13
1 八尾保健所管内 禁煙指導者講習会 (2012年3月15日、八尾市) 禁煙支援・治療は面白い ーその方法と実際ー 1.禁煙治療の現状と課題 大阪府立健康科学センター 健康生活推進部 中村正和 2.禁煙支援・治療の意義 3.日常診療等の場での禁煙勧奨と治療の実際 禁煙治療の現状と課題 禁煙治療に対する保険適用 「ニコチン依存症管理料」の新設(2006年4月) ●ニコチン依存症と診断された患者のうち、直ちに禁煙することを希望す る者に対しては、一定期間(12週間、5回)の指導に対して、診療報 酬上の評価を行う。5回分合計の保険点数は962点。 ●指導内容はカウンセリングと薬物療法ニコチンパッチとバレニクリンが禁煙補助剤として薬価収載 入院前に外来で治療を開始すれば、入院中も保険薬として処方でき る。 禁煙開始日 2週後 4週後 8週後 12週後 初回診察 再診 ニコチン依存症のメカニズム 脳内報酬回路 側坐核 腹側被蓋野 ニコチン受容体 ニコチン ドーパミン 25.1 % 大阪府における届出医療機関の割合 -病院・診療所別- 病院 11.7 % 診療所 (N=537) (N=8,231) 全国 * 23.5% 全国 * 11.3% 【参考】 * 日本禁煙学会ホームページ 「禁煙治療に保険が使える医療機関数と総計」(平成23年12月21日現在)より引用 大阪府における病院の禁煙化の実態 調査年度(回答病院) 敷地内禁煙 建物内禁煙 2005年度(560) 7.5% 55.2% 2006年度(546) 19.2% 49.6% 目標:すべての医療機関の禁煙化 (大阪府健康増進計画、2008/大阪府がん対策推進計画、2008) 2007年度(545) 27.0% 44.8% 2008年度(540) 31.5% 43.7% 2009年度(538) 36.6% 43.7% 2010年度(539) 42.1% 41.6% 病院機能評価ver5(全館禁煙)2005年7月導入 保健所による医療監視の機会等を活用した調査 (大阪府「医療機関における分煙・禁煙化対策及び禁煙サポート調査」)

禁煙治療の現状と課題 · 禁煙指導の実施者(医師+その他の職種) -0.112 0.098 1.143 1.054 独自手順書あり 0.053 0.121 0.438 1.006 医師1回あたりの平均指導時間(初回)

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1

八尾保健所管内 禁煙指導者講習会 (2012年3月15日、八尾市)

禁煙支援・治療は面白いーその方法と実際ー

1.禁煙治療の現状と課題

大阪府立健康科学センター健康生活推進部 中村正和

2.禁煙支援・治療の意義

3.日常診療等の場での禁煙勧奨と治療の実際

禁煙治療の現状と課題

禁煙治療に対する保険適用

「ニコチン依存症管理料」の新設(2006年4月)

●ニコチン依存症と診断された患者のうち、直ちに禁煙することを希望す

る者に対しては、一定期間(12週間、5回)の指導に対して、診療報

酬上の評価を行う。5回分合計の保険点数は962点。

●指導内容はカウンセリングと薬物療法。

●ニコチンパッチとバレニクリンが禁煙補助剤として薬価収載

●入院前に外来で治療を開始すれば、入院中も保険薬として処方でき

る。禁煙開始日

2週後 4週後 8週後 12週後

初回診察

再診

ニコチン依存症のメカニズム

脳内報酬回路

側坐核

腹側被蓋野

ニコチン受容体

ニコチン

ドーパミン

25.1

%

大阪府における届出医療機関の割合-病院・診療所別-

病院

11.7

%

診療所

(N=537) (N=8,231)

全国* 23.5% 全国* 11.3%【参考】

* 日本禁煙学会ホームページ 「禁煙治療に保険が使える医療機関数と総計」(平成23年12月21日現在)より引用

大阪府における病院の禁煙化の実態

調査年度(回答病院) 敷地内禁煙 建物内禁煙

2005年度(560) ← 7.5% 55.2%

2006年度(546) 19.2% 49.6%

目標:すべての医療機関の禁煙化(大阪府健康増進計画、2008/大阪府がん対策推進計画、2008)

2007年度(545) 27.0% 44.8%

2008年度(540) 31.5% 43.7%

2009年度(538) 36.6% 43.7%

2010年度(539) 42.1% 41.6%

← 病院機能評価ver5(全館禁煙)2005年7月導入

保健所による医療監視の機会等を活用した調査

(大阪府「医療機関における分煙・禁煙化対策及び禁煙サポート調査」)

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タイプライターテキスト
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1.主催者名:大阪府八尾保健所・八尾市保健センター・八尾市立病院(2012年3月15日) 2.研修会: 禁煙指導者講習会 3.講演会タイトル: 禁煙支援・治療は面白い-その方法と実際 4.講師名: 中村正和(大阪府立健康科学センター健康生活推進部長)
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Page 2: 禁煙治療の現状と課題 · 禁煙指導の実施者(医師+その他の職種) -0.112 0.098 1.143 1.054 独自手順書あり 0.053 0.121 0.438 1.006 医師1回あたりの平均指導時間(初回)

2

病院機能評価 統合版評価項目V6.0

◆「環境、サービス」から「運営」に関わる項目として位置付けVer.5.0「3 療養環境と患者サービス」

↓Ver.6.0「1 病院組織の運営と地域における役割」

◆「禁煙に取り組んでいる」→「禁煙が徹底されている」◆ 禁煙に取り組んでいる」→ 禁煙が徹底されている」Ver.6.0

1.7.2 禁煙が徹底されている☆ 敷地内禁煙を高く評価(前回より継続)

1.7.2.1 全館禁煙が遵守されている①全館禁煙の方針が明確にされ、禁煙が徹底されている

1.7.2.2 患者ならびに職員の禁煙を積極的に推進している①患者や職員に対して、禁煙の啓発や教育を行っている

☆禁煙外来の実施を明記 朝日新聞、2012年1月29日

たばこ対策への評価平成24年度診療報酬改定

(平成24年度診療報酬改定説明会資料、2012年3月5日)

ニコチン依存症治療の状況別にみた指導終了9ヶ月後の状況

平成19年度調査(第1回調査) 平成21年度調査(第2回調査)

(第1回調査; 中医協 総会資料, 2008年7月 / 第2回調査; 中医協総会資料, 2010年6月)

マルチレベル分析結果平成21年度調査

推定値 標準誤差 5%有意 オッズ比

定数項 -3.399 0.3 11.33

患者変数

年齢 0.01 0.003 3.333 1.010

1日あたりの喫煙本数 -0.013 0.004 3.25 0.987

保険再算定あり -0.39 0.121 3.223 0.677

合併症_精神疾患あり -0.964 0.228 4.228 0.381

算定回数 0.578 0.035 16.514 1.782

禁煙補助薬の使用状況

モデル3

禁煙補助薬の使用状況

  ニコチンパッチのみ(ref)

  バレニクリンのみ 0.212 0.096 2.208 1.236

  ニコチンパッチ・バレニクリン(切替使用) -0.421 0.352 1.196 0.656

  ニコチンパッチとニコチンガム 0.105 0.502 0.209 1.111

  その他 -0.302 0.202 1.495 0.739

  いずれも使用せず 0.591 0.301 1.963 1.806

施設変数

禁煙指導の実施者(医師+その他の職種) -0.112 0.098 1.143 1.054

独自手順書あり 0.053 0.121 0.438 1.006

医師1回あたりの平均指導時間(初回) 0.006 0.004 1.5 1.137

禁煙治療に従事する医師の禁煙治療に携わっている年数(平均値) 0.128 0.059 2.169 1.027

残差 0.027 0.027 1

(注)灰色の網掛け部分は、5%水準で有意と認められたオッズ比である。 (中医協 総会資料, 2010年6月)

禁煙者の禁煙行動の実態 2005年→2011年

23.0 27.8 24.9

28.8 28.3 35.8

0

10

20

30

40

2005.6 2006.6 2007.6 2008.6 2009.6 2010.6

年間禁煙試行率

P<0.01

1.3倍

7 7

13.310

15喫煙者全体における年間禁煙率(7日間断面) 1.7倍

5.9 7.1 7.7 8.4 7.7

0

5

2005.6 2006.6 2007.6 2008.6 2009.6 2010.6

P<0.001

25.6 25.5 30.9 29.3 27.2

37.3

13.5 11.1 17.4 18.0 16.6

11.0

0

10

20

30

40

2005.6 2006.6 2007.6 2008.6 2009.6 2010.6

禁煙試行者における禁煙率

禁煙治療やOTC薬を用いた割合

P<0.05

P<0.01

(注) 年間禁煙試行率、年間禁煙率、禁煙試行者における禁煙率と禁煙治療やOTC薬を用いた割合は、それぞれの起点から1年後の割合を算出して計算した。

1.4倍

(平成23年度 厚労科学 第3次対がん研究 中村班)

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3

禁煙行動に関する国別の比較

年間禁煙試行率

禁煙試行者における各種禁煙支援の利用割合

禁煙補助薬の使用割合

専門的な禁煙治療の利用割合*

クイットラインの利用割合*

アメリカ 38.2% 40.5% 12.3% 9.3%

カナダ 33.8% 46.3% 14.8% 7.2%

イギリス 30.5% 47.2% 17.2% 6.2%

フランス 23.9% - 8.2% 2.8%

3 2%ドイツ 19.7% 7.9% 3.3% 3.2%

日本 28.3% 16.6% 7.4% -

韓国 49.0% 24.3% 12.3% 3.9%

中国 18.3% 9.5% - 3.9%

オーストラリア 34.8% 43.4% 3.9% 9.9%

ニュージーランド 36.9% 25.2% 6.2% 12.2%

(注) 日本以外のデータはInternational Tobacco Control Policy Evaluation Project: FCTC Article 14 Tobacco Dependence and Cessation Evidence from the ITC Project, 2010. http://www.itcproject.org/keyfindi/itccessationreportpdfより引用 (数値はDr.Borlandとのpersonal communicationにより入手)日本のデータは、厚労科学第3次対がん研究(中村班)による喫煙者コホート調査(2010年6月実施分)による。

*印で示した項目については、ドイツ、フランスは 近6ヵ月間の状況把握に基づく。(中村正和: 日本禁煙医師連盟通信. 20(1): 2-6, 2011)

禁煙試行者の禁煙継続率-禁煙方法別

80

100(%)

* p<0.05** p<0.01

禁煙治療の補正再喫煙オッズ比(自力との比較)0.50 (95%CI: 0.26-0.99) DTSA法による解析

(注) 年齢、禁煙経験の有無、医療機関の受診と医師のアドバイスで補正

調査期間中(2005.6~2009.6)に禁煙試行を実施した668名の禁煙継続率の推移- カプランマイヤー法による分析 (平均追跡調査 2.7年) -

31.0

21.2 17.8 16.7

16.911.3 11.3 11.3

48.5

39.7 39.7 39.7

0

20

40

60

禁煙試行 直後の追跡調査 1年後 2年後 3年後

*

***

(一般化ウイルコクスン検定)

禁煙治療(N=33)

OTC(ガム)(N=53)

自力(N=572)

(厚労科学 第3次対がん研究 中村班)

禁煙支援・治療-今後の課題

1.保険適用の範囲や条件の拡大・入院患者、若年者

・再治療、長期治療(特に精神疾患など禁煙困難症例)・歯科の新設、施設要件の見直し(看護師の専任など)

2 健診と医療が連携した禁煙の推進2.健診と医療が連携した禁煙の推進・健診での禁煙勧奨の制度化→薬局・医療機関への紹介

・電話による無料禁煙相談(Quitline)

3.届出医療機関数の量的拡大と治療の質の確保・インセンティブ(病院機能評価や診療報酬上の評価)・指導者トレーニングの体制づくり;J-STOP

ニコチン依存症管理料の算定要件等の見直しならびに「ニコチン依存症指導料」(仮称)の新設に関する要望書の提出

1.ニコチン依存症管理料の算定要件等の見直し

1)入院中の患者に対する適用拡大

2)未成年者等の若年者への適用範囲の拡大

3)治療期間の延長)治療期間 延長

4)1年以内の再治療への保険適用拡大

5)専任看護師等の配置条件の緩和

6)歯科疾患の管理指導報酬における禁煙指導の重視

2.「ニコチン依存症指導料」(仮称)の新設

禁煙支援・治療の意義

禁煙治療の意義

1.ニコチン依存症の治療

2 たばこ病の予防2.たばこ病の予防

3.治療中の病気の重症化予防

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4

高LDLコレステロール

ヘリコバクターピロリ感染

飲酒

食塩摂取

高血糖

運動不足

高血圧

喫煙循環器 33,400 がん 77,400 呼吸器 18,100

128,900

103,900

わが国の死亡原因-男女計(2007年)

0 20 40 60 80 100 120 140

トランス脂肪酸の高摂取

ヒトT細胞白血球ウイルス1型感染

ヒト・パピローマウイルス感染

野菜果物の低摂取

B型肝炎ウイルス感染

過体重・肥満(高BMI)

多価不飽和脂肪酸の低摂取

C型肝炎ウイルス感染

循環器疾患悪性新生物糖尿病その他の非感染性疾病呼吸器系疾患外因

死亡数 (1000人)

(Ikeda N, et al: PLoS Med. 2012; 9(1): e1001160.)

喫煙が原因として占める割合(男性の成績)

(Katanoda K, et al: J Epidemiol, 18: 251-264, 2008)

* 腹部大動脈瘤は60.3%

禁煙による肺機能の経年変化の改善Lung Health Study

軽・中等度のCOPDを有する喫煙者(35-60歳 5,887人、11年間追跡)1秒率70%未満かつ1秒量(予測値の割合)55~90%

(Anthonisen et al, Am J Respin Crit Care Med 166: 675-679, 2002)

【参考】11年後時点で1秒量が予測値の60%未満の者の割合通常ケア群38% 特別介入群10%

1秒量(FEV1)

1秒率(FEV1%)

PCI 施行後患者の喫煙状況と死亡・再発リスク

1.34 1.281.21

1.44

1.76

2.08

1.5

2.0

2.5 非喫煙PCI前に禁煙PCI後に禁煙喫煙

相対危

1.00 1.00

0.0

0.5

1.0

全死亡 心筋梗塞再発

危険度

Hasdi D, et al.:N Engl J Med 336:755, 1997

対象: PCI成功患者5,437例方法: PCI施行後の死亡、心イベントにつき平均4.5年にわたり追跡し、喫煙状況との関連を調査

凝固・線溶能の亢進

血管内皮の傷害

喫煙による動脈硬化のメカニズム

糖代謝障害 脂質代謝障害

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5

喫煙によって動脈硬化が進行するメカニズム

1.喫煙の血管内皮への直接作用一酸化窒素やプロスタサイクリンなどの血管拡張物質の産生低下酸化LDLコレステロールの増加

2.凝固・線容系障害を介する作用血小板凝集促進、フィブリノーゲンの増加

上昇 介し 線溶系 抑制PAI-1の上昇を介した線溶系の抑制

3.糖代謝障害炎症や酸化ストレス、膵β細胞障害を介するインスリン感受性の低下

※酸化ストレス→アディポネクチンの減少やTNFαの増加交感神経の緊張による血糖の上昇

4.脂質代謝障害脂肪組織のリポ蛋白分解酵素の低下→TGの増加やHDLの低下

喫煙状況別にみた糖尿病の発症リスク25のコホート研究のメタアナリシスの結果

1.61(1.43-1.80)

1 00

1.23(1.14-1.33)

1.44(1.31-1.58) 1.29

(1.13-1.48)

2.0

1.00

0.0

1.0

非喫煙者 禁煙者 喫煙者 20本未満 20本以上

喫煙者

(Willi C, et al. JAMA 298: 2654-2664, 2007)

喫煙と心血管死亡リスクの関係(2型糖尿病患者,コホート研究)

Al-Delaimy WK, et al. Diabetes Care. 2001; 24: 2043- 2048.

喫煙と蛋白尿の関係(2型糖尿病患者,横断研究)

Ikeda Y, et al. Diabetes Res Clin Pract. 1997; 36: 57- 61.

喫煙とCKDの発症リスク(2型糖尿病患者,横断研究)

De Cosmo S, et al. Diabetes Care. 2006; 29: 2467-2470.より一部改変

注1) 推定糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2をCKDと定義注2) 糖尿病の罹病期間,グリコヘモグロビン(HbA1c),アルブミン尿,脂質異常で調整

喫煙によるメタボリックシンドロームの発症リスク-追跡調査成績-

1 14

1.59*1.45*

2

35-59歳職場健診受診者、男性 2,994名

* 統計学的に有意(p for trendも有意)

1.001.14

0

1

非喫煙者 1-20本/日 21-30本/日 31本以上/日

(Nakanishi, 2005)※メタボリックシンドロームの定義はNCEP-ATPⅢによる

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6

喫煙とメタボの組み合わせによる循環器疾患のリスク

2.07* 2.09*

3.56*

11.9% 2.67*

2.33*

4.84*

7.1%

6 7

Higashiyama A, et al. Circ J 2009; 73: 2258-63

1.00 1.00

6.7%

※日本人40-74歳男女3,911例:12年間の追跡調査多変量解析(年齢、飲酒、GFR、nonHDLコレステロールで補正)

☆メタボリック・シンドロームの定義はNCEP/ATPⅢによる

* 統計学的に有意

特定保健指導における体重4%減少に対する喫煙の影響

6ヵ月後(N=2977)

特性 多変量調整オッズ比(95%CI)

年齢 49.3±6.2歳 1.01(0.99-1.02)

BMI 26.1±2.6kg/m2 0.99(0.96-1.03)

減量ステージ(無関心・関心期/その他)

27.5% 1.00(0.83-1.22)

血液検査告知あり/なし 7 9% 1 94(1 45 2 60)**血液検査告知あり/なし 7.9% 1.94(1.45-2.60)**

喫煙なし/あり 47.1% 1.28(1.05-1.55)*

飲酒なし/あり 25.1% 1.28(1.05-1.55)*

完了あり/なし 65.7% 1.43(1.19-1.73)**

支援レベル(積極的/動機づけ)

81.2% 1.25(0.97-1.61)

(注) 完了ありとは動機づけ支援では6ヵ月評価ができた者、積極的支援では支援ポイントがA160以上、B20以上を満たした者減量ステージの無関心期:「6ヵ月以内に改善するつもりはない」、その他:関心期「6ヵ月以内に改善しようと思う」、準備期「1ヵ月以内に改善しようと思う」、実行期「すでにできてると思う」 **P<0.01、*P<0.05

(平成23年度 厚労科学 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 津下班)

現在喫煙および禁煙年数別にみた各習慣ありのオッズ比-男性N=4009

身体活動栄養バランス

飲酒 塩分

解析対象:現在喫煙N=1348、禁煙3年未満N=249、禁煙3~5年未満N=168、禁煙5年以上N=889、非喫煙N=1355調整因子:『栄養バランス、塩分』;年齢、職業、身体活動、飲酒、『身体活動』;年齢、職業、食事スコア、飲酒、『飲酒』;年齢、職業、身体活動、食事スコアp for trendの検定においては、現在喫煙者および過去喫煙者を解析対象とした (Nakashita Y, et al: Japanese Journal of Health Education and Promotion. 19(3): 204-216, 2011)

現在喫煙および禁煙年数別にみた各習慣ありのオッズ比-男性N=4009

栄養バランス栄養バランス

油脂 エネルギー

解析対象:現在喫煙N=1348、禁煙3年未満N=249、禁煙3~5年未満N=168、禁煙5年以上N=889、非喫煙N=1355調整因子:『栄養バランス、油脂、エネルギー』;年齢、職業、身体活動、飲酒p for trendの検定においては、現在喫煙者および過去喫煙者を解析対象とした (Nakashita Y, et al: Japanese Journal of Health Education and Promotion. 19(3): 204-216, 2011)

生活習慣改善のドミノ倒しー健康生活への扉を開くー

スト

健診のト

レス

の未受診

1.健康意識が低いことの影響

2.ニコチン依存症の影響ニコチンを補給するための喫煙行動を優先

→運動不足、食事の質の低下

依存性薬物の相互作用

喫煙者において生活習慣の偏りが考えられる理由

依存性薬物の相互作用

→飲酒頻度や飲酒量の増加

3.喫煙による味覚・嗅覚への影響→塩分摂取の増加、野菜・果物の摂取不足など

4.喫煙による抑うつ作用→運動不足、食事の偏り

(Nakashita Y, et al: Japanese Society of Health Education and Promotion. 19(3): 204-216, 2011)

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7

以上をまとめると、1.喫煙は多くの病気と関係があり、

禁煙は健康の大前提といえる

2.喫煙していると、減量指導の効果など、他の生活習慣の改善にも悪影響を与える可能性がある。

3 禁煙すると他の生活習慣の改善への波及効果3.禁煙すると他の生活習慣の改善への波及効果も期待できる。

したがって、禁煙を先送りせずに、まず禁煙から取り組むことが大切である。

キーワードは 「禁煙ファースト」

特定健康診査における禁煙の勧奨・支援のための制度化に関する要望書の提出

健診の場での短時間(1-2分間)の

禁煙介入の効果-断面禁煙率-

特定健診における禁煙介入の経済効果(累積)

高血圧者、喫煙者に対する特定保健指導について

(第3回健診・保健指導の在り方に関する検討会資料、2012年2月6日)

健康改善の効果

(朝日新聞、2010年9月29日) (健保連: けんぽフォトニュース、第421号、2011年)

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妊婦の喫煙と影響

★は妊婦本人が喫煙しなくても周囲の喫煙だけでもリスクが上昇することが明らかにされている。

(アメリカ公衆衛生長官報告書, 2004および2006)

日常診療等の場での禁煙勧奨と治療の実際禁煙勧奨と治療の実際

禁煙の声かけ禁煙外来

日常診療や健診等の場における禁煙推進

禁煙の声かけ薬局・薬店

Ask (喫煙状況の把握)

Brief advice(簡易なアドバイス)

Refer (医療機関や薬局の紹介)

Cessation support(禁煙支援の実施)

禁煙の効果的な声かけ

1.禁煙の重要性を伝える

※禁煙すべきであることを「はっきり」と伝える

※禁煙が「重要かつ優先順位が高い健康課題である」ことを強調する

Brief advice(簡易なアドバイス)

※禁煙が「重要かつ優先順位が高い健康課題である」ことを強調する

※喫煙の健康影響、禁煙の効果について「個別的に」情報提供する

2.禁煙のソリューションを提案する※自力で禁煙するよりも、禁煙補助剤や禁煙外来を利用した方が

「楽に」「より確実に」「費用もあまりかからずに」禁煙できる

ことを伝える

禁煙の重要性を伝えるー健診の場

•病歴:喫煙関連疾患

糖尿病、脳血管障害(脳梗塞、SAH)、虚血性心疾患(異型狭心症を含む)、消化性潰瘍、COPDなど

•検査異常脂質系(HDL↓ LDL↑ TG↑) 糖代謝(血糖↑)脂質系(HDL↓、LDL↑、TG↑)、糖代謝(血糖↑)

多血症(RBC↑、Hb↑)、白血球増多(WBC↑)

※メタボリック・シンドローム

•自覚症状呼吸器系(咳、痰、息切れ)など、喫煙関連症状

(注)何も該当しない場合の対応

たばこを吸うのはもったいない身近な情報を提供し、やる気にさせよう

(中村正和、他: 禁煙ファースト通信 No.1、:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、2010年)

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たばこを吸うのはもったいない身近な情報を提供し、やる気にさせよう

(中村正和、他: 禁煙ファースト通信 No.1、:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、2010年)

禁煙を手助けする薬剤の情報提供が重要!

■ 禁煙しようと思っている、または関心がある場合

「禁煙するなら禁煙の薬を使うと結構楽に、しかも確実に禁煙ができますよ。

私達は水曜日午後に禁煙外来を実施していますが、皆さん禁煙の薬を使っ

てうまく禁煙されています。しかも保険で禁煙治療が受けられるようになって

1-2ヵ月分程度のたばこ代で治療が受けられるようになりました。お知り合い

の医療機関や産業医の先生に相談して処方してもらって下さい。」

■ 禁煙に関心がない場合

「今のところ、禁煙に関心をお持ちでないようですが、今後禁煙しようと思われ

た場合に、これからお話しすることを覚えておかれるときっと役にたつと思い

ますよ。それは、禁煙する際には自力でなく、禁煙の薬を使うと、結構楽に禁

煙できるということなんです。私達は水曜日午後に禁煙外来を実施していま

すが、皆さん禁煙の薬を使ってうまく禁煙されています。しかも保険で禁煙治

療が受けられるようになって1-2ヵ月分程度のたばこ代で治療が受けられる

ようになりました。今後禁煙する時のために覚えておかれるといいですよ。」

禁煙の補助剤や治療を受けると

①比較的楽にやめられる ②より確実にやめられる

禁煙の可能性が

禁煙補助剤で2~3倍アップ指導を受けるとその内容に応じて3倍近くまでアップ

(出典: U.S, Department of Health and Human Services. Treating Tobacco Use and Dependence, 2008.)

2~3日 (day)

禁断症状の強さ

つらい禁煙

無理なく禁煙

禁煙

③あまりお金をかけずにやめられる

保険による禁煙治療とタバコ代の比較 (いずれも12週分の費用)

ニコチンパッチ (貼り薬)

12,820円

バレニクリン (のみ薬)

19,050円

タバコ代 (1箱400円、1日1箱)

33,600円VS

(注1) 保険による禁煙治療の自己負担は3割として計算(注2) ニコチンパッチは8週間、バレニクリンは12週間の標準使用期間として費用を算出

禁煙

(出典: 禁煙治療のための標準手順書 第4版、2010)

健診の場での短時間(1分間)の禁煙介入の効果-断面禁煙率-

- 1年後断面禁煙率 -

(注) 補正オッズ比は、年齢・喫煙本数で補正

(中村ら、平成21年度厚労省がん研究助成金 望月班)

粗オッズ比(95%信頼区間) 1.53(0.62-3.78) 1.45(0.46-4.54) 2.50(0.45-13.94)

補正オッズ比(95%信頼区間) 1.51(0.57-3.97) 1.30(0.40-4.19) 3.17(0.43-23.69)

やめたい人への

禁煙支援のポイント

【ポイント】

1.禁煙開始日を話し合って決める

Refer/Cessation support

2.禁煙実行にむけての問題解決カウンセリング※禁煙にあたっての不安や心配事を聞き出して

解決策を一緒に考える(「傾向と対策」)

3.禁煙治療のための医療機関の受診や禁煙補助薬の使用を勧める※禁煙治療が受けられる医療機関のリストの提供

AHRQ「たばこ使用・依存の治療ガイドライン」 (2008年)

禁煙カウンセリングの効果【レビュー方法】 1975~2007年の8700編の英文論文を対象一定の条件(*)を満たした論文について、35以上のテーマで

メタアナリシスを行い、ガイドラインの作成の基礎資料とした。

*選定条件:比例対照研究、禁煙開始日以降5ヵ月以上のフォローアップ、ピアレビューの雑誌に掲載フォロ アップ、ピアレビュ の雑誌に掲載

2008年 Update(第3版)

【結果】3分以内の禁煙アドバイスで禁煙率が1.3倍有意に増加する。治療の1回あたりの時間、治療を行った総時間、治療に関わるスタッフの数にそれぞれ比例して禁煙率が2-3倍近くまで増加する。有効なカウンセリング内容は、問題解決カウンセリングとスキルトレーング、治療の一環としてのソーシャルサポート(医療者からの励ましや賞賛)である。薬物治療と禁煙カウンセリングを組み合わせると、それぞれ単独に比べて効果が高く、単独の場合に比べて禁煙率が1.4-1.7倍増加する。

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AHRQ「たばこ使用・依存の治療ガイドライン」 (2008年)

禁煙の薬物療法の推奨【レビュー方法】 1975~2007年の8700編の英文論文を対象一定の条件(*)を満たした論文について、35以上のテーマで

メタアナリシスを行い、ガイドラインの作成の基礎資料とした。

*選定条件:比例対照研究、禁煙開始日以降5ヵ月以上のフォローアップ、ピアレビューの雑誌に掲載

2008年 Update【結果】第1選択薬

ニコチン製剤(1.5~2.3倍)、ブプロピオン(2.0倍)、バレニクリン(3.1倍)第2選択薬 ※有効性はあるが、副作用やFDA非承認

クロニジン(2.1倍)、ノルトリプチン(3.2倍)併用療法

ニコチンパッチの長期治療+ニコチンガムまたは鼻腔スプレー(3.6倍)、ニコチンパッチ

+ニコチン吸入薬(2.2倍)、ニコチンパッチ+ブプロピオン(2.5倍)など

禁煙のための薬剤

医療用ニコチンパッチ バレニクリン

ニコチンガムOTC用ニコチンパッチ

ニコレットパッチ シガノンCQ

ニコチネルパッチ

禁煙補助薬の種類の特徴名称 入手場所 特徴 ニコチン依存症

ニコチンガム 薬局、薬店 短時間で禁断症状が抑えられる。間違ったかみ方をすると胃の不快感が出やすい。

低~中依存の人向き

市販のニコチンパッチ 薬局、薬店 パッチを貼るだけで簡単。突然の欲求に対処できない。皮

低~中依存の人向き

膚がかぶれることもある。

医療用ニコチンパッチ 医療機関 高用量のものが使え、24時間貼るので、起床時も含めて禁煙症状をより抑える。

中~高依存の人向き

内服薬 医療機関 ニコチンを含まない。服用中に喫煙しても満足感が少なく再喫煙しにくい。

中~高依存の人向き

(中村正和、日本経済新聞 夕刊、2010年2月6日掲載、取材記事より)

禁煙治療の薬剤の有効性- AHRQ 2008ニコチンパッチ単独の効果との比較

(AHRQ,Treating Tobacco Use and Dependence 2008 Update)

添付文書改訂に対する解釈

1. 今回の改訂は、市販後の国内報告症例の集積に基づいたものであり、コントロール群がないため、現在のところ因果関係は明らかではない。

2. 分母が特定できないので、正確な発生率も算定できないが、これまでの国内の服用者総数は85万人と推定されており、頻度は高くない(6人/85万人)。

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処方時の対応

1. 因果関係は明らかでないが、重大な事故の発生を防ぐために、服用者に注意喚起を行うことが必要。

2. 自動車の運転等、危険を伴う機械を操作する喫煙者には チン製剤等の別の方法を検討する者にはニコチン製剤等の別の方法を検討する。

3. チャンピックスを服用してどのような影響が出るか喫煙者が理解するまで、運転および機械操作に対する注意を与えるか、制限する(米国およびEUの添付文書)。

チャンピックスと同様の注意事項が添付文書に書かれている薬剤

PL配合顆粒 (総合感冒薬)

リン酸コデイン (鎮痛・鎮咳)

ブスコパン錠 (胃腸鎮痛鎮痙薬)ブスコパン錠 (胃腸鎮痛鎮痙薬)

プリンペラン (胃腸薬)

インドメタシン坐剤 (鎮痛・解熱)

アタラックス-P (かゆみ、神経症に伴う不安・緊張・抑うつ)

(注) チャンピックスの場合は、標準服薬期間が12週間と比較的長いため、処方にあたっては、その可能性を説明することが必要

図.禁煙後の体重変化-大阪府立健康科学センターの調査成績69

禁煙すると、禁煙者の約8割に平均2kgの体重増加がみられます。しかし、禁煙2年目以降には体重がさらに増加する傾向はなく、血糖や中性脂肪などの検査値の悪化も一時的であることがわかりました。体重が3kg以上増加した人は禁煙者の約4人に1人(27%)にみられましたが、5kg以上増加した割合は禁煙者の7%と少数でした。体重増加の主な原因として、ニコチン離脱症状としての中枢性の食欲亢進と、ニコチンによる基礎代謝の亢進作用がなくなることがあげられます。

禁煙後の体重増加は一時的

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初年度 1年目 2年目 3年目 4年目

非喫煙者 喫煙継続者 新規禁煙者 禁煙継続者

(平成19年度 文部科学省 科学研究費補助金 中村班報告書)

禁煙後の体重増加を防ぐ-まず身体活動から始める禁煙後の体重増加を抑制するためには、まず身体活動を増やすことから始めましょう。身体

活動の強度は中等度がおすすめです。身近にできる中等度の身体活動の具体例としては、速歩、水中歩行、床磨き、風呂掃除、自転車に乗る、子どもと遊ぶ、庭の草むしり、ゴルフ、野球などです。

禁煙後の体重増加を防ぐ-禁煙が安定したら食事に取り組む禁煙開始から1ヵ月以上経過し、禁煙が安定してきたら、食生活の改善にも取り組みましょ

う。食べ過ぎないようにする、肉類や油料理などの高エネルギーの食事を減らす、間食を減らす 代わりに野菜や果物を増やす 飲酒量を減らす などがおすすめです 禁煙直後から食事す、代わりに野菜や果物を増やす、飲酒量を減らす、などがおすすめです。禁煙直後から食事制限を厳しくすると、タバコを吸いたい気持ちが強く出る場合があるので、注意が必要です。

(大阪府立健康科学センター、メタボリック改善プラン、テキストVer.6より作成、一部改変)

朝日新聞、2012年1月23日

禁煙者を増やすためには

禁煙試行率 禁煙成功率 ×

包括的なたばこ規制の推進•たばこ税の値上げ•公共場所等の禁煙化•広告禁止、警告表示強化、•マスメディア・キャンペーンなど

①医療従事者からの働きかけ

有効な治療法の利用の促進①医療従事者からの働きかけ②クイットラインの整備③アクセスの向上と適用拡大•マスメディア・キャンペーン(治療の必要性の啓発)

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やめたい多くの人が禁煙できるために:保健医療としてできること

ステップ1.保健医療従事者からの禁煙の声かけ→制度としての不十分(諸外国に比べて実施率が低い)

ステップ2.気軽に利用できる無料電話相談(クイットライン)の整備

→全くなし(アジアを含めて諸外国で多くの国で整備済み)

ステップ3.禁煙保険治療へのアクセスの向上と適用拡大

→保険適用がされたが、改善必要適用外; i)入院中の新規患者に使えない ii)若年者に使えない

iii)歯科で使えない ⅳ)12週間しか使えない、など登録医療機関も1割と十分でない

1粒で2度だけでなく何度もおいしい

命を救える 喜ばれる

効果がみえる

禁煙治療の面白さ

ヘルスプロモーションのあり方もみえてくる

行動理論の理解も深まる

指導技術のブラッシュアップにつながる

効果がみえる

参考教材

J-STOP 指導者トレーニングプログラム

種類 用途 学習内容 対象

禁煙治療版 禁煙外来 「禁煙治療標準手順書」に準拠した禁煙治療

医師やコメディカル

禁煙治療 日常診療 短時間でできる禁煙の 医師やコメディカル

日本禁煙推進医師歯科医師連盟

禁煙治療導入版

日常診療 短時間でできる禁煙の動機づけや情報提供

医師やコメディカル

薬局・薬店の薬剤師

禁煙支援版 健診や人間ドック

各種保健事業

短時間でできる禁煙の動機づけや情報提供

禁煙カウンセリング

地域や職域の保健指導者

脱メタバコ支援マニュアル

特定健診・特定保健指導における禁煙支援

はじめに

第Ⅰ部 メタボリックシンドローム対策に禁煙は必須!

1. 喫煙は動脈硬化を促進する独立した要因

2. 喫煙とメタボリックシンドローム・糖尿病との密接な関係

大阪府立健康科学センターのホームページで公開

3. 禁煙による健康面と経済面のダブル効果

4. 禁煙後の体重増加と検査値への影響

第Ⅱ部 特定健診・特定保健指導における禁煙支援の取り組み

1. 禁煙についての情報提供

2. 禁煙をテーマとした動機づけ支援・積極的支援

3. 減量をテーマとした動機づけ・積極的支援における禁煙の情報提供

小冊子「糖尿病の治療も予防も、禁煙が大切です」

治療編喫煙は糖尿病患者の治療を妨げ合併症を増やします• 喫煙は、糖尿病患者のインスリン抵抗性を悪化させます• 糖尿病の喫煙者では総死亡や心血管死亡のリスクが高ま

ります• 喫煙は、腎障害をさらに悪化させます• 喫煙はその他の糖尿病合併症も進展させます• 海外では、すでにADAやIDFにより糖尿病治療における「禁

煙の重要性」が指摘されています

予防編予防編喫煙は、糖尿病発症の危険因子です• 喫煙により、糖尿病の発症リスクが高まります• なぜ、喫煙は糖尿病発症リスクを高めるのでしょうか?

禁煙導入編糖尿病患者では、特に体重を増やさない工夫が必要です• 患者さんには、禁煙の重要性が十分に認識されていない

可能性があります• 糖尿病患者の禁煙介入にあたっての留意点は、禁煙後の

体重増加と抑うつです• 禁煙による体重増加の原因について• ニコチン製剤は、禁煙時の体重増加を抑制します

(中村正和 編著: 小冊子「糖尿病の治療も予防も、禁煙が大切です」、ノバルティス ファーマ株式会社、2011年)

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禁煙治療のための標準手順書改訂第4版 (2010年4月)

【目次】

I. はじめに

II. 禁煙治療を始めるにあたって

III. 禁煙治療の流れ

IV 禁煙治療の方法IV. 禁煙治療の方法

禁煙治療プログラムの説明とスクリーニング

標準禁煙治療プログラム

入院患者または入院予定患者に対する

禁煙治療の留意点

V. 禁煙治療に役立つ帳票

VI. 禁煙治療に役立つ資料本手順書は、日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会及び日本呼吸器学会のホームページでダウンロードすることができる。

禁煙外来ベストプラクティス

Ⅰ.禁煙治療の現況

Ⅱ.禁煙外来の実際 (33施設)~様々な場における禁煙治療・

禁煙支援の取り組み~ 診療所 (5施設) 一般病院 (8施設)

日経メディカル開発、定価3,000円+税

一般病院 (8施設) 精神科 (3施設) 小児科 (1施設) 産婦人科 (1施設) 健診機関 (4施設) 職域 (9施設) 歯科 (2施設)

Ⅲ.巻末資料

妊産婦への禁煙支援教材妊産婦用小冊子 妊産婦用マニュアル

「ママと赤ちゃんとたばこ」

「禁煙支援ブック」

(財)母子衛生研究会発行 大阪府立健康科学センターのホームページで閲覧可

対象者の主体性を重視した面接方法の手順

情報

レジスタ

■ テーマ選択■ 単一テーマ

ラポールの確立

話し合い事項の設定

目標設定とフォローアップ

報交換

ンスの低減

■ 単 テ マ

重要性と自信のアセスメント

自信の構築

重要性の強化

( Rollnickら著「健康のための行動変容」法研、2001年)