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糖 尿 病と は ?

~ 糖尿病の 定義 と 合併症 ~

医療法人 瑞心会 渡辺病院

副院長 診療統括部長 中村 了

糖尿病 の 定義 とは?

“糖尿病”って、よく耳にするけど・・・なに?

糖尿病 の 診断

空腹時血糖

75g-OGTT

随時血糖

HbA1c(NGSP)

≧126mg/dl ⇒ 通常の健康診断(二回証明or眼底所見ありor症状あり)

空腹時血糖≧126mg/dl血糖2時間値≧200mg/dl(この検査は、通常二次検査)

≧200mg/dl ⇒ 特定健診(二回証明or眼底所見ありor症状あり)

≧6.5% ⇒ 不正確だが わかりやすい

境界型糖尿病 の 診断

空腹時血糖

75g-OGTT

随時血糖

HbA1c(NGSP)

≧110mg/dl(もちろん、126㎎/dl未満)

空腹時血糖≧110mg/dl血糖2時間値≧140mg/dl(もちろん、200㎎/dl未満)

≧140mg/dl(食後二時間未満であると、微妙・・・)

≧6.2%(一般的に6.5%未満のはず)

血糖コントロールの評価

評価 優 良可

不可不十分 不良

HbA1C < 5.85.8 ~

6.5

6.5 ~

7.0

7.0 ~

8.08.0 <

血糖値

(空腹時)< 110

110 ~

130130 ~ 160 160 <

血糖値(食後2時間)

< 140140 ~

180180 ~ 220 220 <

糖尿病診療ガイドライン 2010

※HbA1cの数値に“30”を足して体温だと考えると、重症感がわかりやすい

糖尿病の定義のまとめ

• 糖尿病の定義は 空腹時血糖≧126mg/dl

随時血糖 ≧200mg/dl(二回証明 or 眼底所見あり or 症状あり)

• HbA1c≧6.5%もめやす

(上記との組み合わせで診断)

• 空腹時血糖よりも食後血糖から異常値に

• HbA1cに30を足すと重症度がわかりやすい(体温をイメージ)

糖 尿 病 の 合 併 症

“糖尿病は怖い!”って、よく言われるけど・・・?

糖尿病とは

死と寝たきりを促進する病気!!

血糖の病気ではなく

死因の主たるものは 糖尿病!!

糖尿病

高LDLコレステロール

喫煙

高中性脂肪

低HDLコレステロール

高血圧症

ピロリ菌

アルコール多飲

癌動脈硬化

人間、ほとんどの人が、癌か動脈硬化のどちらかで、寝たきりや死に至ることが宿命づけられています。

運動不足

寝たきりの原因も 糖尿病!!

運動不足読書習慣の不足

加齢

喫煙

高血圧症

カルシウム不足

アルコール多飲

骨粗鬆症認知症

糖尿病

起こりうる糖尿病の合併症の全体像

小血管

眼・神経・腎臓

大血管

脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症

末梢動脈性疾患(PAD) など

その他

がん・認知症・易感染性

骨粗しょう症 など

1

1.3

1.7

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

糖尿病はそうでない人に比べて70%も癌死が増える

相対危険度

その他の合併症(がん)

生活習慣病 と 認知症アルツハイマー病の危険因子(相対危険度)

①喫煙 1・59 (1・15–2・20) ②低身体活動 1・82 (1・19–2・78) ③低教育水準 1・59 (1・35–1・86) ④中年期高血圧 1・61 (1・16–2・24) ⑤糖尿病 1・39 (1・17–1・66) ⑥中年期肥満 1・60 (1・34–1・92) ⑦うつ 1・90 (1・55–2・33)

これらの影響を10~25%減ずれば、世界で100~300万人のアルツハイマー病を予防できる

The projected effect of risk factor reduction on Alzheimer‘s disease prevalence Barnes, Yaffe et.al Lancet Neurology 2011;10:819-828

その他の合併症(認知症)

糖尿病の合併症のまとめ

●糖尿病の合併症には、

小血管(眼・腎・神経)

大血管(脳血管・心血管・下肢血管 など)

その他(認知症・がん など)

の多くの重大な合併症がある!

●糖尿病の合併症は、

死・寝たきり・日常生活能力低下 に直結!

●糖尿病の合併症は、多岐にわたる検査で

経過を追う必要がある!!

糖尿病の検査 渡辺病院 臨床検査技師

吉田愛菜

15

糖尿病の検査ってどんなのがあるの??糖尿病の診断のための検査 ⇒ 血糖値、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)

HbA1c

糖尿病の合併症を調べる検査 ⇒ 糖尿病性腎症

糖尿病網膜症 の検査

糖尿病神経障害

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血糖値って何?

血糖値=血液中のブドウ糖(グルコース)の量

ブドウ糖は体に必要なエネルギー源

空腹時血糖:80~110mg/dl

空腹時血糖とは10時間以上絶食した状態のこと

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食後のブドウ糖の流れ①食べる

小腸でブドウ糖を血管内へ吸収

=血糖値上昇

すい臓 ②

③インスリンが出る

体中の細胞

肝臓

筋肉

ブドウ糖をエネルギーとしてすぐ使用

ブドウ糖をグリコーゲンの形にして貯蔵

血糖値低下

④肝臓や筋肉に貯蔵する

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糖尿病の診断のための検査

①血糖値、75g経口ブドウ糖

負荷試験(OGTT)

②HbA1c

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①糖尿病の診断に用いられる血糖値☆早朝空腹時血糖 ・・・ 前の日の夜9時以降から絶食し翌朝の食

事の前に採血した際の血糖値のこと。(基準値 : 80~110mg/dl)

☆随時血糖 ・・・ 食事とは関係なく測定した血糖値のこと。(基準値 : 80~140mg/dl)

126mg/dl以上⇒糖尿病型

200mg/dl以上⇒糖尿病型

20

☆経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)後2時間値

<経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)>

手順

①前日の夜から絶食をする。

②空腹状態で空腹時血糖(負荷前)の採血をする。

③75gのブドウ糖を溶かした水を5分以内に飲む。

④75gのブドウ糖を飲んだ後、30分後、1時間後、

2時間後に血糖測定用の採血をする。

基準値 : OGTT後2時間値140mg/dl以下

200mg/dl以上⇒糖尿病型

21

HbA1cとは=赤血球中のヘモグロビン(Hb)にブドウ糖が結合したもの

別名:糖化ヘモグロビン、グリコヘモグロビン

②HbA1cとは?

血糖値が正常の人 血糖値が高めの人ブドウ糖

赤血球

(基準値:4.6~6.2%)

➡長期間(1~2カ月)の平均血糖値を反映する値

6.5%以上⇒糖尿病型22

糖尿病の診断のための検査 まとめ

糖尿病型

110mg/dl未満 ― 140mg/dl未満

110mg/dl以上

126mg/dl未満―

140mg/dl以上

200mg/dl未満

空腹時血糖値 随時血糖値

正常型

境界型

糖負荷後

2時間血糖値HbA1c

126mg/dl以上 200mg/dl以上 200mg/dl以上 6.5%以上

23

そもそも糖尿病って何が悪いの?

高血糖状態の持続

複合的に合わさり血管に影響を与える

高血糖の影響を受けやすい臓器

目の網膜

網膜症

腎臓の糸球体

腎症

神経

神経障害

→ → →細小血管障害

(

細い血管が傷ついて起こる)

心臓の冠動脈

心筋梗塞

脳の脳動脈

脳梗塞

→ →

大血管障害

(

太い血管が傷ついて起こる)

糖尿病三大合併症

足の動脈

末梢動脈疾患

体内での様々な代謝異常

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糖尿病網膜症を調べる検査⇒眼底検査とは?

25

糖尿病性網膜症

自覚症状検査目安

飛蚊症、視力低下、失明2週間~1カ月に1回

病変が黄斑部に至らなければ自覚症状無し症状無し1年に1回 3~6か月に1回 1~2カ月に1回

前増殖網膜症 増殖網膜症

眼底写真

網膜症なし 単純網膜症

症状がないまま進行しやすく、最終的には失明の可能性も・・・

失明原因の第1位は糖尿病

三和化学研究所 糖尿病セミナー「糖尿病による失明、網膜症」より引用

26

糖尿病性腎症って何?

血液をろ過して老廃物を体外に排出

人工透析の原因第1位は糖尿病

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糖尿病性腎症の検査

①尿蛋白

尿中には血液由来の様々な蛋白が含まれているが、

正常ではその排泄量はわずかである。

腎臓の血管が壊れると、血液中の蛋白が尿中へ漏れ出す

正常(成人) 蛋白尿

尿蛋白50~100mg/日 尿蛋白

150mg/日以上

尿蛋白・アルブミン・β2ミクログロブリン・α1ミクログロブリン

②尿中アルブミン蛋白のなかでも大きさの小さいアルブミンが腎症早期に尿中に現れる。⇒早期腎症の指標 (腎症の疑い:30mg/日以上)

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第三期(顕性腎症期) 第四期(腎不全期) 第五期(透析療法期)

尿中アルブミン(g/gCr)

正常30未満

微量アルブミン尿30~299

顕性アルブミン尿300以上

第一期(腎症前期) 第二期(早期腎症期)

病状の特徴

◎尿毒症  ・貧血  ・体がだるい◎尿毒症性神経痛  ・夜間手足が痛い  ・皮膚がかゆい◎ネフローゼ症候群  ・慢性的な体のむくみ

(透析療法)

人によりむくみが出てくる

自覚症状無し

問わない

尿蛋白正常(-)

著明に出現(+)

糖尿病性腎症の進行と検査

糖尿病である人は、予防の意味で少なくとも年に1回尿中アルブミン検査を受けるようにしましょう!!

治療がうまく

いかないと

これでも治療がうまくいかないと

29

糖尿病性神経障害

30

糖尿病性神経症の検査

◎CAVI(心臓足首血管指数)

=心臓から押しだされた血液の拍動が

動脈を伝わって足首までに至る速度を測定

➡動脈の硬さ(動脈硬化)の指標

◎ABI(足関節/上腕血圧比)

➡血管の詰まり具合の指標

血流障害、動脈硬化を調べる

心筋梗塞、脳梗塞の原因のひとつ

血圧脈波測定検査

末梢動脈疾患の原因

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大血管障害のひとつ…

末梢動脈疾患の検査下肢動脈のエコー

中枢側 末梢側

内腔

循環器画像技術研究会HPより画像引用

正常像

末梢動脈疾患患者の像

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糖尿病にならないことなっても進行させないことが重要

そのためには・・・

①毎日の食事に気をつける(食事療法)

②適度な運動をする

③定期的な検査

④もしなっても薬を飲んで血糖をコントロール(薬物療法)

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ローカーボ食について

渡辺病院 管理栄養士 谷川 真弓

~ローカーボ食 目安表~

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