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2007.3.2 グローバル・ブランディング 欧米企業との比較に見る日本企業のブランド構築の課題と展望 【映像国際放送の在り方に関する検討委員会】 資料2

グローバル・ブランディング...Global Branding Center ウォッチ機能 海外拠点におけるコミュニケーション 施策・ブランド管理状況を 把握する機能

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2007.3.2

グローバル・ブランディング

欧米企業との比較に見る日本企業のブランド構築の課題と展望

【映像国際放送の在り方に関する検討委員会】

資料2

Page 2: グローバル・ブランディング...Global Branding Center ウォッチ機能 海外拠点におけるコミュニケーション 施策・ブランド管理状況を 把握する機能

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企業の投資と回収はグローバルな視点で

研究開発投資

ブランド構築投資

設計投資設備投資

製品開発力

ブランド価値向上

生産能力コスト競争力

様々な市場で寡占化が進むグローバリズムの下では、研究開発費、設備投資、

設計投資などへの投資規模が拡大することから、限定市場だけでは投資回収が困

難、ブランド構築の広告投資もグローバルな視点で取り組む必要性

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グローバル・ブランディングの誤解

国や地域によって文化や慣習、市場の成熟度が異なるのに、あたかもそこに均質な市場が存在するかのような誤解

ローカル化

グローバル化

どのようにグローバルとローカルの要素を融合さどのようにグローバルとローカルの要素を融合さ

せてマーケティングの効果・効率を最大化するかせてマーケティングの効果・効率を最大化するか

欧米企業 日本企業

グローバル化しやすいグローバル化しやすいマーケティング要素マーケティング要素

グローバル化しにくいグローバル化しにくいマーケティング要素マーケティング要素

ブランド名

ロゴ・マーク

企業理念

営業

流通

プロモーション

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グローバル・ブランディングを拒む社内要因

1. ローカルの壁1. ローカルの壁

2. 本社と海外拠点の構造的対立から来る双方のモチベーションの低下2. 本社と海外拠点の構造的対立から来る双方のモチベーションの低下

3. グローバルな組織の中での各海外拠点の責任を分担する仕組みづくりの難しさ3. グローバルな組織の中での各海外拠点の責任を分担する仕組みづくりの難しさ

日本の消費者は世界で最も厳しい品質に対する目を持っている。他の地域の経験などは役に立たない。

現地の消費者は日本とは異なる価値観を持っている。日本での経験は役に立たない。

日本(現地)の流通は複雑で特殊である。海外(日本)で行なわれた流通戦略は通用しない。

[海外拠点⇒本社]イメージ優先のブランディング広告は売りにつながらない。CRが現地の文化・流行に合っていない。

[本社⇒海外拠点]消費者は商品だけを見て買っているのではない。その企業のビジョンや社会貢献等にも注目。

商品ラインナップやブランドの浸透度が国や地域でバラバラの状態で統一的な広告を行なっても効果はない。

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海外子会社が小規模の間は本社の統制強いが、

一定規模を超えると本社の統制が難しくなる

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消費者行動はグローバル化の一途をたどっているのに対し

て、行過ぎたローカル化はブランド価値の毀損につながる

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6

62.3

80.6

68.6

75.5

70.7

73.9

80.4

68.0

0 50 100

スズキ

三菱自動車

マツダ

キヤノン

ソニー

日産自動車

ホンダ

トヨタ自動車

66.6

83.4

80.7

61.2

85.4

87.3

77.3

77.0

0 50 100

50.5

18.3

39.8

51.7

48.1

64.0

35.8

23.3

0 50 100

海外売上高比率 海外広告費比率 外国人持ち株比率

12.6兆円

7.0兆円

6.3兆円

5.1兆円

2.6兆円

1.8兆円

1.7兆円

1.4兆円

日本企業の活動・経営はグローバル化が進展している

※ 海外売上高1兆円超の日本企業を対象海外売上高比率、外国人持ち株比率は2005年3月期財務データより海外広告費比率は2005年暦年の広告費をAd Age誌(世界)、 電通広告統計(国内)より算出

赤字は海外売上高

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日本は人口減少社会へ

日本市場の相対的地位の低下

日本の少子・高齢化の進展日本の少子・高齢化の進展日本の少子・高齢化の進展

新興海外市場の発展新興海外市場の発展新興海外市場の発展

コミュニケーションすべき対象の増加(様々な企業リスクへの対応)

ステイクホルダーの多様化ステイクホルダーの多様化ステイクホルダーの多様化

日本企業のグローバル・ブランディングへの動機の高まり

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しかし、日本企業の海外広告費のほとんどはローカル・メディアに出稿されている。

汎リージョナル・メディア

ローカル・メディア

広く・薄く広く・薄く広く・薄く

狭く・深く狭く・深く狭く・深く

衛星TVメディアやウォールストリートジャーナル紙、フィナンシャルタイムズ紙、

タイム誌、ニューズウィーク誌のような複数国・地域に到達するメディア

その国・地域の言語による、その国・地域に限定的に到達するメディア

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汎アジア衛星TV局への広告出稿額ランキング(2005年)0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 12,000,000 14,000,000 16,000,000

ノキア携帯

トヨタ

マレーシア観光局

マレーシア航空

シェ ル

イ ンド観光局

HSBC

HUGO BOSS

タイ ガービール

起亜

キャセイ パシフィック航空

ボルボ

ソニー製品

カ タール航空

TYCO Corporate

ロレックス

DHL

ダイ ナースクラ ブ

ジョ ニーウォ ーカ ー

hp企業

現代自動車

ROYAL SALUTE

ソニーエリクソン携帯

英国航空

フォ ルクスワーゲン

エミレーツ航空

シェ ブロン

UPS

メルセデスベンツ

モトローラ 携帯

クレディースイ ス

ソニーデジカ メ

UBS

STRASIA TRAVEL.COM

IBM

CNN BBC World CNBC Discovery ESPN National Geographic Star Sports Others

(単位:US$)(出典:TNS Radex)

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10

0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000

ノキア携帯

トヨタ

シェル

フィリップス

UPS

スウォッチ

EMIRATES CIE

ロレックス

起亜

アディダス

現代自動車

スズキ

マレーシア観光局

ギリシャ観光局

ASPIRE SPORT ACADEMY

カタール航空

サムスン

モトローラ

hp

ブリティッシュテレコム

CNN BBC World CNBC Euronews Discovery Eurosport MTV TV5 Europe

汎ヨーロッパ衛星TV局への広告出稿額ランキング(2005年) (単位:US$)(出典:SECODIP)

日本企業の汎リージョナル・メディアへの出稿は限定的それも本社予算ではなくリージョナルHQ予算のケースが多い

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グローバル・ブランディング・センター

Global Branding Center

ウォッチ機能海外拠点におけるコミュニケーション

施策・ブランド管理状況を把握する機能

アキュムレーション機能内外のブランディングに資する情報を

集約・管理する機能

アイデンティティ機能コーポレート・ブランドのアイデンティティに関して本社から発信する機能

サポート機能本社から海外拠点に対して具体的な

支援を実施する機能

グローバリズム下における本社の果たすべき機能

本社による一定のブランド管理機能は必須

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グローバル・ブランディング推進のポイント

組織・体制的要素

CR表現的要素

予算的要素

経営企画 広告宣伝

統一 分散

本社主導 現地主導

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多国籍企業と海外子会社数が増加、国際貿易の60%が多国籍企業の内部取引

37,000

175,000

64,000

870,000

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

900,000

1990年代初頭

多国籍企業数 海外子会社数

(国際貿易開発会議UNCTAD)

日本の多国籍企業の場合、技術開発拠点は日本に、デザイン開発拠点はヨーロッパに、生産拠点はアジアに、そして販売拠点は世界各国に、といったケースが数多く見られる。

多国籍企業が国ごとの収支を計算する理由は各国の税務当局が納税額を確保することを要求するためであるが実際多国籍企業がどこで利益を稼いでいるかを特定するのは難しい。

多国籍企業が多大な利益をあげることができたのは、研究開発に優秀な人材を集めたからなのか、生産設備に高品質の機材・システムを投入したからなのか、宣伝・マーケティングが卓越したクオリティーだったからかを特定するのは困難。

企業活動がモノからサービスへの依存度を強め、またブランドや知的財産など価値を測りづらい無形資産に依存するようになってくると各国税務当局と多国籍企業の間での納税を巡る議論は哲学的領域に入ってくることになる。

(日経ビジネス 2004年)

2003年

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移転価格税制により各国税務当局は多国籍企業からの税収確保に努めている

本 社

独立第三者

子会社

国内 海外

100

100

税務当局税務当局 税務当局税務当局

子会社の課税対象利益を20だけ毀損したと見なされ子

会社の税務当局から追徴

本社の課税対象利益を20だけ毀損したと見なされ本社の税務当局から追徴

80で売った場合 120で売った場合

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海外子会社への支援とも考えられるグローバル・ブランディングには、原資の裏づけとなるブランド・ロイヤリティー徴収の仕組みが前提

【欧米企業の場合】 【日本企業の場合】

本 社 子会社 本 社 子会社

広告・販促支援策 広告・販促支援策

ブランド・ロイヤリティー(役務提供の対価)

ブランド・ロイヤリティー(役務提供の対価)

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中途半端な本社からの支援策では海外子会社からは喜ばれない。し

かし大型施策には税務リスクに対する対応策が求められる

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海外拠点から徴収したブランド・ロイヤリティを原資に積極支援⇒

ローカル・メディアの起用(販促展開)について税務リスクが存在

長期的な視点でブランド価値を醸成⇒メディアROI重視の観点から汎リージョ

ナル・メディアの起用について消極的

本社による中央集権的ブランド管理体制を整備⇒

「ローカルの壁」などグループ内での組織・体制上の目に見えない障壁が存在

【欧米企業】【日本企業】