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B
A
b
a
AB (110)
(110)
(110)(
110)
c a
b
ポリエチレンの0.01%キシレン溶液を373Kで調製し、348Kに放置すると液が濁ってくる。その液の中には単結晶が生成している。電子顕微鏡(p.138)で観察すると
菱形の板状の結晶が生成(ラメラ結晶)1957 イギリス Keller使ったポリエチレンの長さは5m以上どのようにして分子は厚さ10万分の1mmの薄い板状の結晶に入っているのか?何個の分子が1つの単結晶に入っているのだろうか?
1) 単結晶ー希薄溶液からの結晶化(p114)
10nm
5. 高分子に特徴的な集合体の階層構造
折りたたみ部分(非晶)
ステム
ポリエチレン単結晶は溶液中では折りたたみ面の立体的な混雑を緩和するために中空ピラミッド構造B
A
b
a
AB (110)
(110)
(110)(
110)
c a
b
乾燥
分子鎖がラメラ結晶に垂直であることの証明→電子線回折(電子線回折でc軸は電子線の入射方向と平行であるため回折が観測されないため。)
単結晶であっても折りたたみ面が存在するので100%結晶ではない(分
子鎖が平行に配列した部分が結晶部分)
ポリチレン単結晶の層厚ー小角X線散乱(SAXS)で評価
結晶の厚み→過冷却度(融点ー結晶化温度)に依存結晶化温度が融点に近づくほど厚くなる
結晶の厚みが結晶化溶媒に依存
Nakajima 1972
2 sind
単結晶
広角X線回折(θが1°以上):
結晶内の規則性に対応小角X線散乱(θが1°以下):
ドメイン間、ラメラ間などの大きな構造の規則性に対応
身の回りの代表的な結晶性高分子に見られるポリエチレンの階層構造
結晶格子
ラメラ結晶
ラメラのねじれ
球晶
フィルム
単結晶に対応するラメラ結晶が結晶性高分子の基本構造
2) 球晶構造
高密度ポリエチレン
低密度ポリエチレン
X線回折
偏光顕微鏡観察
溶融体あるいは濃厚溶液からの結晶化→球晶の生成
小さな核
一定速度で成長
他の球晶と接触•同時刻に核生成 界面が平面•核生成時刻が異なる 双曲面
特徴Maltese cross結晶中の屈折率楕円体の長軸と短軸が検光子、偏光子の方向のどちらかに一致→屈折率楕円体が円対称に配列消光リング屈折率楕円体が特定の配列
ポリエチレンアジペートの30℃における偏光顕微鏡像
の結晶化時間依存性
12分
20分
32分
51分
20 mm 20m
ポリエチレン固体膜の球晶構造
偏光顕微鏡の原理(p.137)
2 2 2 12 ( )sin 2 sin d n nI A
n2:2つの直交平面偏光の速度の遅い方(長軸)n1:2つの直交平面偏光の速度の速い方(短軸)=0,/2, 零振幅消光 マルターゼクロスn2=n1 零複屈折消光 消光リング
屈折率n:分極率と関係
偏光子(P)と検光子(A)偏光方向が直交→クロスニコル
θ
は屈折率楕円体の長軸と偏光子(p)のなす角と定義出来る
n2
n1
鋭敏色板(鋭敏色板は530nmのリタデー
ションの位相差板)の挿入
屈折率n:分極率と関係(教科書-p.263付近参照)
2
2
2
2
1 2
1 42 3
6 42 3
2 29
A
cnv
nn
n dn dn
Nnn n nn M
Lorenz-Lorentz式
微分すると
複屈折(Δn)、屈折率差と分極率差の間には
n:屈折率分極率(原子や分子の
構造要素の配列に依存)
PEの結晶系 :斜方晶a
b
a=0.493 nm b=0.740 nm c=0.253 nm
na=nb=1.51 nc=1.58(光軸 ) n=nc-na=0.07
PEの屈折率 : ..
..
*
abc
球晶の中心
屈折率楕円体
ラメラ結晶のねじれ
球晶の成長方向
明暗 暗山谷
単結晶に対応するラメラ結晶が高分子の基本構造
ポリエチレンの場合この面をフィルム面上から観察したときにac面
が膜面に平行になったときΔnが最大
b軸方向
結晶性高分子の高次組織ー小角X線散乱による解析
ラメラ中心間の距離
ラメラ結晶L
2 sinL
高次の散乱
分子鎖は一枚のラメラだけではなく複数のラメラで結晶の一部を形成している。→高分子の強度に寄与
3) 伸びきり鎖結晶(p116)
ポリエチレン 0.54GPa、238℃で50時間結晶化(竹村ら)
高圧結晶化伸びきり鎖結晶
高分子量の線状ポリエチレン溶液を高速で攪拌・結晶化ーシシ・カバブ構造
シシー伸びきり鎖カバブー折りたたみ鎖
溶媒で折りたたみ鎖が除去
4) 繊維構造(p.117)
結晶性高分子を延伸ー繊維構造(分子鎖と結晶が配向するので高い強度と弾性率を示す。)
A 折りたたみ結晶
C 繊維構造(分子軸
が伸長方向に配向)
延伸
A
C
5) 非晶構造分子鎖の規則性の乏しいアタクチックPMMA、PS、PC液体のような状態で分子鎖の熱運動が凍結されている。
ランダムコイルモデル
非晶中での不均一性の存在による光の散乱→プラスチック光ファイバーの伝送損失と関連
分子鎖の規則性が無いので光を散乱しない
6) ポリマーアロイ2種類以上の高分子からなる材料ポリマーブレンドブロック・グラフト共重合体
ポリスチレン(脆い)ABS樹脂(アクリロニトリルーブタジエンース
チレン樹脂)ポリスチレンの中にゴムをミクロンオーダー以下のサイズで分散→衝撃強度の上昇
ABS樹脂の透過電子顕微鏡写真
(ゴム相が染色剤で黒く染まっている)
ゴム相
スチレン相
ABブロック共重合体 (リビングアニオン重合 分子量分布の狭いもの)
ブロック共重合体(p.182 合成法 p.363)
ポリマーAとポリマーBは互いに溶解しないが、共有結合でつながっているため
に大きく相分離することは出来ない→ミクロ相分離構造•成分の組成によって形態が変化•それぞれの相の大きさはそれぞれのブロックの分子鎖の回転半径オーダー
A
A成分の体積分率
A B
ポリスチレンーポリイソプレン ジブロック共重合体の透過電子顕微鏡像2つの高分子は互いに溶けることが出来ない。しかし大きく相分離しようとしても互いに連結されているので、数十nmの大きさの相分離(ミクロ相分離構造)を形成する。
黒い部分がオスミウム酸染色されたポリイソプレン相
ポリスチレン ポリイソプレン
演習問題1. ポリエチレンは結晶化の方法などにより、種々の形態(階層構造)を形
成する。それぞれの形態学的な特徴とそれらを得る方法を述べよ。1) 単結晶 2) 球晶 3)伸びきり鎖
2. ポリエチレン単結晶中での分子鎖の充填状態を図示せよ。3. ポリエチレン球晶の偏光顕微鏡観察時に、明暗の十字と同心円状の
暗部が見られる現象を説明せよ。4. ブロック共重合体のミクロ相分離構造について解説せよ。
5. 高分子固体の主な分子鎖凝集状態について例をあげて説明せよ。
本日の課題ポリエチレン結晶の密度を計算してみましょう。単位格子の中には2個のモノマーユニットがあります。
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