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Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
ICH M3(R2)ガイダンスの運用上の留意点- 承認審査を踏まえて -
(独)医薬品医療機器総合機構 (PMDA)
毒性領域
篠田和俊
第38回日本トキシコロジー学会WS4
Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
本日の内容
本ガイダンスの主な改訂点
承認審査及び治験計画届調査に
おける留意点
回復性(Reversibility of Toxicity)に関するQ&A (step 4文書から)
第38回日本トキシコロジー学会WS4
Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
第38回日本トキシコロジー学会WS4
本ガイダンスの主な改訂点
Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
<M3(R2)>GUIDANCE ON NONCLINICAL SAFETY STUDIES FOR THECONDUCT OF HUMAN CLINICAL TRIALS ANDMARKETING AUTHORIZATION FOR PHARMACEUTICALS
「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス」 (薬食審査発0219第6号)
<M3及びM3(R1)>「医薬品の臨床試験のための非臨床安全性試験の 実施時期についてのガイドライン」(医薬審第1019号)
主な改訂点
第38回日本トキシコロジー学会WS4
Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
一般に、
ガイドライン:法律を守るべき基本的な規範(ルールや縛り)を示している(実施基準)
ガイダンス: 考え方や進め方についてその具体例を挙げて対処方法を指南している
M3(R2)ガイダンス⇒旧版よりも、自由度が高く、
フレキシブルな運用を目指す
第38回日本トキシコロジー学会WS4
主な改訂点
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新規追加項目
一般毒性試験のための高用量選択
ヒト初回臨床投与量の算出
早期探索的臨床試験
免疫毒性
光安全性試験
薬物乱用に関する非臨床試験
配合剤のための非臨床試験
主な改訂点
第38回日本トキシコロジー学会WS4
Pharmaceuticals & Medical Devices Agency
第38回日本トキシコロジー学会WS4
主な改訂点
従来項目の主な追加・変更点(1/2)全体を通して3Rsの原則の明確化
薬理試験
PD試験
薬物動態試験
vitro薬物代謝・血漿タンパク結合/Ⅰ相前
PK試験・vitro薬物相互作用/Ⅲ相前
ヒト代謝物の非臨床安全性評価/Ⅲ相前
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
主な改訂点
従来項目の主な追加・変更点(2/2)急性毒性の評価
原則としてⅢ相前、致死性を評価指標としない
遺伝毒性
遺伝子突然変異/単回前、染色体異常/反復前
生殖発生毒性試験
WOCBP:Ⅰ試験/Ⅲ相前、Ⅲ試験/避妊の徹底
小児における臨床試験
幼若動物での毒性試験
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
承認審査及び治験計画届調査における留意点
このパートは発表者の個人的意見に基づくものであって、
(独)医薬品医療機器総合機構としての見解を示すものでは
ありません
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
審査及び調査における留意点
(通知文)平成23年1月1日以降に申請される医薬品・・・・今回の改正をふまえたものであること。ただし、平成22年3月31日までに実施
され、または開始されている試験については、当分の間、原則として本ガイドライン(注:旧版)に基づいた試験に代えてよい
<@承認審査> 要件に該当する申請品目については、M3(R2)の準拠を求
める。旧ガイドラインに基づいた試験は、原則として、今後も受け入れる方針
<@初回/n回治験計画届調査> M3(R2)に基づいて、当該治験実施のための非臨床試験
の充足性と試験成績を調査する
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
審査及び調査における留意点
<治験計画届調査>
国内での初めての治験 :初回治験計画届調査(30日調査) 2回目以降の治験 :n回治験計画届調査(n回調査)
法律(薬事法)上は、初回治験計画届調査のみが規定されており、n回治験計画届については、調査の対象となっていない
従って、特に、2回目以降の治験の実施においては、治験依頼者の責任で、非臨床試験の充足性と試験成績について十分な検討/確認が必要となる
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(緒言)
本ガイダンスでは論じていないが、安全性評価のための新しいインビトロ代替法の利用について考慮すべきである。これらの代替法は、バリデーションが完了し、全てのICH規制当局によって認められれば、現在の標準試験法の代わりに利用可能である
標準試験法に関するICHガイダンスや国内通知がない場合に、原則として、OECDガイドラインに準拠した試験について評価資料として扱っている
Test No. 432: In Vitro 3T3 NRU Phototoxicity Test Test No. 487: In Vitro Mammalian Cell Micronucleus Test Test No. 439: In Vitro Skin Irritation
等々
審査及び調査における留意点
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(ガイダンスの適用範囲)
バイオテクノロジー応用医薬品のための、適切な非臨床安全性試験はICH S6に沿って決定されるべきである。バイオテクノロ
ジー応用医薬品については、本ガイダンスは、臨床開発に関連する非臨床試験の実施時期に関してのみの指針となる
特定の医薬品領域のためのICHガイダンスがある場合にはそれらを参考にすべきである
ICHS6(R1) はstep 4に到達(2011年6月12日) 現在、国内通知(step 5)を準備中、近々に発出の予定 特定の医薬品領域のためのICHガイダンス:ICH S9
「抗悪性腫瘍薬の非臨床評価に関するガイドラインについて」
審査及び調査における留意点
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(薬理試験)
正当な理由があれば、補足的安全性薬理試験及びフォローアップ安全性薬理試験を臨床開発後期に実施してもよい
使用動物を削減するため、インビボで評価する場合には、いずれも、可能な範囲内で、一般毒性試験に組み込んで実施することを考慮すべきである。
正当な理由:臨床試験での懸念がない/モニター・管理できる等 中枢神経系への影響はFOB等の詳細観察で対応可 心血管系/呼吸器系への影響について、十分な評価が可能? 投与初日に複数の安全性薬理項目の評価を実施?
審査及び調査における留意点
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(トキシコキネティクス及び薬物動態試験)
動物及びヒトの薬物代謝及び血漿タンパク結合データに関するインビトロ試験成績、並びに反復投与毒性試験で使用した動物種における全身暴露データ(ICH S3A:7)の評価は、通常、臨床試験の前に行われるべきである
ヒトでみられた代謝物を非臨床試験で特徴づける必要があるのは・・・・・・
初回治験計画届調査(30日調査)時に確認 動物とヒトの成績に大きな違いがあった場合の安全性評価 ヒト代謝物の非臨床安全性評価はQ&Aに詳細あり
審査及び調査における留意点
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(急性毒性試験)
医薬品の急性毒性に関する情報は、ヒトでの過量投与時の影響を予測するために有用であり、第Ⅲ相試験の開始前までに入手すべきである。特に過量投与の危険性が高い患者集団(例えば、うつ病、疼痛、認知症)における外来での臨床試験を行う場合には、より早期に急性毒性の評価を行うことは重要である
審査及び調査における留意点
実質的には、Ⅲ相前までに反復投与毒性試験等の用量設定試験等は終了しており、情報は入手済みと考えられる
外来での臨床試験については過量投与の可能性を検討する
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(早期探索型臨床試験)
このガイダンスが目的とする早期探索的臨床試験は、第Ⅰ相試験の初期に実施されることを意図しており、限定的なヒトへの暴露で、治療を目的とせず、かつヒトにおける忍容性を求めるものではない
審査及び調査における留意点
いわゆる0(ゼロ)相試験であり、当該試験が初回治験計画届調査の対象となる
法的には、その後実施される、通常の標準的な第Ⅰ相試験はn回治験に相当し、調査対象とならない
しかし、被験者の安全性確保の観点から、通常の第Ⅰ相試験については調査対象とすべきであり、初回治験計画届調査と同等の調査を行う
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(局所刺激性試験)
局所刺激性は、一般毒性試験の一部として、予定臨床適用経路により評価することが望ましく、独立した試験での評価は推奨されない。
局所刺激性試験に使用される製剤は、臨床製剤と同一である必要はないが、類似したものとすべきである
審査及び調査における留意点
臨床試験で用いる製剤と非臨床試験で投与された製剤との類似性の確認
開発後期に製剤変更された場合の局所刺激性の評価(すでに終了している一般毒性試験で評価できているか?)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(局所刺激性試験)
非経口医薬品では、多くの患者が暴露される(例えば、第Ⅲ相試験)より前に、誤って適用され得る部位の局所刺激性の評価を必要に応じて行うべきである。
日本及びEUにおいては静脈内投与薬に対して静脈周囲への
単回投与試験が推奨されている。その他の非経口投与薬については個別の状況に応じて判断するべきである。
審査及び調査における留意点
液剤(外用)などの粘膜刺激性(事故/誤用)
外用剤の場合、苛酷試験等で生成した劣化品による皮膚刺激性の検討が必要となる場合がある
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(生殖発生毒性試験/WOCBP)妊娠を回避する予防措置としては、妊娠テスト(HCG のβ-サブ
ユニットに基づくものなど)を行うこと、極めて有効性の高い受胎調節方法を使用すること(注3)、及び月経周期を確認した後にのみ臨床試験へ組み入れることが含まれる
注3:極めて有効性の高い受胎調節方法とは、単独又は組合
せにより一貫して正しく使用された時、失敗する確率が低い(すなわち年1%未満)方法を指す
審査及び調査における留意点
胚・胎児試験を実施せずに、妊娠可能な女性(WOCBP)を
治験に組み入れることが可能な場合もあることから、従来よりも妊娠リスクを慎重に検討する必要がある
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
審査及び調査における留意点
避妊法 理想的な使用(%) ピル(OC) 0.3 コンドーム 2 殺精子剤 18 ペッサリー 6
黄体ホルモン付加IUD 0.1銅付加IUD 0.6リズム法 1~9
女性避妊手術 0.5男性避妊手術 0.1
避妊せず 85
各種避妊法使用開始1年間の失敗率(妊娠率)
理想的な使用:選んだ避妊法を正しく使用
(日本産婦人科学会編 低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)H17.12月)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
審査及び調査における留意点
「禁欲」は適切になされれば最も確実な避妊法ではあるが、一方、失敗率が最も高い避妊法でもある
試験計画書や同意文書には複数の避妊法が選択肢として示されているが、国際共同治験等では国内で承認されていない方法も散見されることから、避妊をより確実なものとするために、同意説明文書中に「避妊方法については医師に相談すること」等の文言を含める必要があるのでは?
(生殖発生毒性試験/WOCBP)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(生殖発生毒性試験/WOCBP)・・・・適切な予備的発生毒性試験データが得られており、・・・妊娠を回避する予防措置がとられる場合は、・・・妊娠可能な女性(最大150人)を比較的短期間(最長3ヶ月)の治験に組み入れることができる。・・・(注5)・・・(注5)・・・妊娠可能な女性で行われた第Ⅲ相試験から見積もられた妊娠率は月経1周期あたり0.1%未満であった。・・・150人の妊娠可能な女性で3ヶ月間実施する第Ⅱ相試験の場合、・・・妊娠例数は0.5例よりも有意に少ないと推測される。
審査及び調査における留意点
3カ月で3サイクル(性周期)とするこの期間に妊娠する確率:1-(0.999)3≒0.003∴ 臨床試験あたりの妊娠例数:150人×0.003=0.45<0.5
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
審査及び調査における留意点
この方法は他の試験デザインにも応用できるか?
臨床試験における暴露期間中の性周期数(m)組み入れるWOCBP被験者数(N)妊娠する確率(p):p = 1-(0.999)m推測妊娠例数:N×p
「推定妊娠例数<0.5」となる試験デザインであれば、原則として、WOCBPの組み入れについて容認できるのでは(但し、ケースバイケース)
(生殖発生毒性試験/WOCBP)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性 (Reversibility of Toxicity)一般毒性試験のための高用量選択(Limit Dose for Toxicity Studies)代謝物の非臨床安全性評価 (Metabolites)
審査及び調査における留意点
Q&A作成中
薬理試験(安全性薬理試験)早期探索型臨床試験小児における臨床試験(幼若動物における毒性試験)配合剤のための非臨床試験生殖発生毒性試験
Q&A Step 4合意文書
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
光安全性試験 ( Photosafety Evaluation)
審査及び調査における留意点
関連する国内ガイダンス(パブコメ終了)
幼若動物を用いた非臨床安全性試験ガイドライン治験におけるヒト初回投与試験のリスク低減に関するガイダンス
関連するICHトピック(step 2文書検討中)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性(Reversibility of Toxicity)に関するQ&A
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
8. 回復性試験
毒性変化の可逆性を検討するため,いずれかの試験で回復群を設けることを考慮する
反復投与毒性試験に係るガイドラインの一部改正について(平成11年4月5日医薬審第655)
医薬品非臨床試験ガイドライン解説2010(p.24)
2-2. 反復投与毒性試験
・・・・反復投与毒性試験で発現した毒性変化が可逆的であるか非可逆的であるかは、毒性の重篤度を評価するうえで重要なポイントである。回復性をみるための試験期間とは、・・・・被験物質投与期間より長期にわたることは適切ではない
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
(General Principles)The goals of the nonclinical safety evaluation generallyinclude a characterisation of toxic effects with respect totarget organs, dose dependence, relationship to exposure,and, when appropriate, potential reversibility.
(一般原則)
非臨床安全性評価の主たる目的は、標的臓器、用量依存性、暴露との関係、及び適切な場合には回復性についての毒性の特徴を明らかにすることである。
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&AQuestion:When is assessment of reversibility considered to beappropriate and is it important to demonstrate fullreversibility or is it sufficient to demonstrate the potentialfor full reversibility ?
質問: どのような場合に回復性の評価が適切と考えられますか。また、完全な回復性を示すことが重要でしょうか、あるいは完全な回復性の可能性を示すことで十分でしょうか?
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&AStep 4文書
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
回復性の評価はどのような場合に必要か?
回復性の評価はどのように実施すればよいか?
回復性の科学的評価とはどのようなものか?
回復性試験が必要な場合とは?
回復性試験が必要な場合に試験を実施するタイミングは?
回復性試験を複数の試験で実施する必要はあるか?
回復性試験はどの試験で実施すればよいか?
回復性試験が必要でない場合とは?
完全な回復性を示すことが必要か?あるいは完全な回復性の可能性を示すことで十分か?
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
回復性の評価はどのような場合に必要か?
非臨床試験において重篤な毒性が認められ、臨床においても副作用につながる可能性がある場合には、毒性の回復性(本来の、又は正常な状態に戻ること)について評価を行うべきである
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
回復性の評価はどのように実施すればよいか?
科学的評価あるいは回復性試験に基づいて実施する
回復性の科学的評価はどのようなものか?
科学的評価においては、病変の範囲と重篤度、作用がみられた器官系の再生能、並びにその作用を示す既存薬の知見を含めて評価する
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
回復性試験が必要な場合とは?
科学的評価では毒性の回復性が予測できず、
さらに、
その毒性が臨床における暴露量に比較的近い暴露量(例:臨床における暴露量の10倍以下)でみられた場合
その毒性が臨床において病態生理学的に進行した段階にならないと検出できず、さらにその時点ではすでに臓器機能の明らかな低下が予測される場合(※)
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
回復性Q&A
回復性試験が必要な場合に、試験を実施するタイミングは?
非臨床でその毒性が認められない試験期間と同等の期間の臨床試験を実施するためには、原則として、回復性試験は必要ない
回復性試験の成績は、非臨床でその毒性が認められた試験期間と同等の期間の臨床試験の実施に必要となる
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回復性Q&A
回復性試験を複数の試験で実施する必要があるか?
特定の病変の回復性が、短期間(例えば2週、または1ヵ月)の毒性試験において示されてお
り、その病変がより長期の試験において重篤化しないのであれば、長期毒性試験においてその回復性を繰り返し評価する必要はない
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回復性Q&A
回復性試験は、どのような試験で実施すればよいか?
臨床試験をサポートするために、より早期に回復性を確認する必要がない場合には、慢性毒性試験において回復性を確認することが効率的であろう。この試験においてすべての懸念のある毒性が評価できる
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回復性Q&A
回復性試験が必要でない場合とは?
その毒性が、重篤になる前の初期段階でヒトにおいて容易にモニターできる場合
その毒性が、ヒトには無関係であることが知られている場合(例えば、げっ歯類のハーダー腺の毒性)
その毒性が、臨床的に意味のない高用量でのみ観察される場合(ただし、※の場合を除く)
その毒性が、(化学的あるいは薬理学的な)類薬で認められる毒性と同質であり、また、類薬の先行する臨床試験において管理可能と考えられる場合
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回復性Q&A
完全な回復性を示すことが必要か?あるいは完全な回復性の可能性を示すことで十分か?
完全な回復性を示すことは必須ではなく、完全に回復する可能性を示すことで十分である
完全な回復が期待されない場合には、臨床的なリスク評価の際にその点を考慮すべきである
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回復性Q&A【Q&Aのまとめ】
回復性については、重篤な毒性が認められ、副作用につながる可能性がある場合に、科学的評価又は回復性試験の実施によって評価する
回復性試験は、科学的評価では回復性を予測できず、毒性が臨床に近い暴露量(≦×10)で発現、又は臨床において進行した状態でしか検出できない場合に実施を考慮する
回復性試験の成績は、その毒性が認められた投与期間と同等の期間の臨床試験の実施に必要となる
毒性変化が長期投与によって重篤化しないのであれば、長期試験において回復性を繰り返し評価する必要はない
完全に回復する可能性を示すことでよい
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
まとめ
3Rsの原則
臨床での安全性確保に資する非臨床試験
ヒトにおいてモニターあるいはマネージメントできない毒性
適用疾患の重篤性や希少性、革新的な治療法等に配慮した非臨床試験のパッケージ
非臨床試験によって臨床でのリスクを最小化
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
ご静聴ありがとうございました
Benefit
Risk
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第38回日本トキシコロジー学会WS4
(参考)Q&Aの検討の経緯について
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M3(R2) Q&A
経緯
2009年10月:ICH(St. Louis)会合でIWGトピックとして採択
2010年 2月:ICH websiteに意見聴取用のmailbox設置
2010年 4月:「質問」のテーマを選択/決定
:各partyが分担して「回答案」の作成/検討
2010年10月:E-mail及びウェブカンによる議論を開始
~ :ウェブカン開催(10回)
2011年 6月:ICH会合(Cincinnati)でF2F(2日間)
3/8テーマについて合意(step 4)
第38回日本トキシコロジー学会WS4
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Q&Aのテーマと進捗状況
Reversibility (step 4) Limit dose (step 4) Matabolite (step 4) Combinations Exploratory clinical trial Juvenile animal studies ReproTox Safety pharmacology
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M3(R2) Q&A
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今後の予定
2011年7月~ : ウェブカン開催予定(4回)
2011年11月 :ICH 会合(Seville, Spain)でF2F(2日間)
~2011年末 :残りのテーマについて合意(step 4)
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M3(R2) Q&A
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ICH M3(R2)及びICH M3(R2) Q&Aワーキンググループ
【メンバー】
厚労省 :大野泰雄(TL)製薬協 :佐神文郎(TL)、山本恵司、三浦慎一、
伊藤真紀
PMDA :篠田和俊
(敬称略)
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