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M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討 ()大林組、宇都宮大学、東京理科大学 鹿島建設()、清水建設() 大成建設()()竹中工務店 平成27年度建築基準整備促進事業

M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

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Page 1: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

M1 混合セメント等を使用した

コンクリートの水セメント比の

評価方法に関する検討

(株)大林組、宇都宮大学、東京理科大学

鹿島建設(株)、清水建設(株)

大成建設(株)、(株)竹中工務店

平成27年度建築基準整備促進事業

Page 2: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

課題の背景

近年、環境配慮の観点から、高炉スラグ微粉末や

フライアッシュを用いたコンクリート(以下、混合

セメント等を用いたコンクリートという)を建物躯

体へ活用し、躯体の低炭素化を図る必要がある。

こうした背景を踏まえて、混合セメント等を用い

たコンクリートの有効利用に関する研究開発が活発

に行われているが、関連する品質基準の一部も、基

準制定時と現在では異なっている。

Page 3: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

CO2排出量原単位

一般のコンクリートの構成材料

水セメント(結合材)

骨 材 混和剤

コンクリートを構成する材料のCO2排出量の原単位(kg/t)

セメント

フライアッシュ(副産物)

高炉スラグ(副産物)

骨材

混和剤

500 10000

757.9

24.1

17.9

2.8~3.5

100~350

骨 材

混合セメント等を用いたコンクリート

の構成材料セメント 混和剤副産物 水 骨 材

Page 4: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

検討の目的「品確法」、「長期優良住宅」では、コンクリート

の調合に関して、セメントの種類、水セメント比と

単位水量の制限値が規定されている。

混合セメント等を使用したコンクリートの、水セ

メント比の評価方法(寄与率の妥当性)、適用部位

を含めた評価基準の検証などを目的とする。

≪水セメント比の上限値の算出≫

高炉スラグ微粉末 ⇒使用量の70%をセメントとみ

なせる(中性化抵抗性の寄与率が0.7と表現)。

フライアッシュ ⇒全量をセメントとみなすことが

できない(中性化抵抗性寄与率が0と表現)。

Page 5: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

実施体制

事業主体

大成建設

宇都宮大学

東京理科大学

大林組

鹿島建設

清水建設

竹中工務店

共同研究機関

建築研究所

計画の共同立案

実験設備の貸与

結果の共同検討

外部指導者

清水昭之教授

桝田佳寛教授

実験計画の指導

結果の指導

Page 6: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

検討内容

実験1:養生条件・部材形状を考慮した中性化評価方法

実験2:中性化試験に代わる簡易な中性化評価方法

■混合セメント等を使用したコンクリートに関して、

評価1:現行の水セメント比の評価基準の妥当性の検証

(耐久性に寄与する割合(寄与率))

評価2:杭と基礎への適用に向けた評価基準の合理化

(地下躯体等の構造物における中性化深さの調査)

≪実験的検討≫

≪評価基準の見直し≫

Page 7: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

実験1(実験概要)

実験1:養生条件・部材形状を考慮した中性化評価方法

副産物であるフライアッシュに着目し、置換率、養生条件および部材形状(柱部材、壁部材)をパラメータとして促進中性化試験を行い、耐久性への影響を検討した。

柱部材

壁部材

開放面

開放面

部材形状(模擬試験体)設定

圧縮強度試験体

促進中性化試験体 6

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実験1(実験結果)

部材形状の違いについて、中性化速度係数の顕著な差は認められなかった。

Page 9: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

実験2(実験概要)

実験2:中性化試験に代わる簡易な中性化評価方法

試験体および実大部材を用いて、混合セメント等を使用したコンクリートの中性化抵抗性について、透気係数により原位置で非破壊的に評価する手法を検討した。

透気係数測定(トレント法) 実大模擬部材での測定

120cm

90

cm

:測定位置

Page 10: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

実験2(実験結果)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0.001 0.01 0.1 1 10 100

中性化深さ:y(mm)

透気係数:x (10-16m2)

普通(5封)

高炉(5封)

フライアッシュ(5封)

普通(28標)

高炉(28標)

フライアッシュ(28標)

普通:y = 5.29ln(x) + 25.6R² = 0.94

普通(混合セメントシリーズと同じW/C60%以下で近似):y = 2.86ln(x) + 17.3R² = 0.95

高炉:y = 2.83ln(x) + 20.4

R² = 0.86

フライアッシュ:y = 4.13ln(x) + 21.5

R² = 0.80

普通(W/C60%以下を近似)

混合セメント等を使用したコンクリートに対して、透気係数から中性化深さを評価できる可能性を見出した。

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実験2(実験結果の評価)

10

構造体コンクリートの中性化抵抗性評価における透気試験の適用方法の試案

①適用可能な表層透気試験方法の選定

②表層透気試験の時期の判断

③測定された数値の評価とサンプリングの考え方

④測定結果の判定

Page 12: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

評価1(実験概要)

11

評価1:現行の水セメント比の評価基準の妥当性の検証

副産物である混和材の種類(高炉スラグ微粉末、フライアッシュ)、置換率および水結合材比をパラメータに供試体を作製し、促進中性化試験を行い、耐久性におよぼす影響について検討した。

CO2濃度5%

促進中性化試験供試体の作製

練混ぜ

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評価基準(寄与率)の概念

12

セメント(結合材)量=普通ポルトランドセメント量 + α×混合物量

(※混合物とは、高炉スラグもしくはフライアッシュ)

混合物から除く割合(品確法)

混和材の中性化抵抗性の寄与率α

(本実験の定義)

混合物から除く割合(品確法)

混和材の中性化抵抗性の寄与率α

(本実験の定義)

10分の0 1.0 10分の0 1.010分の1 0.9 10分の1 0.910分の2 0.8 10分の2 0.8

10分の3 0.7 10分の3 0.7

10分の4 0.6 10分の4 0.610分の5 0.5 10分の5 0.510分の6 0.4 10分の6 0.410分の7 0.3 10分の7 0.310分の8 0.2 10分の8 0.210分の9 0.1 10分の9 0.1

全量 0 全量 0

:現状の品確法における混合物から除く割合

高炉スラグ フライアッシュ

≪中性化抵抗性の寄与率(α)≫

品確法と中性化抵抗性の寄与率(α)の対応表

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評価1(実験結果)

13

0

2

4

6

8

10

12

20 30 40 50 60 70 80 90 100110120130140150160170180

中性化速度係数(

mm

/√週)

W/(C+α×BFS)(%)

N

BFS50(α=0.0)

BFS50(α=0.2)

BFS50(α=0.4)

BFS50(α=0.6)

BFS50(α=0.7)

BFS50(α=0.8)

BFS50(α=1.0)

BB(α=0.7)

高炉スラグ 50%標準養生

寄与率(α)を変化させ、中性化速度係数の推移を示した⇒同一水結合材比で、普通ポルトランドセメントより中性化速度係数が小さければ、安全側と評価できる

01.00.8

0.60.4

0.2

安全側の評価

普通ポルトランドセメント

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評価1(実験結果の評価)

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結合材

種類

混和材

混合率

(%)

混合セメ

ント規格

混和材の中性化抵抗性の寄与率α

水結合材比

30% 40% 50% 60%

N+FA15 B種相当 - 0.42 0.21 0.07

25 C種相当 - 0.17 0.07 0.00

N+BFS

30 A種相当 - 1.04 1.06 1.07

50 B種相当 - 0.84 0.84 0.83

70 C種相当 0.45 0.59 0.69 -

フライアッシュ(現行基準では「0」)⇒B種、C種「0~0.42」

≪中性化抵抗性の寄与率(α)≫

高炉スラグ(現行基準では「0.7」)⇒A種「1.0」、B種「0.8」、C種「0.4~0.7」

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評価2(調査概要)

15

・地上躯体とは異なる外部環境(土に接する部分)

・法令上のかぶり厚さが大きい

≪杭、基礎≫

混合セメント等を使用したコンクリートを使いやすい環境

≪文献調査≫・土に接する既存杭、基礎、供試体の中性化深さの測定

≪評価基準の合理化≫混合セメント等を使用したコンクリートを基礎に適用するための条件の試算

評価2:杭と基礎への適用に向けた評価基準の合理化

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評価2(調査結果)

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本名ら(地下躯体:築80年) 中村ら(供試体暴露:材齢1年)

地中暴露

促進(算出)

地中中性化率

基礎(梁、フーチング)や土中に埋設した供試体の中性化深さは、大気中よりも小さくなることを確認した。

≪『土に接する部位』の中性化評価≫(文献調査)

Page 18: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

評価2(調査結果)

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中性化深さの予測値と現行基準の最小かぶり厚さを精査⇒混合セメント等を使用したコンクリートの中性化深さの試算値(供用年数90年)は、かぶり厚さを下回った。

≪『基礎』の中性化深さ評価≫(試算結果)供用年数

W/B

(%)普通ポルトランドセメント

高炉スラグ微粉末置換率30%

高炉スラグ微粉末置換率50%

高炉スラグ微粉末置換率70%

最小かぶり厚さ(mm)

30

50

11.1 15.4 20.1 24.360

(イ)60 15.6 21.8 28.5 34.3

90 19.2 26.7 34.9 42.0

30

55

13.3 18.1 24.3 27.170

(ロ)60 18.9 25.6 34.3 38.3

90 23.1 31.3 42.0 47.0

供用年数

W/B

(%)普通ポルトランドセメント

フライアッシュ置換率15%

フライアッシュ置換率25%

最小かぶり厚さ(mm)

30

50

11.1 14.4 18.960

(イ)60 15.6 20.4 26.7

90 19.2 25.0 32.7

30

55

13.3 17.4 23.270

(ロ)60 18.9 24.6 32.8

90 23.1 30.2 40.2

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評価2(調査結果の評価)

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≪混合セメント等を使用したコンクリートの杭、基礎への適用≫

・高炉スラグ微粉末置換率70%以下の範囲

・フライアッシュ置換率25%以下の範囲

⇒基礎に適用する場合に限り、高炉スラグ微粉末とフ

ライアッシュのすべての質量(「混合物から除く割

合10分の0」)を水セメント比の計算に組み込むこ

とができると考える。

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本課題のまとめ

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(1) 水セメント比の評価方法 「混合物から除く割合」

・フライアッシュの場合(現行基準は「全て」)

B種相当で「10分の6~全て」

C種相当で「10分の9~全て」

・高炉スラグ微粉末の場合(現行基準は「10分の3」)

A種相当で「10分の0」

B種相当で「10分の2」

C種相当で「10分の3~10分の6」

本課題では、混合セメント等を使用したコンクリートに

関して、水セメント比の評価方法の見直しを検討した。

現行基準は妥当

現行割合以上にできる場合あり

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本課題のまとめ

20

(2)混合セメント等を使用したコンクリートの

杭、基礎への適用

・高炉スラグ微粉末置換率70%以下の範囲

・フライアッシュ置換率25%以下の範囲

⇒高炉スラグ微粉末とフライアッシュのすべての質量

(「混合物から除く割合10分の0」)を水セメント

比の計算に組み込めると考える。

(3) 促進中性化試験に代わる簡易な中性化評価方法

・透気係数の測定により、中性化深さを評価できる可能

性を見出した。

Page 22: M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比 …M1 混合セメント等を使用した コンクリートの水セメント比の 評価方法に関する検討

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ご清聴ありがとうございました

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実験的検討その2(概要)

12

副産物であるフライアッシュに着目し、置換率および養生条件(養生方法・養生温度)をパラメーターに供試体を作製し、促進中性化試験を行い、耐久性に及ぼす影響について検討している。

10

20

30

40

50

60

70

80

0 24 48 72 96 120 144 168

温度(℃)

時間(h)

柱部材(W/C50%) 壁部材(W/C50%)柱部材(W/C40%)

加熱養生装置温度プログラム

温度プログラム:柱部材・壁部材の初期温度履歴を想定

柱部材

壁部材

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実験的検討その2(結果)

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湿潤養生期間を7日間とした場合、初期材齢に高温養生を施したコンクリートの方が、20℃養生としたコンクリートよりも、中性化速度係数は小さくなる傾向にある。

20℃養生 高温養生