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IT スキル標準改善提案報告書 Ver1 ©2006 IPA All Rights Reserved, Copyright 1 ITスキル標準 ® 改善提案報告書 ITスキル標準 ® プロフェッショナルコミュニティ ® コンサルタント委員会 2006年7月7日 Ver1

ITスキル標準 改善提案報告書 - IPA · アイ・ビー・エム ビジネスコン サルティングサービス(株) 倉持 クラモチ 快 ヨシ 夫 オ ヒューマンキャピタルマネジメント

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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ITスキル標準®

改善提案報告書

ITスキル標準® プロフェッショナルコミュニティ®

コンサルタント委員会

2006年7月7日 Ver1

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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● 本報告書に記載されている「ITスキル標準®」および「プロフェッショナルコミュニテ

ィ®」は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の登録商標です。また、社名およ

び製品名は、それぞれの会社の商標です。なお、本文中では「TM」、「®」は省略して

います。

● 本報告書に記載されているWebページに関する情報(URL等)については、予告な

く変更、追加、削除(閉鎖)等される場合があります。あらかじめご了承願います。

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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はじめに

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センターでは、第一線で活躍しているハイ

レベルのスキルを持つ者同士が、社内や組織の論理に捕らわれずに建設的に情報交換や議論が行えるよ

うな場を通じて、ITスキル標準の改版、人材育成のあり方等、次世代ITサービスビジネスを担う後

進人材のスキルアップに貢献するための諸活動を行う、「ITスキル標準プロフェッショナルコミュニ

ティ」を創設しました。そして 2005年6月にコンサルタントのプロフェッショナルコミュニティで

ある「コンサルタント委員会」が活動を開始しました。

さらに、コンサルタント委員会の下に 2 種類のワーキンググループ(WG)として、ITスキル標

準の改善提案を検討する「改善WG」とコンサルタントのプロフェッショナル育成について検討する「育

成WG」を立ち上げました。

本書は、下記に示される改善WGメンバーにて検討を行った、ITスキル標準の改善提案をまとめた

ものです。

・WG名称 : コンサルタント委員会改善ワーキンググループ(WG)

・WGグループメンバー : 五十音順、○はWGリーダー

平成18年3月現在 会社名 氏名(敬称略) 所属

日本オラクル(株) 大オオ

我ガ

猛タケシ

コンサルティングサービス本部

インダストリーコンサルティング部

プリンシパルコンサルタント

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス(株)

古コ

鉄テツ

昌子マサコ

ヒューマンキャピタルマネジメント

コンサルタント

日本オラクル(株) 竹内タケウチ

敏明トシアキ

コンサルティングサービス本部ビジネス推進部

エグゼクティブソリューションアーキテクト

主担当者

監査法人トーマツ 中谷ナカタニ

真二シンジ

○ エンタープライズリスクサービス部

代表社員

アビームコンサルティング(株) 大石オオイシ

裕路ユウジ

組織・人事サービス事業部

マネージャー

アクセンチュア(株) 喜多村キタムラ

理広マサヒロ

官公庁本部

コンサルタント

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス(株)

倉持クラモチ

快ヨシ

夫オ

ヒューマンキャピタルマネジメント

マネージングコンサルタント

SAPジャパン(株) 佐藤サトウ

保則ヤスノリ

公共事業本部

公共ソリューション部

ソリューションマネージャー

アクセンチュア(株) 杉山スギヤマ

健ケン

官公庁本部

エグゼクティブ・パートナー

レビューアー

アビームコンサルティング(株) 原ハラ

市郎イチロウ

戦略ビジネス事業部

プリンシパル

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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<目次>

はじめに................................................................................................................................................3 1. ITスキル標準のコンサルタントについて(概要編) .......................................5 1.1 コンサルタントの定義 ......................................................................................... 5 1.2 IT投資の局面と活動領域の関係...................................................................... 6 1.3 コンサルタント職種の専門分野 ......................................................................... 8 1.4 コンサルタント職のレベル ............................................................................... 10 1.5 達成度指標、スキル項目、スキル熟達度の改善検討における前提 ............ 12 1.6 達成度指標 ........................................................................................................... 14 1.7 スキル領域、スキル項目、知識項目................................................................ 16 1.8 スキル熟達度 ....................................................................................................... 18 2. 達成度指標とスキル項目、知識項目(詳細編).................................................. 19 2.1 達成度指標 ........................................................................................................... 19 2.2 スキル項目、知識項目 ....................................................................................... 28 3. コンサルタント委員会の設置......................................................................................... 31

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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1. ITスキル標準のコンサルタントについて(概要編) 1.1 コンサルタントの定義

1)現状

現状のコンサルタントの定義は、「ITスキル標準Ver1.2 注」に、以下の様に記載されてい

ます。

~「ITスキル標準Ver1.2」より抜粋~

ビジネス上の課題に対して解決のための助言、提案及びカウンセルを実施する。

IT投資の局面においては、経営戦略策定(目標及びビジョンの策定、ビジネス戦略策定)及

び戦略的情報化企画(課題整理及び分析(ビジネス及びIT)を主な活動領域として、以下を実

施する。

-経営戦略策定 ・目標及びビジョンの提言 ・ビジネス戦略策定への助言 -戦略的情報化企画 ・ソリューション策定のための助言

2)討議内容

① 「コンサルタント」の定義の前提

今回のITスキル標準改善提案において、コンサルタントの定義を行う上で、ベンダー側(受

注者側)、ユーザ側(発注者側)のどちらの観点で定義を行うかの議論を行いました。ユーザ

側でスキルを持っている場合もあるが、持っていない場合はベンダーを雇うのであろうという

議論になり、あえて、明確にする必要はないとの結論になりました。

② 「コンサルタント」の定義

クライアントの経営戦略、事業戦略があり、ITを使ってどう実現できるかということを進

言・提言できる人を、「コンサルタント」であると考えています。ITアーキテクトとの違い

を考えた際、コンサルタントとしての最終的な定義は、クライアントに対して「助言」をする

職種であると言えます。

3)結論(改善提言)

コンサルタントの定義として、コンサルタントという職種は、各業界において存在しているが、

ITスキル標準においては、ITをコアとするコンサルタントという点を、強調する必要があり

ます。

【現状】

ビジネス上の課題に対して解決のための助言、提案及びカウンセルを実施する。

【改善案】

ビジネス上の課題に対して解決のためにITを活用した助言、提案及びカウンセルを実施する。

注 「ITスキル標準Ver1,2」とは、「ITスキル標準V2」の作成する過程において、作られたものである。

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1.2 IT投資の局面と活動領域の関係

1)現状

「ITスキル標準ガイドブック」(IPA ITスキル標準センター著)によると、現状のコン

サルタントの活動領域は、経営戦略策定、および戦略的情報化企画の2つの局面と定義されていま

す。

また、各局面での活動領域については、経営戦略策定局面において、顧客の経営目標/ビジョン/

ビジネス戦略策定の提言/助言をし、戦略的情報化企画局面においては、ソリューション策定の助

言を実施すると定義されています。

2)討議内容

① 活動領域について

ITスキル標準で定義されている局面(経営戦略策定、戦略的情報化企画)以外の局面におい

ても、コンサルタントが活動しているケースが考えられるのではないか、という指摘がありまし

た。プロジェクトにコンサルタントとして参画した後、開発、運用・保守局面においても引き続

きプロジェクトに携わるということは、実際によくあります。

ただし、同一のプロジェクトにおいても、局面により求められる役割は異なります。従って、

経営戦略策定及び戦略的情報化企画からの延長でそれ以降の局面に参画した場合でも、その局面

においてはコンサルタント以外の職種(プロジェクトマネジメント等)としての活動にあたるの

ではないか、との結論に達しました。従って、現在ITスキル標準で定義されているコンサルタ

ントの活動領域については、現状のままとします。

なお、コンサルタントに対して、局面により異なる職種の役割が求められることについては、

提示方法を含め、今後引き続き検討を行うこととなりました。

② 他職種との違いの明確化について

コンサルタント委員会として、他職種、特にセールスやITアーキテクトとの違いが明確化され

ていないとの意見があり、IT投資の局面におけるコンサルタントしての役割を次のように考える

こととしました。

IT各投資局面におけるコンサルタントしての役割

コンサルタントは、セールスが行う顧客への提案において、提案の作成段階から深く関与し、

セールスから得られる顧客情報を元に、顧客の経営目標や、ビジョンの策定について助言を行い

ます。

また、コンサルタントは、策定された顧客の経営目標やビジョンの達成に向けた、的確なソリ

ューションの策定において、中心的な役割を担います。

こうして策定されたソリューションの実現に向けた、システムアーキテクチャの策定について

は、ITアーキテクトが中心的に行うこととなります。

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3)結論(改善提言)

IT投資の局面におけるコンサルタントしての役割、及び他の職種との違いを明確化するために、

「IT投資の局面と活動領域の関係」を表す図1のそれぞれの局面での活動内容に、説明を付記す

べきとの結論になりました。

図1,IT投資の局面におけるコンサルタントの役割

①セールスから得られた情報を基に、顧客の経営目標/ビジョンの策定に向け、提言を行う。

②提言した経営目標/ビジョンの達成に向けた、ビジネス戦略の策定を顧客と共に行う。

③策定したビジネス戦略に向けた課題を整理し、その課題解決に向けたITを用いたソリュー

ションの策定を、顧客と共に行う。

④課題解決のためのソリューションを、システム化計画に落とし込む際の企画をコンサルタン

トが行い、そのシステムのアーキテクチャ策定は、ITアーキテクトが中心的に行う。

ただし、以上の他の職種との分解点については、他の職種を担当する委員会(今後、組成を含

む)との間で合意を形成する必要があるため、今後の検討課題とします。

システムの

運用と管理

システムの

運用と管理

運用計画/運用管理

の策定

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の導入

導入計画

の策定

アプリケーション

コンポネント

の保守

アプリケーション

コンポネント

の運用

アプリケーション

コンポネント

の開発

アプリケーション

コンポネント

の設計

アプリケーション

開発計画の策定

システムの

保守

システムの

運用

システムの

導入構築

システム・コンポネントの

設計

システム構築計画の策定

プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制

プロジェクト基本計画の策定

ソリューションの構築

コンポネントの設計

ソリューションアーキテクチャーの設計

ソリューションの枠組み策定

ソリューションの設計

ソリューション策定のための

助言

ビジネス戦略策定の助言

目標/ビジョンの提言

ビジネス課題

ソリューション提案

ビジネス

戦略の確認

目標/ビジョンの確認

ソリューション

保守

(システム/業務)

ソリューション

運用

(システム/業務)

ソリューション

構築

(開発/実装)

コンポネント

設計(システム/業務)

ソリューション

設計(構造/パターン)

課題

整理/分析

(ビジネス/IT)

ビジネス

戦略策定

経営目標/

ビジョン策定

運用・保守開発戦略的情報化企画経営戦略策定

システムの

運用と管理

システムの

運用と管理

運用計画/運用管理

の策定

オペレーション

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の導入

導入計画

の策定

カスタマ

サービス

アプリケーション

コンポネント

の保守

アプリケーション

コンポネント

の運用支援

アプリケーション

コンポネント

の開発

アプリケーション

コンポネント

の設計

アプリケーション

開発計画の策定

アプリケーション

スペシャリスト

ポネントの運用支援

システム・コン

ポネントの設計システム構築計画の策定

IT

スペシャリスト

プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクト基本計画の策定

プロジェクト

マネジメント

ソリューションアーキテクチャーの設計

ソリューションの枠組み策定

IT

アーキテクト

ソリューションの設計

ソリューション策定のための

助言

ビジネス戦略策定の助言

目標/ビジョンの提言

コンサルタント

ビジネス課題

ソリューション提案

ビジネス

戦略の確認

目標/ビジョンの確認

セールス

ソリューション

保守

(システム/業務)

ソリューション

運用

(システム/業務)

ソリューション

構築

(開発/実装)

コンポネント

設計(システム/業務)

ソリューション

設計(構造/パターン)

課題

整理/分析

(ビジネス/IT)

ビジネス

戦略策定

経営目標/

ビジョン策定

運用・保守開発戦略的情報化企画経営戦略策定IT投資の局面

と活動領域

職種

システムの

運用と管理

システムの

運用と管理

運用計画/運用管理

の策定

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の導入

導入計画

の策定

アプリケーション

コンポネント

の保守

アプリケーション

コンポネント

の運用

アプリケーション

コンポネント

の開発

アプリケーション

コンポネント

の設計

アプリケーション

開発計画の策定

システムの

保守

システムの

運用

システムの

導入構築

システム・コンポネントの

設計

システム構築計画の策定

プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制

プロジェクト基本計画の策定

ソリューションの構築

コンポネントの設計

ソリューションアーキテクチャーの設計

ソリューションの枠組み策定

ソリューションの設計

ソリューション策定のための

助言

ビジネス戦略策定の助言

目標/ビジョンの提言

ビジネス課題

ソリューション提案

ビジネス

戦略の確認

目標/ビジョンの確認

ソリューション

保守

(システム/業務)

ソリューション

運用

(システム/業務)

ソリューション

構築

(開発/実装)

コンポネント

設計(システム/業務)

ソリューション

設計(構造/パターン)

課題

整理/分析

(ビジネス/IT)

ビジネス

戦略策定

経営目標/

ビジョン策定

運用・保守開発戦略的情報化企画経営戦略策定

システムの

運用と管理

システムの

運用と管理

運用計画/運用管理

の策定

オペレーション

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の保守

ハードウェア

ソフトウェア

の導入

導入計画

の策定

カスタマ

サービス

アプリケーション

コンポネント

の保守

アプリケーション

コンポネント

の運用支援

アプリケーション

コンポネント

の開発

アプリケーション

コンポネント

の設計

アプリケーション

開発計画の策定

アプリケーション

スペシャリスト

ポネントの運用支援

システム・コン

ポネントの設計システム構築計画の策定

IT

スペシャリスト

プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクトの

管理/統制プロジェクト基本計画の策定

プロジェクト

マネジメント

ソリューションアーキテクチャーの設計

ソリューションの枠組み策定

IT

アーキテクト

ソリューションの設計

ソリューション策定のための

助言

ビジネス戦略策定の助言

目標/ビジョンの提言

コンサルタント

ビジネス課題

ソリューション提案

ビジネス

戦略の確認

目標/ビジョンの確認

セールス

ソリューション

保守

(システム/業務)

ソリューション

運用

(システム/業務)

ソリューション

構築

(開発/実装)

コンポネント

設計(システム/業務)

ソリューション

設計(構造/パターン)

課題

整理/分析

(ビジネス/IT)

ビジネス

戦略策定

経営目標/

ビジョン策定

運用・保守開発戦略的情報化企画経営戦略策定IT投資の局面

と活動領域

職種

システム・コン システム・コンシステム・コン

ポネントの導入構築

ポネントの保守

1 2

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1.3 コンサルタント職種の専門分野

1)現状

「ITスキル標準Ver1.2」のコンサルタント職種の概要において、3つの専門分野を設定

し、それぞれ以下の様に、説明しています。

●BT(Business Transformation)

経営または業務上の課題に対して、ビジネスプロセスのリエンジニアリングによる解決

策を提示する

●IT

経営または業務上の課題に対して、情報技術を活用した事業戦略による解決策を提示す

●パッケージ適用

経営または業務上の課題に対して、パッケージを適用した解決策を提示し、パッケージ

導入の提言と合同検討を行う

2)討議内容

◇ 専門分野全体の討議

① 3つの専門分野の妥当性について

コンサルタントの専門分野として、「BT」「IT」「パッケージ適用」の3つで過不足

がないか、議論を行いました。議論の中で、「IT」と「パッケージ適用」の違いに関して、

「パッケージ適用」は、「IT」の一部分として捉えることができるのではないか、との指

摘がありましたが、現在の日本において「パッケージ適用」は、固有のITスキルとして顧

客から求められるケースが相当量存在します。

よって、現在の設定通り、コンサルタントの専門分野を3つとします。

② 各専門分野の活動領域の定義について

ITスキル標準において、コンサルタントの活動領域は、経営戦略策定及び戦略的情報化

企画の2つの局面と定義されています。ここで、「BT」「IT」「パッケージ適用」の各

専門分野について、それぞれの活動領域を明確化する必要があるのではないか、との指摘が

ありました。

実際、「BT」による顧客へのソリューション提示後、「IT」、もしくは「パッケージ

適用」によるソリューション策定を行う事例は存在します。そのようなケースの場合、結果

的に各専門分野により活動領域が異なることになります。

しかし専門分野は、活動領域ではなく、求められる活動内容、スキル、経験の観点により

3つに区分されています。従って、専門分野の活動領域を明確に差別化することは、他の職

種における専門分野の定義と比較しても、ITスキル標準として好ましくないであろう、と

の結論に至りました。

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ITスキル標準改善提案報告書 Ver1

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◇ 各専門分野の説明について

③ 「BT」の説明文について

BTによる解決策について、「ビジネスプロセスのリエンジニアリング(以下、BPRと言

う)による」とされていますが、BPR以外のソリューションを用いるケースも存在するため、

BPRに特定すべきではない、との指摘がありました。

④ 「パッケージ適用」の説明文について

通常パッケージを導入する際には、複数の製品を比較検討した後に導入製品を決定するこ

とが多いため、その内容を説明文に含めるべきではないか、との提言がありました。

3)結論(改善提言)

②について

討議内容でも述べたように専門分野は、活動局面ではなく求められる活動内容、スキル、

経験の観点により3つに区分されています。しかし、その観点で現在のITスキル標準を整

理した際、専門分野固有の知識項目、スキル項目は明確に定義されていないとの結論となり

ました。

したがって、3つの専門分野の違いを明確化するためにも、次年度以降にコンサルタント

の共通部分、及び各専門分野固有の知識項目、スキルの明確化を行う事と致します。

③について

以下の文として変更を行う。

・経営または業務上の課題に対して、ビジネスプロセスを変革する解決策を提示する。

④について

以下の文として変更を行う。

・経営または業務上の課題に対して、パッケージを適用した解決策を提示し、最適なパッ

ケージの選択、及びパッケージ導入の提言と合同検討を行う。

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1.4 コンサルタント職のレベル

1)現状

現状のコンサルタント職のレベルは、「ITスキル標準概説書」において次のように定義されて

います。

・BT(Business Transformation) レベル4からレベル7

・IT レベル4からレベル7

・パッケージ適用 レベル4からレベル6

また、各レベルの定義は、「ITスキル標準」において、次のように整理されています。

図2.レベルと評価の概念図(レベル4以上を抜粋)

ハイレベル ミドルレベル

レベル7 レベル6 レベル5 レベル4

ビジネス、テクノロジ、メソドロジをリードする(創出、開発) 業務上の課題の発見、解決が出来る(使用)

責任者 リーダ

業界をリード 業界に貢献 社内に貢献 業務範囲(プロジェクト)内をリード

市場に影響力がある

市場に認知される

プロフェッ

ショナルと

しての認

知・リーダ

ーシップ 社内に認知される

指導出来る スキル活

用実績 独力で全て出来る

プロフェッショナルとしての認知度 評価

スキル活用度

※「ITスキル標準V2」の図より引用

2)討議内容

① レベル7の定義について

各専門分野のレベル設定において、当初なぜ「パッケージ適用」のみが「レベル7」がないの

かが、議論されました。しかし、その後、「レベル7」自体の定義として、ITスキル標準の概

説書において、「市場全体から見ても先進的なサービスの開拓や市場をリードする」として、卓

越したスキルとなっていること、また、当然そのレベルであれば、「BT」だけでなく「IT」

も「パッケージ適用」もトータルに考えて経営戦略を策定するスキルが求められるべきというこ

とから、「レベル7」は、それ以下のレベルとは、別の概念、領域で定義すべきであろうとの議

論となりました。

② コンサルタントのレベル設定

コンサルタント職は、「レベル4」からスタートしていますが、実際には、どのような職種か

ら異動してきたとしても、一定期間のエントリレベルの要員が存在し、コンサルタントの補助者

的な役割を担う中で、自身の専門分野を確立して、一人前のコンサルタントとしてのレベル4に

なっていくものであるので、エントリレベルとしてレベル4未満のコンサルタントを定義するこ

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とも有用であろうとの議論となりました。

しかし、議論の中で、コンサルタントに必要なスキルや達成度を考慮した場合、レベル4未満

では顧客の求める品質の業務遂行を行うのは難しく、そうしたレベルの人をコンサルタントと称

することは適切ではない、との結論となりました。したがって、コンサルタント職には、レベル

4未満のエントリレベルを設けない事としました。

ただし、コンサルタントを目指す人が、通過点としてレベル4未満に属して、経験を積んでい

るのが現実であり、コンサルタント育成の観点からは、その存在を認めることが必要です。その

ようなレベル4未満からコンサルタントを目指す枠組みについては、コンサルタント育成ハンド

ブックにおいて、取り扱うこととしました。

3)結論(改善提言)

コンサルタントとしての「レベル7」は、「専門分野の枠を超えて、コンサルタント職におけ

る新たなサービス・価値を生み出し業界を代表するスキルを持つレベル」と定義する。

したがって「レベル7」の達成度指標についても、それ以下のレベルとは、別に定義されるべ

きである。

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1.5 達成度指標、スキル項目、スキル熟達度の改善検討における前提

1)現状

Ver1.2

「達成度指標」は、職種と専門分野毎に、実務能力のレベル評価指標として定義したものである。

一方、各職種において、専門分野共通の「スキル項目」と固有の「スキル項目」から構成される

「スキル項目」毎の習熟度合いを示すものとして「スキル熟達度」が定義されている。

2)討議内容

① 「達成度指標」と「スキル熟達度」は、ともにレベル別に定義されているが、現行の「スキル

熟達度」は、該当レベルの「達成度指標」をそのまま裏返したような表現となっているケース

が多く見受けられる。このため「達成度指標」と「スキル熟達度」の関係を改めて原点に立ち

戻りこの両者の定義範囲を検討しました。

② その結果、「達成度指標」は業務遂行した結果の実績/経験を表す指標とし、「スキル熟達度」

は業務遂行する上での実務能力を表す指標として定義することとすべきとの結論に達しまし

た。

③ また、コンサルタント職種にとって、持てる能力すなわち「スキル熟達度」を、業績すなわち

「達成度指標」に結びつけるものとして、そのコンサルタント個人の資質、マインド、モチベ

ーションとも言える行動様式が重要であり、これを「第三の軸」として、スキル(第一の軸)

や達成度(第二の軸)とは別に位置付けることとしました。

④ この「第三の軸」に該当するものは、委員会メンバ各社において一般的にコンピテンシ(行動

様式)として定義されているものが該当するものとして調査し検討しました。その結果、第三

の軸の中には、ある種の技法として教育・訓練の対象として抽出できるスキル項目と、個々人

の性格を反映した資質、マインド、モチベーションとしてのコンピテンシ(行動様式)に区分

されるとの議論となりました。

図3.達成度指標とスキル熟達度との関係

達成度指標とスキル熟達度との関係

達成度指標業務遂行した結果の実績/経験を表す指標

職種/レベル別に下記を定義

スキル熟達度業務遂行する上での実務能力を表す指標

職種/レベル別に下記を定義

業績評価 能力評価

ビジネス貢献責任性複雑性サイズ

プロフェッショナル貢献

ビジネス貢献責任性複雑性サイズ

プロフェッショナル貢献

スキル項目共通スキル専門スキル

BT領域IT領域パッケージ適用

スキル習熟度※スキルの幅と深さ

PM委員会に準拠

スキル項目共通スキル専門スキル

BT領域IT領域パッケージ適用

スキル習熟度※スキルの幅と深さ

PM委員会に準拠行動様式

能力業績

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3)結論(改善提言)

① 「達成度指標」と「スキル熟達度」の個々の指標に関しては、上記討議内容に従い次項以降の

1.6「達成度指標」~1.8「スキル熟達度」の通り改善提言する。

② 委員会メンバ各社において運用されている第三の軸としてあげられた項目について、スキル項

目とコンピテンシ(行動様式)に下記の通り区分した。

(ア) 研修等によりある種の技法を身につける事で可能となるもの:「スキル項目」

(イ) 個人の資質、マインド、モチベーションに起因したもの :行動様式

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1.6 達成度指標

1)現状

Ver1.2では次のように達成度指標の切り口を再定義しています。

・ ビジネス貢献として、「責任性」、「複雑性」、「サイズ」の3つの切り口で評価

・ プロフェッショナル貢献として、専門技術の向上や普及に代表される専門価値の創造と技術

の継承、後進育成に関する貢献活動を「タスク特性」として評価。

2)討議内容

まず、下記のアプローチで、ビジネス貢献に関する達成度指標の再整理を実施しました。

① 現行の達成度指標にとらわれず、1.1「コンサルタントの定義」で討議した「コンサルタン

トの定義」に基づき、そのビジネス貢献の達成度をはかる指標を抽出。

② ①で抽出した指標を「ビジネス貢献」の切り口である「責任性」、「複雑性」、「サイズ」へ

マッピング。

③ 上記①②で抽出およびマッピングした達成度指標とVer1.2の達成度指標を比較検討。

また、当初、レベル7についても、それ以下と同じメジャーの中で定義づけていましたが、

「1.4 コンサルタント職のレベル」の議論を踏まえて、別に定義すべきであるとの結論によ

り、一覧表からは、除外することとしました。

この比較検討作業の中で、以下のようなテーマについて討議しました。

■全ての切り口に共通する討議テーマ

・ レベル7について

・ ある指標の中で、他の切り口の指標を参照することについて

■責任性に関する討議テーマ

・ コンサルティングの新規性

・ コンサルティングプロジェクト全体責任者

・ プロジェクト経験回数

■複雑性に関する討議テーマ

・ プロジェクトの複雑性を表現するフレームワーク

■サイズに関する討議テーマ

・ 「サイズ」指標の位置付け

・ 「BTとIT」,「パッケージ適用」の専門分野におけるサイズの違い

・ パッケージ適用のレベル7の有無

■プロフェッショナル貢献について

・ プロフェッショナル貢献の分類

・ 顧客への満足感とメンバの達成感

・ コンサルタントの技術的な問題とは

・ 特許取得

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3)結論(改善提言)

以下に達成度指標の改善案の一覧を示します。

以下では、それぞれのレベルの達成度の定義において、異なる部分を抜き出して整理しています。 ビジネス貢献

レベル6 レベル5 レベル4

経営戦略策定及び戦略的情報化企画の局面におけるコンサルティングプロ

ジェクト全体の責任者として、

経営戦略策定及び戦略的情報化企画

の局面におけるコンサルティングプ

ロジェクトにおいて担当領域をリー

ドし、

(続き)提言がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性に対して責任を持ち、コンサルティングプロジェク

トを

責任性

3回以上(レベル6の複雑性、サイ

ズ相当)成功裡に達成した経験を有

する。

2回以上(レベル5の複雑性、サイ

ズ相当)成功裡に達成した経験を有

する。

1回以上(レベル4以上の複雑性、

サイズ相当)成功裡に達成した経験

を有する。

以下の変革(成果)をもたらすコンサルティングプロジェクトを成功裡に達成した経験を有する。(ここでの成果

の度合は、プロジェクトが対象としたユーザー数や対象業務といった主に実施内容が関係します。)

□顧客の全社基幹に対して大きな変

革をもたらし、業界や市場に対して

も大きな影響を与える

□顧客の全社基幹に対して大きな変

革をもたらす

□顧客社内に変革をもたらす

以下のプロジェクト遂行にあたっての阻害要因を持つコンサルティングプロジェクトを成功裡に達成した経験を

有する。(ここでの阻害要因の度合は、主にプロジェクトの体制や制約事項が関係します。)

複雑性

□困難な阻害要因がある □阻害要因がある □阻害要因があまりない

以下の規模に相当するコンサルティングプロジェクトにおいて、コンサルティングメソドロジに基づいたコンサル

ティングを成功裡に実施した経験を有する。

サイズ

□年間売上金額3億円以上で、10

名以上のコンサルティングチーム

□年間売上金額1億円以上で、5名

以上のコンサルティングチーム

□年間売上金額3千万円以上で、3

名以上のコンサルティングチーム

プロフェッショナル貢献

―以下の自社コンサルティング事業

への貢献および社内技術継承に対し

て4項目以上の実績を有する

―以下の自社コンサルティング事業

への貢献および社内技術継承に対し

て3項目以上の実績を有する

―以下の自社コンサルティング事業

への貢献および社内技術継承に対し

て1項目以上の実績を有する

□コンサルティング事業戦略策定 □コンサルティングビジネスの提案活動 □特許出願

□社内論文掲載 □社内講師 □後進の育成

―以下の社外技術継承に対して2項

目以上の実績を有する

―以下の社外技術継承に対して1項

目以上の実績を有する

□学会、委員会等プロフェッショナルコミュニティ活動

□社外講師 □社外論文掲載 □著作

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1.7 スキル領域、スキル項目、知識項目

1)現状

Ver1.1

職種/専門分野に必要なスキルを教育・訓練に活用する観点から要素分解した「スキル項目」

を整理し、スキル項目毎に必要な「知識項目」を展開。

Ver1.2

研修等の教育や訓練に活用するために、職種と専門分野に必要な実務能力を詳細に整理した

「スキル項目」とそれを細分化した「知識項目」を定義している。スキル項目を各職種共通スキル

項目と専門分野固有スキル項目に分けて「スキル領域」とした。

なお、ITスキル標準では、標準としての汎用性や利便性を確保する等の観点から、以下のよ

うな詳細な記述は行っていない。

· プロジェクトの局面に応じて短期的に必要となる個別の製品、サービスに関する要素技術

· 製造や金融など業種毎に異なる適用業務知識

· 個人のモチベーションや資質

2)討議内容

ITスキル標準に定義されたスキル項目、知識項目に関して、以下の討議を行いました。

① 職種/専門分野に必要なスキル項目およびそのスキルに必要な知識項目として定義されている

事項は、スキルと知識とが明確には区分されていない。また、スキルと考えられる項目の中に

は、コンサルタントとしての業務そのものをそれぞれ実施するためのスキルと、その前提また

は業務全般にわたって必要なスキルが混在している。前者の業務毎に必要なスキルを考えるた

めには、コンサルタントとして実施する業務内容をタスクレベルで分解し、それぞれの業務を

実施できるスキルとして定義することが有用であると考えられる。

② スキル項目の分類として、研修ロードマップの5つのカテゴリで考えておくことが、今後の研

修内容を検討するために必要なため、抽出されたスキル項目および知識項目について、5つの

カテゴリにマッピングする。

③ 研修ロードマップの5つのカテゴリの内、プロジェクト・マネジメントと、パーソナルは、特

定の業務に必要なスキルというよりも、コンサルタントとしての業務を遂行する上で、全般的

に必要とされるスキルと考えられる。その他の、メソドロジ、テクノロジ、ビジネス/インダ

ストリは、業務毎に必要なスキルに必要な知識として、項目をマッピングできると考えられる。

④ コンサルタントとして実施する業務をタスクレベルに分解するにあたっては、システムアナリ

ストスキル標準およびITコーディネータのカリキュラムガイドライン(Ver.1.0)を参考に

して検討する。また、合わせて、それぞれの業務(スキル)に必要な知識項目も、それらを参

考に抽出する。

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3)結論(改善提言)

今回は、コンサルタントとして実施するタスクを明らかにして、各種参考資料から知識項目を

マッピングする所までで、いったんその作業を終わらせた。内容の精査についても、今後の課題

としている。

また、今回の検討結果からは、「BT」、「IT」、「パッケージ適用」という専門分野別の

業務タスクは識別されず、また、それぞれの業務に必要な知識において、専門分野固有の知識項

目として明確に分類することについては、消極的との結論に至った。

なぜなら、どの専門分野であっても、コンサルタントの活動領域である経営戦略策定および戦

略的情報化企画局面においては、「BT」、「IT」、「パッケージ適用」それぞれに固有と考

えられる知識についても、ある程度広く・浅く知識として保有し、必要であれば、深く調査・分

析することが、コンサルタントには本来的に求められると考えられるからである。

コンサルタントとしてのスキル項目および知識項目の観点においても、専門分野をどのように

捉えるのかが、今後の検討課題となっている。

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1.8 スキル熟達度

1)現状

Ver1.1

スキル項目毎に習熟の度合いを示す「スキル熟達度」を展開。

Ver1.2

スキル領域で定義された職種共通スキル項目および専門分野固有スキル項目に対して、それぞ

れどのレベルに相当するスキルを保有しているかを表現するのが「スキル熟達度」である。スキ

ル熟達度はすべて「~することができる」という表現によって定義している。

また、スキル項目とスキル熟達度は、教育や訓練の設計を行う際の指標としても活用されるこ

とが期待される。

達成度指標とスキル熟達度については、共にレベルを含んでおり混同されやすいため注意が必

要である。スキルフレームワークでの専門分野におけるレベル判定は、あくまでも経験と実績の

指標である達成度指標を用いて行う。スキル熟達度はそのレベルの達成度判定のための必要条件

であるが、十分条件ではない。

2)討議内容

ITスキル標準に定義されたスキル熟達度に関して、以下の討議を行いました。

① 現行の「スキル熟達度」は、該当レベルの「達成度指標」をそのまま裏返したような表現とな

っているケースが多く見受けられる。それは、「スキル熟達度はそのレベルの達成度判定のた

めの必要条件」という定義には外れていないとは言えるが、これをもって「教育や訓練の設計

を行う際の指標としても活用」され得るかについて検討した。

② 1.7「スキル領域、スキル項目、知識項目」の整理により抽出された、スキル項目および知

識項目のマッピング結果から、それぞれの項目について、コンサルタントとしての熟達度レベ

ルが定義できるかどうかという観点で検討を行った。

3)結論(改善提言)

1.7「スキル領域、スキル項目、知識項目」の整理により、抽出されたスキル項目および知

識項目については、一人前のコンサルタントとして業務を遂行する上で、等しく求められる項目

が多く、その範囲および深さにおいて熟達度レベルを分けることは、実務の実態にそぐわないと

考えられる。熟達度レベルの判定については、スキルや知識の範囲や深さという観点ではなく、

実務能力という経験値も加味することが必要と考えられる。

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2. 達成度指標とスキル項目、知識項目(詳細編) 2.1 達成度指標

1)討議内容

まず、下記のアプローチでビジネス貢献に関する達成度指標の再整理を実施しました。

① 現行の達成度指標にとらわれず、1.1「コンサルタントの定義」で討議した「コンサルタン

トの定義」に基づき、そのビジネス貢献の達成度をはかる指標を抽出。

管理拠点・ユーザ

製品・サービス・テクノロジー

スコープ

実施内容

自社

お客様

ビジネスパートナー

体制

導入・管理する拠点数が多い

導入対象国が複数にわたる

対象ユーザが多い

提供する製品・サービス、テクノロジーの新規性が高い

提供する製品・サービス、テクノロジー自体が多くの課題を抱えている

プロジェクトスコープについて、お客様との明確な合意が取れていない

プロジェクトスコープがお客様の事業・機能など広範にわたる

プロジェクトスコープがお客様の事業の基幹に関わる

提供する製品・サービス、テクノロジーについて、チームメンバーの知識・経験が乏しい

メンバーが広範な機能/チームから構成されている

お客様にとって、実現に伴う抵抗の度合いが大きい

コミットメントが不明確または遵守されない

関連するステークホルダーが多数の部署にわたる

提供する製品・サービス、テクノロジーについて、過去の実績が乏しい

ビジネスパートナーとの連携が多岐にわたる

図4.「達成度指標」の抽出結果

効果 提供する製品・サービス、テクノロジーによる事業への効果が大きい

制約 制約条件

極めて短期間でのシステム構築を余儀なくされた

新たに施行されるXXX法に準拠したシステムである請負契約である

拠点数導入対象国数対象ユーザ数

新規性リスク品質リスク

スコープの合意対象範囲クリティカル度

経験・知識構成

抵抗度合いコミットメント遵守度

関連組織

経験・知識構成

効果

時間的制約法的制約

契約条件の制約

分類 指標 指標の具体例

② ①で抽出した指標を「ビジネス貢献」の切り口である「責任性」、「複雑性」、「サイズ」へ

マッピング。

図5.抽出した「達成度指標」と「切り口」とのマッピング

サイズ複雑性責任性

拠点数/導入対象国数/対象ユーザ数

新規性リスク/品質リスク

スコープの合意/クリティカル度

変革度/コミットメント遵守度

経験・知識(自社)

効果

管理拠点・ユーザ

製品・サービス・テクノロジー

スコープ

実施内容

自社

お客様

ビジネスパートナー

体制

効果

制約

制約条件

対象範囲

関連組織

構成(自社)

経験・知識(パートナー)

構成(パートナー)

時間的制約/法的制約/契約条件の制約

分類

どの立場にたって遂行したのか?

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③ 上記①②で抽出およびマッピングした達成度指標とVer1.2の達成度指標を比較検討。

この比較検討作業の中で、以下のような討議を実施しました。

■全ての切り口に共通する討議テーマ

討議テーマ 討議内容

レベル7について コンサルタントとしての「レベル7」は、「専門分野の枠を超えて、コンサルタント職における

新たなサービス・価値を生み出し業界を代表するスキルを持つレベル」として、その達成度指標

についても、それ以下のレベルとは別に定義すべきとして、一覧表からはずしています。

ある指標の中で、他の切

り口の指標を参照するこ

とについて

例えば、パッケージ適用のレベル 6サイズの定義は、次の様に記述されています。

□年間売上金額3億円以上で、10名以上のコンサルティングチームを複数運営

□管理する要員数がピーク時10名以上または年間売上金額1億5千万円以上で、上記複雑性

の条件の5項目以上に該当

こうした他の指標を参照するものは、指標を複雑化し、わかりにくくする可能性が高いため、シ

ンプルにする方向性で検討いたしました。

■責任性に関する討議テーマ

討議テーマ 討議内容

コンサルティングの新規

「(前略)コンサルティングチームをリードし、提言に対する顧客満足度、実現可能性、新規性

等に責任を持ち(後略)」とあります。

この「新規性」についてですが、レベル6以下のコンサルタントがすべき責任は「提言がもたら

す価値や効果」であり、特に、「新規性」に責任を持つものではないと考えます。

「新規性」は、「業界をリードする」という観点で、レベル7を判定する際の指標の1つと考え

られます。

コンサルティングプロジ

ェクト全体責任者

現在は、全レベルにおいて、「コンサルティングプロジェクト全体責任者として、コンサルティン

グチームをリードし」となっていますが、全コンサルタントがプロジェクト全体の責任者である

ことは現実的ではないと思われます。

レベル 4においては、プロジェクト全体責任者ではなく、担当領域をリードするコンサルタント

とした方が望ましいと考えます。

プロジェクト経験回数

現在は、自レベルと下位レベルの両方を参照していてわかりにくい、プロジェクトの経験回数は、

該当レベルのプロジェクトを何回経験したのかという記述に変更し、わかり易くしたほうが良い

のではという意見がでました。

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■複雑性に関する討議テーマ

討議テーマ 討議内容

プロジェクトの複雑性を

表現するフレームワーク

プロジェクトの複雑性の要素を洗い出しましたが,これをどのように表現すべきかという討議を

行いました。個々の要素とその度合いによる「面積」として定量化する方法が有効であるという

意見がでました。先行して検討している他の委員会でも同様の意見がでているようですが、コン

サルタント委員会では、「面積」を定性的にあらわす方向で検討し、複雑性を評価する切り口を下

記の 2つとして、前項で抽出された達成度を測る個々の要素は、以下の切り口から複雑性を評価

する際の要素として位置づけることとしました。

・提言の効果(成果):プロジェクトのアウトプット(成果)から複雑性を評価する指標として、前

項の図4中の「実施内容」に分類される指標が主に該当します。

・プロジェクト遂行プロセスにおける阻害要因:プロジェクトのプロセス(遂行)上の阻害要因)か

ら複雑性を評価する指標として、前項の図4中の「体制」「制約」に分類される指

標が主に該当しますが、「実施内容」に分類される指標も関係します。

■サイズに関する討議テーマ

討議テーマ 討議内容

サイズの位置付け サイズの要素を洗い出した結果、拠点数、ユーザ数などの「プロジェクトの規模を定量的に測る

もの」、「サービス提供側の自社ビジネスへの貢献を定量的に測るもの」の2つがあることを認識

しました。その内、「プロジェクトの規模を定量的に測るもの」は、複雑性を評価する際の要素と

して捉えることとして、サイズについては、サービス提供側の自社ビジネスへの貢献を定量的に

測る指標によりレベル分けすることにしました。

「BTとIT」,「パッケ

ージ適用」の専門分野に

おけるサイズの違い

同一レベル内において、「BTとIT」,「パッケージ適用」の専門分野で、異なる売上金額および

人員数で定義されています。

しかし、システム導入局面で売上金額および人員数の違いはあるかもしれませんが、経営戦略策

定及び戦略的情報化企画の局面においては、コンサルタントのタスクは同じなので、「BTとIT」

か,「パッケージ適用」かによって、売上金額および人員数の違いはないという意見がでました。

パッケージ適用のレベル

7の有無

「パッケージ適用」領域のみレベル 7が存在しないことの是非の議論から、そもそもコンサルタ

ント職のレベル 7の位置付けとはとの議論に発展し、レベル 7を「専門分野の枠を越えて、コン

サルタント職における新たなサービス・価値を生み出し業界を代表するスキルを持つレベル」と

定義することで、「パッケージ適用」のみ別途の扱いとすることを止めました。

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■プロフェッショナル貢献について

討議テーマ 討議内容

貢献の分類 現在のプロフェッショナル貢献は、様々な要素が混在しており、複雑だと思われます。

これを、「自社への貢献」と「社外への貢献」の2つに大別して整理することとして、それぞれ何

項目以上の実績があるかによってレベル分けすることを検討しました。

顧客への満足感と

メンバの達成感

「コンサルティングプロジェクト終了時、XXXへの満足感及びコンサルティングチームメンバへ

の達成感の提供」という項目がありますが、これは、プロフェッショナル貢献の定義である「専

門技術の向上や普及に代表される専門価値の創造と技術の継承、後進育成に関する貢献活動」に

該当しないと考えました。

コンサルタントの技術的

な問題とは

「コンサルタントの技術的な問題に関して・・・をリード/に貢献する」という記述があります

が、「コンサルタントの技術的な問題」とは具体的に何をさすのか不明確であるという意見がでま

した。

特許取得 特許取得は結果がでるまで時間がかかるため、特許申請とすることはどうかという意見が出まし

た。

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2)結論(改善提言)

責任性

レベル7 レベル6 レベル5 レベル4

経営戦略策定及び戦略的情報化企画の局面におけるコンサルティングプロジェクト全体の責任者として、コンサルティングチ

ームをリードし、提言に対する顧客満足度、実現可能性、新規性等に責任を持ち、コンサルティングプロジェクトを

現状

3回以上(内1回以上はレベ

ル7、他はレベル6以上の複

雑性、サイズ相当)成功裡に

達成した経験と実績を有す

る。

3回以上(内1回以上はレベ

ル6、他はレベル5以上の複

雑性、サイズ相当)成功裡に

達成した経験と実績を有す

る。

2回以上(内1回以上はレベ

ル5、他はレベル4以上の複

雑性、サイズ相当)成功裡に

達成した経験と実績を有す

る。

1回以上(レベル4以上の複

雑性、サイズ相当)成功裡に

達成した経験と実績を有す

る。

経営戦略策定及び戦略的情報化企画の局面におけるコンサ

ルティングプロジェクト全体の責任者として、

経営戦略策定及び戦略的情報

化企画の局面におけるコンサ

ルティングプロジェクトにお

いて担当領域をリードし、

続き)提言がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性に対して責任を持ち、コンサル

ティングプロジェクトを

改善案

3回以上(レベル6の複雑

性、サイズ相当)成功裡に達

成した経験を有する。

2回以上(レベル5の複雑

性、サイズ相当)成功裡に達

成した経験を有する。

1回以上(レベル4以上の複

雑性、サイズ相当)成功裡に

達成した経験を有する。

改善点 理由

レベル 6、レベル 5の共通文言部「コンサルティングプロジェクト

全体の責任者として、コンサルティングチームをリードし、提言に

対する顧客満足度、実現可能性、新規性等に責任を持ち」を「提言

がもたらす価値や効果、顧客満足度、実現可能性に対して責任を持

ち」に修正

ITスキル標準V2 β版に対する指摘事項を反映し、ま

た表現が冗長な部分を省く。

レベル 4においては、コンサルティングプロジェクト全体責任者で

はなく、担当領域をリードするコンサルタントとする

全コンサルタントが、プロジェクト全体の責任者である

ことは現実的ではない。

レベル 6、レベル 5のプロジェクト経験回数の記述修正

プロジェクトの経験回数は、該当レベルのプロジェクトを何回経験

したのかという記述に変更しわかり易くする

現在は、自レベルと下位レベルの両方を参照していてわ

かりにくいため。

レベル 7の定義を削除 レベル 7は専門領域を越えた特別なレベルと位置付けた

ため。

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複雑性

レベル7 レベル6 レベル5 レベル4

以下の3項目以上の条件に該

当する高難易度のコンサルテ

ィングプロジェクトにおける

コンサルティングを成功裡に

作成した経験と実績を有する

(「国際的に見て先進的な事例

であり、業界や市場として最初

の取り組みである」は必須)。

以下の2項目以上の条件に該当する高難易度のコンサルティングプロジェクトにおけるコ

ンサルティングを成功裡に作成した経験と実績を有する。

□国際的に見て先進的な事例

であり、業界や市場として最初

の取り組みである

□先進的な事例であり、業界や市場として最初の取り組みである

現状

□コンサルティングプロジェクトが複雑な組織で構成されている

□複数のコンサルティングメソドロジを組み合わせる必要がある

□多くの事業(利用者や組織)に対して大きな影響を与える □ビジネス上のリスクが高い契約条件

□変革の度合いが大きい

以下の変革(成果)をもたらすコンサルティングプロジェクトを成功裡に達成した経験を有

する。(ここでの成果の度合は、プロジェクトが対象としたユーザー数や対象業務といった

主に実施内容が関係します。)

□顧客の全社基幹に対して

大きな変革をもたらし、業界

や市場に対しても大きな影

響を与える

□顧客の全社基幹に対して

大きな変革をもたらす

□顧客社内に変革をもたらす

以下のプロジェクト遂行にあたっての阻害要因を持つコンサルティングプロジェクトを成

功裡に達成した経験を有する。(ここでの阻害要因の度合は、主にプロジェクトの体制や制

約事項が関係します。)

改善案

□困難な阻害要因がある □阻害要因がある □阻害要因があまりない

改善点 理由

下記の 2つの切り口から、評価する

・提言の効果

・プロジェクト遂行プロセスにおける阻害要因、複雑性

レベル 7の定義を削除 レベル 7は専門領域を越えた特別なレベルと位置付けた

ため。

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サイズ

レベル7 レベル6 レベル5 レベル4

以下の規模に相当するコンサルティングプロジェクトにおいて、コンサルティングメソドロジに基づいたコンサルティング

を成功裡に実施した経験と実績を有する。

□5名以上のコンサルティン

グチームで、年間売上金額2

億円以上を複数運営

□年間売上金額1億円以上

で、3名以上のコンサルティ

ングチームを複数運営

□年間売上金額3千万円以

上で、単独または2名以上の

コンサルティングチームを

複数運営

□年間売上金額1千万円以上

で、2名以上のコンサルティ

ングチームへの参画

現状

BT、

IT

□管理する要員数がピーク時

5名以上または年間売上金額

1億円以上で、上記複雑性の

条件の5項目以上に該当

□管理する要員数がピーク

時3名以上または年間売上

金額5千万円以上で、上記複

雑性の条件の5項目以上に

該当

□管理する要員数が1名以

上または年間売上金額1千

5百万円以上で、上記複雑性

の条件の5項目以上に該当

□要員数が2名以上または年

間売上金額5百万円以上で、

上記複雑性の条件の5項目以

上に該当

□年間売上金額3億円以上

で、10名以上のコンサルテ

ィングチームを複数運営

□年間売上金額1億円以上

で、5名以上のコンサルティ

ングチームを複数運営

□年間売上金額3千万円以上

で、3名以上のコンサルティ

ングチームへの参画

現状

パッケ

ージ

適用

□管理する要員数がピーク

時10名以上または年間売

上金額1億5千万円以上で、

上記複雑性の条件の5項目

以上に該当

□管理する要員数が5名以

上または年間売上金額5千

万円以上で、上記複雑性の条

件の5項目以上に該当

□要員数が3名以上または年

間売上金額1千5百万円以上

で、上記複雑性の条件の5項

目以上に該当

以下の規模に相当するコンサルティングプロジェクトにおいて、コンサルティングメソドロ

ジに基づいたコンサルティングを成功裡に実施した経験を有する。

改善案

□年間売上金額3億円以上

で、10名以上のコンサルテ

ィングチーム

□年間売上金額1億円以上

で、5名以上のコンサルティ

ングチーム

□年間売上金額3千万円以上

で、3名以上のコンサルティ

ングチーム

改善点 理由

サイズは、サービス提供側の自社ビジネスへの貢献を定量的に測る

指標として位置付ける(拠点数、ユーザ数などのプロジェクトの規

模を定量的に測るものは含めない)

「BTとIT」,「パッケージ適用」の違いをなくす 経営戦略策定及び戦略的情報化企画の局面において、

BT、IT、パッケージ適用のプロジェクトで売上金額

および人員数の違いはない。

売上金額が少なくても、複雑性が高いことにより難易度が高くなる

という前提に基づいた項目を削除

他の指標を参照するものは、指標をいたずらに複雑化す

る可能性が高いため。

「複数運営」などの経験回数は「責任性」の項でのみ記述する 他の指標を参照するものは、指標をいたずらに複雑化す

る可能性が高いため。

レベル 7の定義を削除 レベル 7は専門領域を越えた特別なレベルと位置付けた

ため。

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プロフェッショナル貢献

レベル7 レベル6 レベル5 レベル4

-以下のコンサルタントの領域について他を指導することができる高度な専門性を保有する

□コンサルティング事業のプロモーション活動 □経営戦略、事業戦略及び事業環境に関する高度な専門的見識

□コンサルティング事業戦略策定 □コンサルティングビジネスの提案活動

□コンサルティングプロジ

ェクト終了時、経営者層への

満足感及びコンサルティン

グチームメンバへの達成感

の提供

□コンサルティングプロジ

ェクト終了時、事業部長相

当または部長相当以上への

満足感及びコンサルティン

グチームメンバへの達成感

の提供

□コンサルティングプロジェク

ト終了時、部長相当以上への満足

感及びコンサルティングチーム

メンバへの達成感の提供

―コンサルタントの技術的

な問題に関して業界をリー

ドする

―コンサルタントの技術的

な問題に関して業界に貢献

する

―コンサルタントの技術的な問

題に関して社内に貢献する

-

―以下の技術の継承に対し

て5項目以上の実績を有す

―以下の技術の継承に対し

て4項目以上の実績を有す

―以下の技術の継承に対して3

項目以上の実績を有する

―以下の技術の継承に対し

て1項目以上の実績を有す

現状

□学会、委員会等プロフェッショナルコミュニティ活動 □著作 □社外論文掲載 □社内論文掲載 □社外講師

□社内講師 □特許取得

―以下の自社コンサルティ

ング事業への貢献および社

内技術継承に対して4項目

以上の実績を有する

―以下の自社コンサルティング

事業への貢献および社内技術継

承に対して3項目以上の実績を

有する

―以下の自社コンサルティ

ング事業への貢献および社

内技術継承に対して1項目

以上の実績を有する

□コンサルティング事業戦略策定 □コンサルティングビジネスの提案活動

□特許出願 □社内論文掲載 □社内講師 □後進の育成

―以下の社外技術継承に対

して2項目以上の実績を有

する

―以下の社外技術継承に対して

1項目以上の実績を有する

-

改善案

□学会、委員会等プロフェッショナルコミュニティ活動

□社外講師 □社外論文掲載 □著作

-

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改善点 理由

「以下のコンサルタントの領域について他を指導することができ

る高度な専門性を保有する」の文言を下記に修正

「以下の自社コンサルティング事業への貢献および社内技術継承

に対して XX項目以上の実績を有する」

「専門性を保有する」ことを評価するのはスキル熟達度

であり、その専門性をもってどのように貢献したのかを

評価するのが達成度である。また、「自社への貢献」、「社

外への貢献」と2つに大別して整理するにあたって、こ

れを「自社への貢献」とする。

「コンサルティング事業のプロモーション活動」を削除 プロモーション活動は、コンサルタントとしての基本的

なビジネスへの貢献活動であって差別化する要素では

ない

「経営戦略、事業戦略及び事業環境に関する高度な専門的見識」を

削除

専門的見識はスキル項目であるため。

「コンサルティングプロジェクト終了時、XXXへの満足感及びコ

ンサルティングチームメンバへの達成感の提供」を削除

プロフェッショナル貢献の定義である「専門技術の向上

や普及に代表される専門価値の創造と技術の継承、後進

育成に関する貢献活動」に該当しないと思われる。

「コンサルタントの技術的な問題に関して XXXをリードする」を

削除

「コンサルタントの技術的な問題」とは具体的に何をさ

すのか不明確である。

「特許取得」を「特許出願」へ変更 特許取得は結果がでるまで時間がかかるため。

レベル 7の定義を削除 レベル 7は専門領域を越えた特別なレベルと位置付けた

ため。

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2.2 スキル項目、知識項目 1)討議内容

スキル項目、知識項目の整理を、次の手順で行った。

① コンサルタント職種の活動領域における具体的な活動内容をタスクとして定義。

② 各タスクの内容を明確にするために、各タスクの概要とともに、そこで想定されている成

果物を定義

③ 成果物を作成する単位をタスクの区切りとして、タスクを再整理

④ 各タスクを実施するために必要なスキルを「ITスキル標準V1」に定義されているスキ

ル項目等を参考に、「~できること」として定義

⑤ システムアナリストスキル標準およびITコーディネータのカリキュラムガイドライン

(Ver.1.0)に定義されたタスクや作業フェーズと、③のタスクの紐付けを行いながら、シ

ステムアナリストスキル標準等のタスク毎に必要とされている知識項目を抽出し、それをメ

ソドロジ、テクノロジ、ビジネス/インダストリに区分しながら③のタスクにマッピング。

2)結論(改善提言)

スキル項目、知識項目として、表1を整理した。

ここに整理されたスキル項目、知識項目について、その整理の前提としたタスクの切り分けは、

必ずしも固定的ではなく、アプローチの変化により見直しが必要となる。したがってそれぞれの

タスクに必要とされるスキル項目も見直しが必要である。

また、知識項目については、経営環境、経営手法、技術動向により見直しが必要となる。

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表1.スキル項目・知識項目の整理表(1)

ビジネス/インダストリその職種・専門分野にて知っておくべき知識、特に業界に特化した事象や業界特有の動向・法律・規則など

テクノロジー業務を行うにあたり必要とされる技術的なスキル。最新技術動向・開発技術・プログラミング技術など

メソドロジー業務を遂行する際に必要とされるその手法や方法論、解決方法など

事業環境の分析(外部・内部)

事業環境の分析(外部・内部)企業をとりまく環境を外部、内部双方の視点から分析し、現状と動向・課題を抽出する

事業環境分析書・外部環境の分析・内部環境の分析

・顧客の属する業界の特徴・ベストプラクティス、ベンチマーキング、ステークホルダー (それぞれ業界固有含む)・各種成熟度の概念と内容・マクロ経済に関する知識・業界動向、競合他社に関する知識・関連法案に関する知識

・事業環境の把握のための枠組み・顧客特性の分析手法・ナレッジマネジメント、ナレッジの収集・体系化する手法・技法・外部環境情報の調査方法

・外部環境の調査・分析手法に関する知識・文書化に関する知識

経営者インタビュー トップマネジメントイシューの抽出

インタビューを実施し、トップマネジメントの考える今後目指すべき姿および底に向けて認識している課題を抽出し、整理する

インタビュー結果・インタビューの実施・イシューの抽出・整理

ビジョン(仮説)の策定・イシューに基づく仮説の構築・ビジョンの策定

・経営一般に関する知識・経営要求の重点事項に関する知識

・業績評価の指標設定方法・プロセス改革手法(ベイトプラクティスの導入、ベンチマーキング)

・経営戦略の策定技法

経営目標(仮説)の設定・ビジョンに基づく達成指標の抽出・経営目標の設定

経営課題の抽出 経営課題の抽出ビジョンに対する現状の経営課題を抽出する

次フェーズ準備資料 ・経営課題の抽出

業界動向・情報技術動向の分析・業界分析(現状・トレンド)'・情報技術動向の分析

現行ビジネス・情報システムの分析

・分析項目の設定・インタビューの実施・現行ビジネスの分析・情報システムの分析

・財務管理の知識・財務分析の知識・管理会計の知識・知的所有権・知的財産の知識

経営リスク評価 経営リスク評価

変革領域の各オプションに対し、変革における経営リスクを分析し、抽出されたリスクに対する評価を行う

経営リスク評価書・分析結果からのリスク項目抽出・リスク評価指標の設定・リスクの評価

・企業の社会的責任に関する知識・企業リスクに関する知識・セキュリティに関する知識・個人情報保護法に関する知識・リスクマネジメントと内部管理態勢に関する知識

変革領域の特定・変革領域の選定基準設定・領域ごとの評価実施

ビジネスモデル(仮説)の策定・分析結果に基づく仮説構築・ビジネスモデルの構築

・企業の事業領域に関する知識・企業のコンピテンシに関する知識・アライアンスに関する知識・ビジネスプロセスに関する知識

・ITビジネスバリューに関する知識・ビジネスプロセスのモデル化の技法

・ビジネスモデルに関する知識・ビジネスモデル立案のためのフレームワーク検討に関する知識・ビジネスモデルの企画に関する知識・企業競争力の分析手法に関する知識・ビジネスプロセス分析・表記手法に関する知識

ビジネスケース(仮説ベース)の作成・投資額の算出・ROIの算定・実施におけるリスク分析・評価

ビジネス戦略策定への助言・戦略策定に向けた助言ポイントの整理

事業環境分析書

経営戦略策定書

経営ビジョンの策定

ビジネス戦略策定

事業環境の詳細分析(外部・内部)

経営戦略策定のために、企業の内部・外部の状況を分析する

経営戦略策定分析およびリスク評価の結果から、変革領域を特定し、ビジネスモデルを策定する

経営戦略策定

経営目標/ビジョン策定

目標・ビジ

ョンの提言

タスク

活動局面

ビジネス戦略策定の助言

知識項目

活動領域

活動内容

事業環境分析およびインタビュー結果から企業におけるあるべき姿を仮設として策定する策定したビジョンについて、マイルストーンとなる定量的目標を設定する

タスクスキル項目(できること)

タスク概要タスク成果物

小タスク

経営ビジョン

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表1.スキル項目・知識項目の整理表(2)

ビジネス/インダストリその職種・専門分野にて知っておくべき知識、特に業界に特化した事象や業界特有の動向・法律・規則など

テクノロジー業務を行うにあたり必要とされる技術的なスキル。最新技術動向・開発技術・プログラミング技術など

メソドロジー業務を遂行する際に必要とされるその手法や方法論、解決方法など

現行業務プロセスの分析

・インタビューの実施・プロセス分析・プロセスマップ・ファンクションリストの作成

・企業の一般的な基幹業務に関する知識・業務プロセスに関するベストプラクティス

・業務プロセスの可視化の方法・業務プロセスの成熟度の指標

・ 内部環境の調査・分析手法に関する知識・ 経営管理業務・手法に関する知識

現行情報システムの分析・インタビューの実施・システム構成図の作成

・IT構築に関するベストプラクティス・IT環境の可視化の方法・IT化の成熟度の指標・EA等のIT戦略策定モデル

・情報システムの調査・分析と評価に関する知識

現行プロセス・システムの課題分析・課題の抽出・課題の原因・インパクトの調査

・インターネット利用の現状・業界ベストプラクティスの調査方法・IT動向関連情報の調査方法

・IT動向の調査手法に関する知識

IT領域の外部環境分析 ・IT外部環境の分析 ・IT化に必要な経営資源に関する知識・チェンジマネジメント・BPRの考え方

・業務分析手法に関する知識・企業の経営戦略に関する知識・企業の経営資源に関する知識

IT戦略策定 解決策オプションの策定・評価リスク・投資対効果などの視点からIT戦略オプションを評価し、戦略を策定する

IT戦略策定書・解決策オプションの策定・オプション評価指標の設定・オプション評価

・IT導入方式、IT運用形態・モデリングに関する知識・IT投資効果の評価手法・ITサービスレベルの策定手法

・業務分析手法に関する知識・ BPRに関する知識・業務改革、チェンジマネジメントの進め方

実行企画書(マスタープラン)の策定

実行企画書(マスタープラン)の策定戦略実行に向けて、マイルストーンとなる時期をもとにした実行企画書を策定する

実行企画書

・マイルストーンの計画・アプローチの設定・リソース分配の計画・マスタープランの策定

・ITリスクに関する知識・ITセキュリティに関する知識・個人情報保護法に関する知識・リスクマネジメントとIT統制に関する知識

・情報戦略指針の記述形式標準に関する知識・IT化プロジェクトの形態・IT化プロジェクトマネジメント

戦略的情報化企画

課題整理/分析

(ビジネス/IT

)

ソリ

ュー

ション策定のための助言

IT領域における環境分析(内部・外部)

経営戦略実行に向けて、IT環境を内部・外部双方の視点から分析し、現状と動向・課題を抽出し、IT戦略オプション(仮説)を検討する

IT環境分析書

タスクスキル項目(できること)

タスク タスク概要タスク成果物

活動局面

小タスク

知識項目

活動領域

活動内容

目標・ビジョンの

提言

ビジネス戦略策定

の助言

戦略的情報化企画

ソリ

ューション策定のための助言

プロジェクトマネジメント ・統合マネジメント ・スコープマネジメント ・タイムマネジメント ・コストマネジメント ・品質マネジメント ・人的資源マネジメント ・コミュニケーションマネジメント ・リスクマネジメント ・調達マネジメントモニタリング&コントロール

・リーダーシップ・コミュニケーション・ネゴシエーション・分析力/問題解決力・顧客志向・品質の重視・計画性・成果の追求・判断力・関係構築力・チームワーク・プレゼンテーション能力・文書化の能力

経営戦略策定

共通スキル項目活動局面

活動内容

活動領域

経営目標/ビジョ

ン策定

ビジネス戦略策定

課題整理/分析

(ビジネス/IT

)

プロジェクトマネジメントプロジェクトを運営するにあたり必要とされるスキル

パーソナル(リーダーシップ等)業務を遂行する際に必要とされる人間性、精神面に置けるスキル

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3. コンサルタント委員会の設置 ● 委員会の設置について ITスキル標準 プロフェッショナルコミュニティでは、企業の事業戦略立案において重要なコ

ンサルタントのハイレベルな人材育成を目的として、「コンサルタント委員会」を設置しました。

● コンサルタント委員

ハイレベルなコンサルタント人材を保有している企業数社にプロフェッショナルコミュニティ

へ参加頂き、その企業の代表を委員として平成17年6月22日にコンサルタント委員会が発足し

ました。さらに、コンサルタント委員会の下に2種類のワーキンググループ(WG)として、I

Tスキル標準の改善提案を検討する「改善WG」とコンサルタントのプロフェッショナル育成につ

いて検討する「育成WG」を立ち上げました。なお、平成18年3月現在における本委員会の委員

(◎は主査、○は副主査)は次の通りです。(五十音順) 会社名 氏名(敬称略) 所属

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス(株)

倉持クラモチ

快夫ヨ シ オ

○ ヒューマンキャピタルマネジメント

マネージングコンサルタント

SAPジャパン(株) 佐藤サトウ

保則ヤスノリ

公共事業本部

公共ソリューション部

ソリューションマネージャー

アクセンチュア(株) 杉山スギヤマ

健ケン

◎ 官公庁本部

エグゼクティブ・パートナー

日本オラクル(株) 竹内タケウチ

敏明トシアキ

コンサルティングサービス本部ビジネス推進部

エグゼクティブソリューションアーキテクト

監査法人トーマツ 中谷ナカタニ

真二シンジ

エンタープライズリスクサービス部

代表社員

委員

アビームコンサルティング(株) 原ハラ

市郎イチロウ

戦略ビジネス事業部

プリンシパル

アビームコンサルティング(株) 大石オオイシ

裕路ユウジ

組織・人事サービス事業部

マネージャー

日本オラクル(株) 大オオ

我ガ

猛タケシ

コンサルティングサービス本部

インダストリーコンサルティング部

プリンシパルコンサルタント

アクセンチュア(株) 喜多村キタムラ

理広マサヒロ

官公庁本部

コンサルタント

WG

アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティングサービス(株)

古コ

鉄テツ

昌子マサコ

ヒューマンキャピタルマネジメント

コンサルタント

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<委員紹介>

Yoshio KURAMOCHI

倉持 快夫

// 主な活動内容 //

日本オラクル社にて人事システム製品の責任者として、ERP 人事システムの導入やビジネスデベロップメントに従事。その後、IBM ビジネスコンサルティングサービスにて人事構想策定支援、情報戦略構想策定支援、企業統合に伴う人事制度コンサルティング、Learning Management コンサルティングに従事する。 著書は以下の通り 『IT 時代の人事マネジメントハンドブック』 (2004/04 共著 産労総合研究所編 経営書院) 『Oracle EBS 導入ガイド』 (2002/10 共著 デロイトトーマツ 日本オラクル編 東洋経済新報社) 『人事制度改革-e-Business 時代の人材マネジメント-』 (2001/06 共著 アンダーセン 東洋経済新報社) 『ERP成功の方程式 Oracle Applications 』 (1998/10 共著 日本オラクル編 リックテレコム) 雑誌寄稿や講演もさせていただいています。

アイ・ビー・エム ビジネス

コンサルティングサービス(株)

ヒューマンキャピタルマネジメント

マネージングコンサルタント

// 主な活動内容 //

長年IT業界で仕事をしてきました。その間に、運用管理、ネットワーク構築、システム企画提案・構築、

新規事業の立ち上げ、間接部門(人事部門)の仕事

などさまざまな業務をしてきました。また、物流、保

険、鉄道、病院、公共関係などさまざまな業種への

システム企画・提案・構築に参画してきました。

現在は、公共機関向けに ERP 製品の紹介、製品を使っての公共機関向けソリューションの企画・提案

の活動を行っています。公共機関は外部・内部環境

とも厳しい課題に直面しています。海外ではそれら

の解決策の一つとして ERP 製品の利用がどんどん

広がっていますが、日本では残念ながらその前にさ

まざまな取り組むべき多くの壁があります。それら

の壁と向き合いながら、試行錯誤を繰り返しており

ます。

佐藤 保則

SAPジャパン(株)

公共事業本部

公共ソリューション部

ソリューションマネージャー

Yasunori SATOU

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杉山 健 Ken SUGIYAMA

// 主な活動内容 //

アクセンチュアに入社以来、大手鉄道会社の会計システム構築、様々な官公庁に対する業

務戦略立案、IT 戦略立案、サービス戦略立案

といった、様々なプロジェクトを行ってきまし

た。

現在は、主として官公庁をお客様として、コンサルティングサービスを提供しています。特に、昨

今の官公庁においては、費用対効果の分析や業

績評価といった民間で行っている経営管理的な

視点が必要となる取り組みが加速しています。

得意分野は大規模システム構築を利用したサービス/業務改革です。

コンサルタントにおいて最も重要なことは、クライアントに対する情熱であると思っています。今回

の取り組みにより、精神的なことだけでなく、体系

的なスキル標準や人材育成計画を整理する一助

になればと思っています。

アクセンチュア(株)

官公庁本部

エグゼクティブ・パートナー

日本オラクル(株)

コンサルティングサービス本部

ビジネス推進部

エグゼクティブソリューション

アーキテクト

竹内 敏明 Toshiaki TAKEUCHI

// 主な活動内容 //

日立製作所 生産技術研究所にて 13 年間社内工場を対象に新生産管理システムの研究

開発と適用に従事。主な技術分野はスケジュ

ーリングと工程管理。1984 年国際情報処理学

会 IFIP にて研究成果「LAN-Based Distributed

Model of Production Control Systems」発表。

1985 年日科技連/石川賞「生産変動即応型生

産管理システム」受賞(メダリスト)。

日本ディジタルイクイップメントにて顧客向けシステム開発に 6 年従事。製造業の顧客を主な

対象に 10 数件のプロジェクトを担当。この間

US の MRPⅡパッケージやレポートライタの日

本語版開発と導入も手がける。

1993 年に日本オラクルに転職。ERP ビジネスに従事、コンサルタントとして各種プロジェクト

に参画し現在に至る。この 2 年間は ERP 製品

の導入手法とコンサルティングサービス部門

内におけるプロジェクトのリスク管理を担当。

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中谷 真二

監査法人トーマツ

エンタープライズリスク

サービス部

代表社員

Shinji NAKATANI

// 主な活動内容 //

等松青木監査法人(現監査法人トーマツ)入社後会計監査を担当。その後会計監査の一環で実施する関与先のシステムレビューを担当するため、EDP監査グループ((現ERS(エンタープライズリスクサービス))に異動。ERSでは他に、大規模システム開発プロジェクトにおけるシステム開発過程の監査を通して、ユーザの立場からSIベンダーによるプロジェクト管理状況等の評価業務等を担当。 1990年から1994年、日本 GUIDE/SHAREのマネジメント部会、システム監査チームに参加し、SI業者のシステム監査に関する研究に携わる。 1991年から2002年、日本公認会計士協会の情報システム委員会に参加し、主に経営者のためのシステム監査の研究に携わる。 2001年ITコーディネータ取得し、インストラクタとして、ケース研修を担当。 公認会計士、ITコーディネータ

原 市郎

戦略ビジネス事業部

アビームコンサルティング(株)

プリンシパル

Ichirou HARA

// 主な活動内容 //

旧 big5 系コンサルティングファーム、米国デロイトコンサルティングを経てアビームコンサルティン

グ(旧デロイトトーマツコンサルティング)に入社、

現在に至る。

総合商社、リース、流通、製造といった様々な業種おいて、経営戦略実現のための戦略立案から

ERPの導入まで幅広く支援。

専門は IT 戦略、IT マネジメント、マーケティング 出版刊行物 ・「成功する IT 投資」(2004 アビームリサーチ)

・コンサルティングハンドブック(2002 共著 東

洋経済新報社)

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<WGメンバー>

大石 裕路

アビームコンサルティング(株)

組織・人事サービス事業部 マネージャー

Yuji OHISHI

// 主な活動内容 //

7 年間の製造業における人事担当者経験の後、アビームコンサルティング(旧デロイトトーマ

ツコンサルティング)に入社、現在に至る。

金融、公共、流通、製造といった様々な業種おいて、人材価値向上のための戦略支援から人

事制度の構築・導入まで幅広く支援してきまし

た。

専門は、企業変革に伴う人材マネジメント方針策定、人事制度再構築の支援、教育戦略略策

定、人材育成・開発を中心とした、企業が人材

価値を高めるための方策を支援することです。

企業にとって重要なことは、いかに優れた戦略があっても、それを実現するための優秀な人材

がいなければ、期待した業績を得ることはでき

ないということです。今回の取組みにより、人材

育成を担当する方やコンサルタントを目指す方

に、気付きを与えるとともに、体系的なステップ

を考える材料を提供出来ればと考えています。

大我 猛 Takeshi OGA

// 主な活動内容 //

日本オラクル株式会社に入社後、製造、流通、総合商社、金融などの様々な業種へのシステ

ム企画、提案、構築を経験。

現在は、主にSCM領域における業務改革を目的としたシステム構想立案に関するコンサルテ

ィングを担当。

オペレーション課題の整理、システム導入目的の明確化、セッション形式による関連部門の合

意形成、投資対効果測定、システムグランドデ

ザイン、導入計画立案などのタスクを実施して

おります。

今回の活動により、コンサルタントのスキルおよびキャリアパスが体系化され、多少なりとも皆様

のお役に立てれば幸いです。

日本オラクル(株)

コンサルティングサービス本部

インダストリーコンサルティング部

プリンシパルコンサルタント

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喜多村 理広

アクセンチュア(株)

官公庁本部 コンサルタント

Masahiro KITAMURA

// 主な活動内容 //

金融業界を経て、アクセンチュア株式会社に入社いたしました。

アクセンチュアに入社以来、官公庁の顧客に対する大規模システム開発のプロジェクトに、参画

してきました。

プロジェクトにおいては、技術基盤チームに所属し、課題の整理やあるべき姿に向けた技術基

盤の設計、構築、運用作業を行ってきました。ま

た、運用設計チームとして、効率的かつ安定し

た運用の実現を目指した、SLA設計や改善提言

等も行っています。

コンサルタントの醍醐味は、顧客の経営ビジョン/目標を達成するために、どの手段を用いる

のかを選択・提言し、実行することだと思ってい

ます。その醍醐味を、今回の取り組みでより多く

の人に伝えられれば、と考えています。

アイ・ビー・エム ビジネス

コンサルティングサービス(株)

ヒューマンキャピタルマネジメント

コンサルタント

古鉄 昌子 Masako KOTETSU

// 主な活動内容 //

IBM ビジネスコンサルティングサービス(旧プライスウォーターハウスクーパース)に入社以

来、人材マネジメント領域を専門とするコンサ

ルタントとして、システム導入から制度導入ま

で、幅広いプロジェクトに参加。

ここ数年においては主に通信・メディア・公益業界の企業に対し、人事改革に伴う評価制度

設計~導入および制度運用・変革移行管理支

援のプロジェクトに従事する他、全社的な育成

管理システムの導入、人事制度のベンチマー

ク等のプロジェクトにも参加している。

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ITスキル標準

プロフェショナルコミュニティ

コンサルタント委員会

ITスキル標準改善提案報告書

2006年 7月 7日 初版第 1刷

著作・監修

ITスキル標準 プロフェッショナルコミュニティ コンサルタント委員会

発行者

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) ITスキル標準センター

〒113-6591東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス16階

TEL:03-5978-7544/FAX:03-5978-7516

http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss

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――本書の無断複製・転載を禁じます――