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1 (英語) 前期日程 大問 1 ・出題意図 フランシス・ベーコンの死因に関する逸話を話の起点とし、具体的な例を交え ながら、「実証主義」のアプローチをとることの難しさと、また、その難しさ こそが「実証主義」強みであるということを説く論説文からの出題でした。一 文ごとに独立した逐次的な英語の読みではなく、段落ごとの意味のまとまり、 段落間の意味のつながりなど、全体的な論述展開に注意を払って内容を理解 する能力、また文脈から単語の正しい意味を推測する能力が問われた問題で した。 ・講評 1 文の前後の流れを読み取る能力と語彙力を問う問題でした。“this theory”は何 か特定の学説を指しているのではなく、ベーコンの思いついた仮説――具体 的には“occurred to Bacon that”に続く部分――であることを把握し、その部分 を正しい日本語で表現しているかどうかがポイントでしたが、大方の受験者 が正しく理解できていました。“flesh”“fresh”と取り違えた解答や、 “preserve"という動詞の理解が不十分である解答が見られました。 2 文章の論理的な展開を正しく理解できているかを問う問題でした。科学的根 拠に基づいて判断が下された真実には信頼性がないように見える事例を本文 から読み取り、その内容を要約することが求められました。以前は正しくな いとされていたことが実のところは正しかったと、「真実」とされているも のが二転三転する様を寒気と風邪の関連性に関する研究の例を用いて要約し ていることがポイントになります。「冷たいウィルス」、「共通の風邪」、「即 座の反応」など、日本語として適切ではない訳出が見られました。 令和 2 年度 一般選抜入学試験 個別学力試験 出題意図

大問 1 - Tohoku University Official English Website · 英文の論理的な流れを把握する力を問う問題でした。指示代名詞や副詞や接 続詞を手掛かりとして、論理の流れを再構成することを求めています。(ア)

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1

(英語)

前期日程

大問 1

・出題意図

フランシス・ベーコンの死因に関する逸話を話の起点とし、具体的な例を交え

ながら、「実証主義」のアプローチをとることの難しさと、また、その難しさ

こそが「実証主義」強みであるということを説く論説文からの出題でした。一

文ごとに独立した逐次的な英語の読みではなく、段落ごとの意味のまとまり、

段落間の意味のつながりなど、全体的な論述展開に注意を払って内容を理解

する能力、また文脈から単語の正しい意味を推測する能力が問われた問題で

した。

・講評

問 1

文の前後の流れを読み取る能力と語彙力を問う問題でした。“this theory”は何

か特定の学説を指しているのではなく、ベーコンの思いついた仮説――具体

的には“occurred to Bacon that”に続く部分――であることを把握し、その部分

を正しい日本語で表現しているかどうかがポイントでしたが、大方の受験者

が正しく理解できていました。“flesh”を“fresh”と取り違えた解答や、

“preserve"という動詞の理解が不十分である解答が見られました。

問 2

文章の論理的な展開を正しく理解できているかを問う問題でした。科学的根

拠に基づいて判断が下された真実には信頼性がないように見える事例を本文

から読み取り、その内容を要約することが求められました。以前は正しくな

いとされていたことが実のところは正しかったと、「真実」とされているも

のが二転三転する様を寒気と風邪の関連性に関する研究の例を用いて要約し

ていることがポイントになります。「冷たいウィルス」、「共通の風邪」、「即

座の反応」など、日本語として適切ではない訳出が見られました。

令和 2 年度 一般選抜入学試験 個別学力試験

出題意図

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問 3

文章の論理的な展開を正しく理解できているかを問う問題でした。(c)の文章

では、実証的な問い/調査が “open-endedness” であることがその強みである

と書かれています。従って、この問は “open-endedness” が何を指すかを正し

く文脈から抽出できるのかがポイントでした。この段落を読み進めていく

と、実証的な問いから得られる真実は、物理学や数学と異なり、100%正しい

という確信を得ることができないこと、また、実証的な問いにはどんなもの

にも反証があることが書かれています。このあたりの内容が解答に汲み取ら

れていることがポイントになります。

問 4

文の文法的構造の理解力を問う問題でした。カンマの後の“which”以下の全体

が前の文にかかること、またその節の中の“makes the truths that pass the test

more reliable”の文は、“makes the truth more reliable”の文の中に入れ子のように

[that pass the test]が挿入されていることに気が付くかどうかがポイントになり

ます。基本的な文法である make A+Bで「A を Bにする」という意味になる

ことを理解できていない答案が見られました。

問 5 解答:(1)ウ (2)イ (3)ア (4)エ

文章の前後関係から未知の単語の意味を推測する力を試す問題でした。(1)は

「湿った」なので(ウ) moist、(2)は「減じる, 損なわれる」なので(イ)

weakened、(3)は「理解できる」なので(ア)comprehensible、(4)は「精査」な

ので(エ) inspection が正解となります。文脈からおおよその意味が取れてい

れば正解にたどり着くはずです。

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大問 2

・出題意図

インターネット技術の進歩による社会と生活の変化の可能性についての論説

文を題材とした出題でした。文章の論理の展開を理解しているか、語彙力と文

法力に基づいて個々の段落や文章の意味を正確に理解できているかを主に問

う問題でした。

・講評

問 1

文章理解のカギとなるキーワードが何を指しているのかを問う問題でした。

この“this notion”は「ポスト産業時代(postindustrial age)に向かっていること」

を指しています。したがって、直前の文で説明されている「ポスト産業時代」

の内容を要約すればよいことになります。

問 2 解答:イ→ア→エ→ウ

英文の論理的な流れを把握する力を問う問題でした。指示代名詞や副詞や接

続詞を手掛かりとして、論理の流れを再構成することを求めています。(ア)

の中の“this figure”(数字)は(イ)の “seven connected devices”(7 台の接続さ

れた装置)を指していることは明らかですから、まず(イ)→(ア)の順番が

分かります。(エ)“these devices”(これらの装置)は(イ)と(ア)で論じら

れている“connected devices”を指していることも明らかです。これらをたどる

と(イ)→(ア)→(エ)の順番がわかります。(ウ)は消費者のさらなる関

心という話題の導入なので、それまでの話題を受け止めて、“What’s more”で始

まる次の文につながってゆくことが分かります。したがって、(イ)→(ア)

→(エ)→(ウ)が正解となります。(エ)を最初に持ってくる誤答がやや多

く見られました。

問 3 解答:ウ

英文の論理的な流れを把握する力を問う問題でした。段落の冒頭には、その段

落のテーマや内容を指し示す文が置かれます。この段落ではわれわれが映画

を見る方法が変化したことや、商品購入に際してネット上のレヴューが影響

力を持つようになったことが述べられています。したがって、インタ―ネット

に接続された装置はわれわれの「製品に対する考え方」や「行動の仕方」を変

えるということが書いてある(ウ)が、この段落の冒頭の一文として最も適切

であることになります。

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問 4

長い英語の一文を、文全体の構文を理解したうえで的確な日本語として訳出

する能力を試す問題でした。文全体が“not only . . . but also”構文によって組み

立てられていることを理解しているかが大きなポイントとなります。文前半

では、allow +目的語+to 不定詞構文を理解して訳出できているか、文後半では、

主語“it”が“a light switch”を指しており、“can be connected”と“save money”とい

う二つの動詞句の主語となっていることを理解しているかどうかがポイント

となります。“a light switch”を「軽いスイッチ」「正しいスイッチ(right switch

と誤解)」と誤訳した例や、“internet enabled”を「インターネットに接続した(さ

れた)」ではなく意訳する例が見られました。

問 5 解答:イ、エ、キ

問題文の要旨を正確に理解しているかどうかを問う問題でした。(ア)は本文

では言及されていない“telemarketing”のことが述べられているので、不正解で

す。(イ)は本文の内容と合致します。(ウ)には、インターネットに接続され

た機械はそれを使う人の価値を高めるとありますが、本文ではそういったこ

とは述べられていません。(エ)は本文の内容と合致します。(オ)では、店か

らスマートフォンにメールが届くとありますが、本文ではそういったことは

述べられていません。(カ)では、装置をインターネットで接続するための技

術をわれわれはすでに使い果たしているとありますが、本文ではそういった

ことは述べられていません。(キ)は本文の内容と合致します。

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大問 3

・出題意図

留学生の“Bradley”と日本人の“Kaede”による日本での大学生活について議論

する形式の文章でした。アメリカの“Greek life”と日本のクラブ(サークル)

活動を比較して、その共通点や違いについて議論しています。この議論の内

容を正確に理解しているかどうか、そして“Bradley”が“Kaede”の誘いを受け

て逡巡している理由を、適切な文法、表現で説明できるかを見る問題でし

た。

・講評

Question 1 (A) 解答:a

この問題は、選択肢の中から適切な動詞を選択するものです。“cater to”に最も

近い同義語は“consider”なので aが正解となります。

Question 1 (B) 解答:c

この問題では、“affiliated”にもっとも近い同義語は“attached”なので cが正解と

なります。

Question 1 (C) 解答:b

この問題は、一般的な形容詞の慣用表現を適切な形容詞の同義語に修正する

問題です。“over-the-top”ともっとも近いのは“excessive”なので bが正解となり

ます。

Question 1 (D) 解答:d

この問題では、“intriguing”は「魅力のある」という意味ですから、最も近いの

は“fascinating”であり dが正解となります。

Question 2 (a) (b)

“Kaede” が勧誘するクラブに“Bradley”が「2(a):参加したい理由」と「2(b):参

加したくない理由」について、ダイアログに含まれる情報を合成して、それぞ

れ少なくとも 3 点ずつ英語で説明する問題でした。現在形で答えるべき個所

を、過去形で書いている答案が多く見られました。“horse”のスペルミスが多

く、“house”(家)や“hose”(ホース)、と書いたことでまったく異なる意味の

文章になっている答案もありました。

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大問 4

・出題意図

「知」の探究をテーマとしたエッセイを題材として、元々の日本語の意味を理

解した上で、それを自分の語彙を使ってうまく、適切に英語で表現できるかど

うかを見る問題でした。

・講評

(A)

「到達する」、「未知の世界」、「究める」、「純粋な欲求」、「支える」といった日

本語の表現を適切な英語で表現できるかどうか、日本語に込められている意

味を文法的に正しい英文で過不足なく表現できているかどうか等を見る問題

でした。原文に使用されている日本語の表現や語句自体は比較的易しかった

のですが、文全体の意味を捉えた上で英語の文章を作ることができていない

解答も見られました。

(B)

「一群の人々」、「限界に挑戦する」、「知の限界」、「挑戦のプロセス」、「役に立

つ,立たない」、「~は意味を持たない」といった日本語の表現を適切な英語で

表現できるかどうか、日本語に込められている意味を文法的に正しい英文で

過不足なく表現できているかどうか等を見る問題でした。うまく英訳できな

い単語を飛ばしてしまい、完全な文になっていない解答も見られました。

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後期日程

大問 1

・出題意図

人はなぜ物をなくすのかということをテーマとしたエッセイからの出題でし

た。全体の論旨の流れを理解できているか、語彙力や文法知識に立脚した個々

の文章理解ができているか、それを日本語で的確に表現できるかが主に問わ

れました。

・講評

問 1

文の文法的構造の理解力と語彙力を問う問題でした。文全体の構造が理解で

きているか、“apply to~”や “when it comes to~”といった熟語の知識をもって

いるか、“devoted to~”の後置修飾、関係代名詞 “which”の先行詞を正しく把

握しているか等がポイントとなります。また、そうした理解を日本語でわか

りやすく表現できているかも重要なポイントです。

問 2

文章の論理的な展開を正しく理解できているかを問う問題でした。この下線

部は、同じ文の後半部とその後に続く “In The Psychopathology . . .” で始まる

文で説明する内容を先取り的に要約しています。したがって、その部分を指定

された字数を守って要約することがポイントです。

問 3

文の文法的構造の理解力と語彙力を問う問題でした。“it throws no light on~”

や“how it feels to~”といった慣用表現の知識があるかどうか、“how not to do so”

が何を指しているか、また“provides”と “throws”という二つの動詞がともに

“It”を主語にしていることを理解しているか等がポイントです。

問 4

文章の論理的な流れを正しく理解できているかを問う問題でした。この下線

部が意味しているのは、直前で説明される“subconscious emotion”(潜在意識的

な感情)によって引き起こされる物忘れであり、段落前半で挙げられている、

ショッピングモールで子供を置き去りにする母親と財布を忘れる筆者の妹と

いう二つの例を指しています。正解となるには、この二つの例をあげ、さらに

それらが「潜在意識的な感情によって引き起こされる物忘れ」であることを答

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える必要があります。ほとんどの答案は「二つの具体例」がどこに書いてある

かは理解していました。しかし、それがどういうことを意味するのかという点

まで踏み込んできちんと書いた答案は多くはありませんでした。

問 5 解答:(1)イ (2)ア (3)ウ (4)エ

文章の前後関係から未知の単語の意味を推測する力を試す問題でした。(1)は

「まあまあ」「そこそこ」なので(イ) average、(2)は「注意深く」「慎重に」なの

で(ア) carefully、(3)は「盲目的なほど愛している」なので(ウ) loving、(4)は「欠

点がある」なので(エ) defectiveが正解となります。文脈からおおよその意味が

取れていれば、正解にたどり着くはずです。

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大問 2

・出題意図

社会科学の役割や研究方法について書かれた論説文からの出題でした。社会

的な話題に関する英文から必要な情報を読み取り、概要や要点を把握する力

や自分の考えを英語で表現する力を主に問う問題でした。

・講評

問 1

題材とした論説文の要点となる部分が把握できているかどうかを問う問題で

した。第 4 段落に書かれている内容の要点を簡潔にまとめることができるか

どうかがポイントとなります。下線部のすぐ後の文章を翻訳したり、次の段落

を要約したりする解答が多く見られました。

問 2

文と文のつながりに注意して段落全体の流れを理解し、書き手の意図を把握

することができるかどうかを問う問題でした。社会科学がなぜ私たちにとっ

て強みとなるのかを下線部に続く部分から読み取り、うまくまとめることが

できるかどうかがポイントとなります。質問文の次の文章とそれに続く段落

に答えとなる説明があったため、ほとんどの人が関連する内容を記載できて

いました。

問 3

文と文のつながりに注意して段落全体の流れを理解し、書き手の意図を把握

する力を見る問題でした。(社会科学の)「分裂しているという特徴」とは何

か、下線部の直後で説明されている内容を理解し、うまくまとめることがで

きるかどうかがポイントとなります。文章からくみ取った内容を筋道立てて

自分の言葉で表現するための日本語力の不足を感じさせる解答が見られまし

た。

問 4

“lies”の前が副詞句であり、後ろが主語にあたるという文構造(倒置)を正し

く理解し、文全体を適切な日本語で訳すことができるかがポイントとなりま

す。“cooperation”を「会社」と誤訳する解答が見られました。

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問 5

日常的な話題(「幸せ」)についての自分の考えを英語で適切に表現できるかど

うかを見る問題でした。理由に裏付けられた論理的な解答が多く見られまし

た。

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大問 3

・出題意図

新メディアの登場によって人々のメディア活用が変化するという内容の文章

を題材として、元々の日本語の意味を理解した上で、それを自分の語彙を使

ってうまく、適切に英語で表現できるかどうかを見る問題でした。

・講評

(A)

特に、「新メディアの登場」「購読する代わりに」「無料で提供される」「閲読

で済ます」「いわゆる新聞離れ」という日本語の表現をどのように英語で作

文するか、また長い問題文をどのように英文として構成するかがポイントで

した。“subscribe”や“increase”などの単語の用法が誤っている答案や、英文が

長くなってしまったために文章として成立していない答案が見られました。

また「新聞離れ」を直訳することを試みて“newspaper away”のような奇妙な

英語になってしまっている答案も見られました。

(B)

特に、「それだけでなく」「大衆に情報を伝達するマスコミ」「クモの巣のよ

うに張り巡らされた」という日本語の表現をどのように英語で作文するか、

また「受け手であるだけでなく~発信できるようになった」を高校までに学

習した文法事項(例えば“not only〜but also”)を用いて作文できるかどうかが

ポイントでした。殆どの学生は、全体的な文の構文を正しくつかんだ上で英

文を作成していました。

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○志願者へのメッセージ

本学の長文問題の最近の出題傾向は、分量は比較的多いものの、内容的には読

みやすいものになっています。ただし、ある程度の抽象度のある長文ですから、

英文の構造を正確に把握し、設問の要求に合わせて必要な情報を取り出し、これ

を適切な日本語として作文する能力が必要となります。そのため、一定量の英文

をできるだけ多く、全体の内容をつかむという訓練と同時に、構文の理解や語彙

力に支えられた正確な読解や、前後の文脈から語句の意味を類推する読解を行

う訓練も必要です。

いわゆる四技能を重視する英語教育の結果、英語によるコミュニケーション

能力は以前に比べて伸びてきているのかもしれません。しかし、外国語である英

語で書かれた文章を正確に読み、自分の考えを正しい英語で論理的に表現する

という点をおろそかにすることはできません。今回の解答でも、与えられた英文

を知っている語彙で無理に直訳したり、フィーリングで意味をつかんで訳した

りしているものが散見されました。そういう解答の多くは、主語と述語の関係が

崩れてしまい、日本語として不明瞭な解答となっていました。解答を終えたら最

後に自分の書いた文が筋の通る日本語になっているか、自分の意図した意味を

表した文になっているかを点検してほしいものです。英文の内容や問題のポイ

ントをつかむことができても、答案を適切に作成するための日本語の表現力が

十分でなければ得点につながりません。過不足なく答案を書くという技術は、た

とえ母語であっても簡単ではありません。日頃の訓練がものをいいます。要は、

母語であれ、外国語であれ、ことばを大切にする読み方、書き方ができるかとい

う点を十分に訓練してほしいと思います。

最後に、ことばによる表現においては、丁寧に書く、誤字脱字をしない(英語

であればスペルミスをしない)など基本的な注意事項の他に、文法・論理・修辞

という点も重要です。英語作文の場合は、修辞(レトリック)という点は受験生

には要求されないにしても、文法的ミスをしないことや(例えば、主語が三人称

単数で現在時制の際は動詞に“s”をつけるといった初歩的な点)、論理的な展開に

も注意してほしいと思います。そのためにも、英語以前の問題として、ふだんか

ら日本語による表現をする際にも、こういった点を十分に注意してほしいと思

います。また、採点者にとって非常に読みづらい文字で書かれた答案も少なくな

くありませんでした。結果として受験生本人が損をする結果になりかねません

ので、他者に見てもらう解答であるということにも注意してほしいと思います。