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FlashStack IoT ソリューション 動的階層化付きの仮想化された SAP HANA® を ピュア・ストレージ上に展開するための IoT 設計ガイド
SAP Co-Innovation Lab
FlashStack IoT ソリューション © 2017 Pure Storage, Inc. | 2
© 2017 Pure Storage, Inc. All rights reserved.
本書の一部は、SAP SEまたは SAP関連企業に属しており、許可なく複製することは禁じられています。スクリーンショットは SAP SEの許可を受けて使用しています。
Pure Storage、「P」ロゴ、Evergreen、FlashStackおよび Pure1は、米国およびその他の国々における Pure Storageの登録商標です。SAPおよび SAP Hanaは、米国およびその他の国々における SAPの登録商標です。Ciscoは、Cisco Systemsの登録商標です。本書に記載されているピュア・ストレージ製品は、ライセンス契約に基づいて流通されており、契約条件に従う使用のみが許可されます。ライセンス契約は、使用、複製、流通、逆コンパイルおよびリバースエンジニアリングを制限します。Pure Storage, Inc.またはそのライセンサによる事前の文書による許可なく、本書の一切の部分について複製を行うことは、その手段や方法を問わずに禁じられます。
本書は「現状のまま」提供されており、すべの明示的または黙示的条件、告知および保証(商品性、特定目的適合性または非侵害についてのあらゆる黙示的な保証を含む)の責任は否定されます。ただし、責任の否定が法的に無効であるとみなされる場合を除きます。本書の提供、内容または使用による付随的または結果的損害について、ピュア・ストレージは責任を負わないものとします。本書に含まれる情報は、予告なしに変更されることがあります。
ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町 26-1 セルリアンタワー15階 http://www.purestorage.com/jp/
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目次 本書の概要 ...................................................................................................4
本書の目的 ...................................................................................................4
本書の対象読者 ..............................................................................................5
設計の基本原則 ..............................................................................................5
FlashStackの概要 ..........................................................................................6
SAP HANAと動的階層化―リアルタイム分析プラットフォーム .................................7
FlashStackにおける SAP HANAと動的階層化の展開 .............................................9 Cisco UCSサーバーの構成 ............................................................................................................................... 11 Cisco UCSサービスプロファイルの構成 ......................................................................................................... 11 Fabric Interconnectの構成(Cisco UCS 6120XP) ......................................................................................... 12 SAP HANAと動的階層化 .................................................................................................................................. 12 動的階層化付き SAP HANAの構成および最適化 ............................................................................................. 15
動的階層化付き SAP HANAの提供価値 ............................................................. 16 データ削減 ......................................................................................................................................................... 16 ウォームデータ処理の高速化 ............................................................................................................................ 17 コストとパフォーマンスの分析 ........................................................................................................................ 18
SAP HANAのための FlashArray//Mサイジング .................................................. 26 処理能力のサイジング ....................................................................................................................................... 26 容量のサイジング .............................................................................................................................................. 27 FlashArray//Mのデータ削減 .............................................................................................................................. 29 動的階層化における容量のサイジング ............................................................................................................. 29
結論 .......................................................................................................... 30
付録 1:FlashStackのピュア・ストレージ提供コンポーネント ............................... 31 FlashArray//M .................................................................................................................................................... 31 Purityオペレーティング環境 ............................................................................................................................. 34 Pure1 ............................................................................................................................................................... 34 Evergreen™ Storage ......................................................................................................................................... 35
付録 2:FlashStackの Cisco提供コンポーネント ................................................ 36
参考資料 .................................................................................................... 37
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本書の概要
ピュア・ストレージ FlashStack™(以降 FlashStack)は、ピュア・ストレージが提供する、フレキシブルで高速なオールフラッシュのコンバージドインフラストラクチャ(CI)ソリューションです。最先端のコンピューティング、ネットワーク、ストレージハードウェア、仮想化ソフトウェアの技術を単一の統合アーキテクチャに取り込み、展開に要する時間、総 ITコスト、展開リスクを低減します。また、高効率のコンポーネントにより、電力消費、冷却、データセンターのスペースに関わるコストを低減します。100%フラッシュメモリのストレージをベースとした CIの優れたパフォーマンスと信頼性が、ビジネスクリティカルなアプリケーションを支えます。
IoT(Internet of Things: モノのインターネット)は、相互に関係するコンピューティング機器、機械的およびデジタル機器、モノ、そして人から構成されるシステムです。構成要素にはそれぞれ識別子が与えられ、「人と人」、「人とコンピュータ」の対話による介在なしで、ネットワーク上でのデータのやり取りが行われます。
SAP® HANA®(以降 SAP HANA)は、オンプレミスとクラウドのいずれにも展開可能なインメモリデータプラットフォームです。リアルタイム分析や、IoTのようなリアルタイムアプリケーションの開発や展開に最適な、革新的プラットフォームです。動的階層化は SAP HANAデータベースのアドオンオプションであり、フラッシュでサポートされるカラム型ストアにより SAP HANAメモリストアを強化します。SAP HANAの動的階層化の目的は、SAP HANAメモリから、アクセス頻度の少ないデータ(ウォームデータ)の領域および処理をオフロードすることです。ピュア・ストレージのオールフラッシュエンタープライズストレージ上にこのソリューションを構築することにより、ウォームデータに対しても大幅なパフォーマンス向上が達成されるだけでなく、IoTアプリケーションのようなビッグデータアプリケーションの総 TCOを削減します。これにより、SAP HANAが大規模データを保持する際に直面しがちな重大な課題が解決されます。
本書では、コストとパフォーマンスの観点から、従来のデータベースモデルと比較して、FlashStack上に構築された SAP HANAおよび動的階層化がどのような利点をもたらすかを分析します。また、Oracle®(以降 Oracle)を使用した場合の計測結果(SAP社提供の計測結果を)を使用して、FlashStackソリューション上の動的階層化によるパフォーマンスの向上および総所有コスト(TCO)の削減について解説します。
本書の目的
企業が直面する大きな二つの典型的な課題は、ビジネスクエリのリアルタイムレポーティングのパフォーマンスを維持することと同時に、SAP HANAの展開(特に、IoTのようなビッグデータを扱う場合)の TCOを削減することです。
本書の目的は、優れた可用性を提供するピュア・ストレージのインフラストラクチャによって、このような課題を解決することです。IoTソリューションをピュア・ストレージのインフラストラクチャ上に構築する場合の利点として下記の項目が挙げられます。
• 時間・工数の削減:展開に要する時間、および日々の保守時間を最大で 50%削減。
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• SAP HANAの TCO削減:動的階層化モデルにより、SAP HANA領域のスケールアウトまたはスケールアップの必要がなくなります。データ規模の増大に伴い、ライセンスやハードウェアを含む SAP HANAの維持コストは大幅に増大します。しかし、FlashStackおよび動的階層化により、パフォーマンスの妥協なく、わずかなコスト増で拡張が可能となります。
• 安定した高パフォーマンス:ピュア・ストレージ上に展開した SAP HANA、および動的階層化のリアルタイムレポーティングが、ビジネスクエリを高速にします。1ミリ秒未満の安定した低遅延により、クエリの結果が、SAP HANAからではなく、動的階層化領域から返される場合でもパフォーマンスを向上させます。
本書では、vSphere 5.5による完全仮想化環境における、SAP HANA SPS11と動的階層化付き SAP HANAを使用した IoTソリューションのためのピュア・ストレージのリファレンスアーキテクチャについて解説します。ピュア・ストレージは、本リファレンスアーキテクチャを、研究施設「SAP Co-Innovation Lab(COIL)」において検証しています。また、SAP HANAベーシスの管理者、ストレージ管理者、特に、SAP HANA、および動的階層化付き SAP HANAのモデル設計者にとって有益なベストプラクティスについても説明しています。
本書の対象読者
本書は、IoTシステムのような SAP HANAビッグデータシナリオの実装を行うストレージアーキテクト、データセンターアーキテクト、SAP HANAベーシス管理者、SAP HANA、および動的階層化付き SAP HANAのユーザーを対象としています。サーバー、ストレージ、ネットワーク、データセンター設計に関する実務知識があることが推奨されますが、必須ではありません。
設計の基本原則
本リファレンスアーキテクチャの実装は、下記の基本原則に基づいています。
• 再現性:あらゆるサイトにおいて容易に複製可能な、拡張性の高い基盤を構築します。検証中のさまざまなファームウェアのバージョンを公表し、ユーザーがソリューションを展開する前に問題を解決します。
• 可用性:耐障害性があり、コンポーネントの不具合が生じにくい設計を目指します。その一環として、ストレージへの複数パス、接続性のための複数の NIC、および高可用性(HA)クラスタリングを実現するベストプラクティスを提供します。
• 効率性:オールフラッシュアーキテクチャの効率性を生かすソリューションを構築します。
• 簡潔性:自動化により、展開作業および継続的な保守作業を簡潔化します。
• 拡張性:企業の成長に伴うニーズの変化に合わせて、容易に拡張できる設計を目指します。
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FlashStackの概要
FlashStackTMソリューションは、優れた拡張性をもつ、オールフラッシュのコンバージドインフラストラクチャソリューションです。フラッシュがもたらす革新技術を SAPシステムに提供します。Cisco®(以降Cisco)のクラス最高のコンピューティングおよびネットワーク機器と、ピュア・ストレージのオールフラッシュストレージを統合アーキテクチャに組み入れ、迅速な展開と、コストおよび展開リスクの低減を実現します。オールフラッシュストレージを基盤とする FlashStackの優れたパフォーマンスと信頼性が、お客様のビジネスを支えます。
FlashStack CIは、認定を受けた FlashStackパートナーが上質な所有体験とともに提供します。FlashStackパートナーは、システム全体のサイジング、調達、配送を効率的に行うための十分な知識を持っています。
FlashStackソリューションには、下記のような主要な利点があります。
• 安定したパフォーマンスと拡張性
- オールフラッシュストレージによる安定した1ミリ秒未満の遅延。 - 数百ものエンタープライズクラスアプリケーションを 1基のラックに統合。 - 無停止での容易な拡張。 - 複数の FlashStack CI展開による継続可能な成長。
• 容易な運用
- 十分な事前検証とドキュメント化により迅速な展開が可能。 - 管理の複雑さを低減。 - 512バイト自動アライメントアーキテクチャにより、ストレージアライメントの煩雑さを排除。
- ストレージのチューニングや階層化は不要。
• TCOを最小化
- 完全オールフラッシュにより、電力消費、冷却コスト、および設置スペースを大幅に節約。
- 業界屈指のデータ削減技術。 - ピュア・ストレージ EvergreenTM Storageモデルでは、3年更新の保守契約でコントローラもアップグレード。
• エンタープライズクラスの耐障害性
- 高可用性アーキテクチャと、冗長化コンポーネント。 - 無停止運用。 - アップグレード時、拡張時も無停止、パフォーマンスの低下なし。 - ネイティブのデータ保護機能(スナップショット、レプリケーション)。 - FlashStackのコンポーネントについての詳細は、「付録 1:FlashStackのピュア・ストレージ提供コンポーネント」、「付録 2:FlashStackの Cisco提供コンポーネント」に記載されています。
図 1:ピュア・ストレージFlashStack
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SAP HANAと動的階層化―リアルタイム分析プラットフォーム
SAP HANAは、行ベースと列ベースのデータベース技術を融合させた、オンプレミスとクラウドのいずれにも展開可能なインメモリデータプラットフォームです。リアルタイム分析や、リアルタイムアプリケーションの開発および展開に適しています。ハードウェアとソフトウェアで構成されており、インメモリコンピューティングを活用することで、大規模なリアルタイムデータ処理を行うよう設計されています。インメモリデータベースとは、全てのデータがメモリまたは RAMに保存されていることを意味します。データはメインメモリ(RAM)に存在しますが、大規模なエンタープライズストレージシステムでは、最大効率を実現するパーシステントやデルタマージ機能が利用可能です。マルチコア CPU、マルチ CPUソケット、およびマルチ CPUボードの使用により、RAMストレージがもたらす高速性をさらに高めることができます。複雑な計算はアプリケーション層では実行されず、データベース層に移動して実行されます。
SAP HANAは、同一システム内でリレーショナル、グラフィカル、およびテキストデータをサポートするマルチエンジンクエリ処理環境を搭載しています。優れた処理速度、大規模データサイズの処理が可能なこと、およびテキストマイニング機能が特徴です。
図 2:SAP HANAプラットフォーム
動的階層化は、SAP HANAデータベースのアドオンオプションとして提供されている、ネイティブなビッグデータソリューションです。動的階層化により、ウォームデータを拡張ストレージに移動することができるため、インメモリデータベースのサイズ削減とパフォーマンス向上が可能となります。
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図 3:SAP HANA動的階層化テーブル
動的階層化により、esserverサービスが SAP HANAシステムに追加されます。このサービスは、拡張ストアおよび拡張テーブルを作成します。拡張テーブルは他の SAP HANAテーブルのように動作しますが、データはストレージに保存されます。このケースでは、オールフラッシュベースの FlashStackに保存されます。これにより、頻繁にはアクセスされないデータの処理とストレージ領域を SAP HANAコアメモリからオフロードします。SAP Data Warehousing Foundationツールの一部として提供される SAP Data Lifecycle Manager(DLM)は、動的階層化の対象となるデータを決定するデータエイジングルールを定義するための GUIベースのアプリケーションです。SAP HANAと動的階層化ストア間での大規模データ移動の実行や、自動実行用のスケジュールを組むための手順を作成します。
図 4:SAP HANA動的階層化によるデータの移動
ピュア・ストレージのオールフラッシュエンタープライズストレージ上に構築された SAP HANA動的階層化ソリューションは、ウォームデータのパフォーマンスを強化するだけでなく、IoTのようなビッグデータアプリケーションの総 TCOを削減します。ビッグデータアプリケーション環境では、SAP HANAに全データを保存することは大幅なコスト増の要因となります。TCO削減のためには、動的階層化モデルを使用してデータ管理を行う必要があります。ストレージロケーションは異なりますが、拡張テーブルが他の SAP HANAテーブルと同様に動作するため、動的階層化の対象となったデータについてもデータレポーティングが可能です。SAP HANAおよび動的階層化の長期間レポーティングには、SAP Lumiraを使用します。SAP Lumiraは、アナリストや意思決定者のためにデータアクセス、データ変換、および仮想化を提供するセルフサービス方式のソリューションです。SAP Lumira Desktopにより、複数ソースからのデータをまとめて可視化し、可視化されたデータをもとにストーリーを組み立てることができます。SAP Lumiraサーバーとクラウドプ
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ラットフォームは、ブラウザとモバイルのいずれからもアクセス可能で、データのさらなる分析や、データセット、ストーリーを始めとするビジネスインテリジェンス情報の共有がしやすくなっています。
図 5:SAPデータレポーティング
FlashStackにおける SAP HANAと動的階層化の展開
FlashStackは、一連のハードウェア(ストレージ、ネットワークおよびコンピューティング)およびソフトウェア(Cisco UCS Manager®、SAP HANA SPS11および動的階層化付き SAP HANA、SAP Design Studio、 SAP Smart Data Streaming、SAP Lumiraサーバー、および、ピュア・ストレージ GUI)により構成されています。
• ネットワーク: IP、およびファイバーチャネルネットワークの外部・内部接続用 Cisco UCS Fabric® Interconnect 6120XP
• ストレージ:ファイバーチャネル接続搭載、ピュア・ストレージの FlashArray//M20
• コンピューティング:Cisco UCS B250 M2サーバー
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図 6:FlashStack接続構成
図 6は、リファレンスアーキテクチャ構成のトポロジを示しています。冗長性と耐障害性に優れたインフラストラクチャを構築することが、リファレンスアーキテクチャの主要目的のひとつとなっています。FlashArray//Mの冗長 FCターゲットポートに接続された 2つの Fabric Interconnectスイッチに冗長的に接続する二重ファイバーチャネルを搭載した強力なサーバーを使用しています。また、サーバーにも冗長ネットワーク接続機能が搭載されており、スイッチモードで構成されています。SAP HANAおよび動的階層化は、 vSphere 5.5により完全に仮想化されています。
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Cisco UCSサーバーの構成
2基の Cisco UCS Fabric Interconnect 6120XPおよび 1基の Cisco UCS Bシリーズ B250-M2ブレードサーバーが、SAP HANA SPS11、動的階層化付き SAP HANA、SAP Design Studio、SAP Smart Data Streamingおよび SAP Lumiraサーバーをホスティングするために配置されています。シャーシ内の UCSマネージャー、UCS Fabric Interconnect、およびコンポーネントは、2.2.3fファームウェアレベルにアップグレードされました。
サーバーは Cisco UCS M81KR/M71KR-Qカードを搭載しており、ピュア・ストレージ FlashArray//M LUNにアクセスするために、Cisco UCSシャーシの各 Cisco Fabricエクステンダの 4つのポートを通じて Cisco Fabric Interconnectに接続されています。表 1でサーバーの構成を説明します。
表 1:Cisco UCSサーバーの構成
コンポーネント 説明
プロセッサ 2 × Intel(R) Xeon(R) 5680 @ 3.333GHz、12コア
メモリ 256 GB @ 1333 MHz、通常電圧
HBA Cisco UCS M81KR/M71KR-Q上に 4 × 16Gポート
NIC Cisco UCS M81KR/M71KR-Q上に 2 × 10Gポート
アプリケーション 動的階層化付き SAP HANA、SAP Design Studio、SAP Smart Data Streaming、SAP Lumiraサーバー
データベース/プラットフォーム SAP HANA SPS11
仮想化 vSphere 5.5
Cisco UCSサービスプロファイルの構成
UCSサーバーの迅速な展開をサポートするために、下記の特徴を持つサービスプロファイルテンプレートを作成しました。
• SANポリシーからのブート構成(サーバーをピュア・ストレージのブート LUNからブートアップ可能にするため)
• VMware vSphereに設定されたイーサネットおよび FCアダプタポリシー
• BIOSのデフォルトに設定された B250-M2ブレードサーバー
• 単一障害点を防ぐために、Cisco VICカード上に構成された 2つの vHBA FCアダプタおよび 4つの vNIC イーサネットアダプタ
• ブレードサーバーを組み込んだテンプレートからのサービスプロファイル展開
• その他はすべてデフォルト設定
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Fabric Interconnectの構成(Cisco UCS 6120XP)
Cisco UCS 6120XP 20-Port Fabric Interconnectは、Cisco Unified Computing Systemの核です。 Fabric Interconnectは基本的に冗長ペアとして展開され、ネットワークおよびストレージの両方への一様なアクセスを提供します。ここではスイッチモード用の構成を行います。
図 7:Cisco UCS 6120XP
SAP HANAと動的階層化
本テストシナリオ用にシミュレートされた構成は下記のとおりです。
• vSphere 5.5を使用して完全に仮想化された単一ノード環境。
• SUSE 11 SP3 OS上に動的階層化付き SAP HANA、SAP Design Studio、SAP Smart Data Streaming、SAP Lumiraサーバーを設定した 1基の Cisco UCS B250 M2ブレードとFlashArray//M20。
• SAN Fabricに接続されたアレイからの 4つの 16 Gbファイバーチャネルポート。各ノードには、2つのストレージ用ファイバーチャネルポート、および、4つのネットワーク用 10 Gb/sポートが搭載されています。
次の表は、SAPソフトウェアマトリクスの概要説明です。
表 2:SAP HANAシステムに使用されるソフトウェアの構成
Sl.No. コンポーネント ソフトウェア
1. データベース/プラットフォーム SAP HANA SPS11、動的階層化、 スマートデータストリーミング
2. OS SUSE Linux Enterprise 11 Service Pack 3
3. レポーティングアプリケーション SAP Design Studio 16.2.1、SAP Lumiraサーバー1.30
4. ファイルシステム XFS
すべてのサーバーは、OS関連パーティション専用のドライブを使用して SANからブートします。その他すべての LUNは、ノード間で共有されます。/hana/shared パーティションは、SAPバイナリを保存するために使用され、SAP HANA、動的階層化、およびスマートデータストリーミング間で同時並行的にマウント・共有されます。
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本設計ガイドの目的として、IoTに焦点を置き、下記に示すように、Raspberry Piに取り付けられたセンサー、および、センサーデータシミュレータからリアルタイム高速データを受け取ります。高速データは、まず、SAP HANAのスマートデータストリーミングサービスに送られ、そして、ODBCコネクタを介して SAP HANAに送られます。その後、データは SAP HANAから動的階層化ストアに移動します。
図 8:SAP HANAおよび動的階層化の構成
スマートデータストリーミングウィンドウをデータソースとして、リアルタイムの高速データレポーティングに SAP Design Studioを使用しました。SAP BusinessObjects™ Design Studioは、BEx Webおよび BEx Web Application Designerの代替手段です。SAP BusinessObjects Design Studioは、ガイド付き分析から、OLAPアプリケーション、集約ダッシュボードまで、一元管理可能な分析コンテンツの直感的な設計を可能にします。機能の中には設定の不要な iPadサポート、最新の HTML5 UI、シームレスなアプリケーションのテーマ設定、WYSIWYG Eclipseベースデザイナー、BW BExクエリのフルおよびネイティブサポート、HANAへの直接接続、および、最新のスクリプティングエンジンが含まれます。
図 9:ピュア・ストレージ上に展開した HANAの論理アーキテクチャ
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動的階層化付き SAP HANA(DT)サーバーは、自身のサーバーにインストールする必要があります。これは拡張ストレージホストと呼ばれています。/hana/shared フォルダに保存されるバイナリを NFSのように共有するために、SAP HANAホスト、および拡張ストレージ(動的階層化)が必要となります。動的階層化では、データやログのバックアップ用に、SAP HANAと同一のディレクトリを使用します。したがって、バックアップディレクトリへのベースパスを共有する必要があります。
図 10:SAP HANAおよび動的階層化ファイルシステム
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動的階層化付き SAP HANAの構成および最適化
本セクションでは、動的階層化の構成および最適化を説明します。設定は、esserver.iniという名前の構成ファイルに定義されています。次の表は代表的なパラメタを説明しています。
表 3:動的階層化付き SAP HANAの構成および最適化
Sl. No.
パラメタ名 説明 推奨設定
1. catalog_cache
動的階層化カタログのキャッシュ用に最初に 予約されるメモリ容量
カタログキャッシュは、カタログファイルの 2~8倍のサイズにする必要があります。カタログファイルは、拡張テーブル用のメタデータを含んでいます。ファイル名は 「<HANA_System_ID>ESDB.db」で、 「/hana/data_es/<HANA_System_ID>」のサブディレクトリに存在します。
2. delta_memory_mb
デルタ拡張テーブルを 保存するために 利用可能なメモリ容量
ディスクのメインストアデータとのマージ前に、ロードおよび変更されるメモリ内のデータを維持するのに十分なだけのキャッシュサイズを設定します。大きさは、ディスクのメインストアとのマージ頻度、テーブル数およびロード頻度に応じて変わります。多くのシステムにおいて推奨される初期サイズは、各デルタ拡張テーブルに 250~500MBです。すべてのオブジェクトにおいてロード頻度が同時に上昇した場合においても、安全なマージンを十分に確保することができるはずです。
3. load_memory_mb
一時的使用のために OSからリクエスト可能なメモリ拡張ストレージの最大容量
動的階層化サーバーの総メモリの 85%から、RLVメモリ(delta_memory_mb)に必要なメモリ容量を引き、残りのメモリの 1/3ずつをそれぞれのキャッシュ、main_cache_mb、 temporary_cache_mb、 load_memory_mb に割り当てます。
4. main_cache_mb
データベースオブジェクトの動的階層化の キャッシングに使用されるメモリ容量
動的階層化サーバーの総メモリの 85%から、RLVメモリ(delta_memory_mb)に必要なメモリ容量を引き、残りのメモリの 1/3ずつをそれぞれのキャッシュ、main_cache_mb、 temporary_cache_mb、 load_memory_mb に割り当てます。
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動的階層化付き SAP HANAの提供価値
本セクションでは、FlashStackにおける SAP HANAおよび動的階層化が提供する価値について、次の主要項目に焦点を当てて説明します。
• データ削減
• ウォームデータ処理の高速化
• ダッシュボードクエリ
• コストとパフォーマンスの分析
データ削減
動的階層化は、列指向(カラム型)ディスク型のリレーショナルデータベースの Sybase IQシステムです。動的階層化は、SAP HANAと同様にデータ圧縮機能に特徴があります。Sybase IQはビットマップによる圧縮を行い、SAP HANAはディクショナリエンコーディングによる圧縮を行います。
動的階層化のデータ削減の検証のため、200 GBの TPC-Hデータを用意しました。最初にカラムストアとしてすべてのテーブルをロードし、下記の SQLコマンドにより手動でデータを動的階層化に移動しました。
INSERT INTO <Extended Table> SELECT * FROM <HANA_table>
すべての 200 GBカラムストア(100%カラムストア)において、動的階層化データ量のデータ削減率は 2.2~2.6倍となります。
表 4:データ削減率の比較
データのロード先 最小データ削減率 最大データ削減率 SAP HANA 1.9 2.3 動的階層化 2.2 2.6
図 11:データ削減率の分析結果
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まとめ
上記の結果は、SAP HANAおよび動的階層化のデータ削減を、FlashArray//Mがさらに高めることを証明しています。動的階層化のデータ削減率は、同じデータセットについて、SPA HANAよりも優れていました。
ウォームデータ処理の高速化
ウォームデータを SAP HANAに移動させるために要する時間は、移動中はテーブル処理が中断され、クエリが実行できないという理由から、重要なポイントとなります。
今回のケースでは、DLMツールへのアクセスが不可能であったため、SAP HANAと動的階層化間のデータ移動にカスタマイズされた SQLを使用しました。その後、2つのデータストアを関連付け、データレポートを実行しました。
これを検証するため、SAP HANAにおいて約 300バイトのストラクチャ幅を持つテーブルを作成し、 0.5億~5億個のレコードを設定しました。そして、下記の SQLコマンドを使用して、データを拡張ストレージ側に移動しました。
INSERT INTO <Extended Table> SELECT * FROM <HANA_table>
図 12:SQLコマンドによる SAP HANAからのデータ移動
下記に示すように、優れた書き込みパフォーマンスより、FlashArray//M上のデータ移動は非常に高速となります。CPU/メモリのパフォーマンスが書き込みパフォーマンスの向上につながります。
表 5:SAP HANAからのデータ移動 ― パフォーマンス分析
レコード数 動的階層化へのデータ移動時間 最大帯域幅 平均帯域幅
0.5億 1分 3秒 63 MB/秒 40 MB/秒
2.5億 4分 17秒 278 MB/秒 165 MB/秒
5億 7分 23秒 385 MB/秒 229 MB/秒
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次のグラフは、2.5億レコードを SAP HANAから動的階層化移動したときのピュア・ストレージの GUIビューです。書き込みパフォーマンス、および、ウォームデータを動的階層化に送りレポーティング可能にするレート、または、SAP HANAメモリを開放するレートを示しています。書き込み帯域幅の平均値165MB/秒、最大値 278MB/秒を達成し、4分余りで全データを動的階層化に移動しました。
図 13:SPA HANAからの 2.5億レコードの移動
次のグラフは、SAP HANAから動的階層化へのデータ移動における帯域幅(最大・平均)の分析結果を示しています。
図 14:データ移動時の最大・平均帯域幅
まとめ
FlashStackソリューションの優れた書き込みパフォーマンスにより、動的階層化へのデータの移動が高速化され、テーブルアクセスによる総停止時間が低減します。
コストとパフォーマンスの分析
SAP HANA上のデータ量が増大するにつれ、スケールアウトやスケールアップを行う必要が生じます。いずれの場合も、SAP HANAおよび関連するハードウェアのコスト増大につながります。しかし、ピュア・ストレージの FlashArray//Mの優れた読み取りパフォーマンスにより、拡張テーブルのクエリ性能は SAP HANAに匹敵しており、さらに、動的階層化のライセンシングおよびハードウェアコストは SPA HANAと比較して低価格であり、TCOの低減が可能となります。
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次に、本シナリオの検証方法、および、費用対効果の分析について説明します。
ダッシュボードクエリ
スマートデータストリーミングから送られる大規模データをストアするため、SENSOR_ALERTS(300バイト)という IoTテーブルを SAP HANA上に使用しました。このデータを、SENSOR_ALERTS_EXTENDED(SENSOR_ALERTSと同じ構造)という動的階層化用に作成した拡張テーブルに移動しました。
SENSOR_ALERTSおよび SENSOR_ALERTS_EXTENDEDというテーブルにおいて、計算ビュー(下記参照)を作成し、SAP HANAテーブルおよび動的階層化テーブルの統合を実行しました。動的階層化テーブルは完全に SAP HANAテーブルと同じように動作するため、計算ビューを作成することが可能です。計算ビューは、SAP HANAおよび動的階層化テーブル上で直接実行されるビジネスクエリのパフォーマンス比較に役立ちます。
最初に、5億を超えるレコードを SAP HANAテーブルに設定しました。その後、データを動的階層化用テーブルに移動することで SAP HANAテーブルのレコード数をゼロまでスケールダウンし、動的階層化を 0から 5億レコードまでスケールアップしました。下記の SAP Lumiraダッシュボードが示すように、それぞれが 5億レコードのスキャンを行う 3つのクエリを実行しました。
図 15:SAP HANAおよび動的階層化テーブルの統合と計算ビュー
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次の図は、動的階層化付き SAP HANAの計算ビューにヒットする SAP Lumiraダッシュボードクエリを示しています。このダッシュボードは計算ビュー pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT 上で実行され、SAP HANAの SENSOR_ALERTSおよび動的階層化の SENSOR_ALERTS_EXTENDEDの統合テーブルに基づいています。
図 16:計算ビューの SAP Lumiraダッシュボードクエリ
下記に示すように、すべてのクエリで 5億レコードのスキャンを実行します。
表 6:IoTクエリ
クエリ ID クエリ(SAP HANA SQLプランキャッシュから) 計算ビュー 合計 レコード数
Q1 都市ごとの アラートの 詳細分析
SELECT "CITY", "ALERT_TYPE", SUM("ALERT_COUNT") AS "ALERT_COUNT_SUM" FROM "_SYS_BIC"."pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT" GROUP BY "CITY", "ALERT_TYPE"ORDER BY "CITY" ASC, "ALERT_TYPE" ASC
pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT
5億 レコード
Q2 州ごとの集約アラート
SELECT "STATE", SUM("ALERT_COUNT") AS "ALERT_COUNT_SUM" FROM "_SYS_BIC"."pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT" GROUP BY "STATE" ORDER BY "STATE" ASC
pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT
5億 レコード
Q3 アラート カウント対 アラート タイプ
SELECT "ALERT_TYPE", SUM("ALERT_COUNT") AS "ALERT_COUNT_SUM" FROM "_SYS_BIC"."pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT" GROUP BY "ALERT_TYPE" ORDER BY "ALERT_TYPE" ASC
pure.sap.iot.coalmine/CV_COAL_MINE_ALERT
5億 レコード
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ケース 1 ― SAP HANAに 100%のデータ/動的階層化内に 0%のデータ(基準テストケース):これらのクエリは、すべてのデータが SAP HANA上に存在する状態で実行しました。
クエリ名 クエリの内容 SAP HANA上の レコード数
動的階層化に移動したレコード数
総実行時間
Q1 都市ごとのアラートの詳細分析 5億レコード 0 0.879秒
Q2 州ごとの集約アラート 5億レコード 0 0.643秒
Q3 アラートカウント対アラートタイプ 5億レコード 0 0.547秒
ケース 2 ― SAP HANAに 75%のデータ/動的階層化に 25%のデータ:これらのクエリは、25%のデータ(約 1.25億レコード)を動的階層化に移動した状態で実行しました。
クエリ名 クエリの内容 SAP HANA上の レコード数
動的階層化に移動したレコード数
総実行時間
Q1 都市ごとのアラートの詳細分析 3.75億レコード 1.25億レコード 1.604秒
Q2 州ごとの集約アラート 3.75億レコード 1.25億レコード 1.318秒
Q3 アラートカウント対アラートタイプ 3.75億レコード 1.25億レコード 1.172秒
ケース 3 ― SAP HANAに 50%のデータ/動的階層化内に 50%のデータ:これらのクエリは、50%のデータ(約 2.5億レコード)を動的階層化に移動した状態で実行しました。
クエリ名 クエリの内容 SAP HANA上の レコード数
動的階層化に移動したレコード数
総実行時間
Q1 都市ごとのアラートの詳細分析 2.5億レコード 2.5億レコード 2.197秒
Q2 州ごとの集約アラート 2.5億レコード 2.5億レコード 1.730秒
Q3 アラートカウント対アラートタイプ 2.5億レコード 2.5億レコード 1.523秒
ケース 4 ― SAP HANAに 25%のデータ/動的階層化内に 75%のデータ:これらのクエリは、75%のデータ(約 3.75億レコード)を動的階層化に移動した状態で実行しました。
クエリ名 クエリの内容 SAP HANA上の レコード数
動的階層化に移動したレコード数
総実行時間
Q1 都市ごとのアラートの詳細分析 1.25億レコード 3.75億レコード 2.671秒
Q2 州ごとの集約アラート 1.25億レコード 3.75億レコード 2.368秒
Q3 アラートカウント対アラートタイプ 1.25億レコード 3.75億レコード 2.189秒
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次のグラフは、データが SAP HANA内に存在する場合、および、データが徐々に動的階層化内に移動する場合のダッシュボードクエリの実行時間の比較を示しています。動的階層化内においてデータが増加あるいは減少する場合に、クエリ実行時間は基準実行時間と比較して大きく変わりません。このことは、FlashArray//Mの読み取りパフォーマンスが優れていることを示しています。
図 17:クエリ実行時間比較グラフ
コストとパフォーマンスの分析
時間経過に伴いデータ量が増加していく状況を想定し、SAP HANAおよび動的階層化の双方(どちらもFlashStackソリューション上で動作)におけるデータ保守関連コストの比較を行います。この使用事例シナリオでは、SAP HANA内に 1 TBのデータが存在する状態で開始し、時間経過と共にデータが 250 GB増加する条件とします。
まず、動的階層化の有無を条件に、SAP HANAの展開コストを分析します。その後、Oracleデータベースおよび動的階層化を有効とした SAP HANAのクエリパフォーマンスの比較を行います。Oracleデータベースのパフォーマンス分析は、下記のコミュニティー公式サイトに基づいています。
https://scn.sap.com/people/sheetal.jain/blog/2015/05/21/hana-performance-test-benchmarks
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ケース 1 ― 動的階層化付き SAP HANAのデータ量を 25%増大させる
本テストシナリオでは、SAP HANA動的階層化のクエリ実行時間のパフォーマンスと、SAP提供の Oracleデータベースの結果を比較します。SAP HANAのデータを 25%減少させ、動的階層化の負荷を 25%増加させ、コストおよびパフォーマンス平均をテストしました。その後、SAP HANAパブリックサイト 1の情報に基づき、動的階層化付き SAP HANAと Oracleデータベースのデータのクエリ実行時間およびコスト面の優位性の統合ビューを見ていきます。SAP HANAのライセンスコストは、64 GBデータごとに 15万ドルです(リファレンスサイトごと)2。
Oracleと比較した SAP HANAおよび動的階層化のコストおよびパフォーマンスの優位性
下記の表から、わずか 25%のデータを動的階層化に移動した場合でも、クエリ実行時間のパフォーマンスのわずかな低下にもかかわらず、コスト削減は大きな長所であり、約 75万ドルを節約できることがわかります。また、SAP提供のベンチマークデータによると、Oracle環境において 100分かかるクエリ実行時間が、ピュア・ストレージ上に展開した動的階層化データではおよそ 11分であるとのことです。これはすなわち、SAP HANA動的階層化のパフォーマンスが Oracleと比較して 9倍優れていることを表しています。
表 7:SAP HANAと Oracleのコストおよびパフォーマンスの比較(※)
※Oracleについては SAP提供のデータを参照しました。
1 https://scn.sap.com/people/sheetal.jain/blog/2015/05/21/hana-performance-test-benchmarks 2 http://www.kernelsoftware.com/products/catalog/sap.html
ケース 1 2 3 4
初期 SAP HANAサイズ 1 TB
HANA(データ量%) 100% 75% 50% 25%
動的階層化(データ量%) 0% 25% 50% 75%
クエリ実行時間(秒) 0.69 秒 1.36 秒 1.82 秒 2.4 秒
変動(秒) 0.00 秒 1.97 秒 2.64 秒 3.48 秒
パフォーマンスの違い(HANA対 Oracle) 13.90 倍 11.93 倍 11.26 倍 10.42 倍
HANAライセンスコスト [千ドル]
64 GBごとに 15万ドル
$2,484 $1,863 $1,242 $621
保守コスト [千ドル]
毎年 22%
$546 $409 $273 $136
総コスト [千ドル] $3,030 $2,272 $1,515 $757
削減コスト [千ドル] $0 $758 $1,515 $2,273
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次のグラフは、クエリに対する Oracleと動的階層化付き SAP HANA間のパフォーマンスの違いを示しています。SAP提供のデータによると、Oracleと比較して動的階層化付き SAP HANAでは、クエリは 10.42~13.9倍高速に実行されるとしています。さらに、SAP HANAライセンスおよび保守コストにおいて、毎年大幅な節約が可能です。
図 18:動的階層化付き SAP HANAと Oracleのパフォーマンス比較
動的階層化付き SAP HANAの TCO優位性 ― SAP HANAスケールアップとの比較
次のグラフは、動的階層化付き SAP HANAのモデルと SAP HANAのスケールアップモデルを対象に、1 TBのサイズにおけるコストの比較を行った結果を示しています。SAP HANAのフットプリントを削減し、より多くのデータを動的階層化に移動させることにより、SAP HANAライセンスおよび保守のコスト削減につながります。
図 19:動的階層化付き SAP HANAおよび SAP HANAスケールアップ間のコスト比較
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ケース 2 ― SAP HANAのデータ量を 50%増大させる
本テストシナリオでは、SAP HANAのデータが 1 TBから 1.5 TBに増大します。次の表は、SAP HANA内に100%のデータを保持した場合と、動的階層化に移動させた場合のコストを比較することで、その優位性を示します。SAP HANAから動的階層化へ 25%のデータを移動させた場合でも、SAP HANAライセンスおよび保守コストの削減により、毎年 100万ドルもの節約が可能となります。データ量が増大するにつれ、SAP HANAの所有コストは 140万ドルから 280万ドルへと 2倍に膨れ上がります。しかし、動的階層化付き SAP HANAのモデルでは、コストの増加は 152万ドル(わずか 8%)となります。このことは、ビジネスニーズとデータ量が増大するにつれ、動的階層化付き SAP HANAのモデルへと移行することがより経済的に有利になることを示しています。
表 8:データ増大に伴う SAP HANAおよび動的階層化付き SAP HANAのコスト比較
SAP HANA(50%データ増大) 動的階層化付き SAP HANA
サイズ(1.5 TB) 0.5 TB
HANAライセンスコスト [100万ドル] (64 GBごとに 15万ドル) $3.515
保守コスト(100万ドル)毎年 22% $0.770
総コスト(100万ドル) $4.285
節約 [SAP HANA 75%/動的階層化 25%] (100万ドル) $1.07
節約 [SAP HANA 50%/動的階層化 50%] (100万ドル) $2.14
節約 [SAP HANA 25%/動的階層化 75%] (100万ドル) $3.21
** すべてのコストモデルにおける金額は、価格表に基づく概算値です。
まとめ
FlashArray//M上での SAP HANAおよび動的階層化ソリューションは、75%のデータが動的階層化から読み取られる場合でも、クエリパフォーマンスに影響を与えません。FlashStackの優れた読み取りパフォーマンスにより、データがコアメモリから動的階層化に移動した場合でも、クエリパフォーマンスに一切の影響を及ばしません。大幅なコストの節約という優位性も加わることで、動的階層化付き SAP HANAは決定的な選択肢となります。
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SAP HANAのための FlashArray//Mサイジング
図 20:SAP HANA対応の FlashArray//M
SAP HANAのための FlashArray//Mのサイジングは、4段階で行う必要があります。
1. 処理能力のサイジング
2. 容量のサイジング
3. FlashArray//Mのデータ削減
4. 動的階層化における容量のサイジング
処理能力のサイジング
処理能力のサイジングは、SAP HANAノードの数に依存します。次の表は、SAP HANAノードの数に基づく推奨サイジングを示しています。
表 9:推奨処理能力サイジング
SAP HANAノード数 FlashArray//Mモデル
6 //M20
9 //M50
12 //M70
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容量のサイジング
処理能力のサイジングを行なった後、SAP HANAデータベースが必要とするメモリ総量に基づき、FlashArray//Mの容量のサイジングを行います。これは、与えられたシステムに対してメモリサイジングを行った結果になります。
2種類のデータがメモリを必要とします。
• 静的データ: データベースを保持するために、メモリが必要です。ソースデータベースのサイズに対して圧縮係数を適用することと、FlashArray//M上でデータ削減を実行することで計算されます。圧縮係数の値は、OLTP(Suite-on-HANA®など)や OLAP(BW-on-HANA®など)といったアプリケーションシナリオと、ソースデータベースタイプ(ソースデータベースの中には既に圧縮を行っているものも存在します)に依存します。
• 動的データ: 動作中に動的に作成されるオブジェクトを保持するためにメモリが必要です。例えば、新しいデータのロードやクエリの実行時です。
注意:動的データと静的データについて、同量のメモリを確保することが推奨されます。
FlashArray//Mは SAP HANA Tailored Datacenter Integration(TDI)の認定を受けており、SAP HANA TDI規格に準拠するハードウェアインフラストラクチャ環境に展開することができます。以降のセクションでのサイジング計算式は、SAP HANA TDI環境において有効です。
データボリュームのサイジング
セーブポイントまたはスナップショットを作成後、あるいは、デルタマージの実行後、データはメモリから/hana/data/<sid>下のデータボリュームに保存されます。すべてのホストについて、推奨サイズは下記のように計算されます。
データサイズ = 1 × RAM(= 2 × 合計テーブルサイズ)
RAM = SAP HANAシステムのメモリサイズ
注意:HANA以外のデータベースを SAP HANAへ移行する場合、システムがサイジング段階での計算よりも多くのディスクスペースを一時的に必要とする可能性があります。
Redoログボリュームのサイジング
ログボリュームの最小サイズは、2つの SAP HANAセーブポイント(デフォルトでは 5分ごとに作成)間のデータ変更数に依存します。書き込み処理に伴うデータ変更によって redoログセグメントが増加し、/hana/log/<sid>下のログボリュームに書き込まれます。ログボリュームのサイジングを行う場合、下記の項目を考慮する必要があります。
• データボリュームにセーブポイントエントリが作成される前に、redoログを上書きしないでください。上書きしてしまうと、SAP HANAデータベースが再起動しなくなるおそれがあります。
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• 「log_mode = normal」が設定されている場合、バックアップ実行前に redoログを上書きしないでください。バックアップ処理を妨害するおそれのある事故や不具合のためにバッファスペースを確保することを推奨します。バッファスペースにより、ログボリュームが一杯になる前に、システム管理者はバックアップ処理を修正・完了することが可能になります。
RAMに依存したログボリュームサイズの計算式を下記に示します。
[システム ≦ 512 GB] redoログサイズ = 0.5 × RAM(= 1 × 合計テーブル サイズ)
[システム > 512 GB] redoログサイズ(最小)= 512 GB
SAP HANAシステムレプリケーションやストレージレプリケーションの高可用性構成では、セカンダリサイトのストレージサイズは、プライマリサイトと同じにする必要があります。
共有ボリュームのサイジング
すべてのバイナリ、トレース、および構成ファイルは、/hana/shared/<sid>下の共有ファイルシステムに保存され、システム内の全ホストから参照可能になります。ホストがメモリダンプを実行する場合(RAMサイズの 90%までなり得ます)、このファイルシステムにファイルが保存されます。したがって、SAP HANAデータベースのコンピュートノードによって書き込まれるトレース用に追加スペースが必要です。
SAP HANA共有ボリューム = 1 × RAM
バックアップ
完全データバックアップには、すべてのデータボリュームの総ペイロードが含まれます。バックアップディレクトリが必要とするサイズは、データボリュームの合計サイズだけでなく、ディスク上に保存されたバックアップ生成数、および SAP HANAデータベースにおいてデータが変更される頻度に依存します。例えば、バックアップポリシーが完全データバックアップを毎日実行し、そのバックアップを 1週間保持する必要がある場合、バックアップストレージのサイズをデータ領域の 7倍にする必要があります。
データバックアップに加え、ポイントインタイムのデータベースリカバリを実行するために、ログバックアップ用のバックアップストレージを確保する必要があります。書き込まれるログバックアップのサイズ、およびログバックアップの数は、SAP HANAデータベース内の変更オペレーション数に依存します。
バックアップサイズ ≧ 0.5 × RAM(= 1 × 合計テーブルサイズ)
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合計容量サイズ
上記の情報に基づき、SAP HANAの合計容量サイズを計算します。
SAP HANA合計容量サイズ = データボリュームサイズ + redoログボリュームサイズ + 共有ボリュームサイズ + バックアップサイズ
FlashArray//Mのデータ削減
処理速度計算および容量計算を行った後、適宜データ削減を適用し(本書の「動的階層化付き SAP HANAの提供価値」セクションの「データ削減」の項を参照)、容量サイズを決定します。
最終 SAP HANA合計容量サイズ = データ削減率 × SAP HANA合計容量サイズ
動的階層化における容量のサイジング
動的階層化付き SAP HANAのサイジングはルールに基づいて実行されます。SAP HANAメモリと動的階層化ストレージの推奨比率を下記に示します。
SAP HANAメモリ ≦ 2.5 TBの場合
動的階層化ストレージのサイズは、SAP HANAメモリの 4倍を超えない。
ウォームデータボリューム = SAP HANAメモリの 3倍
動的階層化ログボリューム = SAP HANAメモリの 1倍
SAP HANAメモリ > 2.5 TBの場合
動的階層化ストレージのサイズは、SAP HANAメモリの 8倍を超えない。
ウォームデータボリューム = SAP HANAメモリの 6倍
動的階層化ログボリューム = SAP HANAメモリの 2倍
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結論
本書では、SAP HANA展開における費用対効果の面で、動的階層化は非常に大きな価値を持つことを確認しました。SAP HANAのコアデータベースからではなく、動的階層化からデータが返される場合においても、分析クエリの読み込みパフォーマンスについて詳細に分析しました。これらの価値は主に、ピュア・ストレージのオールフラッシュ FlashStackソリューションの強力なパフォーマンスによるものです。優位性の概括を下記に示します。
• 簡潔性: FlashStackは、SAP HANAと動的階層化システムの両方を管理する場合のスペース管理の必要性をなくし、システム管理者の負担を軽減します。システムを展開する回数は、事前検証および検証済みの設計により軽減されます。
• 優れた読み取りパフォーマンス: ほとんどの検証結果において、FlashStackは、SAP HANAからではなく動的階層化からデータを読み込む場合でも、分析クエリの読み取りパフォーマンスの向上に役立つ優れた帯域幅を提供することがわかりました。FlashStackは、SAP HANAライセンスおよび認定ハードウェアへの投資を減らすことで、総 TCOを削減します。
• 優れた書き込みパフォーマンス: FlashStackは、優れた書き込み帯域幅および安定した1ミリ秒未満の応答時間を提供します。これにより、より高速なウォームデータ処理が可能となり、SAP HANA分析ソリューションに貢献します。また、動的階層化への移動にともなうテーブルのダウンタイムを削減します。
• コスト削減: FlashStackは、動的階層化の基礎となる Sybase IQや SAP HANAの圧縮機能を超える、クラス最高のデータ削減を実現する動的階層化ソリューションによるフットプリント削減によって、SAP HANAのコストを大幅に節約します。FlashStackは、さらなるデータ削減が可能なため、複数のシステムコピーの統合の効率化を実現する理想的なプラットフォームです。さらに、より小さなフットプリントにより、電力消費、データセンターの設置スペースおよび冷却コストを低減し、大規模な SAP HANA+動的階層化の展開における TCOをさらに魅力的なものにします。
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付録 1:FlashStackのピュア・ストレージ提供コンポーネント
FlashArray//M
FlashArray//Mは、FlashStackのモジュールによって拡張されます。FlashStackモジュールは、数世代にわたる拡張とアップグレードを念頭に設計されたステートレスなアーキテクチャです。FlashArray//Mは、カスタマイズ可能なモジュールを収容するように設計されたシャーシを用いています。計算能力やフラッシュの進化とともに、容量やパフォーマンスをそれぞれ個別に向上させることができます。お客様の今日そして未来のビジネスニーズに柔軟に対応します。
FlashArray//Mは、サーバーおよびワークロードに対する投資をより生産的にするとともに、ストレージ容量を低減します。ストレージの複雑さを大幅に削減することで、IT環境の敏捷性と効率性を向上させ、クラウドへの移行を加速させます。
FlashArray//Mのパフォーマンスは、リアルタイム分析力を最大限に引き出し、カスタマーロイヤリティを高め、従来のディスク型では実現しえなかった革新的なカスタマーエクスペリエンスを生み出すことで、ビジネスに貢献します。すべてはストレージを FlashArray//Mに移行することで達成可能です。
FlashArray//Mは、重要なアプリケーションの統合と高速化を可能にする、手頃な価格のオールフラッシュアレイです。データセンターやクラウドはもちろん、ビジネスに対しても変革をもたらします。
小型サイズ ― 電力消費、設置スペース、複雑さを 90%削減
• 15~250+ TBまで拡張可能、本体シャーシ 3U
• 1kW以下の電力消費
• わずか 6本のケーブル接続
強力なパフォーマンス ― データセンター、クラウド、ビジネスの変革を支援
• 最大 300,000 32K IOPs
• 最大 11.5 GB/秒の帯域幅
• 1ミリ秒未満の平均遅延
モジュール型の拡張性 ― 数世代にわたる FlashArray//Mシャーシ内外の拡張性
• 拡張シェルフにより、1/2PBまで拡張可能
• アップグレードコントローラおよびドライブにより、パフォーマンスと容量を拡張
簡潔性 ― アプライアンスのように簡単な展開、安心の運用
• 数分で完了する導入の容易さ
• 無停止のアップグレード、すべてをホットスワップ
• 少ないパーツがもたらす高い信頼性
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ピュア・ストレージ FlashArray//Mは、下記のような用途で効果を発揮します。
データベースとアプリケーションの高速化 ― 安定した低遅延によりトランザクションを 10倍高速化し、広範なデータセットにおけるオンラインデータ分析を可能にし、実稼働、分析、開発、テスト、バックアップの混合ワークロードに容易に対応します。
ワークロードの仮想化と統合 ― I/O指向の高いティア 1ワークロードに容易に対応し、統合率を向上(サーバーを削減)し、仮想化環境の管理を簡潔化し、管理タスクを加速します。
優れた仮想デスクトップのユーザーエクスペリエンス ― 物理デスクトップより優れたパフォーマンスにより、要件の厳しいユーザーに対応します。パイロットユーザーから数千を超えるの本稼動ユーザーまで、無停止での拡張と、デスクトップあたり 100ドル未満でオールフラッシュのパフォーマンスを提供します。
重要なデータアセットの保護および復元 ― ビジネスクリティカルなデータを常に保護し、障害時にもパフォーマンスを維持し、FlashRecoverにより瞬時に復元します。
ピュア・ストレージの FlashArray//Mは、オールフラッシュエンタープライズストレージアレイの新たな基準となります。下記のような特徴があります。
安定したパフォーマンス ― FlashArray//Mは、1ミリ秒未満の平均遅延を提供します。パフォーマンスは、4K/8Kといった理想的なベンチマークではなく、I/Oサイズが 32Kを超える場合が多い実際のアプリケーションのワークロードのために最適化されています。障害やアップグレード時においても 100%のパフォーマンスを維持します。
ディスク型よりも低コスト ― インライン重複排除および圧縮により、データベース、仮想マシン、および仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)を含めた広範な I/Oワークロードにおいて、5~10倍の容量削減が可能です。
ミッションクリティカルな耐障害性 ― FlashArray//Mは、ピュア・ストレージのインストールベースで実証済みの 99.999%以上の可用性を提供します。保守中のダウンタイムやパフォーマンス低下の心配はありません。
内蔵ディザスタリカバリ ― FlashArray//Mは、ネイティブで完全統合されたデータ削減最適化バックアップ、およびディザスタリカバリを、追加費用なしで提供します。ポリシーベースの自動ディザスタリカバリは数分で設定することができます。また、リカバリは、容量効率のよいローカルのスナップショット、あるいはリモートレプリカから瞬時に実行できます。
簡潔性 ― FlashArray//Mは、管理の画期的な簡潔性により、ストレージ導入、構成、プロビジョニングおよびマイグレーションを容易にします。パフォーマンス、RAID、ティアやキャッシングを管理する必要はありません。あらゆる層における一切の調整なしで最適なアプリケーションパフォーマンスを達成します。FlashArray//Mは、Webベースの GUI、CLI、VMware vCenter、Rest API、OpenStackからの管理が可能です。
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図 21:FlashArray//Mの進化
次の表は、FlashArray//Mシリーズの技術仕様の概略を示しています。
表 10:FlashArray//Mの技術仕様
//M20 //M50 //M70
容量 • 最大実効容量 250+ TB / 230+ TiB*
• 物理容量 5 ~ 80 TB / 4.7 ~ 74.4 TiB
• 最大実効容量 500+ TB / 450+ TiB*
• 物理容量 20 ~ 176 TB / 18.6 ~ 162.8
TiB
• 最大実効容量 500+ TB / 1,360+ TiB*
• 物理容量 42 ~ 512 TB / 39.6 ~ 474.6
TiB
パフォー
マンス
• 最大 200,000 32K IOPs**
• 平均遅延 1ms 未満
• 最大 6 GB/s の帯域幅
• 最大 270,000 32K IOPs**
• 平均遅延 1ms 未満
• 最大 9 GB/s の帯域幅
• 最大 370,000 32K IOPs**
• 平均遅延 1ms 未満
• 最大 11.5 GB/s の帯域幅
接続性 • 16 Gb/s ファイバーチャンネル
• 10/40 Gb/s イーサネット iSCSI
• 1/10 Gb/s レプリケーション用ポート
• 1 Gb/s 管理用ポート
• 16 Gb/s ファイバーチャネル
• 10/40 Gb/s イーサネット iSCSI
• 1/10 Gb/s レプリケーション用ポート
• 1 Gb/s 管理用ポート
• 16 Gb/s ファイバーチャンネル
• 10/40 Gb/s イーサネット iSCSI
• 1/10 Gb/s レプリケーション用ポート
• 1 Gb/s 管理用ポート
物理仕様 • 3U ~ 5U
• 公称電力 600 ~ 950 W
• フルラック時 95 lbs(43.1 kg)
• シャーシ 5.12” × 18.94” × 29.72”
• 3U ~ 7U
• 公称電力 650 ~ 1280 W
• フルラック時 95 lbs(43.1 kg)
+拡張シェルフあたり 44 lbs(20 kg)
• シャーシ 5.12” × 18.94” × 29.72”
• 5U ~ 7U
• 公称電力 1230 ~ 1760 W
• フルラック時 97 lbs(44.0 kg)
+拡張シェルフあたり 44 lbs(20 kg)
• シャーシ 5.12" × 18.94" × 29.72"
* 実効容量には HA、RAID、メタデータオーバーヘッド、GBから GiBへの変換を想定しており、常時オンのインライン重複排除、圧縮、およびパターン削除によるデータ削減効果が含まれています。データの平均削減率は、FlashArray//Mユーザベースのグローバル平均未満の 5対 1として計算しています。
** 4K IOPsではなく 32Kを引用する理由:一般的には条件として優位な 4K IOPsのベンチマークによる数値が使用されますが、ピュア・ストレージでは現実的な環境に近い 32Kの I/Oサイズを想定した数値を使用しています。FlashArray//Mは自動的に 512 B ~ 32 KB の I/Oに対応し、優れたパフォーマンス、拡張性、データ削減を可能にします。IOPsは 32 KiBの読み取りが 100%の場合を想定しています。
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Purityオペレーティング環境
Purityは、最先端のデータ削減、ストレージ管理、およびフラッシュ管理機能を実装しており、すべて機能が FlashStackに標準搭載されています。
フラッシュのためのストレージソフトウェア ― FlashCareの技術は、FlashStack内のフラッシュのプール全体の仮想化に加え、カスタマーグレードの MLCフラッシュのパフォーマンスを最大限に引き出し、かつ、その寿命を延ばします。
きめ細かい適応性 ― Purity Coreは、512バイトの可変ブロックサイズのメタデータ階層を実装しています。きめ細かいメタデータにより、あらゆる Purityデータおよびフラッシュ管理を効率よく運用することができます。
業界屈指のデータ削減技術 ― FlashReduceは、5種類のインラインおよびポストプロセスのデータ削減を実装し、優れたデータ削減を提供します。データ削減は、512バイトにアライメント調整された可変ブロックサイズで実行され、広範な混合ワークロードにおいてチューニングなしで効果的な削減を実現します。
高可用性および耐障害性 ― FlashProtectは、高可用性、デュアルパリティの RAID-3D、無停止アップグレードおよび暗号化を実装しています。障害発生時や保守時においても、FlashStackに完全なパフォーマンスを提供します。
バックアップとディザスタリカバリを標準搭載 ― FlashRecoverは、容量効率の高いスナップショット、レプリケーション、保護ポリシーを、エンドツーエンドのデータ保護と復元ソリューションに組み込み、ローカルおよびグローバルでのデータ損失を防ぎます。すべての FlashProtectのサービスは FlashStackに統合されており、ネイティブのデータ削減機能を強化します。
Pure1
Pure1 Manage ― Pure1 Manageは、ローカルのWebベースの管理とクラウドベースの監視を統合したサービスです。FlashStackの監視と管理は、Webブラウザから行うことができます。
Pure1 Connect ― 予め構築された API、プラグイン、アプリケーションコネクター、自動化ツールキットにより、お客様のデータセンター、クラウドモニタリング、オーケストレーションのツールなど管理用フレームワークに合わせて FlashStackを接続することができます。
Pure1 Support ― FlashStackは常時クラウドに接続されており、プロアクティブなサポートを提供できるようになっています。十分なトレーニングを積んだスタッフと、ビッグデータを利用した予測型分析により、問題の未然解決を目指します。
Pure1 Collaborate ― Pure1 Collaborateコミュニティーは、お客様、パートナー、ピュア・ストレージのスタッフによるオンラインコミュニティーです。開発やサポートに関する情報交換や、成功事例、スクリプトなど有益な情報の共有の場となっています。
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Evergreen™ Storage
3~5年ごとのアレイ交換の繰り返しにうんざりしていませんか?FlashStackへの移行は、すなわち最後のデータ移行になりえます。ストレージの購入と展開を一度行うだけで、容量やパ
フォーマンスをビジネスニーズに応じて柔軟に拡張することができます。ダウンタイムは発生しません。ピュア・ストレージのサブスクリプション型所有モデル Evergreen Storageは、FlashStackのモジュール型でステートレスなアーキテクチャ、および ForeverFlashのビジネスモデルを基盤として提供され、これまで3~5年だったストレージの寿命を 10年超へと引き延ばします。
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付録 2:FlashStackの Cisco提供コンポーネント
Cisco Unified Computing System™ (Cisco UCS™)は、コンピューティング、ネットワーク、ストレージへのアクセス、仮想化を一つのシステムに統合することで、TCOの削減、大規模インフラストラクチャの展開メカニズムの大幅な改善を実現する次世代のデータセンタープラットフォームです。UCSは、モジュール型で拡張性が高くパワフルな x86アーキテクチャのサーバーと、ユニファイドファブリックを実装しています。革新的かつ実証済みの設計により、従来のブレード型やラックマウント型サーバーを超えるコスト効率、敏捷性、柔軟性を提供します。経営層や IT部門の幹部が直面する問題をシステムレベルで解決することにより、組織の効率性向上を後押しします。
作業時間効率の改善
自動化構成により、IT組織の取り組みを受動的なものから能動的なものに変えていくことが可能となります。結果として、保守時間の削減、応答時間の短縮が実現できるだけでなく、部門全体が、戦略的なビジネスのためのイノベーションや独創性の醸成のためにより多くの時間を費やすことができます。また、担当者の生活の質の改善にもつながり、長期的な効率化において重要となるモラルや定着率も向上します。
Cisco UCS Managerは、埋め込み型、モデルベースの管理システムです。IT管理者は、ファームウェアとBIOS設定から、ネットワークとストレージ接続性まで、広範囲のサーバー構成ポリシーを設定できます。従来の環境と比較して、より少ない時間と工程で個々のサーバーを展開することができます。自動化することで、エラーの原因となりがちな、時間のかかる退屈な繰り返し作業から IT管理者を解放し、ひいてはデータセンター全体のコスト効率が向上します。
容易な拡張
自動化により、迅速な展開、機会コストの削減、およびリソースの有効活用を実現します。Cisco UCSは、ラックマウント型およびブレード型サーバーを、ローディングドックから実稼働環境に「プラグアンドプレイ」で移行させることができます。また、空いたブレードシャーシのスロットにデバイスを差し込むだけで、事前設定のポリシーに基づいてブレードサーバーを自動構成することができます。ラックマウント型サーバーは、トップオブラックの Cisco Nexus®ファブリックエクステンダに接続することで統合します。ポリシーを使用した自動構成の反復再現性により、新規サーバー100基でも、1基と変わらぬ容易さで構成できるため、敏捷性とコスト効果に優れた拡張が実現します。
仮想ブレードシャーシ
従来のブレード型システムでは、各シャーシがそれぞれ個別のネットワークおよび管理システムを持っていましたが、ラックのすべてのコンポーネントをそれぞれのシャーシに押し込めるという想定に基づいた、機能的に問題を生じやすいアーキテクチャです。そのような従来のブレード型システムは、複数の管理ツールにより管理され、より多くの工数を必要とし、問題を生じやすく、コストがかかります。ラックマウント型サーバーは統合されておらず、個別管理または追加のツールセットによる管理を必要とします。したがって、煩雑になり、運用コストや時間的な負担が増大します。
図 22:Cisco UCS
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Cisco UCSのブレードとラックマウント型サーバーは、一元管理でありながら、物理的には複数のブレードシャーシやラックマウント型サーバー、さらに複数のラックや列にも分散しうる、単一の仮想ブレードシャーシに統合されます。この機能は、冗長な接続性、共通の管理およびネットワークインタフェース、優れた柔軟性を提供する Cisco®ファブリックが可能にしています。この大規模な仮想シャーシは、冗長性のある単一ポイントの管理機能を持ち、少ない管理タッチポイントによるサーバーあたりのインフラストラクチャ、管理、設備、運用コストの削減に貢献します。
参考資料
ピュア・ストレージ上に展開する SAP HANAのベストプラクティス: http://blog.purestorage.com/in-memory-database-meets-mighty-performance-storage-flasharraym-is-certified-for-sap-hana/
ピュア・ストレージ FlashArrayデータシート: http://www.purestorage.com/content/dam/purestorage/pdf/datasheets/PureStorage_FlashArraym-Brochure.pdf
HANAのパフォーマンス検証のためのベンチマーク: https://scn.sap.com/people/sheetal.jain/blog/2015/05/21/hana-performance-test-benchmarks
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