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- 1- 4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者 金子和雄 問題の所在 パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に サッカー型ゲームでは、 付け、ゲームを楽しくできるようにすることが求められている。 技能が必要となる。また、子供たちの経験に個人差が しかし、主にボールを足で扱うため、ある程度の 大きく、経験の少ない子供にとっては大変難しい運動である。そのため、サッカー型ゲームの得意な児童 は楽しめるが、なかなかボールにさわれない児童や、積極的に活動できない児童もいた。 私は、このように技能に差がある実態でも、みんなが楽しめるようにしたいと考えてきた。これまでの サッカー型ゲームにおける私の指導では、主にボールを操作するための技能的な能力を高める「ドリルゲ ーム」とボールを受けるための戦術的な能力を高める「タスクゲーム」を取り入れてきた。 ドリルゲームでは、 を毎時間の始めに、ゲーム形式で繰り返し行 ボールコントロールの基本となる動き った。また、円形3対1のタスクゲームでは(図1 、円形のゾーンを境に オフェンスとディフェンスに分かれ、3対1のミニゲームを行った。このゲ ームでは、オフェンスが味方にパスをしたり、味方からボールをもらったり しながら中央のコーンめがけてシュートし得点する。 ボールをコントロールする技能は、次第に 毎時間のドリルゲームにより、 向上する。 ボールをもらうための動きは、メイン しかし、タスクゲームで課題とした ゲームに移ってもなかなか見られなかった。結局、上手な子供たち中心のゲ ームになったり、攻守がボールに向かい合いボールをけり合う団子状態にな ったり、その様子を周りで立って見ている子供がいたりする状況だった。 ゲームにおける子供の実態は、次頁の表「ゲームに見られる子供の実態」のように、大きく4つのタイ プに分けられる。それぞれの子供たちは技能やボールに対する興味・関心に個人差がある。このような子 供の実態から、それぞれの特徴に応じた指導改善の視点を明確にし、手立てを設定した。 本時では、働きかけ1で4グリッドパスゲ ーム、働きかけ2で4対2パスゲームを設定 する(図2、3 。働きかけ1、2により、 ボールをもたない時の動きを意識化させ、ゲ ームを通して経験させることで、団子状態が 解消され、パスをつないでゲームを進めるこ とができるようになると考える。 本実践で提案する改善の視点及び手立てが メインゲームであるラインサッカーにどのよ うに生きるかについては、次頁の表の最後に 示した。 パス ●ボール、○オフェンス、 ディフェンス × 20m 10 ○オフェンス ディフェ × ンス●ボール パス 動く ●ボール、○オフェンス、 ディフェンス × 図1 円形3対1 図2 4グリッドパスゲーム 図3 4対2パスゲーム

4年1組 体育科学習指導案-1-4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者金子和雄 1 問題の所在 サッカー型ゲームでは、パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に

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Page 1: 4年1組 体育科学習指導案-1-4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者金子和雄 1 問題の所在 サッカー型ゲームでは、パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に

- 1 -4年1組 体育指導案

平成20年10月29日

4年1組 体育科学習指導案

指導者 金 子 和 雄

1 問題の所在

パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身にサッカー型ゲームでは、

付け、ゲームを楽しくできるようにすることが求められている。

技能が必要となる。また、子供たちの経験に個人差がしかし、主にボールを足で扱うため、ある程度の

大きく、経験の少ない子供にとっては大変難しい運動である。そのため、サッカー型ゲームの得意な児童

は楽しめるが、なかなかボールにさわれない児童や、積極的に活動できない児童もいた。

私は、このように技能に差がある実態でも、みんなが楽しめるようにしたいと考えてきた。これまでの

サッカー型ゲームにおける私の指導では、主にボールを操作するための技能的な能力を高める「ドリルゲ

ーム」とボールを受けるための戦術的な能力を高める「タスクゲーム」を取り入れてきた。

ドリルゲームでは、 を毎時間の始めに、ゲーム形式で繰り返し行ボールコントロールの基本となる動き

った。また、円形3対1のタスクゲームでは(図1 、円形のゾーンを境に)

オフェンスとディフェンスに分かれ、3対1のミニゲームを行った。このゲ

ームでは、オフェンスが味方にパスをしたり、味方からボールをもらったり

しながら中央のコーンめがけてシュートし得点する。

ボールをコントロールする技能は、次第に毎時間のドリルゲームにより、

向上する。

ボールをもらうための動きは、メインしかし、タスクゲームで課題とした

ゲームに移ってもなかなか見られなかった。結局、上手な子供たち中心のゲ

ームになったり、攻守がボールに向かい合いボールをけり合う団子状態にな

ったり、その様子を周りで立って見ている子供がいたりする状況だった。

ゲームにおける子供の実態は、次頁の表「ゲームに見られる子供の実態」のように、大きく4つのタイ

プに分けられる。それぞれの子供たちは技能やボールに対する興味・関心に個人差がある。このような子

供の実態から、それぞれの特徴に応じた指導改善の視点を明確にし、手立てを設定した。

本時では、働きかけ1で4グリッドパスゲ

ーム、働きかけ2で4対2パスゲームを設定

する(図2、3 。働きかけ1、2により、)

ボールをもたない時の動きを意識化させ、ゲ

ームを通して経験させることで、団子状態が

解消され、パスをつないでゲームを進めるこ

とができるようになると考える。

本実践で提案する改善の視点及び手立てが

メインゲームであるラインサッカーにどのよ

うに生きるかについては、次頁の表の最後に

示した。

○ ○

パス

●ボール、○オフェンス、

ディフェンス×

20m

10m

○オフェンス ディフェ×

ンス●ボール

パス

動く

●ボール、○オフェンス、

ディフェンス×

図1 円形3対1

図2 4グリッドパスゲーム 図3 4対2パスゲーム

Page 2: 4年1組 体育科学習指導案-1-4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者金子和雄 1 問題の所在 サッカー型ゲームでは、パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に

- 2 -4年1組 体育指導案

ゲームに見られる子供の実態

。A立って見ている。 Bパスを待っている。 C団子状態になる。 D個人プレイでゲームをしている

運動能力低・意欲低 (技能低・意欲低) (技能低・意欲高) (技能高・意欲高)( )

運動能力が低く、ど ある程度技能に自信は ボールをけることに集中 サッカーの技能に優れて

のようにゲームに参加 あるが 身体接触を嫌い している。縦の視点しかな いる子供。味方とのコンビ、 、

したらよいのか分から 団子から離れている。ボ く、縦の動きに終始する。 ネーションを作ることはで

ない。 ールをもらえる位置に意 きていない。

識して動くことはできて

いない。

改善の視点

、 、 、ボールコントロール 味方の動きを見て動き 横を見る視点をもたせ、 パスを出して動き また

の基本となる動きに慣 パスをもらうプレイを経 横へのパスが出せるように パスをもらって攻撃する動

れさせ、自信をもたせ 験させる。 する。 きを経験させる。

る。

手立て

パスを出したり、パスをもらったりする動きを中心とするタスクゲームを段階的に(働きかけ1と2

の順で)設定し、ボールをもたないときの動きを意識させる 〈本時〉。

【働きかけ1】 コートを4つに区切った4グリッドパスゲームを行う。

4グリッドパスゲームで、身体接触を避けてプレイする場を設定し、味方の動きを見てパスを

出す動きを経験させる。

【働きかけ2】 コート制限を無くした4対2パスゲームを行う。

、 。4対2のパスゲームで 味方がパスを出しやすい場所に動いてパスをもらう動きを経験させる

手立てによって生じる期待する姿

A立って見ている。 Bパスを待っている。 C団子状態になる。 D個人プレイ

◎蹴る、止めるの動作 ◎パスをもらうための動 ◎横へのパスをする。 ○パスをつなぐ。働きかけ

1 を思い切ってする。 きをする。

○パスをもらおうと動 ◎味方の動きを見て動 ◎横への動き、横へのパ ◎パスを出して動き、働きかけ

2 く。 き、パスをもらう。 スをする。 またパスをもらって攻

撃する。

働きかけはゲームにどう生きるか

パスをもらい、蹴る 味方の動きを見て動き 横の動き、横のパスを意 パスを出して味方を動か、

ことができ、ゲームに パスをもらうチャンスを 識し、ボールをもっていな し、さらにパスを受けて攻

参加することができる 作ることができるように いときの動きができるよう 撃のチャンスを作る動きが

ようになる。 なる。 になる。 できるようになる。

ボールをもたない時の動きの意識化させ、ゲームを通して経験させることで、団子状態が解消され、パ

スをつないでゲームを進めることができるようになる。

2 単 元 名 みんなでつなげ パス パス サッカー(サッカー型ゲーム)

3 単元の目標

○ 基本的な技能やボールをもたない時の動きを身に付け、楽しみながらラインサッカーをすることがで

きる (関心・意欲・態度)。

○ ボールをもっていないとき、ボールがもらえそうなところへ動くことができる (思考・判断)。

○ 味方がパスを出しやすい場所へ動いたり、パスをしてボールをつないだり、シュートしたりすること

ができる (技能)。

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- 3 -4年1組 体育指導案

4 指 導 計 画

2 3 5 6 7 81 4(本時)

タスクゲーム①

オ リ エ ドリルゲーム (4グリッド パスゲーム)

ン テ ー 選択 *必要に応じてドリルゲームを行う。 おわり( )

ション のリー

タスクゲーム② グ戦

(4対2パスゲーム)

タスクゲーム1

ド リ ル メインゲーム(4グリッド

ゲーム (ラインサッカー)パスゲーム)

5 単元の評価

○ 運動に進んで取り組み、ルールを守ったり、勝敗を受け入れたり、場や用具の安全に気を付けたり

することができていたか (関心・意欲・態度)。

○ ラインサッカーにおいて、ボールをもたない時の動きを生かした作戦を立てることができたか。

(思考・判断)

○ 基本的なボール操作やボールをもたない時の動きを身に付けることができたか (技能)。

6 本時の計画(全8時間 本時4/8時)

(1)本時のねらい

タスクゲームを通して、味方がパスを出しやすいところへ動く動き方を理解し、メインゲームでその動

きを生かすことができる。

(2)本時の構想

単元前半で、主に技能習得をねらったドリルゲームを繰り返し行ってきた。本時までに子供たちは、

ある程度、ボール操作に慣れてきている。

タスクゲームについて、本時は4グリッド パスゲームの3時間目、4対2パスゲームの2時間目にあ

たる。子供たちは、ゲームのやり方を理解し、味方にパスをしようという目的を意識している。

そこで本時では、次のような課題を設定し、ボールをもたない時の動き方を考えさせ、子供がパスを

つないでゲームを進めることができるようにしたい。

導入で、前時までの学習を振り返らせ、課題を明確にすることによって、働きかけ1、2のタスクゲ

ームで 「パスをもらえる場所に動く 「味方の動きを見てパスをする」動きに挑戦させたい。、 」

4グリッドパスゲームは、グリッドにより攻守が分離されているため身体接触を避けてプレイするこ

とができる。本単元では、一度のキックでボールをパスできる距離を考え、10m×(5m×4)の広

さを2面用意する。

ボールをもった子供は、相手との身体接触を気にせず、味方の動きを見てパスを出すことができる。

ボールをもたない子供は、ボールをもった子供と守っている相手の動きを見て味方がパスを出しやすい

場所に動くことができる。

グリッドを1つ隔てた味方にパスを通せば得点になる。相手にボールを取られない限り、何点でも連

続して得点できる。子供たちにとってパスを通すという目的意識が明確なタスクゲームである。

このゲームで子供は 「味方の動きをよく見てパスを出そう 「動いてパスをもらおう」という意識を、 」

もってプレイする。しかし、グリッドによってコートに制限があり、また、攻守の人数が同じため 「パ、

スを通すタイミングがつかめない 「動いてもパスがもらえない」などの状況も生まれると予測される。」

課題 パスをもらえる場所に動いたり、味方の動きを見たりして、協力してパスをしよう。

働きかけ1 コートを4つに区切った4グリッドパスゲームを行う。

Page 4: 4年1組 体育科学習指導案-1-4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者金子和雄 1 問題の所在 サッカー型ゲームでは、パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に

- 4 -4年1組 体育指導案

このような状況に対して、T3の発問で味方がパスを出しやすい場所に動く動き方を考えさせる。

発問によって子供に 「チャンスでない時は、横にいる味方にパスをしよう 「また、戻って動いてみ、 」

よう 「チャンスの時は声を出して知らせよう」とそれぞれの場面での動き方を考えさせ、働きかけ2を」

行う。

4グリッドパスゲームでは、グリッドにより攻守が分離されているため身体接触を避けてプレイする

ことができた。しかし、実際のゲームでは、身体接触の可能性がある中で、味方の動きを見て素早く判

断し、パスを出さなければならない。

そこで、働きかけ2では、グリッドなしのコートで4対2パスゲームを行わせる。このゲームは、4

人で方形を作るため位置取りがしやすい。また、自由に動き回ることができ、メインゲームに近い実践

ができる。

このゲームでは、相手にボールを取られない限り、いつまでも4人で連続してパスを続けることがで

きる。ドリブルで近づいてくる相手から離れることもできる。相手にボールを取られたら、そのボール

を蹴った子供と攻守を交代する。

このタスクゲームも子供たちにとってパスをしたり、もらったりするという目的意識が明確である。

攻守が4対2で守りが少ないため、攻め手のチャンスが生まれやすい。働きかけ1の4グリッドパスゲ

ームで、味方がパスを出しやすい場所へ動く動きを経験した子供たちは、その経験をゲームに生かそう

とするだろう。

本時後半は、働きかけ1、2で学習したことをメインゲー

ム(ラインサッカー)で活用する場面である。

チームごとに大切にしようと考える動きをチームの作戦名

、 、 。にさせ 働きかけ1 2で学んだ動きをチームで確認させる

作戦を決めることによって、ボールをもらうための具体的な

動きを意識させたい。

ここではペアチームを設定し、ボールをもっている時の動

きともっていない時の動きをお互いに見合い、学習記録シー

トに記録させる。子供同士の評価によって、働きかけ1と2で学んだボールをもらうための動きを確認

させたい。

本時終末では、学習記録シートで自分の動きを振り返り、次時への課題をもつ。

(3)本時の展開(別紙)

(4)本時の評価

A:味方がパスを出しやすい場所に動く動き方が分かり、実際に動くことができる。

(ラインサッカーでの子供の様子・チェックシート)

B:味方がパスを出しやすい場所に動く動き方が分かり、動こうとする。

(タスクゲームでの子供の様子・発言)

B評価については、主にタスクゲームにおいてボールをもたない時の動きを理解し、動こうとしてい

たかを評価する。A評価については、メインゲームであるラインサッカーにおいて、実際に動いてパス

をもらえたかどうかを評価する(チェックシート② 。)

〔チェックシートの主な項目〕

ボールをもっているとき

① パスをしようとしたか。

② パスをすることができたか。

ボールをもっていないとき

③ パスをもうために動けたか。

④ パスをもらうことができたか。

、 。発問 T3:ボールをもたない人が動いても パスが通りそうでない時はどうしたらよいでしょう

働きかけ2 コート制限を無くした4対2パスゲームを行う。

Page 5: 4年1組 体育科学習指導案-1-4年1組 体育指導案 平成20年10月29日 4年1組 体育科学習指導案 指導者金子和雄 1 問題の所在 サッカー型ゲームでは、パスやトラップ、ドリブルなどのボールコントロールの基本となる動きを身に

- 5 -4年1組 体育指導案

チーム名

名前みんなでつなげ パス パス サッカー

チームの作戦 ○

今日のめあて ボールもっている ボールもっていない 学習は

パスをしよう 楽しかったパスをするこ パスもらうため パスをもらうこ

名 前 としたか ですか?パスをする・もらう とができたか に動けたか とができたか

友達 自分 友達 自分 友達 自分 友達 自分 ◎ ○ △どう動く?

学習のめあて

ェックシ トッ

ーチ

よかった◎ まあまあ○ もう少し△

カ ムゲ ーー