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メディア・リテラシー 7

Media Literacy Part 7

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メディア・リテラシー7

メディア読解を構成する 表示義と共示義

• 表示義(Denotation)と共示義(Connotation)は意味内容、即ち記号の記号内容としての側面に関する分類

• 表示義とは、記号にとっての一次的なレベルにおける記号内容

• 一次的なレベルと言うのは、記号表現に対して即座に結びつく

• 表現の文字通りの意味内容

• 共示義とは、二次的なレベル、即ち記号表現と記号内容のペアとしての記号が改めて一つの記号表現として結びつけられた際に、それに結びつく記号内容のこと

• ある記号の存在によって示唆される意味内容

• 「サクラサク」を例に説明• 一般に二つの意味内容を持つ• 桜の開花• 入学試験の合格

• 記号表現[サクラサク]には、まず文字通り<桜の開花>と言う記号内容が結びつく

• 記号内容<桜の開花>は記号表現[サクラサク]に即座に結びつくので、一次的なレベル=表示義

• 入学試験の合格通知において、この表現が用いられるとき、記号表現[サクラサク]と記号内容<桜の開花>のペアとして、「サクラサク」は新たに一つの記号表現として位置づけられる

• この時結びつくのが、共示義としての<合格>である

• 表現の形式に注目しながらメディア読解を行うとき、主な関心は、表示義より共示義に向く

• 共示義は、表現の形式化と密接な関連を持つから

メディア読解の着眼点 表現形式のカテゴリと現象としての形式化

• 形式化された表現の抽出を行う• 予め、メディアの種類や表現のジャンル毎に頻出する代表的な表現形式のカテゴリを把握していると効率的

• 例• テレビを中心とする映像メディアには、切り換えられる一つ一つの画面を表す「ショット」または「クリップ」というカテゴリが存在する

• 小説であれば「章」というカテゴリが存在する

• 映像メディアのこのカテゴリの存在を知ることにより、映像メディアにおける表現が「画面の切り換え」という表現形式によって制御される事を知る

• 従って、映像メディアによるメディアテクストの中に「画面の切り換え」を探し、その効果を考察できる

メディア読解の着眼点 形式化された表現の抽出の三段階

• 対象となるメディアテクストを形式の組み合わせとして一通り観察する

• メディアテクストに含まれる表現の特徴を形式を構成すると思われる部分とそうでない部分に分類する

• 上記で見出された形式を記述すると同時に、その形式がもたらす効果を記述する

メディア読解の着眼点 形式化された表現の抽出

• 第一、第二段階においては、メディアテクストから意味内容を読み取るのではなく、あくまで形式を見出す事に集中する

• 形式の成立にとって本質的ではないと判断される部分を積極的に切り捨てる

• 第三段階で形式の効果、即ちその形式の存在がメディアテクスト全体に与える意味の上での効果を考察する

• 「形式が意味内容を生み出す」という立場を忘れない

メディア読解の着眼点 作業における着眼点

• 私たちが日常的にメディアテクストに接する場合

• そこに如何なる形式が含まれているか• よりも• 何が伝えられるか• に関心が向く

• 常套句・慣用表現・セオリー・パターンに対して敏感になる

• メディアテクストの中から、この様なものを発見する

• コンテクストと表現の結びつきに着目する

• 表現の形式化とは、その表現がどのような場面・状況で使用されるかという点についての形式化

• 表現同士の関係に注目する• 形式化された表現の持つそれぞれの「かたち」は単独で産まれるものではなく、関係づけられた複数の表現の間の差異としてのみ観察される

• 形式がもたらす効果に注目する• その形式が存在する事によって与えられる、意味内容における特徴を指す

• メディアコンテクストの意味内容をそのまま読み取らず、形式化された意味内容を発見する

• 効果本意で取捨選択を行う• メディアテクストを詳細に見る事により、表現上の特徴を分節できる

• 細部の特徴や意味にこだわり過ぎると、形式性を見失うので注意が必要

メディアテクストに見出される形式性

• メディアテクストには、メディアや表現ジャンルの差異を超えて、共通する様々な形式性が見出される

• それぞれのメディアテクストの記号化コードが比較的似通っている事を示す

• 我々の解釈コードも似通っている事を示す

• メディアテクストの形式性を確認することは、我々が無自覚に従うコードのあり方を確認する事

• これから提示する三つの形式は、メディアや表現ジャンルの違いを超えて頻出する

メディア読解の着眼点 形式化の基本原理

• 反復• 表現の形式性を支える最も基本的な要素

• 反復される表現の内に何らかの共通性を見出す時、その共通性こそが、表現における形式

• 対立• 並置された二つの事柄の間に関係が発生する=並置された二つの事柄の間に共通性と差異性が発生する

• 対立は、類似の創出・差異の創出である

• 中心化• 対立の構図の中に中心とそれ以外のものとの区別が持ち込まれる状態

• 中心化がもたらす効果として周縁の創出がある

• 即ち、中心のカテゴリが成立する為には、中心ではないもの、即ち周縁が必要である

• 「主なるもの」「注目すべきもの」として中心が成立するならば、周縁は「従属的なもの」「副次的なもの」とされる

• 中心と周縁が成立される過程で、そこに含まれないものを隠蔽する効果もある