8
水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえ る影響 誌名 誌名 農業および園芸 = Agriculture and horticulture ISSN ISSN 03695247 著者 著者 中西, 康介 田和, 康太 巻/号 巻/号 91巻1号 掲載ページ 掲載ページ p. 105-111 発行年月 発行年月 2016年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえ る影響 · 411 4125 519 5123 618 6120 7/4 18 811 8115 町29 冬期湛水 b 15 10 5 a 15 10 0 4/11

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえる影響

    誌名誌名 農業および園芸 = Agriculture and horticulture

    ISSNISSN 03695247

    著者著者中西, 康介田和, 康太

    巻/号巻/号 91巻1号

    掲載ページ掲載ページ p. 105-111

    発行年月発行年月 2016年1月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • 105

    特集 水田の冬期湛水を多角的に考える

    水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえる影響

    中西康介*・田和康太**

    〔キーワード〕 ・アカネ属,カメムシ目 ,環境保全

    型農法,コウチュウ目,ニホンア

    マガエル,ユスリカ科

    はじめに

    近年,圃場整備による乾固化や田植えの早期化,

    中干しの徹底などによって,水田の湛水期間は以前

    よりも短くなっている.また,現在普及している,

    いわゆる慣行農法では,中干し後に間断湛水が取り

    入れられることが多い.地域や作付されるイネ

    Oryza sativa L.の品種にもよるが, 水田が安定した水

    域となるのは,田植えから中干し開始までの,長く

    ても lか月半から 2か月程度である.水田を利用す

    る水生生物にとって,水田の湛水期間は繁殖の成功

    や生死にかかわる重要な要因となる(図 1).

    冬期湛水農法は,水田の湛水期間を長くする管理

    方法である こと から,必然的に水生生物の生息可能

    な期間も長くなり ,生物多様性保全にとって,効果

    的であると考えられてきた.しかし,例えばイトミ

    ミズ類などの農業生産と関わる生物種が注目され

    ることはあっても(伊藤 ・原 2015),冬期湛水農法

    が水生生物群集にあたえる影響について, これまで

    -祭器産轡溜溢鱒ヤ:捌l

    -雪事由民日V門以I地窓会漁師事I訂摂WYJ3ι .. 桜美.・.. …一-一c:.n:_ ~~ |略ぬぐ:ス税-二.図 l 中干しによって水田内で干からびたオタマジャ

    クシ

    .名古屋大学大学院環境学研究科 (KosukeNakanishi)

    "兵庫県立大学大学院 地域資源、7 ネジメント研究科(KotaTawa)

    ほとんど検証されてこなかった.そこで,筆者らは

    冬期湛水農法が取り入れられた水田と通常の湛水

    管理の水田との比較調査や,湛水開始時期を操作し

    た実験水田を用いて,冬期t甚水が水生生物群集にあ

    たえる影響を解明してきた(中西ほか 2009,中西 ・

    沢田 2015).本稿では,水田を利用する水生生物の

    うち,発育段階に応じて水中と陸上の両方を利用す

    る水生見虫類およびカエノレ類に注目し,これまでわ

    かってきた冬期湛水の影響について解説する.

    水田の栽培管理方法と水生昆虫群集

    筆者らは,水田の栽培管理方法が水生生物にあた

    える影響を明らかにするために,様々な農法が実施

    されていた滋賀県高島市において,複数の水田を対

    象とし,水生昆虫類を指標とした比較調査を行った.

    滋賀県の農業政策の一つに「環境こだわり農産物

    認証制度」がある.これは,化学合成農薬および化

    学肥料の使用量を慣行農法の半分以下にするとと

    もに,濁水の流出防止など,琵琶湖をはじめとする

    環境への負荷を削減する農法で生産された農産物

    を県が「環境こだわり農産物Jとして認証する制度

    である(図 2). I環境こだわり農産物認証制度Jの

    図 2 r環境こだわり農産物」の栽培を行っている圃場に掲げられる看板

    0369-5247/16/干500/1論文/JCOPY

  • (2016年)

    基準を満たした生産管理に,冬期湛水管理の実施を

    加えると,農水省の「環境保全型農業直接支払交付

    金支援」の対象となる.また,滋賀県高島市には,

    「たかしま生きもの田んぼ米Jという ,環境こだわ

    り農産物よりも厳しい基準の独自の認証制度があ

    り,冬期湛水(あるいは,早期湛水)は,この認証

    を受けるための栽培基準のーっとなっている.

    このような農法が実施されている地域において,

    慣行,減農薬(環境こだわり農産物),無農薬,冬

    第 l号

    期湛水(無農薬の「たかしま生きもの田んぼ米J)

    の4タイフ。の農法の水田を各2筆調査地として設定

    し,イネの作付期間中に捕食性の水生昆虫群集(ト

    ンボ目 ,カメムシ目,コウチュウ目)の季節消長を

    調べた(中西ほか 2009).その結果,慣行田や減農

    薬田では,無農薬田と比べて水生昆虫の種数 ・個体

    数がともに田植え直後から一貫して少なかった(図

    3) .この理由として,初期施用農薬(育苗籍施用殺

    虫剤)の影響による死亡率の上昇や餌生物の減少が

    第 91巻農業および園芸106

    8 15

    mトンボ自A 15

    1慣行

    10 路カメムシ回10

    5

    ロコウチュウ日5

    0 4/11 4125 519 5123 6/6 6120 7/4 7/18 811 81158129

    日 ‘ / " "

    4/11 4125 519 5123 6/6 6120 7/4 7/18 811 8/15 8/29

    減農薬

    B 15

    5

    10

    A

    :1〈 、 企4/11 4/25 519 5123 616 6120 7/4 7/18 8/1 8/15 8129

    15

    10

    種数/調査

    無農薬

    0 4/11 4/25 519 5123 6/6 6120 7/4 7/18 8/1 8/15 8/29

    8 15

    10

    5

    A 15

    10

    5

    0 4/11 4125 519 5123 616 町20 7/4 7/18 811 8/15 8129

    O 4/11 4125 519 5123 618 6120 7/4 7/18 811 8115町29

    冬期湛水

    B 15

    10

    5

    A 15

    10

    0 4/11 4125 519 5123 6/6 6120 7/4 7/18 8/1 8115 8129

    栽培管理方法が異なる水田における水生昆虫類の季節消長上から慣行田,減農薬田(環境こだわり農産物),無農薬田,冬期湛水田(無農薬).

    0 4/11 4125 519 5123 6/6 6120 7/4 7/18 8/1 8パ58129

    図 3

  • 中西 ・田和:水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえる影響 107

    図4 アオモンイトトンボの幼虫

    図 6 コガムシの幼虫

    , ,

    おもに考えられた.一方で、,冬期湛水田では,通常

    の無農薬田と比較しでも,水生昆虫類の種多様性が

    高かった.特に冬期t甚水田では,アオモンイ トトン

    ボ属 lschnuraspp. (図 4),ホソミオツネントンボ

    lndolestes peregrinus,シオカラトンボ属 Orthetrum

    spp.などのトンボ目幼虫,マツモムシ Notonecta

    triguttataやコミズムシ属 Sigaraspp. (図 5)などの

    カメムシ目,ゲンゴロウ科やガムシ科などのコウ

    チュウ自の幼虫(図 6) が顕著に多かった そのた

    め,冬期湛水は水生見虫類全体の多様性保全に効果

    的であると考えられた.これは, 7,甚水期聞が長く,

    水生昆虫類の生息場所が長期間維持され,豊富な餌

    動物が初期から存在したことが影響していると思

    われた.ところが,水生昆虫類のなかでも,アキア

    カネ砂mpetrumfrequens (図 7)などのアカトンボの

    なかま(アカネ属)の幼虫は無農薬田と比較して,

    冬期湛水田でーは少なかった.つまり ,冬期湛水は一

    図 5 コミズムシ

    _./

    図 7 アキアカネの幼虫

    部の種にとって,マイナスの効果をあたえることが

    示唆された.アカネ属は秋に稲刈り後の水田で産卵

    する.アカネ属の卵は,そのまま水田の土中で越冬

    し,水田に水が入ると鮮化する.解化した幼虫は若

    齢期には,おもにミジンコ類などの動物プランクト

    ンを捕食する.動物プランクトンもまた,水田では

    湛水開始直後に急増することが知られている(倉沢

    1955). ところが,冬期湛水田では,湛水開始時期

    が早いため,動物プランクトンの発生パターンが通

    常の湛水管理の水田と異なり,アカネ属幼虫の餌不

    足につながった可能性が考えられた.また,冬期湛

    水田では,捕食性の水生カメムシ類やコウチュウ目

    幼虫の個体数が多かった.これらはアカネ属幼虫の

    捕食者となるため,解化後のアカネ属幼虫の主要な

    死亡要因の一つになったと推測される.さらに,冬

    期湛水による溶存酸素濃度の低下など、の水質変化

    によって,アカネ属の卵の鮮化率そのものが低下し

  • 集群虫昆生レれ『,,,

    と期時

    ー.

    ムロ

    ν

    且明

    MF

    判明

    z

    z'

    8一可

    O一た

    農業および園芸第 91巻第 1号 (2016年)

    5/1 6/1 7/1 8/1

    600 r 回カゲロウ目(A) 5月湛水田

    500 ト -トンボ自ロカメムシ悶ロコウチユウ自

    -ハエB300

    200

    100

    。4/1 5/1 6/1 7/1 8/1

    図 8 1枚の水田を 3区画に分け, i,甚水開始時期を操作した実験水田 図 9 湛水開始時期を操作した実験水田における水生湛水開始時期を年ごとにローテーションするよ 昆虫類の季節消長うに実験を行った 手前の 2区画が湛水された それぞれの湛水開始時期は (A)2011年3月 14状態である. 日, (B) 4月 14日,(C) 5月 16日であるー

    以上のように,冬期湛水は概して水生昆虫類の多

    様性を向上させる効果があることがわかった.そこ

    で,そのメカニズムを明らかにするために,筆者ら

    は湛水開始時期を操作した実験を設け,大型水生昆

    虫だけでなく,より広範囲な生物群を対象とし,そ

    れらの発生パターンを比較した.まず I枚の水田

    を3区画に分けた実験水田を用意 した(図 8).各区

    画の湛水開始時期を,滋賀県で、の慣行的な湛水時期

    である 5月から 1か月ずつ早めた処理を行なった (5

    月I甚水田, 4月j甚*田, 3月湛水田).そして,各水

    回において,水生生物の季節消長を調査した. 2年

    目以降,各区画の処理をローテーションさせて,i甚

    水開始時期の影響を分析した.

    l年目の調査の結果, 3月湛水田では, 4月下旬か

    ら5月上旬頃にハエ目の幼虫が大量に発生した(図

    9) .このハエ目幼虫は主に腐食者であるユス リカ科

    の幼虫で、あった.その後,これらを餌とするやや大

    型の捕食性カメムシ目やトンボ目幼虫なとaの水生

    昆虫類が増加 した.他方,5月湛水田,すなわち通

    常の管理方法の水田では,初期にユスリカ科幼虫が

    噌加することはなかった.つまり ,春先のユス リカ

    科幼虫の増加が冬期湛水田において多様な水生昆

    虫類が生息できる原動力となっていることが示唆

    された.また,両者の中間の 4月湛水田でも, 3月

    湛水田の半数以下で、あったが,初期にユスリカ科幼

    虫の増加がみられ,田植え後の水生昆虫類の多様性

    は5月湛水田と比較して圧倒的に高かった.2年目

    以降,処理を変えた水田においても同様な湛水開始

    時期の影響がみられた

    水田の湛水開時期を早めることは,水生昆虫群集

    の多様性を高めることにつながることがわかった.

    例えば, 湛水開始時期を通常より 1 ~2 か月早める

    だけでも,かなりの効果があること が明らかとなっ

    た.ところが,アカネ属幼虫は 5月湛水田で合計 4

    600 I (A) 3月湛水田

    500

    400

    300

    200

    100

    。4/1 5/1 6/1 7/1 8/1

    600 I (A) 4月湛水面

    500

    種 400妻女/ 300

    調査 200

    100

  • 中西 ・田和 水田の冬期湛水農法が7J,生昆虫類およびカエル類にあたえる影響 109

    図 10 ヤマアカガエル

    個体, 4月湛水田で合計 2個体採集され, 3月湛水

    田ではまったく採集されなかった.本実験水田では,

    アカネ属幼虫の個体数が全体的に少なく,比較でき

    るようなデータが得られなかったが,前述の高島市

    での調査結果のように,湛水開始が早い水田(冬期

    湛水田)はアカネ属幼虫の成育に適していなかった

    可能性が考えられる.

    水田の湛水開始時期とカエル類

    カエノレ類は水田を繁殖場所として利用する代表

    的な生物である本州、|から九州に分布するカエル類

    のうち, 12種が水田を繁殖場所として利用すること

    が知られている(渡部 2015) 多くの種は水中に産

    卵するため,水田の湛水時期が繁殖の可能性に直結

    する.水田で繁殖するカエノレ類の種は,田植え前後

    で異なる.

    おもに田植え前に産卵するのが,ニホンヒキガエ

    ル Bufojaponicus japonicusやアズマヒキガエルB.j.

    formoslls,およびニホンアカガエルRanajaponicaや

    ヤマアカガエノレR.ornativentris (図 10)などである.

    通常これらの種が産卵するのは,圃場整備が行なわ

    れていないか,あるいは乾田化が不完全な,いわゆ

    る湿田である.1,墨田では冬期も水囲内に水たまりが

    維持されることが多い この水たまりが,田植え前

    に繁殖するカエル類の産卵場所として機能するつ

    まり,冬期湛水田はこのようなカエル類の産卵場所

    としての役割を果たすことが期待される.実際に,

    筆者らは冬期湛水田で、春先にニホンアカガエルの

    卵塊を確認している.しかし,冬期湛水田がこれら

    図 11 トノサマガエル

    図 12 ニホンアマガエル

    のカエル類にとっての産卵場所として,どの程度利

    用されているのか,幼生の生存率はどの程度なのか,

    といった定量的なデータはまだ不足している.

    次に,田植え後に水田に産卵するカエル類に注目

    する.全国的に田植え後の水田でもっともよく見ら

    れるカエル類はトノサマガエル Pelophyl即

    時 romacl印刷(図 11)やニホンアマガエル断。

    japonica (図 12) である.前述の湛水開始時期を操

    作した実験水田において,採集されたカエル類幼生

    のほとんどがニホンアマガエルでRあったその季節

    消長を比較すると, 5月湛水田では,田植え後に幼

    生の個体数が急増することがわかった.5月湛水田

    で採集されたニホンアマガエル幼生の個体数は,早

    期湛水処理区の約1.3倍ほどであった(中西ほか未

    発表)•

  • (2016年)

    今や全国的な絶滅危倶種となっている(大庭 2015).

    これら絶滅危倶種の多くは,かつて水田にすむ代表

    的な生物であり,普通種とも呼べるもので、あった.

    アキアカネはすでに全国的に減少しつつあるが,現

    在カエル類のなかでもっともよく見られるニホン

    アマガエノレでさえ,今後水田環境が変わると普通種

    でなくなってしまう可能性も否定できない.ネオニ

    コチノイド系に代表される農薬については,アキア

    カネを含む様々な水生生物に対しての悪影響が指

    摘され,検証実験も行なわれている(神宮字 2015).

    しかし,冬期湛水のみならず,いわゆる「環境保

    全型農法」は,しっかりとした裏付けがないまま,

    生物多様性へのプラスの効果のみが取りざたされ

    ることが多かった.単純な被食一捕食関係などの生

    物間相互作用を考えても,すべての生物にとってプ

    ラスとなる農法など存在しないことは当然である.

    生物多様性保全を目的として冬期湛水農法を実践

    する際は,その効果についての限界を把握した上で,

    その地域の生物相にあった具体的な保全目標を立

    てる必要があると思われる.今後,様々な生物群集

    を対象とした環境保全型農法の実証研究が進むこ

    とが期待される.

    謝辞

    第 l号第 91巻

    そこで筆者らは,ニホンアマガエルの産卵場所選

    好が水田の湛水開始時期によって影響を受けるか

    どうか明らかにするために,調査を行なった.ニホ

    ンアマガエルの主な繁殖期で、ある 5月から 6月にか

    けて,前述の湛水操作実験水田を含む,湛水開始時

    期が様々な水田において,夜間に各水田の畦を歩き,

    繁殖に集まる本種成体の個体数を計数した.すると,

    ニホンアマガエルは湛水を開始し,代かき直後の水

    田を選好し,そこに集まって産卵していることが明

    らかになった(図 13). また,湛水操作実験水田で

    は全区画同日に代かきを行なったが,より湛水開始

    時期が遅い水田で本種の個体数が多かった(図 14).

    水田の代かき直後の環境は,まさに河川の氾濫原の

    環境と似ている.これらの結果から,ニホンアマガ

    エルは捕食者が少なく餌が豊富な一時的水域で、あ

    る水田を何らかの情報によって認識し,繁殖場所と

    して選択していると考えられる.つまり,冬期湛水

    田はニホンアマガエルの繁殖場所としては適さな

    いことが示唆された.

    おわりに

    現在,環境省や各地のレッドリストには,水田で

    繁殖する多くの水生見虫類やカエル類が掲載され

    ている.タガメ Kirkaldyiadeyrolliやゲンゴロウ

    Cybister chinensisに代表される水田の水生見虫類は,

    農業および園芸110

    滋賀県高島市の井上四郎太夫氏や是永宙氏を始

    。1()自宅ー

    。1() _ F

    E 口己

    。o 叩F

    1()

    個体数

    。。。

    。。

    。。。。

    。。。。。。o0。。。。。。

    。。。。。

    。。。。。。。

    倍体数

    1()

    。。000 00

    。o 0。

    レム-a,

    O

    寸湛月にJ1月混水

    ロー。

    40

    。。。

    10 20 30

    代かき実施呂からの経過日数

    。。

    。。

    。。。。。→。

    湛水開始時期を操作した実験水田におけるニホンアマガエルのオス個体数の比較湛水開始が遅い水田ほど,多くの個体が集まることがわかった. 2014 年 5 月 ~6 月までのデータ.

    図 14代かきからの経過日数と繁殖にやってきたニホンアマガエルのオス個体数との関係代かき直後の水田ほど,多くの個体が集まることがわかった.2014 年 5 月 ~6 月までに 13 筆の水田で調査したデータ

    図13

  • 中西・田和:水田の冬期湛水農法が水生昆虫類およびカエル類にあたえる影響 1

    1

    1

    めとした地元の皆様には,水田での調査に際して多

    大なるご協力をいただいた.研究の遂行にあたって

    は,滋賀県立大学の沢田裕一名誉教授に有益なご助

    言を賜った.また野外調査では多くの滋賀県立大学

    の学生・大学院生諸氏にご協力いただいた.以上の

    方々に深謝申し上げる.

    引用文献

    伊藤豊彰・原宏太 (2015)水田の生物多様性イトミミ

    ズ類の生態と水稲生産との関わり.農業および園芸

    90 : 464-472.

    神宮字寛 (2015)水田の生物多様性赤とんぼの目で見る

    水田農業.農業および園芸 90: 256-266.

    倉沢秀夫 (1955)水田における Planktonの消長.日本生物

    地理学会会報 16-19: 428-432.

    中西康介・沢田裕一 (2015)水生生物のいのちの連鎖の鍵

    を握る水 ふゆみず田んぼと湿田の特徴 rにぎやかな田んぼj 夏原由博編.pp.102-107.京都通信社,京都.

    中西康介・田和康太・蒲原 漠・野間直彦・沢田裕一 (2009)

    栽培管理方法の異なる水回間における大型水生動物

    群集の比較.環動昆 20:103-114.

    大庭伸也 (2015)水田の生物多様性一水田生態系に生息す

    る水生昆虫類の生態と保全.農業および園芸 90

    243-255 渡部恵司・森 淳・小出水規行・竹村武土 (2015)水田の

    生物多様性一農村生態系におけるカエル類の保全.農

    業および園芸 90:372・380.