18
食中毒 教科書 第346章 炭水化物タク質が変質するについて説明できる。 油脂が変敗するを説明し、油脂の変質試験を実施できる。(知識技能) 食品の変質をぐ方法(保存法)を説明できる。 食品成分由来の発がん性物質を列挙し、その生成を説明できる。 表的な食品添加物を用途別に列挙し、それらの働きを説明できる。 特別用途食品と保健能食品について説明できる。 食品の表示を正しく読み取り、食品表示法について説できる。 食品衛生にする法的規制について説明できる表的な細菌ウイス性食毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原因食品 および方法について説明できる。 食毒の原因となる表的な自然毒を列挙し、その原因物質、用、症状の特徴を説明できる。 化学物質(重金属、残留農薬など)による食品汚染の具例を挙げ、の健康に及ぼす影響を 説明できる。 食品の褐変を引き起こすな反応とそのを説明できる。 赤字は既に学んでいます。緑字はこれからの他の授業でも学びます。 ●部分をこの授業回でしっかりと理解しましょう 1 動自然毒 植自然毒 自然毒食中毒 自然毒 フグ・貝・高脂質深海魚など 毒キノコ・⻘梅など 毒質を保した動植を摂することにより発症 発生頻度は生食中毒よりもはるかに低い 致命は生食中毒よりも高い 植自然毒は植自らが生 動自然毒は食連により体内積されたものがい 自然天然は安心 食中毒統計を思い出しましょう 死亡事故は「自然毒」によるものが比較的多いような‥‥ 自然界に存在する「毒」を見分ける目を養うのは‥‥かなりの専性! 2 O H HO NH 2 HOH 2 C O OH O H OH H H H HO N H N H H 中性/弱酸性では熱に対して安定耐熱性アカ性で熱分解 疎水性 共生する海洋細菌が産生以外の海産生物にも検出 養殖によって毒量は低下、季節変動あり12月6月毒性高い p. 39 3-17 毒キ tetrodotoxin 3 LD 50 10 μg/kg(ウス腹腔内) に対する最小致死量: 12 mg程度 麻痺症状 嘔吐、口唇のしびれから呼吸停止で致死 食後23時で発症 (神経達に用し、Na活性化を選択的害) 有効な治療法や解毒剤は確立していない その他 調理:卵巣や肝臓の調理は免許制度 キの特徴 4

フグ毒ㄥテトロドトキシンㄷ ㄦ テトロドトキシンの特徴pcbst_bb/FH2015.pdf · 2015. 7. 10. · 食中毒 教科書第3ヷ4ヷ6章 炭水化物ヷタンパク質

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  • 食中毒教科書 第3・4・6章

    ○炭水化物・タンパク質が変質する機構について説明できる。○油脂が変敗する機構を説明し、油脂の変質試験を実施できる。(知識・技能)○食品の変質を防ぐ方法(保存法)を説明できる。●食品成分由来の発がん性物質を列挙し、その生成機構を説明できる。○代表的な食品添加物を用途別に列挙し、それらの働きを説明できる。○特別用途食品と保健機能食品について説明できる。○食品の表示を正しく読み取り、食品表示法について概説できる。○食品衛生に関する法的規制について説明できる。○代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原因食品

    および予防方法について説明できる。●食中毒の原因となる代表的な自然毒を列挙し、その原因物質、作用機構、症状の特徴を説明できる。○化学物質(重金属、残留農薬など)やカビによる食品汚染の具体例を挙げ、ヒトの健康に及ぼす影響を

    説明できる。○食品の褐変を引き起こす主な反応とその機構を説明できる。

    赤字は既に学んでいます。緑字はこれからの他の授業でも学びます。●部分をこの授業(回)でしっかりと理解しましょう 1

    動物性自然毒

    植物性自然毒自然毒食中毒

    自然毒

    フグ・貝・高脂質深海魚など

    毒キノコ・⻘梅など

    有毒物質を保有した動植物を摂取することにより発症発生頻度は微生物性食中毒よりもはるかに低い致命率は微生物性食中毒よりも高い植物性自然毒は植物自らが産生動物性自然毒は食物連鎖により体内蓄積されたものが多い

    自然(天然)は安心?

    食中毒統計を思い出しましょう死亡事故は「自然毒」によるものが比較的多いような‥‥

    自然界に存在する「毒」を見分ける目を養うのは‥‥かなりの専門性!2

    O

    H

    HO

    NH2+

    HOH2C

    O-

    OHO

    H

    OH

    H

    H

    H HO

    NH

    NHH

    ・ 中性/弱酸性では熱に対して安定(耐熱性)アルカリ性で熱分解・ 疎水性・ 共生する海洋細菌が産生(フグ以外の海産生物にも検出)・ 養殖によって毒量は低下、季節変動あり(12月~6月毒性高い)

    p. 39 図3-17

    フグ毒(テトロドトキシン: tetrodotoxin)

    3

    LD50:10 µg/kg(マウス腹腔内)ヒトに対する最小致死量: 1~2 mg程度

    毒 性

    症 状 麻痺症状嘔吐、口唇のしびれから呼吸停止で致死食後2~3時間で発症(神経伝達に作用し、Na活性化機構を選択的阻害)有効な治療法や解毒剤は確立していない

    その他 調理:卵巣や肝臓の調理は免許制度

    テトロドトキシンの特徴

    4

  • H3C

    CH3

    A B C D

    EF

    K

    G

    I JL M

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    H

    O

    O

    O

    CH3

    CH3OH

    CH3

    HO

    OH

    ・ 脂溶性で耐熱性(縮環型ポリエーテル構造)・ シガテラ毒魚は約400種類、一部は食品衛生法で販売禁止措置・ 有毒(双)鞭毛藻Gambierdiscus toxicus が産生(食物連鎖)・ ハタハタ、ウツボ、カマス、バタフエダイ、イシガキダイなど

    p. 39 図3-18 A)

    シガテラ毒(シガトキシン: ciguatoxin)

    バラフエダイ

    イシガキダイ

    5

    LD50:0.35 µg/kg(マウス腹腔内)下痢、嘔吐温度感覚異常(ドライアイスセンセーション)食後1~8時間で発症、死亡率は低い

    シガテラ毒の特徴

    毒 性症 状

    シガトキシン

    マイトトキシン

    パリトキシン

    LD50:0.05 µg/kg(マウス腹腔内)毒 性

    LD50:0.15 µg/kg(マウス静脈)横紋筋融解症:筋痛、CPK、ALT、ASTの上昇麻痺、痙攣など

    毒 性症 状

    6

    ・ フグ中毒に匹敵する致死率の高い食中毒・ paralytic shellfish poison; PSP 水溶性化学物質・ 有毒(渦)鞭毛藻が産生(食物連鎖)・ 中腸腺に蓄積する場合が多い

    麻痺性貝毒(サキシトキシン: saxitoxin、ゴニオトキシン: gonyautoxin)

    アサリ

    ホタテガイ

    カキ

    OH

    OH2N

    O

    HN

    H2N+

    N

    NH

    NH2+

    N

    R

    H

    H

    OH

    R=H :サキシトキシンR=OH :ゴニオトキシン

    p. 41図3-19

    7

    LD50:10 µg/kg(マウス腹腔内):サキシトキシンヒトに対する最小致死量:1~2 mg程度

    麻痺症状嘔吐、口唇のしびれから呼吸停止で致死食後30分~3時間で発症(神経伝達に作用し、Na活性化機構を選択的阻害)死亡例は喫食後12時間程度

    ホタテガイやムラサキガイなどの二枚貝が主流アサリ、カキでも報告例あり

    毒 性

    症 状

    シガトキシン

    麻痺性貝毒の特徴

    その他

    8

  • ・ ジノフィシストキシン、オカダ酸などが単離・ diarrhetic shellfish poison; DSP 脂溶性化学物質・ 有毒(渦)鞭毛藻が産生(食物連鎖)・ 毒化時期のピークは6~8月・ 中腸腺に蓄積する場合が多い

    下痢、吐気、腹痛(死者は出ていない)

    ホタテガイやムラサキガイなどの二枚貝が主流

    下痢性貝毒

    オカダ酸 p. 42図3-20

    症 状

    その他9

    H3C

    O

    O

    O

    CH3

    CH3

    HOH

    O

    CH3

    CH3

    CH3

    O

    O

    O

    OH3C

    O

    O

    OO H

    ・ 縮環型ポリエーテル構造・ neurtotoxic shellfish poison; NSP 脂溶性化学物質・ 有毒(渦)鞭毛藻が産生(食物連鎖)・ 口唇、顔面にしびれを生じる

    神経性貝毒(ブレべトキシンB: brevetoxin B)

    ブレべトキシンB p. 42図3-21

    10

    COOH

    COOH

    COOH

    NH

    ・ 興奮性アミノ酸の一種・ ammesic shellfish poison; ASP 脂溶性化学物質・ 珪藻が産生(食物連鎖)・ 腹痛、下痢、嘔吐、記憶の喪失や混乱

    記憶喪失性貝毒(ドーモイ酸: domoic acid)

    ドーモイ酸 p. 43 図3-22

    11

    ・ 高含量脂質深海魚類のアブラボウズ(中性脂肪高含有)、アブラソコムツ(ワックスエステル高含有)の多食により下痢誘発食品衛生法で販売禁止

    ・ テトラミンヒメエゾボラなど肉食性巻貝の唾液腺頭痛、悪寒、めまいなど、通常2~3時間で回復

    ・ スルガトキシン・ネオスルガトキシン沼津産バイ(小型巻貝)の中腸腺に局在口渇、視力減退、瞳孔拡大など

    ・ 過剰ビタミンAイシナギの肝臓(50~150万I.U.のビタミンA)頭痛、発熱、嘔吐など、妊婦による摂食で奇形児出産の危険性

    その他の魚介毒

    12

  • 有毒植物または有毒物質を含む植物

    毒キノコ日本では約30種の毒キノコ(約300種食用キノコ、1000種以上キノコ)中毒は秋季に集中消化器障害型・コレラ様症状型・神経症状型・脳症状型に分類

    アルカロイド含有植物アルカロイドは植物に含まれる含窒素・塩基性有機化合物の総称ジャガイモ、トリカブト、チョウセンアサガオ、ハシリドコロ

    ⻘酸配糖体含有植物植物含有酵素や腸内細菌酵素によりα−ヒドロキシニトリルを遊離酵素的あるいは自発的にシアン化水素に分解青梅、アンズ、五色豆、ビルマ豆

    その他植物性自然毒ワラビ、ソテツ、ドクムギ、ドクゼリ、ヒガンバナ、ジギタリス

    13

    毒キノコ(1) 原形質毒性型

    H

    N

    H

    NHOH

    H

    CH

    CC C

    S

    C

    COH3C

    H2CCO

    CO

    CO

    CO

    NH

    NHHN

    NH

    CH2

    C

    C

    R2

    R5

    R3

    R1

    R6

    R4

    N

    H2C

    H

    CO

    H

    CO

    NH

    H

    CH

    ・ タマゴテングダケ、ドクツルタケなど猛毒性・ コレラ様症状(嘔吐、コレラ様下痢、痙攣、死亡場合もある)・ 環状ペプチド構造(アマトキシン・ファロトキシン)ファロトキシン(Phallotpxin):ファロイジンなどアマトキシン(Amatoxin):アマニチンなど タンパク質合成阻害

    タマゴテングダケ

    ドクツルタケ

    14

    ムスカリン ムスカリジンO

    OH

    H3C

    CH3

    NCH2

    +CH3

    CH3 HO

    H3C

    OH

    CH3

    N+

    CH3

    CH3

    ・ 神経症状型・ ベニテングダケ、ドクスギタケ・ 副交感神経の興奮(発汗、縮瞳など):ムスカリン・ アトロピン作用様症状(散瞳など):ムスカリジン

    ベニテングタケ

    テングタケ

    毒キノコ(2) 神経障害型

    出題しませんが‥‥p.46 図3-24 キノコ毒成分の構造式中毒が起きた場合の救急対応、薬物治療については、薬理での学びを活かしてくださいムスカリン‥‥受容体‥‥副交感神経‥‥

    15

    Galactose

    O

    CH3N

    CH3

    H3C

    H3C

    Glucose

    Rhamnose

    ・ 水溶性、耐熱性アルカロイド配糖体・ 約0.01%含有 発芽部分に濃縮されている・ アグリコンはソラニジン・ 中枢神経毒、コリンエステラーゼ阻害作用、溶血作用・ 多量摂取数時間以内に腹痛、目眩、胃腸障害

    チャコニン -Glucose-Rhamnose

    Rhamnose

    アルカロイド配糖体(1)(ソラニン solanine・チャコニン chaconine)

    ジャガイモ緑辺部・発芽部

    16

  • アルカロイド配糖体(2)

    トリカブト チョウセンアサガオ ハシリドコロ

    トリカブト

    チョウセンアサガオ

    ハシリドコロ

    猛毒性アコニチン(aconitine)を含むジテルペンアルカロイド 中枢神経麻痺致死量はトリカブトの根で2~4g、アコニチンで約5mg昭和61年 トリカブト殺人事件(保険金1億8000万円)

    アトロピン(atropine)、スコポラミン(scopolamine)トロパン系アルカロイド 副交感神経遮断作用(狂騒状態)

    アトロピン、ヒヨスチアミン(hyoscyamine)、トロパン系アルカロイド 副交感神経遮断作用(狂騒状態) 17

    ・ 配糖体は無毒だが、酵素分解により青酸(HCN)を産生・ 酵素は植物に局在するもの・ 煮沸や水洗により除去可能 LD50 : 287mg/kg (マウス経口) 実質青梅300個程度?

    青酸配糖体(ソラニン solanine・チャコニン chaconine)

    青梅(アミグダリン)

    CN

    C6H5CH

    OC6H10O4・OC6H11O5CNH3C

    OC6H11O5

    C

    H3C

    アミグダリン(Amygdaline) ファゼオルナチン(Phaseolunatin)

    まず配糖体の糖(O – glycoside 結合)が切断される(β-グリコシダーゼ)シアノ基は酵素もしくは自発的に遊離し、HCN(青酸)を遊離する

    18

    H3C

    CH3

    CH3

    O

    O

    HOO

    HOOH

    OH

    CH2OH

    その他(プタキロシド ptaquiloside サイカシンcycasin)

    p. 50-52 表3-6

    ワラビ(プタキロシド)

    ・ 水溶性発がん物質・ 塩漬け、あく抜きにより除去可能

    O

    CH3N=NCH2O C6H11O5↓

    ・ 酵素は腸内細菌由来であり、強力な発がん性物質産生・ メチルアゾキシメタノールは肝がん、神経毒の原因物質・ ヨーロッパでは腸管出血、消化器系腫瘍の発生原因

    ソテツ(サイカシン)

    O

    CH3N=NCH2OH ↓

    メチルアゾキシメタノール

    19

    ここまでのまとめ教科書 第3・4・6章

    動物性・植物性の毒性物質およびそれを含む生物を列挙できる‥‥ここは「暗記」が必要かもしれません薬理・薬物治療におけるこれら「中毒」における応対、薬物治療を今後しっかり学んでください

    ●食中毒の原因となる代表的な自然毒を列挙し、その原因物質、作用機構、症状の特徴を説明できる。●食品成分由来の発がん性物質を列挙し、その生成機構を説明できる。

    20

  • 食の中毒教科書 第11章

    ○炭水化物・タンパク質が変質する機構について説明できる。○油脂が変敗する機構を説明し、油脂の変質試験を実施できる。(知識・技能)○食品の変質を防ぐ方法(保存法)を説明できる。●食品成分由来の発がん性物質を列挙し、その生成機構を説明できる。○代表的な食品添加物を用途別に列挙し、それらの働きを説明できる。○特別用途食品と保健機能食品について説明できる。○食品の表示を正しく読み取り、食品表示法について概説できる。○食品衛生に関する法的規制について説明できる。○代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原因食品

    および予防方法について説明できる。○食中毒の原因となる代表的な自然毒を列挙し、その原因物質、作用機構、症状の特徴を説明できる。●化学物質(重金属、残留農薬など)やカビによる食品汚染の具体例を挙げ、ヒトの健康に及ぼす影響

    を説明できる。○食品の褐変を引き起こす主な反応とその機構を説明できる。

    赤字は既に学んでいます。緑字はこれからの他の授業でも学びます。●部分をこの授業(回)でしっかりと理解しましょう 21

    N

    NH

    NH2

    CH3

    CH3

    Trp-P-1(焼肉・焼魚) MeIQ(焼魚)

    N

    NH2

    CH3

    N

    N

    CH3

    食品中の有害物質(ヘテロサイクリックアミン:heterocyclic amines)

    ・ ベンゾ[a]ピレンよりも高い変異原性物質 S9mix存在下のサルモネラTA98に対する変異原性・ トリプトファンからTrp-P-1 / 2、グルタミン酸からGlu-P-1 /2など・ アミノ酸とグルコースからIQ、MeIQ(イミダゾキノリン系)、IQx、MeIQx(イミダゾキノキザリン系)など・ 加熱した牛肉、魚肉、鰹節、スルメなどに検出・ ヘテロサイクリックアミンは「メイラード反応」生成物の一種

    p.140 表11-1

    コゲを食べるとガンになる︖

    22

    ベンゾ [a] ピレン(PAH)

    食品中の有害物質(多環芳香族炭化水素:polycyclic aromatic hydrocarbon)

    O

    O

    アントラセン(PAH)

    9,10-アントラキノン(PAHキノン)

    ・ PAH(Polycyclic aromatic hydrocarbons)・ PAHは2つ以上のベンゼン環を持つ化合物の総称・ PAHは燃料や木材、紙などの不完全燃焼で生成される(熱合成)・ 強い発がん性(約100種類のPAHのうち約20種のPAHに発がん性)・ 焼肉や肉の燻製に多量に含まれる・ BPはタバコの煙に含まれ肺がんとの関係性が示唆される

    p.141 図11-1

    23

    +HNO2 N=O OH

    NHR

    R’+ N

    R

    R’+ HNO

    ・ 発ガン標的臓器特異的化合物・ N-アルキルアミンからの反応はpH依存的(酸性︓⾄適pH=3)

    胃内でN-ニトロソ化合物が生成・ 亜硝酸塩は植物中の硝酸塩が口腔内の細菌の還元酵素により産生

    食肉加工食品の発色剤に亜硝酸塩が使用される(亜硝酸から産生される一酸化窒素がミオグロビンと反応し、ニトロソミオグロビンを生成)

    pH(酸性:3)

    食品中の有害物質(N-ニトロソ化合物:N - nitroso compound)

    HNO3+ -

    N=O+ +

    p.141 表11-2

    CYP2E1

    カルボニウムイオン

    CH2+

    DNAのアルキル化(発がん性)

    HNO2NHR

    R’+ N

    R

    R’NO

    アスコルビン酸(V.C)

    反応抑制24

  • CH2

    CH2

    COCH3O

    C2H5

    CH3

    CH2CH

    H3C

    CH3

    NH

    NH

    N NH3C

    COOH フェオフォルビドa

    ・ クロロフィルの分解物・ 光過敏性皮膚炎を誘発

    光増感物質︓三重項酸素から一重項酸素を生成・ 健康食品(クロレラ錠)・野菜など・ アワビの中腸腺に含まれる

    食品中の有害物質(フェオホルビド:pheophorbide)

    クロロフィラーゼクロロフィリドクロロフィル

    Mg2+

    フィトール

    フィトール

    海藻食の巻貝は海藻由来が蓄積

    25

    ・ ジャガイモや穀類の高温処理(焼く・揚げるなど)・ アスパラギンから生成・ ヒトに対して「おそらく発がん性がある」(IARC︓国際がん研究機関)

    食品中の有害物質(アクリルアミド:acrylamide)

    食品中の有害物質(トランス脂肪酸:trans-fat)

    アスパラギン グルコース アクリルアミド

    メイラード反応

    2015年6月16日米国トランス脂肪酸の加工食品への一切の添加を禁止(3年以内)

    ・ 部分水素添加油脂(マーガリン・ショートニング)︓融点操作

    ・ LDLコレステロール上昇とHDLコレステロール低下・ 反芻動物の胃内バクテリアにより産生

    26

    真菌性食中毒:カビ毒(マイコトキシン:mycotoxin)

    ・ 微量で急性、慢性中毒あるいは「がん」を引起す・ カビの増殖、生育環境(水分活性と食品の劣化 参照)

    ⻘カビ(Penicillium)属︓ルテオスカイリンなどこうじ菌(Aspergillus)属︓アフラトキシン、ステリグマトシスチンなど赤カビ(Fusarium)属︓ニバレノールなど⻨角菌(Claviceps)属︓エルゴタミンなど p.147 表11-5

    パンチーズ‥‥餅?みかん 27

    真菌性食中毒:カビ毒(マイコトキシン:mycotoxin)

    ・ 微量で急性、慢性中毒あるいは「がん」を引起す・ カビの増殖、生育環境(水分活性と食品の劣化 参照)

    ⻘カビ(Penicillium)属︓ルテオスカイリンなどこうじ菌(Aspergillus)属︓アフラトキシン、ステリグマトシスチンなど赤カビ(Fusarium)属︓ニバレノールなど⻨角菌(Claviceps)属︓エルゴタミンなど p.147 表11-5

    28

  • O

    OCH3O

    RO

    O

    OH

    ステリグマトシスチン

    O

    O

    OCH3O

    RO

    O

    O

    アフラトキシンG1(R=H)アフラトキシンGM1(R=OH)

    O

    OCH3O

    RO

    O

    O

    アフラトキシンB1(R=H)アフラトキシンM1(R=OH)

    <物性>・ 蛍光物質・ 紫外線照射でB群とM群は⻘色、G群は緑色の蛍光を発する・ アルカリに不安定・ 熱には安定

    こうじ菌(Aspergillus)属

    29

    ・ B1は強い肝がん毒性・ 毒性(LD50)︓ B1(240mg)>M1(320mg)>G1M(754mg)・ 日本での生産菌検出例︓⼩⻨粉・とうもろこし・輸入そば・木の実・穀類

    輸入ピーナッツなど・ 輸入ピーナッツは入港時に全例検査を実施

    B1が10ppb以上で輸入できない(食品衛生法)

    ・ ステリグマトシスチン︓穀物では汚染の可能性高い 肝臓(肺)に強い発がん性・ オクラトキシン︓⼟壌に繁殖するが収穫期に多湿で穀物汚染

    肝実質細胞に脂肪浸潤を起こし、腎障害誘発 肝腎に強い発がん性

    こうじ菌(Aspergillus)属

    30

    CH3O

    O

    OH

    OHOH

    H

    O

    H3C

    O

    OH

    OH

    OH

    H

    H

    H

    H

    H

    OH

    HO

    アオカビ(Penicillium)属

    ルテオスカイリン・ 脂溶性⻩色色素・ エジプトからの輸入⽶が⻩色に変色

    (イスランジア⻩色⽶)・ 短期摂取で肝障害、⻑期摂取で肝がん

    ルテオスカイリン

    パツリン

    パツリン・ リンゴ腐敗菌(リンゴ果汁や加工品)・ 消化管出血や潰瘍

    31

    ・ シクロクロロチン︓イスランジア⻩色⽶より検出ルテオスカイリンより即効性肝障害、肝がんを誘発

    ・ シトレオビリジン︓台湾からの輸入⽶から検出神経毒性︓後肢麻痺、全身麻痺、呼吸麻痺

    ・ シトリニン︓タイからの輸入⽶から検出 遅効性の腎障害

    アオカビ(Penicillium)属

    農林水産省は、2008年8月28日に、農薬のメタミドホスとアセタミプリドが残留している米や、発癌性のあるカビからできた毒のアフラトキシンB1を含んだ米であるいわゆる事故米穀(ベトナム産うるち米、中国産もち米など)を、工業用(非食用)として、三笠フーズ株式会社に売却した。

    近畿農政局と九州農政局が、この事故米穀の処理状況について立ち入り調査等を行なったところ、三笠フーズは、落札した事故米穀を非食用として仕入れておきながら、その事実を隠して食用として転売したことが確認された。2008年9月5日に、農林水産省は、同社に対し回収を要請して、商品の自主回収を行わせたことを発表した。

    転売先について農水省が調べたところ、多数の業者を介する複雑な流通経路を経た後に、食品加工会社、酒造会社、菓子製造会社等全国の多数の業者に転売されていたことが発明した。転売先の公表については、農林水産省は、転売先の風評被害等を考え、同意の得られた5社のみに限ってに公表していたが、国民の不安払拭のために一転公表に踏み切り、9月16日に24都府県の375社の名称を明らかにした。しかし、同日に、転売先の会社の1つで社長が自殺する事態になった。その後も、調査で転売先と判明した会社については、順次追加公表している。

    事故米不正転売事件 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%B1%B3%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E8%BB%A2%E5%A3%B2%E4%BA%8B%E4%BB%B6

    32

  • O

    CH3

    R1

    R2

    R3

    R4

    R5CH2

    H3C

    O

    H R1 R2 R3 R4 R5

    T-2 トキシン OH OAc OAc H (CH3)2CHCH2COOニバレノール OH OH OH OH O

    トリコテセン

    アカカビ(Fusarium)属

    ・ ATA症:alimentary toxic aleukia(食中毒性無白血球症)の原因(ライムギ・コムギ)・ 腸管の充血肥大、肝肥大、膵肥大など放射線障害と類似・ トリコテセン系化合物︓T-2トキシン、ジアセトキシスクリペノール、デオキシニバレノール・ ゼアラレノン︓⻨・⽶・トウモロコシ︔⼦宮肥大、陰部肥大、不妊など・ フモニシン︓トウモロコシを汚染︔食道がんを誘発

    33

    麦角菌(Claviceps)属

    エルゴタミン

    ・ エルゴタミン、エルゴクリスチン、エルゴメトリン・ 交感神経麻痺(知覚障害)、⼦宮平滑筋収縮

    麦角

    34

    微生物性食中毒

    細菌性食中毒

    化学性食中毒

    動物性自然毒植物性自然毒

    ウイルス性食中毒

    感染型毒素型生体内毒素型(中間型)

    有害食品添加物有害⾦属有害化合物

    自然毒食中毒

    真菌性食中毒

    環境汚染物質:化学性食中毒

    サルモネラ菌・腸炎ビブリオなど

    ブドウ球菌・ボツリヌス菌など

    ウェルシュ菌など

    ノロウイルスなど

    PCB・有機リン系農薬など

    ホウ酸・ホルムアルデヒドなど

    ヒ素・スズ・水銀など

    フグ・貝・高脂質深海魚など

    毒キノコ・⻘梅など

    マイコトキシン(アフラトキシン・ルテオスカイリンなど)35

    食品汚染有機化学物質ポリ塩化ビフェニル(PCB)・ダイオキシン・トリクロロエチレンなど

    食品汚染⾦属有機スズ・有機水銀・カドミウム・ヒ素など

    放射性物質Sr・Cs・Kなど

    残留農薬有機リン系殺虫剤・カルバメート系殺虫剤など

    器具・容器包装由来の食品汚染

    化学物質による食品汚染

    36

  • 発生時期昭和30年 6月~ 調製粉乳ヒ素中毒(被害;12,000名、 死者128名)

    内 容

    昭和31年 5月~ 水俣メチル水銀中毒(被害;111名、 死者42名)

    昭和36年 9月~ 即席めん中毒(被害;15名)

    昭和38年 イタイイタイ病研究班発足

    昭和39年 7月 即席めん中毒(被害;69名)

    昭和40年 5月 阿賀野川水銀中毒(被害;32名、 死者5名)

    昭和43年 6月 カネミ油症(被害;10,000名以上、 死者51名)

    昭和52年 4月 クロレラ錠-光過敏症(被害;23名)

    Me-Hg

    Me-Hg

    Cd

    As

    PCB・PCDF

    「公害」は環境基本法により、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる (1) 大気の汚染、(2)水質の汚濁、(3) 土壌の汚染、(4) 騒音、(5) 振動、(6) 地盤の沈下及び (7) 悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること、と定義されており、この (1) から (7) までの7種類は「典型7公害」と呼ばれています。

    公害?

    37

    Clm Cln

    O

    Clm Cln

    ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)ポリ塩化ビフェニル(PCB)

    ・ PCBは化学的安定(油溶性・耐熱性・不燃性・高絶縁性・不乾性・粘着性)・ 電気絶縁油、潤滑油、印刷用インク、可塑剤、熱媒体などに広く利用・ 難分解性・脂溶性で脂肪組織に蓄積・ 昭和43年カネミ油症(PCB、PCDFなどが原因物質)

    臨床症状︓色素沈着、全身倦怠、発疹、高トリグリセリド血症などライスオイル製造時(脱臭過程)における原因物質の混入

    ・ 昭和46年一般食品中(⽜乳や⺟乳)からもPCBを検出・ 昭和48年 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)公布(第一種特定化学物質)

    ポリ塩化ビフェニル(PCB:polychlorinated biphenyl)

    2001年6月22日(制定)2007年7月15日(施行)ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法

    38

    ・ 2,3,7,8-TCDDが最強の毒性・ 毒性等価係数(TEF)、TEFに含量を乗じた総和を毒性等価量(TEQ)・ 肝臓や脂肪組織に蓄積(内分泌かく乱物質)

    臨床症状︓皮膚障害、生殖障害、肝障害、催奇形性、内分泌かく乱作用免疫抑制、⼦宮内膜症誘発など

    ・ 塩素系有機化合物製造時の副産物(廃棄物焼却時に発生︓要700℃以上)・ ベトナム戦争で⽶軍使用の枯葉剤にダイオキシンの混入・ 生体に侵入するダイオキシン類の96%が食事由来(主に魚)・ 埼玉県所沢市ホウレンソウ問題(JA 所沢)

    Clm ClnO

    O

    ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(ダイオキシン:PCDD)

    2

    1

    3

    4

    8

    6

    7

    9

    ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDD;ダイオキシン類)

    焼却炉における不完全燃焼850℃以上(望ましくは900℃)塩素系化合物の分別

    大気中ダイオキシン

    39

    POPS:persistent organic pollutants難分解性・高蓄積性有毒物質︓PCB, PCDD, DDT,有機リン系農薬など

    トリクロロエチレン発がん性(弱い) 水質汚染防止法に基づく有害物質指定

    テトラクロロエチレン発がん性(弱い) 水質汚染防止法に基づく有害物質指定

    1,1,1-トリクロロエタン特定物質の規制によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)により全廃

    その他環境汚染物質

    40

  • ・ 塩化メチル水銀(1971年イラク)⼩⻨の消毒に誤用・ 酢酸フェニル水銀(日本)イモチ病駆除薬に使用→1973年全⾯使用禁止・ メチル水銀(1953年日本)水俣病(推定被害者総数10,000人)

    熊本県水俣湾(アセトアルデヒド製造工場からの排水→食物連鎖・生体濃縮)症状︓ハンター・ラッセル症候群(麻痺・運動失調・歩⾏障害など死亡例有)

    ・ メチル水銀(1965年日本)新潟県阿賀野川沿岸・ 日本では魚介類(マグロ類)に多い → 食物連鎖による生物濃縮・ メチル水銀︓難分解性・脂溶性・消化管からの吸収率95%以上

    毛髪・肝臓・腎臓に分布 胎児毒性きわめて高い

    マグロは大丈夫?体内のSe(セレン)が無毒化に関与

    無機水銀は?揮発性高く、蒸気を経気道吸入水銀イオンは腎障害誘発無機水銀からメチル水銀を生成する微生物存在(ビタミンB12関与)

    食品汚染金属:有機水銀化合物(Hg)

    41

    有機水銀 低級アルキル水銀(メチル水銀)

    アリル水銀(酢酸フェニル水銀)

    アルキル水銀ブチル水銀

    無機水銀 ⾦属水銀(Hg)水銀塩(HgCl2・Hg2Cl2など)

    吸収・排泄

    蒸気を経気道的に吸引消化管吸収率 5%排泄は糞便(尿)

    消化管吸収率 ほぼ100%体毛排泄あり(毛髪)生物学的半減期長い

    体内で分解され無機水銀に消化管吸収率 50%排泄は糞便(尿)

    体内分布 毒性

    イオン型水銀腎臓(メタロチオネイン結合)肝臓・脾臓・甲状腺

    肝臓・腎臓に蓄積血液‐脳関門通過血液‐胎盤関門通過

    イオン型水銀腎臓(メタロチオネイン結合)肝臓・脾臓・甲状腺

    急性中毒:気管支炎・肺炎慢性中毒:腎機能障害中枢神経症状SH酵素阻害作用(拮抗)、Seで毒性軽減

    中枢神経症状(ハンター・ラッセル症候群)SH酵素阻害作用(拮抗)、Seで毒性軽減

    急性中毒:気管支炎・肺炎慢性中毒:腎機能障害中枢神経症状SH酵素阻害作用(拮抗)、Seで毒性軽減 42

    ・ 穀物・野菜に高含量 ⽶0.4ppm未満︔食品衛生法(平成23年4月改訂)・ 吸収率2〜6%(低カルシウム食、低タンパク食で吸収率向上)・ 肝臓・腎臓に分布 メタロチオネイン結合型 ⻑期摂取で腎機能障害・ 1950〜1960年 富⼭県神通川流域︓ イタイイタイ病

    疼痛・タンパク尿・貧血・骨の萎縮/脱灰 →骨軟化症・ イタイイタイ病発症原因=カドミウムとは断言できない︖

    食品汚染金属:カドミウム(Cd)

    1968年5月 厚生省イタイイタイ病はカドミウムの慢性中毒により、まず腎障害を生じ、次いで骨軟化症を来たし、これに妊娠、授乳、内分泌の変調、老化及び栄養としてのカルシウム等の不足等が誘因となって生じたもので、慢性中毒の原因物質としてのカドミウムは‥‥‥以外には見当たらない

    43

    ・ 海産魚介類や海藻中に高含量・ 海産生物中のヒ素(有機ヒ素)は無機ヒ素と作用が異なる・ 自然界には三酸化ヒ素(亜ヒ酸︓As2O3)と五酸化ヒ素(As2O5)が存在・ たんぱく質のSH基と反応して強い細胞毒性・ 三価のヒ素が毒性(亜ヒ酸︓ HO-As=O)>無機ヒ素(五価)>有機ヒ素

    急性中毒︓消化器障害・腎障害・運動失調・心筋障害など亜急性中毒︓肝障害・発熱・脳障害など慢性中毒︓脱⼒感・易疲労感・色素沈着・胃腸症状など

    ・ 毛髪・爪に蓄積(骨・皮膚・肝臓・腎臓にも分布)・ 1955年岡⼭県 乳児ヒ素中毒(ヒ素ミルク事件)

    1960年食品添加物公定書策定の契機2〜5mg/dの摂取(FAO/WHO,1988︓暫定許容量15 µg/kg/w)

    食品汚染金属:ヒ素(As)

    44

  • ・ 穀物・野菜・海産魚介類に高含量・ 吸収率5〜15%(低カルシウム食、低鉄食で吸収率向上)・ 急性毒性は弱いが蓄積性・尿中排泄少ない(慢性中毒)・ 体内蓄積される鉛の90%は骨に蓄積する・ 骨髄障害による貧血

    鉛はδ-アミノレブリン酸脱水酵素およびヘム合成酵素を阻害δ-アミノレブリン酸の増加とコプロポルフィリンが増加(尿・赤血球)

    食品汚染金属:鉛(Pb)

    45

    C4H9-Sn-X

    C4H9

    C4H9

    X=-Cl、-OH、-SH、-OCOCH3

    -Sn-X

    ・ 船底への甲殻類などの付着防止(防汚塗料、漁網防汚剤など)・ 貝類の生育不良、奇形(環境ホルモン︓雌の雄性化)・ ミトコンドリア呼吸阻害作用(肝臓毒)・ 生殖機能障害・運動障害・貧血なども・ 第2種特定化学物質(化審法)

    TBTO(ビストリブチルスズオキシド)は第1種特定化学物質・ 魚介類からほぼ100%摂食

    食品汚染金属:有機スズ化合物(Sn)

    船底塗料

    46

    ・ 天然放射性核種(40K、226Ra)放射能を有する核種︓放射能は原⼦核が放射線(α、β、γ 線など)を出し、安定な原⼦核に変わる(壊変)能⼒

    ・ 食品汚染では、90Sr、137Cs、131Iが問題透過⼒・飛程 γ>β>α 相互作用・内部被爆 α>β>γ

    放射性物質

    食品衛生の観点からは「内部被爆」が問題となる‥‥どのような食品を介して摂取するのか‥‥47

    物理学的半減期壊変により原子数が半分に減る時間

    生物学的半減期代謝・排泄による物質の生体内での半減期

    有効半減期1

    生物学的半減期1

    物理学的半減期1

    = +

    生体内に侵入した放射性物質は有効半減期により減衰

    半減期 物理学的・生物学的

    物理学的半減期

    生体内の放射性物質は、「どこ」に分布し、どのような「放射線」を出すのか‥‥特定臓器のダメージは‥‥‥

    48

  • 40K60Co

    90Sr

    131I

    137Cs

    226Ra

    239Pu

    天然放射性核種核分裂生成物

    核分裂生成物

    核分裂生成物

    核分裂生成物

    天然放射性核種

    核分裂生成物

    β, γβ, γ

    β

    β, γ

    β

    α

    α

    1.28×109年

    5.27年

    28.8年

    8.04日

    30.0年

    1600年

    24100年

    全身・筋肉

    全身

    甲状腺

    全身・筋肉

    放射性核種 放射線 (物理)半減期 決定器官

    化学・生物学的性質がCaと類似骨に沈着して骨髄の造血機能障害(造血障害・白血病・骨肉腫)

    チロキシンなどとなり甲状腺に集積し甲状腺障害(甲状腺腫)

    化学的性質がKに類似し、全身に分布

    造血障害・白血病・骨肉腫

    造血障害・白血病・骨肉腫

    ジャガイモの発芽防止(γ線)

    放射性物質

    49

    3H

    14C

    32P

    90Sr

    226Ra

    131I

    12年

    5700年

    14日

    29年

    8日

    30年

    1600年

    全身

    全身

    甲状腺

    筋肉

    脾臓

    放射性核種 生物学的集積器官

    放射性物質

    59Fe

    137Cs

    45日

    12日

    40日

    1155日

    50年

    138日

    70日

    45年

    600日

    12日

    40日

    14日

    18年

    8日

    70日

    44年

    42日

    物理学的 有効半減期p.430 表7-8

    50

    放射性物質(放射性核種)フォールアウト

    水分 ⼟壌

    ⽜乳

    動物プランクトン

    食用動物(魚介類)

    飲料水

    植物プランクトン

    人体

    食用動物

    飼料植物

    乳⽜食用植物

    ⾬水による降下V

    粉塵による降下

    90Sr, 137Cs, 131I

    放射性物質の人体への影響

    フクシマでは、‥‥今、何が‥‥

    100万人に何人⼩児甲状腺がん患者がいる︖チェルノブイリ原発事故 福島原発事故

    原発事故から 日本ベラルーシ

    福島県0-14歳 15-18歳

    0年 0人 0人 3人 334人1年 0人 1人 8人 401人2年 1人 3人 3人 346人3年 1人 2人 2人 144人4年 2人 12人 6人5年 2人 23人 14人6年 3人 29人 10人7年 2人 34人 29人8年 2人 35人 32人9年 1人 40人 38人10年 1人 38人 30人11年 1人 31人 42人12年 2人 26人 56人13年 2人 25人 66人14年 2人 17人 95人15年 2人 7人 113人16年 2人 0人 97人

    http://www.sting-wl.com/fukushima-children5.html51

    ●化学物質(重金属、残留農薬など)やカビによる食品汚染の具体例を挙げ、ヒトの健康に及ぼす影響

    を説明できる。

    食品中の有害物質:どんな食品にどんな物質が‥‥「なぜ」存在するの?真菌毒(マイコトキシン):4つの属に分類されたマイコトキシンと中毒症状化学性物質:公害事件との関連性有害金属:侵入経路と症状放射性物質:これからに日本で問題提起が必要?

    ここまでのまとめ教科書 第11章

    52

  • 食の中毒教科書 第9・10章

    ○炭水化物・タンパク質が変質する機構について説明できる。○油脂が変敗する機構を説明し、油脂の変質試験を実施できる。(知識・技能)○食品の変質を防ぐ方法(保存法)を説明できる。●食品成分由来の発がん性物質を列挙し、その生成機構を説明できる。○代表的な食品添加物を用途別に列挙し、それらの働きを説明できる。○特別用途食品と保健機能食品について説明できる。○食品の表示を正しく読み取り、食品表示法について概説できる。○食品衛生に関する法的規制について説明できる。○代表的な細菌性・ウイルス性食中毒を列挙し、それらの原因となる微生物の性質、症状、原因食品

    および予防方法について説明できる。○食中毒の原因となる代表的な自然毒を列挙し、その原因物質、作用機構、症状の特徴を説明できる。●化学物質(重金属、残留農薬など)やカビによる食品汚染の具体例を挙げ、ヒトの健康に及ぼす影響

    を説明できる。○食品の褐変を引き起こす主な反応とその機構を説明できる。

    赤字は既に学んでいます。緑字はこれからの他の授業でも学びます。●部分をこの授業(回)でしっかりと理解しましょう 53

    農作物を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、その他薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成⻑促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう(農薬取締法第1条)

    農薬の登録(販売するために農水省の登録が必要)食品衛生法︓残留農薬基準(厚生労働省)

    ポジティブリスト制の導入

    残留農薬農薬(pesticide)とは

    内閣府消費者及び食品安全担当大臣

    諸外国・国際機関等

    消費者・事業者等

    その他関係行政機関

    情報収集・交換

    食品安全行政:日本のリスクアナリシスの現状

    消費者庁食品表示

    農林水産省農林水産物資等に関するリスク管理

    厚生労働省

    食品衛生に関するリスク管理

    食品安全委員会

    環境省

    環境汚染に関するリスク管理

    評価結果の通知・勧告

    評価の要請

    食品安全基本法

    農薬取締法飼料安全法

    食品衛生法健康増進法

    食品表示法

    食品安全⾏政を思い出しましょう︕

    殺虫剤・殺菌剤・除草剤動物用医薬品・飼料添加物

    54

    農薬、飼料添加物および動物用医薬品

    食品の成分に係る規格(残留基準)が

    定められているもの

    食品の成分に係る規格(残留基準)が定められて

    いないもの

    厚生労働大臣が指定する物質

    食品衛生法第11条第1項の規定に基づき、農薬取締法に基づく登録保留基準、国際基準、欧米島の基準値を踏まえた基準を新たに設定

    ヒトの健康を損なう恐れのないことが明らかであるものを告示

    一定量を超えて農薬等が残留する食品の流通禁止

    ポジティブリスト制度の対象外

    残留基準を超えて農薬等が残留する食品の流通禁止

    一律基準0.01ppm

    http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060516-1.pdf

    ヒトの健康を損なう恐れのないことが明らかであるものを告示

    農薬取締法に基づく登録等と同時の残留基準設定などの促進

    残留農薬のポジティブリスト制

    55

    C

    C2H5OP

    C2H5O

    S

    O NO2

    CH3OP

    CH3O

    S

    O NO2

    CH3

    CH3OP

    CH3O

    S

    S

    CH2COOC2H5

    COOC2H5CH

    パラチオン フェニトロチオン(MEP)マラチオン

    ・ アセチルコリンエステラーゼ阻害により効⼒発揮・ ヒトに対する急性中毒作用あり(皮膚からの浸透性高い)・ ヨウ化プラリドキシム(2-PAM)で解毒、

    アトロピンで対処療法・ パラチオン、TEEPは現在使用禁止(強毒性)・ カルボキシエステラーゼにより分解される

    残留農薬:有機リン系殺虫剤

    CH3OP

    O

    O CH

    ジクロルボス(DDVP)

    CH3O

    Cl

    Cl

    CH3OP

    O

    S

    メタミドホス(未登録)

    H2NCH3

    中国製農薬混入餃子 アクリフーズ農薬混入

    56

  • C

    HC

    Cl

    Cl Cl

    HClH

    Cl

    H

    ClH Cl

    H

    Cl

    H

    Cl

    H2

    Cl2

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    アルドリンHCH/BHC DDT

    ・ 脂溶性が高く(脂肪組織に蓄積)、難分解性で慢性毒性が問題・ 現在は上記いずれの化合物も使用禁止・ DDT︓第1種特定化学物質に指定・ アルドリン→(エポキシ化)→ディルドリン→(異性体)→エンドリン

    毒性・効果 → → → 大 (第1種特定化学物質)・ 食物連鎖による生物濃縮が汚染の主経路・ 生分解性で蓄積性のないエンドスルファンが現在使用される

    ヘキサクロロシクロヘキサンジクロロジフェニルトリクロロエタン

    残留農薬:有機塩素系殺虫剤

    57

    RH3C CH3

    O

    C CH CH2CHCH3 CO CHCH CH2

    ・ シロバナムシヨケギク(除虫菊)の主成分(ピレトリン)・ 蚊取り線香など家庭用殺虫剤として使用・ 昆虫の中枢および末梢の神経膜イオン透過度に作用(痙攣・麻痺・致死)・ 人畜に対する毒性が低く、安全性が高い

    ピレトリン

    残留農薬:ピレスロイド系殺虫剤

    ピレスロイド(d-T80フタルスリン)(d-T80-レスメトリン)

    ピレスロイド系(d-T80-フタルスリン)(d-T80-レスメトリン)

    ピレスロイド系(イミプロトリン)

    58

    ・ アセチルコリンエステラーゼ阻害により効⼒発揮(代謝を受けずに活性化︓ 有機リン系はcyt-P-450で代謝を受ける)2-PAMは無効、アトロピンが対処療法で有効

    ・ 有機リン系殺虫剤より毒性は低い

    カルバリル(NAC) イソプロカルブ(MIPC)

    NHC

    O

    CH3O NHC

    O

    CH3O

    CH(CH3)2

    残留農薬:カルバメート系殺虫剤

    OC2H5P

    S

    OO2NOC2H5

    OC2H5P

    O

    OO2NOC2H5

    - Ser

    OH

    P-450

    OC2H5P

    O OC2H5

    - Ser

    O2-PAM

    - Ser

    OH

    H3CNHC

    O

    CH3ONH

    CH3

    CH3H3C

    - Ser

    O

    C

    O

    NHCH32-PAM ×

    有機リン系農薬 カルバメート系農薬

    2-PAMでの解毒有効 2-PAMでの解毒無効 59

    HgCl HgOCOCH3Zn

    S

    CH2-NH-C-S

    S

    CH2-NH-C-S

    ・ 有機水銀系殺菌剤イネのイモチ病などの防除に用いられたが現在使用禁止(1973年)腎障害(第8回有害⾦属参照)

    ・ アルキルビスチオカルバメート系殺菌剤低毒性で抗菌スペクトルが広く、汎用される殺菌⼒は強い分⼦内に⾦属(Zn、Mn)

    ・ 有機塩素系殺菌剤・ ベンゾイミダゾール系殺菌剤

    アルキルビスチオカルバメート系(ジネブ)

    有機水銀系(塩化フェニル水銀・酢酸フェニル水銀)

    残留農薬:殺菌剤p.125 図9-13

    60

  • OH

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    O-CH2COOH

    Cl

    Cl

    O-CH2COOH

    ・ ペンタクロロフェノールは魚毒性が高い・ 2,4-D(ジクロロフェノキシ酢酸)や2,4,5-Tは植物成⻑ホルモン性除草剤で優れた選択作用・ 2,4-Dや2,4,5-Tの不純物としてダイオキシン(TCDD)を産生・ ベトナム戦争の枯葉剤の主要除草剤・ 上記化合物はいずれも現在使用禁止・ 2,4-Dや2,4,5-Tはフェノキシ酢酸系除草剤に分類される場合もある

    有機塩素系(ペンタクロロフェノール・2,4-D・2,4,5-T)

    残留農薬:有機塩素系除草剤

    61

    +・2Cl

    + -N NCH3- -CH3

    ++

    ・2Br-

    N N

    O

    HO-P-CH2-NH-CH2COOH

    OH

    ・非選択性除草剤・一電⼦還元を受け活性酸素(スーパーオキシド)を生成・葉緑体を破壊し、除草・パラコート中毒は農薬中毒中最頻(毒物指定)

    ・非選択性除草剤・アミノ酸生合成を阻害

    グリホサート(芳香族アミノ酸)グルホシネート(グルタミン酸)

    アミノ酸系(グリホサート) ジピリジニウム系(パラコート・ジクワット)

    残留農薬:アミン酸系除草剤・ジピリジニウム系除草剤

    アミン酸系除草剤 ジピリジニウム系除草剤

    雑草

    農薬

    無農薬

    最強農薬

    GMO62

    Cl O

    Cl

    NO2 Cl O

    Cl

    NO2

    Cl

    ジフェニルエーテル系(ニトロフェン・クロルニトロフェン)

    ・ クロロフィル合成段階の酵素クロトポルフィリノーゲンオキシダーゼを阻害・ 増感剤として一重項酸素を発生 水田除草剤

    O

    NHCOCH(CH3)2

    Cl

    カルバメート系(クロルプロファム)

    ・ タンパク質合成を阻害・ イネ科雑草の防除に有効

    残留農薬:ジフェニルエーテル系除草剤・カルバメート系除草剤

    ジフェニルエーテル系除草剤

    カルバメート系除草剤

    63

    ・ 収穫後の農作物の保存・ 日本では使用されていない・ 輸入食品で残留農薬が問題・ 殺虫剤・殺菌剤・植物成⻑調整剤など

    ポストハーベスト農薬

    HO HN

    N

    N

    S

    チアベンダゾール(TBZ)o-フェニルフェノール(OPP)ジフェニル(DP)

    果物は輸入食品が多く、シッピング中のカビ汚染から食品を守る表示は義務(輸入オレンジやグレープフルーツ)DPは中性で「貯蔵または運搬のように供する容器に入れる紙片に浸潤」昇華性の利用OPPは弱酸性、発がん性が疑われるTBZは塩基性、バナナの軸腐れ病

    【構造式重要】 防かび剤(ポストハーベスト農薬)

    64

  • 器具・包装容器

    厚生労働大臣は、一般に飲食に供されることがなかつた物であつて人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物が新たに食品として販売され、又は販売されることとなつた場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、それらの物を食品として販売することを禁止することができる。

    人の健康を損なうおそれのない場合として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める場合を除いては、添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であつて添加物として使用されるものを除く。)並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

    食品衛生法第7条

    食品衛生法第10条

    65

    器具・包装容器

    A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格1 器具は,銅若しくは鉛又はこれらの合金が削り取られるおそれのある構造であつてはならない。2 食品に接触する部分に使用するメッキ用スズは,鉛を0.1%を超えて含有してはならない。3 鉛を0.1%を超えて又はアンチモンを5%以上含む金属をもつて器具及び容器包装の食品に接触する部分を製造又は修理してはならない。

    4 器具若しくは容器包装の食品に接触する部分の製造又は修理に用いるハンダは,鉛を0.2%を超えて含有してはならない。

    5 ‥‥‥6 電流を直接食品に通ずる装置を有する器具の電極は,鉄,アルミニウム,白金及びチタン以外の金属を使用してはならない。ただし,食品を流れる電流が微量である場合にあつては,ステンレスを電極として使用することは差し支えない。

    7 油脂又は脂肪性食品を含有する食品に接触する器具又は容器包装には,フタル酸ビス(2―エチルヘキシル) を原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として用いてはならない。ただし,フタル酸ビス(2―エチルヘキシル) が溶出又は浸出して食品に混和するおそれのないように加工されている場合にあつては,この限りでない。‥‥‥

    8 ‥‥‥

    食品、添加物等の規格基準

    p.134 表10-1

    66

    器具・包装容器

    カドミウム、鉛、スズ、亜鉛など重⾦属の溶出硝酸イオン濃度が高いとスズが溶出される

    重金属

    http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/others/metal/

    金属製水筒の中身に、果汁ジュースやスポーツドリンクを‥‥これら飲料は酸性飲料になります!

    シリコン樹脂やウレタン樹脂の触媒に使用される有機スズ化合物

    67

    器具・包装容器

    カドミウム、鉛、スズ、亜鉛など重⾦属の溶出硝酸イオン濃度が高いとスズが溶出される

    重金属

    http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/others/metal/

    金属製水筒の中身に、果汁ジュースやスポーツドリンクを‥‥これら飲料は酸性飲料になります!

    シリコン樹脂やウレタン樹脂の触媒に使用される有機スズ化合物

    68

  • フタル酸ジブチル(DBP) フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)

    ・ ビスフェノールA︓ポリカーボネート樹脂で、加熱により食品への移⾏がある 内分泌かく乱物質・ スチレン︓重合し、ダイマーやトリマーは電⼦レンジ加熱で弁当容器から食品に移⾏ 発がん性・ 可塑剤︓フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)は精巣毒性、生殖発生毒性・ プラスチック原料の塩化ビニルモノマーに発がん性

    塩化ビニルモノマー、アクリロニトリル、ホルムアルデヒドなどがプラスチック原料

    OC4H9

    C

    O

    O

    C

    OC4H9

    ビスフェノールA スチレン

    器具・包装容器

    衛生を目的としたプラスチック製手袋の着用により食品への化学物質の移行が報告されている

    69