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交通GMSへ一言! NPO位置情報サービス研究機構(Lisra代表理事 名古屋大学 未来社会創造機構 教授 河口 信夫

交通ジオメディアへ一言

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交通GMSへ一言!

NPO位置情報サービス研究機構(Lisra) 代表理事

名古屋大学 未来社会創造機構 教授

河口 信夫

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自己紹介

河口 信夫 (かわぐち のぶお)

• 名古屋大学 未来社会創造機構 教授

• NPO位置情報サービス研究機構(Lisra) 代表理事

• 国土地理院 測量行政懇談会 基本政策部会員

• 総務省「G空間×ICT推進会議」構成員

• 国交省「東京駅周辺高精度測位社会プロジェクト検討会」

研究テーマ ユビキタス・コンピューティング

• 無線LANを用いた位置推定ポータル「Locky.jp」• カウントダウン時刻表サービス「駅.Locky」

• 人間行動センシングコンソーシアム「hasc.jp」 駅.Locky

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Locky.jp プロジェクト

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• 無線LANによる位置情報ポータル

• 無線LAN 基地局(WiFi AP) + 位置情報の収集

• APの位置情報があれば、端末位置が特定可能

• 無線LANによる位置推定の研究が目的

• 2005年7月よりデータ収集開始

• ボランティアがデータ収集

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iPhoneアプリ: 駅.Locky

• GPS / WiFi測位を利用して最寄りの駅の次の列車の時刻をカウントダウン

• 時刻表は「クラウドソーシング」による無償情報提供(10000人超)

• 現在までに 220万ダウンロード

• 毎日約6万アクセス

(以前は10万人超えてました)

現在

2009年~

駅.Locky

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時刻表.Locky

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駅.Locky は電車用

時刻表.Lockyは任意の時刻表

(バス、船、飛行機)

似ているが少し違うので、共通化は難しい

2010年~

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時刻表.Locky の現状(2016/02)

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スポット数 : 45738時刻表データ数: 68620(残念ながら最新ではないです。)

登録バス事業者数 : 814(なんと日本最大?)

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バスデータがバラバラに

• 国土数値情報(2011年で更新おわり)

• Opentransit (http://aalt.co.jp/opentransit/) • バス停検索 (http://buste.in/)• Crowdbus (http://www.crowdb.us/ )

– バス時刻表写真収集

• 時刻表.Locky サービス運営者として慚愧に耐えない

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このままだと。。。。(予想される未来)

• 外出する前に、、、

– 時刻表のために → 時刻表.Locky・駅.Locky– ポストのために → ポストマップ

– トイレのために → トイレマップ

– AEDのために → AEDマップ

– ロッカーのために → ロッカーマップ

– 車を借りるために → レンタカーマップ

– 食事のために → 食事マップ

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コンテンツ提供者は、データをかかえこんでしまいがち

利用者からすると自分に特化したサービスが欲しい

地域限定高齢者向き身障者向き

必要なサービスを、必要な時に見つけられますか?

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地理空間情報の流通を支える枠組みの必要性

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• 民間と公的機関、ボランティアの間に立つ基盤

公的機関

ボランタリ地理空間情報インフラ・組織

地方自治体

公共交通機関

民間事業者

民間事業者

民間事業者

データ提供

データ提供

地理空間情報ボランティア

データ提供草の根サービス

草の根サービス

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NPO法人 位置情報サービス研究機構

• NPO法人として、設立 (2012年9月14日設立)– Lisra: Location Information Service Research Agency

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・位置情報に関する技術・サービスの研究・開発・位置情報関連技術の教育・振興・位置情報登録を行なうボランティアの支援

目的:

事業: 1. 位置情報に関する技術・サービス等の情報提供事業2. 位置情報に関するシンポジウム・セミナー開催事業3. 位置情報に関する情報システムの開発・実験事業4. 位置情報や位置依存情報の収集・提供及び流通支援事業5. 位置情報に関するボランティア活動の支援事業6. その他この法人の目的を達成するために必要な事業

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地理空間情報の流通を支えるNPOの設立

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• 民間と公的機関、ボランティアの間に立つ基盤

公的機関

地方自治体

公共交通機関

民間事業者

民間事業者

民間事業者

データ提供

データ提供

地理空間情報ボランティア

データ提供草の根サービス

草の根サービス

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Lisraとしての活動

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位置情報サービス

データ登録システム

地理空間情報ボランティア

一般ユーザ

サービス提供

データ登録

データ変換

良質なサービス提供が多くのボランティア参加を生む

駅.Lockyを始めとした多様な実サービスを運用・支援

ブランディング

データ提供

サービス提供

他社サービス他社

サービス他社サービス

SupportedServices

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サポートいただいている皆様(会員企業)

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Lisra には交通事業者が入ってこなかった

• 我々の持っているリソースと、外部の方々のミスマッチ?

• XX.Locky のデータを使いたい、という要望もほとんど無い(東大 CSIS とは連携してます)

• 他社サービスと喧嘩をしたいわけではない

– 無償サービスが伸びすぎるのは問題

– なんらかのビジネスモデルは維持のために必要

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公共交通情報の問題

• GTFSは本当に標準か?

– まともなライブラリが以外に少ない

– (でも、これ以外選択肢がない。。。)

• データを扱う仕組みが難しい

– 路線だけでなく、運行データも複雑

– 遅延の扱い

– 特例の扱い

• デマンドが広く薄くのため、個別に行うにはコストメリットが見いだせない 15

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提案

• 公共交通に関する情報集約を行う組織立ち上げませんか?

– 産・学・官・利用者・が連携すべき

– なんらかの費用負担は必要

• どういった組織体の可能性があるのか?

• 業界団体ではないのが良い

– 国から支援できないの?

• 公共交通問題の一助になるのは間違いなし

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まとめ

• データは勝手には集まって来ない

– 集める・集まるための工夫が必要

• データだけでなくて、その上のライブラリ構築も重要。ソフトウェアの集約も重要

• ぜひ、データ・ライブラリを構築する機会をみなでつくりませんか?

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ご興味がある方は、ぜひご一緒しましょう

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交通GMS パネルディスカッション

• 以下は、河口が壇上で勝手にまとめた資料です

• 個人・事業者の発言は、河口が聞いた限りのまとめですので、誤りがあるかもしれません。

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コンテンツプロバイダの意見

• 井上様(ジョルダン)

– バス路線サービスでは一番でいたい

– オープンデータ:

• 地図の中にコミュニティバスの路線が乗る時代になってほしい

• 諸星(ヴァル研究所)

– 移動に関して困っている人がいればビジネスはある

• 太田(ナビタイムジャパン)

– コモディティになるまではデータは貴重

• 囲い込みビジネスは成立する、サービスで、垂直統合で、、、

– 長期的にはオープン化する→ 派生ビジネスはあるはず

– プローブデータはオープンなのか?(議論中) 19

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• 公共・国の役割として?

– どこが公共でどこがビジネスか

• 吉井

– 交通の基本法(交通政策基本法)

– 人が移動するのを確保

– オープンデータ化をフォローしていく

• データを使うことが良いこと、を盛り上げていく必要がある

– 個々のビジネスとしてやるべきこともあるはず

– 標準化もやっていた(10年前)

• なぜダメだったのかは???

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公共交通 → まちづくり

• IT:グローバルなプラットフォーム→生産性向上

– 検索 → Google、文書編集 → Word• ローカルでITをやっている人としては?

– ITはどこでも作れる、距離は関係ない

– バス的には、地方に行くほど遅れている。。

• 「この町はどうしたいのか?」

– 町の人が決めること

– 使うツール(IT)は、標準を使える

• TransitMix (Code for Americaが作ったツール)

• 住民が自分でほしい路線を作れる(提案できる)– 自治体も要望情報を参考にできる

• 自治体:バス停時刻表、書類、データ、、大変 21

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三重県の公共交通見える化

以下の連携で行っている

• 国土交通省 中部地方運輸局

• 三重県

• 公共交通利用促進ネットワーク

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公共交通にITを活かせるのか?

• フォーマットをそろえればOKなのか?

• バス業界

– 機器メーカー(運賃箱、表示器)→閉鎖的

• データが出てこない

• ここの開放が鍵ではないか?

• アーキテクチャをきちんと示すだけの見識をもつ人が、きちんと示すべき

– いろんなしがらみを理解

– 何が必要、誰が知ってるか、

– 皆の知恵を結集して、少しづつ作るべき

– 民間からの視点抜きで、ボランティアだけでやってダメ

– 成功事例をきちんと示すべき 23

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どこから手をつけるべき

• 実装サイド

– ビジネス側

– 公共側

• どうやったら進められるか

• 自治体:何社も同じデータを出せ、と言われる

– 転入者向けのサービス(情報提供)

– 基礎自治体からコツコツ進める

• 検索エンジン:位置情報付きで情報提供

• バス会社

– 大規模事業者は対応可能、小規模では無理24

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QA

• 質問:アマチュアが作成→本家に採用という事例(西鉄バス)

– 鉄道事業者はどの程度考えているか

• オープン・イノベーション

– 民間・個人の知恵を取り入れたい

• これまで付き合いの無いパートナーとも連携

• 東京メトロのオープンデータコンテスト:

– 280件を超える応募

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QA• フォーマットの件:

– いろんなプラットフォームを作る人がいて。。。

– 電子書籍の二の舞い: Kindleでもってかれた

• 海外だと、だいたいこんな感じで、、、

– 各プラットフォームのオープン化は無いですか?

– 高品質・高コスト、低品質・低コスト

– 中品質・低コストの落とし所

• 各所でバラバラになっているのでは?

– オープンの継続が重要

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QA• バス事業者→ データが出てこない

– データを出すことに対し、抵抗はあるのか?何を恐れているのか?

• 例:事業者毎の遅延状況などが可視化されたら、、、

– データの正確性に対する要請。。。

• 事業者側と(公共 or 民間なのか。。。)

– 入手交渉:メリットを伝えれば、無償で出せる

– データは出せるけど、有償という会社もある

– データの価値が高いと認識している

• データを作るのにコストをかけている →社内合意が得られない

– 信頼関係も重要:5~10年つきあい信頼を得る

– 例:Excel くしゃくしゃで、とても出せない。。。という場合も

– 周りがやってない27

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QA

• バスデータ入れたら、いくら儲かるの?

– 効果の説明ができない

– 交通マーケティングしている会社は無い

• ビジネスからの説明も必要ではないか

• バスデータを入れたら乗客増えるのか?

– コンテンツプロバイダ的にはエビデンス無し

• モビリティ・マネジメントとして

– あなたのXXXというような提供をすれば効果はある

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QA• 公共交通のビジネスモデル

– ほとんど赤字路線、効率化すると、補助金が減る

– ITの効果の説明が十分になされていない

• 公共交通の標準化(ISO)– ISOの制約は国 or JR– 国内の標準だけではダメでは

– 金額的には大した補助金額出ていない

• 赤字があれば国が補填するのは当たり前(世界的には)

– UBERのようなライドシェアも標準化すべきという議論

– 公共交通サービス、MaaS(Mobility as a Service)– バス・鉄道・タクシー・UBER まとめてマルチモーダル

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QA• 540社のバスデータ(路線バス315社 by Jordan)

– どうやって集めたか?

• DBだけじゃなく、PDF, Excel , 手書き。。。

• 自社でデータ変換をして、ローカルフォーマットに

– どうやって更新してるのか?

• 改正のタイミング3~4週間前にデータをもらう

• 内製でデータ変換ツールも作る

• HPなどで定点監視をして、変更を確認している– フィードバックまではできていない部分もある

– ビジネス化もありえるかも

– バスロケ対応も検討中 →リアルタイム経路検索

– バスのエコシステム

• 時刻表改正→バス停、HP,いろいろ作業ある30

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まとめ

• バス・鉄道連携の検索がもっと進むと良い

• 地域の公共交通の魅力を高めることが重要

• こういった話をぜひバス業界に広めたい(ぜひ)

• バスデータについてはトップ&軸に!(Jordan)• これで終わるのではなく、更に+アルファ、質で勝負

• 公共交通とデータは面倒・貧乏・根性(チャンスは?)

• オープンガバナンスに通じる、愛にあふれた場が良い

• 市民としての立場で世の中役立てると嬉しい

• バス停データバラバラ、由々しき事態。つなげる接点

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提案

• 公共交通に関する情報集約を行う組織立ち上げませんか?

– 産・学・官・利用者・が連携すべき

– なんらかの費用負担は必要

• どういった組織体の可能性があるのか?

• 業界団体ではないのが良い

– 国から支援できないの?

• 公共交通問題の一助になるのは間違いなし

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