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平成28年10月18日(火) 金沢学院短期大学 原田 澄子
北陸の食文化
~次世代に伝えたいもの~
日本の食文化
和食:日本の気候・風土・歴史のなかで育まれてきた料理
食文化・食習慣の形成と変化の要因
●自然環境
日本の自然環境
①気候:温暖
②四季の区分が明確
③夏高温多湿
④周囲が海、山河の多い地形
●社会環境
日本の気候と風土
♦日本の自然環境
①温暖
②四季の区分が明確
春夏秋冬の季節の食材を利用
自然を感じる
③夏高温多湿
④周囲が海に囲まれている
●稲作の伝来と定着
縄文晩期→ →弥生時代
何が変わったか
奈良時代・・・税の対象(年貢米)
上流階級と一般庶民
江戸時代・・・脚気が流行(ビタミンB1不足)
●大豆と米の発酵食品豊富な水●日本酒
●醤(ヒシオ):食品を麹と食塩で発酵させた
縄文晩期~弥生時代
●醤油:鎌倉~室町時代
♦大豆製品:鎌倉時代(精進料理の発達)
豆腐・・・平安末期、(庶民:室町時代)納豆大徳寺納豆(浜納豆)
●野菜♦温暖多湿な気候と四季がある
・・・・多種類の野菜・いも・豆・果実日本に自生していたもの
やまうど、みつば、みょうが、山の芋外来種殆どが中国、朝鮮半島から日本へ伝来大根、ごぼう、しそ、里芋
春の七草(鎌倉時代)せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ
●魚貝類♦周囲が海に囲まれている
縄文貝塚・・・71種の魚介類の骨
♦包丁式:室町時代
料理に関する作法・ 故実や調理法などを最も頻用する調理器
具の包丁で象徴した呼び名
高級魚と下魚(魚の格付け)
♦調理法:煮魚、焼き魚、刺身、なます
加工品(干物、塩辛、)
練り製品(かまぼこ、すり身)
●主食と副食
•調理の起源・・縄文土器、稲作の伝承•献立の基本・・主食、副食(主菜、副菜)•献立をたてる時のポイント主 食 おもなおかず(副食)
足りない食品を補う(おかず、汁物)
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●特別な日の食と伝統
•ハレの食事とケの食事ハレ・・・特別な日
ケ・・・・・普段の日
•年中行事
•五節句「節」:季節の変わり目
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北陸の気候
北陸は世界有数の豪雪地帯最寒月:平均気温0℃以上
豊富な降水(雪)量最多雨月:冬に雨が多い夏の渇水対策(水資源)
北陸地方は日本の電源地帯 夏期:平均気温26~28℃
地形・自然の恵み(富山県)
高い山(急峻)
広い平野
標高3.000m級の立山連邦かから、水深1.000mの富山湾まで、高低差4000mのダイナミックな地形
深海 天然の生け簀
豊かな水と緑
北陸の「道」
「海の道」:
北前船によってもたらされた昆布
上方と北陸と東北・北海道
「山の道」:
「鯖街道」・・・福井の若狭地方(滋賀や京都)
「鰤街道」・・・富山と飛騨地方(岐阜や長野)
北陸の食 ①魚介類日本海は対馬暖流と深層水
非常に冷たい海水
日本海固有水:塩分が約3.4%、水温約2℃以下
日本海 水深300m付近 0~1℃
太平洋 水深1000m 5℃
生産地と消費地が近い 日本海固有水:表層の数百mを除くと、日本海は水温・塩分がほとんど一様な均質な海水で満たされている水を日本海固有水と呼ぶ。固有水は日本海の海水の85%を占め、水温は0.0~0.5℃、塩分は34.0~34.1psuの範囲にある 。
●富山湾の特徴
・一方が海、三方が高い山
・豊かな水
♦魚がおいしい
・天然の生け簀で獲れる魚貝類
・立山連峰から流れ出る天然水
・漁場が近いので鮮度の高い魚
が店頭に並ぶ
♦魚種が豊富
・暖流と深層水(冷水系・深海性)
北陸の食 ②米類
砺波平野(庄川、神通川)、加賀平野(手取川)、
越前平野(九頭竜川)
食生活の中に米の比重が大きい
白飯、かき餅が常備
行事食では餅類の頻度が多い
♦米どころ色とりどりのハレの餅(富山)針歳暮(せんぼ):針供養芋かい餅
♦ 飯は何時炊いたか
関東(江戸)、関西(京・大阪)では異なる
江戸:朝食 京・大阪:昼食・・・朝粥
北陸の食 ③発酵食良質米から、良質の麹、糠ができる微生物の繁殖に有利な温度と湿度
麹づけ:かぶらずし糠漬け:鯖(へしこ・こんか漬け・糠づけ)
鰯、にしん、ふぐ、かわはぎ、いかなれずし:魚醤:いしる塩辛:いかの黒作り
北陸の食生活の特徴主食・副食の分離
一汁三菜の食膳形式
調理の特色:新鮮な食品の持ち味を生かす
食材の特色:米・魚・鶏・野菜・大豆とその加工品・海藻類
調味料の特色
発酵食品の発達
食生活に対する態度
ケ・ハレの日の食事、行事食
食材 収穫適期、味の良いもの・・・旬
●四季が明確で雨が多い温帯。
稲作を中心に野菜、山菜、きのこなどの農産物が豊富
●豊かな漁場:黒潮と親潮がぶつかる深い湾
・・・魚種が多い
17世紀:漁業(鰯、鮪、鰤・・・地引き網)
●高い山(急峻)
おいしい水(軟水:日本料理に適している)
料理●一汁三菜
沢山の食材を (主食と副食)のバランスよく組み合わせる
だしを使って調理する
●郷土料理
地域の気候風土にあった食材を使用・旬の食材
●仏教国:報恩講料理
●日本料理➡おもてなし
調理法の工夫、器の使い分け、季節感の演出
●北前船:昆布を利用した料理
栄養●主食と副食の組み合わせ
P(たんぱく質)、F(脂質)、C(炭水化物)のバランスよい
●野菜の摂取
ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取
●発酵食品の利用
味噌・納豆・漬物(昆布じめ、黒作り)
●だしを利用(煮干し、昆布)
もてなし:お客様を大切に迎える気持ち
●客に対するサービス
●料理の味わい
●しつらえ
・・・・・床の間、箸使い、ふるまい、季節や思いの演出
●箸使い
●食事のマナー
●思いやる気持ち
郷土食の優位性
•地域の自然環境との関わりの中で、長い間に培われてきた料理(郷土料理)
•郷土食の中心は米、魚介類、大豆、海藻➡たんぱく質を大豆、魚介類、野菜から摂取
動物性脂肪の抑制
➡低脂肪、高繊維食(生活習慣病予防)
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郷土食の優位性
•主食、汁物、主菜、副菜、副副菜:一汁三菜➡ごはん(主食)が主役
どんなおかずにもあう、よく噛む、
腹持ちがよい、肥満防止、糖尿病予防
その地域で長期に食されてきた
➡安全性の実証
➡輸送における負荷の軽減
➡環境負荷の軽減
大豆・大豆製品とご飯の組み合わせ
大豆・・・・・必須アミノ酸のリジンを多く含む
米・・・・・・・リジンが少ない
アミノ酸バランスがよくなる
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大豆と米はお互いに足りない栄養素を補い合えるベストカップル
1ごはん・2豆腐の味噌汁・3焼き魚・4青菜のごま和、5たくあん献立を配食してみましょう!!
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次世代に伝えたいもの日本の風土にあった稲作の定着と、自然環境にあった食材(魚、大豆、野菜、海藻類)
旬の食材(栄養・鮮度) 発酵食品の利用
箸食文化(マナー)
伝統的な郷土食は、米食に外来の食文化を受容し、
それが融合して多様な料理が生まれた
これからも地場産の旬の食材を利用した料理とその組み合わせ、食べ方を、絶やすことなく私たちが受け継ぎ、さらに次世代へ引き継いでいくこと
郷土料理➡伝承料理