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1 最もポピュラーなセラミックス原料 α-酸化アルミニウムの ありそうでなかったナノ粒子 岐阜大学 大学院自然科学技術研究科 物質・ものづくり工学専攻 助教 吉田 道之

最もポピュラーなセラミックス原料 α 酸化アルミニ …...3 α-酸化アルミニウム(コランダム) 各種アルミナアルミニウムに酸素が結合した化合物の中で

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最もポピュラーなセラミックス原料α-酸化アルミニウムの

ありそうでなかったナノ粒子

岐阜大学 大学院自然科学技術研究科

物質・ものづくり工学専攻

助教 吉田 道之

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O2-

Al3+

・ナノ粒子・高比表面積

・耐熱材料・研磨材料

コランダム構造

遷移アルミナ

・触媒担体・吸着材

欠陥スピネル構造

O2- : 面心立方格子Al3+ : 6配位および4配位

a-Al2O3

O2- : 六方最密充填Al3+ : 6配位サイトの2/3

を規則的に占有

・電子材料・光学材料

O2-

Al3+

・耐熱性・耐食性

・高硬度・絶縁性

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α-酸化アルミニウム(コランダム)

■ 各種アルミナ(アルミニウムに酸素が結合した化合物)の中で 熱的・化学的に最も安定■ 優れた特性かつ安価であることから、産業界で広く利用される

Science 277, 788–791 (1997)

高耐熱性

高温構造材料・耐火物 半導体基板・碍子

高絶縁性 高硬度

研磨剤・切削工具

ナノ粒子にするとさらに付加価値が高まるのだが…

図 α,γアルミナの表面積とエンタルピーの関係

表面積が大きくなる(≒粒径が小さくなる)ほどα-Al2O3よりγ-Al2O3

が安定になる 水酸化物を加熱して合成する従来の方法では100nm以下のα-アルミ

ナ粒子を得るのは極めて困難

αが安定

γが安定

従来技術とその問題点

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例えば、特許文献1に示されるような市販の高純度(純度99.9%以上)α-酸化アルミニウムは100nm以上の粒径からなる。

従来技術

非特許文献1では、30nm以下のα-酸化アルミニウムを得ることに成功したが、酸化鉄を触媒として用いるため、合成されたα-酸化アルミニウム中に鉄が混入。純度は99.6%程度)また、焼成後のサンプルを酸処理する必要があり、プロセス

が複雑。

α-酸化アルミニウム前駆体水溶液もしくはその乾燥物を急加熱・急冷却により高純度のα-酸化アルミニウムを得る。結晶サイズ30nm以下

本発明

1000nm 100nm

10nm【特許文献1】:特開2007-55888

【非特許文献1】: Sci. Rep. 5:11575 (2015)

新技術の特徴

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環境浄化 新エネルギー 省エネルギー

触媒担体 分離膜・フィルター 透光性セラミックス

耐摩耗・化学安定性 熱安定性 焼結性主に、自動車の排ガス中に含まれるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)など 有害成分を浄化する触媒担体。αアルミナナノ粒子を適用することで担体の比表面積が向上し、高効率化と長寿命化に期待

膜表面に開いた穴の孔径や膜に対する物質の溶解度差等を利用して、液体や気体の中に含まれている粒子の除去や、溶液または溶液中に溶け込んでいる物質のろ過、濃縮、精製など、様々な分離操作を行う。熱安定性・化学安定性に優れるαアルミナナノ粒子を中間層に適用することで長寿命化

高純度アルミナを原料とし、光の透過を妨げる気孔が極めて少ない高密度な多結晶体。微細な結晶粒の集合体であり、優れた透光性と強度を併せ持つ。消費電力の少ない高輝度放電灯(大規模空間の照明)への応用

結晶相 ナノ粒子化 化学安定性 焼結性遷移アルミナ 〇 △ ×αアルミナ × ◎ ◎

α-酸化アルミニウムのナノ粒子化により高比表面積と優れた焼結性を実現→既に遷移アルミナが使用されている分野へ応用展開

想定される用途

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新技術の開発までの経緯

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q-Al2O3からのa-Al2O3核生成・成長

・不純物、種結晶等の添加・ボールミル等による原料の破砕

既往のa-Al2O3ナノ粒子化に関する研究

・core-shell・焼成時の雰囲気制御

これらの方法では50 nm以下の均一な粒径をもつa-Al2O3の合成は困難

q-Al2O3 a-Al2O3核生成

・vermicular化・核生成密度が低い

遷移アルミナ

vermiculara-Al2O3

a-Al2O3粒成長

新たな前駆体化合物

Roger B. Bagwell* and Gary L. Messing, J. Am. Ceram. Soc., 82 [4] 825–32 (1999)

Gibbsite、Boehmite

g-Al2O3 q-Al2O3 a-Al2O3

加熱に伴うアルミニウム水酸化物の相転移

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ギ酸で安定化したAl2O3前駆体水溶液

AlFo3 乾燥 熱処理 a-Al2O3

AlFo3からのa-Al2O3合成フロー

↑ギ酸アルミナ前駆体水溶液(AlFo3)

・複合酸化物の前駆体水溶液・Al2O3 pre. + SiO2 pre.

→ Mullite pre.・Y2O3 pre. + TiO2 pre.

→ Y2Ti2O7 pre.

・製膜や含浸などへの応用・SiCへの耐環境コーティング(Mullite)・Al2O3多孔体の表面コートによる

耐還元性の向上(Y2Ti2O7)

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Al(OH)3

アルミニウム塩

アルミナ前駆体水溶液 アルミナ前駆体水溶液

←pH調整

←有機酸

・150℃恒温乾燥器1 dayCDAlFo3

・凍結乾燥器1 dayFDAlFo3

AlFo3

乾燥

AlFo3乾燥粉末

前駆体水溶液の乾燥・熱処理

SEM, XRD

AlFo3の調製

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10 30 50 70

Inte

nsi

ty [

a. u

.]

2q [degree, Cu-Ka]

恒温乾燥器

凍結乾燥器

11

恒温乾燥器◆: Al(HCOO)2(OH)

■: Al(HCOO)3

凍結乾燥器

1 mm乾燥方法によって前駆体粉末の結晶相・粒子形態が異なる

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0 10 20 300

200

400

600

800

1000

1200

Tem

pera

ture

[℃

]

Time [hour]

・恒温乾燥・凍結乾燥

AlFo3

乾燥

熱処理

アルミナ粉末

前駆体水溶液の乾燥・熱処理

12

SEM, XRD

<昇温中の相転移>100℃毎に等温保持して高温XRD測定

<高温での相転移>・1000℃・950℃・900℃一定時間ごとに高温XRD

<相転移>高温XRD

<粒子形態>管状炉

<長時間加熱>管状炉で加熱後室温でXRD測定

10℃/min

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0 1 2 3 4 5 6 7 25 260

500

1000

1500

2000

Tem

pera

ture

[℃

]

Time [h]

SEM

TEM

1 mm

100 nm 500 nm

14

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0 1 2 3 4 5 6 7 25 260

500

1000

1500

2000

Tem

pera

ture

[℃

]

Time [h]

500 nm 500 nm

SEM

TEM

15

1 mm

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新技術の実施例

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α-酸化アルミニウム粒子

加熱約1000℃/sec, 1200℃, 10 s ~ 100 s

粉末

乾燥150℃, 24h

実施例① 実施例②

前駆体ゾル

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10 100 1000In

tensi

ty

Time [s]

As-dried

10 30 50 70

Inte

nsi

ty [

a. u

.]

2q [degree, Cu-Ka]

50 s

100 s

70 s

10 s

30 s

▼: a-Al2O3 ●: g-Al2O3

◆: Al(HCOO)2(OH)

・a-Al2O3単相になるまで1200℃・70 s

・50 s前後でa-Al2O3生成

a-Al2O3(113)(2q=43.3°)

g-Al2O3(440)(2q=67.6°)

Al(HCOO)2(OH)(2q=17.8°)

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(a)

(b)

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

0 5 10 15 20

Cir

cula

rity

Feret Diameter (nm)図 α—酸化アルミニウムの粒子径と円形度の関係(実施例1、1200℃、50秒)

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(a)

(b)

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

0 5 10 15 20

Cir

cula

rity

Feret Diameter (nm)

図 α—酸化アルミニウムの粒子径と円形度の関係(実施例2、1200℃、50秒)

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前駆体ゾルもしくはその乾燥物を入れた白金パンを電気炉の中に投入して急速加熱を行う。水冷された銅板に白金パンを接触させることで、急速な冷却を行う

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α-酸化アルミニウム粒子

加熱約1000℃/sec, 1200℃, 10 s ~ 100 s

粉末

乾燥150℃, 24h

実施例① 実施例②

前駆体ゾル

発明で実施されたα-酸化アルミニウムナノ粒子の製造方法

バッチ式で、生産性に乏しい→効率的で生産性の高い製造方法の開発が必要

実用化に向けた課題

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企業への期待

• 未解決の生産性については、噴霧熱分解などの従来のセラミックス原料を製造する技術を改良することにより克服できると考えている。

• 噴霧熱分解などの技術を持つ、企業との共同研究を希望。

• また、アルミナのナノ粒子を開発中の企業には、本技術の導入が有効と思われる。

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :α-酸化アルミニウム粒子の製造方法およびα-酸化アルミニウム粒子

• 出願番号 :特願2017-161397

• 出願人 :岐阜大学

• 発明者 :吉田道之、櫻田修

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お問い合わせ先

岐阜大学知的財産部門 神谷英昭

TEL 058-293 - 3182FAX 058-293 - 3346e-mail h_kamiya@gifu-u.ac.jp