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ITR White Paper クラウド ERPの戦略的活用 ~唯一のクラウドスイートとしての Oracle ERP Cloud の価値~ 株式会社アイ・ティ・アール C16050084

ITR White Paper - Oracle...ITR White Paper クラウドERP の戦略的活用 ~唯一のクラウドスイートとしてのOracle ERP Cloudの価値~ 第章 Oracle C16050084

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クラウドERPの戦略的活用

~唯一のクラウドスイートとしてのOracle ERP Cloudの価値~

株式会社アイ・ティ・アール

C16050084

ITR White Paper

i ©2016 ITR Corporation. All rights reserved.

目 次

第 1章 ERPの導入状況および今後の見通し ..................................................................................... 1

国内企業の ERP導入状況 .................................................................................................. 1

旺盛なリプレース需要 ........................................................................................................ 2

加速するクラウドシフト ..................................................................................................... 3

第 2章 クラウド ERPの価値 ............................................................................................................. 4

経営者のマインドシフト ..................................................................................................... 4

海外企業のクラウドに対する期待 ...................................................................................... 5

なぜクラウド ERPなのか .................................................................................................. 6

第 3章 Oracleが提供できる価値 ....................................................................................................... 9

唯一のクラウドスイート - Complete ................................................................................. 9

リアルタイム経営システム - Data Driven....................................................................... 10

システムの柔軟性 - Personalize, Integration ................................................................. 11

第 4章 提言 ....................................................................................................................................... 13

結論 ................................................................................................................................... 13

©2016 ITR

第1章

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品/サービスを導入済みであったと見てよいだろう。その一方で、「導入中(新規導

入)」が全体平均で10.4%、さらに「導入中(他社製品からのリプレース)」が4.2%

ある点は注目される。

旺盛なリプレース需要

次に、「未導入」などの回答を除外し、すでに何らかのERP製品/サービスを導入

済みの企業に限定してリプレースの意向を問うた。そのため、前頁から回答の母数が

減少している。また、複数のERP製品/サービスを利用している場合、主に利用する

製品/サービスに限定して回答を得た(図2)。なお、リプレースとは、他社製品/サー

ビスへの乗り換えであり、同じ製品のバージョンアップは含まないことを明確に定義

した。

図2 主要4業務製品/サービスのリプレース動向

出典:ITR「ITR User View:企業のERP製品に関する意識調査」

その結果、「リプレースの予定なし(現行製品を活用し続ける)」とする企業が全

体平均では5割を下回り、将来いずれかの時点でリプレースを予定する企業のほうが僅

かながら多い結果となった。あくまで、調査時点での意向であり、検討の結果リプレー

スしない場合も少なくないと見られるものの、比較的短期の「2017年度(2018年3月)

までにリプレース予定」と回答した企業では、すでに候補となるERP製品/サービス

の検討が進行中であろう。現時点で、2020年度以降の中長期における動向の確度を読

み取るのは難しいものの、企業のERP製品/サービスに関する投資意欲は10年後の

2025年にかけて高まっていくことが予測される。

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リプレースを検討する理由を1つだけ選択するよう問うた結果、トップ3は、「導入・

運用コストが高い」「使い勝手が悪い」「カスタマイズがしづらい」であり、各業務

製品により多少回答率にバラつきがあるが、平均では、順に16.9%、12.5%、8.9%と

なった。この3つを合計すると38.1%となる。3位以下は、「大規模システムへの対応

が弱い」「グローバル対応(多言語対応など)がない」「グループ対応機能がない」

が続く。コストが高い割に、自社の業務に十分活かし切れてない現状がうかがえる。

加速するクラウドシフト

ユーザー調査の最後に、主要4業務でERP製品/サービスを「導入済み」および「導

入中」の企業に、今後どのようなプラットフォームがより望ましいか問うた(図3)。

図3 主要4業務製品/サービスの今後の稼働環境

出典:ITR「ITR User View:企業のERP製品に関する意識調査」

会計の「オンプレミス」の比率が他の業務分野よりやや高いものの、全体平均では4

割以上がクラウドが望ましいと回答している。また、販売の「IaaS」がやや高いもの

の、全体平均では「SaaS」が「IaaS」より3倍程度高い。国内におけるクラウドの導

入は、ファイルサーバ、Webサーバ、基幹システム・サーバなどのハードウェアにお

けるIaaS利用を中心に順次進展してきたが、調査時点の2015年4月においても、ERP

のプラットフォームではSaaSの割合が高く、この傾向は今後も高まっていくと見られ

る。また、今後新たにERPの導入を検討する新興企業は、より積極的に新たなテクノ

ロジであるクラウド/SaaSを検討していくと予想される。

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第2章 クラウドERPの価値

経営者のマインドシフト

ITRが毎年実施している「IT投資動向調査」では、 最重要視するIT戦略テーマにお

いて3年連続で「ビジネスへの直接貢献」が首位となり、次いで「業務コストの削減」

「ITコストの削減」「顧客サービスの質的向上」などが、調査年度により順位が入れ

替わりながら上位に並んでいる。ビジネスへの直接貢献とは、とりもなおさず売上増

大と利益拡大への期待と言ってよい。そうしたなかで、昨今注目を集めているのは、

新たなビジネス展開および成長エンジンとしてのイノベーションであり、ビジネスと

ITが一体化したデジタルビジネス創出への期待は、社会・産業のデジタル化に呼応し

て今後も高まっていくに違いない。

このようなデジタルビジネスの創出において、リソースや知恵の外部活用における

経営者のマインドシフトが顕著である(図4)。

図4 リソースと知恵の外部活用

出典:ITR

製造業にとって重要な工場や生産設備という経営資源を所有しないという選択肢が

浮上し、在庫を持たない、店舗や販売網を持たないといった経営資源の一部を所有し

ないで事業を推進することは「持たざる経営」としてすでに認知されている。同じ考

えでITリソースの外部活用は、デジタルビジネスにおいても不可欠な推進手段のひと

つと言える。

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リソースに関して言えば、ヒト・モノ・カネといった経営資源を「所有」という形

態ではなく、クラウド(CloudとCrowd)によって必要な時に必要なだけ手に入れる

ことができるようになっている。また、オープン・イノベーションやアイデアソン/

ハッカソンによって、「知恵」に関しても外部を活用する動きが活発化している。

海外企業のクラウドに対する期待

ここで、先んじてクラウドERPに取り組む海外企業の動向を確認してみよう。海外

のなかでも、特にクラウドERPへの注力が鮮明な米国企業では、中堅中小、大企業、

超大企業のいずれの規模でも、複雑、冗長、巨大、欠如、低性能などの、現状システ

ムが抱える課題を解消するために、クラウドERPを新たなテクノロジと位置づけて、

いち早く刷新を進めている。こうした多数の類型を下図に示す(図5)。

図5 クラウドを推進する海外企業の背景

出典:ITR

グローバルビジネスでは事業や拠点数が多いことに加えて、ビジネスの再編やM&A

が頻繁に実施されるため、時間の経過に伴いシステムも、複雑、冗長、巨大、乱立、

低性能といった課題を抱えるのが、むしろ通常だ。このようにレガシー化・サイロ化

したシステムは、定期的なオーバーホールでリフレッシュする必要があり、スピーディ

なオーバーホールで積年の埃を落とすには、むしろムダを削ぎ落としたSaaS/クラウ

ドの外部リソースを積極的に活用するケースが増えてきた。

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また、ユニークなビジネスで急成長する中堅中小企業では、増大する販売・製造・

サービス拠点の展開などでより高度な会計システムへの対応や拡張性が急務であるこ

とが多い。多拠点・多事業を前提に、結果としての財務データだけでなく、過程の施

策や活動に関わるさまざまな非財務データを一貫性あるデータとして蓄積・分析でき

るシステムへと、短期間で移行することが重視されるのである。QuickBooksのような

単一拠点向けの製品/サービスを導入した企業が、自社の成長に合わせてより拡張性

が高いクラウドERPに移行するのは典型的な例である。

さらに、GE社のように、デジタル・イノベーションの推進に同期しながら、中長期

的にアプリケーション全体の7割をクラウド化すると公表している企業もある。GE社

では、経営戦略レベルで「デジタル・インダストリアル・カンパニー」へとビジネス

のポートフォリオを大きく変革し、2020年までにソフトウェア事業で従来の3倍近い

収益達成を目標としている。IoTや顧客のシステムと容易に連携でき、コアとなる経営

情報をダイナミックかつ柔軟に利用できるクラウドERPを推進する理由がそこにある。

なぜクラウドERPなのか

海外企業に見られる課題の典型を整理すると、下図の3点が主要なものであるとITR

では見ている(図6)。

図6 海外企業事例から読むクラウドERPの活用目的

出典:ITR

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末期的とも言える巨大・多数のシステムから構成されるレガシーは、個々の要件や

成長するビジネスに即応しながら、常に新しいシステムの導入を積み重ねてきた結果

でもあるが、残念ながら今となっては重くのしかかる不良資産であるに相違ない。当

然ながら短期間・低コストでアップグレードするのは極めて困難である。そして多く

の場合、自社のビジネスを補完するためのアドオンと呼ばれる追加開発や改修も多い。

とはいえ海外企業においても顧客や取引先などのステークホルダー、および自社の強

みや競争力の源泉を強化するといった、合目的なアドオンにはむしろ積極的である。

セキュリティや、データのオーナーシップなど、クラウドに対する懸念が海外企業

にないわけではない。しかし、それ以上に、初期導入から10~20年を経て肥大化した

システムを、多少荒療治であってもオーバーホールし、ビジネスの変革や拡張に遅滞

なく対応することを重視している。また、新たな収益獲得に向けたデジタル・イノベー

ションで主力となるIoT、モバイル、クラウドなどのテクノロジの積極的活用を図り、

ビジネスITやデジタルビジネスの強化を推進しようとしているのである。ここで、ビ

ジネスITやデジタルビジネスの位置づけを確認しておこう(図7)。

図7 今後の企業システム構築の枠組み

出典:ITR

企業が活用するITには大きく分けて一般的な企業IT(エンタープライズIT)とビジ

ネスITがある。エンタープライズITは、ITインフラ、コミュニケーション基盤などの

全社共通系および財務会計などのコーポレート系システムといった業種を問わず共通

に利用されるITを指し、主に既存事業や定常業務の効率化・省力化に寄与する社内向

けのシステムである。エンタープライズITの中にも差別化/優位性を目的としたサプ

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ライチェーン最適化の取り組みや、顧客対応の強化を目指したCRMなどのシステムは

一部存在する。クラウドの台頭などにより、エンタープライズITの領域は成熟化とコ

モディティ化が進みつつある。

一方、ビジネスITは、所属する業界に特化した業務分野や、自社の本業分野の差別

化や優位性を支えるシステムを意味する。今後は、ビジネスITの領域でのIT活用やデ

ジタル・イノベーションが大きく期待されている。そして、デジタルビジネスは、ビ

ジネスITの中で、既存事業を強化する従来の業種特化系・事業系の仕組みではなく、

デジタル化によって創出される新規事業や新業態の領域を指すもので、収益化を視野

に入れたものである。

図7におけるそれぞれのシステムの配分や再配置の枠組みは、企業の状況や将来の狙

いをどう設定するかにより異なってくるだろう。例えば、エンタープライズITを縦軸・

横軸のいずれか、または両方向に面を拡大する企業もあれば、逆に従来よりも縮小す

べき場合もあり得る。また、自社の差別化や優位性を担うビジネスITにおいても、請

求/売上げ、購買/支払い、計画/予算といったエンタープライズITの機能との連携

は必須となってくる。

さらに、機能だけでなく、こうした企業活動全般でコアとなるヒト・モノ・カネの

企業データが、いずれの枠組みにおいても経営情報として活用できなければ意味がな

い。そのためには、企業活動が一元化/集中管理できるデータモデルを備えていなけ

ればならない。さらに、リアルタイムにデータが分析/活用できるメカニズムが組み

込まれていれば、多次元分析、予測シミュレーション、経営者向けレポートなどによ

り、正しいデータで最適な意思決定も可能となる

クラウドERPは、まさしくこのような特性を兼ね備える。常に最新版を利用しなが

ら、拡張・展開および縮退の軌道修正が柔軟に行え、今後の企業システム構築の基盤

として最適なテクノロジといえよう。オンプレミスのERPは、基本的にメインフレー

ムからクライアント/サーバの初期に誕生したものであり、初期導入後10年以上経過

する企業は、いずれかのタイミングでオーバーホールの検討余地が大きいと見られる。

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第3章 Oracleが提供できる価値

唯一のクラウドスイート - Complete

Oracle社は、2011年にOracle Public Cloudを発表し、SaaS、PaaS、IaaSの全てで

サービスを提供できる唯一のベンダーとして、システム開発およびプラットフォーム

の拡大を続けてきた。SaaSは、会計、予算管理・連結、プロジェクト管理、販売、購

買、製造、人事管理、営業支援/顧客管理、カスタマーエクスペリエンス/マーケティ

ング、デマンド/サプライチェーン、イノベーション/エンジニアリングチェーン、

マスタデータ管理など、あらゆる領域をカバーし業種ソリューションも備える。また、

ERPに関してはオンプレミスとSaaSの両方でアプリケーションを提供しているため、

企業の規模や要件の特性に応じて使い分けることが可能である(図8)。

図8 Oracle ERP Cloudの全体像

出典:Oracle社

何より、多種多様なアプリケーション群が完全なクラウドスイートして設計されて

いる点が優れており、これに匹敵する一連のサービス群を提供できるベンダーは存在

しない。競合するSAP社の新製品S/4 HANAが、IaaS上で動作するクラウドまたはホ

スティングサービスに限定されることや、旧来のオンプレミス版SAP Business Suite

(ERP、CRM、SCM、PLM)の保守を2025年まで継続するのとは対照的と言えよう。

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最初からスイートとして設計されているので、段階的な拡張が容易であることも、

いち早く小さく始め、軌道修正しながら拡張し、場合によっては素早く縮退するといっ

たデジタルビジネスを支えるプラットフォームのニーズに合致している。さらに、基

幹システム全体のリフレッシュやオーバーホールを検討する場合も、オンプレミスと

クラウドの自由な選択やハイブリッドでの動作が可能であるため、企業システムの設

計/構築の自由度が大きく向上できる。

クラウドの検討で陥りがちなのは、「クラウドありきの検討」「場当たり的なクラ

ウドの検討」「現状と同等を求めるクラウドの検討」といった落とし穴である。こう

した戦略性のないクラウドでは、デジタルビジネスを支える基盤にはなりえないばか

りか、単に現状のコピーをクラウドで焼き直す結果に終わりかねない。

デジタル・イノベーションやデジタルビジネスの実装は、3年はおろか1年のインター

バルでも長すぎるくらいのスピードで進展するかもしれない。かといって、ただスピー

ドを追求するあまり過度の単純化に陥っては、企業全体のシナジーを向上することは

できない。企業全体のビジネスをドライブできる、シンプルでありながら完結したク

ラウドを戦略的に活用することが重要であると、ITRでは考えている。日本語として

流通する「シンプル」とは、「簡素や単純」だけでなく、「ムダがなく完結」してい

る状態を表現するものである。Oracle ERP Cloudは、こうした特性を重視して設計さ

れており、段階的に活用を拡げつつ、企業全体のビジネス変革を推進できる完結した、

コンプリートなクラウドスイートとして、唯一の存在であると言えるだろう。

リアルタイム経営システム - Data Driven

完結したクラウドスイートであることは、ヒト・モノ・カネの企業データが一元化

および集中管理できる基盤であることも意味する。Oracle ERP Cloudは、リアルタイ

ム経営を支えるデータ中心のアーキテクチャで設計されており、エンタープライズIT、

ビジネスIT、デジタルビジネスで発生する詳細なデータからビッグデータにわたって、

リアリタイム経営が駆動できるシステムとなっている(図9)。

顧客、製商品、部品、仕入先などのデータモデルが、企業の要件により高い自由度

で拡張・変更できる点は、従来のオンプレミス製品から継承されており、他社の製品

/サービスとは一線を画す。また、組込型ビジネス・インテリジェンスやアナリティ

クスにより、現場担当、管理職、経営層それぞれの視点や職責において、過去・現在・

将来に渡り正しいデータに基づく最適な意思決定が可能となる。さらに、Excelから

ERP Cloudのデータが自在に呼びさせるようになっているため、使い慣れたExcelで誰

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もが高度な情報利用ができるとともに、経営者の随時の要請にも容易にレポートが作

成できる。

図9 データ中心のアーキテクチャ

出典:Oracle社

急激な拠点の拡大や事業統合によるデータ量の増大に対応できるだけでなく、ビッ

グデータも自在に分析・統合できる高い拡張性とパフォーマンスが提供できることも、

国内外のミッション・クリティカルなシステムをサポートしてきた、Oracleならでは

のデータドリブン・アーキテクチャといえるだろう。

システムの柔軟性 - Personalize, Integration

企業がERPのリプレースを検討する理由として、「導入・運用コストが高い」「使

い勝手が悪い」「カスタマイズがしづらい」が上位であることは第1章で述べた。この

点について、Oracle ERP Cloudがどのような解決策を提供できるか確認する(図10)。

ビジネスの多様性への対応に関しては、Oracle社が20年以上の実績を持つ多機能

ERPをモデルに最新化しているため、ほとんどのビジネス要求にパラメーターで対応

している。また、使い勝手やカスタマイズについては、SaaSのアプリケーション自体

で、ユーザー自身が画面表示やデータ項目の設定やデザインを自由かつ容易に変更・

保存できるので、業務の特性に応じた柔軟な対応が可能であり、ヒューマンインタラ

クションを重視した設計となっている点も評価できる。

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図10 Oracle ERP Cloudの柔軟性

出典:Oracle社

しかし、より重要なのは、Oracle ERP Cloud自体が持つオープンなインタフェース

の利点であろう。SaaS型のアプリケーションで最も注意すべきは、他システムとの連

携がほとんど考慮されていないような、クローズドなサービスである。アプリケーショ

ン単体の機能だけを優先したSaaSにこうした傾向が強く、注意を要する。Oracle ERP

Cloudは、Webサービスなどオープンかつ高度なインタフェースを前提に設計されて

おり、IoT/ビッグデータ/既存システムなどとの連携が必要な場合も柔軟に対応でき、

スイート化されたマスタデータ管理も活用できる。また、より高度なリアルタイム/

大量データの連携ではOracle PaaSの連携機能で吸収が可能である。

さらに、グローバル企業のように競争優位確保を図るためのアドオンも、Oracle

PaaS上でオープンなJavaで開発することができる。Javaのアプリケーションは、他

のプラットフォームでも動作可能であるため、アプリケーション開発の投資が無駄に

ならない。

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第4章 提言

結論

国内ERP市場は成熟しており、多くの企業はすでにERPパッケージを導入している。

その一方で、コスト低減、グローバル展開、ビジネスITの強化といった目的から、2017

年度、2020年度を目途に中長期的にリプレースを検討する企業は多く、その際のプラッ

トフォームとしてクラウドを想定する企業は多い。

また、社会・経済環境の著しい変化とデジタル技術の急速な進化に伴い、短いサイ

クルで仮説検証と学習を繰り返しながら、デジタルビジネスの創出や既存ビジネスの

強化を図る取り組みが多くの企業で進められており、リソースと知恵の外部活用に関

する経営者のマインドシフトも進んできている。一方、先行してクラウドERPに注力

する海外企業には共通する狙いがあり、新たなテクノロジの転換点を見据えて、オン

プレミスのERPをオーバーホールし、あわせて完結したシンプル化を図るといった取

り組みを強化しつつある。ビジネスとITがかつてないほど密接になってきた昨今、求

められるのはビジネスとITの同期性をどのように高めていくかであろう。

Oracle社は、SaaS、PaaS、IaaSの全ての分野でサービスを提供しており、Oracle

ERP Cloudは、企業の広範なビジネス、および今後のデジタルビジネスを支えること

ができる唯一のクラウドスイートである。柔軟性とオープン性の高いSaaS、連携性や

拡張性を担保できるPaaSを有効活用することで、ビジネスをドライブできるクラウド

の基盤として活用できるだろう。企業は、クラウドを目的化すべきではなく、戦略的

な活用を検討すべきである。積年の部分最適で身重となったビジネスおよびシステム

のムダを削ぎ落としながら、企業全体のシナジーに向けたロードマップを描くことが

重要である。その際の土台として、Oracle ERP Cloudは唯一のクラウドスイートとし

て有効である。

クラウドERPとは、常に最新版の機能を利用することで、ビジネスと共に成長して

いくERPである。企業は、自社の状況に応じたマイルストンで、クラウドERPについ

ての将来構想を明確にしていくべきである。

分析/執筆: 浅利 浩一

text by Koichi Asari

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クラウド ERPの戦略的活用

~唯一のクラウドスイートとしての Oracle ERP Cloudの価値~ C16050084

発行 2016年5月

発行所 株式会社アイ・ティ・アール

〒160-0023

東京都新宿区西新宿 3-8-3 新都心丸善ビル 3F

TEL:03-5304-1301(代)

FAX:03-5304-1320 本書に記載された全ての内容については株式会社アイ・ティ・アールが著作権を含めた 一切の権利を所有します。無断転載、無断複製、無許可による電子媒体等への入力を禁 じます。 本書に記載されている会社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。