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日本言語文化研究会論集 2019 年第 15 号 【特定課題研究報告】 ロールプレイ活動を取り入れた会話能力育成の試み -マレーシア工科大学の日本語会話授業の改善- ロー,カイシエン 要旨 筆者の所属機関の会話授業は、(1)学習者は既習知識を会話に使う機会がない、(2)会話 活動に真正性と自然さがない、(3)会話の内容より文型の正しさに偏る、という問題があっ た。本研究ではこれらの問題を改善するために、学習者の身近な場面や話題を選択し、「タス ク先行型ロールプレイ」を導入した。学習者は実践授業に参加した結果、会話内容の一貫性 と談話の自然さが改善され、流暢さが高まり、談話ストラテジーの使用を意識できるように なった。また、学習者は実践授業を通して、話す自信がつき、不安が軽減し、授業を肯定的 に受け止めた。以上のことから、今後、同様の授業を所属機関に取り入れる可能性が示唆さ れた。 〔キーワード〕 タスク先行型ロールプレイ、JF日本語教育スタンダード、流暢さ、発話量、 不安 1. 研究の背景 1.1 マレーシア工科大学の日本語教育 マレーシア工科大学(UTM)の日本語教育は2002年から自由選択科目として行われてきた。 初級日本語は、「日本語 1・2・3」に分けられており、各レベルの授業は週に 100 分(50 分 ×2 コマ)で、1 学期に合計 15 回ある。現在、日本語レベル 1 のクラスが 6 つ、日本語レベ ル 2 が 3 つ、日本語レベル 3 が 1 つある。多数の学習者は、日本語レベル 3 を修了した後、 日本語能力試験(JLPT)受験対策授業を受ける。JLPT 受験対策授業は N5 から N2 まで、各レ ベルのクラスが 1 つずつあり、1 コマ 90 分の授業として行われている。また、JLPT 受験対策 授業は単位が出ない自由参加の形で行われ、JLPT の受験希望者だけではなく、興味を持つ学 習者であれば誰でも授業に参加できる。現在、全部の授業は筆者を含めて 2 人のマレーシア 人が担当している。Kumaraguru et al.(2018)が実施した UTM 日本語学習者を対象とした学 習動機調査によると、学習者は日本語学習に対して高いモチベーションを持っていることが 判明し、学習動機は多い順に、「①日本のポップカルチャーへの興味」、「②JLPT受験」、「③ 日本あるいは日本関連企業への就職」、「④日本人と友達になりたい」、「⑤日本への旅行」、「⑥ 日本への留学」ということが分かった。

ロールプレイ活動を取り入れた会話能力育成の試み ...jlc/jlc/ronshu/2019/10LohKhaiXian.pdf日本言語文化研究会論集 2019年第15号 【特定課題研究報告】

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日本言語文化研究会論集 2019年第 15号 【特定課題研究報告】

ロールプレイ活動を取り入れた会話能力育成の試み

-マレーシア工科大学の日本語会話授業の改善-

ロー,カイシエン

要旨

筆者の所属機関の会話授業は、(1)学習者は既習知識を会話に使う機会がない、(2)会話

活動に真正性と自然さがない、(3)会話の内容より文型の正しさに偏る、という問題があっ

た。本研究ではこれらの問題を改善するために、学習者の身近な場面や話題を選択し、「タス

ク先行型ロールプレイ」を導入した。学習者は実践授業に参加した結果、会話内容の一貫性

と談話の自然さが改善され、流暢さが高まり、談話ストラテジーの使用を意識できるように

なった。また、学習者は実践授業を通して、話す自信がつき、不安が軽減し、授業を肯定的

に受け止めた。以上のことから、今後、同様の授業を所属機関に取り入れる可能性が示唆さ

れた。

〔キーワード〕 タスク先行型ロールプレイ、JF日本語教育スタンダード、流暢さ、発話量、

不安

1. 研究の背景

1.1 マレーシア工科大学の日本語教育

マレーシア工科大学(UTM)の日本語教育は 2002年から自由選択科目として行われてきた。

初級日本語は、「日本語 1・2・3」に分けられており、各レベルの授業は週に 100 分(50 分

×2コマ)で、1学期に合計 15回ある。現在、日本語レベル 1のクラスが 6つ、日本語レベ

ル 2が 3つ、日本語レベル 3が 1つある。多数の学習者は、日本語レベル 3を修了した後、

日本語能力試験(JLPT)受験対策授業を受ける。JLPT受験対策授業は N5から N2まで、各レ

ベルのクラスが 1つずつあり、1コマ 90分の授業として行われている。また、JLPT受験対策

授業は単位が出ない自由参加の形で行われ、JLPTの受験希望者だけではなく、興味を持つ学

習者であれば誰でも授業に参加できる。現在、全部の授業は筆者を含めて 2人のマレーシア

人が担当している。Kumaraguru et al.(2018)が実施した UTM日本語学習者を対象とした学

習動機調査によると、学習者は日本語学習に対して高いモチベーションを持っていることが

判明し、学習動機は多い順に、「①日本のポップカルチャーへの興味」、「②JLPT 受験」、「③

日本あるいは日本関連企業への就職」、「④日本人と友達になりたい」、「⑤日本への旅行」、「⑥

日本への留学」ということが分かった。

1.2 マレーシア工科大学の日本語教育の課題

日本での就職の応募条件として、最低限 JLPTの N4が必要となっている。授業では、就職

を目指す学習者に役立つと考え、従来 JLPT対策に集中してきた。学習者は会話授業に参加す

る経験がなかったため、持っている言語知識をどのように会話に活用するかわからない。そ

のため、就職の面接試験で上手く話せず、不採用になった学習者は多い。

また、上記の Kumaraguru他(2018)の調査による学習者の学習動機のうち、②以外は、い

ずれも「会話」と関連しており、それまで会話授業を実施してないのは学習者のニーズに応

えていないと考えられる。以上のことから、UTM の日本語カリキュラムは会話授業が必要だ

と思われる。

1.3 過去の日本語会話授業

筆者は 2018年に、日本で就職面接に参加する学習者を対象に日本語会話能力を高める会話

授業を行った。会話授業は JLPT対策授業と別に、週に 1回(1コマ 90分)行った。会話授

業では、『みんなの日本語中級I』を主要教材とし、『みんなの日本語中級I標準問題集』を

副教材とした。各回の流れは教科書が提示した内容の順番に従い、「文法・練習」→「話す・

聞く」→「読む・書く」という流れで実施した。そして、問題集を宿題として学習者は自分

で既習項目を復習し、わからないことがあれば、次の授業で質問するという流れで授業を実

施した。

表 1 過去の会話授業の流れの概要

時間 活動 教材

1 文法・

練習 30分

文法項目を導入し、例文を提示しながら、学習者に文法の

ルールと使用方法について説明する。 『みんなの日本語中級I』

2 聞く 15分

CDの音声を聞きながら、質問に答える。必要があれば、

CDの音声を再生する。1つのパートの全ての問題に回答

してから、学習者と答え合わせながら、説明する。

『みんなの日本語中級I』

3 話す 30分

学習者はペアを組み、提示した例文を用いて話す練習をす

る。学習者が上手く話せなかったら、教師からヒントや支

援を与える。また、間違いがあれば、注意してあげる。

『みんなの日本語中級I』

4 読む・

書く 15分

教師が文章を説明しながら、学習者に文法・文型の理解を

確認する。文章を説明してから、学習者は読解の質問に答

える。

『みんなの日本語中級I』

5 宿題 授業中教えた項目を復習する。学習者は自分で問題を解

き、答えをチェックする。問題があれば、次の授業で聞く。

『みんなの日本語中級I

標準問題集』

表 1のように、このときの会話授業の時間の大半は「話す」と関連しない活動に割かれ、

教師による一方向の授業となり、学習者は既習知識を活用する機会が少なかった。つまり、

教師が授業中の文法項目を説明し、あまり学習者に考えさせなかった。また、授業中行った

活動は話す場面を提示せず、教科書の例文に従い、語彙を入れ替える代入練習やパターンプ

ラクティスであった。学習者は実際に使用しない文を機械的に繰り返して練習するだけで、

会話の真正性と自然さに欠けており、会話能力の向上に効果的ではなかった。

2. 先行研究

従来の会話授業の問題点を分析し、授業改善を行うにあたって、まず会話というものがど

う定義されるかについて述べる。鎌田(2001)は、「会話」を話し手と聞き手の相互作用の言

語行為であり、何らかのタスクを実行することと定義している。国際交流基金(2007)によ

ると、「話す」は話し手と聞き手との目的があるコミュニケーションであり、コミュニケーシ

ョンには情報差、選択権、反応という要素がある。

小山(2002)とラミレス・ハラ(2009)は、文型積み上げ式の授業は「表現形式から伝達

内容へ」の思考の方向となっているため、学習者は表現形式の知識を持っているが、運用能

力が不足していると指摘している。実際のコミュニケーションが求めるのは「伝達内容から

表現形式へ」というプロセスで、伝達内容を優先に処理してから、相手が分かってくれるよ

うな表現形式を選択する。しかし、文型積み上げ式の授業に慣れた学習者は知識と運用能力

の間に埋められないギャップがあると指摘している。

ロールプレイ(以下 RP)は学習者に予測不可能の現実の会話に対応するスキルを備えさせ、

聞き手を意識させ、発話のストラテジーを涵養することができる(Salies 1995: 5-7; 宮城・

文 2014: 9)。また、RPを実施する際の注意点として、McDaniel(2000)は、①学習者の背

景知識を基に展開する、②学習者の参加と意味交渉を最大限度にする、③特定の場面や状況

を設定する、④教師の関与を最低限度にすることを指摘した。

ヨン(2003)は、マレーシアの全寮制中等学校の初級学習者を対象とし、ビデオで会話場

面を提示し、学習者はその場面の続きの RPを行った。実践授業の結果は、学習者の会話の質

が高まり、初級学習者にも RPが活用できることを示した。

山内(2005)によると、RPは「表現先行型 RP」と「タスク先行型 RP」に分けられている。

インプットが重視された「表現先行型 RP」と違い、「タスク先行型 RP」は、表現を導入する

前に学習者にタスクを課すことによって、自分が話せることと話せないことを意識させ、言

語的な挫折を経験させてからインプットを与える方法である。日常生活において、実際の会

話はインプットなしにする RPに近く、学習者の会話能力を高めることに効果的だと述べた。

また、山内(2015)は日本語との接触機会が限られている海外の日本語教育においては、可

能な限り中級より前のレベルから実際の日本語を使用する機会を与えることが重要であると

述べ、タスク先行型授業は中級以下にも適用できると主張している。

ラミレス・ハラ(2009)は文型積み上げ式の授業を改善することを目指し、「タスク先行

型 RP」を採り入れ、学習者の会話能力が高まったことを報告した。また、学習者が談話の構

成を意識し、積極的な発話を育成するのに効果的だと指摘し、授業の改善案は有意義であっ

たことを述べた。

以上のことから、「タスク先行型 RP」は会話能力の向上に効果が高いことが期待される。

しかし、マレーシアの初級学習者を対象にし、「タスク先行型 RP」の効果を検討した研究は、

筆者が知る限りはこれまでに行われていない。

3. 研究課題

本研究は、1.3 で述べた過去の会話授業の問題点を改善するために、話す場面や目的の明

確な会話活動を取り入れ、改善案の有効性を明らかにする。以下の 3つの課題を中心として、

分析した結果を報告する。

(1) ロールプレイ活動への参加を通じて、学習者の会話にどのような変化が観察されるか。

(2) 学習者の心理面にどのような変化があるか。

(3) 学習者はどのように実践授業を評価したか。

4. 実践授業とデータ収集

4.1 実践授業

4.1.1 実践授業の概要

先行研究を参考にし、本研究では、「タスク先行型 RP」を会話授業に採用し、学習者にと

って身近な場面や話題を取り上げた実践授業を UTMで行うことを計画した。

4.1.2 各回授業のトピックと Can-do

日常会話に不慣れな学習者に対し、就職面接に対応できる会話能力を育成するのは簡単で

はなく、働くための日本語のレベルをいきなり目指すのも現実的ではない。そのため、現段

階では、まず日常生活のタスクの達成能力の育成を最優先すべきだと考えられる。そして、

タスクの達成能力を身に付けるためには、学習者は会話の目的を意識しなければならない。

そのため、場面を重視する会話活動の設計が必要となると考えた。

実践授業のトピックや Can-do(表 2)は「みんなの Can-doサイト」を参考にし、学習者の

身近な話題、「自己紹介」「誘い」「待ち合わせ」「料理を勧める・説明する」を設定した。

表 2 授業のトピックと Can-do

授業 トピック Can-do 1 Can-do 2

1

日本語授業で初めて会ったクラスメイトに自己紹

介したり、お互いの興味について短い簡単な言葉で

話し合う。

自己紹介をすること

ができる。

相手の趣味について

聞くことができる。

2 短い簡単な言葉で友達を週末の活動に誘う。 相手を誘うことがで

きる。

誘いにこたえること

ができる。

3 週末の外出について、何時にどこで待ち合わせる

かを短い簡単な言葉で話し合う。

場所と時間について

交渉することができ

る。

待ち合わせの場所と

時間を決めることが

できる。

4 友達にマレーシアの食べ物を短い簡単な言葉で説

明して、勧める。

料理を勧めることが

できる。

料理について説明す

ることができる。

4.1.3 毎回の授業の流れ

毎回の授業の流れは、表 3に提示したように実施した。

表 3 毎回の授業の流れ

時間 活動 教材

1 導入 5分 背景知識の活性化 PPT

2 ロールプレイ①

(RP①) 15分

PPT でロールカードを日本語と英語で提示する。学習者は

自力でタスクに挑戦する。その後で、学習者に録音を聞き

直すよう指示をする。

PPT

3 モデル会話例の

聴解

30分

(1) 会話例を再生し、会話の内容を聞き取り、ワークシー

トの空欄にモデル会話例の内容や表現を記入する。

(2) ペアで答え合わせをする。

(3) もう一度会話例を聞き、会話の表現をワークシートに

記入する。

(4) RP②に挑戦の準備として、RP①の内容を修正し、やり

とりの構成を考える。

PPT

会話例音声

ワークシート

4 ロールプレイ②

(RP②) 20分

もう一度同じタスクに挑戦する。学習者に録音を聞き直す

よう指示をする。 ロールカード

5 発表 10分 教室の前で RPを発表する。他の学習者は発表した RPを比

較する。

6 振り返り

自己評価 10分 振り返り・自己評価

振り返り

シート

(1)導入

当該授業の学習目標と Can-doを提示し、学習者の背景知識を活性化することが目的である。

手法として、まずはトピックと関連する写真を Power Point(PPT)で提示し、学習者にどん

な場面であるかを考えさせた。前述のように、学習者は日本語の運用能力が低いため、あま

りプレッシャーを与えないように、最初は母語と日本語の指示を同時に出し、授業の進行と

共に段階的に日本語を使うようにしていった。また、教師はファシリテーターであり、学習

者が自分で考えて答えを探し出すのが目的であるため、過剰な発言や関与を回避した。

(2)ロールプレイ①

PPTでロールカード(添付資料①を参照)を提示し、学習者に RPをさせた。RP①に挑戦す

るとき、ICレコーダーでやりとりを録音するように指示を出した。また、1回のやりとりが

終わったら、学習者は録音を再生し、自分の話した内容について検討し、ペアで相談する指

示を出した。1.3で述べたように、学習者は日本語で話すことに不慣れであるため、会話活

動に対して不安を感じると予想された。それについては、クルシュレーシタ(2013)は、同

じ問題を抱えている学習者をグループに組んだことは、互いの不安を共有し、軽減できたと

述べている。更に、教師が学習者に「間違いを犯しても構わない」、「わからない単語を母語

で言い換えても構わない」という指示を与えたところ、学習者が誤用に気にせず話せるよう

になったことを述べた。これを参考に、学習者に自ら練習相手を選択させ、まず RP①がうま

く進められるように、わからない語彙を他言語で言い換えることを許可した。そして、RP活

動中、学習者が間違いに不安を感じないように、会話活動を中断させたりして、注意力を文

法に向かせる誤用訂正をしなかった。また、ヨン(2003)の提案を参考にし、学習者にでき

るだけ多くのアウトプット機会を与えるために、決まった時間内で、1回だけではなく、可

能な限り何回 RPをしてもいいという指示を与えた。

(3)モデル会話例

RP①に挑戦した後でモデル会話例を聞き、ワークシート(添付資料②を参照)の空欄に記

入してから、ペアで答え合わせをした。モデル会話は『まるごと日本のことばと文化初級 1 A2

かつどう』の同様のトピックの会話例を参考にし、マレーシアの事情に合う内容に修正した。

モデル会話例の音声ファイルは国際交流基金の教師に依頼し、録音した。モデル会話例を再

生した際に、1回目は会話の内容(ワークシートパート Aと B)にフォーカスし、学習者はモ

デル会話例の内容を理解し、ペアで正しいかどうかを確認し合った。2回目はやりとりに使

われた表現(ワークシートパート C)にフォーカスし、ペアで提示した表現を確認し、自分

の RP①と対照し、やりとりの内容を修正した。モデル会話例を暗記して話すことを防ぐため

に、複数の会話例を提供し、会話の展開の選択肢を増やした。また、複数のモデル会話例の

内容は RP②のインプットになるという重要な役割もあった。

(4)ロールプレイ②

学習者は RP①と同じタスクの RP②に挑戦した。RP①と同様に、アウトプットの機会を増や

すために、時間内に何回か挑戦させた。当初の計画では、RP②で何回か練習した後、ペアを

交替し、異なる学習者と組み合わせることによって、即興的な会話能力を育成することを目

指そうとしたが、実際に授業を行ってみると、活動 2と 3は予想以上に多くの時間がかかっ

たので、ペア交替を省略した。

(5)発表

各ペアの内容を共有するために、ペアごとに教室の前で発表させた。他のペアの会話を見

ることを通して自分のやりとりのヒントになる可能性がある。また、教師から発表者へのフ

ィードバックは他の学習者の参考にもなる。しかし、時間制限のため、毎回の授業で全ペア

ではなく、2ペアのみ発表させた。最後に、学習者はモデル会話例を聞く前後の RPを振り返

り、自分の達成を評価した。

4.2 対象者

2019年 4月に UTMの日本語学習者を募集した。実践授業に参加した学習者は計 16名であ

り、全員 3年生と 4年生だった。16名の中、S01・S06・S07・S10・S11は訪日経験を持って

いた。学習者が合格した JLPTレベルは、N2が 3人、N3が 1人、N4が 11人、N5が 1人であ

った。実践授業を行う前に、事前アンケート(添付資料③)で学習者が自分の会話能力を自

己評価した。それによると、A1が 8人、A2が 7人、B1が 1人であった。

学習者の情報は表 3に提示した。S11と S13は欠席した回があり、全ての回のデータがそ

ろわなかったため、S11と S12、S13と S14のペアは、課題(1)の分析対象外とした。また、

S15・S16のペアの録音には他のペアの音声が混ざってしまい、音質が悪かったため、課題(1)

の分析対象から外した。本研究の課題(1)の分析対象者は、ペア 1・2・3・4・5である。課

題(2)と課題(3)では、学習者全員のアンケートとインタビューデータを分析対象とした。

表 4 実践授業に参加した学習者

学習者 性別 年齢 学年 訪日経験 JLPT合格 会話能力 ペア

S01 男 24 4 44日-研修 N2 B1 1

S02 男 23 3 なし N3 A2

S03 男 23 3 なし N4 A1 2

S04 男 23 3 なし N4 A2

S05 男 23 3 なし N4 A2 3

S06 男 23 3 5日-試合 N4 A2

S07 男 23 3 37日-夏短期 N4 A2 4

S08 男 23 3 なし N5 A1

S09 男 24 4 なし N4 A1 5

S10 女 24 4 5日-面接 N2 A1

S11 男 23 4 5日-面接 N2 A2

課題(1)

分析対象外

S12 女 23 3 なし N4 A1

S13 男 23 4 なし N4 A2

S14 男 24 4 なし N4 A1

S15 女 23 4 なし N4 A1

S16 男 24 4 なし N4 A1

4.3 収集したデータ

図 1 データ収集の流れ

4 月の帰国実習の間に実践授業を実施した。帰国実習の全体の流れは図 1 の通りである。

実践授業を開始する前に事前アンケート(ア①)を配布し、学習者の背景と現状に関する情

報を集めた。回収したア①は 16人分であった。

各回の授業の活動 1と活動 3の RPのやりとり(RP①と RP②)を録音した。各活動におい

て、複数のペアが 2回以上録音したため、4回の授業を合わせて RP①が 79回分、RP②が 70

回分、合計 149回分の会話録音データを収集した。

各授業の終わりに学習者は、振り返りシートを記入した。振り返りシートには、各授業の

目標達成度の自己評価と授業での気づきや感想などを書く項目がある。1 回目と 2 回目の授

業の振り返りシートは全て回収したが、3、4回目の授業は、15枚しか回収できなかった。

4 回目の授業を終えた後で、事後アンケート(ア②)で学習者から、自身の会話に対する

気づき、会話意識の変化、実践授業に対する感想や意見に関するデータ(自由記述式)を収

集した(ア②は添付資料④を参照)。ア②は 16人分を回収した。

実践授業が終了した後、実践授業の感想や自身の変化をより詳しく知るために、母語で 10

分程度の半構造化インタビューを行った。インタビューの対象者は学習者全員で、1 対 1 の

形式で行われた。また、学習者の活動に参加する姿勢を観察することを目的として、毎回の

授業の様子を録画した。

5. 分析方法

本研究では、課題(1)を検討するために、RPのペアを固定し(表 4を参照)、1つの単位

として分析し、学習者の会話の変化を観察するために、各授業における各ペアの RP①と RP

②を比較した。前述のように各ペアは RP①、RP②それぞれ複数回行って録音したが、RP①は

最初の録音を、RP②は最後の録音を分析の対象とした。また、学習者の運用能力の変化を見

るために、1 回目から 4 回目の授業の最初の RP①の比較をし、「タスクの達成度」「流暢さ」

「正確さ」に注目して行った。各項目の指標は以下の通りであった。

タスクの達成度の評価は JFSを参考に、ルーブリックを作成した。評価の判定はタスク達

成できたか否かで考え、会話の質は「流暢さ」と「正確さ」から判断する。例えば、タスク

が「A」を得たが、質が低い場合、達成度の判定が 1 段下がり、最終の判定が「B」となる。

(ルーブリックは添付資料⑤を参照)

会話の「流暢さ」は沈黙と言い淀みによって分析した。文の途中の沈黙を判断するために

は、「間」との区別が必要である。中村(2009)は適切な「間」の長さの中央値は 1.4秒と指

摘した。実践授業に参加した学習者の会話能力はまだ初級のため、ネイティブと同様に流暢

に話すことは不可能だと予想し、本研究では、発話がない状態が 2秒以上になった場合、沈

黙と認定した。言い淀みは一般的には文節末の母音を伸ばすこと、フィラーの使用、言葉の

反復などを「言い淀み語」と見なすが、本研究は、文節末の母音を伸ばすことやフィラーの

使用を含めず、言葉が円滑に話せずに反復することを言い淀みと定義する。

本研究で、「正確さ」はやりとりでの理解を阻害する文型や語彙の誤用の少なさだと考える。

日常生活の会話において、文法的正しくない「助詞抜き」や「い抜き言葉」は、頻繁に話さ

れているため、本分析では誤用と扱わない。また、学習者は日本語音声の授業を受講した経

験がないため、今回の分析では、アクセントやイントネーションには注目しない。

課題(2)は学習者の心理面の変化を調査するために、インタビューデータを使用した。学

習者の心理面の変化に関連するインタビューを文字に起こし、日本語に翻訳し、カテゴリー

別に分けて結果をまとめた。

課題(3)の学習者から、実践授業に対する意見及びコメントは、ア②とインタビューのデ

ータを分析した。振り返りシートと録画のデータは、今回の研究では使用しない。

6. 結果と分析

研究の結果は「学習者の会話の変化」、「学習者の心理面の変化」、「学習者による授業の評

価」の課題からまとめた。課題(1)の結果は、分析方法によって「6.1.1 各回の RP①と RP

②の比較」と「6.1.2授業 1から 4を通した RP①の変化」に分けた。一方、課題(2)の結果

を「6.2 学習者の心理面の変化」に、そして、課題(3)の結果を「6.3学習者による実践授

業の評価」にまとめた。

6.1 学習者の会話の変化

6.1.1 各授業の RP①と RP②の比較

6.1.1.1 タスクの達成度

各授業の RP①と RP②を比較して得た結果を表 5にまとめた。結果によると、RP①より RP

②のタスクの達成度が高くなったケースが 24(白色セル)、変化なし、または下がったケー

スが 16(灰色セル)、灰色セルのうちゴシック太字の 1ケースのみ下がったケースである。

RP①と RP②の比較によると、タスクの達成度が高くなったケースは 25 あり、全体の半分以

上を占めている。

表 5 各ペアのタスク達成度

ペア

業 Can-do

1 2 3 4 5

RP

RP

RP

RP

RP

RP

RP

RP

RP

RP

1 1)自己紹介をする A A C B C B B B C B

2)相手の趣味について聞く B B C B F B F B C B

2 1)相手を誘う B B C B F B C B F B

2)誘いにこたえる B B B B B F C B F B

3 1)場所と時間について交渉する B B C A F B B B C B

2)待ち合わせの場所と時間を決める B A B B C B B B B B

4 1)料理を勧める B A B B B B C B F C

2)料理について説明する B B C B B B C B F B

A:余裕で達成できた B:達成できた C:なんとか達成できた F:達成できなかった。

具体的な例を見ると、ペア 4(S07と S08)の授業 1の RP①に不自然な展開が観察された。

S08は自己紹介の後、「相手の趣味について聞く」話題に転換できず、「達成できなかった(F)」

と評価した。一方、RP②の展開はタスクの目的と一致したが、多少言い淀みと誤用があった

ため、「B」判定を付けた。つまり、モデル会話例を聞いた後、タスクを達成するための流れ

を理解し、タスクと関係のない内容が減少した。以下はペア 4の授業 1の RP①と RP②のやり

とりの内容である。上記の結果から、授業の構成はタスクの達成度を改善するのに効果的だ

と思われる。

<ペア 4授業 1 RP①> [2重下線:不自然な内容、・:約 1秒沈黙、―:音を伸ばす]

1. S08:はじめまして、私はS08です。あのう、君の名前は何ですか?

2. S07:はじめまして、私の名前はS07です。

3. S08:S07さんですね。君は何をしていますか?

4. S07:(笑う)すみません、もう一度お願いします。

5. S08:あ、あ、すみません、S07さん、あなたは何をしていますか?

6. S07:・・・・・・ん―まあ、たぶんラーメンかな。 【以下省略】

<ペア 4授業 1 RP②>

5. S08:(省略)あのう―S07さんの趣味は?

6. S07:私の趣味は漫画です。あなたは?

7. S08:漫画、私も漫画が好きです。

8. S07:へえ、そうか―

9. S08:はい。あのう、S07さん一番好きな漫画は何ですか? 【以下省略】

表 5の中で唯一、RP①から RP②へ達成度が下がっているペア 3(S05・S06)の授業 2の「2)

誘いにこたえる」タスクについては、役割の交替の影響があったと考えられる。RP①では S

05 が誘う側、S06 が誘われる側のロールであったが、RP②では役割を交替し、S05 が誘われ

る側、S06が誘う側のロールを担当した。S05は RP①でも RP②でも、表現がわからないとき

に S06に母語で相談し、タスクを達成できなかった。そのため、このペアにおいては RP①で

は「相手を誘う」タスクが不達成の Fで「誘いにこたえる」タスクは Bと判定されたが、RP

②では「相手を誘う」タスクが Bで「誘いにこたえる」タスクは不達成の Fという判定とな

った。具体的な会話内容は以下の通りである。

<ペア 3授業 2 RP①> [下線:話し合い、斜体:筆者が翻訳した内容、・:約 1秒沈黙]

6. S06:あ―Avenger 4ですか―良いね。私はAvengerが好きですよ。だ、だい―問題ないです。

7. S05:・・・

8. S06:時間について。

9. S05:あ、あ―時間は、あ―いつか、あ・・・・・いつか良いね。

10. S06:良いですか。

11. S05:・・・・・何時ぐらい・・

12. S06:いつ暇ですか。

13. S05:こうですか? 何時、何時・・・・・・何時は暇・・・・・・

14. S06:ですか。

15. S05:なんかおかしい。

16. S06:午前か午後にしますか。

17. S05:なに?

18. S06:時間は午前か午後か良いですか。

19. S05:はい。じゃ、続きます。 時間は午前か、午後、は良いですか? 【以下省略】

<ペア 3授業 2 RP②> [□:誤用]

6. S05:用事がたくさんあるですね―週末はどうですか?

7. S06:・・週末ですか―ん―じゃ、日曜日で良いですか?

8. S05:日曜日ですか―・・・・・何時ぐらいですか?

9. S06:そうですね。新しいのデパートなので、たくさん人が・・・が、きっとたくさんの人がありますの

で、朝はどうですか?

10. S05:朝は・・・ん―

11. S06:朝。

12. S05:・・・・・・何を言うべきですか?

13. S06:okと言って良いです。

14. S05:朝は良いですよ。(笑う) 【以下省略】

6.1.1.2 流暢さ

本研究では、沈黙と言い淀みの回数の減少を流暢さが良くなることだと考えている。図 2

は、全体的に沈黙と言い淀みの回数が減少する傾向を示している。授業 1において、RP①の

沈黙と言い淀みの回数の平均値は 11回であったが、RP②における沈黙と言い淀みの回数の平

均値が 3.8に下がった。また、授業 2(6.6→4.6)、授業 3(3.0→2.6)、授業 4(5.6→4.0)

の RP①と RP②の比較によって、沈黙と言い淀みの頻度が低下したことを示している。

図 2 各回の授業の RP①と RP②の沈黙と言い淀みの平均回数の比較

以上の結果から、沈黙と言い淀みの回数が下がり、流暢さが高くなったと考えられる。RP

①と違い、モデル会話例が RP②のインプットとなり、学習者は会話構成と内容を自分のもの

にし、わからない表現や語彙の数が減少したため、この点に関しては、流暢さが高くなった

ことが示唆される。つまり、提示したモデル会話例は学習者の RP①を修正する役割を果たし

ている。 6.1.1.3 語彙と文法の正確さ

RP①と RP②を比較すると、語彙の正確さには顕著な変化がなかったが、各ペアのやりとり

に理解を阻害する語彙の誤用も見られなかった。一方、文法の使用について、簡単な文法や

文型は、やや普通体と丁寧体を混ぜて用いることがあったが、相手が理解できない程の間違

いはなかった。また、文体の混用現象は RP②では少なくなった。

6.1.1.4 その他の変化

RP①と RP②の比較から、各ペアの発話量には明らかな変化が見られた。本研究では、発話

量はやりとりのターンの回数だと考えた。表 6のように、RP②のやりとりのターンの回数が

減少したケースが 14件あった(ゴシック太字)。

表 6 RP①と RP②のやりとりの回数の変化

授業1 授業2 授業3 授業4

RP① RP② RP① RP② RP① RP② RP① RP②

ペア1 43 26 34 13 13 12 20 29

ペア2 16 13 9 11 18 8 12 5

ペア3 24 14 14 14 8 8 12 13

ペア4 35 14 17 21 13 15 17 16

ペア5 18 8 9 8 15 9 13 8

また、表 6を表 5と比べると、RP②の発話量が減少しても、タスクが達成できた。実際に

先ほど述べたペア 4の RP①と RP②の変化から、発話量が減った原因はタスクと無関係の話題

が修正されたためと考えられる。つまり、学習者は会話の展開を管理でき、会話を終結する

方法を理解したと判断できる。

また、RP②のあいづちとフィラーの頻度は RP①より多かった。特に授業 1の RP①と RP②

を比較すると、あいづちとフィラーの使用回数が大幅に増加した。授業 2以降の RP①と RP

②では、あいづちとフィラーの使用回数の変化はあまり目立たなかった。

6.1.2 授業 1から 4を通じた RP①の変化

6.1.2.1 タスクの達成度

図 3は授業 1から 4までの RP①の達成度の変化を示している。図 3によると、授業 1から

授業 3までの「達成できた(B)」の達成度の割合が増加し、多くの割合を占めていることが

分かるが、「達成できなかった(F)」が増えたり減ったりしているため、タスクの達成度が高

くなったとは言いにくい。しかし、RP①のやりとりの内容には、流暢さ、談話ストラテジー

の使用、自発的な発話という質的な変化が観察された。

図 3 授業 1から 4までの RP①の達成度の変化

6.1.2.2 流暢さ

図 4を見ると、学習者の沈黙と言い淀みの回数が減っていることが分かった。特に、授業

3の RP①の沈黙や言い淀みの頻度が減少し、RP②と同じぐらいの流暢さを示している。

図 4 各回の授業の RP①沈黙と言い淀み 図 5 各回授業における各ペアの RP①の

の平均回数の比較 沈黙と言い淀みの頻度の比較

しかし、図 5から見られるように、授業 4では、沈黙と言い淀みの回数が増加した。例え

ば、ペア 5の授業 4の RP①で、S10は勧めたい料理の名前がわからないため、S09に確認し

た。つまり、助けを借りずに会話を進められなかった。更に、授業 4の「2)料理について説

明する」のタスクでわからない言葉があるため、沈黙したり相談したりしたあげく、会話を

中止した。

<ペア 5授業 4 RP①> [下線:話し合い、斜体:筆者が翻訳した内容、・:約 1秒沈黙]

1. S10:S09さん、S09さん。(写真を見せながら)これ飲みますか? 2. S09:え、このピンクの飲み物は何ですか? 3. S10:これはsirap、え、これは sirap bandungですか? 4. S09:はい、sirap bandungです。 5. S10:牛乳と混ぜるのはなんと言いますか? 6. S09:sirap bandungです。 7. S10:これはsirap bandungです。

8. S09:お―sirap bandung。Sirap bandungはなんですか?

9. S10:え―実はsirap bandungはバラとミルク・・ 「混ぜる」ってどう言いますか? 10. S09:・・・「混ぜる」か― (携帯電話で検索しよう)

11. S10:(笑う)ちょっとまって、私覚えます。あ― バラとミルク

12. S09:まぜる

13. S10:本当ですか?・・・・・止めて良い? 【会話中止】

授業 4の流暢さが低かった原因は、日本語で料理を説明した経験がなかったため、料理の

特徴を表す語彙の知識が足りなかったことが考えられる。また、一部の学習者は料理につい

て説明するとき、料理の作り方を説明したが、実際に自分がその料理の作り方について分か

らなかったため、かなり言い淀みが多かった。更に、インタビューで、学習者は料理の説明

タスクを見て複雑で詳細な内容が必要だと考えてしまった。そのため、聞き手も知っている

類似の料理の名前を使って「~のような料理」という簡単な説明を思いつかず、料理の情報

を正確に伝えるのに苦労したと述べた。

6.1.2.3 談話ストラテジーの使用

授業 1の RP①において、多くの学習者はわからない言葉があると、すぐに沈黙した。しか

し、3回目の授業から、思い出せない言葉やわからない表現に直面した場合、「そうですね」

などのフィラーを使い、時間を稼いだ。そのため、沈黙した回数が減った。また、相手の返

事にあいづちを打ち、相手が話した内容に対して、理解・不理解や賛同・否定を伝えられる

ようになった。また、相手の返事にあいづちを打つこともできるようになった。あいづちと

フィラーの使用によって、会話の全体に自然さが見られた。

6.1.2.4 自発的な発話

授業 1と 2・3・4の RP①には、双方の発話の自発性に差が見られる。授業 1の RP①にお

いて、ペア 2とペア 5の会話に自発的な発話は見られなかった。授業 1の RP①の会話内容は

「質問する側」と「回答する側」の区別が明らかであり、「回答する側」となった学習者は受

身的に相手の質問を待っており、自ら話題の展開に工夫する姿があまり観察されなかった。

具体的には、ペア 2の授業 1のやりとりの構成を見ると、S04は受身的に質問に答え、自ら

質問をしていた。一方、授業 2の RP①では、S04が自発的に S03に質問していた。また、授

業 3と 4の RP①では、S04が S03に質問をして話題を展開する姿が見られた。S04は会話の

ターンを上手く取ることができ、授業 1のように沈黙することがなかったため、会話の質が

改善され、タスクの達成度に肯定的な効果があった。

[下線:相手の内容を修正する、・:約 1秒沈黙、□:誤用]

<授業1>

1. S03:初めまして。私はS03。きょうねんは23歳です。あなたは?

2. S04:初めまして。私はS04です。

・・・(双方が約3秒沈黙)

3. S03:私、私はJohorから来た。あなたは?

4. S04:私はKedahからき、来ました。

・・・(双方が約3秒沈黙)

5. S03:あなたの趣味は何ですか?

6. S04:私は・・ときどき、バドミントンをします。

・・・(双方が約3秒沈黙) 【以下省略】

<授業2>

1. S04:S03さん、元気ですか?

2. S03:元気です。あなたは?

3. S04:元気です。この週末なにかするつもり、つもり?

4. S03:しことがあるです。

5. S04:火曜日もしがとがあるか?

6. S03:火曜日、ないだと思います。なぜ?

7. S04:・・Taman Uのスーパー・・が行きたい。S03さんも行きますか?

8. S03:それはいいですね。じゃ、行こうか?

9. S04:じゃ、行きましょう。 【会話終了】

<授業3>

1. S03:S04さん、明日は何時くらい・・でて、え

2. S04:何時ごろ。

3. S03:ごろ、何時ごろ、でてき、でて、出ていますか?

4. S04:出ます。

5. S03:出ます、出ます。

6. S04:明日、ごご2時、いいですか?

7. S03:明日ごご2時―

8. S04:いいですか?

9. S03:多分いいです。どこへ―

10. S04:どこに。

11. S03:は?どこに待ち合わせですか。

12. S04:Angkasaに待ち合わせ。

13. S03:え―ちょっと遠いですね。

14. S04:・・じゃ、どこでいいですか?

15. S03:Tasik Ilmuはどう?

16. S04:・・そうですね― Tasik Ilmuもいいです。じゃ、明日ごご2時にTasik Ilmuで会いましょう。

17. S03:はい、いいです。またね。

18. S04:またね。 【会話終了】

<授業4>

1. S04:S03さん、こんばんは。何が食べるいいですか?

2. S03:こんばんは。そうですね。・・Bah Kut Tehはどうですか?

3. S04:Bah Kut Tehは何ですか?

4. S03:Bah Kut Tehは豚肉を、つくり料理です。とてもおいしいですよ。

5. S04:そうですか。

6. S03:そうですね。

7. S04:どこに、どこで・・食べますか?

8. S03:そうですね。Kluangで食べるがいいですか?

9. S04:・・ん、でもとても遠いですね。

10. S03:大丈夫ですよ。車がありますから。

11. S04:そうですか。じゃ、行きましょう。

12. S03:じゃ、行きましょう。 【会話終了】

6.2 学習者の心理面の変化

学習者の心理面の変化を見るために、学習者に行ったインタビューデータを分析した。イ

ンタビューで学習者から、会話授業の参加によって自身の心理的な変化があったというコメ

ントがあった。心理的な変化は主に会話に対する自信と誤用に対する不安の変化であり、以

下のようにまとめられる。

会話に対する自信に関するコメント例:

<S03> 前は、日本語を話すと、頭が真っ白になりました。今話すとき、あまり緊張しなくなりました。

<S06> 話す自信が高まり、自分もできるようになったと思います。

<S10> 話す際にまだ問題がありますが、前よりちょっと自信がつきました。

<S11> 話す自信は少し高まりました。話せば話すほど間違いにだんだん気にならず、どんどん話せるように

なりました。

<S12> 授業の後、会話はそんなに難しいことではないと思います。前と比べると、あまり緊張にしなくなり

ました。

誤用に関するコメント例:

<S05> 最初は相手の質問に対してどう返事すれば分かりませんでした。返事しようとしたとき、いつもJLPT

の教科書の難しい表現を考えてしまいました。実践授業で簡単な言葉で返事すればいいことに気づき、

だんだん相手の質問に答えられるようになりました。

<S08> 最初は言葉遣いを気になったり、文法が正しくないと伝えられないことに心配しました。実際に話す

と、多少間違っても、相手が分かってくれるから、話すとき、あまり緊張を感じませんでした。

<S16> 何回も話してから、話す勇気ができて、だんだん誤用に気にせず、話したいことを間違ってもどんど

ん話しました。

学習者の意見やコメントから、話す自信がなかったのは誤用に対する不安が原因となって

いたことが分かった。学習者は誤用に対して過剰に意識し、自分が使用した文型や語彙の正

確さを厳しく評価したため、言葉遣いに困り、自分の話したいことを上手く話せなかった。

更に、学習者から、「フィラーが使えるようになりました」「相手の返事にあいづちを打て

るようになりました」「自分の間違いに気づき、自己修正ができるようになりました」という

コメントを得た。つまり、6.1.2.3で言及したストラテジーの使用は、学習者が会話の目的

を達成するために、談話ストラテジーを意識的に使用していると推測できる。談話ストラテ

ジーが身についたと考えられる。

インタビューの結果から、今回の実践授業に取り入れた改善点は学習者に自信を持たせ、

不安を軽減する効果があったと言える。

6.3 学習者による実践授業の評価

ア②の結果は表 7の通りである。結果を見ると、多くの学習者は実践授業に対して肯定的

な意見を表明した。

表 7 学習者から実践授業に対する評価

質問 回答

1. 実践授業は会話能力を高めることに効果的ですか。 はい:15 どちらもいえない:1 いいえ:0

2. 実践授業の学習目標は適切ですか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

3. 実践授業の導入は適切ですか。 はい:15 どちらもいえない:1 いいえ:0

4. 実践授業のインプットは適切ですか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

5. 実践授業の活動は適切ですか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

6. 活動の説明が分かりやすかったですか。 はい:15 どちらもいえない:1 いいえ:0

7. 実践授業の時間の長さは適切ですか。 はい:14 どちらもいえない:2 いいえ:0

8. 教師のフィードバックは適切ですか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

9. 実践授業は面白かったですか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

10. もし、将来に会話授業を行えば、参加しますか。 はい:16 どちらもいえない:0 いいえ:0

また、自由回答欄のコメントや感想から、「タスク先行型 RP」に対して「良かった」「効果

的だった」などの肯定的なコメントがあり、学習者はこの授業の方法に抵抗感を感じていな

いと考えられる。

<S03> 授業の内容と活動が良かったです。RPに挑戦して、その後、モデル会話例を聞いて、自分の会話との

違いを比較することが出来ました。

<S09> RP①で自分が考えた会話と日本人の実際の会話との相違点に気づくことが出来て、凄く良かったです。

自分でどこが間違っているかを知ることができました。

<S16> 導入はトピックの理解に役立ち、同時にアイスブレイキングにもなり、学習者の興味を高めることが

できます。RP①を自己挑戦してから、モデル会話例を聞いて、自分のどこが間違っているかに気づき、

修正し、会話能力を高めることに効果的です。

一方、インタビューから実践授業の評価について、学習者は過去の授業と比べ、実践授業

の方が会話の育成に効果的だと考えた。特に、学習者 S06、S09、S11は実践授業を肯定的に

受け止めた。

<S06> 昔の授業の活動はあまり考えずに例文に沿って話しました。しかし、今回では、最初から何を話せば

いいか自分で考えなければなりません。そして、相手からの質問も教科書と違い、書いていないから、

どう返事すれば良いか考えなければなりません。本当の会話みたいから、良い練習になります。

<S09> また、昔の授業はちょっと機械的で、日常生活の会話にあまり使えなかった。今の授業の方が実用だ

と思います。

<S11> 過去の授業と比べて、実践授業は正確さに拘らずに自由に話せたので、とても良かった。

また、ペア交替について学習者に質問したが、賛否両論の意見を得た。賛成した学習者は

ペアを交替することによって、異なる相手との練習は会話能力に肯定的効果があると考えら

れる。一方、反対した学習者は知らない人と組むと恥ずかしいという理由でペアを交替しな

い会話練習の方が効果的だと言った。このことから、ペアを交替する際は、学習者の不安を

十分に配慮し、適切な相手とペアを組ませる必要があると言える。

ペア交替に賛成したコメント

<S01> ペアを交替したら、最初はちょっと恥ずかしいですが、違う話し方を体験できて、良いと思います。

<S06> ずっと同じ相手だったら、相手の話し方に慣れてから、次の内容は大体予想できます。違う相手なら、

すぐ回答を考えなければなりませんので、良い練習になります。

<S09> ペア交替すれば、異なる相手から新しいものが学べます。

<S10> ペア交替は学習者を自分の「快適域」から出して、新しい相手の会話の仕方がわからないから、良い

勉強になります。

ペア交替に否定したコメント

<S02> 私は恥ずかしがりやなので、異性の相手なら、多分会話できません。

<S05> ペアを変更したら、多分気まずくなるかもしれません。他の人は分かりませんが、私は知らない人と

ペアになった場合、ちょっと不安です。

<S12> 個人的には変えない方が良いです。毎回の授業でペアを交替したら、またゼロからやり直すようです。

また、知らない人ならちょっと不安です。

<S14> いきなり知らない人とペアになったら、ちょっと気まずいです。

実践授業の改善点として、学習者から得たフィードバックには、「もっと練習が欲しい」「ペ

アを交替したら良いです」「グループ活動を入れたら良い」という意見があった。4.1.2で述

べたように、今回の実践授業の活動 2(RP①)と活動 3(モデル会話例の聴解)は時間がかか

り、活動 4(RP②)と活動 5(発表)の時間が足りなかった。そのため、RP②のペア交替をし

なかった。しかし、回答から、ペア交替の必要性を感じていた学習者は多くいた。また、「授

業外も自分で会話練習をするようになりました」というコメントから、学習者は自分の会話

能力を高めるために、自ら会話練習を工夫し、学習意欲が高くなったと言える。

7. 考察

本研究は、本校の過去の会話授業の、(1)学習者は既習知識を会話に使う機会がない、(2)

会話活動の真正性と自然さがない、(3)会話の内容と文型の正しさに偏るという問題を解決

するために、「タスク先行型 RP」を取り入れ、実践授業を実施し、会話授業の改善を試みた。

課題(1)については、各授業の RP①と RP②の比較と授業 1から授業 4を通した RP①の比

較の結果で検証した。その結果、タスクの達成度、流暢さ、談話ストラテジーの使用、自発

性、あいづちの使用に期待された変化が見られた。RP①と RP②の比較の結果では、RP①に挑

戦する際に、学習者はうまく会話を展開できなかった。また、会話に流暢さが欠けており、

会話内容の一貫性が低かった。RP②では、学習者の会話内容の展開と一貫性が改善され、流

暢さが高まり、タスクの達成度が高くなった。即ち、提案した授業の仕組みは学習者のタス

クを達成する能力の向上に重要な役割を果たしたことが分かった。更に、各授業を通じた RP

①の結果から、授業を通して学習者は談話ストラテジーの使用、発話の自発性、あいづちの

使用が観察された。この質的な変化は会話タスクの達成度の向上に貢献し、実践授業の構成

の効果が見られた。

課題(2)については、はインタビューの結果から、実践授業に参加することによって、

学習者の心理にも良い影響を及ぼしたことが分かった。「タスク先行型 RP」は、学習者に実

際の会話場面を体験させることができ、誤用に対する不安の軽減や会話への自信の向上に効

果的であった。

課題(3)の、学習者の実践授業に対する評価については、学習者のアンケートとインタ

ビューにおいて、実践授業に対して肯定的なコメントがあり、実践授業は効果的だと受け止

められた。即ち、適切な支援があれば、会話活動に不慣れな学習者にも、「タスク先行型 RP」

を導入することが可能だと考えられる。

今回の研究では、学習者の発話量は予想に反し、下がったケースが増えたケースより多か

った。発話量が増えることは一般的に会話能力の向上だと考えられるが、初級の場合におい

ては、必ずしもそうとは言えないことが明らかにされた。使える語彙量の少ない初級学習者

は具体的に述べられる能力がないため、発話量の増加と共に、タスクと一致しない内容が増

える可能性もある。発話量が少なく、内容の一貫性と結束性があり、タスクの達成度が高い

事例もある。このことから、特に初級学習者向けの会話授業では、たくさん話すことより、

タスクを遂行する方法を学習者に意識させたほうが会話能力の向上に効果的であると考えら

れる。

本研究の実践授業の RP①と RP②の間にモデル会話例を挟むという「タスク先行型 RP」は、

学習者の自己修正能力を伸ばす効果がある。RP①を行う前にインプットがないため、学習者

は自分の持っている知識から適切な表現や語彙を引き出さなければならない。モデル会話を

挟むことで、自分が使用した表現や語彙が適切か否か、チェックされ、モニターが働くと考

えられる。このモニターは、「暗記する知識」を「活用する知識」に変換させるのに欠かせな

いプロセスだと考える。会話授業だけではなく、本校の他の日本語授業にもこのプロセスを

適用すれば、学習者の日本語を活用する力が高められると言える。

初対面の人と RP活動をすると、不安感が生じると予想し、今回の実践授業では、学習者

の不安感に配慮し、学習者が自分で RPの相手を選択することにした。インタビューによって、

顔見知りの人とペアを組んだことは、緊張感や不安感を軽減することに効果的であることが

分かった。

また、クルシュレーシタ(2013)は、会話に不慣れな学習者は誤用を心配しているため、

話す自信が持てないと述べている。過去の会話授業の経験を踏まえ、学習者の不安に十分に

配慮し、今回の実践授業では学習者に、①間違いを気にしない、②知らない言葉を他の言語

で言い換えてもいいという指示を与えた。しかし、実際には最初から誤用を気にせず、どん

どん話せる学習者は少なかった。この指示を何回か学習者に繰り返したところ、少しずつ誤

用を気にせずに話せるようになった。また、この指示を与えることは学習者にとって、励ま

しの効果があると考えられる。指示は 1回のみでは、足りないと考えられ、授業の前半の RP

活動で指示を与え続ける必要がある。

今回の実践授業は、学習者の会話の質的にも、学習者の心理にも肯定的な変化をもたらし

た。このことから、授業の改善案は本校のみならず、特に文型積み上げ式に慣れた学習者に

会話授業を行うにあたって、同じ問題を抱えている教育機関にも取り入れられると考えられ

る。また、マレーシア教育計画 2015-2025(Malaysia Education Blueprint 2015-2025)で

は、言語の知識面より使用面に注目しているため、この理念とも合っている。更に、計画の

第 3段階(2021-2025)において、高・中等教育のみならず、小学校にも国際言語を導入する

こととなっている。本研究が提案した会話授業の改善案は今後初等教育に日本語を導入する

際のヒントになる可能性がある。

このように、本研究においては、前述の改善案を採り入れた実践授業を実施した結果、学

習者の会話能力に肯定的な変化が見られた。また、学習者の会話に対する自信が増し、不安

が軽減するという効果も得られた。今回の実践授業は学習者に肯定的に受け止められ、今後

UTMで実施して行くことが可能であると言える。

8. 今後の課題

今回の実践授業では、学習者を親しい者同士で固定して RPを実行し、ペア交替を行わな

かった。そこで、今後の課題として、ペアの交替、特に親しい相手と親しくない相手とペア

になって活動を行うことによって、どのような効果があるか調査したい。

また、本稿は学習者の沈黙に対し、質的な分析をしなかった。会話能力を見るとき、学習

者の沈黙は言語的な理由か、あるいは、内容的な理由かを分析する必要がある。沈黙の質的

な分析は、今後の課題にする。

今後、本研究の成果を生かして会話能力を育成する授業を UTMの日本語教育のカリキュラ

ムに導入する場合、現在の「初級日本語 1・2・3」のカリキュラムの見直しを含め、検討す

べき課題は多い。UTMの学習者の会話能力育成に向けて、これらの課題に取り組んでいきた

い。

参考文献

(1)鎌田修(2001)「会話能力の測定」『日本語教育通信』第 17回、6-7.

<https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/reserch/pdf/tushin41

_p06-07.pdf> 2019年8月 2日参照

(2)クルシュレーシタ,ディヴィヤ(2013)「成人学習者の話す自信を高める試み-授業に

グループワークを取り入れて-」『日本言語文化研究会論集』第 10号、51-78.

(3)国際交流基金(2007)『日本語教授法シリーズ 6 話すことを教える』ひつじ書房

(4)小山悟(2002)『J. Bridge ジェイ・ブリッジ』凡人社

(5)中村敏枝(2009)「コミュニケーションにおける「間」の感性情報心理学」『音声研究』

第 13巻、第 1号、40-52.

(6)宮城信・文智暎(2014)「大学におけるコミュニケーションスキル教育の開発研究」『富

山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 教育実践研究』第 9号、1-12.

(7)山内博之(2005)『ロールプレイで学ぶ中級から上級への日本語会話』アルク

(8)山内博之(2015)「学習者の話す力を伸ばすタスク先行型授業」『国際交流基金バンコク

日本文化センター日本語教育紀要』第 12号、1-16.

(9)ヨン・シュウ・フォン,ビビ(2003)「初級学習者を会話にいざなう授業の提案-マレ

ーシア全寮制中等学校における日本語教育の改善のために-」『日本語教育指導者養成

プログラム論集』第 2号、109-149.

(10)ラミレス・ハラ、ホセ・アントニオ(2009)「学習者が話せるようになる授業への改善

の試み-ペルー日系人協会日本語・語学センターの初級を例に-」『日本言語文化研究

会論集』第 5号、83-110.

(11)Canale, M. (1983) From communicative competence to communicative language

pedagogy. In J. C. Richards and R. W. Schmidt (eds.) Language and Communication.

New York: Longman. 2-27.

(12)Kumaraguru, R., Salwati, S., Low, L. H., Shalini, S. & Loh, K. X. (2018) The

motivation pattern among UTM Japanese language learners: A comparison between

free elective course and compulsory course students. Proceeding for the 11th

Language for Specific Purposes International Conference, Johor Bahru, Malaysia,

June 25, 2018.(発表資料)

(13)McDaniel, K. N (2000) Four Elements of Successful Historical Role-Playing in

the Classroom. The History Teacher, Vol. 33, No. 3, 357-362.

(14)Salies, T. G. (1995) Teaching Language Realistically: Role Play is the

Thing. ERIC document number ED424753 <https://files.eric.ed.gov/fulltext/ED

424753.pdf> 2019年 7月 24日参照

添付資料①実践授業のロールカード

授業 ロール A ロール B

1 日本語クラスで新しい友達に自己

紹介し、相手の趣味について聞いて

ください。

日本語クラスで新しい友達に自己

紹介し、相手の趣味について聞いて

ください。

2 友達を週末に一緒にでかけようと

誘ってください。

友達に週末に一緒にでかけようと

誘われた。行くかどうかこたえてく

ださい。

3 週末に日本人の友達と一緒にでか

けます。短い簡単な言葉で友達と待

ち合わせの場所と時間を確認して

ください。

週末にマレーシアの友達と一緒に

出掛けます。短い簡単な言葉で友達

と待ち合わせの場所と時間を確認

してください。

4 あなたは日本人の友達と一緒に晩

ご飯を食べます。友達に短い簡単な

ことばでマレーシアの料理をすす

めてください。

あなたはマレーシア人の友達と一

緒に晩ご飯を食べます。マレーシア

のおすすめの料理について聞いて

ください。

添付資料②実践授業のワークシート(授業

3のワークシート)

添付資料③事前アンケート(ア①) Japanese Conversation Questionnaire

The aim of this questionnaire is to study conversation using Japanese language among UTM

Japanese language learners. Your identity and feedback will be kept confidential at all times. Your

cooperation is highly appreciated.

Question 1-6: Profile of Candidate

1. Gender □Male □Female

2. Age:

3. Have you been to Japan before? Period: ______ Month _______ Day

□No □Yes Year : ______________ Purpose : _____________________________

4. Japanese learning experience: (multiple choices)

□ Japanese 1 □ Japanese 2 □ Japanese 3

□ JLPT N5 □ JLPT N4 □ JLPT N3 □ JLPT N2

5. Highest level of JLPT exam you have taken?

Level: ________________ □None

6. Reason of learning Japanese language. (Multiple choices)

□I like Japan. □I like Japanese anime, drama, music, etc.

□I like Japanese culture. □ I want to further study in Japan.

□I want to work in Japan. □I want to work in local Japanese company.

□I want to converse with native Japanese. □Japanese is compulsory for my course.

□Other reason: _________________________

7. Please evaluate your current Japanese language conversation level. (Multiple choices)

□ □ □ □ □

I can make daily

greetings and reply

to the greetings.

I can interact in a

simple way provided

the other person is

prepared to repeat or

rephrase things at a

slower rate of speech

and help me

formulate what I'm

trying to say. I can

ask and answer

simple questions in

areas of immediate

need or on very

familiar topics.

I can communicate in

simple and routine

tasks requiring a

simple and direct

exchange of

information on

familiar topics and

activities. I can

handle very short

social exchanges,

even though I can't

usually understand

enough to keep the

conversation going

myself.

I can deal with most

situations likely to

arise whilst

travelling in an area

where the language

is spoken. I can enter

unprepared into

conversation on

topics that are

familiar, of personal

interest or pertinent

to everyday life (e.g.

family, hobbies,

work, travel and

current events).

I can interact with a

degree of fluency and

spontaneity that

makes regular

interaction with

native speakers quite

possible. I can take

an active part in

discussion in familiar

contexts, accounting

for and sustaining my

views.

Question 8-9: Japanese conversation

8. On a scale of 1-5, rate the aspect of Japanese conversation that represents you the most.

Please circle your answer.

1: Strongly

disagree

2: Somehow

disagree 3: Neutral

4: Somehow

agree 5: Strongly agree

1. Japanese conversation is difficult. 1 2 3 4 5

2. I like to converse in Japanese language. 1 2 3 4 5

3. I feel nervous when converse in Japanese language. 1 2 3 4 5

4. It doesn’t matter even though I couldn’t speak in Japanese language.

1 2 3 4 5

5. I practice to speak on my own after class. 1 2 3 4 5

6. I practice to speak with my friend after class. 1 2 3 4 5

7. I have confident in Japanese conversation. 1 2 3 4 5

8. I am able to listen and understand long sentence. 1 2 3 4 5

9. I am able speak long sentence. 1 2 3 4 5

10. I am able express what I think. 1 2 3 4 5

11. I would like to speak to Japanese. 1 2 3 4 5

12. I can speak fluently in Japanese language. 1 2 3 4 5

13. I have confident to make presentation in Japanese. 1 2 3 4 5

9. On a scale of 1-5, rate the following action during conversation that applies to you most.

Please circle your answer.

1: Not at all 2: Rarely 3: Sometimes 4: Frequent 5: Always

1. Using body gesture. 1 2 3 4 5

2. Look at opponent face. 1 2 3 4 5

3. Paraphrase when loss for words. 1 2 3 4 5

4. Responds to opponent’s reply. (e.g., そうですか, etc.) 1 2 3 4 5

5. Listen again if couldn’t understand what your opponent is saying.

1 2 3 4 5

6. Concern about the correctness of the sentence. 1 2 3 4 5

7. Construct the sentence in mind before speak it out. 1 2 3 4 5

8. Failing to retrieve words from memory. 1 2 3 4 5

添付資料④事後アンケート(ア②) Japanese Conversation Questionnaire

This questionnaire aims to study conversation in Japanese language among UTM Japanese

language learners. Your identity and feedback will be kept confidential at all times. Your

cooperation is highly appreciated.

Question 1-2: Japanese conversation

1. On a scale of 1-5, rate the aspect of Japanese conversation that represents you the most.

Please circle your answer.

1: Strongly

disagree

2: Somehow

disagree 3: Neutral

4: Somehow

agree 5: Strongly agree

1. Japanese conversation is difficult. 1 2 3 4 5

2. I like to converse in Japanese language. 1 2 3 4 5

3. I feel nervous when converse in Japanese language. 1 2 3 4 5

4. It doesn’t matter even though I couldn’t speak in Japanese language.

1 2 3 4 5

5. I practice to speak on my own after class. 1 2 3 4 5

6. I practice to speak with my friend after class. 1 2 3 4 5

7. I have confident in Japanese conversation. 1 2 3 4 5

8. I am able to listen and understand long sentence. 1 2 3 4 5

9. I am able speak long sentence. 1 2 3 4 5

10. I am able express what I think. 1 2 3 4 5

11. I would like to speak to Japanese. 1 2 3 4 5

12. I can speak fluently in Japanese language. 1 2 3 4 5

13. I have confident to make presentation in Japanese. 1 2 3 4 5

2. On a scale of 1-5, rate the following action during conversation that applies to you most.

Please circle your answer.

1: Not at all 2: Rarely 3: Sometimes 4: Frequent 5: Always

1. Using body gesture. 1 2 3 4 5

2. Look at opponent face. 1 2 3 4 5

3. Paraphrase when loss for words. 1 2 3 4 5

4. Responds to opponent’s reply. (e.g., そうですか, etc.) 1 2 3 4 5

5. Listen again if couldn’t understand what your opponent is saying.

1 2 3 4 5

6. Concern about the correctness of the sentence. 1 2 3 4 5

7. Construct the sentence in mind before speak it out. 1 2 3 4 5

8. Failing to retrieve words from memory. 1 2 3 4 5

Question 3: Opinion on conversation class

3. Please ☑ the item represents you the most.

1. The conversation class is effective in improving conversation skills.

□Yes □Neutral □No

2. The objective of the class is suitable. □Yes □Neutral □No

3. The introduction of the class is suitable. □Yes □Neutral □No

4. The content input of the class is suitable. □Yes □Neutral □No

5. The activity of the class is suitable. □Yes □Neutral □No

6. The instruction of the activity is clear. □Yes □Neutral □No

7. The length of time of the class is suitable. □Yes □Neutral □No

8. The feedback from the teacher is suitable. □Yes □Neutral □No

9. The class is interesting. □Yes □Neutral □No

10. I will join the class if it is being offered in future. □Yes □Neutral □No

4. In your opinion, which part of the conversation class is good? (Activities, content,

instruction, etc.)

5. In your opinion, how would you improve the current conversation class?

6. Do you have any additional comment or suggestion on how to make the class better?

7. Please evaluate your current Japanese language conversation level.

□ □ □ □ □

I can make daily

greetings and reply to

the greetings.

I can interact in a

simple way provided

the other person is

prepared to repeat or

rephrase things at a

slower rate of speech

and help me formulate

what I'm trying to say. I

can ask and answer

simple questions in

areas of immediate

need or on very

familiar topics.

I can communicate in

simple and routine

tasks requiring a simple

and direct exchange of

information on familiar

topics and activities. I

can handle very short

social exchanges, even

though I can't usually

understand enough to

keep the conversation

going myself.

I can deal with most

situations likely to arise

whilst travelling in an

area where the

language is spoken. I

can enter unprepared

into conversation on

topics that are familiar,

of personal interest or

pertinent to everyday

life (e.g. family, hobbies,

work, travel and

current events).

I can interact with a

degree of fluency and

spontaneity that makes

regular interaction with

native speakers quite

possible. I can take an

active part in discussion in

familiar contexts,

accounting for and

sustaining my views.

達成できなかった

F

新しい日本語授業で、自分のこと

について、友達がしっておいた方

が良い情報や、自分の趣味につい

て触れず、説明することができな

い。

友達に誘いたい意図を伝えること

ができない。

友達

と外

出の

待ち

合わ

せに

つい

て、待ち合わせ時間と場所を話し

合うことができない。

友達にマレーシアの食べ物を勧め

たり、その食べ物について、説明

したりすることができない。

短い沈黙、言い淀み、言い直すこ

とがかなり多く、話したいことは

流暢さがなく、助けを借りずに続

けられない。

述べることができるぐらいの語彙

を持っておらず、述べることがで

きない。

簡単な文法・文型でもかなり間違

いが多く、何を言おうとしている

のかは分かりにくい。

なんとか達成できた

C

新しい日本語授業で、自分のこと

について、友達がしっておいた方

が良い情報や、自分の趣味につい

て、少し触れながら、なんとか説

明することができる。

友達に誘いの意図をなんとか伝え

ることができる。

友達

と外

出の

待ち

合わ

せに

つい

て、待ち合わせ時間と場所を何と

か話し合うことができる。

友達にマレーシアの食べ物を簡単

に勧めることができて、その食べ

物について、詳細に説明すること

ができないが、なんとか簡単に食

べ物の特徴を説明することができ

る。

短い沈黙、言い淀み、言い直すこ

とが多いが、話したいことは流暢

さが足りず、断続的に続けられる。

ごく基本的な会話ができるぐらい

の語彙をもっていて、使うことが

できる。

間違いがあるが、簡単な文法・文

型であれば正しく使うことができ

る。

添付資料⑤Can-do達成の評価ルーブリック

達成できた

B

新しい日本語授業で、自分のこと

について、友達がしっておいた方

が良い情報や、自分の趣味につい

て、ある程度分かりやすく説明す

ることができる。

ある程度友達に誘いの意図を分か

りやすく伝えることができる。

友達

と外

出の

待ち

合わ

せに

つい

て、待ち合わせ時間と場所をある

程度分かりやすく話し合うことが

できる。

友達にマレーシアの食べ物を勧め

ることができて、その食べ物につ

いて、ある程度分かりやすく説明

することができる。

話したいことが大体話せる。短い

沈黙、言い淀みは少しあるが、助

けを借りずに話を続けられる。

述べたいことをある程度述べられ

るぐらいの語彙を持っていて、使

うことができる。

頻繁に使われる文法・文型を大体

正確に使うことができる。

余裕で達成できた

A

新しい日本語授業で、自分のこと

について、友達がしっておいた方

が良い情報や、自分の趣味につい

て、順序だてて、分かりやすく説

明することができる。

順序だてて、友達に誘いの意図を

分か

りや

すく

伝え

るこ

とが

でき

る。

友達

と外

出の

待ち

合わ

せに

つい

て、待ち合わせ時間と場所を分か

りやすく話し合うことができる。

友達にマレーシアの食べ物を勧め

ることができて、その食べ物につ

いて、分かりやすく説明すること

ができる。

話したいことが問題なく話せる。

言い淀みは偶にあるが、助けを借

りずに話を続けられる。

述べたいことを述べられるぐらい

の語彙を持っていて、使うことが

できる。

母語の影響や誤りも少し見られる

が、なじみのある状況であれば、

大体正確に文法・文型を使うこと

ができる。

指標

内容・活動

流暢さ

語彙

文法

・文型

正確さ

授業

1

授業

2

授業

3

授業

4

各授業

共通