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平成22年度青森県放射線技師会学術大会 抄 録 集 日時 : 平成22年5月23(日) 11:00~ 場所 : ハートピアローフク 青森県労働福祉会館4階 「大会議室」 青森県青森市本町三丁目3番11号 TEL 017-775-3751 主催 : 社団法人 青森県放射線技師会

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平成22年度青森県放射線技師会学術大会

抄 録 集

日時 : 平成22年5月23(日)

11:00~

場所 : ハートピアローフク 青森県労働福祉会館4階 「大会議室」

青森県青森市本町三丁目3番11号

TEL 017-775-3751

主催 : 社団法人 青森県放射線技師会

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プ ロ グ ラ ム

【学術発表1】11:00~10:30

座長: (国) 弘前大学医学部附属病院 小 原 秀 樹

1.画像ビュアーソフトの作成(第1報 基本アルゴリズムに関して)

青森市民病院 川 村 匡 敦

2.画像ビュアーソフトの作成(第2報 DR圧縮処理アルゴリズムに関して)

五所川原市立西北中央病院 荒 井 達 哉

3.画像ビュアーソフトの作成(第3報 臨床評価)

(国)弘前大学医学部附属病院 川 井 美 幸

【学術発表 2】 10:30~12:00

座長: 三八地域県民局 地域健康福祉部 保健総室 工 藤 嘉 彦

4.冠動脈バイパス術後評価における

バリアブルピッチヘリカルスキャンシステム(vHP)の有用性

青森市民病院 小笠原 桜子

5.一般撮影装置におけるオートポジショニング機構の有用性

青森県立中央病院 山 内 良 一

6.当院における頭部MRA撮影条件の再検討

青森市民病院 古 山 智 明

7.MRIにおける患者固定補助具の検討

青森県立中央病院 斉 藤 哲 宏

【ランチョンセミナー】12:10~13:00

座長: 青森市民病院 片 岡 郁 美

乳がん啓発ショートムービー紹介

~大切なあなた、そして家族・友人の笑顔のために~

『不器用なおにぎり』

『生きる、笑顔のために』

エイボンピンクリボンサポート2009事業

NPO法人あおもり男女共同参画を進める会

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【特別講演】13:00~14:00

座長: 会 長 稲 葉 孝 典

『 医療安全のための良いコミュニケーション』

(株)シープラン 代表取締役 佐藤 美智子 先生

【学術発表 3】 14:00~14:30

座長: 青森県立中央病院 西 村 秀 行

8.数値ファントムを用いた Chang 法による SPECT 減弱補正の精度に関する検討

東芝メディカルシステムズ(株)核医学・PET部 福 留 宏 征

9.「整形外科フイルムレス化のために

デジタルプランニングツール Ortho Planner Pro~」

(株)東陽テクニカ 鈴 木 悠 太

10.「New Imaging Software : "syngo.via" のご紹介」

シーメンス旭メディテック(株)マーケティング本部 IKM 事業部 谷 口 貴 久

【シンポジウム】14:30~16:00

座長: (国) 弘前大学医学部附属病院 長 内 恒 美

『PDI:医用画像の合意事項(CD-R)について』

基調講演 『患者に渡す医用画像についての注意点 』

リマ-ジュジャパン株式会社 杉 原 弘 恭 先生

シンポジスト: 画像複写の現状について

1. 十和田市立病院 市 川 敏 夫

2. むつ総合病院 川 村 一 次

3. 青森市民病院 原 田 正

4. 青森県立中央病院 佐 藤 兼 也

5. (国)弘前大学医学部附属病院 長 内 恒 美

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画像ビューアソフトの作成(第1報 基本アルゴリズムに関して)

社団法人 青森県放射線技師会 学術企画委員会 画像・DSA 部会

○川村 匡敦 1) 佐々木 寿和 2) 1):青森市民病院

2):藤本クリニック

Key words: Turbo Delphi

緒言 画像ビューアをフリーの開発言語TurboDelphi を使用し

て作成し、画像データの取り込み、表示、フィルタ、DR

圧縮、保存のプロセス、アルゴリズムに関して、また DR

圧縮処理による臨床画像を検討、評価した。

第1 報では、基本アルゴリズムに関して報告する。

1.方法 1-1.使用機器 開発支援ツール Turbo Delphi (free)

1-2.作成方法・ 画像ビューアの作成のフローチャートを Fig.1 に示す。

Fig.1 第 1 報では①~⑥について説明する。 1-2-1.データ量の読み込みと確認 今回はヘッダー情報を省いたイメージデータのみを画

像表示するビューアソフトを作成する。そこで、プロパテ

ィや違う画像ビューアなどによりイメージデータのマトリク

スの情報を得ておく必要がある。 1-2-2.ヘッダーと画像データの分離 イメージデータの容量は縦のマトリクス×横のマトリクス

×2byte により計算される。 総データ量からイメージデータの容量を減算しヘッダー

だけの容量を推定。ヘッダーとイメージデータの分離が

可能になる。

1-2-3.エンディアネスと SWAP 機能 データの表示方法としてエンディアネスというものがある。

データは 2byte 毎に上位 byte と下位 byte に分かれてい

るのだが、表示のまま上位 byte から読む場合をビックエ

ンディアン、下位byte から読む場合をリトルエンディアン

と称している。また、上位と下位byteを入れ替える機能を

SWAP という (Fig.2)。

Fig.2 1-2-4.Color Invert(白黒反転)機能 現在表示されているグレイ値を 255 から減算することで

白黒反転が可能になる(Fig.3)。

Fig.3 1-2-5.ヘッダーの付け替えによる SAVE フィルタやカラーインバートなどにより変更した画像を保

存する場合は、1-2-1 でヘッダーの場所が推定している

ため、保存したいデータにヘッダーをくっつけることで

保存が可能になる。

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1-2-6.Filter 機能 今回は 2 次微分フィルタの Laplacian Filter を作成する。

デジタルでの 2 次微分は差分の差分で表される。 カーネルは Fig.4 の通りになる。 カーネルを 1 ピクセルずつズライドさせ、全ピクセルに

対して計算させる(Fig.5)。 フィルタ処理後は輪郭強調された画像が作成される

(Fig.6)。

Fig.4

Fig.5

Fig.6

2.結果 1-2 で作成された画像ビューアを Fig.7 に示す。 また、Fig.7にも示されているがWW、WLをスライドバー

により変化させることも可能である。

Fig.7 3.考察 画像表示は Header の読み込みがないため DICOM、

nonDICOM どちらでも可能であるが、ごくまれにフッタがあ

る DICOM 画像には対応できない。 今回はマトリクスサイズから Header のデータ量を推定して

いるため、仕方のないことであると思われる。 4.結語 画像ビューアをフリーの開発言語TurboDelphi を使用し

て作成できた。操作性はストレスを感じさせることなく、動

作も安定している。

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画像ビューアソフトの作成

(第 2 報 DR 圧縮処理アルゴリズムに関して) ○ 荒井 達哉 1) 岡元 智也 1) 安田 航平 1) 工藤 秀門 2) 船水 憲一 1)

1) 五所川原市立西北中央病院、2)近江整形外科 Key words: free Software,DRC, DICOM Viewer

緒言 画像ビューアをフリーの開発言語TurboDelphi を使

用して作成し、画像データの取り込み、表示、フィル

タ、DR 圧縮、保存のプロセス、アルゴリズムに関し

て検討した。第2報では、DR圧縮処理アルゴリズム

に関して報告する。 1.方法・結果 1-1 使用機器 開発支援ツールTurbo delphi (free)

FCR 5501plus (FUJI) FCR XG1 (FUJI) REGIUS 170 (KONICA MINOLTA)

1-2 DR(Dynamic Range)圧縮の原理

fig.1 原画像(左,中)とDR圧縮後の画像(右)

(1) DR圧縮の原理について 画像の原画像に対して平滑化処理をし、必要な部分

に、必要な量を重み付けして原画像に加算や減算をす

ることで、著しく信号値が高い、あるいは低い領域を

補助する画像処理のこと。 一番右の画像がDR圧縮した画像だが、左の画像は

足首が潰れ、真ん中の画像は足先が見えなくなってい

る。 右のDR圧縮した画像はそのどちらも見えるように

補助された画像が得られている。

DR圧縮処理された画像が得られるまでの過程 ①まず、fig.2の左のような原画像と、fig.2の右の図の

ような原画像に平滑化処理を施したボケ画像を作る。

原画像 ボケ画像(平滑化画像) fig.2 原画像とそれに対するボケ画像

②目的とした信号値以上、あるいは以下に対して、同

一の座標にあるボケ画像の信号値に強調度をかけた

ものを原画像から差し引く。すると、下のグラフのよ

うに、ボケの分だけ原画像から信号値が差し引かれ、

赤で囲まれた範囲の信号値が抑えられた画像が得ら

れる。 原画像-(ボケ画像×強調係数)=DR圧縮処理画像

fig.3 DR圧縮処理画像

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Gray value

Distance(pixels) fig.4 原画像(黒)とDR圧縮処理画像(ピンク)の

比較 以上がDR圧縮の基本的な原理になる。 (2) DR圧縮のパラメータ ボケ像のマスクサイズ(mask,rank) 圧縮の対象とする構造物を決める 低周波数よりか、高周波数よりか マスクサイズを大きくするほどボケも大きくなる

強調係数(K) 圧縮の度合いを決める 強い圧縮か弱い圧縮か 圧縮開始点 どの信号値以上から、あるいは以下から圧縮を開

始するのかを決める (3) FUJI、KONICAのダイナミックレンジ圧縮 参考として、FUJIとKONICAのダイナミックレン

ジ圧縮を例に挙げて説明する。 ① FCRの場合 1) FUJIでは以下のような計算式が用いられている。 Sout=Sorg+DRE×DRT(Sus)

Sus=ΣSorg / (DRN)̂ 2 ここで、 Sout:DR圧縮処理画像 Sorg:オリジナル画像(raw data) Sus:ボケマスク画像 unsharp DRN:DR圧縮処理ランク(0~9) (unsharpのmask size)

(=ボケ像のマスクサイズ) DRT:DR圧縮処理タイプ(A~R) (=圧縮開始点) DRE:DR圧縮処理強調度(0.0~2.0) (=強調係数)

fig.5 FCR における圧縮処理タイプ

FUJI では圧縮開始点がタイプ別に決められているの

で、これ以外の typeの選択は不可能となっている。 ② KONICAの場合(Equalization処理)2) 一見複雑に見えるが、Konica の場合も式の意味は

FUJI 同様の式で、圧縮領域は、フジのように type 化

されていない。 S=Sorg+f(Sus) f(Sus)=β(A-Sus) A=DL+(DH-DL)×K/100 つまり、 S=Sorg+ β[ {DL+(DH-DL)×K/100 } -Sus] ここで、 β=βL(Sus≦A) (A-Sus≧0) βH(Sus>A) (A-Sus<0) S: Equalization処理画像

Sorg:オリジナル画像 Sus:ボケマスク画像 βL,βH:補正係数 (=強調度) A:定数 (=圧縮開始点)

K:基準%値 =KL(低信号側圧縮) KH(高信号側圧縮)

DL:低信号側基準信号値 DH:高信号側基準信号値

マスクパラメータ:95,64(unsharpのmask size) (=ボケ像のマスクサイズ)

-500

-250

0

250

500

0 256 512 768 1024

AtypeBtypeCtypeDtypeEtypeFtypeGtypeHtype

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0 100 200 300 400 500 600

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fig.6 イコライゼーション処理のボケ画像模式図 (縦軸:処理後のボケマスク像のピクセル値 横軸:ピクセル値) 上の図は、KONICAのイコライゼーション処理のボ

ケ画像を簡略化して図に表したもの。 最小ピクセル値が0、最大ピクセル値を4095として

いて、縦軸は処理後のボケマスク像のピクセル値を表し

ている。 KL、KHは圧縮開始点を表しており、Lが低信号側、

Hが高信号側。βは強調係数であり、この傾きが大き

いほど圧縮が強くなる。 今回の実験では、KONICA のほうが自分で任意に圧

縮開始点を設定できるため、DR 処理のパラメーター

はKONICAのほうで行った。

DR 圧縮、主に CR 画像で使われるが、今回のビュ

ーワは、他のモダリティにも使用できる仕様とした。 圧縮開始の範囲は、画像を構成している画素範囲で

決定することとし、最高ピクセル値と最低ピクセル値

の範囲を 100%として、必要な所だけで計算していく

こととした。

fig.7 CTのあるスライスでのヒストグラム 今回の実験で用いたDR圧縮のプログラムは、大きく

分けて (1) ボケ画像をつくる (2) DR圧縮処理

の二つに分けられる。 (1) ボケ画像の作成 ①変数宣言

MLsize:マスクのサイズ MASL:マスクの半径 PCL:マスクの面積 CalDL:マスク内の画素値の加算結果

②マスクサイズをテキストボックスからとりこむ カーネル内の積算変数を初期化 テキストボックスからマスクサイズを得る マスクの半径計算変数設定 マスクの面積計算変数設定

③処理用配列変数の初期化 ④最大値と最小値の検索

オリジナル画像の最初の画素値を初期値として、

次の画素値と比較し、大きければ、最大値、小さ

ければ最小値とし、全画素を比較する。結果をテ

キストボックスに表示する。 ⑤マスクサイズによるスムージング処理

設定されたマスクサイズでスムージング処理す

る。 処理開始座標は、縦横マスクサイズの半径分の位

置から開始する。 マスクサイズの領域を加算してマスクの面積で

割ったものを処理画素値とする ⑥処理データを表示用配列変数に移動

スムージング処理後、処理用配列変数に入力され

たデータを画像表示用変数に入力し、画面表示。

0 4095 KL

DL

DH kdl kdh

KH

kdl×βL

4095-(4095-kdh)×βH

Sus

f(Sus)

f(Sus)

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

-2500 -1500 -500 500 1500

画素値の範囲 16bit signed value -32767~32767

100%

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fig.8 ボケ画像作成プログラム

(2) DR圧縮処理 続いて、でてきたボケマスクの画像を使ってDR圧縮

を行っていく。 ①変数宣言 ②圧縮開始点、強調係数をテキストボックスからとり

こむ ③画素値の最大値と最小値の差から、低信号、高信号

部の圧縮開始画素値を求める ④オリジナル画像データを入力し、高信号部圧縮適応

画素値か低信号部圧縮適応画素値かオリジナル画素

値のままかを分別する。

fig.9 DR 圧縮処理プログラム

1-3 実験方法 実際にプログラムして作成した viewer に値を入れ

てDR圧縮された画像を作成する。

fig.10 viewerのパラメータ入力画面 上の図のようにそれぞれのパラメータを入力してい

く。

圧縮開始点

強調係数

ボケ像のマスクサイズ Original像の最高ピクセル値と 最低ピクセル値(自動取得)

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(1) 原画像の取り込み、表示

fig.11 原画像

原画像を取り込んで表示する。

(2) ボケ画像の作成

fig.12 ボケ画像

unsharpmask のボタンをクリックすると、先ほどの

原画像に対してのボケ画像が作成される。 その時Minの所には画素値の最小値が、maxの所に

は画素値の最大値がそれぞれ表示される。 (3) DR圧縮処理

fig.13 DR圧縮処理後画像

低信号と高信号部の範囲(圧縮開始点)、圧縮の強

調の度合いなどの必要なパラメータを入力して DRCを押すと、スライドのような圧縮された画像が作成さ

れる。

Original DRC fig.14 原画像とDR圧縮処理画像の比較

原画像と作成された DR 圧縮処理後の画像の比較し

てみると、 DR 圧縮した画像のほうは、脂肪組織などの低信号の

部分は持ち上げられ、骨などの高信号の部分は信号が

押さえられて骨の内部も見えるように表示されてい

るのが分かる。 2.考察

マスクサイズの違いにより発生するアーチファク

トについて

fig.15 CR 画像(マスクサイズの違いによる比較)

マスク 12 のほうに点状のアーチファクトが見られる。

マスク11 マスク12

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mask11 mask12 threshold

fig.16 CR 画像(アーチファクト出現範囲)

fig.17 DR圧縮パラメータ、画素値と threshold アーチファクトが出ているFig.16の画素値は、最小

ピクセル値が758、最大ピクセル値が2555である。 圧縮している範囲は、低信号の部分(lower)が、

画素値の最小から最大までを 100%で表した場合の

50%以下、つまり画素値が 1656 以下、高信号の部分

(upper)のほうが60%以上、つまり画素値1836以上

の画素値の範囲ということになる。 Fig.17のThresholdを見てみると、画素値1656から

1836の間、つまり何も圧縮されていない部分に fig.16で見られる赤い部分のアーチファクトが出ていると

いうことが分かる。

fig.18 CR 画像

fig.19 fig.18 の各 mask における黄線上の画素値

(縦軸:画素値 横軸:ピクセル)

ここで mask11、mask12、原画像のある線上における

画素値の分布を見てみると、アーチファクトがでてい

たmask12のグラフだけ画素値が全体的に低いというこ

とが分かる(fig.19)。

fig.20 マスク半径の計算

アーチファクトが発生する原因は、マスクサイズの

違いによるボケ画像の信号値の低下によるものと考

えられる。 ボケマスクを得るための平滑化処理では、マスクサ

イズから領域を求めているが、上の図の赤で囲まれた

範囲のように、処理対象となるマトリクスを中心に正

方形の範囲を想定しているため、マスクサイズは奇数

500

1000

1500

2000

2500

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

original

mask11

mask12

マスクの半径 =(マスクサイズ-1)div 2

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を想定している。ここで、半径は(マスクサイズ-1)div 2 であらわされるが 、

Mlsize=11では マスクの半径:=(11-1) div 2=5 マスクの面積:=11 * 11 =121 半径5ピクセル Mlsize=12では マスクの半径:=(12-1) div 2=5 マスクの面積:=12 * 12 =144 半径5ピクセル

div は、解を小数点以下で切り捨て整数として出力す

る関数であるため、マスク11も12も半径は5となる

が、マスク面積は、121と144で大きく異なってしま

う。ボケ画像は、マスクサイズの信号値を加算してマ

スクの面積で割ったものを処理画素値として作成し

ているので、平滑化処理の場合、マスクが偶数だと、

画像全体の出力が大きく低下することになる。

fig.21 奇数、偶数マスクのマスク面積の違いによる出力

の差 奇数マスクでは DRC 処理により持ち上げ、持ち下

げされていて、DRC 本来の処理効果が得られている

(fig.21)。 偶数マスクの場合、original以外の部分が極端に持ち

上げられているため、original 部分が異常陰影となっ

て描出されている(fig.21)。このoriginal部分の範囲

が狭い(高信号と低信号の圧縮の範囲が極端に狭い)

場合、点状のアーチファクトとなる。

以上のことから、

ボケマスク像は、カーネルを大きくしすぎると極端

な低周波数画像が得られるが、画像周辺の未処理のブ

ラインドエリアが広がる。画素数が少ない画像には致

命的になる場合もあるため、対処を検討する。 プログラム的には、エラーでなくても、処理結果が

エラーとなるような場合がある。DRC のマスクサイ

ズもそのひとつであり、いくつかの症例を検討しなけ

れば気づかないエラーである。注意書きの記述や、偶

数値ははじくといった工夫が必要であると思われる。 4.結語 原理にのっとった理想的なDR圧縮処理プログラム

が作成できた。 CR のマニュアルには複雑な解説で掲載されている

が、意外に簡単に作成できた。 DR圧縮処理におけるスピードも違和感なかった。 モダリティに依存せず、DR圧縮画像がRawデータ

として保存できた。 製品化されたものとのDR圧縮効果の確認にも使用

できる。 参考文献

1) FCR 画像処理解説書(第 2 版)、第 4 章 画像処

理、pp.12-15、富士フイルムメディカル株式会社、

(2001). 2) コニカダイレクトディジタイザ

REGIUSMODEL150技術解説書、第4章画像処理、

pp.4-22、23 (2001).

500

1000

1500

2000

2500

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

original

DRC12

500

1000

1500

2000

2500

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

original

DRC11

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画像ビューアソフトの作成(第 3 報 臨床評価)

社団法人 青森県放射線技師会 学術企画委員会 画像・DSA 部会

○川井 美幸 1) 大湯 和彦 1) 小原 秀樹 1)

鈴木 将志 1) 千葉 大史 2)

1)弘前大学医学部附属病院 2)秀芳園 弘前中央病院

Key words: Turbo Delphi,DRC

緒言 画像ビューアをフリーの開発言語TurboDelphi を使用

して作成し、画像データの取り込み、表示、フィルタ、DR

圧縮、保存のプロセス、アルゴリズムに関して、また DR

圧縮処理による臨床画像を検討した。

第3報では、DR圧縮処理効果の確認、臨床評価につ

いて検討したので報告する。

1.方法 1-1.使用機器

開発支援ツール Turbo Delphi (free)

ImageJ

1-2.検討項目 (1)DR 圧縮処理効果の確認

DR 圧縮効果を確認するために、自作したディジタル

ステップパターンを用いて作成した画像ビューアの各パ

ラメータを変化させ DR 圧縮効果の確認を行った。ディ

ジタルステップパターンは ImageJ を用いて作成した。構

成は 1024 階調とし、ピクセル値を 1 ステップごとに 100ずつ加算し 11 ステップとした。視覚評価のため、ピクセ

ル値をプラス 20 とした模擬腫瘤を作成した(Fig.1)。スラ

イド内右図は黄色いライン上のプロファイルカーブであ

る。 ①rank(マスクサイズ) factorを10、thresholdをLower 30%、Upper 70%とし、

rank を 1 から 9 まで変化させた。 ②factor(強調係数) rank を 1、threshold を Lower 50%、Upper 50%とし、

factor を 2 から 20 まで変化させた。 ③threshold(圧縮開始点) rank を 1、factor を 10 とし、Lower の threshold を 10 か

ら 90%まで変化させた。

Fig.1 ディジタルステップパターン (2)臨床評価 DR 圧縮処理手順として、ImageJ を用いて画像の圧縮

開始画素値を決定した。rank を設定しボケマスクを作成

した。factor と決定した圧縮開始画素値になるように、

threshold を設定し DR 圧縮処理を行った。 DR 圧縮処理を行った CR 画像、MRI 画像、CT 画像、

RI 画像について評価した。 2.結果 2-(1) DR 圧縮処理効果の確認 ①rank における変化

rankを変化させたときのプロファイルカーブをFig.2に

示す。その拡大部(Fig.3)をみると、rank が大きくなると境

界のコントラスト、ボケが大きくなっていた。

Fig.2 rank による変化

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Fig.3 拡大部 ②factor における変化

factor を 10 まで変化させた場合、値が大きくなるに従

いグラフは平衡に近づいた。しかし、factor を 10 より大き

くするとピクセル値が反転した(Fig.4)。

Fig.4 factor による変化

③threshold における変化 グラフから 10%の時は 102、30%の時は 306、50%の

時は511、70%の時は716、90%の時は920となり、圧縮

開始画素値と割合が一致していた(Fig.5)。

Fig.5 threshold による変化

2-(2)臨床評価 ①CR 画像:foot 足趾骨のコントラストは変化させず足関節部を描出さ

せるため、DR 圧縮処理を行った。オリジナル画像に

ImageJ を用いて圧縮開始画素値を求めた。この時値は

1618 となった(Fig.6)。 次に rank を設定し、アンシャープマスクを作成した。

ImageJで求めた1618になるように thresholdを設定した。

この時、画像の最小画素値は 758、最大画素値は 2555となった。ダイナミックレンジを 100%とし、高濃度圧縮開

始画素値が 1620 である 48%で圧縮を行った。 オリジナル画像と圧縮処理画像のサブトラクションを行

うと圧縮部分のみが残り、他のコントラストに影響してい

ないことが確認できた(Fig.7)。

Fig.6 圧縮開始画素値の算出

Fig.7 圧縮処理 上記で求めた threshold に固定し、rank 3 と 9、factor を

3、6、9 と変化させた(Fig.8)。factor 9 の時に強く圧縮され

ていた。 オリジナル画像と rank 3と rank 9の比較をFig.9に示す。

rank 9 の時に足関節部がより描出されていることがわか

った。

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Fig.8 rank、factor による違い

Fig.9 factor 9 とした時の rank による違い ②MRI 画像:L-spine 脂肪部分で圧縮処理を行うため、threshold を 228 に設

定し、40%の条件で DR 圧縮処理を行った。 オリジナル画像と rank 3、9 の時の画像の比較を Fig.10に示す。rank 9 の方が脂肪部分の信号が抑制され、画

像全体が観察しやすくなっていた。

Fig.10 MRI 画像 ③CT 画像:Metal 金属による極度に強いアーチファクトの画像に対して

DR 圧縮処理を行い、アーチファクトの低減を行った。こ

のとき注意しなければならないのは、DICOM Tag のリス

ケールインターセプトは-1024 であり、本アプリケーショ

ンでは Tag 情報は反映されないため WW300、WL1054

は WW 300、WL 30 と表示される。 ImageJ によりアーチファクト部分を抽出し、金属部分の

ヒストグラム上での分布範囲は、CT値で122から3071ま

でとなった。この値をリスケール未処理の値に直すと

1146から4095となる。1146はダイナミックレンジを100%

とした場合 28%となった。 DR 圧縮により目障りなアーチファクトの減少と金属本

体の状態が同一WW、WL で観察可能となった

(Fig.11)。

Fig.11 CT 画像 ④RI 画像:骨シンチ 膀胱への多集積により骨盤部描出不良の画像を用い

て、骨盤部の描出能の改善を行った。 この時高濃度圧縮開始画素値は 515、低濃度圧縮開

始画素値は 132 となった。 圧縮前後の画像をFig.12に示す。ホットスポットを保ち

つつ骨盤部周辺のハレーションが抑制され描出能が改

善された。

Fig.12 RI 画像 3.考察 3-(1)DR 圧縮処理効果の確認 ①rank が小さい場合、模擬腫瘤の認識が不可能となっ

た(Fig.13)。この時ボケマスクは高周波成分よりの画像と

なるため、処理を行った時エッジ成分を保持できず、小

さなコントラストも表現できなくなる。 DR 圧縮は大まかなコントラスト調整が目的であるため、

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rank の設定は大きめの値を用いることが推奨されると考

えられた。 ②factor を大きくすることによってグラフは平衡に近づき、

10 を超えると値が反転した。 高濃度圧縮時、計算値が圧縮開始画素値よりも小さい

値になるためだと考えられた。 この現象は factor が 10 を超えた場合に認められたた

め、10 未満に設定する必要があることが考えられた。

Fig.13 rank による模擬腫瘤の描出能の違い 3-(2)臨床評価 モダリティに依存せず DR 圧縮処理を行うことが可能だ

ったが、CT 画像のように画像構成ヒストグラムのダイナミ

ックレンジに対し主成分となりうる範囲が狭いため、正確

な圧縮開始点の設定が必要であると考えられた。目的

部分にのみ圧縮を行うことが重要であり、このソフト上で

簡易的に圧縮開始点を表示するプログラムが必要であ

ると考えられた。 臨床ではモダリティによってマトリクスが異なるため、パ

ラメータの設定を考慮する必要があると考えられた。 4.結語 ディジタルステップパターンを用いた DR 圧縮処理効

果は有効に得ることができた。 各パラメータの制限はあるが、CR 以外にも有効である

可能性が示された。

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冠動脈バイパス術後評価における

バリアブルピッチヘリカルスキャンシステムの有用性 青森市民病院 小笠原 桜子

小澤 友昭 横山 幸夫 稲葉 孝典 緒言 はじめに、バリアブルピッチヘリカルス

キャンシステム(以下 vHP)とは、1 回のヘ

リカルスキャン中に心電同期の ON・OFFとヘリカルピッチを変化させて撮影できる

システムである。当院では、CT での冠動脈

バイパス術後評価は、内胸動脈・バイパス

吻合部・心臓・胃大網動脈のすべてを、心

電同期にて撮影していた。 そのため、長い撮影範囲の造影効果を持

続させるために、造影剤の注入レートを落

とさなければならなかった。 そこで、2009 年12月に導入した、vHPを用いて、バイパス術後評価への臨床応用

について検討した。 1.方法 1-1.vHP とは 心臓・冠動脈は心電同期をかけて、HPを落としたまま撮影し、途中で、心電同期

を OFF にし、ヘリカルピッチをあげて撮影

する方法である。(fig.1) 1-2.方法 心電同期の ON と OFF、ヘリカルピッチ

の切り替え時のファントム画像を評価した。

また、従来の方法と VHP を使用したときの

画像、被ばく線量を比較した。(fig.2)

Aomori.C.H.

vHPとは

非同期スキャン (HP41)

心電同期スキャン (HP11.2)

ヘリカルスキャン中に寝台加速

ヘリカルスキャン中、任意の場所で1回のみHPの変更可能その際、心電同期のon,off、撮影方向の頭尾は自由

Fig.1

Aomori.C.H.

0.5mm×0.3mm FC14 FOV200mm画像再構成

3.5ml/秒 35ml生食後押し

3.5~4.0ml/秒3.5ml/秒注入速度

ヨード濃度350mg・ml 100ml使用造影剤

120~135kv管電圧

300~400mA管電流

0.5mm×64スライス厚

8.0~12.8 非同期418.0~12.8HP

0.35~0.4秒/rot非同期0.35秒/rot

0.35~0.4秒/rot管球回転速度

上行大動脈にて150HUReal prepミオコールスプレー本スキャン5分前舌下1噴霧血管拡張剤

バリアブルピッチヘリカルスキャン心電同期ヘリカルスキャン撮影方式

冠動脈バイパス術後撮影条件

Fig.2

1-3 .使用機器 CT 装置 ・・・東芝製 Aquilion CX V4.51 画像処理装置 ・・・ZIOSTATION Ver1.17t 生体監視モニター ・・・日本光電社製 BSM-2301

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ファントム ・・・木製ネジ、くし 2.結果 心電同期の ON と OFF、ヘリカルピッチ

の切り替え時に、ファントム画像ではがた

つきや乱れは見られなかったが、臨床の画

像ではヘリカルピッチの切り替え時にがた

つくケースが見られた。(fig.3)

Aomori.C.H.

vHP使用件数67例 ○25件 △24件 ×18件

○ ×△

Fig.3

従来の方法と vHP の比較で、息止め時間

は約4秒短縮された。画像の評価で、造影

能では大きなばらつきもなく高い CT 値を

保ったまま鎖骨下動脈まで描出されており

(fig.4)、被ばく線量は、約3分の1の低減

が可能だった。、

Aomori.C.H.

476

605

505

467415

500

396

253

造影能

Non-vHP vHP

3.5ml/s 100ml生食3.5ml/s35ml

3.9ml/s 100ml生食3.5ml/s35ml

Fig.4

3.考察 臨床画像でヘリカルピッチの切り替え時

に画像に段差が出てしまうケースが確認さ

れたが、それは、心電同期が OFF になった

ときの大動脈の拍動によるものと思われ、

今のところ、その範囲に関心領域を入れな

いように撮影プランを立てることで、心

臓・冠動脈にがたつきが出ないようにして

いる。 vHP を使用した撮影では、息止め時間・

被ばく線量が減少され、また造影効果も向

上している。 そのため、vHP は、冠動脈バイパス術後

評価に有用であると言えるだろう。 4.結語 今回の検討により、vHP は、冠動脈バイ

パス術後の評価について有用である、とい

う結果が得られた。 今後は、注入条件・vHP の設定条件の検

討、また、他の部位への応用も考えていき

たい。

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一般撮影におけるオートポジショニングの有用性について ○山内良一 庄司弘子 田辺健 前田紀子 佐藤兼也 西村秀行

青森県立中央病院 放射線部

緒言 2008年4月から新しい一般撮影装置を導

入するにあたり,オプションとしてオート

ポジション機能も採用する運びとなった. そこで,オートポジション導入後の有用性

を導入前と比較することで検討した. 1.方法 1-1 使用機器 新規に導入したものとしては下図に示し

たような操作卓(UD150L-40:島津)と管球

(CH-200:島津)である.既存のものとして,

X 線 検 出 器 と CR Console(FCR VELOCITY:Fuji).患者集計には当院のRIS system(Gyro)を使用した.

図 1:新規導入した操作卓(左)と管球(右)

1-2 撮影情報の流れ 図 1 に X 線曝射までの撮影情報の流れを

示す.

図 1:X 線曝射までの流れ

①RIS から CR Console に MWM として

患者情報を転送し,それを受けて②CR Console から操作卓および管球に対し APRを転送する.また,操作卓から管球に対し

ては③2 管球のうちどちらを使用するか,

撮影は IP かブッキーかといった情報も転

送される. 図 2 に X 線曝射終了からの撮影情報の流

れを示す.

図 2:X 線曝射終了からの流れ

①管球および操作卓から CR Console に

対し,撮影回数や被ばく線量といった情報

が転送される.②また,管球から CR Console に対しては 2 管球のうちどちらで

撮影したか,撮影は IP とブッキーのどちら

で行ったかという情報が転送される.管球

と操作卓から受けた情報③MPPS として

CR Console から RIS へ転送され,撮影終

了となる.

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1-3 オートポジショニング機能 操作卓に予め登録しておいた撮影位置に

管球が移動する機能である.撮影室内の

X-Y-Z 全面での登録が可能であり,立位の

読取装置のみ,Oblique にも対応している. RIS から操作卓に患者情報・撮影部位が

転送されると全自動で登録部位に移動する

ものではない.情報を受けた段階でリモコ

ンの「オートポジショニングボタン」を押

すと,登録位置に管球が移動する(図 3).リ

モコンには他にも4つのポジション登録が

可能であり,当院では撮影頻度の多いポジ

ションに設定してある.

図 3:オートポジション設定に使用するリモコンの外観

2.結果 2-1 待ち時間の比較 以下の項目を RIS で集計し,比較検討し

た. 比較期間

更新前を 2007 年 2 月から 2008 年 1 月

の1年,更新後を 2008年2月から 2009年 1 月の 1 年とし比較した.

部位 頚椎 2 方向(正面と側面)を対象とした.

当院の頸椎正面撮影,は足頭方向に

15°Oblique で AP 撮影.側面は

Oblique なしで L→R 撮影である. 尚,ここで述べる「待ち時間」とは,患

者が受付をしてから技師が RIS 上で患者情

報を選択するまでの時間のことである.

グラフ 1 . 待ち時間の比較(頚椎 2 方向).

青が更新前.赤が更新後を示す.

更新前に比べ,2~3 分の短縮となった. 2-2 撮影時間の比較 RIS 集計項目は先に挙下駄ものと同じで

ある. また,ここで述べる「撮影時間」とは,

RIS 上で技師が患者情報を選択してから画

面を閉じる(撮影記録を実施済みにする) までの時間である.

グラフ 2 .撮影の比較(頚椎 2 方向)

青が更新前.赤が更新後を示す.

12 月に極端な個所はあるが,更新前と比

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べても時間短縮には結びつかなかった. 3.考察 部位の異なる患者-患者間(例:1 人目腹部,

2 人目頚椎 2 方向)の準備効率の向上や,ブ

ッキー中心に管球を合わせる場合の準備効

率の向上には役立つと考えられる. しかし,撮影時間の短縮に結び付かなか

ったことから 1 患者の撮影時間の短縮には

役立つとは考えられない. また,オートポジショニング使用時の管

球速度の遅さや,管球切り替えの煩雑さ等

問題も多い. 4.結語 オートポジショニング機構導入により待

ち時間は短縮したが,撮影時間そのものの

短縮にはならなかった. また,救命対応時にストレッチャー搬送

された患者を撮影する際,管球の切替が煩

雑であった.

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当院における頭部 MRA 撮影条件の再検討

青森市民病院 古山智明 工藤 敬幸 川村匡敦 須藤孝憲 稲葉孝典

Key words: Head TOF-MRA, Artifact

【背景】 頭部 TOF-MRA は非侵襲的な検査として、

また簡便な脳血管検査として多く行われて

いる。さらに画質を向上させるため様々な

オプションを用いている。当院でも

SORS-STC(MTC パルス)や ISCE(TONE法)という方法を併用している。しかしスラ

イス方向の折り返しと思われるアーチファ

クトが出現し、Mip 処理などに苦慮してい

る。今回、アーチファクト出現傾向の把握

と対策を検討したので報告する。 【検討項目】

I. ISCE の比較 II. Coil Center の位置による比較

III. 撮影条件の比較 IV. 2slub 時の Overlap と ISCE の関係 V. ISCE の違いによる信号変化

VI. Overlap 数と撮影時間 上記 6 項目について、ボランティアおよび

ファントムを用いて検討を行った。 なお、ボランティアにおいては、検討内容

について十分に説明をし同意を得て行った。 使用機器 東芝製 EXCELART Vantage XGV 1.5T PPP 【結果】 Ⅰ. ISCE は、1:1 1:2 1:3 と 3 種あり、

ボランティアにて ISCE を変化させ比較す

ると、1:3 を使ったとき Mip と元画像の下

部でアーチファクトが見られた。また、フ

ァントムでは、Mip で得られた画像でプロ

ファイルカーブを描くと ISCE1:3で流入側

の信号が高くなる部分があった。 (図1)

Ⅱ. ISCE を 1:3 一定にしたとき、コイルセ

ンターを変えると、センターの位置がコイ

ルの下方(5 番)に近づくにつれアーチフ

ァクトが目立つ結果となった。また、ファ

ントムを撮影し、Mip で得られた画像から

プロファイルカーブを描くと、流入側で信

号が高くなる傾向があった。特に 3,4 では

差が大きく 5 番では全体的に信号が高くな

った。 (図2)

Ⅲ. 撮影条件を変化させると、FA や 5ch Brain では、大きな変化が見られなかった。

脂肪抑制時や 2slub の時には、同様のアー

チファクトは見られなかった。また、脂肪

抑制を併用すると TR の延長と撮影時間が

約 2 分延長となるため、2slub が良いと考

えた。

ISCE

1:1

1:2

1:3

図1 ISCE の比較

図2 Coil Center の位置による比較

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Ⅳ. ファントムを用い各 ISCE においてオ

ーバーラップの枚数を変化させプロファイ

ルカーブを描くと 1:3 ではオーバーラップ

のところで、大きく変化した。(図3)

Ⅴ. ボランティアにて ISCE を変えて撮像

し、得られた Mip 画像からプロファイルカ

ーブで比較すると、1:1 ではつなぎ目で低か

ら高に 1:3 では高から低に極端に変化する

ことから、1:2 がいちばん自然な変化と思わ

れた。(図4)

Ⅵ. ISCE1:2 を用いてオーバーラップの枚

数を変え、得られた Mip 画像を視覚的に評

価したところ、ファントム同様 12 枚が良い

と思われた。撮影時間が従来より 32 秒の延

長となった。 【考察】 ISCE 1:3 でセンター位置がコイルの頭頂

側から離れるほど、3D 撮影特有のスライス

方向の折り返しによる流入側のアーチファ

クトが目立ったものと思われる。 Head SPEEDER 7ch Coil は、送信が全身

コイルのため SORS-STC パルスを使用す

る場合に SAR の関係上TR を最小にすると

SORS-STC パルスの制限がかかることも、

一因と思われる。 【結語】 コイルセンターの位置や患者の状態に合わ

せて撮影条件を考慮することでアーチファ

クトを回避することができる。

図4 ISCE の違いによる信号変化

図3 Overlap と ISCE の関係

ISCE 1:1 1:2 1:3

Overlap 0 12

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頭部 MRI における患者固定補助具の検討

青森県立中央病院 ○斉藤哲宏,前田紀子,山田陽子,山内良一,佐藤兼也 神戸バイオメディック株式会社 里和也

Key words:e-Colle,固定具,Motion artifact

緒言 頭部 MRI 検査において、被検者がパーキンソン症候群などの場合には振戦などの不随意

運動により Motion Artifact を生じることが多い。原因としては、マジックバンドおよびス

ポンジのみにより前頭部に対し固定を行っても固定部以外には遊び空間が生じ、固定部を

軸としての体動が可能なことがあげられる。近年、PROPELLER 法を使用した対策が報告

されているが全ての撮像 Sequence に対応していないのが現状である。そこで、空気を抜く

と固形化し形状保持するクッションとして開発された e-Colle を利用し、遊び空間を生じな

い頭部固定法を試みその効果を検討する。 1.方法 1-1.使用機器 神戸バイオメディック KBM e-Colle(Fig.1) GE Signa Excite HD1.5T Ver.12 Head QD Coil および Head rest 8ch NV Array Coil 固定用マジックバンドおよびスポンジ 使用した e-Colle のサイズは 40×280×480mm で 400g の発泡ビーズが封入されていた

が、今回、ビーズ量を 200g に半減させ頭部用 Coil 内で使用できるよう工夫した。固定方

法は、通常どおり検査用イヤホンを装着した状態で、隙間が発生しないように用手的に密

着させ付属の手動ポンプにて脱気を行う(Fig.2)。脱気された e-Colle はその状態で固形化し

形状保持する。最後にマジックバンドおよびスポンジでe-Colleごと前頭部に対し固定する。

(Fig.3)

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Fig.1 e-Colle 本体と付属の脱気用ポンプ

Fig.2

Fig.3 Head QD Coil での使用例 1-2.評価方法 パーキンソン症候群患者について無作為に、従来の固定を行った 22 人と e-Colle による

固定を行った 9 人で Motion Artifact の程度を比較した。評価に用いた画像種は SE 法、

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TR/TE=400/11ms、Axial、Thickness=5mm、Matrix=512×256 である。画像(Fig.4)のBackground で最もMotion artifactの強い箇所のMean値を SIA、明らかにMotion artifactが生じない箇所の SD 平均値を SDAveとし、SIA/SDAve を仮にANR(Artifact Noise Ratio)と呼びこの値が大きいとき Artifact 量が多いと判定することとした。

Fig.4 2.結果 e-Colle を使用しない従来固定法の ANR 分散が 2.763 であったのに対し、e-Colle 使用群は

0.024と安定していた。ANR平均値においてもe-Colle使用群は従来固定法より低値を示し、

Motion Artifact は低減していると判定された。(Fig.5)

Fig.5 3.考察 e-Colle 自体が MR 画像に写り込むことはなく画像への悪影響は見られなかった。e-Colle使用群は、目視においても従来固定法より Motion artifact が低減していることが確認でき

た。各々の頭部形状に合わせ全体を隙間なく安定した状態で固定できる e-Colle の特徴によ

るものと考えられた。

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4.結語 e-Colleを使用した頭部固定法はMotion artifactのさらなる低減に対し有効であった。なお、

固定時には脱気する者と脱気中に形状を保持する者の最低2名が必要であった。耳部を覆

うことで固定と同時に防音効果も期待でき、またイヤホンや耳栓などの脱落防止にもなる

と考えられる。e-Colle は面全体で支えるため圧力が一点に集中しないということにおいて

苦痛の軽減にもなっていると思われる。四肢などの固定にも応用可能である。

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座長集約 《 学術発表 1 》 座長: (国)弘前大学医学部附属病院 小原 秀樹

《学術発表1》のセッションでは、画像・DSA 部会より3演題の発表でした。開発

支援ツール Turbo Delphi を使って画像表示からフィルタリング、DR 圧縮処理、臨床

画像への応用といった発表でした。 演題1の「画像ビュアーソフトの作成(第1報 基本アルゴリズムに関して)」(青森

市民病院 川村匡敦さん)は、画像データ量の確認と読み込み、ヘッダーと画像データ

の分離、画像表示、白黒反転、ラプラシアンフィルタリング、処理画像の保存、といっ

たところまでの内容でした。このソフトでは、DICOM ヘッダーの有無に関わらず表示

可能であるということでした。 演題2の「画像ビュアーソフトの作成(第2報 DR 圧縮処理アルゴリズムに関して)」

(五所川原市立西北中央病院 荒井達哉さん)は、DR 圧縮処理機能の発表内容でした。

DR圧縮処理の原理から始まり、このソフトにおける圧縮処理手順を示して頂きました。

パラメータ設定の制限があるものの、モダリティを問わず圧縮処理可能であるとのこと

でした。 演題3の「画像ビュアーソフトの作成(第3報 臨床評価)」(弘前大学医学部附属病

院 川井美幸さん)では、ディジタルステップパターンを用いパラメータを変えて DR圧縮処理効果の確認をし、臨床画像に適用したという内容でした。ディジタルステップ

パターンを使っての検討結果や、第2報で示したパラメータの制限など、それらを考慮

したもとでの DR 圧縮処理は、CR 以外の CT、MRI、RI 画像にも有効であったという

報告でした。 今後もこのような多施設での共同研究を継続されて、更なる報告をして頂きたいと思

います。

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座長集約 《 学術発表 2 》 座長: 三八地域県民局 地域健康福祉部 保健総室 工藤 嘉彦

このセッションではCTに関する演題が 1 題、一般撮影に関する演題が1題、MRIに関する演

題が 2 題の発表であった。どの演題もすぐに実践に役立つような内容で、日々のちょっとした工夫

や問題を解決した点に興味があった。 4.冠動脈バイパス術後評価におけるバリアブルピッチヘリカルスキャンシステム(vHP)の有用性 最近のCTでは各社個性的で開発のスピードが早く、ユーザーも追いつくのが困難な状態であるが、

この演題では通常心電同期させて広範囲を撮像するバイパス術後の評価等に提供された機能であり

撮像を中断することなくヘリカルピッチや心電同期のOFF/ONを変化させて造影剤の最適化と被

ばくの低減の効果を期待した発表であった。ピッチの変化、心電同期のOFF/ON部分では画像再

構成時の不連続が見られるが、息止め時間短縮、造影剤の最適濃度の維持、被ばくの低減のことを考

えると十分有効であるとのことであった。 5.一般撮影装置におけるオートポジショニング機構の有用性 数ヶ月前まで筆者も使用していた一般撮影装置に搭載された機能の評価である。個人的な意見も加え

させていただくとその機能を搭載されているおかげで、本体が大きくなり、機械的トラブルも増える

ことは否めない。またRIS、CR読取装置、オートポジショニングの機能の連動に不具合が生ずる

ことが多く、またメモリーの機能にも制限がありカルテやRISとの連動も含め、まだ開発及びセッ

ティングの調整に余地があるように思われた。 6.当院における頭部MRA撮影条件の再検討 頭部 MRA・3D-TOF の撮像に関する工夫の検討であった。どの施設でも限られた時間内でのニー

ズが増え頭部の撮像で MRA はルーチン的に撮像されているのが現状であると思われる。メーカーも

それに対応すべくハードやソフトを提供し続けてはいるが、メーカーでは把握しきれていない予想し

なかったところに不具合が生じる場合があり、それに対処した発表であった。多チャンネル化したマ

ルチコイルとパラレルイメージングの組み合わせによる時間短縮とクオリティの向上は常に望むと

ころであり、不具合の生じなかった過去の撮像法に戻すことは考えにくい。そこで日々新しいことに

対処していくことが必要となるわけだが再現性が重要であり、トレードオフのぎりぎりのラインを見

つける必要がある。それを誰がやっても同じ良い結果を残せることに有用性を見出せると考える。 7.頭部 MRI における患者固定補助具の検討 この演題はMRIにおける固定具の使用経験の有用性を数値に表した発表であった。市販されている

e-Colleという MR 用ではないクッション的なものを MR 用に若干手を加え工夫して使用した結果を

アーチファクトノイズレシオ(ANR)という独自の表現方法で数値化し画像評価を行った結果であ

る。各種固定補助具は市販され、また工夫はされているものの、各施設の現状に全て通用するもので

はないので使用したものや状況が違っていても客観的評価して比較する方法は面白い発想だと思う。

今後もぜひ標準化できる方法も含め工夫されることを望む。

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平成22年度青森県放射線技師会学術大会抄録集

平成22年12月発行

編 集 者 長 内 恒 美

発 行 者 稲 葉 孝 典

発 行 所 社団法人 青森県放射線技師会

〒030-0131 青森市問屋町2丁目20-5

印 刷 所 有限会社 小野印刷所

〒036-8173 青森県弘前市富田町52