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当院における重度外反母趾に対する手術症例の検討
福井県立病院 整形外科
林雅之 三崎智範 上田康博 松本直幸 大橋義徳瀬良愛 木村光宏 半田真人
福井県こども療育センター 整形外科
村田淳 有沢章子
Fukui Prefectural Hospital
外反母趾角(HV角)40°以上
当科で手術を行った重度外反母趾症例について検討を行った.
Fukui Prefectural Hospital
重度外反母趾
はじめに
・病態が複雑・Lesser toe 障害を合併・再発などの術後合併症が多い
手術治療は手技的に難しく,現在も課題が多い
対象
2015年4月~2017年6月までに当院で手術を行った
8例10足
性別:全例女性
年齢:48~84歳(69.7歳)
基礎疾患: SLE 1例
経過観察期間: 5~33カ月(平均17.1カ月)
Fukui Prefectural Hospital
検討項目
・手術術式
・ X線所見 (術前,術直後,最終観察時)
・術後合併症
・足の外科学会母趾判定基準 (JSSF scale)
Fukui Prefectural Hospital
A. HV角B. M1M2角C. 母趾種子骨の偏位
(Hardy分類)
<X線所見>
A
B
Ⅰ
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
Ⅶ
Ⅱ
Ⅲ
第1中足軸
外側 内側
Hardy分類 Ⅱ
内側種子骨
正常
結果手術術式
Fukui Prefectural Hospital
近位中足骨骨切り術(骨切り術)
第1TMT関節固定術(TMT固定術)
MTP関節固定術(MTP固定術)
3例 4足 3例 4足 2例 2足
MTP関節の(亜)脱臼およびHammer toe 中足骨近位短縮斜め骨切り術 1足PIP関節固定術 2足MTP関節観血的脱臼整復術 1足切除関節形成術 1足
4足(40%)
第2,3趾: 2足, 第2趾: 2足
結果
術後合併症
・外反母趾の再発 (HV角≧20°) ; 2足 (20%)
※内反母趾,偽関節,感染,皮膚障害などの合併症(ー)
Fukui Prefectural Hospital
術直後 術直後最終 最終
症例4 右 症例5
HV角 12° → 20° HV角 18° → 28°
結果
HV角(平均)
Fukui Prefectural Hospital
症例 手術術式 術前 術直後 最終
1 右 骨切り術 42 7 14
左 骨切り術 42 3 10
2 左 骨切り術 43 1 10
3 左 骨切り術 40 10 15
4 右 TMT固定術 45 12 20
左 TMT固定術 45 7 3
5 左 TMT固定術 44 18 28
6 右 TMT固定術 49 10 16
7 左 MTP固定術 88 13 13
8 左 MTP固定術 49 2 7
再発
再発
術前48.7° 術直後8.3° 最終13.6°
結果
Fukui Prefectural Hospital
再発
再発
M1M2角(平均)術前18.6° 術直後6.8° 最終6.8°
症例 手術術式 術前 術直後 最終
1 右 骨切り術 16 6 7
左 骨切り術 18 7 7
2 左 骨切り術 27 3 2
3 左 骨切り術 19 6 2
4 右 TMT固定術 17 7 9
左 TMT固定術 15 2 1
5 左 TMT固定術 24 13 16
6 右 TMT固定術 18 6 6
7 左 MTP固定術 16 8 8
8 左 MTP固定術 16 10 10
結果
術前母趾種子骨偏位: Ⅵ度3足,Ⅶ度7足
Fukui Prefectural Hospital
再発
再発
Ⅰ
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
Ⅶ
Ⅱ
Ⅲ
第1中足軸
外側 内側
正常
症例 手術術式 術前術直後 最終
1 右 骨切り術 7 2 3
左 骨切り術 7 3 3
2 左 骨切り術 6 2 2
3 左 骨切り術 7 3 2
4 右 TMT固定術 7 4 6
左 TMT固定術 7 1 1
5 左 TMT固定術 7 6 6
6 右 TMT固定術 6 3 3
7 左 MTP固定術 6 3 3
8 左 MTP固定術 7 4 4
結果
Fukui Prefectural Hospital
再発
再発
症例 手術術式 術前 最終
1 右 骨切り術 45 95
左 骨切り術 45 95
2 左 骨切り術 54 95
3 左 骨切り術 44 95
4 右 TMT固定術 54 75
左 TMT固定術 54 82
5 左 TMT固定術 35 70
6 右 TMT固定術 44 90
7 左 MTP固定術 40 90
8 左 MTP固定術 40 85
JSSF scale (平均) 術前 45.5点 最終 87.2点
HV角 43°M1M2角 27°種子骨偏位 Ⅵ度(Hardy分類)
術前
Fukui Prefectural Hospital
症例2
症例:73歳,女性
主訴:左前足部の痛み
術前JSSF scale54点
HV角 1°M1M2角 3°種子骨偏位 Ⅱ度(Hardy分類)
術直後
Fukui Prefectural Hospital
近位中足骨骨切り術
HV角 10°M1M2角 2°種子骨偏位 Ⅱ度(Hardy分類)
最終観察時術後1年
Fukui Prefectural Hospital
術後JSSF scale95点
HV角 44°M1M2角 24°種子骨偏位 Ⅶ度(Hardy分類)
第2趾MTP関節亜脱臼を伴うhammer toe (+)
術前
Fukui Prefectural Hospital
術前JSSF scale35点
症例5
症例:62歳,女性
HV角 18°M1M2角 13°種子骨偏位 Ⅵ度(Hardy分類)
術直後
Fukui Prefectural Hospital
母趾:第1TMT関節固定術第2趾:中足骨近位短縮斜め骨切り術
+PIP関節固定術第3趾:中足骨近位短縮斜め骨切り術
HV角 28°M1M2角 16°種子骨偏位 Ⅵ度(Hardy分類)
最終観察時術後2年
Fukui Prefectural Hospital
術後JSSF scale70点
近位中足骨骨切り術 第1TMT関節固定術 MTP関節固定術
重度外反母趾に対する手術治療
HV角 41.8°→12.3°45.8°→16.8° 68.5°→10.0°
M1M2角 20.0°→4.5° 18.5°→8.0° 16.0°→9.0°
いずれの術式も短期の術後成績は比較的良好
Fukui Prefectural Hospital
JSSF scale 47点→95点 46.8点→79.3点 40点→87.5点
(術前→最終)
術後再発 10足中2足(20%)
合併症
考察
・術後早期のHV角>15°,M1M2角≧10°
・母趾種子骨の整復不良
(Okuda et al. J Orthop Sci. 2000 )
(自験例:症例5)
術後再発の危険因子
術直後
術直後HV角 18°M1M2角 13°種子骨偏位 Ⅵ°
矯正不足が再発の一因
(Okuda et al. J Bone Joint Surg. 2011 )
アライメントの矯正を適切に行うことが再発の予防に重要
術後合併症
Fukui Prefectural Hospital
最終
最終HV角 28°M1M2角 18°種子骨偏位 Ⅵ°
まとめ
・重度外反母趾に対して手術治療を行った8例10足について検討を行った.
・手術は近位中足骨骨切り術,第1TMT関節固定術,MTP関節固定術を施行し,いずれの術式も短期の成績は比較的良好であった.
・再発を2例に認めたが,1例は矯正不足が一因であった.
・アライメントの矯正を適切に行うことが再発の予防に重要であると考えた.
Fukui Prefectural Hospital