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計測フロンティア研究部門
1
ロボットの安全とロボット介護機器開発
ロボットイノベーション研究センター
ディペンダブルシステム研究チーム長
中坊 嘉宏
計測フロンティア研究部門
2
少子高齢化とイノベーション
• 今後予想される人口減少のマイナス要因を,生産性の向上でカバーできるかが鍵。
労働力減少はここ20年
人口減少はここ数年から
高齢者人口増は一段落
計測フロンティア研究部門
3
サービスロボットとは?
業務系: 清掃,介護,点検,案内コンシューマ: 掃除機,ホビー,玩具,見守り主にサービス産業=人と接する
安全が中心的な課題
計測フロンティア研究部門
4
安全の責任分担の考え方
企業や国が,安全の全責任を負えるか?
販売製造物責任
信頼(適合マーク)
規格適合性認証
責任分担構造
生産者ロボットメーカー
一般消費者
認証機関(第三者機関)
安全規格(ISO/IEC →JIS)
EUなどは特に積極的に推進,TBT協定
生産者ロボットメーカー
一般消費者
企業ブランドに頼る方法
信頼(ブランド)
販売責任
安全への要求の増大
計測フロンティア研究部門
5
NEDO生活支援ロボット実用化プロジェクト
(1)生活支援ロボットの対人安全性基準、試験方法及び認証手法の確立(2)安全技術を搭載した生活支援ロボットの開発(3)安全性基準の国際標準化提案、試験機関、認証機関の整備
<目的> 期間 :H21年~H25年(5年間)
<プロジェクト体制>
リスクアセスメント
生活支援ロボットの安全性検証手法の研究開発
安全技術を導入した生活支援ロボットの開発
●対人安全性基準の確立●安全性基準に関する
適合性評価手法の研究開発
●ロボットの安全技術の開発●ロボットの安全性検証安全性試験
適合性評価
ISO13482 (非医療用パーソナルケアに関する安全要求事項)の制定
(TC184/SC2/WG7)
国際標準化
※本プロジェクト成果を国内審議団体を通じて提案
移動作業型ロボット
認証スキーム(案)
第三者認証機関(ISO/IEC Guide 65適合)
ロボット製造者その他の試験機関※機種の特殊な試験項目を試験
第三者試験機関(安全検証センター)
※共通な試験項目を試験
密接な連携
装着型ロボット 搭乗型ロボット
計測フロンティア研究部門
6
安全検証センターの内部エリア概要(1)走行試験関連エリア(2)対人試験関連エリア(3)強度試験関連エリア(4)EMC試験関連エリア
①多目的走行性試験路②傾斜走行性試験路③環境認識性能試験装置④ロボット走行状態模擬装置⑤3次元動作解析装置⑥障害物接近再現装置⑦衝突安全性試験機⑧静的安定性試験装置⑨ダミー校正装置⑩複合環境振動試験機⑪衝撃耐久性試験機⑫耐荷重試験機⑬装着型生活支援ロボット耐久試験機⑭ベルト型走行耐久性能試験機⑮ドラム型走行耐久性能試験機⑯重心移動制御装置⑰装着型生活支援ロボット強度試験機⑱電波暗室
計測フロンティア研究部門
7
生活支援ロボット安全検証センター
標準化提案機関(事務局:日本ロボット工業会)
ロボット製造者
安全性認証機関
試験依頼 認証依頼
品質管理体制及び製品の審査,
認証書の発行
試験データ提供
生活支援ロボット安全検証センター
試験結果
●つくば市に2010年末に完成
●生活支援ロボット用の安全性試験拠点は世界初
●日本主導の国際標準化に向けた拠点として安全研究の実施
標準化団体(ISO)
提案
(一財)日本自動車研究所
(一財)日本品質保証機構
データ提供
技術・制度・法規制等の相談
データ提供依頼
計測フロンティア研究部門
8 国立研究開発法人
ロボット介護機器開発・基準策定/標準化
ロボット介護機器開発における重点分野策定と、基準策定/標準化、および開発補助
ロボット介護機器の開発重点分野
・ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器
・ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器
・高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器
・排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置調節可能なトイレ
・介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
・高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器
・在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
・ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
・高齢者等の外出をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器
・ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器
・ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器
・高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器
・ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器
移乗支援 移動支援 見守り・コミュニケーション
排泄支援 入浴支援
○非装着 ○屋内 ○在宅
○動作支援 ○コミュニケーション
○装着 ○排泄物処理○屋外 ○施設
介護業務支援
○排泄予測
○装着
※赤文字が改訂(追加)分野
厚労省、経産省
開発補助事業メーカー各社
(過去50社以上)
基準策定/
標準化事業• 産総研、JARI、
安衛研、名大、JQA、JASPA、JARA
ロボット介護機器開発・基準策定評価/標準化事業
経産省/AMED
計測フロンティア研究部門
9 国立研究開発法人
排泄支援 見守り支援
移乗支援
移動支援
経済産業省ロボット介護機器開発・導入促進事業およびAMEDロボット介護機器開発・標準化事業
◼ 目的高齢者の自立支援, 介護者の負担軽減に資するロボット介護機器の開発・導入を促進すること.
次の2事業を実施.
◼ 開発補助事業介護現場のニーズを踏まえてロボット技術の利用が有望な分野を重点分野として特定し,開発企業に対し補助を行う.
◼ 基準策定・評価事業機器の開発に必要となる安全性と効果のアセスメント手法・検証方法、倫理審査等の「実証プロトコル」を確立する.
計測フロンティア研究部門
10 国立研究開発法人
ロボット介護機器開発、実用化ロードマップ2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2025
ロボットイノベーション研究センター
研究開発プロジェクト 経産省/AMED ロボット介護機器開発・導入促進事業 AEMD 同・標準化事業
ロボット介護機器開発
見守り(施設/在宅)改良/実証
コミュニケーション
屋外移動/屋内移動 装着型移動
移乗支援 排泄動作支援
排泄/入浴支援 排泄予測
開発プロトコル開発 開発ガイドブック/開発支援ツール 新重点分野対応
標準化 ISO 13482発行 ISO TC173提案準備 ISO TC173規格化
利用データ分析
ロボット介護機器普及 15機種製品化/上市 新分野製品化
介護保険改革 屋外移動給付 見守りインセンティブ化
社会問題人手不足 31万人不足
介護保険 9兆円 20兆円
計測フロンティア研究部門
11
ロボット介護機器開発V字モデル
開発コンセプトシート
力学モデルに基づく仕様設計
リスクアセスメント
安全試験
実証試験
開発導入指針
標準規格の策定 性能基準
ロボット介護機器を含む生活支援ロボットを開発するための有効性と安全性の基準、設計支援ツール、開発ガイドライン・安全ハンドブック等の文書を体系的に開発したのは世界初
成果文書は全て無償公開ツール類は無償提供か製品化
計測フロンティア研究部門
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効果性能基準の開発(例)
アシスト有
アシスト無腰計
測ト
ルク
[Nm
]
時刻 [s]
サポ
ート
トル
ク[N
m]
差分を抽出
腰を極力脱力する制御
アシスト開始
↑で記録した関節角軌道アシスト無しで再現
サポートトルクの動的評価
腰は脱力して機器に体をあずける+
使用時の人の姿勢をなるべく再現
• 介護者動作模擬装置による能動的装着支援機器の評価
• 動的動作時のサポートトルクの抽出
• 身体的な接触がある場合の身体負担や快適性、客観的かつ定量的なセンシング機能等の性能評価を行う手法・装置の開発
人型ロボットによる評価は唯一
計測フロンティア研究部門
13
ロボット介護機器設計支援ツール(例)
• 静的ロボット介護機器設計支援機能の実装指標とした、機器の動作軌道や幾何パラメータの評価
• 開発事業者3社(富士機械製造、安川電機、RT.Works)への情報提供
• 介護機器模擬装置を用いた動作・接触力計測実験による検証と、計測結果に基づく接触力分布の推定精度向上
負担
評価
値
生成された立ち上がり軌道 負担推定結果 介護機器模擬装置
• Dhibaをベースとした、人体・機器シミュレーション機能、およびロボット介護機器設計支援機能の実装
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安全評価試験装置(例)
速度抑制試験装置プロトタイプ
高齢者人体ダミー創傷リスク評価試験装置
静的安定性試験装置 停止性能試験装置
装着力喪失試験装置
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移乗支援
排泄支援
見守りセンサ
歩行支援
プロジェクト実施期間中に50億-100億円の事業を創出
ロボット介護機器製品化(例)
計測フロンティア研究部門
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生活支援ロボット安全規格 ISO13482認証取得製品
Honda歩行アシスト(Honda、2015/7/21)
ロボットアシストウォーカー(RTワークス、2015/7/14)
作業支援用HAL(サイバーダイン、2014/9/30)
リショーネ(パナソニック、2014/4/1)
SASUKE
(マッスル、2016//12/14)
これまで7機種が安全認証を取得
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開発中の介護機器、安全基準試験・基準を作ることで、安全で効果の高い機器の普及を促進
名大
安衛研
JARI
産総研
装着型歩行支援歩行運動レベル
歩行動作レベル
機器レベル
コミュロボ 排泄動作支援 介護業務支援
標準化原案作成
事業ゴール
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AIの安全についての関心の高まり
• 「人工知能の倫理」枠組みの中での「安全」
– IEEE Ethically Aligned Design ver.2
– アシロマAI原則
– 人工知能学会倫理指針
• 「人工知能と安全」の観点
– Dario Amodei, et.al, (2016)
• 定量性の議論の重要性
– システムとしての信頼性
– リスクとベネフィットのバランス
計測フロンティア研究部門
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人工知能安全の三方針• 既存の機械安全のアプローチに整合させる
• 安全システムへの人工知能の適用を、以下の3方針に分類
• 評価用システムを開発している
人
人
AI
人
安全関連系
安全関連系
AI
安全関連系
安全関連系 非安全関連系
非安全関連系
非安全関連系
非安全関連系
AI
従来システム(AI利用なし)
第1方針
第2方針
第3方針
計測フロンティア研究部門
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事例開発:高信頼試作車両 DRC-3
• 安全関連系が、衝突や暴走を抑止する。
• ナビゲーションAIに危険な走行を指示されても、安全は確保される。
Safety Controller
RH850/P1M
SCiB BatteryMotor Driver
Laser SensorUAM-05LPLaser Sensor
UAM-05LPLaser SensorUAM-05LP
Control Panel(Emergency SW)
Safety RelayPower
CAN
USB
EncoderEncoder
MotorMotor
BrakeBrake
Motor Driver
Ethernet
LockStep
AI basedNavigation
「AIによる安全」、開発検証のテストベッドに。
計測フロンティア研究部門
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機能安全システムの信頼度問題
• 機能安全システムのクラス分け課題を考える
入力(画像、センサ情報)
判定器(AI?)
判定結果
危険!
安全!
危険側失敗はどの程度許容されるか!?
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IEC/TS 62998-1 安全関連センサに示された安全センサアーキテクチャSRSS: Safety Related Sensor System
SRS 1
処理ユニット
物体
環境
SRSS
安全制御システム/機械
影響
物理特性
安全関連情報
オートメーション関連情報
(オプション)SRS 2
安全関連情報
オートメーション関連情報
(オプション)
安全関連情報
オートメーション関連情報
(オプション)
出力ユニット
フュージョン
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計測フロンティア研究部門
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ビジョン・3Dセンサ評価
人工太陽灯と降雨試験装置
常温降雪シミュレーション装置
応用事例:シャープ警備ロボット
計測フロンティア研究部門
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まとめ
• 人との共存 → 安全が鍵
• 安全規格と認証に基づく責任分担
• NEDO生活支援ロボット実用化プロジェクト
→ ISO13482、安全検証センター
• ロボット介護機器開発・導入促進/標準化事業
• 成果:http://robotcare.jp
• AI安全
• AIを安全センサに組み込み評価を進める