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慢性疾患ガイドライン なぜこのテーマが重要か 生活習慣病を始めとする慢性疾患は今日ますます増 加している。しかし本邦においてその管理は標準化さ れているとは言いがたく、日本のガイドライン、海外 のガイドライン、そして各個人の経験などを交えなが ら、各医師によって異なる方法がとられていることも 少なくない。 CFMDレジデンシーでは慢性疾患のマネジメントを 特に重視しており、家庭医が遭遇する頻度の高い慢性 疾患の管理に関し、教育診療所間で質を保証し標準化 することを目標に、診療所で使用できる診療ガイドラ インを作成するプロジェクトを行っている。 DISCUSSION ・診療所のリソースで使用できる診療ガイドライ ンの作成によって、診療所における慢性疾患ケア の質管理と質改善ができるばかりか、複数の診療 所間の診断治療の標準化にもつながる。 ・またこのガイドラインをレジデントが作成する ことで、疾患のマネジメントに関する理解が深く なる。 NEXT STEP ・日本のガイドラインと海外のガイドラインとで内容 が異なるときにどうするか、診療所ごとにリソース (可能な検査や治療)が異なるのでどう記載するか、 などは今後の検討課題である。 DAISUKE SON 北足立生協診療所 血尿診断ガイドライン ・顕微鏡的血尿や肉眼的血尿を見たときに、どの ような検査を進め、どのようにマネジメントすれ ばよいかをフローチャートでまとめた ・専門医に紹介すべき場合を明示している 慢性副鼻腔炎ガイドライン ・エビデンスの少ない慢性副鼻腔炎( 12 週以上継 続する副鼻腔炎)に関してガイドラインを作成 ・家庭医がみる疾患としても少なくないため、治 療薬の使い分けなどに関しての目安を示した H. ピロリ診断治療ガイドライン ・ピロリ菌診断のための検査法には数種類あり、 各検査の特性を把握し適切な検査法を選べるよう にする ・処方薬剤と用量の確認のための補助とする 慢性疾患ガイドラインの作成 CFMDレジデンシーでは2007年より慢性疾患の診療ガイ ドラインを作成するプロジェクトを行っており、これまで 「糖尿病」「脂質異常症」「高尿酸血症・痛風」「骨粗鬆 症」「花粉症」「前立腺肥大症」「関節リウマチ」「アト ピー性皮膚炎」「胃潰瘍」「不眠症」「C型慢性肝炎」 「認知症のBPSD」などに関する診療ガイドラインを作成 してきた。 ・原則としてA4 2枚にまとめ、疾患の定義、診断基準、頻 度、鑑別診断、必要な問診と検査、治療などを記載。診療 所のリソースで使用できるようにアレンジされている。 ・我々レジデンシー同期5名では、以下のような計14のガ イドラインを作成した。 「血尿」「慢性副鼻腔炎」「 H. ピロリ感染」 「高血圧」「アルコール関連障害」 「甲状腺機能亢進症」「老年うつ病」 「肩関節周囲炎」「変形性膝関節症」 「気管支喘息」「 COPD 」「爪白癬」 「便潜血検査」「禁煙治療」

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慢性疾患ガイドライン

なぜこのテーマが重要か

 生活習慣病を始めとする慢性疾患は今日ますます増

加している。しかし本邦においてその管理は標準化さ

れているとは言いがたく、日本のガイドライン、海外

のガイドライン、そして各個人の経験などを交えなが

ら、各医師によって異なる方法がとられていることも

少なくない。 CFMDレジデンシーでは慢性

疾患のマネジメントを

特に重視しており、家庭医が遭遇する頻度の高い慢性

疾患の管理に関し、教育診療所間で質を保証し標準化

することを目標に、診療所で使用できる診療ガイドラ

インを作成するプロジェクトを行っている。

DAISUKE SON北足立生協診療所

DISCUSSION・診療所のリソースで使用できる診療ガイドラインの作成によって、診療所における慢性疾患ケアの質管理と質改善ができるばかりか、複数の診療所間の診断治療の標準化にもつながる。

・またこのガイドラインをレジデントが作成することで、疾患のマネジメントに関する理解が深くなる。

NEXT STEP・日本のガイドラインと海外のガイドライン

とで内容

が異なるときにどうするか、診療所ごとにリソース

(可能な検査や治療)が異なるのでどう記載するか、

などは今後の検討課題である。DAISUKE SON北足立生協診療所

血尿診断ガイドライン・顕微鏡的血尿や肉眼的血尿を見たときに、どのような検査を進め、どのようにマネジメントすればよいかをフローチャートでまとめた・専門医に紹介すべき場合を明示している

慢性副鼻腔炎ガイドライン・エビデンスの少ない慢性副鼻腔炎(12週以上継続する副鼻腔炎)に関してガイドラインを作成・家庭医がみる疾患としても少なくないため、治療薬の使い分けなどに関しての目安を示した

H.ピロリ診断治療ガイドライン・ピロリ菌診断のための検査法には数種類あり、各検査の特性を把握し適切な検査法を選べるようにする・処方薬剤と用量の確認のための補助とする

慢性疾患ガイドラインの作成・CFMDレジデンシーでは2007年より慢性疾患の診療ガイドラインを作成するプロジェクトを行っており、これまで「糖尿病」「脂質異常症」「高尿酸血症・痛風」「骨粗鬆症」「花粉症」「前立腺肥大症」「関節リウマチ」「アトピー性皮膚炎」「胃潰瘍」「不眠症」「C型慢性肝炎」「認知症のBPSD」などに関する診療ガイドラインを作成してきた。・原則としてA4 2枚にまとめ、疾患の定義、診断基準、頻度、鑑別診断、必要な問診と検査、治療などを記載。診療所のリソースで使用できるようにアレンジされている。・我々レジデンシー同期5名では、以下のような計14のガイドラインを作成した。

「血尿」「慢性副鼻腔炎」「H.ピロリ感染」「高血圧」「アルコール関連障害」「甲状腺機能亢進症」「老年うつ病」「肩関節周囲炎」「変形性膝関節症」「気管支喘息」「COPD」「爪白癬」「便潜血検査」「禁煙治療」