては「Deck Link HD Extreme 3D」を同社ならではの低価格で発表。3D映像の取り込み・再生が可能になった入出力ボードである。従来3Dで収録する時は、左右のカメラの映像をそれぞれ別にキャプチャし、タイミングを合わせなければならなかったが、同製品では 2本同時にSDIでラインを入力するデュアルストリーム取り込みでキャプチャが可能となっている。3Dのプレビューもハードウェアで簡単に対応可能で、主要4つのプレビューに対応している。既に市販されている

大抵の3D対応モニタでプレビューや最終の出力の確認が可能である。■USB 3.0に対応のSD/HD取り込み・再生ソリューションで超薄型の「UltraStudio Pro」は、3Gb/s SDI、HDMI、アナログコンポーネント、コンポジット、Sビデオ、4チャンネルのアナログオーディオ、2チャンネルのAES/EBUオーディオ、ゲンロック/3値シンク、RS422デッキコントロールといった入出力が可能になる。■USB3.0 のPCに対応した世界初のポータブルスコープ「Ultra Scope」は、3Gb/s SDI 入力を搭載し、USB経由でラップトップから給電できる。そのため、ロケ撮影やエンジニアリング作業時の携帯に最適である。パレード、波形、ベクトル、ヒストグラム、オーディオ、ピクチャーなど6つの独立したリアルタイムスコープを搭載している「Pocket UltraScope」は、様々な信号をパソコンで確認できる波形モニタで、同製品があればノートPCだけでカメラのセットアップができるようになる。■コンパクトで持ち運びが可能なデザインを採用した「Intensity Shuttle」は18,980円と手軽な低価格ながらUSB3.0インターフェースに対応したWindows環境で使用できる10bit HD/ SD編集ソリューション。10bit HDMIやアナログコンポーネント、コンポジット、Sビデオの取り込みや再生が可能な製品。

 多チャンネルのサポート、新サービスの提供と多様化が進む放送・ビデオ業界では、高い品質のサービスを効率よく提供することが求められている。同社では、新たな放送・配信サービスを品質高く、安定に行うためのTSモニタリング、ファイルベース・コン

テンツ検証、3Dビデオやハイエンド・コンテンツの制作をサポートするベースバンドモニタリング、最高レベルの物理層測定環境を実現する3G-SDI 測定機器など最新のソリューションを展示した。  次世代ビデオ /ベースバンド・ソリューションとして、3G-SDI 波形モニタ「WFM8000シリーズ」、3G-SDI テスト信号ゼネレータ「TG700型」、HDポータブル波形モニタ「WFM5000シリーズ」などの新バージョンと、画質評価システムの新製品「PQA600型」。 また、MPEGモニタリング・ソリューションとして、ビデオ・クォリティ解析では新製品「VQS1000」、TSモニタリングの新バージョン「MTM400A/IPM400A」のほか、本年春に買収したばかりの「Mixed Signals 社」のモニタリング・ソリューションであるデジタル・コンテンツ・モニタを参考出品した。

 その他、コンテンツ自動検証システ ム に PC 上 で稼働するスタンドアローン型 3G-SDI 波形モニタ「Cerify SW」の新バージョンなども登場した。

 日本テクトロニクス

アイダイアグラムやジッタの計測機能、またテスト信号発生機能を持ち、設置や調整時、システムの管理時に物理特性の検証を正確かつ簡単に行うことができる最新の波形モニタ「WFM8000シリーズ」(左がWFM8300、右がWFM8200)

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18FDI・2011・01

InterBEE 2010レポート II

 北海道日興通信 It's NIXUS Showtimeをコンセプトに数々の最新製品を紹介。 ■最新の Augmented Reality(AR= 拡張現実 ) テクノロジーを採用した、新しいバーチャル表現「AR-NIXUS.M1」を初披露。手に持った四角形内に描かれたマーカーをシステムが認識し、リアルタイムにグラフィックを表示。バーチャルスタジオではできない「CGを持つ」といった表現が現実になった。

■一層進化したネットワークテロップシステム「CG-Store」を発表。表現力に磨きをかけたリアル3D機能はさらに使いやすくなり、NIXUS-SRオプションを使えば、そのまま話題のステレオ3D(立体視 )に対応。L(V,K)R(V,K) の 4出力やサイドバイサイド、アナグリフなど様々なフォーマットに対応する。いつものクリエイト環境で最新の表現力に。さらに、CG-Storeは「使いやすさ」にもこだわり続けます。今年は iPhone/iPadネイティブアプリが登場。テロップの確認や、修正依頼、作成を iPhone/iPadならではのフリック、ピンチ動作で実現する。さらに、送出リモートも iPhoneで。ワークフローを「気持ちよく」変えていく。■全く新しいテロップシステム「CG-EXC(シージー・エクスチェンジ)」が登場した。株価、天気、地震情報など、これまでのテロップシステムでは実現できなかった「オンエア中のテロップのリアルタイム更新」を実現。これまで専用システムが必要だったリアルタイム更新を、CG-EXCがデータの受信、描画を行うことで汎用的に実現する。タッチパネルによるシンプルで確実な操作と、柔軟な情報更新をCG-EXCが実現する。

 ローランド プロオーディオ部門と映像・放送機材関連部門の2ブースにて出展。 映像・放送関連機材部門では、新製品AVミキサー&レコーダ「VR-5」を中心にしたライブ配信システムや、既に数多くの導入実績を上げているマルチフォーマット・ビデオ・ミキサー「V-1600HD」、収録からイベント、設備など幅広く活躍する新製品マルチビューワー /スイッチャー「MVS-12」など、マルチフォーマットに対応する充実の製品群を多数展示した。■マルチビューワー/スイッチャー「MVS-12」は、マルチカメラ収録のモニタリングを省スペースで実現する12入力マルチビューワー。4パターンの「マルチビュー機能」に加え、4系統の出力に自由にアサインできるマトリクス・スイッチャー機能も搭載。また、「VC-50HD」ビデオ・フィールド・コンバーターは、バッテリー対応のビデオ・コンバーター。シンプル操作でHD-SDI ⇔ HDV/MPEG-2 TS(2~50Mbps)の双方向変換。Blu-rayディスク・レコーダーへのダビングにも最適な製品である。■ その他映像部門での出展製品は、下記のとおりである。ビデオ・レコーダー「F-1 Ver.2.5」/マルチフォーマット・コンバーター「VC-300

HD」/ビデオ・ミックス/ライブ・スイッチャー「LVS-800」/ビジュアル・サンプラー「P-10」/ビデオ・プレゼンター「PR-1000HD」など。

 一方、プロオーディオ部門での出展内容は、発売されて間もないデジタル伝送標準装備、32チャンネル入力のミキシング・コンソール「M-300」のほか、REAC とMADI の相互変換を実現する新製品「S-MADI」、次世代のモニタリング・システム「M-48」など多数の製品を出品。実際のステージ演奏で体感できるハンズオン展示も行なった。

■ライブ・ミキシング・コンソールの新製品「V-Mixer M-300」は、「V-Mixer M-400/M-380」の音質と操作性/拡張性を継承し、筐体を限界までコンパクト化したデジタル伝送標準搭載の32chミキシング・コンソール。Digital Snakeと組み合わせることで、伝送も含めたフル・デジタル・ミキシングを実現。あらゆる現場に対応する、V-Mixer の新たなスタンダード・モデル。■「S-MADI」REAC MADI ブリッジは、デジタル音声伝送技術「REAC」と「MADI」の相互変換を可能にするフォーマット・コンバーター。デ

ジタル・コンソールをはじめとするMADI 機器とDigital Snake や V-Mixer、M-48 などの REAC 機器との間で、最大40ch双方向のオーディオ伝送を実現する。■「OCTA-CAPTURE」USBオーディオ・インターフェイスは、最大24-bit/192kHzに対応する10 in/10 outの USB2.0 対応オーディオ・インターフェース。ローランドのテクノロジーを凝縮した8系統のマイク・プリアンプ「VS PREAMP」、極小のレイテンシーを実現する「VS STREAMING」テクノロジーを搭載している。■その他プロオーディオ部門での出展製品は、オーディオ・レ コ ー ダ ー「AR-3000R Ver.2」、「Digital Snake S-4000/S-1608/S-0808」シリーズ、ライブ・パーソナル・ミキサー「M-48」、WAVE/MP3レコーダー「R-05」などである。

 カ ナ レ 光トランシーバ、光コンバータ、光伝送システムの各種新製品をはじめ、小型同軸コネクタ「DCP-Cシリーズ」、BNCコネクタ「BCP-Bシリーズ」、アクティブBNCコネクタTX/RXライトアングル「BCA-TL/RL」、超小型SFP型光トランシーバ「TRF-100-LN13/LN 15」「TRF-300-LN13」をなどを出 品。ま た、フラット光複合カメラケーブルを参考出品した。(写真右は、カメラ用と巻取り器具用)

ライブ放送/収録に必要な機能をコンパクトに凝縮した「VR-5」は、多彩な演出をワンマン・オペレーションで実現可能にした。音と映像の演出や収録には多くの機器が必要であったが、必要な機能をコンパクトなボディに一体化。マイクやビデオ・カメラを接続すれば、すぐに放送/収録が開始できる。

マルチフォーマット・ビデオ・スイッチャー「V- 1600HD」は、HD-SDI/SD-SDIを装備し、放送用機器から民生用の映像機器まで幅広く対応。この1台でハイビジョン映像をはじめ、パソコンやDVD、Blu-rayなどさまざまなフォーマットの映像を切り替え可能。モニター 一体型のオールインワン仕様となっている。

ミキシング・コンソール「M-300」「M-400」などが並ぶプロオーディオの展示ブース

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19FDI・2011・01

InterBEE 2010レポート II

 白と黒のモノトーンで統一したブースにて、白と黒を基調とした製品を出展。 同社が昨今力を注いでいる独自設計のICTラックの新型「BNRシリーズ」をはじめ、atdec 社製アームを装着した「cyberRAILコンソール」などを出品した。

■新型 「BNRシリーズ」ラック :ネットワーク工事機材展でも出展した4分割ドア仕様の新型ラックをInterBEEでも出展。ラック内部に環境監視装置を実装しデモを行った。 同製品には、堅牢性と視認性、排熱性という相反する特性に対する新しい技術がふんだんに盛り込まれており、既に阪神大震災時の地震波と同様の3次元振動試験をクリアするなど、している。■cyberRAIL コンソール:8Uハウジング付が2連、4連ハウジング付とフラットタイプ3連をコーナー連結した特型5連の状態で展示。 大型モニター取付用と、17インチモニター4式搭載のウォールマウントフレーム、 各種モニター取付用アームも実装し、使い勝手の確認を行えるよう展示した。■NOWラック :同社標準仕様のNOWラックを、黒アルマイトで仕上げた完全黒バージョンを展示。さらに、柱の黒アルマイトサッシもオプションにて対応が可能な製品である。また、同社標準仕様のNEOラックに、スライドベースユニットを装着させ展示。 オプション類は人気の高いプルアウトシェルフや回転式キーボードユニットを搭載している。■木製ラックNOIR:木製ラック NOIR の天井板に、ブルーのマーモリウムを貼り展示。 通常仕様のNOIRにはない新しい雰囲気を演出した。

 ニッキャビ

 ポストの分野では、昨今話題となった映画「Avator」の制作パイプラインを提供しフィニシングを担当したPablo を、新しいソフトウェアバージョン5とともに展示。 ブロードキャストの分野では、ステレオ3Dに対応した世界で最も稼

働率の高いsQサーバを、新しいステレオ3Dエディター「Qube」を交えて紹介。さらに、現在開発中の「QTube」プロジェクトも紹介した。また、QTubeにより、世界各地にあるサーバにインターネットの帯域でアクセスすることができるようになった。■Pablo 4K ステレオ3D フィニッシングシステム 新しいソフトウェアV5の新機能には、リアルタイムカラーグレーディング、ステレオ3Dの強化ツールが追加されている。リアルタイムカラーとは、グレーディング結果をレンダリングなしにプレビューできることで、ユーザーとの対話性を増し、クライアントと同席するセッションのストレスを完全に取り除くなど、Neoパネルは、この新しいカラー機能にアクセスする。■Enterprise sQ ブロードキャスト サーバーシステム 同社のステレオ3Dはポストだけではなく、ブロードキャストの世界にも進出。世界で最も稼働率の高いsQサーバがステレオ3Dに対応し、編集機としてはステレオ3Dエディター「Qube」が登場する。 LR別のストリームとしてサーバーに保存することで、ユーザーはオンエア直前まで視差や色の調整を行うことで、作品のブラッシュアップが可能となる。

 クォンテル "Openness & Avid Anywhere" をテーマに、さらに進化したオーディオ・ビデオ製品の統合、サードパーティー製品を含むオープンなソリューションを展開した。 メインステージでは、「メディアコンポーザー」「Pro Tools HD」の最新バージョンの詳細なデモンストレーションを披露。初公開となるリアルタイム・ノンリニアテロッパー「NoLiO」によるノンリニア編集のテロップ作業、メディアコンポーザーをPro Tools HDトラックと連動させる「ビデオサテライトオプション」、ハイエンドの性能と拡張性を新しい価格帯で実現した共有ストレージ「ISIS 5000」などを含むワークフローを紹介している。 展示エリアでは、新たにアビッド製品群に加わった「System 5」(旧ユーフォニクス)をはじめ、「Pro Tools HD」の最新版、Pro Tools との高い親和性を誇るライブサウンドコンソール「VENUE」、最新バージョンの「Symphony」およびメディアコンポーザー、DSによる3Dワークフローなどを展示。 また、ブース内に特設したブロードキャスト・スイートでは、「Interplay Media Asset Manager」「Interplay Production」を中心に、最高峰共有サーバー「ISIS 7000」や「AirSpeed Multi Stream」「NewsCutter」などのブロードキャスト・ソリューションもデモした。

 アビッドテクノロジー

 昭特製作所 新製品&参考出展として、各カメラメーカーの小型軽量化に伴なったハンディカメラやハンドヘルドカメラ向けに設計されている小型カメラ用三脚システムの新たなラインナップ「SPシリーズ」(SP20・SP40・SP60・SP 80・SP 100)を発表。

 また、新型エア式ペデスタル、コンパクト伸縮クレーン、新型フリクションヘッドなども展示した。 新型のエアペデスタルは、安定性に優れたコラムとベース台車によって高い操作性を備えており、ペデスタル位置固定用のフットブレーキと、簡単に上下出来るアンダーガードをベースに内蔵しているため、素早いセッティングが可能。新型フリクションヘッドは、最新のポータブルカメラ •レンズをサポートするために設計されたもので、最大38Kgまで搭載が可能となっている。 また、今回参考出品した伸縮クレーンは、2輪と4輪の操舵を切り替えて使用出来るコンパクトなシステムで、スタジオペデスタルに搭載し、2メートルの伸縮ストロークと3.4mを超える光軸高を実現している。(写真右) フリクションヘッドでは、「TU30」を参考出品。各種カメラ・レンズ・アクセサリーの組み合わせの際にもバランス能力が優れた製品である。

オーストラリアatdec社製アームを装着し、現在主流となりつつある液晶モニタの視認性やスペースユーティリティの向上が図られている

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InterBEE 2010レポート II

 カメラを中心としたレンタル機材を展示。ハイスピードカメラ「WEISSCAM HS-2」、 ス ー パ ー 35mm相当単板 CCD 搭載カメラ「SRW-9000PL+OB1」、パナソニック 3D カメラ「AG-3DA1」、レンズ交換式AVCHD方式カメラ 「NEX-VG10」シネマスタイルなどを出品した。

 ビデオサービス

 独自開発によるスリットビジョン LEDで常に先端をいく同社は、本展示会で新製品「Black hole 9」(9.375mm ドット ピ ッ チ Black SMD LED)をリリース。ブースには、BH9メイン・ディスプレイ W=2700mm×

H=4200mm の大画面を設置したほか、同社が誇るスリットビジョンシリーズである、 「SV-15B(New Version) /SV-18」も併せて展示した。 BH-9 は、Black SMD の採用で高コントラスト比を実現。独自開発による特殊なコーティングで表面が低反射となり、反射を受け難く鮮明な映像を映し出す事が可能となった。また、1ユニット(W=900mm × H=600mm ×D=80mm)の重量も8.5Kgの軽量化を実現したため、常設、仮設を問わず現場環境の効率化による、作業コストが軽減される。 また、W=1000mm ×H=500mm のスクリーンであるSV15B(New Version SLIT VISION)では、自社開発によりフレームの反射率を極限まで低減、最小ピッチ間隔15.625mm を採用し、さらに高精細へと進化した。こちらの製品はSMDを使用する防滴型のため、野外でのイベント、コンサート等に高画質映像を提供する。 SV-15は、この他に、角度ブロックの入れ替えで自由自在の角度調節が可能、3 in 1 Type Full Color SMD LEDを採用し最大4,200nit の高輝度、ラウンド、サークル、平面等の多様な演出が可能など、数々の特徴をもつ。 その他会場では、SV18(18.75mm Pitch LED)「Full Color LED SLIT VISION SV18」MAスリットビジョンLEDシリーズを展示、大勢の来場者から注目を浴びた。

 ストロベリーメディアアーツ 有機ELディスプレイカラーISを中心とした多彩なスイッチの商品群を展示した同社では、特に本年、イギリス警察車輛搭載のコントロールシステム操作パネルへの採用というビッグニュースを公開した。 視認性・操作性・情報量に優れた特性を持つ同社のカラー ISが、現場でのとっさの判断の際の「直感的な操作」に役立つと評価されたためである。本展示会会場では、コントロールシステムの

製造会社である Futronics 社の実機の展示(写真左)とプロモーションビデオを放映した。 その他、新製品として、薄型フラットボタン「YB2シリーズ」や超高輝度RGBの LEDを採用したスイッチなども出品した。

 日本開閉器工業

 ベースバンドワークフローとファイルベースワークフローを効率的に連携させるファイルベースフラッシュメモリサーバ「VIDEOS neo」を初展示し、単体として特徴や番組サーバ、ファイル化CMワークフローへの対応を紹介。その他エリアワンセグや、省エネルギーに優れた高効率テレビ送信機、世界最小クラスを実現した屋外型SSPAも展示した。■ VIDEOS neo:国内放送局の基幹システムを担うVIDEOSがファイルベースワークフローに適合するためにさらに進化した。従来の信頼性に加え、IPベースの基本構造と TCP/IP オフロードエンジンNP-Engineを採用し、高速性、拡張性を向上させている。さらに国際標準のSMPTEのMXFでのファイルインターフェースを装備、64Gbit フラッシュメモリーをいち早く採用することで環境に配慮した省スペース、省電力を実現している。ブースでは高性能、高信頼性、拡張性、

小型化等の特徴紹介、番組サーバシステムとしての用途やファイル化CMワークフローへの対応について実機デモを交えて提案した。■高効率テレビ送信機:地上デジタルTV用送信機の電力増幅器の高効率化により、従来(オレンジブック対応 弊社製TDU5000シリーズ)と比較して、約40%の省電力化を実現する高効率テレビ送信機を開発した。現用送信機として使用することにより、年間消費電力の大幅な削減が可能となり、ランニングコストの低減はもちろん、CO2 排出量を削減し、温暖化ガス排出量抑制にも貢献する。

 東 芝

「VIDEOS neo」によるファイルベースCMワークフローを紹介した展示コーナー

フラッシュメモリーサーバー「VIDEOS neo」

 東芝ライテック 「省エネ照明」をテーマに、LED 機器の新製品シリーズをメインに、小型調光操作卓、昇降装置などスタジオ用照明システムとして出展。LEDライトの進化形。大容量、光量でありながら低電熱、低消費 電力を実現。様々なサイズもラインナップした展示を行った。 LED器具については、NHKとの共同開発品で新製品の「LEDスポットライト1000シリーズ、LEDフラッドライト10000シリーズ」を中心

に販売中のLEDライトシリーズ、小型調光操作卓TOLSTAR-3、昇降バトンシステムなどを展示した。

SDバトンシステム:省スペース、低コスト、省施工の昇降システム「調光・昇降」一体型のワンパッケージシステム。インテリジェント機能付きでアラーム情報など、高い安全性。約50%の軽量化を実現した(同従来機種比)。今回の展示では直・調切替えを搭載し、LED・ハロゲン・蛍光灯がそれぞれ切替えで使用出来る製品を出品した。

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InterBEE 2010レポート II

 「SPシリーズ」HD-SDI オーディオモニタの新機種VMモデルを発表。またHD 3Dキャラクタジェネレータ「Phoenix シリーズ」の PX3DとそのオプションStereoGraphics(立体視用テロッパ)の参考出品や、PX・Lなどの新製品も実機によるデモ展示を行った。

 その他同社製品では1RUハーフサイズ簡単連結機構「Eシリーズ」の変換器・切換器・分配器や、SD・アナログモジュールシステム「C1000シリーズ」、光・HD・SD・アナログモジュールシステム「C2000シリーズ」なども展示した。また、同社取り扱いの他社製品としては「ブラックマジックデザイン」の新提案アダプタや、「Nevion」のルータやオプティカルコンバータを紹介した。

 一方、EVIN事業部では、業界No.1の導入実績を誇る最新のヘリコプター中継伝送システム提案を紹介。エンジンノイズの中での明瞭な会話の実現や、FPU送受信システム、また自動方向調整装置とリンク、そして小型軽量化という総合的な技術が要求されるシステムであるが、その「AS365N2HD」ICS装置の実機を展示した。

 コスミックエンジニアリング 今後需要が高まると予測される3D製作現場に、高画質・多機能・機動性を備えたユーティリティ溢れるカメラシステムを提供。3D小型フルハイビジョン撮影システム「Gemelos 3D Base」は、これからの3D製作を見据えて、開発し販売をしている製品。一昨年の国際画像機器展で技術参考として展示したシステムに、3D撮影現場からの意見を多数取り入れ製品化した製品である。■英 Inition社の3Dフォーマットコンバーター「Inition StereoBrain SB-1」は、3D映像制作に欠かせないフォーマット変換器。L-R の信号(デュアルHD-SDI)を様々な3Dフォーマットにリアルタイムで変換し、HD-SDIx2、DVIx1 の3出力からそれぞれ異なる信号を出力できる。実際の3D製作現場から上がった要望を取り入れて製作されたもので、3D撮影時にも上映時にも使うことができる。小型軽量(145mmx140mmx37mm 0.5kg) でロケにもかさばらずに使用でき、設定にはブラウザを利用し、PCや無線LAN経由で携帯端末からの操作も可能である。■Cineform 社 の3D コ ー デ ッ ク エ ン ジ ン「Neo3D」は、Apple Final Cut Pro、 Adobe Premiere Pro、Sony Vegas、Avid Media Composer など一般的な編集ソフトアプリケーションで3D編集を実現させる3Dコーデックエンジン。Mac/Windowsのクロスプラットフォーム対応で幅広く使用できる。■その他出展製品は、3Dノンリニア編集システム「Gonzalez HD stereo edition」、「AJA KiPro」、「cinedeck CINEDECK EXTREME」、ソニー 業務用3D対応液晶モニター「LMD-4251TD/LMD-2451TD」など

 東通産業

 ブース内にて、サラウンド音響システムによるシアターを用いて展示。新製品3D対応HDディスクレコーダー「VDRH-3DR/3DP」を発表した。 また、PC機能内蔵型リムーバブルディスク対応HDディスクレコーダー「VDRH-8000」や、リムーバブル

ディスク書き込み型HDディスクレコーダー「VDRH-1000」、ポータブル IP伝送装置「Streambox AVENIR」などの新製品のほか、HD動画ファイリングシステムを参考出品、また「VDRH-3DP」を用いた3D映像シアターシステム (3D映像+5.1ch音響システム)などを出品した。

 オンテック 社名ロゴを一新し、気持ちも新たに Inter BEEへ初出展した同社では、ノンリニア編集機のデスクトップタイプ「Prunus/NCexp」に加えて、ノートPCベースの新製品「PRUNUS/NCcell」などを出展した。

 「Prunus/NCexp」は、直感的な操作や高い追従性、高速レスポンスをテーマに開発されたノンリニア編集機。各種テープレスメディア映像フォーマットへの対応、テープから素材を収録しながらの追っかけ編集、LANによるネットワークがつくり出すサーバライクな素材共有、そして離れた場所とのファイル送受信機能など、報道やスポーツ中継で求められる機能を実装。そのシームレスな能力で映像編集のフィールドに新しいワークフローを誕生させる。 また、新製品の「Prunus/NCcell」はノートPCベースのシステムで、報道やスポーツ中継の現場に求められるスピーディな編集を可能にした。各種メディアへのフォーマット対応はもちろん、収録しながらの追っかけ編集も実装したノート型ノンリニア編集機である。

 さくら映機

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InterBEE 2010レポート II

 映像と音響の双方のジャンルに出展した同社では、プロオーディオのホールでは、グループであるヒビノ(株)、ヒビノインターサウンド(株)、スチューダー・ジャパン-ブロードキャスト(株)の3社が出展した。  ヒ ビ ノ 株 式 会 社 で は、AKG( マ イ ク ロ ホ ン、ワ

イヤレスシステム、ヘッドホン)、AMCRON( パワーアンプ)、BSS AUDIO( シグナルプロセッサー)、dbx( シグナルプロセッサー)、JBL PROFESSIONAL( スピーカー)、Lexicon PRO( リバーブレーター)、Soundcraft( デジタル・ミキシングコンソール)、HIBINO(BWF-J編集ソフト)の各社製品を出品。 また、ヒビノインターサウンド株式会社では、CALREC( 放送局用デジタル・ミキシングコンソール)、CAMCO( パワーアンプ)、CODA AUDIO(スピーカー)、DiGiCo ( デジタル・ミキシングコンソール)、DK-Technologies ( マスターサウンドディスプレイ)、DPA Microphones( マイクロホン)、Gefen( 延長機、切替機、分配機、変換機等)、MUTEC( クロック・ ジェネレーター)、OSEE(AVモニター)、Rane(プロセッサー)、Shure( マイクロホン、ワイヤレスシステム、ヘッドホン)、TUBE-TECH( 真空管式シグナルプロセッサー)の各社製品を出品した。

 ヒビノ/ヒビノインターサウンド

AESニューヨークで発表されてから注目となっているCALRECの新製品「ARTEMIS」ミキシングコンソール。コアはギガビット・オーディオ・ネットワークで複数のデジタルコンソール間で I/O、制御データを交換できるHYDRAが採用されている。

格調高いチューブサウンドを提供する真空管マクロフォン、AKG「Perception 820 TUBE」などの他、ワイヤレスマイク関連を展示。

CALRECのフラッグシップモデルとして昨年発表された「APOLLO」は同社が踏襲してきたアナログコンソール的な操作性から、複数のシステムをコントロールできる多機能型のデジタルコンソールになっている。

直感的、創造的なミキシングを実現する、Soundcraftの新世代ライブSR用デジタル・ミキシングコンソール「Vi6/Vi4」。Soundcraft初のライブSR用デジタル・ミキシングコンソールで、SRシーンに長年携わってきた同社の高い技術力と先進のデジタル・オーディオ処理を融合。充実の機能を獲得しながらも極めて直感的、創造的にミキシングを行える優れた操作性を実現している。

 オタリテック 本年も注目の新商品が目白押となった同社ブースでは、RIEDEL 社製品の光ファイバーによるマルチチャンネル信号伝送システム「MedioNet」、オーディオ・ディストリビューション・ネットワーク「RockNet」を展示。 各方面から高音質を評価され、新たにバージョン6にメジャーアップグレードしたDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)「SADIE(サディ)」を出展した。 また、すでに全世界で 200 台以上が活躍している LAWO コンソールの主力モデル「mc266」はサーフェス、ルーターともにリニューアル。「NEW mc266」として生まれ変わった。 GENELEC コーナーではメーカー初の試み、同軸ユニットを採用した「8260A」や、定番の 3 WAYモデル「1038B」をダウンサイジングさせた「1038CF」が試聴可能な状態で展示した。 様々な用途に対応した Prism Sound 社の DAW「SADiE」は「Ver.6.0」をリリース。同社オーディオ・インターフェイスや内蔵インターフェイスを使用できる。 SR スピーカーのメーカー d&b audiotechnik より、ラインアレイ・モードとポイントソース・モード両方に対応できる小型ラインアレイ「T シリーズ」を展示。など、国内初展示の製品を多数紹介した。

GENELEC社からは同軸ユニット搭載の新製品「8260A」を展示。

ドイツのデジタルコンソールメーカーLAWO(ラヴォ)社のSapphire(サファイア)は、中小規模の現場や放送局などに、よりシンプルで簡単な操作で使える設計。LAWOはラージサイズのコンソールが多いが、そのクオリティをそのままにダウンサイジングしている。

LAWO mc290と性能や機能を同等にし、コントロールサーフェスをコンパクト化したmc256デジタル・ミキシング・コンソールは32フェーダーで幅1.2mの製品

RIEDEL の展示コーナーではARTISTシリーズに、ファイバーオプチカルネットワークを形成する「MediorNet」プラットフォームとライブサウンドでの音声と制御データを送歩行ネットワークとするソリューションを展開した

最新版「SADIE6」は、これまで専用ハードウエアのターンキーシステムであったものを、ネイティブのソフトに切り替えた。マスタリング、放送局、ライブレコーディングに特化した製品。

国内導入実績 120 台を超えた オタリ「LWB」は新機能「コメンタリー・システム」を展示。現場での運用の幅をさらに広めている。

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InterBEE 2010レポート II

 放送局向けオーディオ・コンソールの最新フラッグシップモデルである「VISTA 9」をはじめとしたVISTAシリーズや、好評のOnAir シリーズなどの従来製品のコンソールのほかに、昨今同社が取り扱いを開始したグラスバレーのビデオプロダクションセンター「KAYENNE」がInterBEEでの同社ブースにて初登場となったほか、プロダクションスイッチャ「Kayak HD」、ライブコントローラ「K2 Dyno」、インテリジェント・デジタル・ディスクレコーダ「T2」、ノンリニアビデオ編集機「HDWS 3Gシリーズ」など、取り扱いを開始した製品を続々出品した。 これにより同社では、従来からの音響機器と映像機器の双方の放送業務用機器の販売を手掛ける事となった。

 スチューダー・ジャパン-ブロードキャスト

「VISTA9」は、TFTスクリーン・メーターとLEDによるフェーダーの表示により、視覚的な機能を向上。メータヒストリー機能は、リアルタイムな運用にあわせた機能。表示色は、ユーザーがカスタマイズ可能となっている。

「OnAir2500」と「OnAir3000」の展示コーナー。「OnAir2500」は、6, 12, 18, 24 フェーダーでモーター駆動の有無も選べるフェーダーレイアウト、フェーダーとディスプレイは有機LED を使用。コンパクトながら高性能・高機能を実現した製品である。

最先端のモジュラーコントロールパネル方式を採用し、1.5M/Eから4.5M/Eまでを自在に構築でき、ローカルAUXパネルやWXGA高解像度タッチスクリーンメニューなどの追加も可能なビデオプロダクションセンター「KAYENNE」。

ライブイベント中継システム「K2 Dyno」とインテリジェント・デジタル・ディスクレコーダ「T2」が並ぶ展示コーナー。「T2」(写真左端)は、最新の技術を結集したコストパフォーマンスの高いデジタル・ディスクレコーダで、イベント、放送、編集の現場で必要とされる機能がハードな使用に堪える信頼性とともに凝縮されている。

 SENNHEISER 本年のゼンハイザージャパンは、ユーザーに商品を触って・感じて・実感して貰えるような体感型ブースを展開。多くの放送局で使用されている「5000シリーズ」に加え、今年はワイヤレスシステムの新製品「2000シリーズ」や「evolution wireless G3 シリーズ」のほか、各種マイクロホンやヘッドホンなどを多数出品した。 上記のワイヤレスシステム、マイクロフォンの他、話題のヘッドフォン「HD800」やスピーカー「K+H」なども展示。 また、昨年に引き続きパフォーマンスステージおいてゼンハイザー「第2回ボーカリスト発掘キャンペーン」の受賞者やプロのミュージシャンによるパフォーマンスが披露された。本年はつのだ☆ひろ氏のライブを始め、連日ボーカリストを招いてのマイクロフォンのデモンストレーションなどの催しも行われた。

 ワイヤレスマイクは同時使用39chの「2000シリーズ」「5000シリーズ」のほか、同時24ch の「ew300」や同時32ch の「ew500」など多彩なラインアップを展示。スタジオや舞台など多チャンネル化が必要な現場に対応した機種のほか、受信機側で送信機の設定が行える機種なども披露された。

⇧ブースに特設のライブステージでは各種マイクをミキシングし、ヘッドフォンでの試聴を行なった。また、ステージ前にはイヤーモニター用レシーバー「EK 2000 IEM」を展示した⇨

ワイヤレス「2000シリーズ」「5000シリーズ」「ewシリーズ」の展示コーナー。「EM 2050」レシーバーはAX/A/B帯の周波数レンジを1台でカバーできる。

 オーディオテクニカ 今回の InterBEE出展で注目の製品は、業界初、同一空間にて同時に8本のマイクロホンを使用可能な赤外線マイクロフォンシステム。  混 合 分 配 器 の「ATIR-D63」、赤外線2ch レシーバーの「ATIR-R82」、赤外線4chレシーバーの「ATIR-R84」、赤外線2ピースマイクロホンなどによって構成されるシステムが展示された。

 マイクと受光ユニット、レシーバー、8ch ミキサーで構成される同時8波運用の赤外線ワイヤレスマイクシステムで、マイクロホンにPLL制御シンセサイザー方式を採用し、1本のマイクで複数のch が選択可能。ハンド型と2ピース型の2機種のマ

イクロホンをラインナップし、混在して使用することが可能な製品である。

 システム設置の手間、コストの大幅な軽減を可能にしたフルコードレスタイプの会議用マイクロフォンシステムを展示。ATCS-50の機能を引き継ぎ、さらに高性能な赤外線通信を実現した会議システム「ATCS-60シリーズ」。(写真右)

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InterBEE 2010レポート II

 S S L

最大512chミックスを可能とするフラッグシップモデル「C-300HD」

APOGEE, KRK, PEAVEY, SPLなど、話題の新製品を展示発表。その他、ハイエンドなプロオーディオ機器からSR機器、そしてホームレコーディング製品に至るまで、幅広い製品ラインアップを取り揃えた。■APOGEE Symphony I/O:「Symphony I/O」は、Macベースのオーディオシステム用に開発されたマルチチャンネルのオーディオインターフェイス。Apogee社設立から25年、同社の開発した製品はハイエンドデジタルレコーディングの分野において、世界中のエンジニアから支持されている。洗練されたサウンドクオリティ、用途に応じて変更可能な入出力、そしてLogic およびPro Tools HDシステムへの対応など、プロのレコーディング現場において有益な機能を数多く持っている。■KNS 8400 ヘッドフォン:KRKシステムズ社は25年に及ぶスタジオサウンドの経験から、KRKスタジオモニターの特徴が忠実に引継がれたプロ用ヘッドフォンを開発。それは熟練した耳の要求を満たす、音楽をありのまま忠実に再生するために設計されたヘッドフォンでる。「KNS8400」はトラックの全ての情報を正確に把握するために必要な、繊細なリスニング環境を提供いたします。音の微妙なピッチや、響き、トーンの変化を逃さずに再現する能力は、全てのミックス、全てのテイク、全てのパフォーマンスを正しく行なうための大きな手助けとなる。高度にアイソレートされた形状記憶フォーム内蔵のイヤーパッドにより、信じられないほどの遮音性と長時間の快適性を実現いたします■その他出展製品:APOGEE, Bricasti Design, Community, CREST AUDIO, Eventide, KRK, MediaMatrix, NEUMANN, PEAVEY, SPL, STUDIO TECHNOLOGIES

 エレクトリ

 ヤ マ ハ 音の入口から出口まで、同社ならではの“User-Oriented One-Stop Solution”をコンセプトにシステムを提案。 グループ会社である『スタインバーグ』『NEXO』『ヤマハサウンドシステム』もヤマハブース内で出展。DSP搭載パワードスピーカー「DSRシリーズ」、NEXOのラインモニター「45°N 12」の国内初出展をはじめ、豊富な製品群を展示した。また、ブース内でシステムデザイン等に役立つ各種技術セミナーも開催した。■ヤマハブランドの製品では、“Live SR”、放送・制作、設備音響など、マーケット別に最適な音響システム・製品を提案。さらに進化した「M7CL Version 3」の新機能紹介をはじめ、DSP搭載パワードスピーカー「DSRシリーズ」、固定設備用スピーカー「Nシリーズ」などの新製品を初出展した。■Steinberg製品では、ポストプロダクションからライブレコーディングまで圧倒的にスピーディーで柔軟なワークフローを誇る「Nuendo 5」、

オーディオ編集、レストレーション、マスタリングツールとして強い支持を得る「WaveLab 7」。待望のメジャーバージョンアップを遂げた両DAWソフトウェアを中心としたシステム提案を行なった。■Nexo製品は、独創的なGEO Technology による世界初のラインモニター「45°N 12」とRAYSUB第2弾となる「RS18-CT」を初出展。パワードTDコントローラー「NXAMP」、タンジェントアレイシステム「GEOシリーズ」、コンパクトハイパワーのスタンダード「PS R2シリーズ」も出展した。

ホールや劇場、講堂、会議室など、常設型の様々なアプリケーションに向けて開発したスピーカ「Instllation」シリーズ

ブース正面のほぼ中央には、PM1Dに続くデジタルSRコンソール「PM5D-RH」と「LS9」を出品

ヤマハサウンドシステムでは出力レベル表示など音響システムの状態を監視・記録する「データロガーシステム DL3 System」、DME64Nをエンジンとするタッチパネル操作の「出力マトリクスコントローラー MDN2」(以上写真左)、24bit 96kHzサンプリング動作の「DAコンバーター DA896」(写真右)などの新製品を出品

Mac専用マルチチャンネルオーディオインターフェイス「Symphony I/O」

 音楽レコーディングやブロードキャスト、ポストプロダクションさらには映画用アナログ/デジタルオーディオコンソールメーカーとして同社の製品は世界的に大きなシェアをもっている。 今回のInterBEEブースでは、ポストプロダクションに最適なフラッグシップモデルである「C300 HD」をはじめ、ブロードキャスト用途向き「C100 HD」、優れた品質と高機能、そして堅固で信頼性の高い、コンパクトで " 手の届く" ブロードキャストオーディオコンソール「C10 HD」などのデジタル・

プロダクション・コンソールのほか、SuperAnalogue 回路を搭載した16チャンネル、40インプットのミキサーにシグナルルーター(電子パッチベイ)と、マルチレイヤーのDAWコントローラー機能を搭載した、最新のミキシングコンソール「Matrix」を展示した。 そのほかブースでは、「X-Patch」「Duality SE」なども紹介した。 一方、ブース外にてNHKメディアテクノロジーのT-2音声中継車を展示。この車輛にて、メインコンソールとして「C-200 HD」を車載した三菱キャンターを展示した。(写真左)

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InterBEE 2010レポート II

 ゼネラル通商

STAGETECのフラッグシップモデルのフルコンソール「aurus」の実機展示

幅広いワイヤレスマイク製品群を展開するLECTROSONICS社の展示コーナー。

 タックシステム

Millennia の製品群展示は、マイクプリアンプとして、パラメトリックEQなどを装備したTD-1”Twin direct“、3Hz~ 300kHzで最大入力レベル32dBuの 2chソリッドステート・マイクプリHV-3C、ProTools からMIDIでリモートコントロールできるHV-3R、4Hz~130kHzの真空管式M-2Bなど各種

リアルサウンドラボ

 同社では、主に 2ch 音源を5.1ch サラウンド化するプラグインソフト「NML RevCon-RS」や MXF ワークフローを紹介。 NTT と NTT ラーニングシステムズが開発した残響制御技術を使った 2ch 音源を5.1ch サラウンド化す

るDigidesign Pro Tools 用プラグインソフト「NML RevCon-RS(Real Sorround)」とファイルベースのワークフローを可能とするNEYRINCK社のプラグインソフト「SoundCode Exchange MXF」をデモンストレーションなどを行なった。 残響制御技術を使ったステレオ/アナログ音源からのサラウンド

アップソフト「NML Rev-Con-RS」のデモ(写真左)では、ProTools 用プラグインソフトで、昨今発売を開始している。また、本ソフトは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が開発した「Revtrina」技術を使い、音楽CDなどに収録されている

2ch音源の特性を分析し、直接音成分と残響音成分を分離するとともに、分離した残響音成分を実現したい効果にあわせて低減・強調、さらに任意のチャンネルに割り振ることでサラウンド感の高いソースを作ることができる。

  また同社では、今回、MXFに対応したファイルベースのワークフローを可能とするオーディオファイルのインポート/エクスポートツールであるNEYRINCK社の「SoundCode Exchange MXF」を紹介した。 この「SoundCode Exchange MXF」は、OP1aやOPatomなどのAVC-intra フォーマットのMXFファイルにオーディオのみをインポート/エクスポート、メタデータの確認ができる。そこで、同社では、この「SoundCode Exchange MXF」とMXF4MACとの連携によるMXFワークフローを提案しており、ブースではこのMXFワークフローをデモンストレーションしていた。 その他ProTools 関連商品/ 各種プラグイン/TAC オリジナルプラグイン、「JLCooper」コントローラ / シンクロナイザー「 CB Electronics」、関連周辺機器「Directout MADI」、AVIOM システム「Waves SoundGrid」、マイクアンプ・コンプ・EQ「Millennia」のほか、Royer Labs/Mojave Audio/AEAマイクロフォン、SE/効果音ライブラリー、CND検索システム、TACオリジナル HDD、ケーブル等を多数展示した。

 日本初登場の製品を含め、ユーザーニーズに応える製品の展示と提案を行なった。 出展製品は、STAGETECの日本初公開の放送局向けコンパクトミキサー「ON AIR 24」をはじめ、劇場など多くの現場で使用されている「AURUS」等を展示し、納入事例も含めた説明を行なった。 またLECTROSONICS製品では、ハリウッドで大活躍のバッテリータイプ受信機「VR FIELD」をはじめ、送信機・受信機を含むマルチチャンネル・ワイヤレス・システムや、新製品「Quadpack」など、話題の製品を一堂に展示。 また、日本初登場となる Joeco 社の製品は、1台で、24トラック・24bit/96kHz対応するオーディオインターフェース「BBR」がお目見え。 その他、SOUND DEVICES 社製品では、ポータブルレコーダー「788T」、7シリーズ用コントローラー「CL-9」等話題の製品を展示。また、日本初公開の「USB Pre 2」マイクロフォンインターフェイスやRycote 社ウインドジャ

マーなども展示した。

日本初登場のJoeco「BBR」は、1Uサイズで24トラックの音声信号を入出力出来るオーディオ インターフェイス。 最大4台のBBRを接続する事が出来、96トラックのインターフェイスとなる。 コストパフォーマンスに優れたJoeco社BBRに多くの注目が寄せられた。

日本初披露の「ON AIR 24」を出品。デスクトップタイプのコンパクトな製品だが、心臓部でのオーディオシステムは「NEXUS」を使用している。

 世界初の音響パワーイコライザ「APEQシリーズ」を展示・実演。音響パワー周波数特性をフラットにすることにより、従来では不可能だったフラットなモニタリング環境が可能となった。 また、今回は7.1ch対応の新製品「APEQ-8pro」も展示・実演を行なった。ブースでは、随時製品の体感デモを行なった。 世界初の音響パワーイコライザ「APEQ-2pro」は、4096バンドの超高精度補正を行い、タイムアライメント・位相も同時補正。フラットなモニタリング環境を実現している。 また、新製品「APEQ-8pro DIO」は、最大7.1ch対応のマルチチャネル版APEQ。サラウンド環境下で音響パワー周波数特性並びに位相・タイムアライメントを高次元補正。今まで体験したことのないリアルなモニタリング環境を実現する。

「APEQ-8pro DIO」は、最大7.1chまで対応が可能で、サンプリング周波数も96kHz 対応。アナログ/アナログ、デジタル/デジタルの接続はもちろん、デジタル/アナログの接続も可能で、ADCまたはDACとして使用する事も可能。8chハードウェアを1Uサイズで実現。スペースの限られた中継車等でも最小限のスペースで設置可能。測定時のマイクプリアンプ内蔵。従来の様な測定用外部インターフェースが不要。ワードクロック端子搭載。マスタークロックとの同期が可能。Ethernet 接続端子搭載。APEQ内部のイコライジングデータをLAN経由で操作可能。などの特徴をもつ。 

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InterBEE 2010レポート II

 エスシーアライアンス Linear Acoustic 社のITU/EBU準拠ラウドネスメータ「LQ-1000」、ハイデンシティオーディオエンコーダ・デコーダ「e2 ( イー・スクウェア) 」、TELOS社のテロス第3世代アナログ回線用高品質デジタルテレホンハイブリッド「Hx1, Hx2」、ENCO社のiPhone・iPod Touch・iPad に対応したDAD用モバイルアプリケーション「iDAD」、 ALLEN & HEATH社からはFM・AMラジオからインターネット放送、大規模放送局のワークルーム、コミュニティ放送、学校放送などの幅広い用途に適したミキサ ー「XB-14 RADIO BROADCAST MIXER」などの新製品を出品した。 

 フォービット

 カ レ ン ト 同社ではレコーディング、放送、ポスプロ、ホールなどで使用する音響及び制御機器の開発、製造、販売を行っており、特注機器やシステム構築に関する相談にも応じている。今回の出展では新しく開発された製品を中心にコミュケーションシステム、モニターシステム、メーターシステム等を展示。 出展製品は、シンプルな電源不要のトークバックボックス「TB962」をはじめ、モニター、VUメーター、CUEボックス、トークバックシステムをワンパッケージにしたDAWシステムに最適なモニタリングシステム「CSP349」、ヤマハ製デジタルコンソール対応のスタジオ

インターフェース「AF201」。モニターとトークバックのコア機能に絞り込んだコンパクトで高品位なモニタリングシステ ム「CSP355」、LTC クロックタイマ ー「AF136」 などを展示した。

トークバックボックス「TB962」(左)とワイヤレスタイプの「WRS805」。なお「TB962」の付属ケーブルは2Pフォーンプラグ付きなのでモニターコントローラーなどのフットスイッチ端子に直結可能な製品となっている。

 ティアック タスカムは、記録メディアにCFカードを採用した最新の録音再生機を展示。収録から制作、送出まで幅広く対応する、放送・業務現場における録音・再生のトータルソリューションを提案。また、特殊ヘッドホン&マイク「inCore」や、同社が輸入販売を行っている「beyerdynamic 社プロ用マイクおよびヘッドホン」、「サウンドフィールド社サラウンドマイクロホンシステム」などもあわせて展示した。■ 4 チャンネルオーディオレコーダー「HS-4000」:2系統の2チャンネルプレーヤーとして、また1台の4チャンネルレコーダーとして使用可能な放送用途の4チャンネルオーディオレコーダー。録音中のファイルを同時再生するコンフィデンスモニターや、放送局でのファイル運用を円滑に行う BWF-J に対応。■ 2チャンネルオーディオレコーダー「HS-2000」:放送用途の2チャンネルオーディオレコーダー。録音中のファイルを同時再生するコンフィデンスモニター機能や、放送局でのファイル運用を円滑に行う BWF-J に対応。■ 2チャンネルオーディオレコーダー「HS-2」:設備市場から放送業務まで幅広く対応するコストパフォーマンスに優れた2チャンネルオー

ディオレコーダー。アナログバランスおよびアンバランス入出力や、AES/EBU & S/PDIF デジタル入出力を装備し、様々なシステムへの導入が可能。別売りのシンクカード SY-2 を装着することで、タイムコード同期、RS-422からの制御に対応する。

■リモートコントローラー「RC-HS32PD」:『HS-4000』や『HS-2000』との使用に最適なリモートコントローラー。64×32ドットマトリックスカラーLCDを採用した16ポイントのポン出しキーと、100mmフェーダーを2系統装備。16ポイントを1ページとして管理し、トータル6ページ、96ポイントを2系統登録可能。また1系統のオーディオレコーダーリモートコントローラーとしての使用も可能で、32ポイント×3ページ、トータル96ポイントのポン出しが可能。

 テクノハウス 本年より、同社での扱いとなったAPT、DHDの新製品や、dtsラウドネスコントローラを主体に展示。 イギリスのAPT(Audio Processing Technology 社)の新製品「WorldCast Equinox ISDN, X.21, IP Codec」はMPEG標準搭載と IP伝送対応でマルチアルゴリズム(多種多様)の音声コーデックとの通信を可能にする製品。(写真右) また、ドイツのDHD 社の新製品「Series52/SX」コンパクトデジタルコンソールは、高速処理能力 (40bit)を持つ XS Core と小型化し洗練されたMulti I/O Box との組み合わせで更なるコストパフォーマンスを追及。最小システム(4フェーダー)¥155万円から組めるコストパフォーマンスの高いコンソール。 その他dts製品では、ラウドネスコントローラ、ラウドネスメーター、サラウンドオーディオエンコーダ/デコーダなどを出品した。

「DHD Series52/SX」コンソール操作部は4フェーダーのフェーダーモジュールとシステムの中心となるセンターモジュール、TFTタッチディスプレイとで構成され、最大16フェーダーまでのシステムが組める。(左はコア&マルチI/Oボックス)

MPEGアルゴリズムとEnhanced apt-Xアルゴリズムを標準搭載したISDN内蔵TA, IP, X.21ポートを搭載した4分の1圧縮の低遅延音声コーデック「WorldCast Equinox ISDN, X.21」。

新製品「LQ-1000」ラウドネスメータは、ITU/EBU準拠しており、生放送、収録スタジオ、ポストプロダクション、マスター監視等放送業界全般に渡るラウドネスレベル表示を可能にする。入力はAESまたはHD/SD SDI、音声モードは5.1サラウンドおよびステレオ(ダウンミックス)のラウドネスを表示。

 同社がNHKからの依頼で開発したラウドネスメータ「LM-860」を展示。 LM-860 は、ITU-R Bs.1770とEBU-R128/TECH3341 に準拠したラウドネスメータで、ITU とEBU のラウドネス値を切り替えてリアルタイムに表示が可能。また、VUドライブ機能

によるVU計駆動が可能で、既存のVU計と組み合わせて利用することができる。また、外部GPI入力/TLC時間情報によるロングターム計測のSTART/STOP機能も提供する。ラウドネス計測値の表示は、SDI/DIGITAL/ANALOGから任意の入力信号を選択して、ラウドネス計測値を表示するほか、ピーク値も表示する。

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InterBEE 2010レポート II

 松田通商 Clear-Com 社 か ら 新たにデジタルパーティーラインシステム『Helix Net』が登場。全システムがデジタル化されたClear-Comコミュニケーションシステムのデモンストレーションを行った。また、今回特に注目は、TSL 社 の「TallyMan」。放送の現場でなくてはならないタリーシステム。数多くのメーカーのスイッチャーやルーターのプロトコルを持っているため、システムの構築が簡単になった。

 フォステクス スタジオ用モニタースピーカーとフィールド用小型マイクプリアンプの新製品を初展示。他にもフィールドミキサーやモニタースピーカーなどを展示した。 またゲストを呼び「LR16」を使用したレコーディング&PAセミナーを開催。ライブレコーディングミキサーというネーミングの「LR16」は、16マイク入力を備えPAとマルチレコーディングが同時に可能な小型のデジタルミキサーである。

 従来からの同社製品であるマルチメディア IP伝送装置「MD8000」のほかに、本年は小型版 IPビデオルーター「K2」とリアルタイムインジェストサーバーの「マルガリータ」を参考出品。 「K2」は、2UサイズでHD-SDIビデオ信号を300素材のスイッチングが可能。 また、「マルガリータ」は、MD8000からの IPパケット化されたビデオ信号をダイレクトにストレージに格納できる。録画時にMXFファイルとして収録するため、編集作業をすぐに開始できる。将来的には、マルガリータで蓄積した映像をそのままストリーミングで再生可能になる。

 メディアリンクス

 TV、プロモーションビデオ撮影会社から独立した、撮影機材販売会社である同社では、国内製造のオリジナルのジブクレーン、電動パンチルター、VUメーター、海外輸入のカメラトップHDモニター、カメラスタビライザー、クイックドリー、カメラリモート、カメラショルダー、マットボックス、フォローフォーカス、フィルター、デジタル1眼用ミキサー等を扱っている。 今展示会推奨の製品は、マーシャルエレクトロニクス社製5インチHDMIカメラトップモニタ「V-LCD50-HDMI」で、多機能、小型軽量、AAニッケル水素充電池4本で運用できるモデルである。

 ジーテック

 『新たなステージへ~次世代のデジタル&ネットワークオーディオ~』をコンセプトに、デジタル大型音声調整卓とデジタルワイヤレスマイクシステムの新製品を中心に地上デジタル放送において高品質な音声を可能にする商品を紹介。■デジタル音声調整卓「NT880」:タムラの音声調整卓のフラグシップモデルとして「NT880」が誕生。高い安全性と優れた操作性を実現するために高速多重通信の新ネットワークシステム「TR-NET」を中心としたシステムは、10240×10240のルーターや最大1024CH処理のDSPコアから構成されている。余裕あるシステム能力により制作現場からの様々なニーズに応えうる新たなステージの音声システム。 ■ラジオ局向け音声調整卓の提案:デジタル音声調整卓AMQ1100ならびにデジタルポータブルミキサーAMX-12Dをテーブルに埋め込み、自由なレイアウトのラジオ局向け音声調整卓としての提案をおこないます。ラジオ放送には欠かせないカフ制御・フェーダースタート・テレフォンハイブリッドON/OFF等が容易に実現出来るGPIOを標準装備し、直感的に分かり易い操作面により専任オペレーターを必要としない放送環境を容易に実現する。 ■A型デジタルワイヤレスマイクロホンシステム:2009年発売のB型に続き、「A型デジタルワイヤレスマイクロホンシステム」を開発。 288kHz占有周波数帯幅の利用と独自のコーデックにより、圧縮率をわずか1/4とし優れた音質を実現、またハンドヘルド型のマイクユニットはダイナミック型またはコンデンサー型に交換可能である。■その他:アナログポータブルミキサー「AMX-08」「AMX-012」/B型デジタルワイヤレスマイクロホンシステム/デジタルワイヤレスインターカム、アナログワイヤレスインターカム/LED照明を使用した可視光通信など

 タムラ製作所

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46回目を迎えた InterBEE2010が千葉市幕張メッセのホール4~8を会場として11月17日~19日まで開催された。主催者の社団法人 電子情報産業協会の発表によると出展社数は過去最多となった昨年の816社を上回る824社となった。 また来場者数は3日間の合計でほぼ昨年同様の31,567名となった。9月にアムステルダムで開催された IBC2010と比較してみると出展社数1,337社来場者数はビジター31,675人そして出展者参加が16,846人で合計48,521人となっている。IBCの展示会は5日間開催なので1日あたりの入場者数では上回っていると言える。これからの放送通信融合時代における InterBEEのあり方を考えると放送関連業界外の参加を広く呼び掛けを行なっても良いと思われる。 展示会場は従来のプロビデオ、プロオーディオ、プロライティングに加えて昨年から開設された IPTV・モバイルTVクロスメディアゾーンでは IPTVやモバイルTVの他デジタルサイネージ、デジタルシネ

マそしてステレオ3D関連機器等を扱う約20社の展示が行われた。また幕張メッセ国際会議場で開催された第47回民放技術報告会では特別企画として「3Dを考える」をテーマでパネルディスカッションが行なわれた。同じく国際会議場で開催された InterBEEコンテンツフォーラムでは「映像コンテンツのクロスメディア展開」や「ラウドネス音声基準規格はリモコンボリュームから開放する切り札になるか」そして3D特別セッションでは「3Dコンテンツ‘人間の生体への安全性確保’に向けて」と何れもコンテンツ制作におけるテーマとして興味深い内容で行なわれた。

ステレオ3Dコンテンツ制作機器のオンパレード 今年も昨年に引き続きステレオ3D関連機器展示が目立ったコンベンションとなった。 3Dというキーワードの製品が各ブースに必ずあるのではと錯覚するように各社から様々なステレオ3D関連製品の展示が数

大竹 和夫 大竹 和夫 

InterBEE2010 REPORT~映像制作機器関連~

InterBEE2010 REPORT~映像制作機器関連~

InterBEE2010 会場ホール 5ソニー: 2眼一体型ステレオ3Dカムコーダ  

(技術展示)レンズ側面に視差調整ダイヤルノブがついている

多く見られた。 ソニーは、参考展示としてショルダータイプ 2 眼一体型 3D カムコーダがIBC2010に続きモックアップで技術展示された。この市場は、既に一体型2眼式3Dカムコーダとしてパナソニックが1/4インチ3MOSを2式搭載したAG-3DA1として先行して発売しているがソニーとしては、3Dコンテンツ制作をもっと簡易に安価にという市場要求に答えた製品展開でパナソニックと同じコンセプトでの製品企画と思われる。 特筆すべきはレンズの LR光軸間隔が45mmで設計されている点で子供向け3Dコンテンツ制作にも考慮した設計となっている。ボディデザインはXDCAMのPMWシリーズがベースになっているようだ。撮像部は、3板式 1/2 インチCMOSセンサが2式分並んで配置されている。記録メディアはS×Sを4スロット搭載しAVCHD記録になると予想される。NAB2011での動作モデルの登場が待たれる。 テクノロジージョイント社ブースではビュープラス社のサイドバイサイド一体型 Lumiele3D4K を出展した。LR 光軸間隔を65mmに設定したサイドバイサイ

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ド構造の一体型ボディで4K(3840×2160)解像度890万画素のCMOSセンサを採用し12bit60P非圧縮での収録が可能となっている。会場ではAssimi-late 社のカラーグレーディングシステムSCRACHにRAWデータを取り込みリアルタイムに4Kステレオ3Dの編集をデモが行なわれた。 この他のステレオ3D関連機器では各社から様々な3D-RIGの提案が行なわれ富士フィルム社ブースではPllx3(パララックス)社のビームスプリッタタイプの3D-RIGが出展された。この会社はジョージ・ルーカス率いる ILMのVFXセクションから独立したメンバーによって2009年に設立されNAB2010に於いてパナソニックUSAがパートナーシップを組み3CCD一体型マルチパーパスカメラのAK-HC1500Gと組合せたPLLx3のRigを紹介している。 3D関連の周辺機器としては、JVC・日本ビクターがNAB2010で発表し既に発売している2D/3D変換装置 IF-2D3D1

を出展した。このコンバータでは暖色系は手前、寒色系は奥へとするアルゴリズムを用いている。一方ソニーからは、MPE-200マルチイメージプロセッサーの新機能として2D/3DコンバータMPES-2D3D1が発表された。このコンバータではフォーカスが有っている被写体が手前でフォーカスアウトしている部分が奥とするなどアルゴリズムで設計されているらしいがまだ製品化前で十分にチューニングされていない印象であった。 北米で3D放送を先行させたESPNの3Dチャンネルなども苦戦強いられているようだ。日本国内においても既にBSの民放でその取組みが始まっているが3D関連を商品化しているメーカーなどのスポンサードによって良質な無料コンテンツ放送を数多く制作していかないと折角盛り上がった3Dブームを一過性のものにしてしまう危険性もある。

3板式と単板式カムコーダは共存時代に入ってきた ここ数年来注目されプロビデオやハイアマチュアに新たな撮影手法が定着しつつ有るのが動画対応デジタル一眼カメラである。35mmムービーカメラと同様なレンズ選択が可能となりプリズム分光による3板式カメラでは得ることの困難な浅い被写界深度のボケ味や大口径レンズや大型イメージセンサによるシャープネス等々が評価されている。 今回の InterBEE2010においても単板撮像デバイスを用いたカメラが注目された。その火付け役となったカメラが2008年秋に登場したキヤノンのデジタル一眼レフEOS5D MarkⅡである。このカメラから搭載されたライブビュー機能によるフルHD動画記録の高品位画像に世界中の映像制作関係者が驚嘆したのだ。 ソニーは、InterBEE2010においてスーパー35mm相当のCMOSイメージセンサを採用したAVCHD記録のNXCAMシ

ソニー: NEX-VG10 のプロ用バージョンとなる NEX HDカムコーダ(技術展示)

ソニー: XDCAM-EX シ リ ー ズ PL マ ウ ン トPMW-F3

富士 フィルムブース:PLLx3 社 ビームスプリッター方式 ステレオ 3DRig

ソニー:XDCAM シリーズ 3 板カムコーダMPEG-2 4:2:2 記録 PMW-500

パナソニック: マイクロフォーサーズAVCHDカムコーダ AG-AF105

パナソニック: 3 板 CCD AVC-Intra      AJ-HPX3100

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リーズの第2弾となるHDカムコーダを技術展示した。同社のEマウントを採用した動画対応ミラーレスデジタル1眼カメラNEX-3 及び5をビデオカメラのデザインにしたコンシューマ初のレンズ交換式HDカムコーダとして話題になっているNEX-VG10のプロ用バージョンの位置づけと言える。プロ用ビデオカメラマーケットにおける新たなジャンルが広がる予感を感じさせるカムコーダの出現である。 さらにXDCAMの新ラインアップとしてPLマウントレンズに対応したスーパー35mm相当(対角27.1mm)のCMOSを搭載したPMW-F3シリーズを出展した。単焦点レンズ(35/50/85mm)を3本セットにしたモデル(¥2,100,000)とレンズ無しモデル(¥1,450,000)が用意されている。戦略的な価格帯でカメラとしての基本性能も2000lux/F11,S/N63dBの高感度・高S/Nを実現している。記録メディアはXDCAM-EXシリーズと同様のS×Sを採用コーデックも同様のMPEG-2LongGOPとなっている。映画制作における使用を考慮してRGB収録やS-Log出力をHDCAM-SRに収録するハイエンドワークフローに対応するオプションも用意される。NAB2011で発表されるであろうHDCAM-SRのネイティブコーデックのMPEG-4 SStPそしてファイルラッパーにMXFと業界スタンダード仕様でSRメモリパックに220Mbps相当で記録するSR Lite ポータブルレコーダと

の組合せに期待したい。ソニーはこの数年間様々モデルのカムコーダの開発が急ピッチで進められて来ているNAB2011では是非4Kカムコーダの発表に期待したい。 一方、3板式カムコーダではXDCAMメモリーカムコーダのPMW-500を出展した。XDCAM EXシリーズと差別化を図ったPowerHAD FX CCDを使用しS× S メモリーMPEG-2HD422MXF 記録を採用している。XDCAMのスタンダードモデルになると思われる。 パナソニックは、ミラーレス一眼デジタルカメラLUMIX Gシリーズで採用したマイクロフォーサーズのコンセプトを生かした世界初となるマイクロフォーサーズ規格業務用HDカムコーダAG-AF105をパナソニックブースのメインプロダクツとして出展した。 AG-AF105は、4/3(フォーサーズ)CMOSイメージセンサを採用しレンズマウントをオリンパスが提唱したマイクロフォーサーズを採用しコンパクトな光学系を実現し変換マウントを用いる事により35mmフィルムカメラ用レンズ、プライムレンズ、フォーサーズレンズ等交換レンズの選択で被写界深度の浅い撮影を可能にしている。従来のバリカムでのプログレッシブ記録に対応し新VFR(Variable Frame Rate)をサポートして1080のフルスペックHDをサポートしている。AVCHDの PHモード(平均 21Mbps)で64GBのSDXCカードを2枚使用す

れば連続最長12時間記録可能となっている。さらにパナソニックは8月に北京で開催されたBIRTV2010でデビューした 3 板式 CCDAVC Intra 記録の P2 カムコーダのハイエンドモデルとなるAJ-HPX3100Gを出展した。側方視界を確保したボディデザインに一新し本体重量を3.9Kgに抑えている。InterBEE2010のスイート展示ではオプションのエンコーダとワイヤレスUSB型トランスミッターモジュールによって高画質プロキシ映像を i Phoneや i Padへのワイヤレス転送のデモが行なわれた。

ファイルベースワークフローが加速 年々広がりを見せてくるファイルベースによるワークフローであるが今回の Inter-BEE2010においてもVTRからファイルへのコンバートについて様々な提案が行なわれた。およそ20年前1インチVTRからD-2やD-3VTRへのアナログコンポジットからデジタルコンポジット信号へのベースバンドでのコピーを行なってきたが今回のアーカイブ作業はベースバンドからファイルへの変換となっている。このように映像や音声をファイル化することによりITをベースとしたシンプルなシステムの構築が可能となって来ている。このような背景下D-2やD-3VTRのメンテナンス終了時期が4~5年先に迫っている関係からまずはアーカイブスのファイル化を進める動きが急務となっている。

朋栄ブース:LTO-5 を採用したアーカイブレコーダ LTR-100

InterBEE2010 会場ホール 7

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 ここ数年来ファイルベース化への製品開発にいち早く取組んで来た朋栄は今年のNAB2010で発表した1.5TBの LTO-5(LinearTape-Open)を採用した LTR-100HS ビデオアーカイブレコーダとIBM製TS3200ミッドレンジカートシステムと組み合わせた中規模なアーカイブシステムの提案を行なった。LTR-100HSは、LTO-5テープドライブを核にベースバンド入力及びファイルによるインジェストをサポートしMPEG-2エンコーダ・デコーダ及びMXFのラッピング、アンラッピングとメタデータの作成と編集もサポートしたオールインワンタイプのアーカイブレコーダと言える。 従来LTOメディアはアクセス、アップデート、ファイル共有等において制約が有り必ずしも使いやすいメディとは言えなかったが IBMやHPの新たなファイルシステムLTFSの構築により使い勝手が格段に向上しLTOを一般のメディアと同等に扱えるようになって来た点が放送用途としてのアーカイブメディアとしても認められている点と言える。LTOは、固定ヘッドでヘッド寿命は250,000時間と言われメンテナンスコストがVTRと比べ大幅にランニングコストが圧縮出来る。1カートリッジあたり容量はBD2層式で50GBに対してLTOは1500GBそしてメディアコストとなるGB単価も10円以下とXDCAM用BDディスクと比べて1/16となっている。さらに収納スペースに大き

く影響するカートリッジサイズはD2VTRのMカセットの1/6の体積となっている。現存するアーカイブメディアとしては最良と言える。数年後には容量3.2TB転送レート270MB/Sの LTO6が出るロードマップとなっている。 一方、ユニーク海外製品の輸入を展開しているASKではCache-A 社の LTO̶5ドライブPro-Cache5を出展した。Pro-CasheはHD-SDI などのベースバンド部が無くファイル入力に特化している。エンコーダを外付けにする事で様々ファイルフォーマットに対応可能となっている。2TBのHDDを内蔵し各種ノンリニア編集機やAFP,SMB,NFS,FTP等のファイル型式に対応しUSB端子が6ポートの他eSATと EpressCard 端子を装備している。 NECは番組バンク・CMバンク用途向けビデオサーバシステムArmadia を出展した。FTPにより転送されるファイルフォーマットは業界標準となるMXFをサポート600Mbps以上のファイル転送が可能となっている。5Uのサーバユニットと2UのディスクアレイユニットでFMD(フラッシュメモリドライブ)とHDDを選択出来る。サーバ部は8ユニットのエンコーダまたはデコーダが搭載出来1ユニットあたり8系統のHD-SDI が扱える。コーデックはMPEG-2 の 422P @ HLやAVC-Intra が選択出来る。ストレージ部分は FMDモデルが RAID5、HDDモ

デルがRAID6による冗長化で無停止交換に対応している。さらにNECはNEC北米研究所で開発した次世代グリッド・ストレージ技術と従来の高信頼性ストレージ技術を融合させた「HYDRAstor」を用いたファイルベースワークフローを出展した。データを保管するストレージ・ノードとデータの圧縮、元データを複数に分割する冗長分散配置、通信処理などを行なうアクセラレータ・ノードを複数配置してそれらをメッシュ状に連結する仕組みとなっている。この技術を用いることで1/20に圧縮も可能になりテープ並みの価格でディスク以上の性能を実現し災害時等における迅速な対応など新たなストレージシステムが現実的になって来た。東芝はVIDEOS neoを InterBEE2010に投入した。ベースバンドワークフローとファイルベースワークフローの効率的連携を実現したフラッシュメモリサーバでMXFに対応している。東芝研究所で開発された超高速低消費電力を実現したTCP/IP通信ハードウェアエンジンNPEngineの採用で1ポートあたり700Mbpsの高速ファイル転送を実現している。64Gビットフラッシュメモリの採用で従来モデル比で約40%減の消費電力を実現している。

ファイル検証が重要性を増してきた ファイルベースを進めていく上ではファイル化を如何に効率良く進めて行く事が出来るかがポイントになってくる。その中で

アストロデザイン:4K CMOSカメラ 日立国際電気: スーパーハイビジョンフルスペックカメラ

池上通信機: i STEP ファイルベースワークフローの提案

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Kazuo Otake株式会社テレテック

もアーカイブスのVTR素材は作業終了後全尺目視による視聴確認は現実的ではないのでVTR再生時に発生したノイズ等を検知しエラーログとして表示出来るノン・リファレンス型の画質評価装置の存在が重要となってくる。InterBEE2010でK-Will社は素材VTR再生時に発生したノイズ等を検知するノン・リファレンス機能を有するVP3000Hを出展した。またVTR出力映像・音声とエンコード済ファイルの映像・音声を画素単位で比較検知して画質・音質を評価するリファレンス型の2つの機能を有している画質評価装置となっている。 ニコンシステムはノン・リファレンスタイプで VTR 出力ノイズに特化した VQ-RT101 映像ノイズ検出装置をIntetrBEE2010で発表した。複数種類にわたるテープ特有のノイズやブラック・フィールドやブラックフレームの有無そしてタイムコードの不連続検出などをノン・リファレンスで検出する事が出来る。この他に画像評価装置としてオリジナル素材とエンコード済ファイルを比較評価する方式のフル・リファレンスモデルは数社から出展されK-Will 社の Qumax シリーズ、アルビックス社の映像・音声エラー検出装置VAD-200、NTTエレクトロニクスのQE1000、テクトロニクスのPQA600、テクノハウスが扱っているVideoClarity社のClearViewなどが出展していた。各仕様に基づいたファイルが作成されている

かエンコーダのセットアップパラメータが仕様に合致しているのかなどを調べるツールとして共信コミュニケーションのブースでは、ITAccess社が扱う Interra 社製のBatonを出展した。Batonはファイル検証システムとして高い評価を得ているが現状は4コア~16コアまでのCPUを用いたワークステーション上での使用が前提となっているが今後は、データセンタのクラウドコンピューティング上でのファイル検証サービスなどの新たなモデルも考えられる。

エンコーダの進化は止らない 現在、全国の地上デジタル放送で使用されているMPEG-2エンコーダは、TSのビットレートが約17Mbps で水平解像度が1440ピクセルとなっている。NECは現行の地上デジタル放送用エンコーダVC̶5300をベースモデルとしたフレーム /フィールド構造適応符号化方式を追加することにより水平ピクセル数をHDフルスペックである1920ピクセルを実現するエンコーダVC-5350を投入した。動きの少ない映像では画面の半分のみ奇数フィールドを使い残りの半分を偶数フィールド使いこのフレーム構造を符号化する。動きの多いシーンでは各フィールド単位で符号化を行い絵柄によって最適な符号化を行い現在のビットレートを変更する事無くMPEG-2MP@HLの1920ピクセルを実現している。さらにNECは、H.264

超低遅延コーデック技術を搭載したH.264エンコーダVC-7700とデコーダVD-7700を発表した。1Uハーフラックの筐体で超低遅延モード時10msec、低遅延モード時60msecと低ビットレート環境においても高品質伝送を可能にしている。InterBEE初登場のカリーナシステムはNTTアドバンステクノロジ社のH.264エンジンHDVE-100を採用した高画質エンコーダでHD-SDI 入力やRS-422を経由し素材の必要な箇所を取込が可能な機能をサポートしているCambria/ADEとファイルベース入力専用のCambria FTCの2つのモデルで構成される。ソフトウェア開発は北米カペラシステムで今回は共同出展となった。今後ファイルベース全盛の時代を向かえファイルトランスコーダ分野から益々目が離せなくなって来た。

新輝ブース: ベネテックス社のノンコンプレション3G対応 SSDレコーダ VMR-1500

アストロデザイン: 4K SSD レコーダ  HR-7512

テクノハウス: 米国パッチアンプ社 3G-VDAとパッチ盤の一体型PA3200Lite(参考展示)