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食育セミナー: おいしさの心理学~現代に望まれる日常食の復活~. 演者:広島修道大学人文学部 教授 今田純雄. 日時: 平成 18 年 8 月 26 日(土) 10:30 ~ 12:00 会場: ホテル仙台プラザ 主催: 宮城県栄養士会、日本栄養士会 後援: 健康日本21推進フォーラム 協賛:みそ健康づくり委員会. 自己紹介をかねて:著書(分担執筆含む). 「食べることの心理学:食べる,食べない,好き,嫌い」 2005 今田純雄編 有斐閣 - PowerPoint PPT Presentation
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食育セミナー:おいしさの心理学~現代に望まれる日常食の復活~
演者:広島修道大学人文学部 教授 今田純雄
日時:平成 18 年 8 月 26 日(土) 10:30 ~ 12:00会場:ホテル仙台プラザ主催:宮城県栄養士会、日本栄養士会後援:健康日本21推進フォーラム協賛:みそ健康づくり委員会
自己紹介をかねて:著書(分担執筆含む)
「食べることの心理学:食べる,食べない,好き,嫌い」 2005 今田純雄編 有斐閣
「文化行動の社会心理学」 (21世紀の社会心理学第 3 巻) 2005 金児暁嗣編 北大路書房 ( 文化と食行動の章を執筆)
「新・心理学の基礎知識」 2005 中島義明編 有斐閣 ( 学習・行動の章を編集担当)
「栄養教育論」 2004 香西みどりら編 東京化学同人 ( 食行動の社会心理学を執筆)
「食品と味」 ( 光琳選書 1) 2003 伏木亨編 光琳 ( 味の心理の章を執筆)
「フードデザイン 21」 2002 荒井綜一ら編 サイエンスフォーラム社 ( 心理学による消費者の食行動予測の章を執筆)
「美味学」 (21世紀の調理学第 3 巻 )1997 増成隆士・川端昌子編 ( 食心理学の章を執筆)
「食行動の心理学」 1997 今田純雄編 培風館
「たべる:食行動の心理学」 1996 中島義明・今田純雄編 朝倉書店
など
適応行動としての食行動
食行動
生物行動
適応行動
社会行動
文化行動
( 生存)環境
社会
文化
不安定不安定
本日の内容
1) 現代社会における食の変貌食環境はいかに変化したか
2) 心理学からみた食の役割・機能You are what you eat.
You are how much you eat. etc.
3) 食育時代を生きるヒント“ 飽”食の時代から“法”食の時代へ
ここよりしばらく,
スライドを急ぎます。ご関心の強い方は,配付資料ならびに「食べることの心理学」(有斐閣, 2005)の序章・第 7 章をごらん下さい。
食環境の変化
出典: http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/yomimono/c_revol.html: 堀 啓造(香川大学経済学部)
所得倍増計画
国民所得倍増計画は、今後 10年以内に国民総生産 26兆円( 33 年度価格)に到達することを目標とする。日本の GNPは 1950 年から 1960 年は 9.1%の伸び, 1960 年から 1970 年までは 11.3%伸びている。 '61 年〜 '70 年の 10 年間に国民総生産を 13兆円から 26兆円に、一人当たりの国民所得も 20万8000円と倍増し、西ドイツに次ぐ水準に達するという構
想。 反論や批判もあったが、実質GNPの年平均成長率 10 ・9%( '59〜 '73 年)という高度成長 1960年〜 1970 年として見ると名目でも実質でも国民総生産( GNP)は2倍以上を到達している。 1961 年と 1970年を比較しても実質、名目とも2倍以上である。
撮影:豊後高田市(大分県)昭和の町,昭和ロマン蔵・駄菓子屋の夢博物館
“ 豊”食へ
出典: http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/yomimono/c_revol.html: 堀 啓造(香川大学経済学部)
1970 年前後
食糧供給という観点からみると,・“おいしいものを,安く,たっぷりと食べたい” という目標が,ほぼ達成された時代
食の飽和:“豊”食から“飽”食へ
「モーレツからビューティフルへ」(富士ゼロックス CM)
食環境の変化
画像出典: 60年代通信 http://www31.ocn.ne.jp/~goodold60net/
経済高度成長期の末期1969年 安田講堂事件1970 年 日本万国博覧会(大阪)1973年 電通広告 CMディレクター自殺「リッチでないのに,リッチな世界などわかりません。。。。」
外食産業の勃興
レトルトカレー発売 (1969) カップ麺発売( 1971) 電子レンジ大衆化へ向かう (1971 )
ミスタードーナッツ 1号店 (1970) 日本 KFC1号店 (1970) 吉野家チェーン化 (1970) 日本マクドナルド 1号店 (1971)
調理技術の革新
ファストフード
すかいらーく 1号店 (1970) ロイヤルホスト 1号店 (1971)
ファミリーレストラン
外食産業の発展
食環境の変化
0
500
1000
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2500
3000
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4000
4500
5000
売上高 単位:億円店舗数
1980 年 1990 年 2000 年
日本マクドナルドの店舗数,売上高の推移
食環境の変化
食卓の変化
調理技術の革新ファストフードファミリーレストラン家庭環境・食卓環境の変化
核家族化 (1971, 56.5%) →“食は三代”の崩壊
チャブ台からテーブルへ (1971, 逆転 )
食文化の伝承困難
食環境の変化
画像出典:サザエさん(長谷川町子,姉妹社)
調理技術の革新ファストフードファミリーレストラン
コンビニエンスストアー
持ち帰り弁当
セブンイレブン日本 1号店 (1974) ローソン 1号店 (1975) FamilyMart実験第 1号店 (1973)
ほっかほっか亭店舗開業 (1974→1976)
家庭環境・食卓環境の変化
コンビニと中食文化
中食産業の発展
食環境の変化
ローソン (LAWSON)
1980
1990
2000
コンビニエンスストアーの発展 -1-食環境の変化
1980 1990 2000
セブンーイレブン・ジャパン
店舗数の推移
売上高の推移
コンビニエンスストアーの発展 -2-食環境の変化
社団法人日本フランチャイズチェーン協会 web 資料より
売り上げ: 6兆 9624 億円
店舗数: 37,713 店
客数:月平均 10億人ほど
客単価: 570-80 円
「日配食品(弁当やパンなど)」の構成比: 35.7%
「加工食品」の構成比: 33.5% (菓子,ソフトドリンク,インスタント食品,レトルト食品など)
コンビニエンスストアー 13社の 2003 年度実績
69.2%!
食環境の変化
1970 年代:飽食社会の成立
調理技術の革新外食・中食のスタート流通・小売りの形態変化食卓環境の変化
1974: シャープ電子レンジ 100万台超1978:冷蔵庫普及率 90% 超1979: サランラップ販売 (株)
日本では 1964年に日米合弁の山陽スコットが「スコッティ」を、十條キンバリーが「クリネックス」を相次いで発売した。
使い捨て文化の誕生
飽食社会の枠組み成立
食環境の変化
1980 年代:飽食文化の爛熟期
食環境の変化拡大:食の混乱 食品の多種・多様化(少種大量→多種少量)
外食,中食の一般化
はやりすたりの早さイタメシ,タイメシ,もつ鍋,スープバー, MWカフェ,キムチ.食とはこれほどに腰の据わらない,おちつきのないものなのか..
食環境の変化
バブル経済,バブル社会へ
1980 年代:飽食文化の爛熟期
密かに進行。。。
“ 清潔”志向 MRSA登場 抗菌グッズ登場 朝シャン
若年女子の痩身化 ボディコン (1986) 食障害 (AN,BN)
個食
食物属性としての“カロリー”偏重
食物属性としての“毒”性排除
“清潔”への過剰な意識と行動
適正範囲: 17〜24 ?
20〜25 ?
現代社会は,若年女子の痩身化に向けて,目には見えない”圧力”をかける.
2004年秋頃
女子
男子
70s 90s80s
若年女子の痩身化
食環境の変化
1979年発売 → 80年代 大流行 → 現在,一般的。
1989年発売。 90年代 に大流行。現在,一般的。
個食の背景:
・ 1979年 7月 1日、ウォークマン 1号機 PS-L2発売(ソニー)。 → 1980年代に大流行。音楽の個人化は,現在に続く。 → 共有空間の中の異空間。
・ 1989年 4月 1日,ゲームボーイ (GAMEBOY) 発売(任天堂)。 → 1990年代に大流行。ゲームの個人化は,現在に続く。
・ 1990年代後半より,携帯電話が普及。 → 2000年代から現在にかけて一般化。 → コミュニケーション形態の変化。 → 私的空間が公的空間に進入。 → 話し言葉の延長としての文字通信(メールの普及)。
:指示語の氾濫(コレ,ソノ,アノ。。。):第三者の視線の欠如。
・現在:インターネット利用の一般化,携帯電話の必需品化 → メール交信の常態化 → 公的場面での会話の必要性低下(コンビニ言葉の氾濫) → 私的空間の延長としての公的空間
・独立した自律的存在としての“個(人の )”食ではなく,単なる“私”食では?・相互依存的,相互協調的な日本人にとって,“私”はやっかいなもの
→ 結果として,皆と同じものを食べる方向へ → 広い選択肢のなかでの狭い選択結果(定番メニュー)
個食は“私”食?
・音楽もゲームも,集団で楽しむものであった,はず。。。。・公的空間の衰退(機能の低下)
無数の私的空間から構成されるものが公的空間ではない,はず。。。・社会規範・文化規範:公空間の構造と機能を規定する
規範(社会ルール・道徳・倫理)の脆弱化・携帯電話(特にメール),インターネットが拍車をかける
私空間の”投げ売り”状態 ,PC画面 (display)の怖さ
1980 年代:飽食文化の爛熟期
密かに進行。。。 “ 清潔”志向
MRSA登場 抗菌グッズ登場 朝シャン
若年女子の痩身化 ボディコン (1986) 食障害 (AN,BN)
個食
食物属性としての“カロリー”偏重
食物属性としての“毒”性排除
“清潔”への過剰な意識と行動
食の“無機質”化
食物 =“感覚属性” +カロリー ?
食の社会規範・文化規範の喪失公空間の衰退無数の私空間の蔓延
食の社会規範・文化規範
・食事の時間は決まっていますか?
・食卓上の食器・調味料等は決まった場所におかれていますか?
・全員が席につくまで食べるのを待ちますか?
・食事中はテレビ・ラジオは消していますか?
・全員が食べ終わるまでに席を立つことがありませんか?
・「いただきます」「ごちそうさま」は言っていますか?
・ご飯は左,みそ汁は右ですか?
・足をくんで食べていませんか?
・口のなかに食べ物が入ったままでしゃべっていませんか?
・箸は縦に置きますか,横に置きますか?
・渡し箸,嘗め箸,迷い箸などはしていませんか?
etc.
1980 年代:“呆”食の進行
食環境の変化
大事なものが失われていくことに気づかなかった“阿呆”な時代
そして 1990年代へ
1990 年代 : 食の危機
事故と事件の連続
1993 年 冷害、 259 万トン米の緊急輸入 1995年 阪神大震災 (地下鉄サリン事件) 1996 年 O-157汚染カイワレ事件、狂牛病(英) 1997 年 豚コレラ(蘭) (神戸小学生殺傷事件
) 1998年 和歌山青酸入りカレー事件 新潟「アジ化ナトリウム」混入事件 インフルエンザ A 感染鶏(香港) ダイオキシン汚染鶏肉鶏卵(ベルギー) 「環境ホルモン」「キレる」 1999年 埼玉ダイオキシン汚染野菜騒動 「買ってはいけない」
食環境の変化
2000 年 雪印乳業食中毒事件 ( 食品の回収、お詫び相次ぐ ) 2001 年 BSE感染牛発生 2002 年 牛肉偽装事件(雪印食品,日本ハム )
マクドナルドチキンナゲット販売停止( ニューカッスル病?) 未認可食品添加物使用事件(ダスキン,協和香料) 輸入冷凍ネギ,冷凍ホウレン草の残留農薬問題
2003 年 未認可食品添加物使用食品回収(マクドナルド) 2004年 鶏インフルエンザ
ミスタードーナッツ,肉まん:酸化防止剤、 TBHQ (t - ブチルハイドロキノン)
協和香料:香料(アセトアルデヒド・プロピオンアルデヒド・ひまし油)
ネギ,ホウレン草:農薬(フエンバレレート,クロルピリホス)
MacD. ホットアップルパイ:着色料 (アゾルビン )
食環境の変化
“呆”食へから“崩”食へ
1990 年代:食不安から“崩”食へ
・事件・事故 → 食不安の増大 (food anxiety, food addiction)
・若年女子の痩身化→低年齢化
・痩身願望と自尊感情低下
・食の遊戯化・食の暴力化(“遊”食,“暴”食 )
・“清潔”志向とその反動(不潔志向?)
1992- 「第1回大食い選手権」
1993- 「料理の鉄人」スタート
1991 清潔シンドローム1993 コギャル1996 ジベタリアン・援助交際1998 キレる
食環境の変化
食環境の変化
さて,飽食時代を振り返ってみると
1800
1900
2000
2100
2200
2300
19501955196019651970197519801985199019952000
0
10
20
30
40
50
60
70
îMó (Kcal)
éâéø(g)
食の外部化率
国民栄養調査(厚生省,厚生労働省)ならびに
食の外部化率:外食産業総合調査研究センター web pageよりhttp://www.gaishokusoken.jp/3622003tokeishiryoshu/3629005.pdf
(Kcal) ( g)
(%)
消費熱量の減少と油脂分摂取量の増加+食の外部化の進行
食環境の変化
戻る
砂糖の年間一人あたりの消費量
1970 年
食環境の変化
1970 年
食環境の変化
“ 豊”食→ “飽”食→ “呆”食→ “崩”食→
飽食の時代: 1970年以降〜 200x年
1960s 1970s 1980s 1990s
食環境の変化
“ 法”食2000s
食育の時代?
食環境の変化
( 豊 , 飽 , 呆 , 崩 , 法 ) 食の半世紀。。。
食環境・食行動の激変・食卓の機能喪失
→ 食卓は,“私”空間の集合体?・食糧自給率の低迷
→ 荒廃する農地,農業従事者の高齢化 → 食のグローバル化
・米摂取量の半減,肉類(油脂類)摂取の倍増, 3 倍増・栄養“素” 主義
→ 機能性食品,特定保健食品(微量化学物質) + 無数の食品添加物・“自然” “有機”への全面的信頼
→食不安の反動?(じゃがいも事故,ほうれん草)・食の暴力化(暴食),食の玩具化(玩食),食の遊戯化(遊食)
・喪失感:“無機質”化した食への懐疑 昭和 30年代への郷愁。レトロブーム,テーマパーク,温泉ブームなど
・食の遊戯化,食の玩具化,食の暴力化
・経済面からみますと,食のグローバル化が進行した時期といえます。グローバルという言葉は英語で地球を意味する globeからきています。地上のどこでも同じものを同じように食べるという意味になります。日本では当初,国際化といっていましたが,本来の意味とは少し異なるということで,現在ではカタカナ表記が一般的です。
・グローバル企業は,欧米企業がほとんどですので,それ故に,グローバル化とはアメリカ資本主義化だ,と非難されることもよくあります。
・食については,外食御三家が有名です。マック,ミスド, KFC.
・またユニリーバ,ネスレ, P&Gといった多国籍企業グループも活躍しています。
・食環境はおおきく変化してきました。それにともなって食行動も変化してきたといえます。
・いつ,どこで,何を,誰と,どのように,どの程度食べるかという食行動のパラミーターも変化しつづけました。
・今や,いつでも,どこでも,好きなものを,一人で(あるいは誰かと),好きなように,好きなだけ食べることが可能な時代にはいったといえます。
・はたしてこのような食行動の変化はどのような問題を生み出すのでしょうか。次からは,本日第二のテーマである「食の心理学」から,この問題についてみていきたいと思います。
心理学からみた食の役割:発達
食の心理学
依存的存在:快と不快の学習何が快をもたらせ,何が不快を遠ざけてくれるのか,の学習養育者(母親):安全,安らぎ → 快乳(母親):飢えの苦痛からの逃避,回避 → 快
離乳 ( 雑食性 )自律的存在:個の意識化,自我の形成摂食リズム ( 3回 /1日 +α)の獲得・維持食物好悪(“味の個人方程式”)の獲得自信(自尊感情,自己効力感)の獲得 → 独自性
社会的存在:集団・社会・文化の構成員であることの意識化食の社会性(生産 採集、流通、調理、破棄 排便)・ ・ の学習共行為としての食(食卓),食規範(マナー)“ おいしさの個人方程式”の獲得
“ 味の個人方程式”
物質視覚
触覚
聴覚
味覚
嗅覚風味
テクスチュアー
おいしい!
身体生理状態
味
食経験:学習
食の心理学
ニオイに生得的好悪はない。だから,人の好みは千差万別。
“ おいしさの個人方程式”
物質視覚
触覚
聴覚
味覚
嗅覚風味
テクスチュアー
味 身体生理状態
食経験:条件づけ
評価(肯定的評価)
おなかがすいているからお
いしい!
果物は身体にいいんだぞ
食べる場所,時刻,食べ方をわけまえてこそ,おいしく食べられる!
社会規範,文化規範,“常識”食の心理学
リンゴによって “味”がちがうぞ
みんなで一緒に食べるとおいしい!
ぼくはこの “味”が好きだ
現代人の“おいしさ”体験
物質視覚
触覚
聴覚
味覚
嗅覚風味
テクスチュアー
味 身体生理状態
食経験:条件づけ
評価(肯定的評価)
社会規範,文化規範,“常識”食の心理学
“ 口”
“ 身体”
“ 頭”
感情
現代人の“おいしさ”体験
物質視覚
触覚
聴覚
味覚
嗅覚風味
テクスチュアー
味 身体生理状態
食経験:条件づけ
評価(肯定的評価)
ぼくは食べ慣れた,この化学調味料と,この合成香料の組み合わせが好きだ!
あまりお腹がすかないなぁ。。。
○○(微量化学物質)は身体に
いいんだぞ
何が“正しい”食べ方なのか?よく分からないから適当でいいや
社会規範,文化規範,“常識”食の心理学
TVで, ××が○○はいいとほめていたぞ
おいしさ方程式の数値が不十分 → おいしく食べている?
同じ釜の飯を食べる!?
物質視覚
触覚
聴覚
味覚
嗅覚風味
テクスチュアー
味
食の心理学
“ 口”
“ 身体”
“ 頭”
感情
“ 素”の “頭”道徳感情(moral emotion)
自己効力感(self efficacy)
自尊感情(self esteem)
フードファディズム
死生観生命感
集団(社会・文化)への帰属意識
食の心理学
You are what you eat.
化学調味料+合成香料+食品添加物+塩+砂糖+油脂
You are ….
?
家族の一員だ, XX県人だ,日本人だ(集団・社会・文化への帰属意識)
動物だ,殺戮者だ(動植物を“殺して”,食物としている)
生命体だ ( 生きているという実感)
自己同一視
飽食の時代
食物のもつ心理的機能の多くが失われていった.....
飽食時代の僕って,何者なんだろう...
依存的存在 ?自律的存在 ?社会的存在 ?
自己同一視,困難?
食の心理学
食育基本法を読む
“ 法”食の時代
・「『食』」とは?・「食育」は「知育、徳育及び体育の基礎」 !?
・「こどもたち」のためのもの?・「健全」とは?
子どもたちが健全な心と身体を培い健全な食生活を実践することができる人間生涯にわたって健全な心と身体を培い健全な食生活を実現する心身の健康を増進する健全な食生活を実践する(以上,附則)父母その他の保護者及び子どもの食に対する関心及び理解を深め、健全な食習慣の確立に資する( 19条)子どもの健全な食生活の実現及び健全な心身の成長( 20条 )
「食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付ける」(附則)
・“食”物,“食”行動(行為),“食”関連行動
・ 物質(食物・料理)と行動(行為)はまったく異質・異次元のもの
親世代が飽食世代なのに,どうするのだろう?
栄養摂取上の問題
健康障害肥満
メタボリックシンドローム幼児肥満
やせ痩身願望・ダイエット行動の習慣化食障害(拒食症: AN, 過食症: BN)
栄養障害栄養失調臨床栄養障害
その他アレルギー毒性反応
問題行動
社会的逸脱,“知育・体育・徳育”上の問題行動 ( 諸問題 )
“ 健全”とは:食の問題行動と心身の健康
?
・すぐにキレル・集中力がない・がまんができない・モラルが欠如・体力がない などなど
?
?
食の問題行動
?
“ 法”食の時代
偏食傾向・好き嫌いがつよい
・外食傾向がつよい
・選択幅がせまい
・栄養摂取の偏り懸念
心理的特徴・自己統制力が弱い・依存性が強い・想像力が欠如・神経質・自尊感情が低い
食の問題行動の発生機序に関する研究今田・長谷川・坂井 (2007) :文部科学省科学研究費助成研究
偏食 ( 者 ) の心理的特徴
“ 法” 食の時代
健康障害肥満,痩せ,栄養障害など
問題行動
社会的逸脱,“知育・体育・徳育”上の問題行動
食の問題行動と健康
?
?
栄養摂取上の問題 食の問題行動
偏食,異食 (pica),偏執的摂食 (food craving),外発的摂食,情動的摂食,きまぐれ摂食 (picky eating),夜間摂食シンドローム,欠食,抑制的摂食(ダイエット),食への無関心・無感動・無気力,食の社会文化規範逸脱(調理・風味づけ・盛りつけ・摂食手段・組み合わせ・摂食順序・時刻,場所など)
食不安,食認知の偏り・ヒューリスティクス(フードファディズム)
“ 法”食の時代
食教育の現場における混乱(現場は大変!)
栄養“素”教育の限界 栄養“素”教育で,食行動は変わらない 栄養“素”教育は,しつけ,モラルをカバーしていない 行動変容のしくみ (mechanism),技法は栄養学の範囲外
食環境の急激な変化・拡大 “ 飽”食から“法”食へ (1970年代以降の変化) 消費者行動の変化
食情報の洪水,カオス グルメ・健康番組の氾濫,食の暴力化,食の遊戯化 マスコミ・インターネット情報の玉石混合
“ 飽”食世代との世代間ギャップ “ 飽”食文化の世代間伝達の時期 マクド世代,ミスド世代のお母さんが相手
“ 法”食の時代
食育についてのヒント
むずかしく考えない “ おいしく”“楽しく”,そして“おもしろく”,食べる
教育はすべてではない あくまで“学習の機会の提供”にすぎない
栄養“素”教育ではなく,文化を念頭におきたい 実際的,具体的なところから始める
“ 法”食の時代
食育基本法 ----------------
(伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献)
第七条 食育は、我が国の伝統のある優れた食文化、地域の特性を生かした食生活、環境と調和のとれた食料の生産とその消費等に配意し、我が国の食料の需要及び供給の状況についての国民の理解を深めるとともに、食料の生産者と消費者との交流等を図ることにより、農山漁村の活性化と我が国の食料自給率の向上に資するよう、推進されなければならない。
(食文化の継承のための活動への支援等) 第二十四条 国及び地方公共団体は、伝統的な行事や作法と結びついた食
文化、地域の特色ある食文化等我が国の伝統のある優れた食文化の継承を推進するため、これらに関する啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。
「我が国の伝統のある優れた食文化」と書かれてもピンときませんが,「地域の特性を生かした食生活」となると具体性を帯びてきます。
食育についてのヒント:日常の食卓
食育のターゲットは,われわれ自身! つくるおもしろさの復活
→ 3 分待つ間にどれだけのことができるだろうか → 調理があって,ヒトは人になる
→ つくる人は食べる人,食べる人はつくる人 食べる楽しさの復活
→ 食卓(共食,分配)があって,人は人間になる→ 毎日がハレの日の食卓であってはいけない → ヶの復活→ 生活のリズムの基礎としての食→ 皆が気持ちよく食べれる気配り → 食の規範
飽食環境から距離をおく→ 複雑な味 ( 化学調味料・人工香料)から単純な味へ→ 濃い味(油脂,塩,砂糖)から淡い味へ→ 空腹感をしっかりと感じる
“ 法”食の時代
調理のおもしろさを知り,楽しく食べることが,本当のおいしさへつながるのではないだろうか。
食育についてのヒント:味噌
味噌のおいしさ,楽しさ,おもしろさ 食(文化)の基本:米+味噌汁+ α(主菜+副菜) 味噌文化の地域性,独自性 多様かつ複雑な香気成分( みそ汁つくりの単純さと奥深さ ) 優れた保存性 レシピの豊富さ,今後の可能性 なべを囲む(共行為としての食)楽しさ ひとつ鍋を分け合う楽しさ(社会的分配,集団凝集性) ルーツのたどりやすさ , わかりやすさ
味噌のかなしさ 縁の下の力持ち,引き立て役であり,アピール度に欠ける 融和性,協調性に富み,八方美人的 安価であるべきという社会圧
“ 法”食の時代
「我が国の伝統のある優れた食文化」と書かれてもピンときませんが,「豆腐,味噌,納豆,醤油」となると具体性を帯びてきます。
口,頭,身体を満足させ,社会,文化への帰属意識も強めてくれます。
しかし。。。
“ 法”食の時代
みそは,学校給食ではほとんど用いられていない.
給食は,やはり栄養”素”!文化が見えない.食の”通奏低音”が聞こえてこない
給食でかろうじて子供の栄養を満たしているのが現状だ!
食のしつけまで学校に依存するな!
給食関係者の声
あなたは,突然の地震に見舞われました.避難所での集団生活を余儀なくされているとします.余震が続き,眠れない夜も二夜続きました.時期は丁度この時期, 10月の下旬です.寒く,食糧の供給も不十分です.その時,あなたはどのようなものを食べたいと思うでしょうか.どのようなものを食べると少しは元気がでると思いますか?その内容と理由を書いてください.
6433
新潟中越地震から 2 夜明けた翌日の授業: 82名の学生に聞きました.
対象者: 82名の学生 (18-19才が主,女子 6 割強)
処理方法:自由記述の内容から,一人最大 2 例までをとりあげる.多数の品目を挙げているケースは,初出あるいは強調されているもの 2 例のみをとりあげる.
結果:1.汁物系 豚汁(味噌味) 21
味噌汁(具沢山など) 15鍋(味噌に言及せず) 6シチュー・スープ 8汁もの 1
2.ご飯系 おむすび 14ご飯(白いご飯・あたたかいご飯) 13米・ご飯もの・お茶漬け・お餅 4おじや・雑炊 3リゾット・寿司 2丼(カレー・親子・カルビ) 3カレー 2
3.麺系 うどん 3ラーメン 3
4.その他 肉・すき焼き・焼肉・ステーキ 3ぜんざい・チョコレート・あんぱん 4マヨネーズ・納豆・湯豆腐 4果物 ( バナナ ) 1
43.9%
32.9%
2005,2,27(東京新聞サンデー版)
飽食(崩食)の時代が終わって...
ハレとケ(とケガレ)の生活リズムの崩壊
飽食とはハレがエンエンと続いた時代であった
今では,ケが忘れられようとしている
ケを蘇らせること,ありふれた日常の食をとりもどすことが大事ではないだろうか
日本人の食の”通奏低音”→コメ+ α(みそ?)
食の心理学研究では,しばしば,
You are what you eat.ということが言われます。
食べることと人,人間はふかくつながっています。
食育が,全人的なものとなることを願っています。
以上で,終わります.
ケ(日常)の復活を...