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Slide Content © 2006, Englobe Inc. 愉快 不愉快: グローバルゲームにおける 「カルチャーエッジ」コンテンツの バランスを図る 本プレゼンテーションは、2006年3月24日ゲーム開発会議にて発表されました。 ケイト・エドワーズ 地理学者 & 主コンサルタント ENGLOBE INC. http://www.englobe.com [email protected]

カルチャーエッジコンテンツのバランス

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GDC2006でケイト・エドワーズが講演したスライドの日本語参考訳です

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愉快 対 不愉快:

グローバルゲームにおける

「カルチャーエッジ」コンテンツのバランスを図る

本プレゼンテーションは、2006年3月24日ゲーム開発会議にて発表されました。

ケイト・エドワーズ

地理学者 & 主コンサルタント

ENGLOBE INC.

http://www.englobe.com

[email protected]

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事項

はじめに: 最近の出来事

コンテンツと「文化氷山」

適切なゲームを製作するために

地政文化に起因する問題とは?

カルチャーエッジとその側面

P.R.O.P. 方法論

付録 1 & 2: 推奨資料

付録 3 & 4: トム エドワーズとEnglobe Inc.の紹介

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自分が「情報」に関するサービスを提供する会社のマネージャだと想定してみて下さい。

こんなことが、実際に起きうるのです:

クライアントから、ある商品に関するコンテンツの部分発注を受けました。

コンテンツを作成し、通常の経路で納品しました。

発売間際になって、複数の問題の懸念が浮かびましたが、経営者側からコンテンツをリリースするよう圧力をかけられました。

最近の出来事について

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数ヶ月後、あなたの作成したコンテンツが特定地域に届きますが、そこではコンテンツが強い不愉快感を市場に与えることになります。

即座に一般市民・国の反発が起こり、反発が周辺地域にも広がります。

迅速な対応を協議している間に、あなたの会社の経営者はコンテンツに対する法人ポリシー を審議し、その関係責任者を探します。

最近の出来事では…

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どういった出来事を思いつくでしょうか?

「格闘超人」がこれに値します。 ゲームのBGMに、イスラム教の正典コーランに記されている文言が起用されていました。

ゲームは正規の流通経路以外を通して、米国民以外の地域の人々に伝わり、悪影響を与えました。

その地域の消費者及び国は、ゲームの目的や意図に対して抗議・非難しました。

このゲームは「カルチャーエッジ」を超えたため、世界的に回収されることになりました。

これに類似する最近の出来事として、あなたも心当たりがあると思います。

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消費者へのコンテンツコース 消費者は、決断・方針・視点等を左右する「レイヤー」や「フィルター」を通してコンテンツに接します。

地域市場のダイナミクス

あなたの地域における消費者

ゲーム産業

あなたの特定する会社

それぞれのレイヤーには複雑なサブテーマがあります。どのレイヤー内においても問題が潜在する場合、不愉快感を与えるコンテンツであるという可能性を秘めています。

あなたのゲーム

「地域市場」とは国際的な市場だけに限定されません。米国はカルチャーに対し感受性が強く、文化的に非常に多様なマーケットです。

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文化の氷山モデル 文化の特性は、表面からはっきりとわかるものもありますが、重要な側面の多くは直接見ることができません。

地政文化の奥底に潜む性質は、地域消費者への理解を左右します;ゲームコンテンツにおける問題は、そこに潜む通常一つまたはそれ以上の性質と関連しています。

宗教と信仰

あなたの地域の消費者

文化的習慣

社会風潮

政治と規則

言語と背景

あなたのゲーム

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適切なゲームを製作するために

愉快 不愉快

楽しい娯楽 怒りを招く

良い影響 悪影響

地域社会の一体化 地域社会の乱れ

教育と魅了 固定観念を強める

良質=収益と信頼 エラー=制裁措置と不信

一般にほとんどのゲームは、ターゲットとするお客様に「不愉快」ではなく「愉快」をもたらすことを目標にしています。

ゲームの特性を「愉快」と「不愉快」の二つの定義から、幅広く考えてみましょう。

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カルチャーエッジを明確にする

カルチャーエッジ(名詞):

1) 中立: ゲームコンテンツの要素が意図される「背景」の限界にあり、「愉快」から「不愉快」に移り変わろうとする転換点

2) 望ましくない: 時間・知識が不十分の為、望ましくない論争が起こるパニックゾーン

3) 望ましい: 前向きな取り組みにより、様々なコンテンツ向上の成果が期待できる絶好の場

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カルチャーエッジの意図

ほとんどの「愉快」なゲームは、コンテンツに文化的な配慮があり、配慮のない場合でもごくわずかなもので、ほとんど心配がありません。

「不愉快」なゲームは、2つの分類にわけられます: 無差別: 内容的にきわどいが大目にみられ、時には貴重である

(GTA3, Mortal Kombat, Doom, 等.)

侮辱: 明らかに公衆に不愉快感を与える目的であると考えられ、考慮がほとんどない(GTA: Hot Coffee, JFK Reloaded, Postal).

カルチャーエッジとは「検閲」または「政治的な正当性」ではありません。

カルチャーエッジとは、ゲームを地政文化的な観点から観察し、前向きな姿勢で地域の反応を予測し、改善の場を持つことです。

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ユーザー層のいろいろ

ゲームはゲーマーだけが触れるわけではありません。

対象層: ゲームユーザー、及びゲームを含むコンテンツ全般の問題点について理解している人。非対象層: ゲームを遊ばず、ゲームコンテンツや背景問題に触れたことのない人。

カルチャーエッジの問題において、非対象層(一般層)の存在はより深刻です。このグループの人々は、ゲームが「不愉快」であると決め付ける傾向にあるからです。

「不愉快」という見方は、非対象層をゲームから強く引き離すと共に、対象層からの収益や人気度にも影響を及ぼします。

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どうして地政文化の要素を考慮しなければならないのだろうか?

主なゴール: ゲーム開発者(産業)のイメージと収益の流れを守り、地域の利用者にゲームを単に「愉快」であるものとして楽しんでもらう。

その他のゴール:

利用者の忠誠心を築き、自分の内容に自信を持つ

文化境界線を越える市場に力を注ぎ、収益増の可能性を求める (「典型的」な人口統計から外れてみる)。

自分で再検討、そうでないと国から立法行為を受けるかもしれないと考える・・・自分のゲームを含めて。

非対象層(一般層)の「まじめなゲーム」だけが社会に役立つという観念を崩す。

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地政文化的な問題を招いたコンテンツ①

エラーを公に公表されたWindows 95は、インド政府より

販売禁止の処置を受けました。これはタイムゾーンコントロールパネルに、インド領であるカシミール地方が記されていなかった為です。

キャドバリー社が行った2002年のTemptations チョコレートキャンペーンは、

深刻なマーケティングエラーを引き起こし、市場の反発を招きました。紛争中のジャムとカシミールでは、「シェアするにはもったいない」と読まれます。

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地政文化的な問題を招いたコンテンツ②

Abercrombie & Fitch 社のTシャツデザイン(左)は2002年、消費者から人種的

な不愉快感を与えるとのクレームを受け、すぐに生産が中止されました。

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地政文化的な問題を招いたコンテンツ③

インドネシアのデスクトップイメージ

単純な写真のフィルター技法でさえ、目的とする消費者に否定的な強いメッセージを発することがあります。

インドネシアは、1949年にオランダから独立しました。

一時的な解決策: カラーバランスを変える。

オランダの国旗

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疑わしいゲーム内要素の種類

地政文化的な問題が潜伏しているかもしれない主なゲーム内要素のタイプや、それに関連する例(人々が見たり、聞いたり、読んだりするものすべて): シナリオ(筋書き):歴史的出来事、データ

文化伝来や文化シンボル:宗教、人種、実存する文化を取り入れた文化テーマ

テキスト:ユーザーインターフェースのスクリプト・国や地域のリスト、地名・ユーザードキュメントやマニュアル・コード上のコメント

イメージ:地図・旗・アイコン・クリップアート・写真・映画

音声:声・音楽・抒情・音響効果

パッケージ:ボックスアート・テキスト・返信住所

ブランドとマーケット:ブランド名・広告キャンペーン・販売促進品

メッセージ:記者会見・幹部スピーチ・法人団体の催し

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カルチャーエッジを洞察する

カルチャーエッジを越えることで起こりうる影響: 有意義であったサービスなのに、消費者からの信用が失墜する 否定的な広報でブランド価値が低下し、消費者から批判を受ける 収益と市場シェアの損失 政治的立場の後退と、罰則や訴訟問題の可能性 地域のマーケットスタッフに対する国の処罰処置

カルチャーエッジゾーン

•消費者の忠誠心が高い

•良好な収益

•良いイメージ

•国や消費者のサポート

•消費者の忠誠心に注意

•収益の減尐

•疑惑的なイメージ

•国や消費者からの問い合わせ

•消費者の忠誠心が低い

•収益が低く又はマイナスとなる

•悪いイメージ

•国からの罰則措置

ゲームは、「愉快」である ゲームは、「不愉快」である

すべてのゲーム内要素について、市場がかろうじて受け入れられる範囲、つまり「転換点」を探すことが重要です。

転換点は、それぞれのゲームと地理的現場で異なります。

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カルチャーエッジの四大側面

カルチャーエッジは複雑で制御するのが難しく、しばしば経験・実践・試行・失敗などを伴います。

カルチャーエッジを巡る四大側面は、あなたのプロジェクトの「転換点」を判断するのに役立ちます:

背景:オリジナル情報源であるコンテンツエレメントを別の環境に挿入。

発見具合: どのくらいの割合でプレイヤーがゲーム背景のコンテンツに敏感な反応を示すか。

防御具合:決定したコンテンツを、権威者や情報事実などから防御できるか。

意図: コンテンツ全般又は特定箇所のどちらの場合でも、あなたの決断を消費者の観点から見てみる。

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背景ー例 背景に依存: コンテンツ(ゲーム内要素の集合体)の意味は、一般に特定の背景に依存します。ゲーム内の要素が特定の背景と無関係(存在意義が希薄)であれば、より不愉快感を与える可能性が高いのです。

例:下記の2つのグラフィックを考えてみてください。両方とも不愉快感を与えると思われますが、どちらがより背景に依存していますか?

(注:左はただの「挙手」で、右は「ナチス鍵十字」です。右の方が問題を引き起こしやすいと思いがちですが、時として左が「ナチス式敬礼」と見なされることがあります。そして一度問題視されると、左の方が遙かに大きな影響を及ぼす傾向にあるのです)

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背景ー例の続き

ナチス鍵十字(実際は仏教的な意味を示す左向き「卍」なのだが)が出てくるこのポケモンカードは、1999年にADL(名誉棄損防止

組合)の圧力で製造停止処分を受けた。シンボルを背景から孤立させることは、広く行き渡っている。

Medal of Honorなどの歴史

背景のあるナチスの鍵十字は、消費者から受け入れられようとしているが、やはり微妙なイメージは残る。

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背景ー説明書き

質問の鍵:これから展開されようとするコンテンツ内の要素は、背景に十分依存しているか?(そうした表現を行う意義を明確に説明できるか)

背景と依存に注意しよう:コンテンツによっては、文化的に広く行き渡っており、その背景源だけでは不愉快感を与えるかもしれないので十分ではありません。

さらに独立させる=発見度を高める

背景に依存しない例:宗教シンボル、政治象徴、歴史の出来事や統計、国旗等

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発見度ー例 「 NINJA GAIDEN 」(海外版)のユーザーインターフェースにおける台湾問題は、非常に敏感なもので、簡単に発見できます。

どのようにすれば、このユーザーインターフェースをカルチャーエッジから愉快ゾーンに引き戻すことができるでしょうか?

1.ROCではなく、

固有名詞「台湾」とする。

2.台湾の国旗を載せない。

3.「国」を用いず、「国/地域」または、「.地理現場」という表現 を使用。

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発見度ー説明

質問の鍵:コンテンツが利用者の感受性を高める可能性がある場合、プレイヤーはどのくらい容易にそれに気づくだろうか?

基本ルール:ゲームの背景とコンテンツ(表現)が独立している場合、特に存在意義のないものは、より発見しやすい。発見度は背景と密接に関連する。

イースターエッグ:議論となりうる表現を機能に残すと、将来的に危険: 肯定:一般に発見度を小さくする 否定: 陰湿にみられ、信用がおけない

論理的根拠を維持:最終的に敏感であると思われるコンテンツを取り入れる場合、なぜ導入したかの論理をもたなければなりません(これは防御度と関連します)。

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防御度-例 JFK Reloadedのタイトルは、エッジに面しており、批判的な意図がみれますが、はっきりと防御してあり、識別するのが難しいことがあります。

どのようにすれば、このような思考をエッジ面から快適ゾーンに引き戻すことができるでしょうか?

1.「ゲーム」という用語を撤去し、「学習」や「シミュレーション」という言葉のみを使用。

2.論理的な根拠を明確にする。例えば、子供達に歴史に興味をもってほしいからなど。

3.ゲームデザイン的な改良。プレイヤーがJFK暗殺犯になるのではなく(ましてスコアをつけるのではなく)、JFK暗殺という史実を学習する上で、別の手段を考えてみる。

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防御度ー説明

質問の鍵:販売予定地域の国々に、我々のコンテンツをしっかりと説明できる準備ができているか?

敏感性を秘めたコンテンツを発売する場合、予測される全決断は、しっかりした事実情報と権威者の決定に基づいた論理的根拠が必要です。

明確で総体的な対応プランを確立します。

外部での防御:題材が貴社の専門外や主力部門外の場合は、防御を外部の信頼すべき情報筋に置くことが賢明です。

外部防御の例: 主題領域の専門家

信頼すべき情報筋 (CIA, UN, EU, など.)

信頼のおける研究文書, 研究集団

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防御度ー続き

外部での防御:

あなたの会社

あなたの防御

外部防御

外部組織団体

抗議

抗議

あなたのゲームタイトル

これは批判を逃れる方策ではありません!

あなたは、ゲーム製作において責任があり、批判も受けるでしょう。

題材に対する自分自身の限度を自覚します。

危険な地点: 外部に回

答する前に、背後に潜む問題点などを、チームと100%確認します。

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防御度と地理教養

コンテンツを巡る地政文化的な問題が見落とされる理由の一つに、十分な地理教養の保持に関連があると言われます(すなわち地理教養)。

率直に始める:地政文化のコンテンツを決定する際、目的とする利用者を知ることは、前向きな洞察・決断・防御体制の能力を高めます。 これはローカリゼーションの問題ではありません。

Global Geographic Literacy Survey (National Geographic-

Roper, 2006) グローバル地理教養調査についてを考えてみま

しょう。さまざまな国で53の質問調査をした結果、米国の若者(18から24歳)の正解率は、わずか54%でした!

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意図ー例 このゲームはアメリカ先住民を魅力するためにデザインされたものでした;しかしテーマを再検討中、先住民は非常に不愉快であると感じました。

どのようにすれば、このような思考をカルチャーエッジから愉快ゾーンに戻すことができるでしょうか?

1.目的とする特定地域において、人口学に基づく思い込みをやめる:テーマを最終的に絞り込む前に、アメリカ先住民の消費者やゲームプレイヤーに相談する。

2.トーテムポールなどのキャラクターを作ろうと考えている場合、実物に近いトーテムポールを作ってみる。.

3.どの文化からも、神聖なシンボルを起用しない。.

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意図ー説明

質問の鍵:我々が決定したコンテンツと論拠は地域市場の人々にどのくらい明確であるか?

地域市場の理解力は非常に有力です。

前向きな姿勢で、防護策を講じ、十分に準備を行ったにもかかわらず、 間違いが生じる可能性はあります。(ユーザーの地理教養の事実)

地政文化問題の90%以上は、全く予期しない状況から生じました。

地政文化問題の90%以上において、地域市場はこれがコンテンツ開発者側の意図的な行為であると受け止めました。(プラットホームホルダーへ: 開発者ではなくあなたがターゲットです)。

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反発は通常、波のように激化します。

あなたの慎重な対応が、さらなる「波」の激化に歯止めをかけるのに重要となります。

意図ー説明

リスク管理のうえで最終的に重要なのは、地域市場がコンテンツを理解しようとする意図に、的確に対応することです:

あなたの会社

あなたの前向きな意図 あなたのゲーム

タイトル反発

この認識に対応しなければなりません:自分の認識理解ではありません。

否定的な意図と見られる

地域市場

早めに止める!

反発の声

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エッジ側面を行動に移す

カルチャーエッジ側面の要点:

意図は、背景の決定を左右させます。

背景は、発見具合を決定し左右させます。

防御具合で、あなたの意図とする事柄が証明

されます。

どのようにしたら、この要点をゲームの開発サイクルに取り入れられるか?

現在の過程に好意が示されている場合、通常の開発サイクル内にエッジ問題を応用できます。

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P.R.O.P. の方法論

前向きな再検討/パス Proactive Review/Pass:

デザインやテーマにおいて、問題が潜在すると考えられるものの優先付け

適度のリスク Reasonable Risks:コンテンツは敏感性を伴うと考えられるが、地域市場の状況から見てリスクは適度

明らかな違反 Overt Offenses: コンテンツに問題があると分かっているものは避ける

後処理問題 Post-Process Issues: マネージメントに関する問題と、リリースされ、ショップの棚に置かれた後の予測

テーマ

生産

最終ゲーム開発の段階

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P.R.O.P:前向きな再検討 早めに、そして頻繁に!

潜在する問題を計画案の段階で早めに確認できれば、すばやく阻止できます。

早期生産サイクル中の発見に伴う費用は、後期生産サイクル中の段階(もしくはサイクル後の回収費用)で修復するより、はるかに安上がりとなります。

これは、あなたの主な意図と背景に関連する問題を検討し、さらに再検討する段階です。

地政文化の再検討を画一化する 生産サイクル内に根付かなければ、再検討は決して優先されません。 オーナーシップと責任を割り当てよう!

プログラム管理・コンテンツコーディネーター・地政文化を得意とする編集者。

適した個人・グループ・情報資源(参照、付録1も同じアイデア)を導入し活用する。

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地政文化の再検討は、ESRB, PEGI またはCERO の審査と、どのように違うのだろうか? 一般に審査委員は地政文化の側面を考慮しないため、検討法は大きく異なります: グローバルもしくは各地域においての社会、歴史のシナリオ

政治描写や類似点(記号論・愛国意識など)

宗教・人種・言語などの感受性(憎悪の演説と人種問題のみ)

具体的な表現による感受性(旗や地図など)

審査員は、ゲーム内の限られた範囲を量的アプローチに基づいて審査します。これではゲームコンテンツの質を地政文化の側面から考慮していないことになります。

審査員は、あなたの会社のビジネス目標や、あなたのゲームが対象とする消費者に対してどの程度リスクを抱えているか、十分に見通すことはできません。

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P.R.O.P: 適度なリスク 初期開発の段階にすばやく対応

地政文化に関する問題を突き止めた場合、すみやかに、できるだけ早く行動に移します。

問題を効率よく解決するために、先立って形成された比較規律の実行チームを結集します(コンテンツ・ ローカリゼーション・法務等)。

エッジ側面を基にリスクを適切に判断

リスクの適正化:コンテンツの内容に対して不愉快さを感じる消費者

がいるかもしれませんが、四大側面の管理(特に背景)を慎重に行うことで、リスクを対応可能な範囲に止められます。

侮辱と無考慮の区別

主なマネージメントの責任: どのようなリスクを会社側が受け入れられるのか、チームが指導・ガイドする必要があります。

妥協点も考慮する: Title X を25ヶ国に販売する為に、Title Y を1

0ヶ国に絞るなど、5つのマーケットを獲得するためには主なマーケットで妥協することも考えます。

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P.R.O.P: リスクの適正化ー続き 「グランド・セフト・オート」に伴う一連の騒動に対して、メーカー側がリスクを適正化したか否かは、人によって見方が異なります。

既存する立法上では、GTAを

故意なく「反社会的」で「品質劣等」と解釈した。

2005年7月「Hot Coffee」 2005年のMOD問題

2006年1月「グランド・セフト・オート」メーカーは、弁護士の的。

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P.R.O.P: 明らかな違反

コンテンツによっては決して避けられない問題:

背景:背景に依存しないすべてのコンテンツが受け入れられる例はまれです。

発見度:問題を発見した場合、それは100%確実に問題です。

防御可能度:ほとんど防御できる手段はありません。

意図:最善の意図であっても、反動は避けられません。

コンテンツが明らかに違反であると認知されているものの取り扱いは簡単:(単にしない)ことを実行すればいい

違反傾向にあるテーマ: 宗教: 実際のいかなる宗教や信仰システムなどを用いること。

人種: 人種の固定観念や文化紛争などを用いること。

歴史: 様々ではあるが、通常、実社会の歴史(現在や過去に関わらず)を変形するのは抗議を招く行為です。

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P.R.O.P: 明らかな違反 –続き現在知られている地域問題:

日本:人を描写する際の4本指は、文化的に非常に敏感である。

中国: 第二次世界大戦中の台湾とチベットの描写に問題があるとして、中国は2004年「ハーツオブアイアン」を販売禁止した(中華人民共和国の所有地でないと扱われた為)。

ドイツ:「カウンターストライク」の英語版は、致命的な銃殺とゲームの関連性がみられた為、2002年に販売禁止となった。 国はすでに、ナチス関連のコンテントを禁止、非常に乱暴なゲーム等も禁止するよう要求している。

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P.R.O.P: 違反にかかる費用 カルチャーエッジを完全に越えた際の損失は、一般に2つの分類に当てはまります: 収益: 現在と将来の収益損失。

イメージ:敬意、影響力、会社のマーケットアクセスなど失う;

ゲーム産業に否定的なイメージを与える。

例(下記の様なデータは容易に入手できません): 前述のトーテムポールゲームでは、予算4百万ドルのうち、キャンセルされるまでに40万ドルが費やされました。

Take-Twoの純損益は1,440万ドル(Q3 2004年)から2,880万ドル(Q3 2005年)と2倍に増加。これは「Hot Coffee」MOD問題に起因していました。

大企業では、収益下落とイメージダウンは時間と共に次第に消えうせていきますが、中小企業では、1件の問題でも命とりになりえます。

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P.R.O.P: 後処理問題

原因の源を分析 過程を振り返り、問題の源を追及します。

処理問題が生じた地点、又は問題の潜在性を特定するには不十分と考えられる重要な交流点に注目します。

教育と強化 識別やコンテインメント(封じ込め)作業の向上に必要な手段を明確にし、チームを教育します。

必要に応じ、オーナーシップと責務を再評定します。

重大局面における対応: 短絡的に反応しない 市場の反動を緩和しようと短絡的に反応すると、問題をさらに悪化させることがあります。(反動は波のように押し寄せることを念頭におく)

即座に対応することも大事ですが、問題との関わりあいやリスクなどを慎重に洞察することが大事です。

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P.R.O.P: 後処理問題例

日本向けのXbox限定モデルの特典として「かすみちゃんクッション」が採用されました。

日本向けのゲームでDOA

の“かすみ”が起用されることは珍しくありません。米国では、このようなアイディアは非対象ユーザー(親など)に警戒されます。

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最終評価

ゲームコンテンツを巡る「愉快」と「不愉快」のバランスを計るには、先行きを見通した知識とプロセスをカルチャーエッジに応用することで、ナビゲートできます。

自分自身のゲームコンテンツを、文化的側面から理解するように努めます。そうでないとさらに誤解を招き、突発的な規制をかけられることもあります。

自分で行う場合は「検閲」とはいいません;商品開発における「地政文化の質」を保証する過程なのです。

より地域文化に適応したゲームを開発することは、ゲーム利用者(そして収益)を広げることにつながります。結果として「非対象ユーザー」にも、産業に対し良いイメージを広めることになります。

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ご出席ありがとうございました。

質問またはコメント?

[email protected]

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付録1:推薦資料

Q.コンテンツの再検討に必要な地政文化関連の情報はどこで入手できますか?

A.まず下記のものを参考にして下さい:

比較文化のガイドと資料:様々なものが入手可能です:ビジネス「Do’s and Don‘t」関連の本・トラベルガイド・カルチャーショックシリーズ等。

規格: The World Factbook、国連の出版等。

オンラインリソース:各国の大使館サイト・カルチャーグループのサイト・百科事典・地図帳等。

内部資源:問題を早期に突き止めるため、文化的多様性がみられる企業では、そうした社員の助けをかりましょう。

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付録2:推薦文書

下記は、スピーカーの推薦するトピック関連の文書です:

The Game Developers Guide to the Real World, Kate Edwards, 2006年末出版予定; ここに述べたアイディアの繊細と完全ハンドブックです。

A History of Video Game Controversy, GameSpot.com, http://www.gamespot.com/features/6090892/

World Wise: What to Know Before You Go, Lanie Denslow, 2006.

The Culturally Customized Web Site, Nitish Singh & Arun Pereira, 2005.

Content Critical, Gerry McGovern & Rob Norton, 2002.

2002 Global Geographic Literacy Survey, National Geographic, http://www.nationalgeographic.com/geosurvey/download/RoperSurvey.pdf

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付録3: ケイト・エドワーズの紹介 地理学者・地図製作者・地政文化コンテンツの戦略家・ライター・インストラクターとして16年以上の経歴をもつ。

マイクロソフト(1992-2005年)でシニア地政学戦略家として13年以上勤務;エドワーズ氏は、地政戦略チームと共にこのユニークな部署を築いた。

マイクロソフトゲームスタジオで地政学品質の再検査プロセスを設計し、ファースト・セカンドパーティの全ゲーム、そしてほとんどのサードパーティ製Xbox・Xbox360、PC向けゲームを地政文化の側面より再検査する。

雑誌MultiLingual Computing magazineのコラム奇稿家(題 “Off the Map”)

Business for Diplomatic Action グループのSenior Advisory Council メンバー。(http://www.businessfordiplomaticaction.com/index.html)

2004年、王立地理学協会(英)より公認地理士の認定を受ける。(http://www.rgs.org/SpecialInterests/professionalgeographers/Chartered+Geographer.htm)

多くの協議会に参加: E3, AAG, Berkeley Asia Business Conference, BRIT, IBRU, NCGE, and RGS-IBG。またゲストスピーカーとして、しばしば大学から招待をうける。

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Englobeは新しい形態の専門コンサルタント会社として2005 年に設立されました。 Englobeの中核業務は、あらゆるビジネス産業に地政文化や地政コンテンツのコンサルタントサービスを提供することです。専門はIT/ゲーム・エンターテイメント・メディア等です。

Englobeは、地政学コンテンツの戦略的なコンサルタントを行うリーディングカンパニーとして知られています。今日、多くのビジネスは複雑な地理・政治文化に基づく政策にほとんど対処できていません。 Englobeは実績ある専門知識を実践に応用します。

Englobe は、主に下記のサービスを行っています:

1)戦略的コンサルタント: 次のような、あらゆるタイプのコンテンツにおける戦略的マネージメント:製品・社内文書・マーケティング・広告・全コンテンツタイプ(文書・イメージ・地図・アイコン等)

2)コンテンツ監査と再検討:製品全体、または特定箇所のコンテンツを注意深く再検査、確認した上で、特定問題を解決。

3)個人的教育:地政文化のもたらすリスクについてスタッフを教育し、マネージャーにアドバイス。

4)地理の標準規格:国・宗教・旗・類似した地理の関連情報など、敏感性が強いと考えられるものに対して、信頼のおける専門的なリソースを提供。

付録4:Englobe Inc.について