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報道用資料 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来 2007 年 10 月 1.日本酪農の危機的現状 2.逼迫状態にある世界の酪農市場 3.日本の牛乳乳製品の商品特性 4.日本酪農の特徴 5.牛乳乳製品の安定供給に向けて ○資料編 ○データ編 団法人 中央酪農会議

日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

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Page 1: 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

報道用資料

日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来

2007 年 10 月

1.日本酪農の危機的現状

2.逼迫状態にある世界の酪農市場

3.日本の牛乳乳製品の商品特性

4.日本酪農の特徴

5.牛乳乳製品の安定供給に向けて

○資料編

○データ編

●社団法人 中央酪農会議●

Page 2: 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

目 次

1.日本酪農の危機的現状

1)減少する酪農家戸数と飼養乳用牛頭数

2)減少し続ける飲用向け生乳生産量

3)急激に高騰している飼料価格

4)飼料費の高騰などが酪農経営を圧迫

5)牛乳の消費量は減少傾向

2.逼迫状態にある世界の酪農市場

6)乳製品の国際価格が急上昇

7)今後も続く世界的な乳製品の高価格

8)世界の主要国で生乳価格が値上がり

3.日本の牛乳乳製品の商品特性

9)牛乳は日本人に最も身近な食品

10)栄養価とコストパフォーマンスに優れる牛乳

11)牛乳は物価の優等生

4.日本酪農の特徴

12)環境保全に貢献する酪農

13)後継者が育つ日本の酪農家

5.牛乳乳製品の安定供給に向けて

14)深刻な危機に直面する日本の酪農経営

○資料編

○DATA 編

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● 酪農家の廃業が相次ぎ、今年度 1,000 戸を超える見込み。

● 乳用牛頭数は毎年減少傾向で、直近の減少率が高い。 ■酪農家戸数はピーク時の16分の1

日本の酪農家戸数は著しく減少しています。1963

(昭和38)年のピーク時には41万7,600戸を数えま

したが、2006(平成18)年では、約2万6,600戸と

16分の1までに縮小しています。ここ数年は毎年4%

程度の廃業率で推移しています(資料-1参照)。しか

し、今年度に入って廃業率は、さらに増加しており、

本会議の調査によると、2007(平成19)年7月には、

前年同月に対して5%の廃業率となっています。

これまでの酪農家戸数の減少は、後継者のいない小

規模酪農家の廃業によるものでしたが、最近では、

比較的規模の大きな酪農家や若い後継者のいる酪農

家の中にも廃業する事例が多く見られます。

■乳用牛の飼養頭数はピーク時の約21%減

乳用牛(経産牛)の飼養頭数も減少し始めてい

ます。ピーク時の1985(昭和60)年と2006(平成

18)年を比較すると、132万2千頭から104万6千

頭に減っています。減少率は約21%です。

このように乳用牛の頭数が減少したのは、乳牛

の産乳能力の向上による乳牛一頭当たりの生産量

の拡大により生産の効率化に努めてきた成果です

が、最近では、廃業した酪農家が飼養していた乳

牛の減少を、残りの酪農家の規模拡大によってカ

バーし切れなくなったこともあります。

このままでは、国内における生乳供給基盤がさ

らに縮小する可能性があります。

1 日本酪農の危機的現状

減少する酪農家戸数と飼養乳用牛頭数 1

図表 1/酪農家戸数と乳用牛(経産牛)頭数の推移

資料:農林水産省「畜産統計」

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● 1997 年以来、生乳生産量は減少傾向で推移。今夏はさらに減少。

● 牛乳等の飲用向けの生乳生産量が 4 年で 1 割近く減少。

■生乳は10年間で6.6%、約57万トン減少

生乳※の生産量は減少傾向で推移しています。1996

(平成8)年度の生産量が約865万9千トンであった

のに対して、2006(平成18)年度では約808万8千

トンに減少しています。この10年間で約6.6%、量

にして約57万トンの減産になります。牛乳1リット

ルパックで換算すると、約5億7千万本分も少なく

なっています。

地域別では、北海道が生産量を増やす一方、都府

県では、年々生産量が減少しています(資料-2参照)。

本年(2007年度)の4~8月期でも、猛暑等の影響

を受け、当初予定の予測量を 4 万 3 千トン下回り、

前年同期比2.0%の減少を記録しました。このまま推

移すれば、前年の生産量より少なく、1988(昭和63)

年度以来、19年ぶりに年間生産量が800万トンを下

回る可能性があります。

■生乳生産量の約6割が飲用牛乳の原料

国内生乳生産量のうち、約 6 割が飲用向けに、

その他が乳製品向けに処理されています。しかし、

2002(平成 14)年度に約 505 万トンあった飲用向

け生乳の生産量が、牛乳消費量の減少を受けて、

2006(平成 18)年度には約 462 万トンと、4 年間

で1割近くも減少しています。

こうした中、酪農家は生乳生産量を順調に増や

すことができず、規模拡大が困難となり、経営悪

化に陥る酪農家も少なくありません。

1.日本酪農の危機的現状

減少し続ける飲用向け生乳生産量2

※生乳:搾乳されたままの殺菌・加工していない、牛乳や乳製品の原料乳

図表 2/生乳生産量の推移

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

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● トウモロコシが 1.5 倍近く、乾牧草も 1 割以上の高騰。

● 「配合飼料価格安定制度」の補てんが来年度なくなります。

■トウモロコシが大幅な上昇

流通飼料の価格が昨年から急上昇しています。主

要な飼料用穀物であるトウモロコシの輸入価格の急

騰が主因といえます。2006(平成18)年秋以降、主

産地である米国でのバイオエタノール需要が増加し、

トウモロコシが飼料用からバイオエタノール原料に

振り分けられている影響で、輸入価格がこの 1 年で

1.5倍近くになっています。また、同じく主要飼料で

ある乾牧草も輸入価格が1割以上も上昇しています。

また、原油価格の高騰による海上運賃の上昇や為

替レート等の動向も飼料価格に影響を与えています

(資料-3参照)。配合飼料価格は2006年当初のトン

当たり43,000円程度から、2007(平成19)年7月~

9 月期の工場渡し価格は、54,000 円程度まで値上げ

されています。

飼料費は生乳生産コストの 4 割以上を占めるだけ

に、飼料費の急騰は酪農経営に深刻な影響を与えて

います。

■「配合飼料価格安定制度」で補てん

配合飼料価格の上昇が酪農経営に及ぼす影響を

緩和する措置として「配合飼料価格安定制度」が

あります。生産者と配合飼料メーカーの積立によ

る「通常補てん」と、異常な価格高騰に対応する

ため国が支援する「異常補てん」の二段階の仕組

みになっていますが、2006 年度第 3 四半期(10~

12 月)以降 5 期連続で通常補てんが発動。このう

ち、2006 年度第 4 四半期(2007 年 1~3 月)及び

2007 年第 1 四半期(2007 年 4~6 月)には異常補

てんが発動しています。飼料価格が現在の水準で

移行すれば、2008(平成 20)年度第 2 四半期(7

~9月)には補てんの発動がなくなります(資料-4

参照)。

1.日本酪農の危機的現状

急激に高騰している飼料価格3

資料:農林水産省「農業物価指数(2002 年 4 月を 100 とした指数)」

図表 3/生産資材価格の推移

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● 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。● 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

■急速に増嵩する牛乳の生産コスト

平成 17 年度の搾乳牛1頭当たりの牛乳生産費は、

北海道が679千円、都府県が790千円で、粗収益(生

乳と子牛などの販売額)とほぼ同水準(北海道 661

千円、都府県799千円)にありました。

しかし、最近の飼料価格の高騰などにより、18年

度の牛乳生産費は、北海道 683 千円、都府県 804 千

円と増嵩し、一方、粗収益は、北海道 645 千円、都

府県 782 千円程度と推測されることから、すでに生

産費が粗収益を超過する厳しい経営状況になってい

るものと推察されます。

現在の飼料価格の高水準が継続するとすれば、本

年度、来年度と生産費はさらに上昇し、酪農経営の

収益性は、悪化の一途を辿ることが危惧されます。

■急激に減少する酪農家の所得

一般企業と同様に、粗収益と生産費の差額を「利

潤」と考えると、わが国の酪農経営は、今後、単

年度ベースの利潤がと同じ指標で試算してみると、

このままこマイナスになるものと推測されます。

これを生乳1kgに換算すると、本年度は、北海

道でマイナス 6.4 円、都府県でマイナス 5.7 円、

来年度は北海道でマイナス 9.3 円、都府県でマイ

ナス9.7円になることが予想されます。

仮にこうした状況となれば、酪農家は酪農家自身

や家族の労賃、地代等から利潤のマイナス分を取

り崩すこととなり、その結果、酪農家の所得は急

激に減少することが危惧されます。

1.日本酪農の危機的現状

飼料費の高騰などが酪農経営を圧迫4

資料:畜産物生産費統計

図表 5/生乳 1 ㎏当りの利潤の推移 図表 4/搾乳牛 1 頭当りの生産費及び粗収益の推移

資料:畜産物生産費統計

※06(平成 18)年度以降の生産費は、流通飼料費のみ試算した。※生産費=生産費総額(費用合計+支払利子+支払地代+自己資本利子+自作地地代) ※粗収益=乳価+副産物価格

※06(平成 18)年度以降の生産費は、流通飼料費のみ試算した。

※利潤=粗収益-生産費総額

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● 日本人の食生活に定着している牛乳乳製品。

● 牛乳など飲用向け生乳の消費が、最近、急速に減少中。 ■牛乳乳製品の消費量は米の約1.3倍

高度成長と食生活の洋風化などにより、牛乳乳製

品の消費は戦後、急速に拡大しました。日本国内で

消費される牛乳乳製品の量は年間で約 1,200 万トン

(生乳換算)を超えています。日本人の主食である

米の国内消費量が約 900 万トンですから、約 1.3 倍

もの量にあたり、いかに牛乳乳製品の消費量が多い

かがわかります。日本人のカルシウム摂取量の 4 割

以上は牛乳乳製品から摂取しているというデータも

あり、いまや日本人の食生活に欠かせない食品とな

っています(10ページ参照)。

■飲用向けの消費は10年で10%減

このように日本人に身近な食品である牛乳乳製

品ですが、1人1日あたりの消費量の推移をみると、

1994(平成6)年度までは増加傾向で推移していま

したが、その後横ばいで推移しています。乳製品

向けの消費量は増加が続いており、1985(昭和60)

年から2006(平成18)年度までの約20年間で60%

以上増加しています。特にチーズの消費量はこの

20 年で 2.5 倍程度になっています。しかし、牛乳

など飲用向け生乳の消費の減少が顕著で、1994(平

成6)年度の114.0gをピークに、2006(平成18)

年度には98.1gと100gを割っています。

1.日本酪農の危機的現状

牛乳の消費量は減少傾向5

資料:農林水産省「食料需給表」

図表 6/牛乳乳製品の1人1日あたりの消費量の推移

Page 8: 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

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● 乳製品の国際価格が急騰し、需給が国際的に逼迫。

● 輸入乳製品の価格が国産品を上回る逆転現象も。

■年間350万トンの乳製品を輸入

日本では、牛乳の自給率はほぼ100%ですが、国内

で生産するよりも安価な脱脂粉乳やバター、チーズ

等の乳製品を、オセアニアやEUなどの農地が広く農

業条件の整った国から年間約 350 万トン輸入してい

ます。ところが、昨年あたりから輸入乳製品の価格

が急騰しています。

■世界で牛乳乳製品の需給が大逼迫

経済成長が著しい中国やインドなどのアジア諸国

やロシアで乳製品の需要が急激に増加していること

や、2006(平成 18)年後半にオーストラリアが 100

年に 1 度といわれる干ばつに見舞われて乳製品の

輸出量が減少したことしたこと、EU諸国の乳製

品在庫量が減少したことなどが主な原因となって、

乳製品の需給が国際的に逼迫しています。また、

補助金を出して国際市場で値引き販売をするEU

の輸出政策が撤廃されたことも、国際価格の急騰

に拍車をかけている状況です。

こうした中で、製品によっては、国際価格が国

内価格を上回る製品も現われています。

乳製品の国際価格が急上昇6

図表 7/乳製品価格の推移

資料:ZMP、大口需要者価格

2 逼迫状態にある世界の酪農市場

Page 9: 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

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● 乳製品の国際価格は高止まりとの予想。

● 日本の食品企業の原料乳製品調達が困難に。

■今後10年間国際価格は高止まりの予想

国際的な農業経済の権威者である米国コーネル大

学のカイザー教授(Harry M.Kaiser)のレポートに

よると、今後、アジアでの需要が好調に推移すること

もあり、乳製品の国際価格はこれからの10年間高止

まりの状況が続くとしています。

また、EUの農産物需給に関する見通しでは、今

後10年間乳製品価格は上昇すると発表しています。

■すでに始まっている乳製品の価格上昇

国内では、すでに輸入乳製品の販売価格が値上が

りの動きを見せ始めており、たとえば、消費量に占

める輸入品の割合が高いチーズは、実質的な価格改

定が始まっています。また、バターや脱脂粉乳など

の乳製品も、海外からこれまでのように調達するこ

とが困難になってきており、今後さまざまな食品の

価格に影響してくるのは、否定できません。

今後も続く世界的な乳製品の高価格7

2.逼迫状態にある世界の酪農市場

図表 8/食料農業政策研究所(FAPRI)による乳製品の価格予測(2007-2016 年)

資料:Harry M.Kaiser教授(コーネル大学)

「2007 年農業法に見る米国酪農政策の概要と国際乳製品

の価格上昇要因の分析」

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● 国際価格の急騰などで、各国で生乳価格が値上げの動き。

● どの国も、国内での牛乳乳製品の安定供給が課題に。 ■米国では生産者乳価が史上最高の予測

エタノール向け需要増加によるトウモロコシ相場

の高騰、原油価格の値上がりなどを背景に、酪農経

営が厳しい環境に立たされる中、米国やEU主要国

では、牛乳乳製品の小売価格や生産者乳価を値上げ

する動きが活発です。米国やカナダでは、すでに2003

(平成15)年以降、生乳価格は上昇傾向にありまし

たが、米国農務省は、2007(平成19)年の生産者乳

価は史上最高の1キロあたり約50円になるという予

測を発表しています。

■EU諸国でも本年4月以降相次ぎ値上げ

EU諸国の生産者乳価は、これまで暫時低下する

傾向にありましたが、近年の生乳需給の逼迫などの

状況により、ドイツ、イギリス、ベルギーなどで相

次いで生乳価格や牛乳価格の値上げが実施されてい

ます。

EU最大の生乳生産国であるドイツでは、牛乳

納入価格を1リットルあたり日本円にして約13円

の値上げ、生産者乳価を 1 リットルあたり約 5 円

値上げしました。また、EUで最も低乳価のイギ

リスでは大手 6 社が乳価を値上げしています。ベ

ルギーでは、粉乳の国際価格急騰にともなって、

より多くの生乳を粉乳生産に仕向けるため、牛乳

向けの乳量が不足したという事情もあり、6月に牛

乳価格(店頭価格)を 15~23%と大幅に値上げし

ました。

また、オーストラリアやニュージーランドでも

同様に乳価が上昇傾向にあり、牛乳乳製品の小売

価格や生産者乳価の値上げの動きは世界的規模で

広まっています。

世界の主要国で生乳価格が値上がり8

図表 9/主要国の生乳価格(酪農家の受け取り価格)の推移

2.逼迫状態にある世界の酪農市場

資料:CLAL(Farm-gate milk)

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● 摂取していないようで、日本人は 1 日 250g も牛乳乳製品を摂取。

● カルシウム摂取量の約 43%は牛乳乳製品から。

■年間で約1,200万トンの消費量

牛乳乳製品は、いまや日本人の食生活に欠かせな

い食品です。牛乳やチーズなどの形で直接飲んだり

食べたりするだけでなく、ケーキやパン、ピザ、パ

スタ、菓子、冷凍食品など多くの食品の原材料とし

て使用されています。これらのさまざまな食品の原

料となる量も合わせると日本国内では年間で約

1,200万トン(生乳換算)を超えています。これは米

(コメ)の国内消費量の約1.3倍もの量にあたります。

この量を 1 日あたりの消費量に換算してみると、

約250gですから、牛乳ならばコップに約1杯分。摂

取していないようで、実は毎日多くを摂取している、

牛乳は日本人にとってこんなに身近な食品なのです。

■魚介類の3倍以上のカルシウムを牛乳乳製

品から摂取

日本人は昔から魚好きで、魚介類からカルシウム

を多く摂取しているイメージがあります。しかし、

カルシウム摂取量の約43%は牛乳乳製品から摂取さ

れています。魚介類は約14%と、他の食品と比べる

と高い水準にありますが、牛乳乳製品はその 3 倍以

上にもなります。

牛乳は、カルシウムの量を多く含むというだけで

なく、魚や野菜と比べてカルシウムの吸収率が高い

ことも特徴であり、日本人のすぐれたカルシウム供

給源ということができます。

日本人の食生活で不足しているカルシウム。牛乳

乳製品の供給不安定は、そのまま、重要な栄養素で

あるカルシウムの供給不安定となるのです。

3 日本の牛乳乳製品の商品特性

牛乳は日本人に最も身近な食品9

図表 10/食品の国内消費量の比較

資料:社団法人 日本酪農乳業協会「2004 酪農と乳業の基礎知識」

図表 11/カルシウム摂取量に対する食品種類別寄与率

資料:農林水産省「食料需給表(2006)」

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● 栄養の密度とバランスに優れ、コストパフォーマンスの良い食品。

● 牛乳乳製品の国内自給率は米・卵に次ぐ高水準。 ■牛乳は栄養価の高い「準完全栄養食品」

牛乳の特徴は、カルシウムだけにあるのではあり

ません。たんぱく質、脂質、炭水化物、無機質、ビ

タミンなどがバランス良く含まれており、「準完全

栄養食品」と呼ばれることもあります。たんぱく質

は、必須アミノ酸を多く、しかもバランスよく含ん

だ良質のたんぱく質です。ビタミンはAや B2を多く

含んでいます。

牛乳乳製品の栄養的価値の優れた特質は、栄養の

密度とバランスに優れたところです。下表は日本人

の最適栄養メニューを「牛乳を使ってつくった場合」

と「牛乳なしでつくった場合」を試算し、比較した

ものです。牛乳250gに含まれる栄養を他の食品の組

み合わせで置き換えた場合、135円コストがよけいに

かかることになります。牛乳 1 リットルに換算すれ

ば、540円となり、牛乳1リットルの平均価格を180

円とすれば、約 3 倍のコストとなります。牛乳がい

かに栄養的なコストパフォーマンスに優れているか

がおわかりいただけると思います。

■牛乳乳製品の自給率は66%

2006(平成18)年度の牛乳乳製品の国内自給率は

約66%。これは、卵の95%、お米の94%と比べると

低い水準です。1985(昭和60)年度に85%だったも

のが、約 20 年で 20%弱も減少しています(資料-5

参照)。飲用向けの牛乳は、今のところ、すべて国産

生乳でまかなわれていますが、このまま酪農家戸数

が減少すると、生乳生産量が減少し国内消費量を下

回り、牛乳乳製品が不足する可能性が出てきます。

資料:社団法人 日本酪農乳業協会「2004 酪農と乳業の基礎知識」

3.日本の牛乳乳製品の商品特性

栄養価とコストパフォーマンスに優れる牛乳 10

図表 12/最適栄養メニューの「牛乳あり」「牛乳なし」の比較

日本人の栄養摂取基準を満足させる「最適メニュー」を 「牛乳あり」「牛乳なし」で比較

「牛乳あり」のメニューは、「牛乳なし」のメニューより 135 円安い

牛乳1リットルパックでは、540円の食費を削減することが可能

牛乳あり 食 品 量(g) 価格(円)

牛乳

大豆

味噌

ホウレンソウ

キャベツ

砂糖

油脂

250

50

127

10

63

184

180

20

20

363

牛乳なし 食 品 量(g) 価格(円)

大豆

ホウレンソウ

キャベツ

食パン

砂糖

油脂

50

160

284

316

154

26

20

20

498

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● 牛乳は他の食品と比べ、価格上昇幅が小さい。

● 酪農家の労働時間は、搾乳牛の飼養だけで 1 人あたり 1900 時間超。

■牛乳の価格は 30 年で約 18%の上昇

近年は、さまざまな食品の価格が上昇してきまし

た。この30年でみると、生鮮野菜は約100%と倍の

価格に、パンや生鮮魚介類は約70%、米は約50%上

昇しています。

こうした中で、牛乳は、18%程度の上昇にとどま

っています。食品全体では約80%上昇しているので、

牛乳の価格上昇幅がいかに小さいかがわかります。

牛乳乳製品の価格の安定は、酪農家によるコスト削

減への不断の努力の現れでもあります。

■365 日、休むことができない酪農家の労働

乳牛という生き物を扱う酪農は、作業が乳牛の生

理と一体的であり、作業時間の不規則性は否めませ

ん。毎日、新鮮な牛乳を出荷するためには、乳牛の

健康に気遣い、給餌をし、搾乳などを 1 年中休むこ

となく続ける必要があります。

このため、生乳を生産するための酪農家の年間の1

人あたり労働時間は全国平均で約 1,900 時間、北海

道では 2,100 時間を超え、これに子牛などを育てる

労働時間を加えると、農業のなかでもは、大変厳し

い労働環境にあることが窺われます。(資料-6参照)。

3.日本の牛乳乳製品の商品特性

牛乳は物価の優等生11

図表 13/主要な食品の消費者物価の推移

資料:総務省「消費者物価指数(1975 年を 100 とした指数)」

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● 農家戸数の減少などで、耕作放棄地が増加中。

● 土地利用型の酪農が農地荒廃の防止に貢献している。

■耕作放棄地の増加で農地荒廃が進む

耕作されない農地、いわゆる耕作放棄地が近年増

加しています。農家戸数の減少により、耕作放棄さ

れた農地が荒廃し、農村地帯の深刻な問題のひとつ

になっています。特に傾斜がきつい、林野率が高い

などの特徴をもつ「中山間農業地域」では、農業生

産にあまり適さず、離農が増え、洪水防止や自然景

観などの多面的な機能が維持できない問題点を抱え

ています。

■農地面積は稲作農家の4倍

こうした状況を改善する担い手として、酪農家が

注目されています。酪農家戸数の約半分は、実は、

中山間地域に分布しています。これは、米や野菜な

どには不利な生産条件でも、採草地や放牧地として

土地を有効利用することのできる酪農生産の特性に

よるものです。

酪農家が利用する農地面積は北海道で平均48ha、

都府県では5.6haで、全国平均でも18haの水準にあ

ります。これは、農業経営統計調査によると、稲作

農家の約 4 倍にあたります。また、酪農家が利用す

る耕地のうち、実際に約30%が他の農家から借り入

れた農地です。所有者が耕作できなくなった土地を

酪農家が有効に利用し、農地の荒廃を防いでいます。

4 日本酪農の特徴

環境保全に貢献する酪農12

図表 14/主要営農類別の平均経営耕地面積

資料:農林水産省「農業経営部門別統計(2003)」

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13

● 次代の酪農の担い手は、他の農業に比べ多い。

● 酪農は、農業経営としての自立性が高い。

■約6割の酪農家が担い手を確保

家族経営が圧倒的多数を占めるのは、日本農業の

特徴の一つですが、年々高齢化が進み、後継者不足

が深刻な問題になっています。このため、農業全体

での担い手の確保率は3割に満たないほどです。

このままでは、農業従事者が減少し、日本の食料

生産が衰退するとともに農村社会が急速に疲弊して

いく可能性があります。

したがって、今後は意欲ある若い人々の就農や競

争力のある作目を支援し、日本における農業生産基

盤を確保することが必要です。

こうした中にあって、酪農家はその約 6 割におい

て若い担い手を確保しており、「日本農業の虎の子」

ともいわれています。さらに酪農は、農業経営とし

ての自立性が高く、家計収入のうち農業収入の割合

が、他の農業に比べて高いのも特徴です。

すなわち、日本の酪農は、農業の中にあって、今後

も持続的な発展が期待されている品目であり、日本

の農村社会と日本人の食生活を支える重要な位置づ

けにあるといえます。このように比較的競争力があ

り、生産基盤も安定している日本酪農の危機は、日

本農業全体にとっても極めて憂慮すべき問題ともい

えます。

4.日本酪農の特徴

後継者が育つ日本の酪農家13

図表 15/担い手確保の状況

資料:農林水産省「農業構造動態調査報告書(1999)」

注:担い手は49歳以下の世帯主及び50歳以上で後継者(15歳

以上の男子後継ぎで自営業に従事している者)ありの世帯主。

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14

● 牛乳乳製品と酪農家を取り巻く状況は、これまでにない危機的なもの。

● 適正価格の実現に向けて、何よりも国民の理解が必要。

牛乳乳製品の安定供給に向けて

酪農家戸数の著しい減少とそれにともなう乳牛頭数の減少、輸入飼料価格の高騰に

よるコストの上昇などにともなう酪農家の経営環境の悪化、国際市場での需給の逼迫

による牛乳乳製品の品薄状態…。

日本の牛乳乳製品と酪農家を取り巻く状況は、これまで経験したことのない危機的

なものといえます。

この状況が続けば、最悪の場合、国内で牛乳乳製品の供給不足が起こり、結果とし

て価格が高騰し、日本の食卓から新鮮で手ごろな価格の牛乳や乳製品が姿を消してし

まう可能性も考えられます。

牛乳乳製品の安定供給を考える時期に

いま、重要なのは、酪農家が安心して生乳の生産を継続できる環境を整え、必要な

量の生乳をしっかりと生産するということではないでしょうか。

日本の酪農家は、コスト削減に努め、生産性の向上を常に追求するとともに、衛生

管理にも万全を尽くし、牛乳乳製品を通じて日本人の食生活に寄与することに誇りを

持っています。

牛乳乳製品を安定的に供給するためには、牛乳乳製品の価格をコストがまかなえる

適正な水準にし、酪農家が生産する生乳の適正価格を実現することが必要不可欠とな

っているのです。

これまでにない危機的な状況にあるいまこそ、国民の皆様に、あらためて、日本の

酪農と牛乳乳製品のことを理解していただきたいと思います。

5 牛乳乳製品の安定供給に向けて

深刻な危機に直面する日本の酪農経営 14

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15

資料編

資料-1/酪農家の廃業率(←P1)

資料:農林水産省「畜産統計」より作成(各年2月1日現在)

資料-2/北海道と都府県の生乳生産量の推移(←P2)

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

〔為替レート〕 〔海上運賃〕

資料-3/為替レートと海上運賃の推移(←P3)

注1:平成 15 年までは日本経済新聞社調べのメキシコ湾岸~

日本(5 万トン~8 万トン)級の数値

注2:16 年以降は「World Maritime Analysis Weekly Report」の数

値で、17 年はガルフ~日本(6 万 5 千トン級)、ほかはガルフ~

日本(7 万 2 千トン級)の数値。

資料:三菱東京 UFJ 銀行調べ

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16

配合飼料価格

① 補てん額

② 農家実負担額 ③=①ー②

平成 17 年度第 1 四半期

平成 17 年度第 2 四半期

平成 17 年度第 3 四半期

平成 17 年度第 4 四半期

平成 18 年度第 1 四半期

平成 18 年度第 2 四半期

平成 18 年度第 3 四半期

平成 18 年度第 4 四半期

平成 19 年度第 1 四半期

平成 19 年度第 2 四半期

平成 19 年度第 3 四半期

平成 19 年度第 4 四半期

平成 20 年度第 1 四半期

平成 20 年度第 2 四半期

平成 20 年度第 3 四半期

平成 20 年度第 4 四半期

42,400

43,400

42,500

43,700

43,700

43,300

45,000

50,500

53,730

54,430

54,430

54,430

54,430

54,430

54,430

54,430

1,350

700

1,600

6,500

8,200

7,650

3,515

1,157

175

42,400

43,400

42,500

42,350

43,000

43,300

43,400

44,000

45,530

46,780

50,915

53,273

54,255

54,430

54,430

54,430

資料:中酪調べ

資料-4/配合飼料価格安定制度における補てん金の交付状況と見込み(←P3)

資料編

資料 5/食料自給率の推移(←P10)

資料:農林水産省「食料需給表」

資料 6/1 人あたりの労働時間(←P11)

農業

就業者 ① (人)

搾乳牛 1 頭 当りの

労働時間合計②

(時間)

搾乳牛1頭 ・1人当りの 労働時間

③=②÷①

搾乳牛 飼養状況

④ (頭)

1人当たりの 労働時間

⑤=③×④ (時間)

全 国 2.5 112.59 45.04 42.3 1,905

北海道 2.7 95.32 35.30 61.8 2,182

都府県 2.3 127.98 55.64 33.0 1,836

資料:農林水産省「畜産物生産費(2006 年)」

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17

年月 とうもろこし

乾牧 草

配合 飼料

ガソ リン

軽油

2002.456789101112

100.0100.199.899.498.999.8103.3104.5104.4

100.0 101.4 101.0 100.1 98.2 98.2 98.7 99.9 101.0

100.0 99.9 99.9 99.2 99.2 99.1 100.9 101.0 100.9

100.0102.0102.9101.0100.0100.0101.0102.0101.0

100.0102.2102.5101.4100.5100.4100.8101.5100.8

2003.123456789101112

104.7104.1104.1103.3103.8104.1103.5103.0102.1103.6103.4105.7

101.7 102.5 102.8 103.1 103.4 102.0 100.8 99.9 98.5 97.0 95.5 95.0

103.2 103.3 103.3 102.4 102.2 102.0 102.9 103.0 102.9 102.5 102.0 102.0

101.0102.9104.9105.9104.9102.9102.9102.9102.9102.9102.0102.0

101.4102.7105.0105.8104.8103.9103.9103.5103.7103.3102.5102.3

2004.123456789101112

108.6109.7112.8118.3119.4118.9117.7112.2109.2107.1106.1106.0

94.3 93.9 93.8 93.8 94.4 96.0 96.0 95.8 98.3 99.1 99.0 98.4

105.2 105.2 105.2 110.6 110.8 111.5 114.8 114.9 114.9 108.3 107.6 107.5

102.0102.0102.0104.9104.9110.8111.8111.8116.7116.7117.6115.7

102.0101.9102.2103.9104.5109.1109.5109.9114.8114.8115.6114.4

2005.123456789101112

103.6103.2102.5104.5105.6104.1104.7104.9104.0102.2105.0106.3

97.8 98.4 98.8 99.5 100.0 100.2 100.7 101.8 101.8 102.3 104.8 107.1

104.2 103.9 103.6 105.9 105.9 106.2 108.1 108.1 108.3 107.4 107.0 107.0

113.7112.7114.7119.6121.6120.6122.5126.5128.4128.4127.5125.5

112.1112.1112.9119.2122.5121.7124.0127.9130.6130.9130.1129.3

2006.123456789101112

106.6106.3105.4107.0106.7106.0106.3108.1110.7113.8119.1125.1

108.1 108.5 109.2 108.9 109.4 107.8 108.8 109.9 111.2 112.2 113.4 113.7

108.3 108.3 108.3 108.1 108.1 108.1 107.0 107.0 106.9 110.1 110.2 110.2

125.5127.5128.4128.4133.3133.3133.3140.2141.2137.3132.4130.4

129.9131.1132.8133.2138.5138.6139.5146.8147.4144.0139.5137.3

2007.1234567

127.7130.7135.3139.2136.0137.7143.1

140.1 128.3 128.4 126.7 127.0 126.6 128.3

119.9 120.0 120.1 125.8 126.3 128.2 131.2

127.9125.4125.0126.5132.7136.5137.9

136.0133.2133.2134.3142.2144.1146.3

図表 1/酪農家戸数と乳牛頭数の推移(P1)

DATA 編

年 経産牛頭数 ①

酪農家戸数 ②

1 戸当り 飼養頭数 ①/②

1963 636.2 417.6 19.0 1965 753.4 381.6 20.3 1970 1060 307.6 21.5 1975 1111 160.1 23.3 1980 1291 115.4 25.2 1985 1322 82.4 26.2 1990 1285 63.3 27.4 1995 1213 43.3 29.1 1997 1205 39.4 30.6 1998 1190 37.4 31.8 1999 1171 35.4 33.1 2000 1150 33.6 34.2 2001 1124 32.2 34.9 2002 1126 31 36.3 2003 1120 29.8 37.6 2004 1088 28.8 37.8 2005 1055 27.7 38.1 2006 1046 26.6 39.3

年度 生乳生産量 飲用牛乳等 向け

乳製品 向け

1996 8,659 5,188 3,3511997 8,629 5,122 3,3961998 8,549 5,026 3,4191999 8,513 4,939 3,4702000 8,415 5,003 3,3072001 8,312 4,903 3,3172002 8,380 5,046 3,2452003 8,405 5,018 3,3022004 8,285 4,902 3,3012005 8,293 4,739 3,4722006 8,088 4,619 3,389

図表 2/生乳生産量の推移(P2)

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

(単位:千トン)

資料:農林水産省「農業物価指数(2002 年 4 月を 100 とした指数」

図表 3/生産資材価格の推移(P3)

資料:農林水産省「畜産統計」

(単位:千頭、千戸)

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DATA 編

図表 5/生乳 1 ㎏当りの利潤の推移(P4)

図表 4/搾乳牛 1 頭当りの生産費及び粗収益の推移(P4)

(単位:千円)

図表 6/牛乳乳製品の1人1日あたりの消費量の推移(P5)

年度 牛乳乳製品 (生乳換算)

飲用向け 乳製品向け(生乳換算)

1985 193.6 96.5 95.8

1986 195.3 96.8 97.2

1987 207.1 101.7 104.2

1988 222.9 106.5 115.0

1989 220.9 109.1 110.8

1990 228.0 111.7 115.3

1991 231.6 111.5 119.2

1992 228.7 111.2 116.7

1993 228.9 109.2 118.8

1994 246.1 114.0 131.2

1995 249.2 111.0 137.6

1996 255.7 111.8 142.8

1997 255.4 110.1 144.7

1998 253.0 107.8 144.8

1999 254.2 105.5 148.3

2000 258.2 106.9 150.8

2001 254.7 104.5 149.8

2002 254.6 107.4 146.7

2003 254.2 105.1 148.7

2004 257.2 104.1 152.6

2005 251.5 100.6 150.5

2006 252.7 98.1 154.4

資料:農林水産省「食料需給表」

(単位:g)

年度 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06(推計) ‘07(推計) ‘08(推計)

都府県(生産費) 766 780 790 804 830 862

都府県(粗収益) 792 805 799 782 782 782

北海道(生産費) 652 668 679 683 695 718

北海道(粗収益) 676 668 661 645 645 645

資料:畜産物生産費統計

資料:畜産物生産費統計 ※2006(平成 18)年度以降の生産費は、流通飼料費のみ試算した。 ※生産費=生産費総額(費用合計+支払利子+支払地代+自己資本利子+自作地地代) ※粗収益=乳価+副産物価格

※2006(平成 18)年度以降の生産費は、流通飼料費のみ試算した。

※利潤=粗収益-生産費総額

(単位:円/㎏)

年度 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06(推計) ‘07(推計) ‘08(推計)

都府県 3.1 3.0 1.1 ▲ 2.6 ▲ 5.7 ▲ 9.7

北海道 3.2 ▲ 0.0 ▲ 2.4 ▲ 4.8 ▲ 6.4 ▲ 9.3

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DATA 編

年月 脱脂粉乳 (国際価格)

脱脂粉乳 (国内価格)

バター (国際価格)

バター (国内価格)

2004.4 200 512 178 912

5 224 512 204 911

6 229 509 210 908

7 232 509 213 905

8 231 509 217 906

9 233 509 217 905

10 237 506 209 904

11 233 506 207 906

12 231 506 205 906

2005.1 230 506 204 906

2 225 505 206 906

3 230 505 211 906

4 231 505 208 904

5 235 504 210 904

6 244 504 215 903

7 248 504 224 903

8 251 503 230 903

9 255 502 234 903

10 258 502 235 902

11 264 498 238 903

12 255 499 232 902

2006.1 259 498 230 902

2 249 498 227 902

3 249 498 223 902

4 242 498 208 902

5 238 497 201 902

6 241 495 201 902

7 240 496 195 905

8 251 496 199 898

9 268 496 200 898

10 273 495 202 898

11 300 495 214 899

12 360 496 234 899

2007.1 374 495 245 899

2 379 496 251 899

3 440 496 274 899

4 507 496 308 899

5 577 496 319 899

6 615 497 354 900

図表 7/乳製品価格の推移(P6)

資料:ZMP、大口需要者価格

(単位:円/kg)

注:国際市況は、『ZMP』によるEUの西欧積み出し港のFOB価格。日本で流通する際の価格は FOB 価格に、運賃、諸経費等が加算されることとなる。

バター

チーズ

脱脂 粉乳

全脂 粉乳

2006 1,912 2,706 2,514 2,336

2007 2,108 2,986 2,606 2,499

2008 2,144 3,081 2,570 2,554

2009 2,175 3,133 2,617 2,609

2010 2,165 3,123 2,632 2,602

2011 2,168 3,111 2,611 2,577

2012 2,169 3,105 2,572 2,547

2013 2,183 3,111 2,558 2,530

2014 2,210 3,139 2,557 2,547

2015 2,247 3,181 2,558 2,569

2016 2,295 3,226 2,594 2,622

図表 8/食料農業政策研究所(FAPRI)による乳製品 の価格予測(2007-2016 年)(P7)

資料:FAPRI

イタリア ドイツ 米国 ニュージー ランド

2005.1 34.34 28.28 27.06 18.22

2 34.34 28.21 26.09 18.67

3 34.34 28.08 25.89 18.87

4 33.57 27.98 25.89 18.89

5 33.57 27.86 25.53 19.24

6 33.57 27.96 26.1 16.91

7 33.57 27.93 27.11 16.39

8 33.57 27.77 26.54 17.09

9 33.57 27.81 27.52 17.24

10 33.57 27.7 28.63 17.54

11 33.57 27.65 28.25 17.68

12 33.57 27.75 27.52 17.69

2006.1 32.28 27.5 26.41 17.15

2 32.28 27.33 24.91 17.01

3 32.28 27.49 23.1 16.24

4 32.00 27.2 21.94 15.59

.5 32.00 27.27 20.73 15.2

6 32.00 27.26 20.74 14.97

7 32.00 27.28 20.51 14.87

8 32.00 27.42 20.82 15.16

9 32.00 27.67 22.35 15.72

10 32.00 27.87 23.24 16.04

11 32.00 27.98 23.79 15.88

12 32.00 28.02 23.52 16

2007.1 42.00 28.2 24.57 16.88

.2 42.00 28.22 25.13 16.74

3 42.00 28.32 25.97 16.66

4 28.56 27.09 17.98

5 29.24 29.37 17.95

6 30.14 33.19 23.72

7 32.6 34.89 27.89

8 35.1 35.11

図表 9/主要国の生乳価格(酪農家の受け取り価格) の推移(P8)

資料:CLAL(Farm-gate milk)

(単位:US$/t)

(ユーロ:100 ㍑)

Page 22: 日本酪農の現状と 牛乳乳製品の未来4 酪農経営の収益は、いまや生産費が粗収益を上回り悪化の一途。 酪農家の所得は、北海道・都府県ともに急激に減少。

20

米類 パン 生鮮 魚介

生鮮肉 牛乳 鶏卵 生鮮野

菜 総合

1975 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

1976 114.9 111.3 116.3 111.8 110.3 92.6 119.7 109.5

1977 126.3 119.3 137.1 111.0 111.7 99.8 115.4 118.5

1978 133.9 120.2 140.2 110.2 114.3 86.0 119.5 123.5

1979 136.7 120.7 146.3 109.0 117.7 85.3 126.2 128.0

1980 140.4 133.2 154.2 110.7 117.5 103.3 155.3 138.1

1981 145.9 142.3 158.5 115.3 117.5 112.5 164.6 144.7

1982 151.6 149.9 170.9 116.8 116.8 96.7 148.2 148.8

1983 154.5 152.9 170.3 118.5 116.6 88.7 161.5 151.5

1984 160.2 156.9 170.8 118.9 116.5 92.1 170.1 154.9

1985 165.1 158.6 174.7 118.1 116.0 94.9 163.5 158.2

1986 166.3 163.3 176.4 116.4 115.5 98.9 159.8 159.1

1987 166.3 162.6 171.4 113.9 114.3 69.9 158.6 159.2

1988 163.4 161.6 165.8 112.7 113.7 67.8 182.2 160.3

1989 166.0 165.0 166.7 114.2 116.4 75.7 177.7 163.9

1990 167.9 167.5 175.4 117.0 117.3 86.7 205.9 168.9

1991 167.8 174.1 179.8 120.1 120.7 97.4 238.5 174.7

1992 174.3 176.7 177.2 121.8 123.0 73.9 201.4 177.6

1993 179.5 177.7 174.5 121.2 122.9 72.5 224.4 179.9

1994 196.6 177.9 172.1 119.7 122.3 73.3 220.9 181.0

1995 172.2 177.6 169.6 119.2 121.6 76.7 209.2 180.8

1996 167.9 177.9 175.9 121.2 120.5 82.1 203.7 181.0

1997 166.6 180.9 180.0 126.5 122.0 84.8 204.3 184.4

1998 160.0 180.3 182.9 127.7 122.0 78.3 238.5 185.5

1999 162.7 180.3 180.8 126.8 121.8 83.8 209.4 184.9

2000 155.9 180.0 175.7 124.8 120.6 84.4 189.1 183.5

2001 151.1 179.1 174.2 124.4 119.7 80.9 195.5 182.2

2002 150.5 177.7 174.1 125.3 119.2 82.2 190.8 180.6

2003 156.2 177.7 169.5 126.9 119.3 78.4 198.2 180.1

2004 171.3 175.8 167.2 131.8 119.0 81.6 209.0 180.1

2005 148.6 173.9 164.2 134.0 118.5 93.0 195.3 179.5

DATA 編

図表 13/主要な食品の消費者物価の推移(P11)

資料:総務省「消費者物価指数(1975 年を 100 とした指数)」