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Sexual AssaultSexual Assault
ACOG EDUCATIONAL BULLETINNumber 242, November 1997
性的暴行の実態性的暴行の実態
American Medical Association による報告
⇒ 21歳になるまでに5人に1人は何らかの性的暴行を受けたことがある
National Crime Victimization Survey による報告
⇒毎年およそ70万人の女性が性的暴行を受けている
被害者は恥じらいや報復に対する恐怖、罪悪感、あるいは単に認識の欠如
⇒ しばしば報告するに至らない
性的暴行の被害女性性的暴行の被害女性
女性の約44%⇒人生において性的暴行 or 未遂を受ける
⇒ 50%が2度以上経験する
15% ・・・ レイプ
8% ・・・ レイプ未遂
5.3% ・・・ 何らかの性的接触
18.2% ・・・ 医学的な治療を受ける
21% ・・・ カウンセリング
raperape--trauma syndrometrauma syndrome性的暴行の犠牲者は強い不安や怒り、恐怖などを感じる
急性期の反応の特徴
⇒ 数時間から数日続く
個々の感情の歪みや麻痺
外見上の反応
⇒ 完全に感情のコントロールを失っている状態
一見普通に振舞っている状態 or e.t.c.
raperape--trauma syndrometrauma syndrome身体の一般的な症状
⇒頭痛、慢性的な骨盤痛、摂食障害、
睡眠障害
身体の徴候
⇒フラッシュバック、膣からの分泌物、
痒み、直腸痛
感情的な訴え
⇒抑うつ、不安、気分障害
raperape--trauma syndrometrauma syndrome遅発的な反応の特徴
⇒性的暴行の後数ヶ月から数年経って起こる
フラッシュバックや悪夢、恐怖症、さらには婦人科的な訴えや月経に関する訴え
対処法
⇒深い悲しみ似ている
被害者がトラウマから抜け出し、他の人生の出来事で置き換えることが必要
⇒ カウンセリングが重要
産婦人科医産婦人科医の役割の役割
患者からのインフォームドコンセント
明確な婦人科的な病歴聴取
身体的外傷の評価・治療
被害部位の培養後、感染の治療
抗生剤の投与・予防注射
望まれない妊娠防止のための治療
HBV や HIV、梅毒の血清学的検査
カウンセリング
医師の役割医師の役割
インフォームドコンセントが重要
⇒被害者の身体や人生のコントロールを取り戻す助けとなる
被害者の40% ・・・ 外傷に対する治療が必要
⇒約1% ・・・ 入院加療や手術が必要
0.1% ・・・ 致命的
性感染症の予防、治療
望まれない妊娠の防止
スクリーニングと治療スクリーニングと治療
初診
妊娠防止
感染防止
Follow-up 診察 (2週後)Follow-up 診察 (12週後)
初診初診
被害部位から、淋菌やクラミジアの検査
標本や培養、膣スワブから膣トリコモナス症の検索
(悪臭のある分泌物があれば、細菌性膣炎や真菌の検索)
検査結果が陽性ならば、血清検査
感染防止感染防止
HBVワクチン投与
クラミジアや淋菌、トリコモナス感染、細菌性膣炎に対する治療
セフトリアキソン筋注、125mg×1メトロニダゾール経口投与、 1 × 2gドキシサイクリン経口投与、2×200mg 7日間
Center for Disease Control and Prevention によっ
て推奨されている治療法
性的暴行と性感染性的暴行と性感染
トリコモナス感染が最も多い
異性間の1回の性交による HIV感染リスク
⇒ 1%にも満たない
Center for Disease Control and Prevention ⇒大人のレイプ被害者の性感染率
淋病 ・・・ 6~12%梅毒 ・・・ 3%
⇒子供の性的虐待
淋病とクラミジア感染が最も多い
HBVHBV感染感染
性交におけるHBV感染率
⇒ HIV感染率の20倍以上
急性期の治療(感染から14日以内)
⇒ HBIGを可能な限り速く筋注
HBIG管理後
⇒ HBVワクチンを3回投与
妊娠防止妊娠防止
4錠Trilevlen
4錠ethinyl estradiol 0.03mglevonorgestrel 0.125mg
Triphasil
4錠Levlen
4錠ethinyl estradiol 0.03mglevonorgestrel 0.15mg
Nordette
4錠ethinyl estradiol 0.03mgnorgestrel 0.30mg
Lo-Ovral
2錠ethinyl estradiol 0.05mgnorgestrel 0.50mg
Ovral
1回投与量成分商品名
性的暴行と妊娠性的暴行と妊娠
性的暴行による妊娠のリスク ・・・ 2~4%⇒可能性がある場合、緊急避妊
適切な避妊法
⇒来院時と12時間後に、経口避妊薬を1回量投与
有効時間
⇒一般的に暴行から72時間以内
2週間後の再来時、妊娠が疑われた場合妊娠判定を行い、妊娠と診断されれば、中絶を含めた説明
FollowFollow--up up 診察診察
2週後
⇒ 初診時の検査と同様
12週後
⇒ 血清による感染の検索
・ 梅毒トレポネーマ
・ HIV(6ヶ月間経過をみる)
・ HBV(HBVワクチン投与後であれば必要なし)
法医学者法医学者の役割の役割
性的暴行に関する正確な記録
外傷の証明
証拠の収集
(恥毛や爪の破片、膣内分泌物、唾液、血液の付着した衣服)
必要な事柄を警察へ報告
事件と証拠との関連を保証
医師の対応(法的)医師の対応(法的)
被害者の状態の把握と共に、物証を集める
⇒証拠は時間の経過と共に失われる
∴暴行後すぐに医療機関へ行くよう促すべき
医師は患者の身体と精神の状態を記録
暴行前の性交渉(避妊していたか含めて)や性感染症の有無、最終月経、妊娠していた可能性などを聞く
⇒今の状態と事件との関連の有無を明確に
法的物証法的物証
外傷の部位と性状の確認
⇒次スライド参照
膣内分泌物からの、運動精子や酸性ホスファターゼの証明
⇒膣内に8時間、頸管粘液内に2~3日存在
採取した物質のDNA検査や病理的な証明
唾液や爪の破片、衣服、恥毛なども調べる
身体の評価身体の評価
頸部や背部、臀部、四肢の打撲、擦過傷、裂傷
外陰部や直腸の近くの操作による外傷
処女膜や膣の裂傷、尿道への傷、膣円蓋の破裂による腹腔内への瘻孔
⇒処女や老女ではよくみられる
性器や乳房の噛み痕
膣や尿道、肛門内の異物の有無
口内や咽頭の傷
ウッド光による、体表面の精液の特定
カウンセリング(患者)カウンセリング(患者)
多くの患者は、性的暴行の後すぐに感情のコントロールができているようにみえるが、見かけの状態に関わらず、将来的に rape-trauma syndrome の様相を呈することになる
被害者は感情の動揺や抑うつ、不安、フラッシュバックなどの症状に気を付ける
⇒ これらの症状が出たら、適切な治療やカウン
セリングを受ける
カウンセリング(カウンセラー)カウンセリング(カウンセラー)
rape-trauma の被害者に対する専門家は、カウンセリングを受け、経過をみることを促す
患者や医師、カウンセラーで話し合って計画を立てる
患者が必要としていること、医師に望んでいることを考慮
この時、口頭ではなく記録に残す
精神的な症状が現れた場合には、計画より優先して緊急処置を取るように
カウンセリング(医師)カウンセリング(医師)
医師は外傷の程度や、感染、妊娠の可能性について、患者と話し合う
⇒患者の望む方向性を明確に
被害者自身の口から、暴行された際の経緯を詳しく聞く
⇒今後どうなっていくのかについて、どれだけ理解しているかを確認
⇒医師は誤解を正し、可能な時はいつでも彼女の不安を和らげるように
カウンセリング(カウンセリング(FollowFollow--upup))患者は医学的、心理学的状態の経過をみていく必要があり、その計画は暴行や虐待からの時期によって異なる
初診から約2週後に患者の状態を再評価し、
個々の必要に応じて、引き続きカウンセリング
患者の来院時には、恥じることはないことを強調し、彼女の今の心境について話し合うことが重要
特殊な状況特殊な状況
赤子や幼児に対する暴行、子供に対する近親相姦、身体障害者や老人に対する暴行など
診断の際、医師は暴行が起こった可能性を考える必要があり、確定したら警察へ報告
加害者から保護できる環境へ移送することや、被害者に対する治療・カウンセリングを行うことも考慮
Sexual AssaultSexual Assault
M6 松元 祐司
ACOG EDUCATIONAL BULLETINNumber 242, November 1997