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平成20年（2008年）岩手・宮城内陸地震The Iwate-Miyagi Nairiku Earthquake in 2008

地震と地震動

国土技術政策総合研究所危機管理技術研究センター地震防災研究室

片岡 正次郎

2

1891 濃尾地震 M8.0 横ずれ断層1894 庄内地震 M7.0 逆断層1896 陸羽地震 M7.2 逆断層1909 姉川地震 M6.8 横ずれ断層1927 北丹後地震 M7.3 横ずれ断層1930 北伊豆地震 M7.3 横ずれ断層1931 西埼玉地震 M6.9 横ずれ断層1943 鳥取地震 M7.2 横ずれ断層1945 三河地震 M6.8 逆断層1948 福井地震 M7.1 横ずれ断層1961 北美濃地震 M7.0 傾斜断層1974 伊豆半島沖地震 M6.9 横ずれ断層1978 伊豆大島近海地震 M7.0 横ずれ断層1984 長野県西部地震 M6.8 横ずれ断層1995 兵庫県南部地震 M7.3 横ずれ断層2000 鳥取県西部地震 M7.3 横ずれ断層2004 新潟県中越地震 M6.8 逆断層2005 福岡県西方沖 M7.0 横ずれ断層2007 能登半島地震 M6.9 逆断層2007 新潟県中越沖地震 M6.8 逆断層2008 岩手・宮城内陸 M7.2 逆断層

1885年以降のM6.8以上の内陸地震（タイプが分かるもの）

横ずれ断層＝１３に対して逆断層＝７

下盤

上盤

下盤

上盤

下盤

上盤

下盤 上盤下盤 上盤

逆断層

横ずれ断層

地震の特徴１: 規模の大きい逆断層の内陸地震

3

0

20

40

60

80

100

5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0

気象庁マグニチュード

地表

地震

断層

の出

現率

（％

）

地震数1

地震数2以上

地震の特徴２: 地表地震断層が出現

M7.2

地震規模別の地表地震断層の出現率(1885～2008)

4

地震動の特徴１: きわめて大きい加速度を観測IWTH250806140843.NS22000.0

-2000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

1142.6

IWTH250806140843.EW22000.0

-2000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

1434.6

IWTH250806140843.UD24000.0

-4000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

3866.0

AKTH040806140843.NS22000.0

-2000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

1318.2

AKTH040806140843.EW23000.0

-3000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

-2446.3

AKTH040806140843.UD22000.0

-2000.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0(s)

1094.0

一関西（断層面の直上） 東成瀬（断層面から２０ｋｍ）（防災科学技術研究所による観測）

3866

1143

1435

1318

2466

1094

NS

EW

UD

NS

EW

UD

5

-2000

-1000

0

1000

2000

3000

4000

18.9 19.0 19.1 19.2 19.3

時間[s]

加速

度[c

m/s/

s]

地震動の特徴１: きわめて大きい加速度を観測

一関西で観測された地震動(UD成分)の一部

38663251

0.01[s]

6

地震動の特徴２: 震央より南でやや揺れが大(指向性)

本震の最大加速度度の分布（国土交通省地震計ネットワーク）

４号新達田橋計測震度：5.7(６弱)最大加速度：462gal

SI値：49kine

大崎出張所計測震度：5.7(６弱)最大加速度：307gal

SI値：59kine

×

7

すべり量分布八木勇治博士(筑波大学准教授･建築研究所客員研究員)による

本震の震度分布（気象庁）

地震動の特徴２: 震央より南でやや揺れが大(指向性)

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地震動の特徴３: 周期３秒程度の長周期地震動が局所的に卓越

大崎出張所EW（国土交通省地震計ネットワーク）

短周期（<0.4秒）が卓越

周期２～５秒が卓越

大崎出張所●

●鳴子

一関西●

東成瀬●

-300

-200

-100

0

100

200

300

10 20 30 40 50 60 70 80 90

時間 [s]

加速

度 [cm

/s/

s]

MYG0050806140843.NS 500.0

-500.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0(s)

-440.1

鳴子NS（防災科学技術研究所K-NET）

9

●

K-NET鳴子

KiK-net鳴子●

鳴子観測点の地震動（観測点位置による違い）

震央

MYGH020806140843.NS2 300.0

-300.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0(s)

-254.5

MYG0050806140843.NS 500.0

-500.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0(s)

-440.1

K-NET鳴子NS

KiK-net鳴子NSこのカルデラ内では周期３秒の増幅が大きい(岩田・他, 1997; 佐藤・他, 1998)

10

MYG0050806140843.NS 500.0

-500.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0(s)

-440.1

6/14岩手・宮城内陸地震

MYG0050807240026.NS 50.0

-50.0

0.0

(gal)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0

-41.2

鳴子観測点の地震動（地震による違い）

7/24岩手県沿岸北部の地震

K-NET鳴子観測点で得られた地震動の比較（NS成分）

• どちらも周期３秒の表面波が見られる

• 震源の浅い岩手･宮城内陸地震のほうが、より表面波が卓越

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長周期地震動の増幅倍率と卓越周期

周期３秒の増幅倍率 卓越周期

強震記録の統計解析による評価(片岡･他, 2008)

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建築研究所の強震観測事例(仙台)強震観測

仙台第2合同庁舎（震度４）

東北大建物（震度５）

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国土交通省地震計ネットワーク強震観測

地震発生後、即時に公開：http://www.nilim.go.jp/japanese/database/nwdb/index.htm

6/14岩手･宮城内陸地震 7/24岩手県沿岸北部

14

国総研の強震観測事例(道路橋)強震観測

●山田高架橋

7/24 岩手県沿岸北部の地震M6.8D=108km

国道45号 山田高架橋鋼(4+4)径間連続桁橋

水平力分散構造平成8年道路橋示方書適用

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強震観測

国総研の強震観測事例(道路橋)

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

橋軸方向 橋軸直角方向

地盤上

橋脚上

橋桁上

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

-650

0

650

10 20 30 40 50 60

最大加速度：382cm/s2

最大加速度：634cm/s2

最大加速度：466cm/s2

最大加速度：153cm/s2

最大加速度：636cm/s2

最大加速度：609cm/s2

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まとめ

・岩手･宮城内陸地震は、逆断層の内陸地震としては

規模が大きく、結果として地表地震断層が出現。

・きわめて大きい最大加速度が観測されたが、ごく

短周期の成分である。

・局所的には、やや長周期(2～5秒)の地震動が大き

く卓越する地点も見られ、震源と地盤の特性が現

れている。

・建築物や土木施設等で得られた強震記録は、耐震

設計の合理化･高度化に向けた調査研究で活用。