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平成29・30年度新潟県中学校教育研究会指定 理科教育研究発表会 平成30年度糸魚川市教育研究会 理科部一斉研修会 日 時 平成30年11月7日(水) 会 場 糸魚川市立糸魚川中学校 日 程 13:40 14:00 14:50 15:10 16:15 16:30 16:40 受付 授業公開 〔第1理科室〕 休憩 開会式・授業協議会 〔第1会議室〕 指導 閉会 指導者 上越教育事務所 学校支援第2課長 熊木 徹 様 主 催 新潟県中学校教育研究会 糸魚川市教育研究会 研究主題 科学的に探究する力を養う指導の工夫 ~思考ツールを使って論拠を示して話し合う授業~

科学的に探究する力を養う指導の工夫 ~思考ツール …...2018/11/15  · - 3 - 研究の概要 1 研究主題 科学的に探究する力を養う指導の工夫

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平成29・30年度新潟県中学校教育研究会指定 理科教育研究発表会

平成30年度糸魚川市教育研究会 理科部一斉研修会

日 時 平成30年11月7日(水)

会 場 糸魚川市立糸魚川中学校

日 程

13:40 14:00 14:50 15:10 16:15 16:30 16:40

受付 授業公開

〔第1理科室〕 休憩

開会式・授業協議会

〔第1会議室〕 指導 閉会

指導者 上越教育事務所 学校支援第2課長 熊木 徹 様

主 催 新潟県中学校教育研究会 糸魚川市教育研究会

研究主題

科学的に探究する力を養う指導の工夫

~思考ツールを使って論拠を示して話し合う授業~

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1 公開授業【第1理科室】 14:00~14:50

2年5組 授業者;植木 惇 単元名;電気の世界

休憩・会場準備 14:50~15:10

2 開会式【第1会議室】15:10~15:25

(1)開会のあいさつ並びに指導者紹介(県中教研郡市会長 佐藤 弘)

(2)研究概要の説明(県中教研理科地区副部長 阿部 信貴)

3 授業協議会【第1会議室】15:25~16:30

(1)授業の振り返り、質疑応答(糸魚川中学校 植木 惇)

(2)グループ協議

『フレーム』を活用することで、論拠を明確にした話し合いができ、思考を促進できたか

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(3)ご指導

上越教育事務所 学校支援第2課長 熊木 徹 様

4 閉会【第1会議室】16:30~16:40

(1)閉会のあいさつ(市教研理科部長 冨永 清文)

(2)諸連絡

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研究の概要

1 研究主題

科学的に探究する力を養う指導の工夫

~思考ツールを使って論拠を示して話し合う授業~

2 主題設定の理由

市内4校の実践をそれぞれ持ち寄り、目の前の生徒のようすを語り合いながら、私たちが目指す理想

の学び合いとは何かを明らかにするフレームワークを行った。その中で次のような姿が浮かび上がった。

○話合いの場面がある授業で…仮説を立てる、多様な実験方法を工夫する、実験結果を考察する、条

件の異なる実験を比較検討する。

○既有の知識を活用し根拠を示して説明する学習活動の中で…他者の考え方によって自己の見方・考

えを吟味し、磨き上げ、深化する、などである。

推進委員会ではKPT法でこれらの情報を整理し、手だてを焦点化した。

K観察・実験への関心は高い。人間関係づくりはできている。FTの活用も複数領域に広がりつつあ

る。現象のモデル化・視覚化(見える化)に有効な手段を模索し

ている現場の姿がある。

P一人の子の意見に左右されがち(自分の考えをもてない)。

情報の整理に慣れていない(文脈・脈絡・関係性が読めない)。根

拠がない(ただ、何となく… 勘で…)。考えようとしない(安易

に、正答だけを求める)。学習知・経験知の不足で考える基礎が

ない。

T考えるためのパターンを示す(定型文・理由付けチャート)。

学習過程の工夫と「個」の時間の確保(学習過程の工夫改善)。

思考のツールとなる基礎的基本的事項の確実な習得(スモール・

ステップのテスト)。自然の事象を「変化すること(従属変数)」

とその「要因(独立変数)」の関係でとらえる探究の過程の工夫

(複数の要因を抽出→仮説→実験計画)。

3 研究の方法と内容

市内4校が学び合う授業の理想像を共通理解した上で、それぞれが「思考ツール」を工夫しながら実

践交流し、学びの質を高めていく方法を検討することにした。1年次は、推進委員全員が1回ずつ授業

公開した。そして、その度ごとに授業検討会をもち、「思考ツール」の有効性を議論した。この授業公開

と授業検討をセットにして4回連続で行った。目標を達成するための学習過程を構成しやすい各学年の

単元内容をそれぞれの推進委員が探し出して提案した。この実践研究の工夫改善が汎用性をもって、全

学年の有効な単元そして全市ひいては全県に広がっていくことを意識した。

○仮説を設定するときに~論拠を示して予想を説明する…そのときに有効な「思考ツール」

○要因を抽出するときに~論拠を示して条件を説明する…そのときに有効な「思考ツール」

○結果を考察するときに~論拠を示して理由を説明する…そのときに有効な「思考ツール」

2年次、各校で試行、改善してきた単元・領域固有の実践例(とっておきの『鉄板フレーム』)をさら

に増やしていく一方で、より汎用性が高く、使いやすいもの(『どこでもフレーム』)にしていくことを

目指した。また、『どこでもフレーム』の評価についても汎用性のある規準を試行することにした。

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- 4 -

4 研究の成果と課題

〇長文記述式からフレーム式に換えたことで、レポートの考察における生徒の「無答」が減った。とく

に、「誤概念」や「記述力不足」で誤答となりやすい下位の生徒に対して、キーワードを焦点化したフレ

ーム記述は有効である。教師自身も「身に付けたい力」や「とらえさせたい事象」をどのようにフレー

ムに落とし込むかを考え、意図的、計画的に授業に臨むようになってきた。

〇定型文による文章作法が定着してきた。考察場面で根拠(客観的事実)と論拠(理由付け)の違いを

意識する生徒が増えてきた。「科学的に正しい事象」なのか、「主観的な推論の範囲」なのかを考えた議

論ができる下地が整ってきた。

○全国学力・学習状況調査生徒質問紙によれば市内の理科学習において「自分の考えや考察をまわりの

人に説明したり発表したりしていますか」「自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てていますか」

の肯定的な回答が全国比・前回比とも飛躍的な伸びを見せている。

5 運営の成果と課題

上越教育事務所学校支援第2課長から毎回指導を受けた。授業後の協議会ではその単元と関連する全

国学力・学習状況調査の問題を解いてみたり、誤答傾向の分析から授業改善の視点を確認したりしてき

た。実践内容が新指導要領においてどのような位置付けであり、どう取り扱うことが「科学的に探究す

る力」を育てることになるのか、推進委員が共通理解しながら構想検討を進めることができたことは大

きな成果である。

日常の実践における工夫や改善点、困難点を少人数、全員参加で語り合うことで、「ひとみ輝く21世

紀の子どもを育てる糸魚川市の理科教育」を志向する仲間意識が生まれフレームワークを円滑に進める

ことができた。市内で教材や教具を融通し合うネットワークも生まれた。各校がワークシートを提示し

ながら市内で共有できる有効なフレームや活用場面を検討することができた。

春の異動や校内の学級編制で生徒の理科担当教師が変わってもフレーム型思考は継続して実践可能

であることが生徒の探究の過程において大きな支えとなっている。

また、フレーム型思考の評価の規準を市内レベルで検討することで、科学的思考・表現に関する評価

規準も信頼性が高まることが期待できる。

また、根拠と理由を分けて記述する学習活動は、分かり易く相手に伝える「言語活動の充実」の手段

として、国語や「考え、議論する道徳」など他教科、領域にも広がりをもって受け入れられている。

市教研タイアップ事業として授業研究会を開催したことで「小学校でも根拠を示して説明させる学習

活動が必要であること」「発達段階に応じてキーワードを平易で理解しやすいものにすること」など、今

後、小中連携しての研究推進が期待できる。各校で試行、改善してきた単元、領域固有の実践例(とっ

ておきの『鉄板フレーム』)をさらに増やしていく一方で、より汎用性が高く、使いやすい『どこでもフ

レーム』を市内共通フォーマットとして推奨し、幅広い教科領域、学習活動の場面で活用を推進してい

くことが課題である。

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『どこでもフレーム』・『鉄板

フレーム』の活用で,質の高

い思考を促進!!

理科 <上越地区> jou

糸魚川市中教研 理科部

研究推進責任者(左) 糸魚川市立能生中学校 阿部 信貴

会場校担当(右) 糸魚川市立糸魚川中学校 杉本 清隆

汎用性の高い『どこでもフレーム』,とっておきの『鉄板フレーム』

を活用して論拠を明確にして話し合うことで,質の高い学び合い

が継続ができ,新たな課題に向かう深い学びが促進されます。

①自分の考えがもてない,自信がない

②文脈や関係性を整理できない ③根拠

がない ④安易に正答だけを求め,考え

ようとしない ⑤学習知・経験知の不足

で考える基礎がない…等の姿が課題でし

た。論拠をフレームで可視化することで

科学的に探究する力が育ちます。

『どこでもフレーム』・『鉄板フ

レーム』で思考を促進する

ステップ1《事象提示・課題設定の工夫》

確かめたくなる課題を設定す

る。

ステップ2《探究の過程の工夫》

個で考える時間・学び合いの時

間を設定する。

ステップ3《学習方法の工夫》

思考を促進し可視化するフレ

ームを活用する。

手立て

「電流は半分になる。その理由は…」「電流は片方が多くなる。その理由は…」既有の

知識を活用し論拠をフレームに記述して説明する学習活動の中で,他者の考え方によっ

て自己の見方・考えを吟味し,磨き上げ,深化する姿が見られることを目指します。

どのような生徒の姿を目指すか?

①課題解決の必要性が生じ,学習意欲の原点に

立つことができる。

②自分の考えをもった上で自他の考えを比較・

検討することができる。

③論点を視覚化・焦点化することで質の高い思

考を促進することができる。

●指定研究チームが提案する資質・能力育成の手立て

手立て設定の理由

手立てのメリット

- 5 -

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どちらの球が早くゴールするか?

①Aが早い ②Bが早い ③同時

ステップ1

確かめたくなる課題を設

定します。予想が立てやす

く,意識や感覚,既有経験

とはズレのある課題を提示

し,達成動機を高めます。

目的意識をもたせたうえで

課題解決の見通しをもたせ

ます。

個で考える時間と学び合

いの時間を設定します。一

人一人が自分の考えをもっ

た上で説明し合うことで,

互いの考えを比較でき,よ

りよい考えを検討できま

す。見方・考え方が豊かで

確かなものになります。

『どこでもフレーム』を

活用します。結論・主張を

支持する客観的な根拠・事

実,その2要素の関係を裏

付ける論拠・理由等,トゥ

ールミン・ロジックの3要

素を定型フレームで可視化

することで思考を促進し,

議論を焦点化します。

ステップ2 ステップ3

指定研究会情報

上越地区(糸魚川市中教研) 糸魚川市教育研究発表会

◇研究主題:科学的に探究する力を養う指導の工夫

~思考ツールを使って論拠を示して話し合う授業~

◇月 日:11月7日(水) ◇会場校:糸魚川市立糸魚川中学校

◇公 開:1学級 2年 「電気の世界」 授業者 植木 惇

◇指導者:上越教育事務所 学校支援第2課長 熊木 徹

『鉄板フレーム』は自然の事象を共通性・多様性や時間的・空間的な視点でとらえる生命・地球領

域の学習で,『どこでもフレーム』は目に見えない現象を量的・関係的な視点や質的・実体的な視点

で説明するエネルギー・粒子領域の学習で活用してきました。論拠を明確にして思考したり,グルー

プで見方・考え方の違いを視覚化して議論したりするときの市内4校共通のフォーマットとなって

います。今回は「電気の世界」の授業で思考を可視化するフレームワークを提案します。

ゴール

ゴール

4校

共通

- 6 -

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2018/10/31

1

平成29・30年度新潟県中学校教育研究会指定

理科教育研究発表会

平成30年11月7日

糸魚川市立糸魚川中学校

理想の学び合いとは 理想の学び合い

○話合いの場面がある授業で… 仮説を立てる 多様な実験方法を工夫する 実験結果を考察する 条件の異なる実験を比較検討する ○既有の知識を活用し根拠を示して説明する 学習活動の中で… 他者の考え方によって自己の見方・考え方を 吟味し,磨き上げ,深化する。

理想の学び合い

課題となる日常の姿は… ①自分の考えがもてない,自信がない ②文脈や関係性を整理できない ③根拠がない ④安易に正答だけを求め,考えようとしない ⑤学習知・経験知の不足で考える基礎がない

研究主題

「科学的に探究する力を養う指導の工夫」

~思考ツールを使って論拠を示して話し合う授業~

手立て

ステップ1《事象提示・課題設定の工夫》 確かめたくなる課題を設定する。 ステップ2《探究の過程の工夫》 個で考える時間・学び合いの時間を設定する。 ステップ3《学習方法の工夫》 思考を促進し可視化するフレームを活用する。

鉄板フレーム とっておきのフレーム

単元・領域固有

その単元には有効だが 他では使えない…

より汎用性の高いものは?

有効性の議論 仮説を設定するときに ~論拠を示して予想を説明する

「調べたい事象」に「見出したい特性」があるならば 「確かめる操作」をすると「結果」となるであろう。

小野(2006)*1を一部改変、フレーム化 *1 小野剛(2006)「生徒の興味・関心や探究心を高める化学実験を通して,論理的な表現力や科学的な思考力を育成する指導の在り方を探る」『佐賀県教育センター長期研修報告』

有効性の議論 要因を抽出するときに ~論拠を示して条件を説明する

変動の因果関係は… 「独立変数(要因)」が変化すると 「従属変数(結果)」に影響を与える。

国立教育政策研究所(2017)*2を一部改変、フレーム化 *2 国立教育政策研究所(2017)『全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえた理科の学習指導の改善・充実に関する指導事例集』

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2018/10/31

2

有効性の議論 結果を考察するときに ~論拠を示して理由を説明する

「事実・根拠」から「結論・主張」と考えた。 その「論拠・理由」は…だからである。

松原(2015)「定型文」*3を一部改変、フレーム化 *3 松原静郎(2015)「理科教育での表現力育成の経緯と試み」『化学と教育』日本化学会 63,9,pp.420-423

トゥールミンの議論モデル Toulmin’s Model of Argument

Qualifier(強度・限定)

definitely(絶対)

surely(確実に)

probably(恐らく)

sometime(場合によって)

maybe(たぶん)

possibly(もしかすると)

never(絶対にない)

Grounds Data

(根拠・事実)

風邪をひいた

Claim

(主張・結論)

A:今日は欠席 B:今日は出席

Warrant(論拠) A:健康第一、悪化したら大変 B:仲間との体験の共有が大切

Rebuttal(反証可能性)

A:入試や卒業式でない限りは B:インフルエンザでない限りは

Backing(裏付)

A:無理をして悪化した例も B:休まないでよかった感想も

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

「根拠・事実」から

スイカが 赤い

スイカは 甘い

その「論拠・理由」は…

赤い色は 熟している 証拠だから

青海中学校の実践 9/28

発見された化石から、その地層が堆積した当時の時代を考えよう

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

地層の重なり方は 別表の順になる

「根拠・事実」から

地層に見られた化石の 地質年代は○○である

その「論拠・理由」は…

同一の化石がでる地層は年代が同じだから 古い地層ほど下位になるから 新しい地層ほど上位になるから

糸魚川東中学校 10/25

どちらの球が早くゴール? エネルギーの大きさで説明しよう

ゴール

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

球Bは球Aに比べると 運動エネルギーが

大きい

「根拠・事実」から

球Bが早く ゴールする

その「論拠・理由」は…

基準面が異なるので Bの力学的エネルギーの方が

大きくなるから

能生中学校 11/7

ワインからエタノールを取り出すには? ~水とエタノールの混合物の沸点~

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

80℃付近で エタノールを

集めることができる

「根拠・事実」から

80℃付近で 回収した液体は 火がついた

その「論拠・理由」は…

エタノールが

沸点に近いところで 盛んに気体になるから

テキストボックス
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2018/10/31

3

糸魚川中学校 11/30

音の大小は何によって決まるか? 音の高低は何によって決まるか?

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

振幅が音の大きさに

関係している

「根拠・事実」から

大きな音の波形は振幅が大 小さな音の波形は振幅が小

その「論拠・理由」は…

音源を強くたたくと 振動が大きくなり 大きな音が出るから

どこでもフレーム 「結論・主張」と考えた

振動数が音の高さに

関係している

「根拠・事実」から

高い音の波形は振動数が大 低い音の波形は振動数が小

その「論拠・理由」は…

高い音を出す音源は 速く揺れやすいから

成果と課題 〇生徒の無答が減った 〇定型文による文章作法が定着 ↓ 〇根拠(客観的事実)と論拠(理由付け)の 違いを意識する生徒 ↓ 〇「科学的に正しい事象」なのか、 「主観的な推論の範囲」なのかを 考えた議論

成果と課題 全国学力・学習状況調査 生徒質問紙 ■自分の考えや考察をまわりの人に説明したり発表したりしていますか 前回比 5.5P増(全国比 + 2.8P) ■自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てていますか

前回比11.6P増(全国比 +11.8P)

■観察や実験の進め方や考え方が間違っていないかを振り返って考えていますか 前回比 6.7P増(全国比 + 9.6P) ■生徒の間で話し合う活動を通じて,自分の考えを深めたり,広げたりすることができていると思いますか

前回比13.2P増(全国比 + 7.6P)

成果と課題 〇教師自身も意図的・計画的に授業を構想 ○新指導要領を意識した構想検討 〇誤答傾向の分析から授業改善の視点 〇市内で共有できるフレームの活用場面検討 ○仲間意識…教材を融通し合うネットワーク 〇生命(多様性と共通性の視点) 〇地球(時間的・空間的視点) 〇エネルギー(量的・関係的な視点) 〇粒子(質的・実体的な視点)

鉄板フレーム が適

どこでもフレーム が適

成果と課題 ○市教研で小中連携の視点 小学校でも根拠を示して 説明させる学習活動が必要 発達段階に応じて キーワードを平易で 理解しやすいものに

成果と課題 〇他教科領域との連携、広がりも 「論理的に話す」「分かり易く伝える」 言語活動の充実・考え,議論する道徳

未来の作り手…

主役は…あなたです

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タイプライターテキスト
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指導案 - 1 -

第2学年5組 理科学習指導案

日時:平成 30年 11月 7日(水)5限

会場:第 1理科室

学年・学級:第2学年5組(生徒数 男子 15名 女子 16名 合計 31名)

授業者:糸魚川市立糸魚川中学校 植木 惇

1.単元名 電気の世界 「第2章 電流の性質」

2.単元「第2章 電流の性質」の目標

電気回路をつくり、電流計や電圧計、電源装置などの操作技能を習得しながら、回路の電流や電

圧を測定する実験を行い、各点に流れる電流や各部の電圧に規則性を見いだす。また、電流によっ

て熱や光などを発生させる実験を行い、電流から熱や光などがとり出せること、および電力のちが

いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだし、日常生活と関連付けて科学的に

考察しようとする意欲と態度を養う。

3.単元の評価規準

自然事象への

関心・意欲・態度

科学的な思考・表現 観察・実験の技能

自然事象についての

知識・理解

回路と電流・電圧、

電流・電圧と抵抗、

電気エネルギーに関

する事物・現象に進

んで関わり、それら

を科学的に探究しよ

うとするとともに、

事象を日常生活との

関わりでみようとす

る。

回路と電流・電圧、電

流・電圧と抵抗、電気

エネルギーに関する事

物・現象の中に問題を

見いだし、見通しをも

って解決する方法を立

案して観察、実験など

を行い、その結果を分

析して解釈し、電流と

電圧、電流の働き、静

電気、電流と磁界の規

則性や関連性を見いだ

して表現している。

回路と電流・電圧、

電流・電圧と抵抗、

電気エネルギーに関

する観察、実験の基

本操作を習得すると

ともに、観察、実験

の計画的な実施、結

果の記録や整理など

の仕方を身に付けて

いる。

回路における電流や電

圧の規則性、金属線に

加わる電圧と電流の関

係や電気抵抗、電流に

よる熱や光の発生と電

力との関連などについ

て基本的な概念や原

理・法則を理解し、知

識を身に付けている。

4.単元と生徒

(1)単元観

本単元では、理科の見方・考え方を働かせ、電流と電圧、電流の働き、静電気に関する観察・実

験などを行い、電流や電圧、磁界や静電気などについて日常生活や社会と関連付けながら理解させ

るとともに、電流と磁界の観察、実験などに関する技能を身に付けさせ、思考力、判断力、表現力

等を育成することを主なねらいとしている。

現代の社会生活において電気は欠かせないものとなっている。身の回りには様々な電気器具があ

るが、仕組みが分からないものがほとんどである。電流は目に見えないために概念を確立すること

が難しい事象ではあるが、豆電球を使った簡単な回路での実験から始めて、回路中の電流や電圧の

規則性を見いだしたり、データ処理におけるグラフ化、モデル化といった探究活動を通して、小学

校での定性的な電流の概念から定量的な概念へ発展させたりしていきたい。さらに、電流から熱や

光、音を発生させたり他の物体の運動状態を変化させたりすることができること、電熱線の発熱量

を調べる実験により電力の違いによって発生する熱量に違いがあることを見いださせていく。

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指導案 - 2 -

(2)生徒について

男子 15名、女子 16名の 31名の学級である。学級の自治を日々実践しようとする雰囲気が醸成さ

れていて、学級の課題を自分たちの力で解決しようと取り組める。学習では、課題への取組に差は

あるが、得意な生徒が他の生徒を支援する様子が見られる。

理科では、昨年度当初から本時で用いる「思考ツール」を活用した授業を行ってきた。「思考ツー

ル」を繰り返し活用することで、筋道の通った説明ができる生徒が増えた。予想や考察を考える際

に、論拠を明確にしたり、他者の発表を受けて自己の考え方を再構築したりすることで、学びをよ

り深いものにしてきた。

5.単元「第2章 電流の性質」の指導計画・評価計画

(時数) ○学習内容 ・学習活動 主な評価規準

(2)

○電気の利用

・回路や電流の流れる向きについて理解する。

・直列回路、並列回路の説明を聞き、豆電球を使ってそれぞれの回路を

つくり、それぞれ一方の豆電球をはずすとどうなるか考え、確かめる。

・電源装置の使い方を習得する。

・電気用図記号や回路図について理解し、回路図をかく。

・回路を組んで、電

流を流すことができ

る【技能】

・回路図を正しくか

くことができる。

【技能】

(4)

○回路に流れる電流

・電流の単位(アンペア:A)について理解する。

・電流計の使い方を習得する。

・豆電球に流入する電流と流出する電流の大きさの関係を予想し、それ

を調べる実験を計画し、その結果から電流の大きさに違いがないことを

確認する。

・2つの豆電球が直列に並んだ回路で、豆電球に流入する電流と流出す

る電流の大きさの関係を予想し、それを調べる実験を計画する。

・電流計を正しく使

い、測定できる。

【技能】

(前時)

・計画した実験を行い、直列回路で各点を流れる電流の大きさを調べ、

規則性を見いだし、発表する。

・2つの豆電球が並列に並んだ回路で、枝分かれ前の電流の大きさと枝

分かれ後の電流の大きさと合流後の電流の大きさの関係を予想し、それ

を調べる実験を計画する。

・直列回路に流れる

電流の規則性を説明

できる。【思考・表

現】

(本時)

・計画した実験を行い、並列回路で各点を流れる電流の大きさを調べ、

規則性を見いだし、発表する。

・並列回路に流れる

電流の規則性を説明

できる。【思考・表

現】

(次時)

・ 直列回路や並列回路で各点を流れる電流の大きさについて理解し、

まとめる。

・ 回路の各点を流れる電流の大きさを計算により求める。

・回路に流れる電流

の大きさを求めるこ

とができる。【思

考・表現】

(4)

○回路に加わる電圧

・電圧の単位(ボルト:V)について理解する。

・電圧計の使い方を習得する。

・電圧計を正しく使

い、測定できる。

【技能】

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指導案 - 3 -

・乾電池の両端の電圧と豆電球の両端の電圧が等しいことについて実験

を通して確認する。

・直列回路や並列回路で各部分に加わる電圧の規則性を考え、発表す

る。

・直列回路や並列回路で各部分に加わる電圧の大きさについて理解し、

まとめる。

・回路の各部分に加わる電圧の大きさを計算により求める。

・直列回路、並列回

路に流れる電流の規

則性を説明できる。

【思考・表現】

・回路に流れる電圧

の大きさを求めるこ

とができる。【知

識・理解】

(4)

○電圧と電流の関係

・抵抗に加わる電圧と電流の関係について実験を行い、結果をグラフに

まとめる。

・電圧と電流の関係について話し合い、発表する。

・オームの法則、抵抗の概念、単位(オーム:Ω)について理解する。

・オームの法則の関係式を用いて、抵抗の値などを計算により求める。

・導体、不導体について理解する。

・ 直列回路、並列回路での抵抗の値がどのようになるか考えて発表す

る。

・実験結果から、電

圧と電流が比例関係

にあることを見いだ

すことができる。

【思考・表現】

・オームの法則を使

って、数値を求める

ことができる。【知

識・理解】

(5)

5 電気のエネルギー

・電力の定義や単位(ワット:W)、消費電力について理解する。

・ワット数が異なる電熱線に、一定時間同じ電圧を加えて電流を流した

ときの水温の変化がどうなるか考え、発表する。

・実験を行い、結果をまとめる。

・熱量や熱量の単位(ジュール:J)、熱量や電力の計算式、電力量の

単位(ジュール:J、ワット時:Wh)について理解する。

・電力や熱量、電力量を計算して求める。

・実験結果から、電

流を流す時間と温度

上昇の関係について

見いだすことができ

る。【思考・表現】

・電力や熱量、電力

量を計算して求める

ことができる。【知

識・理解】

6.本時について

(1)本時のねらい

①実験や話合い活動を通して、並列回路の各点での電流の大きさを測定し、規則性を見いだす。

②事実・根拠をもとに、理由をつけて結論を導き出す。

(2)展開の構想

新学習指導要領には、第 2 学年の指導の重点として、「解決する方法を立案し,その結果を分析して

解釈する活動」と明記してある。このことを踏まえ、予想→実験の計画→結果を用いた考察の流れで

学習を進める。

前時で、直列回路における電流の大きさがすべての点で等しいことを学習した上で、事前に本時の

課題を示し、並列回路における枝分かれ前後の電流の大きさの規則性について、既習内容を活用して

予想している。生徒の主な予想は、「直列回路と同様にすべての点で等しい」、「枝分かれすると半分ず

つになる」、「枝分かれした2点の和が枝分かれ前と同じになる」になると考えられる。また、予想を

確かめる実験方法を自分たちで計画している。本時では、計画した実験を行い、並列回路における枝

分かれ前後の電流の大きさの規則性を見いだす。

実験では、種類・規格の異なる豆電球を用意し、班によって結果が異なるようにする。このことに

より、枝分かれした2点の電流が等しくなる班と異なる班が出る。考察場面では、最初に個人、班で

論拠のある結論を導き出す。ワールドカフェ方式で各班が発表した論拠のある結論を自分の班に持ち

帰る。自班と同じ結論や異なる結論をもとに、再度考察することで、学びを深くすることを目指す。

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指導案 - 4 -

(3)展開

時間

[分] ○学習活動

●教師の支援

※評価(評価方法)

3 ○前時の復習

・直列回路での電流のきまりについて確認する。

14

○予想

・予想を確認する。

○実験

・実験方法を確認する。

・実験から、4点での電流を求める。

●回路図を黒板に示す。

●班によって豆電球の種類(規格)を変え

て、結果が異なるようにする。

(異なる電球パターン・同じ電球パター

ン)

30

○考察

・班の実験結果から、個人で考察し、ワークシー

トに記入する。

・班ごとに話合いを行い、班での考察をホワイト

ボードにまとめる。

(記入する内容は、結論と論拠の部分のみ)

・ワールドカフェ方式で他の班の考えを聞く。

・他の班の発表を受けて、再度班の考えを見つめ

なおす。

・個人で再度考えをまとめる。

●発表者は1名、他の生徒は他の班の発表

を聞く。これを2回行う。

※実験結果について考察し、ワークシート

にまとめられる。【科学的思考】

3 ○まとめ

・いくつかの班が発表する。

・並列回路での電流のきまりを確認する。

●各班のデータを黒板に提示する。

ワークシート ホワイトボード

課題 並列回路での電流のきまりをみつけよう

結論

理由・論拠

ア=150mA

イ=100mA

ウ= 50mA

エ=150mA

事実・根拠 結論

理由・論拠

・電流はなくなっていない

・電流は分岐点で分かれている

・電流は合流すると元の大きさに戻る

(ア=イ+ウ=エ)

枝分かれする前後

と枝分かれした2

つの和は等しい

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理科 観察・実験レポート

月 日( ) 年 組 番 氏名

【課題】

《使用する回路》

《実験方法》

1.回路をつくる。

2.電流をはかる点の導線を

外し、電流計をつなぐ。

3.電流の大きさをはかる。

《予想:自分の考え》

【結論】

【論拠】

《考察①:自分の考え》自分たちの結果から考えよう。

《考察②:班の考え》 班で話し合って、ホワイトボードに記入しよう。

《考察③:班の考え》 他の班の結果や考察を参考に話し合い、ホワイトボードを修正しよう。

《考察④:自分の考え》 最終的な自分の考えをまとめよう。

【事実】単位はmA 班 ア イ ウ エ

【最終結論】

【論拠】あ

【結論】

【論拠】

《回路図》

《結果》回路図に書き込もう。

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《発表のメモ》

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■ 公開授業について

○学び合う学習について実際に授業を見せてもらい勉強になりました。生徒たちが積極的に話したり書

いたりしている姿を見て授業スタイルが変わってきたことがわかりました。

○思考ツールの活用には私も興味があります。理科の実験に対応するツールとして有益なフレームを教

えていただき、ありがとうございました。

○植木先生お疲れさまでした。お忙しい中、素晴らしい授業をありがとうございます。

○非常に学びの多い半日であった。

○提案性の高い授業を見せていただき、色々と考えることができました。フレームを使った思考活動がと

ても興味深かったです。

○フレームは個の考えを整理し、明確にさせるために有効なツールであることを学ばせていただきまし

た。

○貴重な授業公開、ありがとうございました。

○中学生の真面目さや一生懸命さが伝わってきた授業でした。整然として片付けできるところが素晴ら

しい。

○ワールドカフェ方式が新鮮でした。小学校でもやってみようと思います。

○思考ツールを小学校でもやってみたいと思いました。

○フレーム等、大変勉強になりました。

○中学校理科の授業を見る機会がない中でしたが、素晴らしい授業でした。子どもたちの話す、書く力…

そして論を導こうとする姿勢が確認できました。

○中学校での理科の学習風景や意見交換を見ることができてよかった。

○大変お疲れ様でした。たくさんの工夫があり、たくさんの提案のあった授業だったと思います。

○学習意欲をもって取り組む姿がとてもよかったです。どこでもフレームが定着していくことを期待し

ます。

○生徒の学習への取組(意欲)、仲間との交流

(話合い)がとても充実している授業でし

た。中学校での授業で必要な力を小学校でも

育てていきたいと思いました。

○提案性が高く、いろいろ考えさせられる授

業でした。小学校でも取り入れられるところ

を見付けたので実践したいと思います。

○子どもたちが関わり合いながら学ぶ姿を

見せていただきました。上越からお越しの先

生からも「準備や実験道具等ですごく勉強に

なった」と感想をいただきました。

■ 全体会・協議会について

○活気のある話合い、意見交換ができてよかった。

○KPTの 3 つから考えることで頭が整理されて新しいアイデアを共有することができました。

○短い時間ですが実りの多い会になりました。

○ワールドカフェについては実際教師が体験することが重要だと思います。そういった点で今日は非常

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にありがたかったです。

○短時間でしたが、少人数グループだったので十分な話合いができたと思います。また、ワールドカフェ

方式で他グループの内容も知ることができてさらによかったです。

○理科の専門的な知識をたくさん得ることができました。「○○読み」という新しい見方がとても面白か

ったです。

○ワールドカフェでたくさんの意見を聞くことができてよかったです。

○お話を聞き、有効な手立てが浮かび、勉強になりました。

○ワールドカフェ方式、よかったです。もう少し時間が欲しかったです。

○あらゆる面から考えた意見に触れることが

でき、自分の授業づくりの参考にしたい。

○提案性のある授業だったので協議会が盛り

上がったのだと考えます。

○指導者の分かりやすい御指導、協議会での話

合い、充実していました。

○活発な話合いができてよかったです。話合い

を通して考えを深めることができました。

○時間が足りなくなるほどグループ協議が盛

り上がりました。全体進行とグループ進行が一

緒なのは少し面倒でした。