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1 温度応答性電解質を使った 酸・塩基性ガスやイオンの 分離方法 九州大学 工学研究院 化学工学部門 助教 星野

温度応答性電解質を使った 酸・塩基性ガスやイオンの...1 温度応答性電解質を使った 酸・塩基性ガスやイオンの 分離方法 九州大学 工学研究院

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  • 1

    温度応答性電解質を使った 酸・塩基性ガスやイオンの

    分離方法

    九州大学 工学研究院 化学工学部門

    助教 星野 友

  • 九州大学、2012

    2

    生体システムを模倣してエネルギー効率の高い 物質輸送・変換システムを構築できないか?

    生体内の分子輸送・変換システム

    http://www.sicklecellinfo.net/hemoglobin.htm

  • 九州大学、2012

    3

    生体内におけるプロトンの能動輸送機構

    Nature 406, 569-570 (2000)

    大きなpKaの勾配がH+の移動を

    抑制

    光異性化に伴った構造変化1がpKaの逆転1を誘起しH+移動

    を実現

    H+移動に伴った構造変化2がpKaの逆転2を誘起しH+移動を実現

  • 九州大学、2012

    4

    タンパク質内部のpKa調節 非極性アミノ酸

    極性アミノ酸

    正電荷アミノ酸 負電荷 アミノ酸 アミノ酸の代わりに安価なプラスチック

    原料(機能性モノマー)を用いてpKa調節・スイッチングの実現をできないか?

  • 5

    温度応答性電解質の開発

    Heating

    Cooling

  • 九州大学、2012

    6

    タンパク質を模倣したカルボン酸含有ナノ粒子の合成

  • 九州大学、2012

    7

    カルボン酸含有ナノゲルの温度に応答したpKa変化

    温度に応答してpHが変化する 温度応答性酸性電解質として利用可能

  • 8

    温度応答性電解質の応用1 温度応答性電解質による能動的プロトン輸送

  • 九州大学、2012

    9

    温度応答性電解質内p H勾配形成実験装置

    pH/pKa勾配形成メ カニズム

    Na

    相転移温度以上

    pKa ~ 8

    相転移温度以下

    pKa ~ 6

    H

    HH

    H

    Na

    Na

    Na

    Na

    低温高温

    Na

    NaNa

    Na+放出

    H+吸収Na+吸収

    H+放出

    温度応答性電解質のp H変化

    Low Temp. Cell

    High Temp. Heating

    High Temp. Cooling 温度応答性電解質内に

    温度勾配に依存した

    p H勾配を形成するこ

    とができる

    Temperature [℃]

    15 35 55 4.5

    5

    5.5

    6

    6.5

    7

    pH

    ナノゲル溶液内にpKa勾配を形成できるか?

    pH/pKa勾配形成メカニズム

    Heating water 75℃

    Dialysis membrane (MWCO: 12000~14000) Cooling water

    20℃

    pH meter AAc NPs AAc NPs

    pH meter

    温度応答性電解質内pH勾配形成実験装置 温度応答性電解質のpH変化

  • 九州大学、2012

    10

    Na

    Cl

    Na

    H

    Na

    Cl NaCl

    Cl

    above LCST

    pKa ~ 8

    Below LCST

    pKa ~ 6H

    HH

    H

    Na

    Na

    NaNa

    Low temp.High temp.

    Cl H

    H

    イオン輸送実験装置図

    温度応答性電解質膜によるイオン輸送は可能か?

    Na Na

    NaNa

    Release Na+

    Capture H+

    Capture Na+

    Release H+

    ナノゲル膜を介したpH勾配の形成 温度応答性電解質膜によるイオン輸送は可能か?

    イオン輸送実験装置図

    Heating water 75℃

    Dialysis membrane (MWCO: 12000~14000)

    Cooling water 20℃

    pH meter AAc NPs

    pH meter

    1 mM NaClaq 1 mM NaClaq

  • 九州大学、2012

    11

    Heating water 75℃

    Dialysis membrane (MWCO: 12000~14000)

    Cooling water 20℃

    pH meter AAc NPs

    pH meter

    1 mM NaClaq 1 mM NaClaq

    ナノゲル膜を介したpH勾配の形成

    温度勾配を形成したときの 水溶液のpH変化

    ナノゲル濃度に依存した 低温槽のpH変化

    Nernst potential of H+

    ~100 mV

    E = RT

    zF In

    [H+ cold]

    [H+ hot]

  • 九州大学、2012

    12

    4.5

    5.5

    6.5

    7.5

    0 200 400 600 800 1000 1200 1400

    pH

    Time (min)

    NaCl溶液

    交換

    NaCl溶液

    交換

    高温

    66 °C

    低温

    23 °C

    Na

    Cl

    Na

    H

    Na

    Cl NaCl

    Cl

    相転移温度以上

    pKa ~ 8

    相転移温度以下

    pKa ~ 6H

    HH

    H

    Na

    Na

    NaNa

    低温高温

    Cl H

    H

    Na Na

    NaNa

    Na+吸収

    H+放出

    ?

    Na+放出

    H+吸収

    ナノゲル膜を介したプロトンの連続能動輸送

  • 九州大学、2012

    13

    想定される用途1 • 本技術は、100℃以下の低温排熱を利用した

    イオン濃度勾配生成システムになる。

    • 安価な材料のみから成るので既存の熱電変換

    材料より安価で大規模化が可能。

    100万キロワットx60%x1%

    =6000キロワット(メガソーラ1基相当)

    http://www.tottorigas.co.jp/?page_id=43

  • 九州大学、2012

    14

    想定される用途2

    • 電気化学との組合せで熱駆動キャパシタや

    温度差電池になる。

  • 九州大学、2012

    15

    実用化に向けた課題

    • イオン輸送速度向上のためのシステム開発

    ー膜面積の向上

    ーナノゲルの最適化

    • イオン勾配最大化の為のシステム開発

    ー多層化

    ーナノゲル開発

    • 用途毎のシステム開発

    ー電気化学との組合せ最適化

  • 九州大学、2012

    16

    企業への期待

    • 多孔性ゲルフィルム、グラフト材料、ハニカム形成、中空糸の技術・経験を持つ、企業との共同研究を希望。

    • 電力、電池、水処理、イオン交換プロセスの技術、経験を有する企業との共同研究を希望。

  • 17

    温度応答性電解質の応用2 温度応答性電解質による二酸化炭素回収

  • 九州大学、2012

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    二酸化炭素回収技術の現状

  • 九州大学、2012

    19

    温度応答性電解質を使ったCO2吸収

  • 九州大学、2012

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    タンパク質を模倣したアミン含有ナノ粒子の合成

    AAPDCTAB70 °C

    アミ ン含有ナノゲル粒子各種アミンモノマー

    ONH

    NH

    O

    N,N'-Methylenebisacryamide(BIS)

    OHN

    N-Isopropylacrylamide(NIPAm)

    OHN

    NH2

    OHN

    N

    N

    N

    OHN

    HN

    N

    N-3-Aminopropylmethacrylamide

    (APM)

    N-[3-(Dimethylamino)propylmethacrylamide

    (DMAPM)

    1-Vinylimidazole(VI)

    1-H-Imidazole-4-N-acryloylethanamine

    (IAEA)

    +

    アミ ン含有ナノゲル粒子水溶液

    DialysisAnion

    Exchange

  • 九州大学、2012

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    ナノゲルの温度に応答した粒径変化

    アミ ン含有ナノゲル粒子は、 4 0 ℃付近で相転移を起こし収縮する

    5%DMAPM 2%BIS NPs窒素雰囲気下

    Zetasizer nano (Marvern)

    動的光散乱法による粒径計測

    可逆的相転移

    低温域膨潤

    210 nm

    高温域収縮70 nm

    直径が3 ~4 倍に変化、 アミ ン濃度で27~64倍の濃縮

    低温域膨潤

    210 nm

    高温域収縮70 nm

    5%DMAPM 2%BIS NPs

  • 九州大学、2012

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    アミン含有ナノゲルの温度に応答したpKa変化

    温度に応答してpHが変化する 温度応答性塩基性電解質として利用可能

  • 九州大学、2012

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    二酸化炭素吸収・放散性能 CO2放散・ 吸収の定量

    NPs 1 mg/mL 500 mL, 10%CO2 20 mL/minGC-2014AT(SHIMADZU)、水と差分

    30℃→75℃放散過程

    吸収過程75℃→30℃

    56 mL ND 1.6 mL 0.0 mL

    放散量の比較

    ナノゲル粒子

    アミ ン含有 アミ ン

    モノ マー ナノゲル粒子

    アミ ン非含有アミ ン

    ホモポリマー

    アミン含有ナノゲル

    アミンモノマー

    温度変化を繰り返した際の吸収・ 放散量

    アミ ン1 残基あたり 1 分子のCO2

    吸収・ 放散を45℃の温度差で達成

    10%CO2 20 ml/minGC-2014AT

    アミン含有ナノゲル

    アミンモノマー

  • 九州大学、2012

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    二酸化炭素吸収・放散メカニズム

    JACS 134, ASAP (2012)

    ナノゲル粒子の膨潤・収縮相転移と同期してアミンの塩基性 が変化し僅かな温度変化でCO2を吸収放散する新規材料

  • 九州大学、2012

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    想定される用途

    • 本技術は、排ガスからの低コストな二酸化炭素回収剤として適用可能。

    • 二酸化炭素以外に、硫化水素等の酸性ガスや塩基性ガスの選択的除去が可能であることが期待される。

  • 九州大学、2012

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    実用化に向けた課題

    • 現在、水蒸気過飽和下において1アミン辺り1当量のCO2を可逆吸収可能なところまで開発済み。しかし、吸収容量・吸収速度の点が未解決である。

    (吸収容量については、固体化により克服できると考えている。)

    • 今後、固体フィルム・グラフト膜について実験データを取得し、CO2回収プロセスに適用していく場合の条件設定を行っていく。

  • 九州大学、2012

    27

    企業への期待

    • 多孔性ゲルフィルム、グラフト材料、ハニカム形成の技術・経験を持つ、企業との共同研究を希望。

    • プロセス開発、ガス処理の技術・経験を有する企業との共同研究を希望。

  • 九州大学、2012

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    本技術に関する知的財産権

    • 発明の名称 :

    イオン濃度勾配発生システム、装置、方法、及び、温度応答性電解質材料

    • 出願番号 :PCT/JP2012/070900

    • 出願人 :九州大学

    • 発明者 :星野 友 三浦 佳子 他3名

  • 九州大学、2012

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    お問い合わせ先

    九州大学知的財産本部

    技術移転グループ

    TEL 092-642 -4361

    FAX 092-642 -4365

    e-mail [email protected]