15
57 石油/天然ガス レビュー 01・7 石油上流業界のポートフォリオ戦略 ―経営者のために不可欠な投資判断のツール― 第一部 ポートフォリオの概要 1.はじめに ポートフォリオ理論は,Harry Markowitzがその 基礎を築き,William Sharpeらが発展させた理論 であり,両者はその業績によって1990年にノー ベル経済学賞を受賞している。ポートフォリオ 理論が示唆するひとつは,リスクのある資産を 一つに集中させずに運用先を分散させて異なる リスクパターンをもつ資産を組み合わせるこ とによって,リスクを小さくすることができる ということである。(リスクとは何か,どのよう にして計るか,という問題は非常に重要であり, 後述する。)リスクを小さくするためには,“持 っている全部の卵を1つのバスケットに入れて はいけない”と言われるように,常識的に考え てもわかることである。図1は,簡単な時系列 のキャッシュフローであるが,もし年間の支出 額を抑えたい企業であれば,AあるいはBの1 つのプロジェクトを手がけるよりも,両方のプ ロジェクト半分のシェアで持てばキャッシュフ ローを安定させることができる。 欧米石油会社による上流部門の投資額の内訳は,開発支出に7割~8割,残りをリスクの高 い探鉱事業に投資している。一方,日本の石油上流企業の投資は,石油公団が探鉱案件を主に 支援してきたため,探鉱事業に重点をおいており,ポートフォリオの観点からは不健全な資産 構成になっている。 第一部では,リスク管理に注目してポートフォリオの概要を簡単に説明する。その理論に精 通している読者は第二部から読んでほしい。第二部は石油公団が米国のPetroleum Finance Companyに委託した「Portfolio Management」と題する平成12年度委託調査をベースに書き下ろ した。ポートフォリオのために作られた各種ソフトウエアができることとできないことを検討 することで,欧米石油企業がどの程度ポートフォリオ理論を利用して投資を決定しているかを 検討した。 ポートフォリオ理論の考えを取り入れることで,探鉱リスクを軽減し,経営に意識改革をも たらすことが可能となる。 企画調査部 調査第二課長 E-mail[email protected]

石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

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Page 1: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

石油上流業界のポートフォリオ戦略―経営者のために不可欠な投資判断のツール―

宮 本 善 文*

欧米石油会社による上流部門の投資額の内訳は,開発支出に7割~8割,残りをリスクの高

い探鉱事業に投資している。一方,日本の石油上流企業の投資は,石油公団が探鉱案件を主に

支援してきたため,探鉱事業に重点をおいており,ポートフォリオの観点からは不健全な資産

構成になっている。

第一部では,リスク管理に注目してポートフォリオの概要を簡単に説明する。その理論に精

通している読者は第二部から読んでほしい。第二部は石油公団が米国のPetroleum Finance

Companyに委託した「Portfolio Management」と題する平成12年度委託調査をベースに書き下ろ

した。ポートフォリオのために作られた各種ソフトウエアができることとできないことを検討

することで,欧米石油企業がどの程度ポートフォリオ理論を利用して投資を決定しているかを

検討した。

ポートフォリオ理論の考えを取り入れることで,探鉱リスクを軽減し,経営に意識改革をも

たらすことが可能となる。

― 57 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

一部 ポートフォリオの概要

.はじめに

ートフォリオ理論は,Harry Markowitzがその

礎を築き,William Sharpeらが発展させた理論

あり,両者はその業績によって1990年にノー

ル経済学賞を受賞している。ポートフォリオ

論が示唆するひとつは,リスクのある資産を

つに集中させずに運用先を分散させて異なる

スクパターンをもつ資産を組み合わせるこ

とによって,リスクを小さくすることができる

ということである。(リスクとは何か,どのよう

にして計るか,という問題は非常に重要であり,

後述する。)リスクを小さくするためには,“持

っている全部の卵を1つのバスケットに入れて

はいけない”と言われるように,常識的に考え

てもわかることである。図1は,簡単な時系列

のキャッシュフローであるが,もし年間の支出

額を抑えたい企業であれば,AあるいはBの1

つのプロジェクトを手がけるよりも,両方のプ

ロジェクト半分のシェアで持てばキャッシュフ

ローを安定させることができる。

企画調査部 調査第二課長 E-mail:[email protected]

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石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 58 ―

図1 キャッシュフロー

2.分散

Markowitzは,証券の過去のデータを用いて,

期待リターン(=収益)とその“ばらつき”(=

分散)を計測した。図2は,X軸が期待収益率,

Y軸がその頻度である。2つの証券(A,B)

の期待収益率は5%で同じだが,Bの方がばら

つきの度合いが大きい。Bは高い収益をあげる

可能性があるが,同じように損失を被ることも

考えられるリスクの高い証券であるといえる。

一般的な投資家は大きな損失をより嫌うと考え

らるので,同じ期待値(=収益)であれば,よ

り小さい分散をもつ証券Aを選ぶことになる。

要するに,投資をする時にはリスクとリターン

が判断要素となるのである。

図2

3.効率的フロンティア曲線

リターンを得るためには,それに見合ったリ

スクを受け入れなければならない。2つのプロ

ジェクトあるいは複数のプロジェクトを組み合

わせることができるとすると,リスクとリター

ンの関係は,①同じレベルのリスクであれば高

いリターンの方を選ぶべきであるし,②同じレ

ベルのリターンであれば低いリスクの方を選ぶ

べきである。図3において,aとbはリスクは

同じであるが,aのリターンが大きいのでaが

選ばれる。aとcのリターンは同じであるが,

aのリスクが小さいのでaが選ばれる。a,b,

c間ではaがベストであり,c,d,eの関係

では同様の考えにより,dがベストである。そ

れぞれのリスクのレベルにおいてaとdと同様

にベストな点があるはずであり,それらを結ん

だ曲線を「効率的フロンティア曲線」(Efficient

Frontier curve)という。その線上にあれば,優

劣はつけられない。どの点(組み合わせ)を選

ぶかは投資者の選好の問題である。aはローリ

スク・ローリターン,dはハイリスク・ハイリ

ターンと言えば分かりやすい。

C=A+B

-10.00 -5.00 0.00 5.00 10.00 15.00

頻度

A

B

頻度

期待収益率

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― 59 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

リスク

リターン a

b

c

d e

リスク

リターン a

d e

図3 効率的フロンティア曲線---その1

表1のように,株式投資の対象として,A,

B,Cがあるとする。期待収益率(例:6ヶ月

後)及び標準偏差を投資の判断基準にすると,

収益率は高い方が望ましいし,収益率のばらつ

きを示す標準偏差は小さい方が望ましい。単一

銘柄に投資をすると,Cの銘柄が平均収益率に

おいても標準偏差においても勝っており,Aと

Bの銘柄は対象外になる。しかしDのように対

象外と思われていたAとBを組み合わせた方が,

期待収益率も標準偏差も向上する。

表1

期待収益率

銘柄 暖冬 平年並み 厳冬 平均

確率 1/3 1/3 1/3

標準偏差

A -4% 10% 21% 9% 10.2

B 9% 7% 5% 7% 1.6

C 6% 7% 8% 7% 0.8

D(分散投資)

0.2A+0.8B

6.4%

(注)7.6% 8.2% 7.4% 0.75

(注)[0.2×(-4)+0.8×9]=6.4

出典:今野浩著「金融工学の挑戦」P.57をもとに作成

この関係を効率的フロンティアで表すと図4

のようになる。BはCとの比較においてリスク

が高いので,単独Bへの投資はない。AとCを

組み合わせるという選択肢があるが,その場合

はリスクを負った分だけリターンが増えるとい

う直線的関係なので,ポートフォリオを組むこ

とによってリスクを減らす効果は生じない。D

は,線ACより上の位置にあり,ポートフォリ

オの効果が出るといえる。D以外にも多くの組

み合わせがあると考えられるが,それらの点を

結べば効率的フロンティア曲線を描ける。

Page 4: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 ―

図4 効率的フロンティア曲線---その2

出典:『EXCELで学ぶファイナンス 証券投資分析』p.9をもとに作成

4.金融ポートフォリオと石油上流部門のポー

トフォリオ

ポートフォリオを構築するためには,①何を

リスクとして認識して,②そのリスクをどのよ

うに定量化するか---という問題設定が重要で

ある。

リスクとは何か

金融の世界では,期待収益率をリターン,標

準偏差をリスクとして認識しており,石油上流

部門で利用されているポートフォリオのソフト

もその考えを踏襲している。

しかし,それでよいのであろうか? 図2を

見た場合,リスクとは,①金融の世界で考える

ように期待収益率の標準偏差と認識するのか,

それとも,全く別の視点から,②期待収益率が

マイナスになることと認識するのか,あるいは,

③平均期待収益率(5%)以下になることと認

識するべきなのか。平均期待収益率以上になる

ことは「リスク」ではなく,「お楽しみ」として

とらえることもできる。個々の会社では,各々

財務状況や事業戦略が違うであろうし,独自の

リスク指標(それも複数)を考えても良いと思

うが,この点は今後検討すべき課題である。

リスクの定量化

リスクを定量化することは,ポートフォーリ

オ分析以外でも,株主・アナリスト・監督当局

への情報開示のために重要である。金融業界が

採用している手法は先進的であり,将来的には

石油企業でも全く同じ方法ではないにしても,

類似の手法を用いて追随する可能性があるので,

その方法を簡単に紹介する。

金融機関やトレーディング会社などは自社の

投資リスクを定量化して金額で示す指標として

Value at Risk(VaR)というツールを利用してい

る。米国証券取引委員会(SEC)は,1995年12

月,企業に対しVaRを計算してリスク情報を開

示することを提案しており,VaRはリスクの開

示方法として高い注目を集めている。VaRの定

義は,「ある一定の期間において,特定の確率を

もって,市場の不利な変化に対して予想される

損失」と定義されている。たとえば,「1日の

VaRが99%の信頼区間で35百万$である」という

場合,それは「市場が平常の状態であれば,35

百万$以上の損失を被る可能性は100回に1回

である」ということであり,一定の信頼度のも

とでの 大想定損失を計る方法である。

6

7

8

9

10

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

標 準 偏 差 (リ ス ク )

リタ

ーン

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― 61 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

第二部 石油上流部門のポートフォリ

オについて

1.はじめに

シェル,モービル,アモコなどの大企業にお

いても1970年代後半から1990年初頭まではハイ

リスク・ハイリターン型の探鉱を実施しており,

その戦略は成功しなかった。探鉱は地下資源を

相手にしており,何回も失敗を重ねた後に初め

て油田を発見し, 後はヒーローになる---とい

う山師伝説(Prospector Myths)の考えがあった

ことが失敗の根本的原因であった。さらに地質

技術者は,地質構造を楽観的に評価する傾向が

ある。それを調整するため,経営者は必要以上

に保守的になったり,経済計算に高い割引率を

利用したり,あるいは想定埋蔵量を半分にして

経済計算をすることもあった。

1990年代になり,石油探鉱に意識改革が起こ

った。外的要因として,油価が低迷し,世界的

に石油企業間の競争が激しくなったため,探鉱

作業の効率を上げ,リスクを管理することが要

求された。内的要因としては,大油田が発見さ

れる確率が小さくなったことが挙げられる。た

とえば,1億バーレル規模の油田を発見する確

率は,1960年代には4.1%だったが1990年代には

1.9%になっている。このような環境の下で意識

改革が起こった結果,探鉱を実施する際には,

社内において統一的かつ客観的な判断基準でリ

スク評価することの重要性が認識されたのであ

る。

探鉱リスクを軽減し,探鉱効率を上げ,会社

の価値を高めながら国際的競争に負けないよう

にするためには,会社の事業戦略,リスク評価,

ポートフォリオ・マネジメントという3つの要

素が重要である。以下,一般的な探鉱会社がポ

ートフォリオ・マネジメントにとる手続きを,

①埋蔵量確率モデル,②経済モデル,③ポート

フォリオモデルの順に説明する。ポートフォリ

オモデルを構築するためには,ソフトウエアが

必要であるが,市販されている代表的なソフト

についても評価する。

2.埋蔵量確率モデル

(この章は,『石油/天然ガス レビュー』

1999年2月号(Vol.32 No.1)と合わせてお読

み頂きたい。)

対数正規分布

埋蔵量の評価で重要なことは,多くのプロジ

ェクトを同じ評価方法で,かつ科学的に評価す

ることである。埋蔵量計算にはいくつかの方法

があるが,代表的例としては,次の式を使用し,

各パラメターに確率分布を与え,モンテカルロ

シミュレーションにより埋蔵量確率分布を算定

する。(図5)

埋蔵量(volume)=集油エリア面積(area)×

ネットペイ層厚(thickness)×孔隙率(prosity)

×油飽和率(saturation)×回収率(recovery

factor)×1/(容積係数)(formation volume

factor)

各パラメターの確率分布には,各社いろいろ

な計算方法があるが,たとえば,集油エリア面

積とネットペイ層厚には対数正規分布を使い,

それ以外は三角分布を使う。(理論的には全て

対数正規分布を使うべきであるというコンサル

タントもいる。)埋蔵量を確率分布 (図6)で表

すことにより,不確実性を数学的・統計学的に

評価することができるのである。

Page 6: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 62 ―

×1/容積係数

図5

図6

Greater-than-or-equal-to アプローチ

埋蔵量を対数正規分布で表した後,累積度数

図を作ることになるが,その際はGreater-than-

or-equal-to アプローチ(一定の埋蔵量またはそ

れより大きな埋蔵量を得る確率)で表すことが

重要である。(図7)「100百万bbl以上の埋蔵量を

発見する確率は12%である」と表現した方がマ

ネジメントにとって理解しやすいし,想定埋蔵

量が大きくなる可能性も表現できるため地質技

術者に好まれる。なお,Less-than-or-equal-to

Gulf of Mexico - Shelf (<1,000 feet water)

P1

P50P60P70P80

P90

P95

P98P99

P40P30P20

P10

P5

P2

P90

P50

Mean

P10

0.1 1.0 10.0 100.0 1,000.0Published Reserves (mmboe)

Cum

ulat

ive

Prob

abili

ty >

>>

Distribution

Data Points

P1 = 0.2

P10 = 1.5

P50 = 12.9

Mean = 41.4

P90 = 113.7

P99 = 669.3

LOG PROBABILITY CHART

Page 7: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

― 63 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

Niger Delta Offshore (water less than 500 ft)

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

Year Discovered

Cum

ulat

ive

Dis

cove

red

Res

erve

s (m

mbo

e)

CUMULATIVE RESERVESDISCOVERED

アプローチにおいては,「100百万bbl以下の埋

蔵量を発見する確率は88%である」という表現

になる。

図7

リアリティチェック

第二部の冒頭にて,大油田が発見される確率

が小さくなったと述べた。もう1点,探鉱活動

が進んでいるいわゆるマチュア(mature)な地

域においては,図8のように,発見される油田

の大きさが小さくなる傾向があるので,リアリ

ティチェック(reality check)をする場合,図9

のように,期間を比較的古い時代と新しい時代

の2つに分割して対数正規分布で表し,想定す

る埋蔵量を検証するべきである。

図8

G ulf of M exico - Shelf (<1,000 feet w ater)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0 100 200 300 400 500 600 700 800P ublishe d Re se rve s (m m boe )

Cum

ulat

ive

Prob

abili

ty o

f Exc

eede

nce

>>>

Da ta Points

Cum ula tive Proba bility

C U MU LATIVE D ISTR IB U TION C H AR TPercent Greater Than X

Page 8: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 64 ―

図9

地質的成功確率

これまで,石油があると仮定し,埋蔵量分布

の計算方法をみた。次に,石油が発見される確

率を考えよう。地質学的観点からは,①熟成根

源岩が存在したか(source),②そこから炭化水

素が移動集積したか(timing & migration),③貯

留岩があるか(reservoir),④貯留岩にクロージ

ャーがあり構造ができているか(closure),⑤逃

げ出さずに構造に保持されているか (seals) ---

というような要素が問題になる。地質技術者は

それぞれの要素について0~1の評価を与え,

すべての要素の評価値を掛け合わせることによ

り,地質的成功確率とする。

地質的成功確率=source×migration×reservoir

×closure×seals

例:0.7×0.8×0.9×0.7×0.9=0.32=32%

経済的成功確率

試掘は原油を発見するだけでは成功とはいえ

ず,経済的にペイする量を確保しなければなら

ない。経済的成功確率=地質的成功確率×商業

性のある 低埋蔵量を確保する確率

もう一度順を追って説明すると,図10の実線

は,経済性を考慮する前の想定埋蔵量の分布を

対数分布で表したものであり,平均値(Mean)

では,P27,埋蔵量11百万bblの位置にあり,「11

百万bbl以上を発見する確率は27%である。」と

いうことを示している。また,発見される埋蔵

量の範囲は0.1百万bblから110百万bblの幅の中

にある。ここで,採算がとれるためには 低5

百万bblの埋蔵量が必要であるとする。図10の破

線は足きり(trancated)した埋蔵量を示してお

り,5百万bblがP43の位置にある。これは「5

百万bbl以上を発見する確率は43%である。」と

いうことである。前述の例を使うと,0.32×0.43

=0.13になり,経済的成功確率は13%というこ

とになる。

Niger Delta Offshore (water less than 500 ft)

P2

P5

P10

P20P30P40

P99P98

P95

P90

P80P70P60P50

P10.0 0.1 1.0 10.0 100.0 1,000.0 10,000.0

Potential Reserves (mmboe)

Cum

ulat

ive

Prob

abili

ty >

>>

First Time Period

Second Time Period

LOG PROBABILITY CHART - 2 TIME PERIODS

Page 9: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

― 65 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

図10

3.経済モデル

決定論的か確率論的か

経済的成功確率を加味したtrancateした埋蔵

量モデルに基づき,経済モデルを作るのだが,

表2のように5つの方法がある。①は1つの埋

蔵量,1つの費用を想定したいわゆる決定論的

(deterministic)に計算する簡単な方法である。

⑤はその対極であり,埋蔵量と費用を確率論的

(probabilistic)に想定して,経済性を確率論的

に計算する非常に複雑な方法である。その中間

として,決定論的方法と確率論的方法を組み合

わせて計算する方法がある。一般論としては意

思決定するためには多くのデータがあることが

望ましいが,ポートフォリオを検討するための

データが洪水のようにあると,実際問題として

扱えなくなる。したがって,③あるいは④の方

法が良い。

表2

入力 出力

想定埋蔵量(trancated) 想定費用 経済性

① 平均値(1つ) 1つ 1つ

② 平均値(1つ) モンテカルロ(多数) 確率分布

③ P90, P50, 平均,P10(4つ) 各1つ 4つ

④ P90, P50, 平均,P10(4つ) モンテカルロ(多数) 確率分布

⑤ モンテカルロ (多数) モンテカルロ(多数) 確率分布

費用の見積り

ポートフォリオモデルを構築する際,多くの

会社のエンジニアは,長時間をかけて詳細な費

用モデルを作ってしまうという間違いをする。

基本的なことを再確認しよう。まず,詳細な結

果を得たとしてもそれは机上の結果であり,そ

もそもその基礎となっている埋蔵量自体は想定

の量であること。また,時間をかけ過ぎると検

討する経済モデルの数が少なくなること。そし

て,費用見積りは,経済モデルの目標でなく単

なる手段であり, 終的目標は,ROR(rate of

return),正味現在価値(net present value),ネ

TRUNCATED POTENTIAL RESERVES - Deep

P98

P95

P90

P80

P70

P60

P1

P2

P5

P10

P20

P30

P40

P50

P99

P 50

M eanTrunc M ean

0.01 0.10 1.00 10.00 100.00 1,000.00

Cum

ulat

ive

Prob

abilit

y >>

>

MAP MCFSGEO EUR (mmboe) COMM. EUR (mmboe)

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石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 66 ―

ットキャッシュフロー(net cash flow)を確率論

的に検討することである。

探鉱・開発・操業費の見積りをするソフトウ

エアが市販されているのでそれを利用すると効

率的である。例えば,IHS社が販売している

Questor Offshore, Questor Onshore, Questor Deep

Seaというソフトがあるが,地域,埋蔵量,深度

等の基本的データを入力することにより,生産

プロファイル・ 適開発コンセプト・費用見積

りが自動的に計算されて出力される。1日もあ

ればそのソフトに慣れ費用見積りができる。ま

た,計算結果は20%の誤差の範囲におさまって

おり,費やす時間のわりには非常に正確である。

(図11)

図11 Actual versus Modeled Costs – Gulf of Mexico

4.石油上流分野におけるポートフォリオモデ

調査の方法

世界の石油会社がいかにポートフォリオモデ

ルに取組んでいるか,その実態を把握する方法

として,間接的ではあるが,市販されているソ

フトウエアに実際のデータを入力して評価した。

(紙面の制約からその内容の紹介は割愛する。)

検証したポートフォーリオのソフトウエアは,

AS$ET, Petro VR, Merakである。それぞれ特徴

(末尾参照)があるので,ユーザーの目的に合

ったものを使用すればよいと考える。

ポートフォリオのソフトでは評価できないこ

石油上流のポートフォリオソフトウエアを論

ずる前に, 先端と思われる株式ポートフォリ

オソフトによって何ができるかを紹介しよう。

保有株式のポートフォリオを 適化するソフト

が1年強前にインターネットで紹介され,個人

でも利用できるようになった。(http://www.

finportfolio.com/)個人のリスク寛容度,保有株

式銘柄・株数を入力すると,保有すべき株式数

が計算されるという仕組みになっている。図12

が出力される結果であるが,Optimalの列にある

とおりに保有株式数を組み替えれば,リターン

は26.05%から29.66%に上昇するという。株式

のソフトウエアの場合は,過去の時系列データ

に基づき計算されているのであろうが,石油上

流ポートフォリオモデルは多くのパラメターが

必要であり,現時点でこのレベルまで到達して

いるソフトウエアは市販されていない。まして

や,純粋探鉱プロジェクトと生産中プロジェク

トの 適な割合を自動的に計算するソフトウエ

アなどは存在しない。

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

Troi

ka

Ang

us

Alle

ghen

y

Mac

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Nep

tune

Bal

dpat

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Petr

oniu

s

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Gen

esis

Bru

tus

Ram

Pow

ell

Mar

s

Aug

er

Hoo

ver/D

iana

Urs

a

Cos

ts ($

MM

))

-40%

-30%

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

Diff

eren

ce

Actua l Costs Mode le d Costs Pe rce nta ge Diffe re nce

Page 11: 石油上流業界のポートフォリオ戦略...石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 60 図4 効率的フロンティア曲線---その2 出典:『EXCELで学ぶファイナンス

― 67 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

出典:FinPortfolio.com (同社の了解を得て,掲載した。)

図12

投資判断の道具としてのポートフォリオモデ

ポートフォリオソフトウエアができること,

及び,投資判断にポートフォリオモデルを導入

するメリットについて,入力から出力までのプ

ロセスに従い列挙する。

①各プロジェクトを定型フォームで入力する。

通常,個別のプロジェクトの評価はエクセ

ルなどのスプレッドシートを用いるが,それ

を作成した担当者の数だけフォームが存在し,

また,通常は作成した担当者以外はその複雑

な仕組みとなったプロジェクト評価表を理解

できない。定型フォームで入力することにす

ればこのような問題は解決する。

②各プロジェクトを連結する。

各プロジェクトを連結することで,コーポ

レート(会社)レベルでの評価ができる。た

とえば,各年の費用負担額・収入・生産量・

各種経済指標が判断できる。また,油価等を

変動させたり,プロジェクトの権益シェアを

変動するなどのシミュレーションができる。

さらに,設定した目標を達成できるかどうか

が判る。

③ポートフォリオを考える。

自社は実際にどの程度までリスクを負える

か・負うべきなのか,許容できるリスクの範

囲内で 大のリターンを追及するようにする

にはどのようにプロジェクトを組み合わせる

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石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 68 ―

べきか,一定の制約下で 大のリターンを得

るためにどのようにプロジェクトを組み合わ

せるべきか---ということを経営者が追求す

るようになる。

(注:モンテカルロシミュレーションにより組み合わされたプロジェクトが,点で表現されている。)

図13 PetroVRが描く効率的フロンティア曲線

図14 Merakが描く効率的フロンティア曲線

④確率論を導入して経営判断するようになる。

図15は生産量のグラフである。既存のプロ

ジェクト(凡例ではMinimumと表記)に加え

て新規プロジェクトを実施する場合,95,75,

50,20%の確率で生産量がどうなるかを描い

ている。図16は期待されるRORの幅とその頻

度を示している。

S ta n d a r d D e v ia t io n

1 8 9 5 6 7 9 4 53 7 80 7 5 6

De

ep

wa

ter

Ex

plo

ratio

n:

To

tal N

et

Ca

sh

Flo

w

2 3 1

6 9 4

1 1 5 6

4 6 2

0

9 2 5

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― 69 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

図15 生産量

図16  Rate of Return

5.おわりに

石油公団を含めた日本の石油上流企業が成功

していない理由の1つとして,ポートフォリオ

の考え方が浸透していないことを挙げることが

できる。詳しく言うと,第一に,ポートフォリ

オを組むためにはいくつかのプロジェクトがな

ければならいが,これまでone-project-one-

company方式であったため,ポートフォリオの

考えがなかった。第二に,リスクの高い事業へ

の投資割合が大きすぎたことである。これは石

油公団が制度的にリスクの高い探鉱事業しか対

象にできなかったことが日本企業の探鉱事業偏

重を生んだ原因であるが,本年6月に石油公団

法が改正され生産油田買収の出資も可能になっ

た。ちなみに,欧米の石油企業の上流事業への

投資割合は,リスクが相当軽減されている開発

事業へ7,8割,探鉱事業に2,3割である。

第三に,投資の際に個別「プロジェクト」の経

済性に注目し,新しいプロジェクトがどのよう

に「会社」に貢献するかということをあまり重

視しなかったと考えられる。なお,石油公団は

近であるが会社(コーポレート)レベルで考

えるように方向転換したところである。第四に,

0

50

100

150

200

250

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

Dai

ly P

rodu

ctio

n (m

bopd

)

P95

P75

P50

P25

Minimum

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石油/天然ガス レビュー ’01・7 ― 70 ―

リスクに対する厳しさが不足していたと考えら

れる。前述のように,欧米では「山師伝説」的

な発想は既に捨てている。第五に,金融機関の

ように他人から預かった資金を元利そろえて返

済しなければならないという厳格な態度がなか

った。

ポートフォリオの考え方を取り入れることは

このような問題を解決する第一歩である。なぜ

ならば,経営者は次のようなことを念頭に意思

決定することになるからである。 自社がどの

程度のリスクに耐えられるかを認識しておくこ

と。 リスクを定量化して認識しておくこと。

保有しているすべてのプロジェクトを総計・

連結しておくこと。(そうすれば,油価が1ドル

変動した場合の収益性やキャッシュフローを瞬

時に計算できるし,1つのプロジェクトの参加

シェアを変動させるとどのような結果になるか

についてシミュレーションができる。) 確率の

概念を使うこと。(そうすれば,投資額が回収さ

れない確率は何%であるかとか,会社が設定し

た目標をどの程度の確率で達成することができ

るが判る。)

経営者の意識変革は日本の石油上流企業が成

功するための必要条件であって十分条件ではな

い。ポートフォリオを実践するには,一定規模

の会社にならなければならないからである。外

国においては,メジャーでさえ生き残りをかけ

て合併し効率を追求している状況にあるが,一

方,日本では,たとえ全ての石油上流企業が合

併したとしても世界の中堅1社の規模にしかな

らない状況であるにもかかわらず,合併の動き

は鈍い。世界的競争に生きのこり,発展するこ

とを望むのであれば,業界編成をして,合併を

しなければならないであろう。

ポートフォリオ理論を早く実践に応用し,世

界での更なる活躍を期待したい。

【参考】ポートフォーリオのソフトウエア

各ソフトウエアの概要を簡単に紹介するが,

詳しくは各ベンダーのホームページを見て頂き

たい。各ソフトウエアにはそれぞれ特徴がある

ので,目的にそったソフトウエアを選定する必

要がある。また,複数のソフトを購入して比較

するのも一つの考えである。なお,調査を実施

したPetroleum Finance Company(PFC)と各ソ

フト会社には何ら関係はなく,PFCは中立な立

場にある。

AS$ET(IHS社 http://www.ihsenergy.com/

products/economics-sulting/asset/index.html)

・資本支出見積モジュール(capital cost estimation

module)がある。具体的には,陸上・沖合い,

堆積盆地名を入力することにより,典型的な埋

蔵量と資本支出が出力される。ただし,実際に

は,同社のQuestarなどの本格的な資本費用見積

ソフトで計算して,その結果をポートフォリオ

モデルに取り込むことになるので,この機能の

有無はさほど重要ではない。

・効率的フロンティア曲線を描くことはできな

い。

・ 適化(optimization)の計算ができる。(例:

年間総支出額は300百万$を超えないという

制約の下で,一番高いNPVを得るプロジェク

トの組み合わせは?)なお, 適化するのは

NPVのみ。制約は探鉱費,開発費,資本支出

総額,原油生産量,ガス生産量。

・ 適化の結果をXYグラフで描くことができ

る。

・世界中の全ての経済計算モデルが用意されて

いる。また,そのなかのパラメターを自由に

変更(カスタマイズ)できるので,産油国と

の入札交渉時にパラメターが交渉の道具にな

る時には,容易に経済計算ができる。

PetroVR (Caeser社 http://www.caesarsystems.

com/products.htm)

・PlanVR(埋蔵量・スケジュール等),EconVR(経

済計算),PortfolioVR(ポートフォリオ)により

構成される。

・資本支出見積モジュールがない。

・効率的フロンティア曲線を描くことができる。

他のソフトでは,「リスク」をNPVのStandard

deviationをとし,「リターン」をNPVの平均値

に限定しているが,このソフトでは他の要素

でこの曲線を描く事ができる。(例:「リスク」

を 高支出額,「リターン」をIRRとするな

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― 71 ― 石油/天然ガス レビュー ’01・7

ど。)

・ 適化ができる。(例:支出額上限は年間50

百万ドル,国内プロジェクトのRORは10%以上,

海外のそれは15%以上,会社全体では12%以上

確保の全てを満たすようなプロジェクトの組

み合わせを探すこと。)

・井戸毎にプロジェクトモデルを作ることがで

きる。また,井戸毎の成否をモンテカルロシ

ミュレーションで表すことができる。

・複数プロジェクトを合算したP25,P50,P75,P95

のレベルでの生産量をグラフで描ける。

・対応できるプロジェクト数は40~50に限定さ

れる。

・比較的新しいソフトであるためか,ユーザー

数は少ない。

MERAK社---Value management Suit(http://

www.merak.com/software/index.html)

・Peep(経済計算),Decision Tree(モンテカル

ロシミュレーション),Portfolio又はCapital

Planning(ポートフォーリオ)で構成される。

同社はその他多くのソフトを販売している。

・資本支出見積モジュールがない。

・経済計算モデルのパラメターを自由に変更で

きない。

・効率フロンティア曲線を描くことができる。

・ 適化については,AS$ETあるいはPetroVR

と比較できない位,能力がある。また,会社

レベルでのポートフォリオ評価ソフトとして

有益。実際に,多くの会社がスタンダードと

して利用している。

TERAS(Landmark Graphics社,http://www2.

lgc.com/about/about.asp)

以下の理由により,この調査を実施したIHS

はこのソフトを調査から外した。ただし,それ

は現時点での評価であり,同社はBPあるいは

Statoilと共同で新しいバージョンを開発してい

るとのことであるので,新製品情報には気をつ

けておく必要がある。

・国毎の経済モデルの数が少なく(約20ヶ国),

新規にモデルを作る場合はTERASのスタッフ

に依頼しなければならないが,サポート体制

が完全ではない。

・埋蔵量評価・経済評価・ポートフォーリオ評

価の全ての段階においてモンテカルロシミュ

レーションを使っているため,理解できない

ほど多くのデータが出力される。

・利用するには,Script Languageの習得などの

ために,特別な訓練が必要。他のソフトと比

較すると,TERASは機能的には非常にフレキ

シブルでパワフルであるが,これを使いこな

すのは容易ではなく,user friendlyではない。

・利用者の多くが,「このソフトはブラックボ

ックスのようだ」とコメントしている。

参考文献

1.フィリップ・ジョリオン著 第一勧業銀行

金融技術研究チーム訳 『バリュー・アッ

ト・リスクのすべて』シグマベイスキャピ

タル 2000年7月

2.今野浩著『金融工学の挑戦』中央公論新社

2000年4月

3.藤林宏・岡村孝・河内規称著 『EXCELで

学ぶファイナンス 証券投資分析』金融財

政事情研究会2000年7月

4.ロン・デンボー, アンドリュー・フリー

マン 牟田誠一朗 『文科系にも分かる金

融リスク入門』日経BP社 2000年6月

5.吉本佳生著『金融工学の悪魔』日本評論社

1999年10月

6.ピーター・C・フサロ編著 椎名照雄監訳

『エネルギー・デリバティブの世界』東洋

経済新報社 2001年4月

7.Petroleum Finance Company “Portfolio

Management”石油公団2000年度委託調査

8.『石油/天然ガス レビュー』1999年2月号

(Vol.32 No.1)