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Introduction to Flow Cytometry
■ フローサイトメトリーの原理
■ 蛍光の原理
■ データ解析
■ プロトコル
■ トラブルシューティング
By Misha Rahman, Ph.D.
Technical advisors Andy Lane, Ph.D.
Angie Swindell, M.Sc.
Sarah Bartram, B.Sc.
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序言
何も知らない人に対してフローサイトメトリーとは何かをどのように説明したらよいでしょうか?そうです、スーパーマーケットに行ったときを想像してみてください。欲しい商品を選んで、レジへ持っていきます。多くの場合、商品をコンベアーに載せます。店員は商品を取り、バーコードを読むためレーザーにかざします。確認の後、意識していれば、同じ商品を一緒に集め、例えば、果物と野菜は1つのレジ袋に入れ家庭用品は別のレジ袋に入れます。自動化された全体のプロセスを想像してみてください。買い物を生物分子に置き換えてみてください。バーコードを細胞マーカーと置き換えてみてください。― フローサイトメトリーおよびセルソーティングの世界へようこそ!
背後にある複雑な数学や物理学に深く掘り進まないで、フローサイトメトリーの重要な側面全ての基本的な概要をお伝えすることが我々の目的です。より専門的な参考文献は巻末に一部ご紹介してあります。本ハンドブックはフローサイトメトリーの初心者、または、このアプリケーションの長所について他の人に教えたいという人に向けて作られています。
AbDはフローサイトメトリー試薬を専門としており、アクセサリーバッファーとともに広範囲の抗体マーカーを多数ご提供しています。我々は、一般に知られているフローサイトメトリー用機器の全てで使用できる製品を作ることを企業理念としています。我々は1つの機器に偏った製品を提供するのではなく、科学的成果を最大にすることが出来る製品を提供することを目的としています。それは、もしお客様が購入した試薬がそのデータシートに述べられた性能を示さなければ、その試薬を新しいものと取り替えるか、いただいたお金を返金するという品質保証により弊社の試薬への自信が示されています。
日々新しい商品を加え、増加し続けている弊社のフローサイトメトリー試薬についてのご質問は販売代理店であるコスモ・バイオ株式会社にご連絡(TEL: 03-5632-9610 URL: www.cosmobio.co.jp)ください。また、ウェブサイトwww.ab-direct.comでは、オンラインで各製品の詳細なデータシートをご提供しています。
この小冊子が役立てば幸いです。本小冊子がよかったならばコスモ・バイオ㈱までご連絡ください。AbDがサポートする他のアプリケーション応用に対応するガイドを作りたいと思います。
Morris GillsMarketing Manager
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目次
Chapter 1 フローサイトメトリーの原理 流体工学システム ………………………………………………………………………………4 光学および検出 …………………………………………………………………………………5 信号の処理 ………………………………………………………………………………………6 静電気セルソーティング ………………………………………………………………………7
Chapter 2 蛍光の原理 蛍光色素および光 ………………………………………………………………………………9 ストークスシフト ………………………………………………………………………………9 最大吸収および最大放出 …………………………………………………………………… 10 なぜ蛍光プローブを使用するのか? ……………………………………………………… 12 フローサイトメトリーに対しどの蛍光色素が有用か? ………………………………… 12 蛍光補正 ……………………………………………………………………………………… 14
Chapter 3 データ解析 ゲートおよび領域 …………………………………………………………………………… 16 単一パラメータヒストグラム ……………………………………………………………… 18 2パラメータヒストグラム ………………………………………………………………… 20 細胞内抗原 …………………………………………………………………………………… 21 免疫表現型判定 ……………………………………………………………………………… 22
Chapter 4 共通プロトコル サンプル調製 ………………………………………………………………………………… 24 材料および方法 1 細胞の調整 ………………………………………………………………………………… 25 2 細胞および血液の直接免疫蛍光染色 …………………………………………………… 26 3 細胞および血液の間接免疫蛍光染色 …………………………………………………… 27 4 全血におけるラムダおよびカッパ鎖の染色 …………………………………………… 28 5 細胞内サイトカイン解析に対する全血プロトコル …………………………………… 28 6 細胞内抗原の直接染色 …………………………………………………………………… 29 7 細胞内抗原の直接染色:メタノール法 ………………………………………………… 30
Chapter 5 トラブルシューティング …………………………………………… 31
参考文献………………………………………………………………………………… 33
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Chapter1フローサイトメトリー
の原理
流体工学システム
フローサイトメトリーの基本原理の 1つとして、個々の粒子の性質を測定可能な点があげられます。溶液中のサンプルがフローサイトメーターに注入されたとき、粒子は 3次元空間にランダムに分布さるため、サンプルは、機器の検出システムにより捕捉可能な単一粒子の流れに整える必要があります。
基本的に、この流体工学スシステムは、サンプルが注入される中心チャネル/コアを、より早く流れる外側の筒状の流体によって閉じ込めることによって形成されます。早く流れる外側の筒状の流体の移動につれて、流体は細くなる中心チャンバーに対し大きな抗力効果を作ります。これは中心の流れの速度を変え、流れの先端はその中心で最大速度であり壁面で速度ゼロの放物線状になります(図 1)。この効果は、
単一縦列の粒子を作り出し、流体力学的絞り込 み(Hydrodynamic Focusing)と呼ばれます。最適条件下(層流)において、中心チャンバーの流体はシース流と混合しません。中心流体の流動特性は、レイノルズ数(Re)を用いて推定することができます。
Re =pVDμ
D =チューブ直径V =流体の平均速度ρ=流体密度μ=流体速度
Re < 2300 のとき、流動は常に
層流である。Reが>2300のとき、
流動は乱流となり拡散を促進する。図1 流体力学収束は粒子の単一流を作る
単一流
シース液
中心コア
C H A P T E R 1
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流体力学的絞り込みなしでは、機器のノズル(典型的には 70μM)は遮断され、1回に 1細胞を解析することができません。
光学および検出
流体力学的絞り込みの後、各粒子は 1またはそれ以上の光ビームを通過します。光散乱または蛍光放射(粒子が蛍光色素で標識されていれば)は、粒子の性質に関する情報を与えます。最新のフローサイトメトリーでは、光源はレーザーおよびアーク灯が一般的に用いられています。
レーザーは、1またはそれ以上の不連続振動数(コヒーレント光、coherent light)において単一波長の光(レーザー線)の波長を作ります。アーク灯はレーザーより安価です。また、アーク灯は密封チューブ内で点火ガスの色放出を利用しますが、これは波長混合物の不安定な非干渉性光を作るため、その後の光学フィルターを必要とします。前方に散乱された光(レーザービーム軸から最大 20°斜めが典型的)は、前方散乱チャネル(FSC)と呼ばれるレンズにより集められます。FSC強度は粒子サイズとほぼ一致し、また、細胞残渣と生細胞の区別に用いることができます。励起ラインとおよそ 90°の角度で測定される光を側方散乱と呼びます。側方散乱チャネル(SSC)は、粒子内の顆粒含有量についての情報を与えます。FSCおよび SSCの両者は各粒子に対して特異的であり、この 2つの組み合わせは不均一なサンプル中の異なる細胞タイプを見分けるのに用いることができます。
異なる波長で行われる蛍光測定は、蛍光標識された細胞表面レセプターまたはDNAおよびサイトカインのような細胞内分子に関する定量的および定性的データを与えることができます。フローサイトメーターは別々の蛍光(FL)チャネルを用いて、放出された光を検出することができます。検出器の数は、機械およびその製造業者によって異なります。検出器は、シリコンフォトダイオードまたは光電子倍増管(PMT)のいずれかです。シリコンフォトダイオードは、通常、シグナルが強いときの前方散乱測定に用いられます。PMTは感度の高い機器であり、散乱および蛍光測定に対し理想的です。検出の特異性は光学フィルターによって決まります。光学フィルターは、他の波長を透過(通過)させながら、ある波長を遮断するものです。フィルターには、フィルターはカットオフ波長以上の光を通過させる‘ロングパス’、カットオフ波長以下の光を通過させる‘ショートパス’、特定の狭い範囲の波長(バンド幅と呼ばれる)内の光を透過させる‘バンドパス’の 3つの主なタイプがあります。これらフィルターは、吸収により光を遮断します(図 2)。
C H A P T E R 1
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ロングパス 500nmロングパスは>500nmを透過
560nmショートパスは<560nmを透過
630/15nmバンドパスは630~645nmバンド幅の全てを通過させる
透過光
遮断された光は吸収される
遮断された光は偏光される
ショートパス
バンドパス
ダイクロニックミラー
入ってくる光に対し45°の角度にフィルターを置いたとき、これはダイクロニックフィルター/ミラー
になる。名前が示すように、このタイプのフィルターは2つの機能を果たしており、第1に、前方向
の特定の波長を通過させ、第2に、遮断された光を90°の角度に偏光させる。複数のシグナルを同時
に検出するため光学フィルターの正しい選択および順序が重要である(図3参照)
シグナルの処理
光が光検出器に当たったとき、小さい電流(数マイクロアンペア)が発生します。それに伴う電圧が、検出器が受け取った光の光子の総数に比例した振幅を持ちます。そこで、この電圧は一連の線形または対数増幅器により増幅され、アナログ・ディジタル変換機(ADC)によってグラフにプロットするために十分な大きさ(5~ 10ボルト)の電気的信号になります。
蛍光研究では、弱い信号を拡大し強い信号を圧縮するため、ヒストグラムでの表示がし易い、対数増幅が通常用いられます。そのような広い範囲の信号(例、DNA解析)がない場合には、線形変換にした方が良いでしょう。
図2 異なるタイプの光学フィルター
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635nm
488nm
レンズ
流体光学システム
フィルター
フィルター検出器
PMT(FL-1)
PMT(FL-2)
PMT(FL-3)
PMT(FL-4)
FSC
スクリーン
検出器
SSC
レーザー
各検出器からの測定は、‘パラメータ’例えば、前方散乱、側方散乱または蛍光と呼ばれます。各パラメータで得られたデータは‘事象’として知られ、関心のある物理特性またはマーカーを表す細胞の数を示します。
静電気セルソーティング
フローサイトメトリーの主な用途は、さらなる生物学研究のためにサブタイプまたはエピトープ発現にしたがって細胞を分別することです。このプロセスは、セルソーティングまたは FACSTM 解析と呼ばれます。
サンプルの流体力学的絞り込みの後、各粒子は光ビームにより精査されます。散乱および蛍光信号は、機器の仕分け基準により比較されます。粒子が選択基準と一致すれば、流体はそのシステムのノズルを出るとき荷電されます。静電気荷電は、関心のある粒子を含む液滴を流路から分ける瞬間を表す‘ブレークオフポイント’と呼ばれる正確な時間において起きます。
図3 典型的なフローサイトメーターセットアップの模式図
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流体ソーティングの速さは、粒径および液滴形成速度を含むいくつかの因子に依存します。典型的なノズル直径は 50~ 70μMであり、ジェット噴流速度に依存して、正確なソーティングに最適な 30,000 ~ 100,000 液滴/秒を作り出すことができます。高いジェット噴流速度はノズルを詰まらせる危険があり、また、分離精度を下げる可能性があります。
図4 静電気流体ソーティング
レーザー照射
ブレークオフポイント(荷電)
電圧板
‒
‒
‒
‒
+
+
+
+
C H A P T E R 1
ブレークオフポイントがノズルからランダムな距離で起きるのを防ぎ、一定の液滴サイズを保つため、高い周期でノズルを振動させます。液滴は強い静電気電場を通過し、その電荷に応じて左または右に曲げられます(図 4)。
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Chapter
蛍光色素および光
蛍光色素は基本的には染料であり、光エネルギー(例、レーザーから)を受け取り、それを長い波長で再度放出します。これら 2つの過程を、励起および放出と呼びます。放射の過程は非常に早く、一般的にはナノ秒の水準であり、蛍光として知られます。フローサイトメトリーに用いられる種々のタイプの蛍光色素について考える前に、光の吸収および放出の原理を理解することが必要です。
光は、波で移動する電磁エネルギーの 1形体です。これらの波は振動数と長さの両者を持ち、長さは光の色を決定します。可視光は、紫外線(UV)と赤外線(IR)の間の狭い波長帯(380 ~ 700nm)を表します(図 5)。例えば、日光は、眼では見えないが、肌で暖かく感じられ光検出器で科学的に測定できるUVおよび IR光を含みます。さらに、可視スペクトルは、赤、橙、黄、緑、青および紫を表す暗記法‘ROY G BV’で覚えられている色に分けられます。赤い光は長い波長(低いエネルギー)にあり、紫の波長は短い波長(高いエネルギー)にあります。
蛍光の原理
図5 電磁スペクトル
ストークシフト
光が蛍光色素により吸収されたとき、その電子は励起され、静止状態①から‘励起電子一重項状態’と呼ばれる最大のエネルギーレベルに移動します②。必要とされるエネルギーの量は各蛍光色素によって異なり、図 6におい
高エネルギー 低エネルギー
紫外
可視スペクトル
赤外
400nm 500nm 600nm 700nm
2
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て Eexcitation(Ex)として表されています。蛍光色素は内部構造の変化を受け吸収されたエネルギーのいくつかを熱の形で放出するので、この状態は 1~10ナノ秒持続するだけです。その後、電子は‘緩和起電子一重項状態③と呼ばれる’低い安定なエネルギーレベルに落ちます。ここからその基底状態に電子が戻るとき、蛍光として残りのエネルギー Eemission(Em)を放出します④。
Emは蛍光色素中にもともと投入されたものより少ないエネルギーとなるので、これは Ex と異なる色の光として現れます。したがって、蛍光色素の放出波長は、励起波長より常に長く、Ex と Emの間の差異はストークスシフトと呼ばれ、この波長の数値は蛍光色素が蛍光の研究に対しどの程度有効であるかを決定するものです。結局、放出で作られる光が励起に用いられた光と区別されることが肝要です。蛍光分子が大きいストークスシフトを持つとき、この差異は検出し易いです。
図6 ストークスシフト
最大吸収および最大放出
蛍光色素が吸収する光の光子総量に対し、励起波長が重要です。例えば、FITC(フリオレッセインイソチオシアナート)は 400 ~ 550nmの範囲内の光を吸収しますが、波長が 490nm(そのピークまたは最大)に近いほど、吸光度は大きくなります。光子が吸収されればされるほど、蛍光放出は強くなります。
励起一重項状態
基底状態
緩和一重項状態
41
2
3
Eemission Eemission
LightIN
LightOUT
HeatOUT
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これら最適条件は、最大吸光度および最大放出波長と呼ばれます。
最大吸光度は、通常、励起に用いられるレーザースペクトルラインを規定します。FITCの場合、その最大は青色スペクトルにあります。したがって、青色アルゴンイオンレーザーは FITC の吸光度のピーク 490nmに近い 488nmで励起するので、FITCに対しては青色アルゴンイオンレーザーが一般的に用いられます。
FITCは、緑色スペクトルにある 525nmにピークのある 475~ 700nmの範囲に蛍光を放出します。フィルターを用いてチャネルA(図 7)を通じて最大に測定されるもの以外の全て除けば、FITCは緑色にみえてきます。したがって、‘蛍光色’は、通常、蛍光色素がその最も高い励起状態で放出する光の色を指し示します。しかし、FITC がチャネルBを通じてのみ検出されたならば(図 7)、それは橙色にみえ強度は非常に弱くなります。フローサイトメーターをどのようにセットアップして蛍光を測定するかが、蛍光色素の色を最終的に決めるでしょう。
図7 FITCの吸光度(左)及び光放出(右)
波長(nm)
(青色の光)
励起レーザーライン
ピークまたは最大
良好な信号(緑)
弱い信号(橙)
スペクトル
700
相対吸光度
相対蛍光放出
A B
ピークまたは最大
600500400 700600500400
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なぜ蛍光プローブを使用するのか?
蛍光標識抗体のような蛍光プローブの目的は、関心のあるエピトープに直接標的を定め、その生物および生化学的性質をフローサイトメーターにより容易に検出できるようにすることです。細胞、細胞表面レセプターまたは細胞内小器官の特有分布の同定および定量、セルソーティング、免疫表現型判定、カルシウム流入、核酸含有量決定、酵素活性測定とアポトーシス研究を含む広範囲の応用において、蛍光プローブは有用です。励起光を変え 1つ以上の蛍光色素を用いることにより、同時にサンプルのいくつかのパラメータを解析することが可能です。これが、多重色素蛍光研究の基礎です。
フローサイトメトリーに対しどの蛍光色素が有用か?
フローサイトメトリーに応用できる蛍光分子(蛍光色素)は多数あります。その数は増えていますが、その全てを網羅することがこの冊子の目的ではありません。そのかわり、表面または細胞内エピトープ検出のために最も有用な蛍光色素を、蛍光プローブの最新技術であるタンデム色素とともに 13ページに示します。研究者のニーズに応えるため、2つの表には十分な変動があります。
単一色素:これらの色素(例、FITC)は過去 30年間用いられてきましたが、高い光安定性および蛍光の増加を示すAlexaFluor® 色素のような代替品との競合に直面しています。
タンデム色素:タンデム色素においては、小さな蛍光色素が他の大きな蛍光色素のうえに‘ピギーバック’状態で乗ります。最初の色素が励起されその最大単一状態に達したとき、そのエネルギーは非常に近くにある第 2の色素(アクセプター分子)に移ります。これは第 2の蛍光色素を活性化し、ついで、蛍光を放出させます。この過程は、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)と呼ばれます。高いストークスシフトを達成し、単一のレーザー波長から解析される色の数を増やすのが上手なやり方です。
ほとんどのフローサイトメーターで見られる標準の 488nmレーザーに対し、大多数のタンデム色素が作られてきました。タンデム色素は、特に単一色素との組み合わせにおける多重色素蛍光研究に対し非常に有用です。例えば、AlexaFluor® 488、フィコエリスリン、PErCP-Cy5.5 および PE-Cy7 これらは全て 488nmで励起されますが、別々の検出器で測定できる緑、黄、紫および赤外放出をそれぞれ作り出します。
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単一色素色素 レーザー励起ライン
(nm)最大吸光度(nm)
最大放出(nm)
蛍光色
AlexaFluor® 405 405,407 401 421AlexaFluor® 430 405,407 433 541AlexaFluor® 488 488 495 519AlexaFluor® 633 633,635,647 632 647AlexaFluor® 647 633,635,647 650 665AlexaFluor® 660 633,635,647 663 690AlexaFluor® 680 633,635,647 679 702AlexaFluor® 700 633,635,647 702 723 赤外APC 633,635,647 650 661FITC 488 490 525Pacifi c BlueTM 405,407 410 455PErCP 488 490 675フィコエリスリン 488 490,565 578
タンデム色素色素 レーザー励起ライン
(nm)最大吸光度(nm)
最大放出(nm)
蛍光色
APC-AlexaFluor® 750 633,635,647 650 779 赤外APC-Cy5.5 633,635,647 650 695Apc-Cy7 633,635,647 650 785 赤外PErCP-Cy5.5 488 496,546 695PE-AlexaFluor® 610 488 496,546 627PE-AlexaFluor® 647 488 496,546 667PE-AlexaFluor® 680 488 496,546 702PE-AlexaFluor® 700 488 496,546 723 赤外PE-AlexaFluor® 750 488 496,546 779 赤外PE-Cy5.5 488 496,546 695PE-Cy5 488 496,546 667PE-Cy7 488 496,546 785 赤外PE-Texas Red® 488 496,546 615
略号APC アロフィコシアニン
FITC フロオレッセインイソチシアナート
PE フィコエリスリン
PErCP ペリジニン - クロロフィル - タンパク質複合体
補足:Phycoerythrin(PE)はR-Phycoerythrin(RPE)と同じ
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蛍光補正
多重色素蛍光研究を行うとき注意すべきことは、スペクトルの重複の可能性です。1つの研究で 2つまたはそれ以上の蛍光色素を用いるとき、その放出分布が重なり、各々により放出された真の蛍光の測定を困難にする場合があります。例えばAlexaFluor® 405 およびフィコエリスリンのように非常に離れたスペクトルの末端を用いてこれを避けることができますが、これは常に実用できるとは限りません。
そのかわり、データ解析において蛍光補正と呼ばれる過程を応用し、その測定に対し特に割り当てられなかったチャネルにおいて蛍光がいくらの干渉(%として)を受けたかを計算できます。図 8では、この概念を説明します。
グラフは、FL-1 および FL-2 においてそれぞれ検出される仮想の蛍光色素‘A’および‘B’の放出分布を示します。放出分布はお互いに近いため、蛍光色素Aの一部は FL-2(赤で示した部分)に重なり、逆に蛍光色素Bの一部はFL-1(青で示した部分)に重なります。
両方の色素を同時に用いたときデータセットに対しいくらの補正をしなければならないかを計算するため、いくつかの対照測定を最初に行う必要があります。蛍光色素Aはそれ自身でフローサイトメーターを通じて測定し、FL-2(重複部分)において検出される蛍光を検出することで、蛍光全体の何%がFL-2 部分に重複しているかを求めることが出来ます。この操作を蛍光色素Bについても同様に繰り返し、FL-1 における重複部分を測定します。
結果を以下のとおりと仮定します。
蛍光のスピルオーバー
FL-1 FL-2
蛍光色素A N/A 17%
蛍光色素B 5% N/A
これは、デュアルカラー実験において 2つの蛍光色素が用いられたとき、FL-1 での蛍光色素Aの真の測定値= (FL-1 で測定された真の蛍光)マイナス(蛍光色素 Bの総蛍光の 5%)であることを示します。
同様に、FL-2 での蛍光色素Bの真の測定値= (FL-2 で測定された真の蛍光)マイナス(蛍光色素 Aの総蛍光の 17%)です。
都合のよいことに、最近のフローサイトメトリー解析ソフトウェアは蛍光補正数学を自動的に応用し、作業をかなり簡単にしています。
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15
図8 蛍光補正
波長
FL-1蛍光
A
B
FL-2
波長
FL-1
蛍光
A
B
FL-2
2つの仮想蛍光色素‘A’およ
び‘B’のスペクトルの性質 A
はFL-1チャネルで測定され B
はFL-2で測定される
スペクトルの重複
ぼかした濃紺はFL-1チャネル
に重複する B の部分を表すぼ
かした赤はFL-2チャネルと干
渉する A の部分を表す
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Chapter
ゲートおよび領域
フローサイトメトリーデータ解析の重要な原理は、不必要な粒子(死細胞および残渣など)を除きながら、目的の粒子を選択的に可視化することです。この操作を、ゲーティングと呼びます。
細胞は、物理的性質に応じてこれまでゲーティングされてきました。例えば、細胞内残渣および凝塊は前方散乱により推定されるサイズにより単一細胞と識別されます。また、死細胞は、前方散乱が低く、側方散乱が高くなります。溶菌全血液細胞解析がゲーティングの最も一般的な応用であり、図 9は大きな細胞数を用いたときの SSCおよび FFCの典型的なグラフを表します。顆粒球、単球およびリンパ球の異なる物理的性質により、これらをお互いおよび他の細胞性の混入物から見分けることができます。
データ解析
図で用いられた略号: Lin =線形目盛り Log=対数目盛りLogComp=補正応用の対数目盛り
図9 FSC/SSCを用いた溶菌全血液の解析
等高線図密度プロット
FSC LinFSC Lin
SSC Lin
SSC Lin
3
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密度プロットにおいて、各ドットまたは点が機器を通過した個々の細胞を表します。黄/緑のホットスポットは、個々の細胞群から生ずる事象の数の多いことを示します。色によって、グラフを 3次元のように感じさせます。血液細胞の種々のサブタイプを識別することは比較的簡単であり、少々の経験で可能となります。
等高線図は、同じデータを示す別の方法です。接合した線は、類似した数の細胞を表します。グラフは、原理的に密度プロットに非常によく似た地理調査地図の概観を示している。好みの問題ですが、例えば図 9の単球の比較等高線図において、個々の細胞群の可視化が容易です。
新しい別のゲーティング戦略として、散乱パラメータとともに蛍光パラメータを利用した方法を、もう一度血液を用いて、原理を示します。
図10 散乱および蛍光を用いた溶菌全血液の解析
左上の図は、図9より少ない数の細胞を用いたヒト溶菌全血液に対する FSC/SSCプロットである。
リンパ球、単球および顆粒球は、それぞれ領域1(R1)、領域2(R2)および領域3(R3)としてゲー
ティングされた。‘領域’は、フローサイトメトリーデータを示すプロット上に描かれた地区を指す。
右図では、y軸に SSC対 x軸に CD45蛍光として同じ細胞をプロットした。CD45は種々の強度で
全ての白血球細胞において発現されるマーカーであるが、赤血球には存在しない。比較表現において、
リンパ球は低いSSCおよび高いCD45計数(R4)を持ち、顆粒球は高いSSCおよび低いCD45計
数(R6)を持ち、単球は他の2つの中間におけるどこか(R5)にある。R1でゲーティングされたリ
ンパ球とR4でゲーティングされたリンパ球の間の大きな相違は、後者には赤血球が存在しておらず、
純粋な調製ができる。これは、蛍光パラメータと散乱パラメータを組み合わせるゲーティングの有用性
を示している。
CD45 PE-Alexa 750 LogFSC Lin
SSC Lin
SSC Lin
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18
単一パラメータヒストグラム
これは、x軸に単一測定パラメータ(相対蛍光または光散乱強度)および y軸に事象(細胞計数)の数を示すグラフです。
図11 単一パラメータヒストグラム
図 11のヒストグラムは非常に基礎的なものに見えますが、特定の物理的性質を持つか、またはターゲットマーカーを発現するサンプル中の細胞の総数を評価するのに有用です。望みの特性を持つ細胞は、ポジティブデータセットとして知られます。
理想的には、フローサイトメトリーは、ポジティブデータセットとして解釈できる単一の明確なピークを作ります。しかし、多くの場合、フロー解析はヒストグラム上にいくつかのピークを生ずる細胞群の混合において行われます。ポジティブデータセットを同定するため、フローサイトメトリーは適切なネガティブイソタイプコントロールの存在下で繰り返してください(図12)。
FITC Log
計 数
C H A P T E R 3
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フローサイトメトリー機器に付属されている解析ソフトウェアパッケージにより、ヒストグラムにおけるポジティブ染色細胞の%測定が容易になります。例えば、(このタイプのグラフ上で‘バー領域’として知られる)R2およびR3に対する統計とともに、F4/80 ヒストグラムを下に示します。
FL1Log FL1Log
計 数
計 数
ネガティブコントロール
図12 どちらがポジティブデータセットか?左では、FITC 標識ラット抗マウス F4/80を用いたマウス腹膜マクロファージの染色は、2つのピー
クを生ずる。右では、適切なイソタイプコントロール(FITC標識ラット IgG2bネガティブコントロー
ル)を処理しヒストグラム上でその画像(青色輪郭)を重層することにより、右の高い赤のピークとし
てポジティブデータセットを同定することができる。
図13 統計解析
C H A P T E R 3
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図13 において、ネガティブコントロール(青色輪郭)の99.9%はR2にあり、ポジティブデータセット(R3)における 71.86%に比して F4/80(R2)に対する細胞(ぼかした赤)‘染色ネガティブ’は 28.14%です。また、ピークについての統計(中央値および標準偏差)も自動的に与えられますが、これはソフトウェアによって異なります。2パラメータヒストグラムに対し、同様なタイプの解析が行われます。
2パラメータヒストグラム
x 軸に 1つ y軸に 1つの 2つの測定パラメータを示し、細胞計数を密度(ドット)プロットまたは等高線マップとして示すグラフがあります。パラメータは、SSC,FSCまたは蛍光である。図 9および 10に、2パラメータヒストグラムのいくつかの例を示します。
もう1つの例は、下に示す2色蛍光ヒストグラムです。リンパ球を、FITCチャネル(x軸)では抗CD3およびPEチャネル(y軸)では抗HLA-DRで染色しました。CD3およびHLA-DRは、それぞれT細胞およびB細胞のマーカーです。
図14において、R2はPE標識B細胞を含む。-PE軸に沿ったポジティブシフトに注意。R5は FITC
標識 T細胞を含む。(FITC軸に沿ったポジティブシフト)右上の4分の1は、HLA-DR発現を持つ‘活
性化T細胞’をいくつか(このサンプルでは約4%)を含む。これらは両方の抗体マーカーで染色され
るので、それ自身の領域(R3)にグループ分けされる。R4は、FITCおよびPEの両者に対しネガティ
ブ(シフトなし)な細胞を含む。
図14 2パラメータ(2色蛍光)ヒストグラム
FITC Log Comp
PE Log Comp
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現在、同時に最大 17の蛍光マーカーで標識されたサンプルで、フローサイトメトリーを行うことができます 1。したがって、種々の 2パラメータヒストグラムを用いて、広範囲な解析用データを作り出すことができます。
細胞内抗原
個体ベースのプローブは形質膜を通って細胞内部に十分入り込むことができないので、サイトカインのような細胞内抗原の染色は困難です。この状況を改善するため、蛍光色素を加える前に、まず細胞を固定し、ついで透過性にすることが必要です。これにより、細胞の形態的な分散特性をそのままにして、プローブを細胞内構造に接近させることができます。最近では、この重要な段階を行う試薬を供給する多くの市販キット(例、LeucoPErmTM)が提供されています(図 15)。
図15 マウスマクロファージおよび単球中の細胞内抗原MOMA-2 を認識する抗体とともに LeucoPErmTM
を用いた。固定および透過性化の後(b)、ポジティブデータセットの明確なことに注目のこと。
1PErfetto,S. et al(2004)Seventeen colour fl ow cytometry:unravelling the immune system.Nature Reviews Immunology 4:648-655
(a)使用前
(b)使用後
FL1 Log
計 数
ネガティブコントロール
弱いポジティブ染色
ネガティブコントロール
強いポジティブ染色
FL1 Log
計 数
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免疫表現型判定
特定の細胞タイプおよび成熟度に応じて、全ての正常細胞は多くの表面マーカーを発現します。しかし、成長異常は自然な発現を阻害し、いくつかの過剰発現および過小発現を生じます。フローサイトメトリーを用いて免疫表現型を判定することができ、健康な細胞と病気の細胞を見分けることができます。免疫表現型判定は現在におけるフローサイトメトリーの主な臨床応用の1つであり、骨髄腫、リンパ腫および白血病の診断の支援に用いられていることは驚くべきことではありません。また、これを用いて、臨床処理の有効性を監視することができます。
例えば、正常ヒト血液と白血病患者の血液の分析結果は劇的な相違がみられます。図 16 の FSC対 SSCプロットで、これを見ることができます。健康なヒトの細胞タイプは明確に規定できますが、白血病患者由来の血液は異常であり、典型的な結果には従いません。
図16 免疫表現型判定
白血病患者正常ヒト
FSC Lin
SSC Lin
FSC Lin
SSC Lin
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また、特定の細胞表面マーカーに対する患者のリンパ球検査が、その状態について多くのことを明らかにします。
図17 白血病の診断
CD3正常ヒトは、大きな割合のCD3陽性リンパ球を持ちます。白血病患者では、CD3の染色がありません。
CD20白血病患者では、CD20 陽性染色の細胞数が非常に多く、一方正常ヒトでは、陽性染色の細胞数はわずかです。
HLA-DR白血病患者は、HLA-DR陽性です。正常ヒトでは、陽性染色の細胞数はわずかです。
CD3陰性、CD20 陽性およびHLA-DR陽性であれば、この患者はB細胞系統の白血病またはリンパ腫を病んでいると臨床医は確信を持って診断できるでしょう。病気の正確な分類は、さらに抗体を使って決定できる可能性があります。
正常ヒト
HLA-DR
白血病患者
CD20CD3
HLA-DRCD20CD3
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Chapter
サンプル調製
フローサイトメーターの狭い口径およびそのチューブの詰まりを防ぐため、105~107細胞/mlの密度で単一細胞を懸濁させます。また、この濃度はフローソーティング速度に影響し、通常は、2000 ~ 20,000 細胞 /ml で進行します。しかし、高いソーティング速度は、ソーティング後の試料の純度を下げる可能性があります。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が一般的な懸濁バッファーであり、フローサイトメーターに対する最も簡単なサンプルは、培養した非接着細胞、水中微生物、細菌および酵母を含みます。全血も、簡単に利用できます。通常、溶菌ステップにより赤血球は除かれ、ついで、FSC/SSC の特性により、迅速にリンパ球、顆粒球および単球を同定することができます(p16参照)。
しかし、固形組織,例えば肝臓または腫瘍からの細胞を解析したい研究者の方は、単一細胞を作るため、固形材料を分散する必要があります。これは、機械または酵素により行えます。結合がゆるい構造、例えば、培養からの接着細胞、骨髄およびリンパ球に対して、機械的分散は適しています。これは、切断組織の懸濁物をとり、細い注射針を数回通過させ、必要に応じて、磨砕およびソニケーションを行います。
酵素を用いて、細胞を結合させているタンパク質 -タンパク質相互作用および細胞外マトリックスを崩壊させます。その作用は、pH,温度および補因子を含む因子に依存するので、酵素を選ぶとき注意しなければいけません。例えば、ペプシンは pH1.5 ~ 2.5 の間で最適な作用をしますが、長時間中和しないで放置すると酸性条件が細胞を障害し、目的の細胞表面抗原が失われる可能性があります。EDTAおよび EGTAのようなキレート剤は細胞の機能または統合性を維持するために必要な 2価カチオンを除くことができますが、その存在はある種の酵素を阻害する可能性があります。例えば、コラゲナーゼは、活性のためにCa2+を必要とします。酵素および機械的分散は、調査しているエピトープの分離を最適化するための試行錯誤であることが多いです。フローサイトメトリーによる細胞内成分、例えばサイトカインを研究するために、細胞全体の統合性は保ちながら細胞の形質膜を透過性にして染料または抗体を通過させる必要があります。サポニンのような非イオン系界面活性剤の低濃度(最大 0.1%)が適しています。つまり、サンプル調製法は、出発
共通プロトコル 4
EDTA Ethylenediaminetetraacetic acidEGTA Ethyleneglycol-bis(2-aminoethylether)-N,N,N',N'-tetraacetic acid
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材料およびエピトープの性質に依存しています。ここで全ての可能性について述べることはできませんが、いくつかの標準プロトコルをこの章で述べます。
1 細胞の調製
(a)液体窒素で貯蔵された細胞1 PBS/BSA バッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1%BSA)をつくります。
2 液体窒素の貯蔵から細胞を注意深く取り出します。
3 PBS/BSAバッファーを用いて素早く融解し、15ml の遠心管にいれます。
4 400g にて 5分間遠心します。
5 上清を捨て、適当量のPBS/BSAバッファーでペレットを再懸濁します。
(b)懸濁した組織培養セルライン1 PBS/BSA バッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1%BSA)をつくります。
2 細胞を組織培養フラスコから 15ml の遠心管に移します。
3 400g にて 5分間遠心します。
4 上清を捨て、10ml の PBS/BSAバッファーでペレットを再懸濁します。
5 400g にて 5分間遠心します。
6 上清を捨て、適当量のPBS/BSAバッファーでペレットを再懸濁します。
(c)付着組織培養セルライン1 PBS/BSA バッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1%BSA)をつくります。
2 2ml の PBS/BSA バッファーを用いて、おだやかにかき取ることにより細胞を集めます。
3 細胞を 15ml の遠心管に移し、最大 10ml のバッファーを加えます。
4 400g にて 5分間遠心します。
5 上清を捨て、新しいPBS/BSA(10ml)でペレットを再懸濁します。
6 400g にて 5分間遠心します。
7 上清を捨て、適当量のPBS/BSAバッファーでペレットを再懸濁します。
BSA Bovine Serum Albumin
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(d)固形/リンパ球組織からの細胞の調製 1 滅菌ペトリ皿に組織を置きます。約 15ml の PBS/BSAバッファー(リ
ン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1% BSA)を含む注射器および注射針を用いて、組織をおだやかにかん流させて細胞を除きます。
2 細胞懸濁液を、ペトリ皿から 15ml の遠心管に移します。
3 400g にて 5分間遠心します。
4 上清を捨て、PBS/BSAバッファーでペレットを再懸濁します。
5 10ml の塩化アンモニウム溶菌バッファーを加えます。
6 2 分間混合およびインキュベーションする。この時間を越えてはいけません。
7 400g にて 5分間遠心します。
8 10ml の PBS/BSAを加えます。
9 再び、400g にて 5分間遠心します。
10 上清を捨て、PBS/BSAバッファーで最終容積 10ml までペレットを再懸濁します。
11 血球計数器を用いて、細胞を計数します。
12 最終計数が 0.7 ~ 1.2 × 107 細胞 /ml となるように、必要なら細胞懸濁液を調整します。
2 細胞および血液の直接免疫蛍光染色
蛍光色素が 1次抗体に直接結合(例、PE,FITC および AlexaFluor® 標識)しているとき、この技術を応用できます。
注 .血液に対する特定な方法は、[ ]で表す。
1 細胞を適切に調製します(1節参照)。1× 106 細胞 /ml の濃度となるように、細胞懸濁液を PBS/BSAバッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1% BSA)で調製します。
[例えば、白血病のように細胞計数が高くなければ、全血サンプルを薄めないで用いることができるかもしれません。EDTAおよびヘパリンが、好ましい抗凝固剤です]
2 必要とされる数の試験管に 100 μl の細胞懸濁液[全血]を小分けしてよく混合し、室温で 30分間インキュベートします。
3 推奨希釈率(個々のデータシートを参照)において、抗体を加えます。
4 2ml の PBS/BSA で細胞を洗い、400g にて 5分間遠心し、生じた上清を捨てます。
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[血液懸濁液に対し新しく作られた赤血球溶菌バッファー(例、2ml の AbD社の Erythrolyse)を加え、よく混合する。室温にて 10 分間インキュベートします。400g にて 5 分間遠心し、上清を捨てます。]
必要であれば、0.2ml の PBS/BSAまたは 0.2ml の PBS/BSA中 0.5%パラホルムアルデヒドに細胞を再懸濁させます。
フローサイトメトリーによりデータを得ます。適切なスタンダード(標準)(例、アイソタイプマッチコントロールサンプル)を常に使用します。
3 細胞および血液の間接免疫蛍光染色
非標識またはビオチン標識のモノクローナルおよびポリクローナル抗体を用いるとき、この技術を応用できます。1次抗体の可視化のため、2次試薬を用いなければいけません(例、ビオチンの場合のアビジン)。
注 .血液に対する特定な方法は、[ ]で表す。
1 細胞を適切に調製します(1節参照)。1× 106 細胞 /ml の濃度となるように、細胞懸濁液を PBS/BSAバッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1% BSA)で調製します。
[例えば、白血病のように細胞計数が高くなければ、全血サンプルを薄めないで用いることができるかもしれません。EDTA およびヘパリンが、好ましい抗凝固剤です]
2 必要数の試験管に 100μl の細胞懸濁液[全血]を小分けします。
3 推奨希釈率(個々のデータシートを参照)において、1次抗体を加え、よく混合し、室温で 30分間インキュベートします。
4 2mlのPBS/BSAを加え、400gにて5分間遠心し、生じた上清を捨てます。
5 推奨希釈率(個々のデータシートを参照)において、2次抗体を加える。よく混合し、室温で 30分間インキュベートします。
6 2ml の PBS/BSA で細胞を洗い、400g にて 5分間遠心し、生じた上清を捨てます。
[血液懸濁液に対し新しく作られた赤血球溶菌バッファー(例、2ml のAbD 社の Erythrolyse)を加え、よく混合します。室温にて 10 分間インキュベートします。400g にて 5 分間遠心し、上清を捨てます。]
7 必要であれば、0.2ml の PBS/BSA または 0.2ml の PBS/BSA 中 0.5%パラホルムアルデヒドに細胞を再懸濁させます。
8 フローサイトメトリーによりデータを得ます。適切なスタンダード(標準)(例、アイソタイプマッチコントロールサンプル)を常に使用します。
AbD's Erythrolyse(品番 : BUF04B,BUF04C)(メーカー略号 : SRT)
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4 全血におけるλおよびκ鎖の染色
ヒトλおよびκ免疫グロブリン L鎖を認識する直接標識した 2色の試薬を用います。
特にBリンパ球での免疫グロブリン発現は、干渉を引き起こす血清免疫グロブリンを除く操作を必要とします。
1 抗凝固剤(例、EDTA,ヘパリンまたは酸 - クエン酸 - グルコース溶液)中で血液を採取します。
2 25ml のユニバーサル容器に 2~ 3ml の全血を小分けします。20~ 25mlの PBS/BSAバッファー(リン酸バッファー生理食塩水 pH7.4 および 1%BSA)を加え、37℃に余熱し、十分混合します。
3 400g にて 5分間遠心します。細胞ペレットを混乱させないように注意して、上清を吸引します。残った上清中にペレットを再懸濁させます。
4 洗浄(ステップ 2およびステップ 3)を 2回繰り返します。
5 必要数の試験管に 100 μl の洗浄血液を小分けします。推奨希釈率(個々のデータシートを参照)において、抗体を加えます。よく混合し、室温で30分間インキュベートします。
6 赤血球溶菌バッファー(例、2ml の AbD 社の Erythrolyse)を加え、よく混合します。室温にて 10分間インキュベートします。400g にて 5分間遠心し、上清を捨てます。
7 2mlのPBS/BSAで細胞を洗い、400gにて5分間遠心し、上清を捨てます。
8 必要であれば、0.2ml の PBS/BSAまたは 0.2ml の PBS 中 0.5%パラホルムアルデヒドに細胞を再懸濁させます。
9 フローサイトメトリーによりデータを得ます。適切なスタンダード(標準)(例、アイソタイプマッチコントロールサンプル)を常に使用します。
5 細胞内サイトカイン解析に対する全血プロトコル
これは、フローサイトメトリーによる細胞内サイトカイン解析の迅速で簡単な手法です。これは小さいサンプルの解析を可能にし、密度勾配遠心による末梢血細胞の分離における人為結果を生ずる可能性を避けることができます。
記述した刺激条件は、IFNγ、IL-2 および TNFαに対し適しています。他のサイトカインに対しては、異なる条件が必要な可能性があります。
操作は、細胞を固定化および透過性にする試薬キットを必要とします。いくつかのものが販売されていますが、LeucoPErmTM を推奨しています。
注: 全ての血液サンプルは、ヘパリン抗凝固剤中で集めなければならない。EDTAは細胞刺激プロセスを妨害するので、避けなければならない。
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1 0.5ml の血液を別々に 2つの試験管に小分けし、各サンプルに 0.5ml の細胞培養培地(添加物なし)を加えます。
2 1 つの試験管(静止群)に対し、モネンシンを加え最終濃度を 3mMにします。
3 他の試験管(活性細胞)に対し、PMA,イオノマイシンおよびモネンシンを加え最終濃度をそれぞれ 10ng/ml、2mMおよび 3mMにします。
4 5% CO2 条件下 37℃で 2~ 4時間インキュベートします。
5 インキュベーション期間の終わりに、適当数の試験管に 100 μl のサンプルを小分けします。
6 この段階(実験で必要ならば)細胞表面抗体を加え、15分間インキュベートします。
7 試験管当たり 100μl の LeucoPErmTM 試薬 Aを加え、15分間インキュベートします。この試薬は、懸濁液虫の細胞を固定します。
8 0.1%アジ化ナトリウムおよび 1%BSAを含むPBSで 2回洗浄します。
9 100 μl の LeucoPErmTM 試薬 B(細胞を透過性にする)および必要な抗サイトカイン抗体を加えます。
10 20分間インキュベートします。
11 PBSバッファーを用いて 2回洗浄し、フローサイトメトリーにより解析します。
6 細胞内抗原の直接染色
細胞内抗原の検出は、染色の前に細胞の透過性化を必要とします。下に述べた方法は優秀な結果を与えます。しかし、他の透過性化手法も報告されており、この応用に対しても有効かもしれません。
1 細胞を収穫し、存在する総数を決定します。
2 洗浄バッファー(1% BSAおよび 0.1%アジ化ナトリウムを含む PBS)中で 2回洗浄します。
3 必要ならば、この段階で適切な直接標識モノクローナル抗体を用いて、細胞表面抗原の染色を行います。染色後、PBSで 1回洗浄し、上清を捨てます。
4 1×106細胞当たり100μlを用いて、LeucoPErmTM試薬A(細胞固定化剤)中で細胞を再懸濁する。室温で 15分間インキュベートします。
5 洗浄バッファーで 1回洗浄します。
6 1 × 106 細胞当たり 50μl を用いて、LeucoPErmTM 試薬 B(細胞透過性化剤)中で細胞を再懸濁します。
LeucopermTM(品番 : BUF09,BUF09B,BUF09C)(メーカー略号 :SRT)PMA Phorbol 12-myristate 13-acetate
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7 必要数の試験管に 50μl の細胞懸濁液を小分けする。室温で 30分間インキュベートします。
8 洗浄バッファーで 1回洗浄し、0.25ml の PBS中 0.5%パラホルムアルデヒドで再懸濁します。
9 フローサイトメーターで試験するまで 4℃で保管します。できるだけ 24時間以内にしてください。
7 細胞内抗原の直接染色:メタノール法
メタノール改変は、PCNAおよび Ki-67 などのいくつかの核抗原の検出に特に適しています。
注: フィコエリスリン標識は、この方法を用いた細胞表面抗原の検出に適していません。
1 細胞を収穫し、存在する総数を決定します。
2 洗浄バッファー(1% BSAおよび 0.1%アジ化ナトリウムを含む PBS)中で 2回洗浄します。
3 必要ならば、この段階で適切な直接標識モノクローナル抗体を用いて、細胞表面抗原の染色を行います。染色後、PBSで 1回洗浄し、上清を捨てます。
4 1 × 106 細胞当たり 100μl を用いて、冷(2~ 8℃)LeucoPErmTM 試薬A(細胞固定化剤)中で細胞を再懸濁する。2~8℃で10分間インキュベートします。
5 500 μl の冷 100%メタノールを加え、ボルテックスし、2~ 8℃で 10分間インキュベートします。
6 洗浄バッファーで 1回洗浄します。
7 1 × 106 細胞当たり 100 μl を用いて、LeucoPErmTM 試薬 B中で細胞を再懸濁します。
8 必要数の試験管に 50μl の細胞懸濁液を小分けします。室温で 30分間インキュベートします。
9 洗浄バッファーで 1回洗浄し、0.25ml の PBS中 0.5%パラホルムアルデヒドで再懸濁します。
10 フローサイトメーターで試験するまで 4℃で保管します。できるだけ 24時間以内にしてください。
PCNA Proliferating Cell Number Antigen
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31
Chapter
もし何かがうまくいかなかったら、以下の表を調べてください。
なお困難な問題が残り、AbD社の抗体を使用する場合、日本における販売代理店であるコスモ・バイオ株式会社にご連絡(TEL: 03-5632-9610 / URL: www.cosmobio.co.jp)ください。
問題 処置手順
染色ができない 1 抗体がメーカーの指示に従って正しく保管されていることを確認します。
2 市販の抗体がその有効期限を過ぎていないことを確かめます。
3 適切な抗体が加えられていることを確かめます。
4 抗体が蛍光色素で標識されていることを確かめます。
5 2次抗体は活性があり、他の1次抗体でうまく用いられたかを確かめます。
6 1次抗体を認識する正しい2次抗体が使われていることを確かめます。
7 用いられた蛍光色素がフィコエリスリンまたはアロフィコシアニンベースであったならば、これらの製品が凍結されなかったことを確かめます。
8 標的抗原が試験組織に存在するか?抗原発現に対する文献を調べ、試験材料と一緒に既知の抗原発現のポジティブコントロールを組み入れます。
9 抗体は、試験種の抗原を認識するか?抗体は用いられる種と交差反応することを調べます。必ずしも、全ての抗体は種を通じて交差反応しません。
10 蛍光色素を励起するため正しいレーザーが用いられていることを確かめ、放出を解析するため正しいチャネルが用いられていることを確かめます。
PE抗体は染色しないが、同じFITC 抗体ではよい結果が得られる。
1 PE 標識が凍結された可能性があります。もしそうであれば、抗体の他のバイアルを購入します。
2 パラホルムアルデヒド(PFA)が問題かもしれません。PFHの分解がメタノールを放出する可能性があり、これが染色に影響します。新しいPFAを補充します。細胞は、固定なしで直後に解析することができます。
トラブルシューティング 5
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非特異的染色 1 非特異的染色は自家蛍光による可能性があります。解決法:パネルへ細胞のみの試験管(抗体なし)を含むことにより自家蛍光レベルを調べます。
2 低親和性 Fc レセプター CD16/CD32 を発現する細胞では、Fc を通じて抗体全体に結合します。マウス細胞に対しては、SeroBlock(品番:BUF041A/B)で抗体を希釈します。
3 非特異的染色は2次抗体による可能性があります。標的組織と交差反応しない2次抗体を選びます。
4 十分な洗浄ステップが含まれていることを確かめます。
5 試験抗体を注意深く滴定する。非特異性染色は低い抗体濃度による可能性があります。
染色が弱い 1 染色が弱い場合は抗体の過剰希釈による可能性があります。使用前に抗体の力価を測定することより、正しい濃度で抗体が用いられていることを確かめます。
2 間接染色システムでの弱い染色はプロゾーニング効果による可能性があり、高濃度の抗体が弱い結果を生じているかもしれません。抗体を注意深く滴定します。
3 細胞数が過剰になると染色が弱くなる場合があります。細胞群を推奨された密度に調整します。
4 弱い染色は抗原発現による可能性があります。発現の予測レベルについて文献を調べます。
5 もし抗原発現が弱ければ、明るい蛍光色素に結合された抗体を選びます。
6 ターゲットに交差する抗体よりも特異的抗体を用いると、染色が弱くなる場合があります。
7 1次または2次抗体のいずれについても反応時間および温度を最適に調節します。
散乱光が異常なデータを得た場合
1 細胞はできるだけ新しいものを用いていることを確かめます。測定結果は死細胞または残渣を示している可能性があります。
2 活性化法が細胞の散乱性に影響を与える可能性があります。
3 溶菌液を用いているならば、これが新しく正しく作られていることを確かめます。
予想外の染色結果を得た場合 1 いくつかの試薬がある種の抗原に影響する可能性があり、見直しが必要かもしれません。例えば、EDTAはある種の血小板マーカーに影響します。
2 溶菌液はある種の抗原に影響する可能性があります。抗原検出を妨害しない方法を選びます。
3 ある種の抗原は細胞間で発現され、細胞の透過性化が必要であるかもしれません。正しい透過性化試薬について、メーカーのデータシートを調べてください。
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Alexa Fluor® and Pacifi c BlueTM are trademarks of Molecular Probes Inc., OR, USALeucopermTM is made for AbD Serotec by AN DER GRUB Bio Research GmbHFACSTM (Fluorescence Activated Cell Sorter) is a trademark of Becton, Dickinson and Company, CA, USA
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