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サーバ仮想化再入門 日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長兼CEO 宮原 徹 [email protected]

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サーバ仮想化再入門

日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長兼CEO

宮原 徹 [email protected]

アジェンダ

•  サーバ仮想化のメリット •  サーバ仮想化技術の分類 •  主要製品の比較 •  サーバ仮想化の運用管理 •  仮想化環境への移行 •  サーバ仮想化の課題

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サーバ仮想化のメリット

今、なぜ仮想化が必要なのか?

いろいろなコスト削減

1.  調達コストの削減 ← 分かりやすい – 従来100円だったものが50円で買える

2.  ランニングコストの削減 ← 感覚的 – 毎月100円かかっていたものが50円で済む

3.  作業効率の向上 ← 仮想化の当面の目標 – これまで1ヶ月かかった作業が1日で終わる

4.  不可能を可能にする ← システム課題解決 – 予算の制約、技術障壁で不可能だったことが可能になる

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現行システムインフラの課題

•  システムコストの肥大化 – システム拡大に伴うランニングコストの増加 – 非標準化によるコストの非効率

•  加速するビジネス要求に追従できない – システム要求サイクルの短縮化

•  システム停止がビジネス損失に直結 – 低コストHA/DRソリューションの不在

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仮想化を活用した次世代インフラ

•  標準化によるコスト削減 – システム環境の標準化 – 管理プロセスの標準化

•  迅速化によるサービスレベルの向上 – オンデマンドのシステム展開 – 余剰リソース活用による高負荷対応システム

•  冗長化によるビジネス継続性の確保 – 無停止運用の実現 – 障害に強いシステム

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サーバー仮想化のコスト削減効果

項目 詳細 仮想化の効果

ハードウェア CPU・メモリ・ストレージ・I/O ◎ ソフトウェア OS・アプリケーション △ 構築 設定作業など ○ 監視 死活監視・性能監視 ○ 運用 メンテナンス・障害対応 ◎ 設置 データセンター・マシンルーム ◎ 電気 ハードウェア・冷房 ◎ ネットワーク LAN・インターネット △

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サーバー仮想化によるコスト削減効果は、項目によって異なります

サーバ仮想化のメリット

1.  ハードウェア削減が可能 – 省電力・省スペース・H/W管理コストの削減

2.  標準化と可搬性の確保 – 運用管理コストの削減 – 迅速なプロビジョニング –  HA・DRにも柔軟に対応

3.  省電力・低発熱 – 電気代削減 –  iDCの冷房設備・ラックの電力供給量の限界 –  CO2排出量抑制の要請

8 DR:災害時復旧

ハードウェア削減が可能

•  複数マシンを1台に集約 – 省スペース(1Uラックマウントやブレード) – 省電力(台数削減による効果) – ランニングコストの削減

•  リソース共有によるリソースの最適化 – 低利用率のCPUを統合 – 大容量メモリを複数システムで分割共有 – 各種I/Oを共有 ←ボトルネックになりやすい

仮想化のメリット①

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サーバ仮想化統合の例

•  既存環境:3GHzのCPUコアを1つ搭載し、平均使用率30%のサーバが10台 –  CPU使用量:3000MHz ×30%×10=9000MHz

•  新規環境:3GHzのCPUコアを4つ搭載したサーバ1台に仮想化統合 –  CPU利用率:9000MHz÷12000MHz=75%

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仮想化

サーバ1台に仮想化統合

仮想化のメリット①

標準化された マシン環境を提供

標準化されたマシン環境の提供

•  標準化された均一のマシン環境を提供 – 変化の早い物理マシン環境を、従来はOSがデバイスドライバ等で違いを吸収していた

– 仮想化により、物理マシンが変わってもOSには影響しない

物理マシン OS アプリ 仮想化

仮想化

仮想化のメリット②

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利用者

インフラ管理者

可搬性の確保

•  仮想マシンは”OS+アプリ”をコンテナ化 •  仮想化で仮想マシン実行環境が標準化

•  仮想マシンを簡単にコピー可能 –  素早いプロビジョニングを実現 –  実験開発環境から本番環境への「V2V」移行

•  仮想マシンをどこでも実行できる –  ライブマイグレーションの実現 –  HA構成も容易に構成可能

仮想化のメリット②

Apps OS

Apps OS

Apps OS

Apps OS

Apps OS

プロビジョニング 12

Host A

移動元 仮想マシン

Host B

共有ストレージ

システム ルートFS

移動先 仮想マシン

メモリ状態をコピー

ライブマイグレーションの仕組み

共有ストレージにはFC SANやiSCSI、 NFSが利用可能

仮想化のメリット②

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ライブマイグレーションの仕組み

1.  メモリをコピー 2.  メモリコピー中にメモリ情報が変更

3.  瞬間的に停止し、変更情報とCPU情報をコピー

4.  仮想マシンの動作を移行

CPU

CPU

CPU CPU

CPU

1.

2.

3.

4.

仮想化のメリット②

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※1Uタイプは仮想化せず、2Uタイプは1CPUあたり2VMと仮定

発熱・消費電力比較表

Single Core Quad Core 比較値

スペース 1 1 100%

CPU 1 2 200%

コア 1 8 800%

システム数※ 1 16 1600%

消費電力(W) 270 630 233%

発熱量(kJ/h) 972 2,268 233%

消費電力/システム 270 39.375 15%

発熱量/システム 972 141.75 15%

電気代(月額/システム) ¥8,100 ¥1,181 ¥-6,919

仮想化のメリット③

15

※電気代は『日経SYSTEMS』2007年6月号 検証ラボを参考

発熱・消費電力比較

•  ラック型1Uサイズ同士で比較 •  クアッドコア×2CPUで8コア → 16VMまで動作可能と仮定 – 負荷が低い処理の場合、さらにVM数を追加可能

•  電力消費は安定化電源のため負荷率に大きく影響されないと仮定

•  発熱量はマシン室の冷却等に影響するが、ここでは考慮に入れていない

•  電気代は1A(1000W)あたり月額3000円と仮定

仮想化のメリット③

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サーバ仮想化技術の分類

適材適所の活用

A)  ホストOS型仮想マシン •  VMware Server、 MS

Virtual Server、 VirtualBoxなど

•  ホストOS上でソフトウェア的に仮想マシンを実行

•  通常のPCと同様にOSのインストールが可能

•  ややオーバーヘッドが大きい

ホストハードウェア

ホストOS

仮想マシン

ゲスト OS

アプリケーション

ネイティブ アプリ ケーション

サーバ仮想化技術の分類

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B)  ハイパーバイザー型仮想マシン •  VMware ESX Server、

Xen、MS Hyper-Vなど •  ホストOSは無し •  ハイパーバイザー上で仮想マシンを実行

•  通常のPCと同様にOSのインストールが可能

–  準仮想化の場合、対応カーネルが必要

•  オーバーヘッドが少ない

ホストハードウェア

ハイパーバイザー

仮想マシン

ゲストOS

アプリケーション

仮想マシン

ゲストOS

アプリケーション

サーバ仮想化技術の分類

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ホストハードウェア

ホストOS

アプリケーション アプリケーション

見かけ上は分離

仮想化レイヤー

C)  仮想環境 •  Solaris Zone /

Containers、Virutuzzo、OpenVZなど

•  ソフトウェアの実行環境を分離 •  OSはホストOSの機能を利用

–  システム上動作しているOSは1つだけ

•  オーバーヘッドが少ない

サーバ仮想化技術の分類

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主要製品の比較

VMware Xen

Hyper-V

VMware

•  VMware ESX Server – 実績が一番多い – Virtual Centerによる管理が(ほぼ)必須 – ライセンス・保守料が高額

•  VMware ESXi – 無償で利用可能 – サービスコンソール無し(ローカル処理不可) – お試し、スタンドアロン利用には耐えるか

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Xen •  現在、最も注目されている

– 本格導入事例(カシオ計算機、パイオニア等) – 低コストソリューション

•  Windowsも稼働 – ゲストOS用ドライバの提供 – ライブマイグレーションのサポート(v3.1以降)

•  いくつかの課題も –  UNIX/Linux系の知識が必要 – ディストリビューションが多く、互換性の欠如 – 定番管理ツールが無い

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Hyper-V

•  Windows Server 2008から正式サポート – 比較的低価格 – OS標準の強み? – System Centerによる統合管理

•  これからの課題 – 技術的評価検証 – 実績作り

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現時点での比較評価

実績 機能 運用管理 技術力 導入コスト ランニングコスト

VMware ◎ ○ ○ ○ △ △

Xen ○ ○ ?*1 ○*3 ◎ ○ Hyper-V △ ○ ?*2 ○ ○ ○

*1 標準ベースの運用管理作り込みの可否 *2 System Centerによる統合管理が未知数 *3 オープンソースによる開発

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サーバ仮想化の運用管理

仮想化で運用管理を改善

運用管理面からのメリット

•  集中運用管理が行える – 監視物理ノード数の減少 – 集中バックアップ

•  迅速なシステム展開が行える – テンプレートを使用したプロビジョニング

•  可用性の高いシステム運用が行える – 計画停止に準ずるライブマイグレーション – H/W障害発生時のフェイルオーバー

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仮想化による運用管理の変化

仮想化して運用管理の方法を •  変える場合

– 運用管理方法の抜本的な見直し – 統合管理ツールの導入

•  変えない場合 –  「OSから上」の運用方法を継続 – 仮想化環境管理ツールの利用

•  VMwareのVirtualCenterなど

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バックアップ手法

•  従来型のバックアップ – バックアップサーバと、仮想マシン内で動作するバックアップエージェント

•  ストレージレベルでのバックアップ – スナップショット機能を活用

•  仮想ディスクのオフライン化 – VMware Consolidated Backupなど – 読み取りモード+差分書き込み

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オンデマンドのシステム展開

•  テンプレートをコピーするだけで新規システムが迅速に作成可能 –  テンプレート=OS+アプリケーション

•  余剰リソースの有効活用 – 仮想化によりインフラが標準化されているので、どこでも実行可能

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Apps OS

Apps OS

Apps OS

Apps OS

プロビジョニング

テンプレート

仮想化標準インフラ

ライブマイグレーションの活用

•  100%成功するわけではないので注意 •  コピー後のメモリ書き換えが頻繁な場合

– メモリコピーの速度との競争 – 今後10G Ethernetが普及すれば解決?

•  負荷テストを行ってから本番で活用 •  計画停止よりマシ、ぐらいで活用

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無停止運用の実現

•  Server Aをハードウェア的に停止してメンテナンスしたい場合

1.  VM1をServer Bにライブマイグレーション(システムは無停止)

2.  Server Aを停止し、メンテナンス

3.  VM1をServer Aに復帰

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VM1 VM2

Server A Server B

ライブ マイグレーション

VM1 VM2

Server A Server B

VM1

Server A Server B

停止メンテナンス

VM2

ライブ マイグレーション

1.

2.

3.

障害に強いシステムの実現

•  Server Aに障害は発生した場合

1.  Server Aに障害発生 2.  VM1をServer Bで再起動(システムは共有ストレージ上に)

3.  Server A復旧後、 VM1をServer Aに復帰

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VM1 VM2

Server A Server B

VM1 VM2

Server A Server B

VM1

Server A Server B

VM2

ライブ マイグレーション

1.

2.

3.

数分程度

サーバ仮想化への移行

仮想化で運用管理を改善

P2V移行

•  既存の物理サーバー(Physical)から仮想サーバー(Virtual)への移行

•  ツールを利用して移行を行うのが主流 •  VMware Converter

– VMware環境への移行ツール – Windowsのみサポート

•  PlateSpin Migrate – 移行元・移行先の選択肢が豊富

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P2Vツールの基本動作

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物理マシン

OS

アプリケーション

P2Vツール

物理マシン

ハイパーバイザー

ゲストOS

アプリ

VM

①システムの吸い上げ ②仮想マシンに流し込み

物理サーバー

仮想化環境

P2V移行の例 1.  移行ツールのインストール

– ツールをインストールしたくない場合には、移行ツール起動用CDから起動

2.  移行作業の設定 3.  移行作業の開始

– 必要に応じてサービスの停止 – ネットワーク経由でシステムを転送

4.  仮想マシンへの切り替え – 仮想マシン用ドライバのインストール – 動作テストの実施

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移行時のポイント

•  IPアドレス等の変更が不要であれば移行は非常に簡単 – ツールを使えば、ほぼ全自動

•  移行作業中はサービス停止が基本 – 移行作業の最終段階まで止めないことも可能

•  移行元がハードウェア依存している場合には注意が必要 – 特定サービスの停止などで対応可能

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サーバ仮想化の課題

ライセンスなどで注意すべき点

互換性の問題

•  仮想化環境上でのWindowsの互換性認定 –  「Windows Server Virtualization Validation

Program」(SVVP) – 認定合格するとWindows Server 2008、 Windows

Server 2003 SP2、 Windows 2000 Server SP4以降について互換性を認定

•  主要製品が互換性認定を取得 –  SUSE Linux Enterprise Server 10 SP2 –  VMware ESX 3.5 Update 2/3 –  Citrix XenServer 5/5 Embedded Edition

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ISVアプリケーション製品の互換性

•  SVVPを建前とすれば、互換性の問題はOSのバージョンのみ

•  互換性保証のための壁 – Virtualizaton ≠ Simulation

• 仮想化はIAアーキテクチャのすべてを実現しているわけではない

– サポート環境として複数仮想化環境を用意することの限界

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ライセンスの問題

•  Hyper-Vのライセンス形態 –  Editionによる違い

•  Standard 1VM / Enterprise 4VM / Datacenter 無制限 –  Windows CALの問題

•  Windows Server 2008のCALに揃える必要がある

•  バンドル版ライセンスの問題 – バンドル版Windowsは別マシンにライセンス移行できない

•  ライセンスカウント方法の問題 – 物理CPUと仮想CPU

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Hyper-Vのライセンス •  Editionにより仮想インスタンス数が異なる

–  Standard:物理1+仮想1 –  Enterprise:物理1+仮想4 –  Datacenter:物理1+仮想無制限

•  ゲストOSのCALはすべてWindows Server 2008 CALが必要 – 例)ゲストOSがWindows Server 2003でも、CALは

Windows Server 2008のものが必要 •  既存環境移行の場合、バンドル版(OEM版)ライセンスは移行させられないので注意

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Oracleのライセンス •  Processorライセンスは物理CPU数が原則

–  マルチコアCPUの場合、係数による軽減あり –  Intel/AMDマルチコアの場合は係数0.5なので、デュアルコアは勘定は合うがクァッドコアは損

•  仮想化技術をSoft PartitionとHard Partitionに分類 – 米国のみの解釈と思われる –  http://www.oracle.com/corporate/pricing/partitioning.pdf –  Softは動的にCPUリソースを配分 –  Hardは静的にCPUリソースを割当 –  HardはProcessorライセンスを仮想CPUでカウント可能(IA系技術ではOracle VMのみ適用化?)

44 ※2008年9月28日現在の調査による