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セメントを使用しない低炭素型・ 高耐久ジオポリマーコンクリート
大分高専 都市・環境工学科
教授 一宮 一夫
本技術の概要
日経コンストラクション 2012 4.9
開発の背景
セメント製造で大量のCO2が排出
国 内 処分場の不足 外 国 排出量の増加
国 内 総排出量の約5% 全世界 総排出量の約10%
フライアッシュの処分
ジオポリマー(GP)とは?
アルミナシリカ粉末(活性フィラー)と アルカリシリカ溶液(GP溶液)の反応で形成される非晶質の縮重合体(ポリマー)の総称
画像:クフ王のピラミッド (ギザの大ピラミッド) Wikimediaより引用
ピラミッド取材記
ピラミッドの巨大ブロック は人造石か 山口大学名誉教授 池田 攻 セメント・コンクリート No.767,768,2011
活性フィラー GP溶液 骨材
珪酸ナトリウム (水ガラス,珪酸ソーダ)
珪酸カリウム(珪酸カリ)
GPコンクリートの構成
フライアッシュ
高炉スラグ微粉末
下水汚泥
もみ殻灰
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
水酸化カリウム(苛性カリ)
新技術の特徴・従来技術との比較
・ セメントに比べ、CO2を約80%削減できる。
・ 産業副産物の有効利用が図れる。
・ 圧縮強度は、セメントコンクリートと同レベルまで発現可能。
・ 固化成分にCaが少ないため,酸に対する抵抗性が高い。
・ アルカリ骨材反応が発生しにくい。
• 給熱養生が必要なため,主として二次製品(工場製品)として用いられる。
• 耐酸性に優れることから,下水道,酸性温泉地,地熱発電所などへの利用が考えられる。
想定される用途
実用化に向けた課題
・ 給熱養生が必要(常温で固化しない)。 ・ 可使時間が短い。 ・ 化学混和剤が使えない。 ・ 配合理論や設計法が確立していない。 ・ 製造コストが高い(OPCコンクリートの1.5倍)。
1.流動性(フロー値)
2.可使時間(フロー値の経時変化)
3.圧縮強度
実験1: 配 合
活性 フィラー
GP 溶液 標準砂
GPモルタルの構成
※幅は容積を表す
フライアッシュ
高炉スラグ微粉末
珪酸ナトリウム(水ガラス)
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
水
11
実験項目
実験A GP溶液混合比(=水ガラス:苛性ソー ダ) VS 流動性,可使時間,強度
実験B GP溶液/活性フィラー VS 流動性,可使時間,強度
実験C 練混ぜ時間 VS 流動性,強度
実験D BS置換率 VS 流動性,強度
実験E 材齢 VS 強度
実験F 蒸気養生時間VS 強度
12
使用材料
分類 項目 材料
GP モルタル
活性フィラー FA1種 + BS
GP溶液 水ガラス + 苛性ソーダ + 水
細骨材 標準砂
OPC
モルタル
セメント 普通ポルトランドセメント
水 水道水
細骨材 標準砂
BS
FA1種 BS MgO 1.51 5.87 Al2O3 32.34 16.84 SiO2 52.29 31.11 P2O5 0.67 ー SO3 0.76 2.84 K2O 1.03 0.83 CaO 2.53 41.44 TiO2 1.40 0.51 Fe2O3 7.37 0.31 MnO ー 0.26 SrO 0.11 ―
FA1種
使用材料:活性フィラー
BS混入率 (vol.%) GP溶液 FA BS 標準砂
0
244.2
533.6 0.0
1535.4 10 480.3 66.0 20 426.9 132.0 30 373.6 198.0
配合
水 セメント 標準砂
255.9 511.8 1535.4
GPモルタル
OPCモルタル ※赤文字(BS=10%)は基準配合
蒸気A
常温
養生(GPモルタル)
蒸気B
9hr
60℃
6hr 3hr
60%RH
90%RH
20℃
60℃ 90%RH
20℃
所定時間
60%RH
90%RH 20℃
9hr 60%RH
実験結果:実験A__GP溶液混合比
フロー値(mm)
2 : 1 3 : 1 4 : 1 100
150
200
250
GP溶液混合比 (水ガラス:苛性ソーダ)
フロー値(mm)
0 100
150
200
250
経過時間(分) 10 20 30 40 50 60
4:1 3:1 2:1
実験結果:実験A__GP溶液混合比
7日強度(N/mm2)
2 : 1 3 : 1 4 : 1
80.0
GP溶液混合比 (水ガラス:苛性ソーダ)
60.0
40.0
20.0
0.0
蒸気
常温
蒸気 常温
圧縮
曲げ
実験結果:実験B__GP溶液/活性フィラー
フロー値(mm)
39.7 44.7 49.7 100
150
200
250
GP溶液 / 活性フィラー
フロー値(mm)
0 100
150
200
250
経過時間(分) 10 20 30 40 50 60
49.7%
44.7%
39.7%
実験結果:実験B__GP溶液/活性フィラー
7日強度(N/mm2)
39.7 44.7 49.7
80.0
GP溶液 / 活性フィラー
60.0
40.0
20.0
0.0
蒸気
常温
蒸気 常温
圧縮
曲げ
実験結果:実験C__練混ぜ時間
フロー値(mm)
0 10 100
150
200
250
練混ぜ時間(分) 5 15 20
7日強度(N/mm2) 80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
圧縮
曲げ
0 10 5 15 20
練混ぜ時間(分)
実験結果:実験D__BS置換率
フロー値(mm)
0 10 100
150
200
250
BS置換率(%) 20 30
7日強度(N/mm2) 80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
圧縮
曲げ
0 10
BS置換率(%) 20 30
実験結果:実験E__材齢
強度(N/mm2) 80.0
材齢(日)
60.0
40.0
20.0
0.0
OP 圧縮
曲げ
1 3 7 14 28
GP
OP GP
実験結果:実験F__蒸気養生時間
強度(N/mm2) 80.0
蒸気B養生時間(時間)
60.0
40.0
20.0
0.0
圧縮
曲げ
24 48 72 0
実験1のまとめ
・ GP溶液混合比は,水ガラスの割合が大きいほど流動性は向上するが,強度は低下する。
・ GP溶液/活性フィラーが大きいほど流動性 は向上するが,強度は低下する。 ・ 練混ぜ時間は,流動性や強度に影響しない。 ・ BS添加率が高いほど圧縮強度が大きい。 ・ 材齢7日で圧縮強度は最大値に達する。 ・ 蒸気養生時間24時間で圧縮強度は最大値 に達する。
実験2: 耐久性
1.耐酸性
2.アルカリ骨材反応性
試験方法
硫酸浸漬試験
供試体 : d=5cm,h=10cm 硫酸濃度: 5% 浸漬材齢: 1,2,4,8週
アルカリ骨材反応性試験
供試体 : 4×4×16cm 養生条件: 60℃,90%RH 試験材齢: 12週
実験結果:硫酸浸漬試験(8週)
0
40 20
60 80
100 0 1 2 3 4 5 6 7 8
質量減少率(%)
浸漬材齢(週)
OPC
GP1 GP2
OPC GP1 GP2
※ GP1はFA1種, GP2はFA2種 を用いた。
実験結果:アルカリ骨材反応性試験
OPC
GP1
GP2
実験結果:アルカリ骨材反応性試験
膨張ひずみ(μ)
材齢(週)
0
400
800
1200
0 2 4 6 8 10 12 GP1 GP2
OPC
実験結果:アルカリ骨材反応性試験
OPC
GP
反応生成物
実験2のまとめ
・ GPの耐酸性は高く,硫酸浸漬(濃度5%,8週
間)後の形状変化は僅少である。 ・アルカリ骨材反応性に対する抵抗性は高く,促進材齢12週における寸法変化やひび割れの発生は確認できなかった。
企業への期待
・ 流動性や耐凍害性を改善できるGP用の混和
剤を開発して欲しい。 ・ 新たな活用分野を提案して欲しい。
• 発明の名称 : ジオポリマー組成物および その製造方法
• 出願番号 : 特願2011-131074 • 出願人 : 西松建設(株) 高専機構 日本興業(株) • 発明者 : 原田耕司 一宮一夫 松山哲也
本技術に関する知的財産権
大分高専 総務課企画係
宮本
TEL 097-552 - 6450
FAX 097-552 - 6106
e-mail kikaku@oita-ct.ac.jp
お問い合わせ先