講義12 状態フィードバックとオブザーバの併合システム...

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はじめての現代制御理論 講義12

講義12 状態フィードバックとオブザーバの併合システムの設計

オブザーバを用いた状態フィードバック制御の概念を理解しよう併合システムにおけるオブザーバを設計する際の注意点を理解しようオブザーバの設計と状態フィードバック制御の設計は独立に設計できることを理解しよう

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講義12のポイント

1.オブザーバを用いた状態フィードバック制御システムの構成2.併合システムにおける制御性能の比較3.併合システムの特性の解析

講義12の内容

はじめての現代制御理論 講義12

12.1 オブザーバを用いた状態フィードバック制御システムの構成

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状態フィードバック制御においてシステムの状態変数のすべてが計測できない場合

オブザーバにより状態変数を推定し状態フィードバック制御に用いる

オブザーバを用いた状態フィードバック制御システム

次元1入力1出力システム

システムが可制御であれば状態フィードバック制御 により極配置可能不安定なシステムを安定化すべての状態変数が計測できることを仮定

はじめての現代制御理論 講義12

12.1 オブザーバを用いた状態フィードバック制御システムの構成

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次元1入力1出力システム

状態ベクトル のすべての要素(状態変数)が計測できない場合

システムが可観測であればオブザーバ

を構成すると,時間経過とともに がに一致する

オブザーバを用いた状態フィードバック制御システム オブザーバにより推定された

状態ベクトルを用いる

はじめての現代制御理論 講義12

12.1 オブザーバを用いた状態フィードバック制御システムの構成

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併合システムにおける注意点状態フィードバックベクトル は状態変数が全て計測できているとして設計し,併合システムでも同じ値を

はじめての現代制御理論 講義12

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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例題を通して併合システムの有効性を調べる制御対象となるシステム

初期ベクトル 状態ベクトルは未知としているが,シミュレーションのため与える

オブザーバ

状態フィードバック制御則

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12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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システムの可制御性,可観測性をチェック

与えられたシステムの極(行列望ましい閉ループシステムの極:望ましい閉ループシステムの特性方程式

閉ループシステムの特性方程式

の固有値):

はじめての現代制御理論 講義12

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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状態フィードバックベクトルを求める望ましい閉ループシステムの特性方程式

閉ループシステムの特性方程式

係数比較

求める状態フィードバックベクトル

以後の例ではすべてこの を用いる

はじめての現代制御理論 講義12

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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例12.1オブザーバの極: 例11.1と同じ与えられたシステムの極:

オブザーバの極がシステムの極より原点側にある

オブザーバの極の配置として適切でない

オブザーバの極が行列 の固有値より原点側にある

はじめての現代制御理論 講義12 9

例12.1シミュレーション結果

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

併合系の結果と状態変数がすべて計測できた場合の結果を比較

オブザーバの極:の固有値:行列オブザーバの極の位置が不適切であるために併合系システムの応答が劣る

はじめての現代制御理論 講義12 10

例12.1シミュレーション結果

オブザーバの極:の固有値:行列

オブザーバの極の位置が不適切

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

と の応答 と の応答

はじめての現代制御理論 講義12

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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例12.2オブザーバの極: 例11.2と同じ与えられたシステムの極:

オブザーバの極がシステムの極より左側にある

オブザーバの極の配置として適切

オブザーバの極が行列 の固有値より左側にある

はじめての現代制御理論 講義12 12

例12.2シミュレーション結果

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

併合系の結果と状態変数がすべて計測できた場合の結果を比較

オブザーバの極:の固有値:行列オブザーバの極の位置が適切であるために併合系システムの性能が向上

はじめての現代制御理論 講義12 13

例12.2シミュレーション結果

オブザーバの極:の固有値:行列

オブザーバの極の位置が適切

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

と の応答 と の応答

はじめての現代制御理論 講義12

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

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例12.3オブザーバの極: 例11.3と同じ与えられたシステムの極:

オブザーバの極がシステムの極より左側にある

オブザーバの極の配置として適切

オブザーバの極が行列 の固有値より左側にある

はじめての現代制御理論 講義12 15

例12.3シミュレーション結果

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

併合系の結果と状態変数がすべて計測できた場合の結果を比較

オブザーバの極:の固有値:行列オブザーバの極の位置が適切であるために併合系システムの性能がほぼ同等

はじめての現代制御理論 講義12 16

例12.3シミュレーション結果

オブザーバの極:の固有値:行列

オブザーバの極の位置が適切

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

と の応答 と の応答

はじめての現代制御理論 講義12 17

併合システムを設計する際の注意点

12.2 併合システムにおける制御性能の比較

1.システムの極を求め,望ましい閉ループ極を定めて状態フィードバックベクトルを求める.

2.閉ループ極の位置よりも,オブザーバの極を複素平面のより左側に位置するようにオブザーバゲインを求める.

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12.3 併合システムの特性の解析次元1入力1出力システム

オブザーバ

状態フィードバック制御則オブザーバにより推定された状態ベクトルを用いる

推定誤差

状態方程式

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12.3 併合システムの特性の解析推定誤差の両辺を微分する

新たな状態ベクトル次元ベクトル

とする

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12.3 併合システムの特性の解析

併合システムの閉ループシステムの特性が時間経過とともに0に収束するか?

が安定行列であるか?

の行列の行列の行列の行列ブロック行列と呼ぶ

ブロック行列の固有値を求めるブロック行列の行列式の求め方

はじめての現代制御理論 講義12 21

12.3 併合システムの特性の解析ブロック行列の行列式

行列, 行列,行列, 行列

の場合の場合

または の場合

はじめての現代制御理論 講義12 22

12.3 併合システムの特性の解析の固有値

行列 の固有値と行列 の固有値からなる状態フィードバック制御における閉ループシステムの極( の固有値)とオブザーバの極( の固有値)は

の値の選び方と の値の選び方に相関がない

はじめての現代制御理論 講義12

講義12のまとめシステムの状態をオブザーバを使って推定し,推定した状態を用いて状態フィードバック制御を行うシステムを併合システムという.併合システムにおいて,オブザーバの極と状態フィードバックによる閉ループ系の極の位置関係に注意が必要である.オブザーバゲインと状態フィードバックベクトルの間には関係はなく,独立に設計可能である.

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