33
© 2015 Kenya Miyazaki 1 一般社団法人防災教育普及協会 事務局長 第3回国連防災世界会議防災教育日本連絡会 事務局次長 宮﨑 賢哉(防災教育コンサルタント・社会福祉士)

Bousaikyouiku-jitsumu151017

Embed Size (px)

Citation preview

© 2015 Kenya Miyazaki 1

一般社団法人防災教育普及協会 事務局長第3回国連防災世界会議防災教育日本連絡会 事務局次長

宮﨑 賢哉(防災教育コンサルタント・社会福祉士)

© 2015 Kenya Miyazaki

(一社)防災教育普及協会とは

2

© 2015 Kenya Miyazaki

自己紹介

【主な社会活動】

• 公益財団法人 日本法制学会 防災事業係長

• 災害救援ボランティア推進委員会 主任

• 防災教育チャレンジプラン実行委員会 事務局

• 効果的な防災訓練と防災啓発(ShakeOut)提唱会議

事務局次長

• 一般社団法人 防災教育普及協会 事務局長

• 公益社団法人 東京社会福祉士会 災害対策本部会議

3

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

4

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

アクティブ・ラーニングとは[文科省定義]

5

抽象的な「マジックワード(意味が曖昧で使う側の考えや意図によって様々な解釈ができる言葉・呼称)」で理解を留めず、具体化する

正しい定義の理解のために

• 教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。

• 学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。

• 発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

(文部科学省,平成24年8月28日「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)用語集」)

© 2015 Kenya Miyazaki

アクティブ・ラーニングとは[学術定義]

6

授業方法そのものだけでなく、学修者(児童生徒)自身が学んだ内容について能動的に外部へ伝えていく過程・結果も含まれる。

課題に対し主体的,協働的である

• 一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセス※の外化を伴う。

※認知プロセスとは「知覚・記憶・言語、思考といった心的表象としての情報処理プロセス」(論理的/

批判的/創造的思考、推論、判断、意思決定、問題解決など)

溝上慎一(京都大学高等教育研究開発推進センター/教育学研究科)による

© 2015 Kenya Miyazaki

なぜ「アクティブ・ラーニング」なのか

7

「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習」は現行の学習指導要領以降段階で小中は検討実践するも、高校・大学での普及実践に課題

高校・大学での普及が課題に

POINT : 1998年の指導要領改訂『総合的な学習の時間』による広がり、深まり2008年の指導要領改訂『言語活動の充実』によるコミュニケーション

© 2015 Kenya Miyazaki

学習課題に応じたAL類型の活用

8

設定した学習課題に適したAL類型(グループ学習型、討論型、プレゼンテーション型、体験学習型、問題発見解決型)を活用する

手段による5つの分類

班・チームに分かれて行う、一般的によく行われている学習方法グループ学習型

特定の意見・主張に寄り、ディスカッションを通じて学びを深める討論型

明確な課題(テーマ)に対するアプローチ、伝え方の違いから学ぶプレゼン

テーション型

施設やイベントでの体験から様々な気付きを得て学びにつなげる体験学習型

課題やテーマ設定の発見から入り、解決策を考える(実行する)問題発見解決型

© 2015 Kenya Miyazaki

生涯学習(Lifelong-learning)とのつながり

9

防災教育を学習指導要領内での教育に留めず、乳幼児期(パパママ学級)や退職後の地域活動等ライフステージを考慮した「生涯学習」につなぐ

乳幼児期~地域活動も視野に

生涯学習とは『人々が生涯に行うあらゆる学習,すなわち,学校教育,社会教育,文化活動,スポーツ活動,レクリエーション活動,ボランティア活動,企業内教育,趣味など様々な場や機会において行う学習』,平成18年版文部科学白書第2部第1章

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

10

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

防災教育実践の3つの段階と6つの要素

11

「地域における防災教育実践の手引き」より

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

12

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

ALを促す防災教育で身に付けたい”授業力”

13

メーガーの3つ

の質問

Where am I

going?

How do I

know when I

get there?

How do I get

there?

授業の

パッケージ

課題分析図

評価計画

教材・指導案

つけたい授業力

目標を

明確にする力

学習を評価

する力

授業の作戦を

練る力

© 2015 Kenya Miyazaki 14

前提条件授業において学習目標を達成するために,学習者があらかじ

め身につけておくべきことは何か。

関連知識学習者がこれから学習する内容や関連する内容ついて,どの

程度知っている(経験している)のか。

学習意欲授業に対する学習者の学習意欲はどの程度か。興味はあるか,

やりがいはあるか,自信を持てるかなど。

学業レベル学習者の他の教科を含めた成績の程度や,学校全体やクラス

内の学習者の一般的な知能レベルなど。

学習方法の好み

一斉授業・グループ学習などの好み,利用するメディアの好

みなど。これまでにどれが成功したのか。

クラス特徴クラスの全体的な特徴(雰囲気や,他クラスと特に異なる点

など),個々の学習進度のばらつき度合いなど。

学習者について教育者が把握しておくべき項目

© 2015 Kenya Miyazaki 15

分析

Analysis

設計

Design

開発

Development

実施

Implement

評価

Evaluation

必要に応じて改善Revise as needed

教育だけでなく防災・危機管理も同様のモデルでブラッシュアップ可能

プログラムの実践と改善「ADDIEモデル」

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

16

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

観点別評価の整理と授業の在り方

17

現行の4観点別評価から「関心・意欲」が外れ「主体的に学習に取り組む態度」に整理される。高校以上では「観点別評価」の普及が進められる。

学習評価の見直しで変わる授業

関心・意欲・態度思考・判断・表現技能知識・理解

知識・技能思考・判断・表現主体的に学習に取り組む態度

目指す授業の在り方(中央教育審議会)① 問題発見・課題解決を念頭に置いた学びが実現できているか。② 他者との協働などを通じて対話的な学びが実現できているか。③ 自分の学習活動を振り返り、次につなげる主体的な学びが実現できているか。等

変わる評価の観点

© 2015 Kenya Miyazaki

学習課題の5分類と学力の3要素の関係

18

ガニェの学習課題の5分類学習指導要領学力の3要素

言語情報 :物事・名称を記憶する 十分な基礎的・基本的な知識・技能運動技能 :体を動かして身につける

知的技能 :ルールを理解し活用する 答えのない問いに答えを見い出す思考力・判断力・表現力 等認知的方略:学び方を工夫する

態 度 :気持ちを方向づける主体性を持って多様な人々と

協働して学ぶ態度

© 2015 Kenya Miyazaki

学習成果 具体例 目標行動

言語情報

名称や単語などの指定されたものを覚える

地震が起きる仕組みを説明することができる

言う,書く

運動技能

体の一部や全体を使う動作や行動

心肺蘇生法を正しい手順で行うことができる

行う,実演する

知的技能

ルールや原理,概念を理解して新しい問題に適用する

災害時の避難所で、自分にできそうなことを挙げることができる

区別する,選ぶ,分類する,例を挙げる ,つくりだす

認知的方略

学び方や考え方を意識して工夫・改善する

家具転倒防止について学んだことを活かして、部屋の棚に器具をつける

採用する

態度 個人の選択や行動を方向づける気持ち

施設体験を通じて防災の必要性を知り関心をもって取り組もうとする

選ぶ,~しようとする,~しないようにする

学習成果と目標行動の関係

© 2015 Kenya Miyazaki

目標をクリアにする出入り口の役割

20

授業

事後テスト(合格かどうか)

事前テスト(必要があるか)

前提テスト(資格があるか)

時間

到達度

授業前 授業後

前提条件

学習目標

責任範囲

© 2015 Kenya Miyazaki

観点別評価を具体的にどう行うのか?

21

学習指導要領等では「教師の裁量」は最大限認められる代わり「どうやるか」より「何のために=目標を明確にする力」と評価が重要になる

目標と評価をセットで考える

単元毎に各観

点をABCの3

段階で評価

単元毎のABC

を積み上げ、

得点化

ABCの総数(得

点)平均値から

5段階評定

観点別評価の手法例評価=授業実践を含め、日常的に行いフィードバックすること評定=テスト等の結果を基準に従って点数をつけること

大西俊宏「高等学校における観点別評価について」より作成

http://www.math.ryukoku.ac.jp/~t-onishi/sj250211.pdf

© 2015 Kenya Miyazaki

防災教育やALにおける「ブレない評価軸」の必要性

22

特定の教材・プログラムの成果を正しく検証するには、評価軸を統一し、サンプルの「ブレ」を少なくすることが必要。

ブレない評価軸で成果を検証

6,388名の小学生~PTAまで全て共通の評価軸で自己評価したもの。2016年度内に10,000名分を整理・分析することで、教材、発達段階、環境等による学習成果の違いを検証予定。

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

23

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

グループ学習型AL教材の紹介

24

防災について教育者の負担を抑え「協働的」「能動的」となるような「グループ学習」を進めることができる、シンプルな教材シリーズの開発

「プリント1枚」シリーズ

防災グッズの選び方について、家族ひとりひとりでの備えの大切さ、家庭の状況で備える内容が異なることなどを学ばせることができる。『EDUPEDIA』記事で公開しています。

© 2015 Kenya Miyazaki

模擬授業・演習

•皆さんは「小学校3~4年生」くらいになったと思ってください。

•男性の方は「うさぎ一家」の”僕”、女性の方は”私”になったつもりでお話を聞いてください。※うさぎ一家には僕か私、どちらか一人しかいません。

•模擬授業のため、記入や”学び合い”の時間は短縮します、ご了承ください。

25

© 2015 Kenya Miyazaki

本日の講義・演習内容

26

アクティブ・ラーニングとは

身に付けたい”授業力”

防災教育実践の3段階と6要素

学習課題と評価の考え方

模擬授業・演習

これからの防災教育とA.L

© 2015 Kenya Miyazaki

防災教育教材を「作る」から「使う」へ転換

• 様々な防災教育実践から、教材やプログラムは豊富に作成されているが、活用・普及に課題がある。

• 既に同じような教材、似ている教材、目的が同じ教材などがあるにも関わらず、先行事例の調査をしない、調査ノウハウのある人材がいない。

• 「目標を明確にする力」を意識して、まずはその目標を達成できそうな教材やプログラムを「探す」ことから始める。

• 今後、新しい教材やプログラムの開発を希望する個人、組織、団体は先行事例調査や類似教材作成者へのアプローチを積極的に行うことが必要。

27

© 2015 Kenya Miyazaki

教材の紹介と組み合わせ例

28

「目標を明確にする力」があれば、新しい教材やプログラムを開発する手間やコスト、労力をかけることなく効果的な防災教育が展開できます。

既存の教材を上手に活用する

災害状況シミュレーションツール「目黒巻(授業用)」を行うことで災害状況についてイメージした後、各家庭に併せた防災グッズのセレクトを考え、リスト化して発表。

気象庁「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」で地域で想定される風水害についての知識をもってぼうさい探検隊(防災マップづくり)に挑戦し、地域の水害危険箇所を把握し、発表する。

© 2015 Kenya Miyazaki

教材の紹介と組み合わせ例

29

「地域における防災教育の実践に関する手引き」参考資料4-5には、様々な防災教育教材や訓練プログラムが掲載されています。ご活用ください。

「~手引き」の教材を活用

© 2015 Kenya Miyazaki

防災教育普及協会の役割と使命

30

弊会は「防災教育チャレンジプラン」等との連携による専門性と教材・プログラムノウハウを活用し「教材・プログラムの科学的評価」を目指す。

プログラムの”One of Them”脱却

教材やプログラムについて

①実施してみての良い・悪い②具体的にどのような点で良し悪しがあったか。

③その他・実施のしやすさ、実施の難易度・学習者に求められる前提条件・学習者の理解度・授業者(教員等)の準備度合い

などを科学的・客観的な評価軸で整理し、体系化していく

© 2015 Kenya Miyazaki

おわりに:教育者が「楽しむ」ことを忘れずに

31

みんなでパズルをつくろう!

誰がどのピースをどの順番で埋めるか、に正解はありません。その時点での「正解」より「どんな絵ができそうか」を学習者と楽しみましょう!

© 2015 Kenya Miyazaki

参考資料、URL

• 西川純(2015),『アクティブ・ラーニング入門』,明治図書出版

• 内閣府(防災担当)(2015),『地域における防災教育実践の手引き』

• 大西俊宏『高等学校における観点別評価について』http://www.math.ryukoku.ac.jp/~t-onishi/sj250211.pdf

• 溝上慎一(2015),『主体的な学習からアクティブ・ラーニングを理解する』

http://www.gakuryoku.gakken.co.jp/pdf/highschool_forum/2015dl/03_documents_201508.pdf

• 気象庁防災啓発ビデオ『急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!』http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/cb_saigai_dvd/index.html

• 日本損害保険協会『ぼうさい探検隊』http://www.sonpo.or.jp/protection/bousai/index.html

32

© 2015 Kenya Miyazaki

本資料について

• 本資料についてのお問い合わせは一般社団法人防災教育普及協会までお願いします。

一般社団法人防災教育普及協会

〒102-0073 東京都千代田区九段北1-15-2-3F

(公益財団法人日本法制学会内)

TEL. 03-6822-9903

FAX. 03-3556-8217

URL. http://www.bousai-edu.jp/

33