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ふくおか 6 次産業化・ 農商工連携サポートセンター支援企業訪問 No. 17 花田農園の家系図をさかのぼると400年ほど鞍 手の地で営農していたことが分かる。だが戦後の 農地改革で土地を多く削られ、日高社長の父・花 田辰彦氏が早期退職して農家を始めるまで、休眠 に近い状態が続いていた。 稲作ではもうけが少ないと考えた花田氏は、多 角化の一環としてハウスでのトマト栽培を始めた がこれが当たった。2000年には娘の日高ゆかり 氏も営農に参加、現在は5万平方メートルの水田 で稲作を、2万平方メートルの畑でブロッコリー を栽培する。そのほか3000平方メートルのハウ スで夏はトマト、冬は春菊、またカボチャやキュ ウリなども露地栽培している。 本格的な野菜栽培を始めたことで、売上高は過 去10年間で倍増した。それでも米価の値下がり と資材費高騰で経営は楽でない。そうしたなか国 が進める農家の所得倍増、女性活用、販路開拓支 援について(公財)福岡県中小企業振興センター に相談し、ふくおか6次産業化・農商工連携サ ポートセンターから支援を受けて加工食品の開 発、生産、販路拡大に取り組んでいる。15年に は株式会社化により体制整備を図り、栽培するト マトを使ったケチャップやソースを福岡市内の百 貨店で販売した。 さらに業容拡大を目指して、敷地内に冷凍庫や スチームコンベクションオーブンなどを備えた加 工所も設置。新商品開発に余念がない。そして今 年、食品メーカーの竹千寿(福岡県宮若市)らと 連携して開発したスープ「ひだまりとアンダンテ」 を、同社を通じて発売した。日高社長は「加工品 を成功させたい。ブランドをしっかり育てて、農 業者の販路拡大にも貢献したい」と意気込んでい る。 企業の歩み 少子高齢化社会を迎えて苦しんでいるのは製造業だけではない。特に農家は後継者不足が深刻で、日 本の農業は危機に立たされている。花田農園の日高ゆかり社長は稲作から野菜、そして自家栽培の野菜 を使った加工品と収益重視の経営にシフトしている。農商工連携による6次産業化への挑戦で、冬の時 代でも「生き残る」覚悟だ。 野菜は道の駅などの店舗でも販売される 加工所ではスープやケチャップが時間をかけて製造される お問い合わせ ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンター TEL:092-622-7575 株式会社 花田農園 8 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2018.7

株式会社 花田農園 農業が終わってしまう。企業概要 ・ 問 No . 7 花田農園の家系図をさかのぼると400年ほど鞍 手の地で営農していたことが分かる。だが戦後の

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  • 企業概要

    ふくおか 6次産業化・

    農商工連携サポートセンター支援企業

    訪問No.17

     花田農園の家系図をさかのぼると400年ほど鞍手の地で営農していたことが分かる。だが戦後の農地改革で土地を多く削られ、日高社長の父・花田辰彦氏が早期退職して農家を始めるまで、休眠に近い状態が続いていた。 稲作ではもうけが少ないと考えた花田氏は、多角化の一環としてハウスでのトマト栽培を始めたがこれが当たった。2000年には娘の日高ゆかり氏も営農に参加、現在は5万平方メートルの水田で稲作を、2万平方メートルの畑でブロッコリーを栽培する。そのほか3000平方メートルのハウスで夏はトマト、冬は春菊、またカボチャやキュウリなども露地栽培している。 本格的な野菜栽培を始めたことで、売上高は過去10年間で倍増した。それでも米価の値下がりと資材費高騰で経営は楽でない。そうしたなか国が進める農家の所得倍増、女性活用、販路開拓支

    援について(公財)福岡県中小企業振興センターに相談し、ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンターから支援を受けて加工食品の開発、生産、販路拡大に取り組んでいる。15年には株式会社化により体制整備を図り、栽培するトマトを使ったケチャップやソースを福岡市内の百貨店で販売した。 さらに業容拡大を目指して、敷地内に冷凍庫やスチームコンベクションオーブンなどを備えた加工所も設置。新商品開発に余念がない。そして今年、食品メーカーの竹千寿(福岡県宮若市)らと連携して開発したスープ「ひだまりとアンダンテ」を、同社を通じて発売した。日高社長は「加工品を成功させたい。ブランドをしっかり育てて、農業者の販路拡大にも貢献したい」と意気込んでいる。

    企業の歩み

    メッセージ

     きつく、時間もコストもかかる農業の現場では若い人が働きたがらない。このままでは日本の農業が終わってしまう。「ひだまりとアンダンテ」は生産現場のノウハウが鮮度、糖度として反映され、チキンブイヨンも自

    家製にこだわった素朴さが特徴。個食はもちろん、ソースやペーストなど調味料としても利用できる、地方ならではの温かみを感じるブランドと

    いう自信がある。利益が出る、楽しい、やってみたいと思えるような農業をこれからも目指していく。

    名 称代 表 者所 在 地TEL/FAX

    U R L従業員数事業内容

    株式会社花田農園日高 ゆかり福岡県鞍手郡鞍手町新延19340949-42-3750

    hanada-nouen@hb.tp1.jp10人(パート含む)米、野菜栽培、加工品製造

     少子高齢化社会を迎えて苦しんでいるのは製造業だけではない。特に農家は後継者不足が深刻で、日本の農業は危機に立たされている。花田農園の日高ゆかり社長は稲作から野菜、そして自家栽培の野菜を使った加工品と収益重視の経営にシフトしている。農商工連携による6次産業化への挑戦で、冬の時代でも「生き残る」覚悟だ。

    野菜は道の駅などの店舗でも販売される

    自家栽培のトマトを使った特製ケチャップ

    自家栽培野菜を使ったオリジナルスープ「ひだまりとアンダンテ」でブランド力を上げる

    加工所ではスープやケチャップが時間をかけて製造される

    お問い合わせ ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンターTEL:092-622-7575

    日高 ゆかり 代表取締役

    株式会社花田農園

     平成30年6月18日(月)に人手不足が経営課題となっている県内中小企業に対し、海外(韓国)高度人材の活用に関する情報提供を行う目的で、本セミナーが開催、初開催の今回は40名近くの方々が参加されました。 セミナーでは、㈱ジェイ・ケイ・コネクト取締役の金 崇寛 氏を講師に迎え、海外高度人材をどうすれば活用できるのか、活用するための必要な知識等について講演いただき、講演の終わりには日本語で流暢に自身をアピールするインターンシップの学生の動画も流れました。次に第一施設工業㈱取締役会長の篠原 統 氏、ナサ工業㈱ 代表取締役の長澤 貢多 氏からインターンシップ受入企業として、海外展開での有用性、受け入れ企業としての心がけるべきこと等について講演いただき、有意義なセミナーとなりました。

    ㈱ジェイ・ケイ・コネクト取締役の金 崇寛 氏

    動画でPRする学生 採用した韓国の学生を紹介する第一施設工業㈱ 取締役会長の篠原 統 氏

    コミュニケーションが最重要と語るナサ工業㈱ 代表取締役の長澤 貢多 氏

    「海外高度人材活用セミナー」開催

    お問い合わせ 情報取引推進課 TEL:092-622-66808 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2018.7

  • 企業概要

    ふくおか 6次産業化・

    農商工連携サポートセンター支援企業

    訪問No.17

     花田農園の家系図をさかのぼると400年ほど鞍手の地で営農していたことが分かる。だが戦後の農地改革で土地を多く削られ、日高社長の父・花田辰彦氏が早期退職して農家を始めるまで、休眠に近い状態が続いていた。 稲作ではもうけが少ないと考えた花田氏は、多角化の一環としてハウスでのトマト栽培を始めたがこれが当たった。2000年には娘の日高ゆかり氏も営農に参加、現在は5万平方メートルの水田で稲作を、2万平方メートルの畑でブロッコリーを栽培する。そのほか3000平方メートルのハウスで夏はトマト、冬は春菊、またカボチャやキュウリなども露地栽培している。 本格的な野菜栽培を始めたことで、売上高は過去10年間で倍増した。それでも米価の値下がりと資材費高騰で経営は楽でない。そうしたなか国が進める農家の所得倍増、女性活用、販路開拓支

    援について(公財)福岡県中小企業振興センターに相談し、ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンターから支援を受けて加工食品の開発、生産、販路拡大に取り組んでいる。15年には株式会社化により体制整備を図り、栽培するトマトを使ったケチャップやソースを福岡市内の百貨店で販売した。 さらに業容拡大を目指して、敷地内に冷凍庫やスチームコンベクションオーブンなどを備えた加工所も設置。新商品開発に余念がない。そして今年、食品メーカーの竹千寿(福岡県宮若市)らと連携して開発したスープ「ひだまりとアンダンテ」を、同社を通じて発売した。日高社長は「加工品を成功させたい。ブランドをしっかり育てて、農業者の販路拡大にも貢献したい」と意気込んでいる。

    企業の歩み

    メッセージ

     きつく、時間もコストもかかる農業の現場では若い人が働きたがらない。このままでは日本の農業が終わってしまう。「ひだまりとアンダンテ」は生産現場のノウハウが鮮度、糖度として反映され、チキンブイヨンも自

    家製にこだわった素朴さが特徴。個食はもちろん、ソースやペーストなど調味料としても利用できる、地方ならではの温かみを感じるブランドと

    いう自信がある。利益が出る、楽しい、やってみたいと思えるような農業をこれからも目指していく。

    名 称代 表 者所 在 地TEL/FAX

    U R L従業員数事業内容

    株式会社花田農園日高 ゆかり福岡県鞍手郡鞍手町新延19340949-42-3750

    hanada-nouen@hb.tp1.jp10人(パート含む)米、野菜栽培、加工品製造

     少子高齢化社会を迎えて苦しんでいるのは製造業だけではない。特に農家は後継者不足が深刻で、日本の農業は危機に立たされている。花田農園の日高ゆかり社長は稲作から野菜、そして自家栽培の野菜を使った加工品と収益重視の経営にシフトしている。農商工連携による6次産業化への挑戦で、冬の時代でも「生き残る」覚悟だ。

    野菜は道の駅などの店舗でも販売される

    自家栽培のトマトを使った特製ケチャップ

    自家栽培野菜を使ったオリジナルスープ「ひだまりとアンダンテ」でブランド力を上げる

    加工所ではスープやケチャップが時間をかけて製造される

    お問い合わせ ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンターTEL:092-622-7575

    日高 ゆかり 代表取締役

    株式会社花田農園

     平成30年6月18日(月)に人手不足が経営課題となっている県内中小企業に対し、海外(韓国)高度人材の活用に関する情報提供を行う目的で、本セミナーが開催、初開催の今回は40名近くの方々が参加されました。 セミナーでは、㈱ジェイ・ケイ・コネクト取締役の金 崇寛 氏を講師に迎え、海外高度人材をどうすれば活用できるのか、活用するための必要な知識等について講演いただき、講演の終わりには日本語で流暢に自身をアピールするインターンシップの学生の動画も流れました。次に第一施設工業㈱取締役会長の篠原 統 氏、ナサ工業㈱ 代表取締役の長澤 貢多 氏からインターンシップ受入企業として、海外展開での有用性、受け入れ企業としての心がけるべきこと等について講演いただき、有意義なセミナーとなりました。

    ㈱ジェイ・ケイ・コネクト取締役の金 崇寛 氏

    動画でPRする学生 採用した韓国の学生を紹介する第一施設工業㈱ 取締役会長の篠原 統 氏

    コミュニケーションが最重要と語るナサ工業㈱ 代表取締役の長澤 貢多 氏

    「海外高度人材活用セミナー」開催

    お問い合わせ 情報取引推進課 TEL:092-622-6680BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2018.7 9

    ビジサポ福岡195号.pdf