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手術支援ロボット H26年11月より始動 ○ロボット支援腹腔鏡下 前立腺全摘除術開始のお知らせ ○高度進行癌に対する膵切除・肝切除術 ○全身血管に対する血管内治療の必要性 ーカテーテルによるインターベンションー 緊急手術に対する治療体制 Contents da Vinci Si 導入 かんろう.ねっと 2015 Feb. 18 No. 関西ろうさい病院 連携通信

かんろう 1表紙3 2回目 - johas.go.jp援ロボットda Vinc(ダi ヴィンチ)を導入し、平成26年11月からロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 (robotic-assisted

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Page 1: かんろう 1表紙3 2回目 - johas.go.jp援ロボットda Vinc(ダi ヴィンチ)を導入し、平成26年11月からロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 (robotic-assisted

手術支援ロボット

H26年11月より始動

○ロボット支援腹腔鏡下 前立腺全摘除術開始のお知らせ

○高度進行癌に対する膵切除・肝切除術

○全身血管に対する血管内治療の必要性 ーカテーテルによるインターベンションー 緊急手術に対する治療体制

Contents

da Vinci Si 導入

かんろう.ねっと2015Feb.

18No.

関西ろうさい病院 連携通信

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Kanrou.net

 平素より大切な患者様をご紹介いただき、心から深謝いたします。 患者様の肉体的、精神的負担の軽減につながる医療の低侵襲化が各科領域で進んでいます。泌尿器科領域の疾患に対する手術手技においても、術後のより早い回復や疼痛の軽減、入院期間の短縮などに結びつく手術の低侵襲化が推奨され、様々な術式が普及しています。当科では局所限局性前立腺癌に対する根治的治療である腹腔鏡下前立腺全摘除術に早くから取り組んできました。更なる発展として、この度、当院でも手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)を導入し、平成26年11月からロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(robotic-assisted laparoscopic radical prostatectomy、以下RALP)を開始しました。

●略歴平成 3年平成 7年平成 9年平成11年平成13年平成19年平成21年平成25年●資格平成 8年平成13年平成19年平成24年平成26年

信州大学 卒業神戸大学医学部附属病院兵庫県立淡路病院社会保険神戸中央病院神鋼病院三田市民病院関西労災病院 泌尿器科副部長   同   第三部長

日本泌尿器科学会専門医日本泌尿器科学会指導医日本臨床腫瘍学会暫定指導医泌尿器腹腔鏡技術認定医手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定

はじめに

 もちろんロボット支援手術といってもロボットが独自に手術を行うわけではありません。術者がロボット操作用のコンソールから、画像を見ながら手術用の鉗子類を装着したロボットアームを操作して手術を行います。腹部に小さな穴を開け、炭酸ガスでお腹を膨らませた上で内視鏡や鉗子類を入れて手術を行うという点では、当科でも早くから取り組んできた腹腔鏡手術と基本的には同じです。

ロボット支援手術とは

 ロボット支援手術の歴史は比較的浅く、戦場や無医村における遠隔手術を目的として開発されました。臨床応用は1997年から開始され、1998年に最初の手術支援ロボットであるZEUS System(ゼウス)がComputer Motion社から市販され、翌1999年にはda Vinci Surgical System(ダヴィンチ)がIntuitive surgical社から市販されました。その後に両社は合併し、現在da VinciはFDA承認を得た唯一の市販型内視鏡手術支援ロボットであり、この度当院で導入したda Vinci Si system(ダヴィンチSiシステム)は最新型の機種となります。 da Vinci Si systemの主要部分はサージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートの3つで構成されます。

 術者はサージョンコンソール(図1)に着座し、非清潔区域から拡大された高解像度三次元画像を見ながらマスターコントローラを用いて、ペイシェントカート(図2)のアームに装着された鉗子類を操作します。 鉗子類は7自由度の関節を持ち、更には手振れ防止機能もついており、人間の手の自由度や正確

ロボット支援手術の歴史と概要

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術開始のお知らせ

泌尿器科第三部長 田口 功

図1 サージョンコンソール図2 ロボットアームに鉗子類を   装着したペイシェントカート-2- -3-

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 局所限局性前立腺癌に対する治療ですが、基本的に75歳未満で局所限局性前立腺癌(リンパ節転移や遠隔転移を認めないもの)と判断された場合は、全身状態を検討した上で、一般的に多くのケースで前立腺全摘除術や放射線照射といった根治性を目指した治療法が選択されます。 1999年から日本国内にも導入され、当科でも早くから取り組んできた腹腔鏡下前立腺全摘除術は、低侵襲かつ安定した手術成績を得られる一方で、熟練された高度な技術を要す術式です。RALPはこの様な問題点を解決する術式として開発されました。2009年時点で米国では前立腺全摘除術のおよそ85%以上がRALPで行われています。本邦でも、2014年10月現在182台のロボットが導入されるに至り(米国に次いで第2位の保有台数です)、RALPが急速に広まって来ています。 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術は、我々がこれまで取り組んできた腹腔鏡下前立腺全摘術と同様に①術中の出血が少ない、②傷口が小さく、術後の痛みが少ない、③術後の回復が早い、④機能温存に優れる、⑤合併症リスクの低下などの利点があり、特に機能温存の点では腹腔鏡下前立腺摘除術以上の成績が期待されます。

性を凌駕します(図3)。 ペイシェントカートは実際に手術操作を行う部分です。アームに鉗子類や内視鏡を装着し、患者さんの腹部に設けたポートから標的臓器にアプローチします。 ビジョンカートはモニター調節部であり、高解像度三次元ハイビジョンシステムが設置されています。手術助手や看護師が画像を共有でき、ここからサージョンコンソールに画像を供給しています(図4)。

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)

 高齢化社会の進行や食生活の変化を背景に、前立腺癌患者も増加の傾向にあります。2010年の国内の性別癌罹患率では胃癌、肺癌、大腸癌に続き、前立腺癌が男性第4位の癌でした。そして、2020年には肺癌に続き第2位の癌になることが予測されています。RALPの導入により、手術に伴う安全性およびQOLの改善のみならず、制癌性の点でも成績が向上し、患者さん方の利益に繋がることが期待されます。詳しくは、泌尿器科外来までお問い合わせください。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

おわりに

図3 鉗子類は術者の   指示を忠実に再現

図4ビジョンカートとサージョンコンソールおよびペイシェントカート

術者コンソール(写真奥)からロボットアームをコントロール(当院での手術風景)

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 昨今の高齢・糖尿病患者さまの増加に伴い、動脈硬化性疾患は増加傾向にあります。動脈硬化性疾患は、緩徐に発症する病態と急速に発症する病態がありますので、それぞれの病態に対して、解剖に基づいた正確な診断・治療を行なう必要性があります。

 必ず術前カンファレンスを行い、慎重に治療方針を決定致します。心 臓大 動 脈 瘤末梢血管疾患

: 循環器内科・心臓血管外科: 循環器内科・心臓血管外科・放射線科: 循環器内科・心臓血管外科・形成外科・リハビリ

①右冠動脈中間部より 慢性完全閉塞

②左前下行枝から逆行性に ガイドワイヤーをアプローチ

③右冠動脈の良好な開大を得た

①両側総腸骨動脈 100%閉塞

②ステント留置

③ステント留置後造影 100%閉塞⇒0%

●略歴平成13年

平成26年

●資格

兵庫医科大学 卒業大阪大学医学部附属病院関西労災病院 循環器内科   同   循環器内科副部長

日本内科学会認定内科医日本循環器学会専門医日本心血管インターベーション治療学会指導医   同   ステントグラフト指導医

全身血管に対する血管内治療

待機的手術

60歳代・男性、右冠動脈の慢性完全閉塞病変

70歳代・男性、上腸間膜動脈狭窄による腹痛

60歳代・女性、間歇性跛行

-カテーテルによるインターベンション-

全身血管に対する 血管内治療の必要性

待機・緊急手術に対する治療体制循環器内科副部長 飯田 修

治療後治療前 ステント留置

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 当院では、患者さま到着後1時間以内に手術開始可能な体制を整えております。血管内治療チームのメンバーは、半径2km以内に住んでおります。

左主幹部遠位部に99%狭窄を認め、心原性ショックの状態であったため、即座にIABPを留置し、PCIを施行

腎動脈下ー左総腸骨動脈までの最大短径64mmの腹部大動脈瘤の切迫破裂状態、後腹膜に血腫あり

緊急にてステントグラフト内挿術を施行

ステントグラフト内挿術後、5日で退院 深夜の緊急手術、約2時間で終了

ガイドワイヤー通過→血栓吸引→ステント留置→2つのバルーンカテーテルを用いて同時拡張する K iss ing balloon inflationを施行

良好な開大を得て治療終了集中治療、心臓リハビリの後、2週間で独歩退院

当院の緊急手術に対する治療体制

70歳代・男性、左主幹部遠位部99%狭窄を伴う急性心筋梗塞

60歳代・男性、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術

50歳代・男性、感染を伴う重症下肢虚血に対する集学的治療

足部動脈への血管内治療

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 平素より、多数の患者様をご紹介頂き有難うございます。平成22年4月より、関西労災病院外科に赴任させて頂き、肝・胆・膵外科グループを担当しております武田裕と申します。消化器外科の肝・胆・膵外科グループは、平成26年7月より武田裕、桂宜輝に、大村仁昭を加えて3名体制で頑張っております。何卒宜しくお願い申し上げます。 当院の肝・胆・膵外科グループは、低侵襲性と整容性に優れた腹腔鏡下手術を得意としておりますが、進行癌に対する拡大手術も積極的に施行しております。今回は膵癌、肝癌の拡大手術を紹介させて頂きます。

はじめに

 膵癌は、日本の癌による死亡数では男性の第5位、女性の第4位を占めており、最近ではFOLFIRINOXなど化学療法の選択肢も増加してきているものの、難治性の癌の代表です。特に通常型膵癌(浸潤性膵管癌)では、外科的切除、化学療法、放射線治療を合わせた集学的治療が必須です。一方外科的切除がされた場合にのみ根治の可能性が有り、外科的切除の意味合いは大きいと言えます。当科では、切除可能膵癌に対して、術前化学放射線療法、外科的切除、術後補助化学療法を併用した集学的治療を施行していますが、今回は積極的外科的切除を紹介させて頂きます。 通常型膵癌では遠隔転移の無い症例が外科的切除の対象になります。膵癌取扱い規約 (第6版補訂版)のStageIVaは、血管浸潤を伴った膵癌ですが、切除可能(resectableとborderline resectable)、切除不能(unresectable)が含まれています。門脈浸潤は再建可能で有れば切除可能、上腸間膜動脈浸潤は半周以下で有れば切除可能( b o r d e r l i n e resectable)、半周以上で有れば切除不能です。また腹腔動脈、総肝動脈浸潤は、腹腔動脈合併切除膵体尾部切除(DP-CAR)が可能で有れば切除可能です。 門脈合併切除は、膵頭十二指腸切除の場合は切除長が5cm以下で有れば、直接端々吻合が可能です(図1)。門脈の縫合糸は余っている(Growth Factor)のがお分かり頂けると思いますが、静脈系の吻合は縫目がきっちり合っていれば、糸を結ばなくても出血しません。逆にきっちり結紮すると狭窄になるためこの様にGrowth Factorを設けて縫合します。また門脈合併切除の切除長が長い場合は血管グラフトを間置します(図2)。この症例は、重粒子線治療後に門脈完全閉塞を来していましたので、上腸間膜静脈から

左大腿静脈にバイパス回路を留置した上で、膵頭十二指腸切除を施行し、右内頚静脈グラフトを間置して門脈再建をしています。 動脈合併切除は、腹腔動脈合併切除膵体尾部切除(DP-CAR)を施行しています(図3)。この症例では、膵体尾部切除に左腎摘を追加し、さらに腹腔動脈、総肝動脈を切除し、胃十二指腸動脈・左肝動脈吻合、門脈・上腸間膜静脈吻合を施行しています。尚、上腸間膜動脈の切除再建は生存期間の延長に寄与しないので施行していません。

膵癌の拡大手術

高度進行癌に対する膵切除・肝切除術

肝・胆・膵外科部長 武田 裕

●略歴平成2年平成7年平成10年平成11年平成16年平成20年平成22年平成23年●資格平成10年平成20年

平成23年平成24年

大阪大学医学部 卒業米国ウイスコンシン大学移植外科 客員研究員米国カリフォルニア大学移植外科 研究員国立大阪病院(現国立病院機構大阪医療センター)外科大阪大学 助手 外科学第二大阪大学 大阪大学大学院医学系研究科 講師関西労災病院 外科 副部長   同   肝胆膵外科 部長

医学博士(大阪大学)日本外科学会 指導医日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本消化器外科学会 指導医日本移植学会 移植認定医日本内視鏡外科学会 技術認定医日本胆道学会 認定指導医

図1. 門脈合併切除再建

図2. 門脈グラフト間置再建

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 膵癌は、日本の癌による死亡数では男性の第5位、女性の第4位を占めており、最近ではFOLFIRINOXなど化学療法の選択肢も増加してきているものの、難治性の癌の代表です。特に通常型膵癌(浸潤性膵管癌)では、外科的切除、化学療法、放射線治療を合わせた集学的治療が必須です。一方外科的切除がされた場合にのみ根治の可能性が有り、外科的切除の意味合いは大きいと言えます。当科では、切除可能膵癌に対して、術前化学放射線療法、外科的切除、術後補助化学療法を併用した集学的治療を施行していますが、今回は積極的外科的切除を紹介させて頂きます。 通常型膵癌では遠隔転移の無い症例が外科的切除の対象になります。膵癌取扱い規約 (第6版補訂版)のStageIVaは、血管浸潤を伴った膵癌ですが、切除可能(resectableとborderline resectable)、切除不能(unresectable)が含まれています。門脈浸潤は再建可能で有れば切除可能、上腸間膜動脈浸潤は半周以下で有れば切除可能( b o r d e r l i n e resectable)、半周以上で有れば切除不能です。また腹腔動脈、総肝動脈浸潤は、腹腔動脈合併切除膵体尾部切除(DP-CAR)が可能で有れば切除可能です。 門脈合併切除は、膵頭十二指腸切除の場合は切除長が5cm以下で有れば、直接端々吻合が可能です(図1)。門脈の縫合糸は余っている(Growth Factor)のがお分かり頂けると思いますが、静脈系の吻合は縫目がきっちり合っていれば、糸を結ばなくても出血しません。逆にきっちり結紮すると狭窄になるためこの様にGrowth Factorを設けて縫合します。また門脈合併切除の切除長が長い場合は血管グラフトを間置します(図2)。この症例は、重粒子線治療後に門脈完全閉塞を来していましたので、上腸間膜静脈から

 肝癌には原発性肝癌、転移性肝癌が有りますが、進行肝細胞癌では門脈内腫瘍栓、下大静脈腫瘍栓をきたします。科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドラインでは、脈管侵襲を有する肝障害度Aの症例では肝切除・化学療法・塞栓療法が選択される場合があるとなっています。一方日本肝臓学会の肝癌診療マニュアルでは、コンセンサスに基づく肝癌治療アルゴリズムとしてソラフェニブによる治療が推奨されています。しかしながら外科的立場からは、肝細胞癌の下大静脈腫瘍栓は、血管壁への浸潤傾向が少ないため、多くの場合に腫瘍栓摘出が可能です。

横隔膜上の下大静脈まで腫瘍栓が伸びている場合でも、心嚢を切開すると横隔膜上の下大静脈、右心房の遮断が容易になります(図4)。この症例では、肝左葉原発の肝細胞癌が左中肝静脈を経由して右心房まで伸びており、肝拡大左葉切除、胆嚢摘出術、門脈内腫瘍栓摘出、下大静脈・右心房内腫瘍栓摘出を施行しています。術後にこの症例では動注化学療法を施行致しましたが、他の症例ではソラフェニブ投与も施行しています。 胆管系の原発性肝癌では下大静脈浸潤をきたす場合があります。進行胆管細胞癌は切除不能な場合が多いですが、細胆管細胞癌は下大静脈浸潤をきたしていても、下大静脈を合併切除することで切除可能となる場合が有ります(図5)。この症例では、肝右葉尾状葉切除、右副腎合併切除、下大静脈合併切除、下大静脈端々吻合再建を施行しています。さらに化学療法、経動脈的化学塞栓療法を施行しました。

 癌治療におきまして、拡大手術のみで治療が完結することは有りませんが、集学的治療に外科的切除を加える事で、根治の可能性が出てくると考えられます。今後も化学療法、放射線治療に加えて積極的に外科治療を進めて行きたいと思っております。 また低侵襲性で整容性に優れた腹腔鏡下手術も、引き続き安全性を担保して進めて参ります。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

左大腿静脈にバイパス回路を留置した上で、膵頭十二指腸切除を施行し、右内頚静脈グラフトを間置して門脈再建をしています。 動脈合併切除は、腹腔動脈合併切除膵体尾部切除(DP-CAR)を施行しています(図3)。この症例では、膵体尾部切除に左腎摘を追加し、さらに腹腔動脈、総肝動脈を切除し、胃十二指腸動脈・左肝動脈吻合、門脈・上腸間膜静脈吻合を施行しています。尚、上腸間膜動脈の切除再建は生存期間の延長に寄与しないので施行していません。

肝 癌

おわりに

図3. 腹腔動脈合併切除膵体尾部切除

図4. 下大静脈・右心房内腫瘍栓摘出

図5. 下大静脈合併切除・端々吻合再建

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地域医療室

地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院

イメージキャラクター

かんろっこ

TEL 06-6416-1785(直通)  06-6416-1221(内線7080)FAX 06-6416-8016(直通)

受付時間 月曜日~金曜日 8時15分から19時 (土・日・祝日は業務しておりません)

連携通信第18号 平成27年2月

〒660-8511 尼崎市稲葉荘3丁目1番69号

発行人:林 紀夫  編集人:関根 久芳U R L  http://www.kanrou.net/

第62回 日本職業・災害医学会学術大会開催報告

 平成26年11月16日から17日に神戸国際会議場で第62回日本職業・災害医学会学術大会が林紀夫病院長を会長に開催されました。日本職業・災害医学会は、産業医学および災害医学分野において広く研究、教育活動を行い、医学の発展と勤労者の福祉に寄与している学会です。高齢化や女性の社会進出の推進により勤労者医療は様変わりし、就労支援や両立支援の重要性がますます認識されてくるとともに、日本では今後も大規模災害の発生が予測されていることから、本大会では「勤労者医療・災害医療の新たな展開」をテーマに設定致しました。2日間で特別講演2題、教育講演5題と、勤労者の生活習慣病、冠動脈疾患、腰痛、メンタルヘルス、脳神経外科治療、消化器疾患などの

問題点と対策、がん患者の就労支援、リハビリと就労支援、災害医療、職業がん、アスベスト関連疾患、医療被曝、働く女性の健康管理など幅広い領域から16のシンポジウムがあり、一般演題として132題が発表されました。同時に全国労災病院栄養士協議会シンポジウム、労災疾病等医学研究・両立支援報告、海外勤務健康管理指導者認定研修会、11のランチョンセミナー、1つのイブニングセミナーも並行して開催されました。 幸い天候にも恵まれ、全国から医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、栄養管理士、診療情報管理士、MSWなど多職種の1,000名を超す方々に御参加頂きました。いずれの会場でも充実した発表と活発な討論が行われ、今後の医療に役立つ最新情報が得られたと大変好評でした。

 当院からも多数の職員が参加するとともに発表も行い、当院の情報発信にも役立つものとなりました。この大会での成果をもとに、関西労災病院の今後の診療をさらに発展させていきたいと思います。

消化器内科部長 萩原 秀紀

会長挨拶

会場の様子

神戸国際会議場

シンポジウム

一般演題

開催概要

次期大会

: 平成26年11月16日(日)~17日(月): 神戸国際会議場: 関西労災病院 病院長 林 紀夫: 1,036名

「第63回日本職業・災害医学会学術大会」会長:昭和大学病院 病院長 有賀 徹 先生会場:東京都

会 期会 場会 長参加者数

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