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PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.13-17 (11,2014) 13 運転免許証のスキャニングと OCR による 本人確認支援ソリューションの展開 Development of an Identification Assistance Solution by Scanning Driver's Licenses and Using OCR 坂本竜生 * Tatsuo Sakamoto 豊田裕史 * Hiroshi Toyoda * ドキュメントソリューション事業部 システムインテグレーション部 窓口業務において多くの時間が費やされている本人確認作業の改善を支援するため,本人確認証としての利用率 が最も高い運転免許証を対象とした,本人確認情報の入力を支援するソリューションを提供した.運転免許証のス キャニングによりエビデンス画像取得と情報自動取得(OCR)を同時に行い,必要な情報を顧客情報のデータベー スへ自動的に入力するものである. In order to facilitate time-consuming identification procedures with over-the-counter services, we have provided a solution to assist with the registration of customer identification information based on driver's licenses which are the most commonly used form of identification. Scanning the driver's license obtains an evidence image and simultaneously executes an OCR process (automatic data acquisition), and automatically registers the necessary information in the customer information database. 1 まえがき 自治体や金融機関などの窓口で,お客様に直接応対し, 諸届や入出金の受付などを行う業務を窓口業務という. お客様をお待たせしないよう迅速さが求められる反面, 正確さや丁寧さも必要とされる.中でも本人確認作業は, この両立が重要である. 本人確認作業は,申請や届け出の際にお客様が本人で あることを確認する,窓口業務における重要な作業の一 つである.お客様から,運転免許証や各種健康保険証な どの本人確認証を預かり,氏名や住所などの情報が正し いことを確認した上で,必要な情報を顧客情報のデータ ベースに入力する.また,本人確認をしたエビデンス(証 拠)として,本人確認書類のコピーを取る.お客様の個 人情報であるため,取扱いには配慮が必要である. 2 開発の背景と狙い 現状の本人確認作業のイメージを図-1に示す. 現状の本人確認作業では,顧客情報のデータベース へのお客様情報の入力は,本人確認証をお預かりした上 で,記載情報を目視で確認しながら主に手動で行われて おり,多くの時間が費やされているにも関わらず,情報 の正確性には課題がある. また,窓口業務を行うスペースは非常に限られている ため,コピー機を設置しづらいという物理的な課題が存 在し,本人確認のエビデンスとして本人確認証のコピー を取る際,窓口を離れてお客様の目の届かない場所にあ るコピー機を使用すると,本人確認証が不正に利用され ていないかお客様を不安にさせるおそれがある. これらを解決するために,本人確認に必要な情報の自 動入力を,受付の限られたスペースで行えるような本人 確認作業支援システム(以降,本システム)の構築を検 討した.

運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援 ......PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.13-17 (11,2014) 13運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援ソリューションの展開

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Page 1: 運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援 ......PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.13-17 (11,2014) 13運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援ソリューションの展開

PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.13-17 (11,2014) 13

運転免許証のスキャニングとOCRによる本人確認支援ソリューションの展開Development of an Identification Assistance Solution by Scanning Driver's Licenses and Using OCR

坂本竜生 *Tatsuo Sakamoto

豊田裕史 *Hiroshi Toyoda

* ドキュメントソリューション事業部 システムインテグレーション部

窓口業務において多くの時間が費やされている本人確認作業の改善を支援するため,本人確認証としての利用率

が最も高い運転免許証を対象とした,本人確認情報の入力を支援するソリューションを提供した.運転免許証のス

キャニングによりエビデンス画像取得と情報自動取得(OCR)を同時に行い,必要な情報を顧客情報のデータベー

スへ自動的に入力するものである.

In order to facilitate time-consuming identification procedures with over-the-counter services,

we have provided a solution to assist with the registration of customer identification information

based on driver's licenses which are the most commonly used form of identification. Scanning

the driver's license obtains an evidence image and simultaneously executes an OCR process

(automatic data acquisition), and automatically registers the necessary information in the

customer information database.

1 まえがき自治体や金融機関などの窓口で,お客様に直接応対し,

諸届や入出金の受付などを行う業務を窓口業務という.

お客様をお待たせしないよう迅速さが求められる反面,

正確さや丁寧さも必要とされる.中でも本人確認作業は,

この両立が重要である.

本人確認作業は,申請や届け出の際にお客様が本人で

あることを確認する,窓口業務における重要な作業の一

つである.お客様から,運転免許証や各種健康保険証な

どの本人確認証を預かり,氏名や住所などの情報が正し

いことを確認した上で,必要な情報を顧客情報のデータ

ベースに入力する.また,本人確認をしたエビデンス(証

拠)として,本人確認書類のコピーを取る.お客様の個

人情報であるため,取扱いには配慮が必要である.

2 開発の背景と狙い現状の本人確認作業のイメージを図-1に示す.

現状の本人確認作業では,顧客情報のデータベース

へのお客様情報の入力は,本人確認証をお預かりした上

で,記載情報を目視で確認しながら主に手動で行われて

おり,多くの時間が費やされているにも関わらず,情報

の正確性には課題がある.

また,窓口業務を行うスペースは非常に限られている

ため,コピー機を設置しづらいという物理的な課題が存

在し,本人確認のエビデンスとして本人確認証のコピー

を取る際,窓口を離れてお客様の目の届かない場所にあ

るコピー機を使用すると,本人確認証が不正に利用され

ていないかお客様を不安にさせるおそれがある.

これらを解決するために,本人確認に必要な情報の自

動入力を,受付の限られたスペースで行えるような本人

確認作業支援システム(以降,本システム)の構築を検

討した.

Page 2: 運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援 ......PFU Tech. Rev., 25, 2,pp.13-17 (11,2014) 13運転免許証のスキャニングとOCRによる 本人確認支援ソリューションの展開

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運転免許証のスキャニングとOCRによる本人確認支援ソリューションの展開

PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014)

3 システム概要と特長PFU は,世界シェア No.1注1)のスキャナ,国内シェ

ア№ 1注2)の OCR(光学式文字認識)ソフトウェアを有

している参1),参2),参3).自社のハードウェアとソフトウェ

アを組み合わせ,既存システムへ簡単に組み込むための

ソリューションアプローチ(Add-On アプローチ)を

図ることで,PFU ならではの本人確認作業を含む窓口

業務の改善を目指した.

3.1 システム概要図-2にシステム構成図を示す.目視,手入力,コピー

で行っていたエビデンス取得及び顧客情報データベース

への情報入力作業を,スキャニングと OCR によって自

動的に行うことで,入力時間の短縮や入力ミスの防止を

図る.読取りの対象は,本人確認証として利用される割

合が最も高い運転免許証に絞った.「氏名」「住所」「生

年月日」など,本人確認に必要な情報がカードの片面に

すべて記載されていることからも,本システムの対象に

適していると判断した.

使用するスキャナは,読取り対象とした運転免許証の

ようなプラスチックカードをスキャニングできることに

加え,本人確認証を預かった際に,窓口を離れることな

く,お客様の目の前でスキャニングできるよう,スペー

スが限られている窓口の机にも設置可能な小型サイズの

注1) 業務用スキャナ fi シリーズは,ドキュメントスキャナの主要市場である北米,欧州,日本でそれぞれシェアトップである.詳細は業務用イメージスキャナ「fi シリーズ」紹介ページを参照されたい.

http://imagescanner.fujitsu.com/jp/concept/feature-story/page2.html

注2) 日本市場トップシェア:帳票 OCR ソフトにおいて,JEITA(2010 年度)の集計に基づき,PFU にて推計.

ものを採用する.

また,窓口業務はお客様と企業をつなぐ重要な業務で

あり,早くからシステム化が進められている.そのため,

自社のノウハウが詰まった基幹業務システムとして完成

している場合が多く,改修には大きなリスクが伴う.お

客様に本システムの導入を敬遠されないよう,既存の窓

口業務システムに対して,大規模な改修を行うことなく,

簡単に組み込めるように考慮する必要もある.

以上により,窓口業務の効率性,安全性,容易性を実

現するソリューションを提供する.

3.2 システム構成要素と特長(1) 運転免許証からの自動情報取得(運転免許証

OCR)

手動で行っていた顧客情報の入力作業を補助するた

め,運転免許証の券面情報から OCR 技術を使って自動

的に読み取ることで,本機能を実現した.

本システムでは,運転免許証をスキャニングするだけ

で,運転免許証のレイアウトを自動的に判断し,最適な

OCR 結果を抽出する.

本人確認処理に必要な 11 項目は,図-3のとおりで

ある(①氏名,②生年月日,③住所,④交付日,⑤有効

期限帯色,⑥有効期限,⑦免許証番号,⑧免許種類,⑨

顔写真,⑩免許の条件等,⑪取得日(二・小・原,他,

二種)).

名前の OCR 処理では,認識精度を向上させるために,

OCR での読取り結果を認識処理用のデータベースで補

正する.しかし,若年層(20 代前半)に多い個性的な

名前は,データベースに登録されている名前では補正で

きないため,認識精度が低下するという課題があった.

◆図 -1 本人確認作業イメージ図◆

(Fig.1-Identificationprocedureworkflow) ◆図 -2 システム構成図◆

(Fig.2-Systemconfiguration)

確認 入力 業務システム連携

免許証(コピー)免許証

顧客情報データベース顧客情報データベース

申請書など

【バックヤード】

窓口受付

運転免許証OCR

PFU 太郎名前:

生年月日:

住所:

昭和55年5月5日神奈川県川崎市幸区堀川町

電話番号:044-540-****

入会申込スキャナ

コントロール機能

既存システム既存端末 本システム

連携

既存システム 本システム連携

アプリケーション既存

アプリケーション

+受付業務アプリケーション

スキャン指示

連携インターフェース

OCR結果取得

スキャナコントロール

免許証OCRコントロール

PDFファイル生成

カラー/モノクロ同時出力

画像取得

スキャン指示

OCR結果取得

画像取得

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PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 15

運転免許証のスキャニングとOCRによる本人確認支援ソリューションの展開

このため,本システムでは,若年層の名前情報を別途追

加対応し,名前情報の認識精度を向上させることに成功

した.特に若年層に関する申請が多い窓口業務では大き

な成果を上げている.

(2) 窓口端末用スキャナ(fi-65F 又は ScanSnap

S1100)

窓口で本人確認証のスキャニングを行うため,卓上に

置けるコンパクトな A6 サイズフラットベッド型スキャ

ナである fi-65F を対象スキャナとした(図-4参照).

しかし,窓口業務においては,本人確認証だけでなく,

付帯書類(申請書など)もスキャニングが必要な場合が

あり,それらの多くは A4 サイズである.

そのため,運転免許証などのプラスチックカードがス

キャニング可能なことに加え,A4 サイズの一般書類も

合わせてスキャニング可能な ScanSnap S1100 も対

象スキャナとして選定した(図-5参照).

しかしながら選定した二つのスキャナ(fi-65F と

ScanSnap S1100)は,製品の仕様上,同一のインター

フェースでは利用できないという課題を抱えていた.

fi-65F は業務用スキャナとなるため一般的に広く利

用されている TWAIN インターフェースに対応してい

るが,ScanSnap S1100 は個人用スキャナとなるた

め独自インターフェースとなっていた.

そのため二つのスキャナの制御インターフェースの

差異を吸収し,同一のインターフェースで利用できるよ

うにする共通ライブラリを構築することで,いずれのス

キャナでも自由に選択可能とした.

結果,業務に応じたスキャナを自由に組み合わせるこ

とが可能になり,お客様の様々なニーズに柔軟に対応し,

幅広く導入いただける仕組みを実現した.

また,本人確認をしたエビデンスとして本人確認証

の画像データを保存する際,短期/長期保管用で異なる

画像品質,画像形式が要求されるため,カラー/白黒,

JPEG / TIFF / PDF など,用途に合わせた出力が行

える仕組みとしている.

(3) 既存システムへの簡単組込み(Add-On アプロー

チ)

既存システムに簡単に組み込めるようにするため,既

存システムで多く採用されているアプリケーションとの

親和性が高い Windows®注3) DLL注4)の API注5)として

提供することとした.

しかし,既存システムの業務ノウハウが豊富なお客様

でも,スキャナ制御や OCR 制御については専門外なた

め,簡単に「自動入力(OCR 結果抽出)」できる機能

として提供してほしいとの要求を頂いた.

そのため,以降の特長を持つ Windows API として

提供した.

注3) Windows は,米国 Microsoft Corporation の,米国,日本およびその他の国における登録商標または商標である.

注4) Dynamic Link Library(ダイナミック リンク ライブラリ)の略.同時に複数のプログラムから利用可能な汎用性の高い機能を保持する部品化されたプログラムのこと.

注5) Application Programming Interface(アプリケーションプログラミングインターフェース)の略.あるプログラム ( ソフトウェア ) が保持する機能やデータを,外部のプログラムから呼び出して利用するための規約のこと.

◆図 -3 運転免許証OCRの概要◆

(Fig.3-Driver'slicenseOCRoverview)

◆図 -4 fi-65F◆

(Fig.4-fi-65F)

◆図 -5 ScanSnapS1100◆

(Fig.5-ScanSnapS1100)

①氏名 ②生年月日 ③住所

④交付日 ⑤有効期限帯色,⑥有効期限

⑦免許証番号⑧免許種類

⑩免許の条件等⑪取得日(二・小・原,他,二種)

[氏名]=免田 一郎

[住所]=石川県かほく市・・・

[生年月日]=昭和37年5月・・

⑨顔写真

OCR処理

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運転免許証のスキャニングとOCRによる本人確認支援ソリューションの展開

PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014)

1) スキャニングから運転免許証 OCR までの機能

を,一つのインターフェースで簡単に実行可能

2) 複 数 の ス キ ャ ナ(fi-65F 又 は ScanSnap

S1100)を,同じインターフェースで利用可能

3) 運転免許証OCRに最適なスキャニング設定が設

定済みのインターフェースで利用可能

こうしたインターフェースとすることで,お客様は

スキャナや OCR についての独自技術を気にすることな

く,既存システムへの Add-On 組込みを行えるように

なった.また,Add-On 組込みを前提としているため,

既存システムの大規模な改修が不要で,更に部分的な業

務展開も可能としている.

4 適用事例全国に展開する通信業の窓口店舗において,本シス

テムを業務端末の既存システムへ Add-On 組込みする

形でご利用いただいている(図-6参照).新規契約や

契約情報の変更など,お客様情報を管理する仕組みは

従前から使用されていたが,本人確認証のコピーを取る

作業をバックヤードで行わない点,運転免許証の OCR

により業務効率を向上可能な点,現状の仕組みに容易

に組込み可能な点を評価いただき,全国 1,000 店以上

(10,000 端末以上)に導入いただいた.1 日あたり数

万件の処理が行われているため,窓口業務の大幅な効率

化,スピードアップに貢献している.

お客様からは,運転免許証 OCR の高い認識率,省ス

ペースなスキャナを非常に高く評価していただいてお

り,対応機器の増設や更なる業務展開のご相談も頂いて

いる.

5 今後の取組み窓口業務を改善するため運転免許証のスキャニングと

OCR を同時に行う本システムは,現状,窓口業務を行っ

ている多くのお客様から引き合いを頂き,様々な分野で

ご採用いただいている.

今後も,お客様からの要望を基に以下の取組みを進め,

更に使いやすいシステムとしていく予定である.

(1) 本人確認証のバリエーション対応

現状の窓口業務で,本人確認証として運転免許証が利

用される割合は全体の 7 ~ 8 割となっているため,本

システムで入力業務の大部分の効率化を実現できてい

る.しかし,残りの 2 ~ 3 割であるそのほかの本人確

認書類にも対応できないかとの要望は多い.

対応を希望されている本人確認証は,保険証,パスポー

ト,外国人登録証,住基カードなどであるが,いずれも

普及率の低さや,単体での証明力が乏しいなど,いくつ

かの課題を抱えている.

国は,国民一人一人に番号を付与(マイナンバー制度)

して個人情報管理の効率化を図り,社会基盤(インフラ)

と併せて活用できる仕組みの構築を進めている.運転免

許証は本人確認証として最も多く利用されているが,マ

イナンバー制度の導入により,社会の仕組みが大きく変

化していくことが想定される.未確定な要素も含まれて

いる制度ではあるが,国の施策という面も考慮し,技術

的な検証を踏まえて取り組んでいく.

(2) マルチプラットフォーム対応

窓口業務を行っている企業や自治体では,窓口業務

全体の一新を検討されているお客様も少なからず存在

する.案の一つとして,窓口端末に,タブレット端末

を使うことを検討されている場合が多く,iOS注6)端

末,Android™注7)端末とのスキャニングや運転免許証

OCR の連携対応への問い合わせが増加している.

図 -7に示すように,運転免許証の OCR 処理を,

Web サービス化することで,マルチプラットフォーム

対応を可能にする提案をしている事例もあるが,多くの

場合は以下の理由により,各端末に閉じた状態での対応

を求められている.

1) 取扱いが難しい個人情報を扱う点

2) 社内にサーバを構築する必要がある点

3) オフラインでの対応が必要である点

注6) iOS は,iPad や iPhone に搭載されている Apple 社製の独自OS である.

注7) Android は,Google Inc. の商標である.

◆図 -6 適用事例◆

(Fig.6-Applicationexample)

従来

OCR導入後

窓口

免許証コピー

別室

窓口

コピー不要

移動による非効率性 スペース確保お客様の不安

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PFU Tech. Rev., 25, 2, (11,2014) 17

運転免許証のスキャニングとOCRによる本人確認支援ソリューションの展開

ソフトウェアだけでなく,スキャナ機器についても同

様な対応が必要となるため難しい面はあるが,今後の重

要な取組みとしたい.

(3) ペーパーレス対応

窓口業務全体の一新を検討されているお客様の中には

ペーパーレス化を目指すお客様も多数存在する.窓口業

務では,本人確認証と申請書を併せて提示していただく

場合が多く,「申請書」自体をなくすことで,業務効率

を向上したいという考えである.

PFU では,新たな帳票ソリューションとして,

図-8に示すような紙帳票のインターフェースをタブ

レット上で実現するソフトウェア(BIP Smart)を昨

年度より販売し,好評を頂いている参4).

これまでは,本システムを既存システムへ組み込む形

でビジネス展開を図ってきた.今後は,窓口業務の一新

を検討されているお客様に対し,「BIP Smart」を活用

したペーパーレスを実現する仕組みを含めて,新たなア

プローチで提案活動できると考えている.更なる展開を

含めて検討を進めたい.

6 むすび本システムは,ハードウェア(スキャナ),ソフトウェ

ア(運転免許証 OCR),アプリケーション開発,保守

作業含め PFU 全体で対応するソリューションパッケー

ジ(本人確認支援ソリューション)となっている.これ

らは,紙文書の電子化と,システムでの文書管理を効率

的に短期間で実現するドキュメントソリューションを提

案する上でのすべての商材をもれなく有している PFU

ならではの取組みであり,スキャナと OCR ソフトウェ

アを組み合わせ,業務システムに連携することで業務を

改善,及び効率化するスキャン入力ソリューションが生

み出した新しいビジネスの形だと考えている.

今後は,5 章に記載したお客様の新たな要望にも耳を

傾けつつ,運転免許証だけではない様々なスキャン入力

ソリューションのパッケージングを進め,新しい業務適

応モデルを創造していく.

参考文献参1) 業務用スキャナ fi シリーズ紹介ホームページ

http://imagescanner.fujitsu.com/jp/

参2) カラーイメージスキャナ ScanSnap 紹介ホームページ

http://scansnap.fujitsu.com/jp/

参3) ソフトウェア帳票 OCR DynaEye EX(ダイナアイイーエックス)紹介ホームページ

http://www.pfu.fujitsu.com/dynaeye/

参4) 帳票ソフトウェア BIP Smart 紹介ホームページ

http://www.pfu.fujitsu.com/bip/bipsmart/

◆図 -7 OCR処理のWebサービス化案の構成図◆

(Fig.7-WebserviceconfigurationplanforOCR

processes)

◆図 -8 BIPSmart の機能概要◆

(Fig.8-BIPSmartfunctionaloverview)

運転免許証OCRWindows Server※1

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※1 Windows Serverは,米国Microsoft Corporationの,米国,  日本およびその他の国における登録商標または商標です.

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