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新技術説明会 (JST知的財産戦略センター) スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 と応用展開 と応用展開 と応用展開 と応用展開 大分大学・工学部・ 客員教授・宇田泰三 大分大学・全学研究推進機構・ 教授・一二三恵美

スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 と応用展開 - JSTスーパー抗体酵素(Antigenase) とその展開 狙撃兵のようにウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原な

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Page 1: スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 と応用展開 - JSTスーパー抗体酵素(Antigenase) とその展開 狙撃兵のようにウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原な

新技術説明会

(JST知的財産戦略センター)

スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用と応用展開と応用展開と応用展開と応用展開

大分大学・工学部・

客員教授・宇田泰三

大分大学・全学研究推進機構・教授・一二三恵美

Page 2: スーパー抗体酵素の抗ウイルス・抗がん作用 と応用展開 - JSTスーパー抗体酵素(Antigenase) とその展開 狙撃兵のようにウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原な

スーパー抗体酵素スーパー抗体酵素スーパー抗体酵素スーパー抗体酵素(Antigenase)とその展開とその展開とその展開とその展開

狙撃兵のように狙撃兵のように狙撃兵のように狙撃兵のようにウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原なウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原なウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原なウイルスや細菌のタンパク質、ガン細胞などに発現しているガン抗原など、ど、ど、ど、標的となるタンパク質を狙い通り打ち落とす標的となるタンパク質を狙い通り打ち落とす標的となるタンパク質を狙い通り打ち落とす標的となるタンパク質を狙い通り打ち落とすことができる画期的な分子である。ことができる画期的な分子である。ことができる画期的な分子である。ことができる画期的な分子である。

・ガン細胞に特徴的な構造を選択的に壊すことが出来れば・ガン細胞に特徴的な構造を選択的に壊すことが出来れば・ガン細胞に特徴的な構造を選択的に壊すことが出来れば・ガン細胞に特徴的な構造を選択的に壊すことが出来れば 「「「「抗ガン剤」抗ガン剤」抗ガン剤」抗ガン剤」

・ウィルスの生存に必須な部分を壊すことが出来れば・ウィルスの生存に必須な部分を壊すことが出来れば・ウィルスの生存に必須な部分を壊すことが出来れば・ウィルスの生存に必須な部分を壊すことが出来れば 「「「「抗ウィルス剤抗ウィルス剤抗ウィルス剤抗ウィルス剤」」」」

(Clinical Science, Suppl. Vol. 2, 429-433(1998) ;;;;Eur. J. Biochem., 272, 4497-4505(2005) ;;;;J. Biol. Chem., 283, 899-907(2008); J. Am. Chem. Soc., 133, 15015-24 (2011); FASEB J, 26, 1607-15(2012); J. Biol. Chem., 288, 19558-68(2013);FASEB J, 29, 2347-58(2015) )

2直接ウイルスなどを無力化でき、これまでにない新しい治療用医薬品、予防用商品の開発が可能

ウウウウイイイイルルルルスススス

ススススーーーーパパパパーーーー抗抗抗抗体体体体酵酵酵酵素素素素

ヒヒヒヒ トトトト 細細細細胞胞胞胞

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抗体、酵素、「スーパー抗体酵素」 (Antigenase)の相違

1,酵素は基質およびその類似物質をその正確さで見極め、かつ、この分子を切断したりす

るハサミとなる機能を持っている。(分子の見極めが抗体に較べて大まかである。)

2,抗体は抗原を厳格に見極める「取っ手」のみを持っている。

3,Antigenaseは抗体に近い分子認識能をもち、かつ、この補足した分子を酵素のように

切断できる。

酵素 抗体スーパー抗体酵素

(Antigenase)3

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活性中心(触媒三ツ組残基)

UA15-Lクローンクローンクローンクローン

(ピロリ菌に有効)(ピロリ菌に有効)(ピロリ菌に有効)(ピロリ菌に有効)

Ser:セリン

His:ヒスチジン

Asp:アスパラギン酸

4

UA15-L

Ser27aHis93

Asp1

【スーパー抗体酵素の特徴】

1.抗原特異性を有しながら、酵素的に

抗原を加水分解する機能を有する。

2.抗体医薬とは異なり、機能の発揮に

ADCC活性(抗体依存的細胞傷害性)

やCDC活性(補体依存的細胞傷害

性)を必要としない。

3.分子サイズおよび化学的性質により、

細胞内送達が抗体よりも容易である。

4.自身が酵素活性を有するために、

様々な使い方(例えば新しい投与法、

細胞内送達、生体外での使用など)

が可能である。

5.毒性が低い

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A3 **** **** **** A18b **** **** J1 J2 J5

A18b

Vκ gene Jκ gene

変変変変     異異異異

A18b’ J1’

J1

遺遺遺遺伝伝伝伝子子子子のののの再再再再構構構構成成成成

L鎖遺伝子

2番染色体

Subgroup

Vκ germline gene (52)Schable et al(1993), Kawasaki et al(2001),

Brensing-Kuppers et al(1997),

I(27)

A20, A30, L1, L4/18a, L5, L8, L9, L11, L12, L12a, L14, L15, L15a, L18, L19, L22, L23, L24, O2, O4, O8, O12, O12a, O14, O14a, O18, Z0,

II(11)A1, A2, A3, A5, A7, A17, A18b, A19, A23, O1, O11,

III(9)A11, A27, L2, L6, L10, L10a, L16, L20, L25

IV(1) B3

V(1) B2

VI(3) A10, A14, A26,

human V κκκκ germline gene

ヒトの場合は触媒三ツ組残基様構造( )を持つL鎖の多くが

Subgroup II に属している

#11 clone

(A18b)

三つ組み残基様構造(三つ組み残基様構造(三つ組み残基様構造(三つ組み残基様構造( )を)を)を)をencodeencodeencodeencodeするヒト型遺伝子するヒト型遺伝子するヒト型遺伝子するヒト型遺伝子5

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1,各抗体酵素クローンの遺伝子(塩基)配列決定

2,発現用プラスミドへの同遺伝子の挿入

3,大腸菌へ導入と形質転換と培養

4,可溶性画分への発現確認

6,大腸菌の本培養(1〜2リットルスケール)

ヒト型スーパー抗体酵素の作製・製造プロセス

精製プロセス

菌体の破砕(超音波)

可溶性画分分離

5,大腸菌の前培養(10mLスケール)

菌体の回収

Ni-NTAカラムクロマトグラフィー

透析

濃縮

陽イオンカラムクロマトグラフィー

透析

滅菌後保存(4℃、冷凍)

6

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H.pylori ureaseに対するスーパー抗体酵素

(マウス型)

7

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H. Pylori ureaseに対するスーパー抗体酵素の作製

(NH2)2CO + H2O 2NH3 + CO2

Urease

� 胃酸を中和� 胃粘膜組織を傷害

ββββ-subunit

αααα-subunit

ピロリ菌ウレアーゼの構造

ピロリ菌が強い酸性下にある胃内に棲める理由

8

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菌体ウレアーゼの分解

ピロリ菌の組織染色:ヒト胃粘

膜付近のピロリ菌が綺麗に染色されている。

ピロリ菌ウレアーゼのβ-subunitが抗体酵素(UA15-L)で分解されている。

250

148

98

64

50

(kDa) Marker 0 0.5 10 24 h

H. pylori + UA15-L

αm

βn

β-subunit

(kDa) Marker 0 24 h

H. pylori

250

148

98

64

50

fragments

抗体ではあり得ない

ことが抗体酵素で起

きている !! 9

UA15抗体軽鎖(UA15-L)を用いると

9

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in vivo 試験

104

105

106

107

UA15-L PB whole mAb

CF

U/g

sto

mac

h

p<0.05

使用マウス:9匹/群

E. Hifumi, A. Nishizono, T. Uda et al., J. Biol. Chem., 283, 899(2008).

10

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インフルエンザウイルスに対するin vitro

および in vivo 試験

11

In vitro assay for H1N1 virus ( A / Hiroshima / 37 / 2001 )

Virus was treated with an antibody light chain

Virus strain :A / Hiroshima / 37 / 2001 ( H1N1 )

Virus conc. : 2500 PFU / mLAntibody conc. : 50 µg / mLComposition : 0.5%BSA / DMEM-0.5xPBSTemperature : 25 ℃Time : 24 hour and 48hour

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スーパー抗体酵素(スーパー抗体酵素(スーパー抗体酵素(スーパー抗体酵素(22F6)はははは 48時間の時間の時間の時間のincubation ででででinfluenza virus H1N1 型の感染を強く抑制している型の感染を強く抑制している型の感染を強く抑制している型の感染を強く抑制している

ヒト型スーパー抗体酵素のインフルエンザウイルス(H1N1)

に対するスクリーニングの結果

0

20

40

60

80

100

120

#4 22F6

Infe

vtiv

ity(

%)

Treatment time

24hr 48hr

時間

抗体酵素-D 抗体酵素-22F6

12

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-2 -1 0 21 7 14 21(days)

ウイルスと抗体ウイルスと抗体ウイルスと抗体ウイルスと抗体酵素を混合酵素を混合酵素を混合酵素を混合

経鼻接種経鼻接種経鼻接種経鼻接種

経鼻接種スケジュール (in vivo試験)経鼻接種スケジュール (in vivo試験)Case 1

経鼻接種経鼻接種経鼻接種経鼻接種

-2 -1 0 21 7 14 21(days)

ウイルスと抗体ウイルスと抗体ウイルスと抗体ウイルスと抗体酵素を混合酵素を混合酵素を混合酵素を混合

Case 2

抗体酵素による ウイルス処

経鼻接種(25µL)

Balb/c , 雌 , 6週齢

抗体酵素と ウイルスを混合

経鼻接種(25µL)

Balb/c , 雌 , 6週齢

13

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0

20

40

60

80

100

120

140

0 3 6 9 12 15 18 21

体体 体体重重 重重

変変 変変化化 化化

率率率率

(%)

ウウウウイイイイルルルルスススス接接接接種種種種後後後後のののの経経経経過過過過日日日日数数数数

ウウウウイイイイルルルルスススス感感感感染染染染群群群群

生生 生生

存存存存

率率 率率

2/4

In vivo assay H1N1 virus ( A / Puerto Rico / 8 / 34 )

14

死亡

死亡

7日目 14日目10

11

15

20

10

11

15

20

1414

0

20

40

60

80

100

120

140

0 3 6 9 12 15 18 21

体体 体体重重 重重

変変 変変化化 化化

率率率率

(%)

ウウウウイイイイルルルルスススス接接接接種種種種後後後後のののの経経経経過過過過日日日日数数数数

22F6ククククロロロローーーーンンンン処処処処

理理 理理

生生 生生存存存存

率率 率率

4/4

抗体酵素処理群

7日目 14日目9

12

18

22

9

12

18

22

Case 1

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実用化に向けた課題−1インルエンザウイルスの場合

現在、in vitroおよびin vivo試験を実施して、いくつかの抗体酵素クローンで感染

抑制に有効である結果が得られている。しかも、抗体酵素の投与スケジュールを変えた時のデータ(case-1, -2, -3 )も揃っている。

Case-1:大気中のインフルエンザウイルスを直接撃退する(日用品分野)

Case-2 & 3:予防用の点鼻薬として開発(製薬分野)

実用化への課題:

Case-1:溶液中での有効性は確認できているが、大気中での確認実験が必要

確認実験1:模擬空間を作り、そこにウイルスと抗体酵素を噴霧して有効性を調べる。

確認実験2:フィルターに抗体酵素を固定化し、ウイルスを循環させて感染抑制能を調べる。

Case-2 & 3:マウス鼻腔への投与実験では効果が確認できている。ヒトでの確認実験

が必要

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企業への期待

• 未解決の大気中でのウイルス除去方法(システム)については、大気中でのミクロン水

滴粒子内での「液ー液反応」なので、基本技術はすでに出来ていると考えている。(抗体酵素とウイルスとの反応場は大気中の微少な液滴内:噴霧剤として開発)

• 酵素の固定化(抗体酵素の固定化にはウレタンが好適)技術を持つ企業との共同研

究を希望。抗体酵素は触媒でもあり、固体化した抗体酵素でウイルスのタンパク質を

分解する手法も考えられ、触媒産業で健康あるいは大気環境浄化を将来志向する企業と共同研究を希望。(ウイルス除去システムとして開発)

インルエンザウイルスの場合

Case-1:大気中のインフルエンザウイルスを直接撃退する(日用品分野)

アグリ・バイオ(畜産や農業)への展開

ヒトの健康予防への展開(日用品分野)

• 毎年、世界で数千万羽が殺処分されているのを防止したく、将来は鶏舎に散布する方向での共同研究も希望している。

• 今はインフルエンザウイルスをターゲットにしているが、抗体酵素が安価に製造できれば農薬への展開も考えている。

製薬志向でない企業、健康産業関連企業で、大気環境浄化分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。

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スーパー抗体酵素によるがん細胞傷害性

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製品市場 世界的にすさまじい勢いで研究開発がおこなわれている抗体医薬

⇒本件の抗体酵素は、従来の抗体に酵素活性を持たせて抗原を分解

するもので、これまでの抗体医薬の利点を活かしながら、さらに高性能

な新型医薬品を提供する(抗体医薬の代替であるとともに、安価で高性能なため、広く普及する可能性有り)

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WST assayによるがん細胞傷害性試験

Addition of the L chains(21 ~ 50 µM)

Pre-culture of tumor cell

Culture for 24~48 h at 37˚C

Addition of WST-1 reagent

A549 : Lung carcinoma(肺がん)SNU-1 : Gastric carcinoma(胃がん)PANC-1: Pancreas epitheloid carcinoma(膵臓がん)BxPC-3: Pancreas adenocarcinoma(膵臓がん)ES-2: Clear cell carcinoma (ovary)(卵巣がん)MOLT-4 : Acute lymphoblastic leukemia(白血病)

WST assay

Measurement of absorbance at 450 nm

Positive control : CisplatinNegative control : PBS

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参考資料(3件追加)

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ヒト型「スーパー抗体酵素」の安全性試験(毒性試験)

1,単回経口投与試験(観察期間7日間)

2,単回腹腔内投与急性毒性試験(観察期間7日間)

4,7日間反復投与毒性試験

3,単回尾静脈内投与急性毒性試験(観察期間7日間)

5,単回静脈内投与毒性試験(観察期間28日間)

全てにおいて異常なし

0

20

40

60

80

100

120

0 1 2 3 4 5 6 7

体体 体体重重 重重

変変 変変化化 化化

率率率率

(%

)

投投投投与与与与後後後後日日日日数数数数

反反反反復復復復尾尾尾尾静静静静脈脈脈脈(8.3mg/kg/day)

投与あり

投与なし 生存率生存率生存率生存率

3/3

投与用量(mg/kg)

肉眼的所見 異常なし

外観 頭蓋腔 胸腔内 腹腔内 リンパ節

8.3 3/3 3/3 3/3 3/3 3/3

0 3/3 3/3 3/3 3/3 3/3

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実用化に向けた課題−2

• 現在、in vitroおよびin vivo試験を実施して、いくつかの抗体酵素クローン

でがん細胞傷害性を示している。しかし、分子サイズが2.5-5.0万であるので、体内滞留性を考えれば、 PEG修飾などで分子サイズを数万大き

くする事が望ましい。

• PEG化の後、静注での実験データを取得し、臨床のための前臨床試験を行っていく。

• 実用化に向けて、安価・大量に製造できる技術を確立する必要がある。

抗がん剤として開発する場合

因みに、現在の実験室的製造法では、大腸菌1リットル培養で抗体酵素の純度99%

で、50mgが最高値である。

大腸菌培養で製造可能なので、CHOのようなほ乳細胞を使用しなくて済み、かなり安価に製造可

能と思われる。現在、この10倍の製造法に向けて取り組んでいる処である。

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企業への期待

• PEG修飾などで分子サイズの調整については、既存技術が多くあり、比較的容易に克服できると考えている。

• 静注での実験データを取得し、臨床のための前臨床試験を行っていく。こうした技術を持つ企業との共同研究を希望。

抗がん剤として開発する場合

〜性能の違い〜

スーパー抗体酵素:・任意の標的に対するヒト型「スーパー抗体

酵素」の単離が可能である。

・標的分子を分解し不活化できる。

・軽鎖の単鎖であり大腸菌での培養が可能

で安価に製造できるが。。。。

・抗体酵素はADCC活性やCDC活性を必要と

しないので、免疫系の減弱している患者

にも有効。

・生体外でも使用可能である。

抗体医薬:・抗体は標的に結合するだけで分解しない。

・標的を不活化するには補体や免疫細胞な

どの協力が必要。

・抗体はほ乳細胞での培養が必須でコストが

高い。

・抗体医薬はADCC活性やCDC活性が必要で

ある。

・生体内でしか使用出来ない。また、細胞内

への移動が抗体軽鎖に比べて難しい。

スーパー抗体酵素の開発で多くの特許があり、その性能も抗体医薬とは異なる。今、世界が「狂乱的競争状態」に陥っている抗体医薬からの脱出、10年後の新展開を考

えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。

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スーパー抗体酵素 特許マップ(JST出願)

●新規抗体酵素生産方法および新規抗体酵素特許第4334931号 日本のみ 2002.7.19出願

●ヒト抗体酵素およびその生産方法特許第4829609号 日本のみ 2004.12.22出願

●ケモカインレセプターCCR5のN末端領域に対する抗体酵素特許第4777785号 日本のみ 2006.1.31出願

●ヒトTNF-αに対する抗体酵素およびその利用特許第4861019号 日本のみ 2006.1.31出願

●ヒトIgEに対する抗体酵素およびその利用特許第5058490号 日本のみ 2006.1.31出願

●抗ウイルス剤、抗体酵素、プライマーセット、ポリヌクレオチドの製造方法、および、ポリペプチドの製造方法特許第5199516号 日本登録、 US、EP 審査中 優先日:2010.2.19

●抗がん剤日本(2013.3.5出願、拒絶査定不服審判へ)、TW(2013.3.6出願)、PCT(2013.3.5出願)

●ヒト抗体κ型軽鎖複合体含有組成物及びその製造方法特願2013-170414(2013.8.20出願)

触媒三つ組アミノ酸残基構造の解析による抗体酵素取得方法を始めて提示

ヒト型抗体酵素の製造方法を提示:in vitro合成系を利用

ターゲット(抗原)をマウスに免疫してマウス型抗体酵素を量産

CRESTの成果:大腸菌による組換えヒト型抗体酵素の量産

国際出願開始

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従来技術との比較/発明の効果

従来技術A(抗体医薬):特異性は高いが、非常に高価(数百万円/患者)。副作

用有り。細胞内に入らない。知財は海外が占有。

従来技術B(低分子抗がん剤):特異性は低いが、比較的低価格(通常の医療費の範囲)。毒性が高い。新規な低分子抗がん剤は出ていない。

本発明(スーパー抗体酵素):特異性はある。抗体軽鎖なので大腸菌で作れる(安価)。毒性が低い。細胞内に入る。日本の技術。

※抗体医薬はTurn overを持たないが、抗体酵素はTurn overを持つ。従って、体内に数日間ー

1週間滞留すれが相当の効果が現れると推測される.(Turn over(kcat)=分解速度)

発明の効果:

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お問い合わせ先【ライセンスについて】

科学技術振興機構

知的財産戦略センター 田中 史祥

TEL03-5214 - 8293

e-mail ftanaka@jst.go.jp

【技術内容について】

大分大学・工学部・客員教授・宇田泰三TEL 097-554 - 7892 or 8525e-mail uda@oita-u.ac.jp

大分大学・全学研究推進機構・教授・一二三恵美TEL 097-554 - 6003e-mail e-hifumi@oita-u.ac.jp

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