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ナノ粒子を活用した医療への応用 研究の目的 2本鎖DNA固定化金ナノ粒子の作成方法 (東理大・基礎工教養)〇筒井豪久 ・大槻優夏・清家大智・谷長優里 DNA密生ナノマテリアルを活用した地域医療への貢献 マテリアル設計 金ナノ粒子とは 金ナノ粒子(GNP)≠金色 金ナノ粒子を用いた色による判別 金ナノ粒子に分子修飾した複合ナノ材料(DNA-GNP) は、 生体内で利用できる。 Sato, K. et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 8102 (2003) D. Huang et al., J. Electro. Soc., 2003, 150, G412 チオール化DNA NaClを加える ・金ナノ粒子は塩を加えると凝縮する →1塩基の違いが 色変化により判別できる 相補鎖は凝集→青色 1塩基突出型は分散→赤色 ナノ診断 目視薬物スクリーニング法 通常→凝集して青色 塩基が1つ多い→分散したまま凝集せず赤色 つまり、遺伝子多型診断に使える。 (色だから見分けるの簡単) 薬物代謝酵素(シトクロムP450)の変異 ・がんになると、特定のマイクロRNAが血中に流れる 臓器の特定が可能に 目視薬物スクリーニング法によって判別した、 DNA損傷剤として効果が大きいものを増幅する。 サンプル(血液,毛根)を収集 DNAを抽出・増幅する →1塩基伸長反応 ⇒DNA金ナノ粒子・塩追加で 目視で塩基が特定できる DNAと金ナノ粒子でつくったナノ線形化の有無による 色変化で、環境汚染物質の高感度検出技術を開発するナノ医療への展開 →色の変化あり →色の変化なし 低分子医薬オリゴマー (疎水部) GNP 粒径5nm 今後の展望 このように、金ナノ粒子は元々は扱いづらいもの だが、DNAを結合させることで、遺伝子診断や ガン治療にまで応用できるようになった。 BSPPーGNPの調製 ゲル電気泳動による二本鎖DNA固定化GNPの 単離 ターゲットDNA添加に伴った、 糸ビーズ状ナノ構造体の色変化観察 など 今後、さらなる研究を進める予定。 ジチオール20塩基DNA (二重鎖形成16塩基) 有機リンリガンド (BSPP)の構造式 ターゲット40塩基 (二重鎖形成32塩基) H₂O KH₂O 混合させ一日置く Kチミン基が金ナノ 粒子と結合 DNA鎖を長くして、 金ナノ粒子が電気 泳動の影響を受け るようにする 電気泳動により、結合したDNA鎖の 本数ごとに金ナノ粒子を分離できる 加えたDNAと二重鎖を形成 し、金ナノ粒子から外れる BSPPのリン原子を GNPにくっつける ことで、BSPPの SO 3 - で大きくマイ ナスにすることが できる。これに よって、金粒子の 分散性を向上する。 C. Bracken et al., Nat. Rev. Genetics, 2016, 17, 719 これを回収 1塩基突出 金粒子は集まると色変化を起こす。 DNAの高度認識能 金ナノの鮮やかな発色特色 ナノレベルだと… 金ナノ粒子は赤色に! これらの性質をあわせ持つ ハイブリット型ナノ材料 DNA密生層 高分子の薬 自己組織化 刺激 標的細胞内 核酸医薬(親水部) (光、pH変化) →自己崩壊性機能による 異種薬物の同時リリース この仕組みにより、 ・低毒性 ・異種薬物の同時リリース ・内包薬物100% なものを特定の臓器に送ることができる。 秋山好嗣、菊池明彦、川出茉実、福本汐音、木村和徳、特願2019-164912 1塩基 ミスマッチDNA ターゲットDNA 二重鎖を形成する 二重鎖を形成しない Akiyama, Y. et al, Chem. Eur. J. 20, 17420 (2014) Akiyama, Y. et al, ChemistryOpen 5, 508 (2016) 秋山好嗣、菊池明彦、木村和徳、特願2018-159028 抗がん剤の効果絶大

DNA密生ナノマテリアルを活用した地域医療への貢献...ナノ粒子を活用した医療への応用 研究の目的 2本鎖DNA固定化金ナノ粒子の作成方法

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Page 1: DNA密生ナノマテリアルを活用した地域医療への貢献...ナノ粒子を活用した医療への応用 研究の目的 2本鎖DNA固定化金ナノ粒子の作成方法

ナノ粒子を活用した医療への応用

研究の目的

2本鎖DNA固定化金ナノ粒子の作成方法

(東理大・基礎工教養)〇筒井豪久・大槻優夏・清家大智・谷長優里

DNA密生ナノマテリアルを活用した地域医療への貢献

マテリアル設計

金ナノ粒子とは金ナノ粒子(GNP)≠金色 金ナノ粒子を用いた色による判別

金ナノ粒子に分子修飾した複合ナノ材料(DNA-GNP) は、生体内で利用できる。

Sato, K. et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 8102 (2003) D. Huang et al., J. Electro. Soc., 2003, 150, G412

チオール化DNA

NaClを加える

・金ナノ粒子は塩を加えると凝縮する→1塩基の違いが色変化により判別できる

相補鎖は凝集→青色 1塩基突出型は分散→赤色

ナノ診断目視薬物スクリーニング法

通常→凝集して青色塩基が1つ多い→分散したまま凝集せず赤色つまり、遺伝子多型診断に使える。(色だから見分けるの簡単)

薬物代謝酵素(シトクロムP450)の変異

・がんになると、特定のマイクロRNAが血中に流れる→臓器の特定が可能に

⇒目視薬物スクリーニング法によって判別した、DNA損傷剤として効果が大きいものを増幅する。

サンプル(血液,毛根)を収集

DNAを抽出・増幅する→1塩基伸長反応

⇒DNA金ナノ粒子・塩追加で目視で塩基が特定できる

DNAと金ナノ粒子でつくったナノ線形化の有無による色変化で、環境汚染物質の高感度検出技術を開発する。

ナノ医療への展開

→色の変化あり

→色の変化なし

低分子医薬オリゴマー(疎水部)

GNP

粒径5nm

今後の展望

このように、金ナノ粒子は元々は扱いづらいもの

だが、DNAを結合させることで、遺伝子診断や

ガン治療にまで応用できるようになった。

①BSPPーGNPの調製

②ゲル電気泳動による二本鎖DNA固定化GNPの

単離

③ターゲットDNA添加に伴った、

糸ビーズ状ナノ構造体の色変化観察 など

今後、さらなる研究を進める予定。

ジチオール20塩基DNA(二重鎖形成16塩基)

有機リンリガンド(BSPP)の構造式

ターゲット40塩基(二重鎖形成32塩基)

H₂O

K⁺

H₂O

混合させ一日置く

K⁺

チミン基が金ナノ粒子と結合

DNA鎖を長くして、金ナノ粒子が電気泳動の影響を受けるようにする

電気泳動により、結合したDNA鎖の本数ごとに金ナノ粒子を分離できる

加えたDNAと二重鎖を形成し、金ナノ粒子から外れる

BSPPのリン原子をGNPにくっつけることで、BSPPのSO3

-で大きくマイナスにすることができる。これによって、金粒子の分散性を向上する。

C. Bracken et al., Nat. Rev. Genetics, 2016, 17, 719

これを回収

1塩基突出

金粒子は集まると色変化を起こす。

DNAの高度認識能金ナノの鮮やかな発色特色

ナノレベルだと…

金ナノ粒子は赤色に!

これらの性質をあわせ持つハイブリット型ナノ材料

DNA密生層

高分子の薬自己組織化

刺激

標的細胞内

核酸医薬(親水部)

(光、pH変化)

→自己崩壊性機能による異種薬物の同時リリースこの仕組みにより、

・低毒性 ・異種薬物の同時リリース ・内包薬物100%なものを特定の臓器に送ることができる。

秋山好嗣、菊池明彦、川出茉実、福本汐音、木村和徳、特願2019-164912

1塩基ミスマッチDNA

ターゲットDNA

二重鎖を形成する

二重鎖を形成しない

Akiyama, Y. et al, Chem. Eur. J. 20, 17420 (2014)

Akiyama, Y. et al, ChemistryOpen 5, 508 (2016)

秋山好嗣、菊池明彦、木村和徳、特願2018-159028

抗がん剤の効果絶大