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中国自動車部品業界 市場調査報告書 (上海発) 20123日本貿易振興機構(ジェトロ)

中国自動車部品業界 市場調査報告書...中国自動車部品業界 市場調査報告書 (上海発) 2012年3月 日本貿易振興機構(ジェトロ) 本報告書に関する問い合わせ先:

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Page 1: 中国自動車部品業界 市場調査報告書...中国自動車部品業界 市場調査報告書 (上海発) 2012年3月 日本貿易振興機構(ジェトロ) 本報告書に関する問い合わせ先:

中国自動車部品業界

市場調査報告書

(上海発)

2012年3月

日本貿易振興機構(ジェトロ)

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【免責条項】

ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、あるいは懲罰的損害および

利益の喪失については、一切の責任を負いません。これは、たとえジェトロがかかる損害の可

能性を知らされていても同様とします。

© JETRO 2012

本報告書の無断転載を禁ずる。

本報告書に関する問い合わせ先:

日本貿易振興機構(ジェトロ)

機械・環境産業部 機械・環境産業企画課

〒107-6006 東京都港区赤坂1-12-32

TEL: 03-3582-1673

Email:[email protected]

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中国自動車部品業界市場調査報告書

第 1章 中国自動車部品業界の発展状況概要 ........................................................................................ 1

1.1 自動車部品市場および製品紹介 ...................................................................................................... 1

1.1.1 市場評価 .................................................................................................................................................. 1

1.1.2 自動車部品の製品分類について ................................................................................................... 2

1.2 自動車部品業界の現状 ......................................................................................................................... 3

1.3 自動車部品業界の市場分布状況 ..................................................................................................... 5

第 2章 中国自動車部品産業の政策環境分析....................................................................................... 9

第 3章 中国自動車部品の川上•川下産業状況分析 ......................................................................... 13

3.1 産業リンケージ ....................................................................................................................................... 13

3.2 川上産業 ................................................................................................................................................... 15

3.2.1 鋼材業界概況 ...................................................................................................................................... 15

3.2.2 合成樹脂材料業界概況 .................................................................................................................. 17

3.2.3 ゴム材料業界概況 ............................................................................................................................. 18

3.3 川下産業 ................................................................................................................................................... 19

第 4章 中国における自動車部品生産企業の財務状況分析 ........................................................... 22

4.1 自動車部品生産業における企業資産についての分析 ......................................................... 22

4.2 自動車部品生産業における負債についての分析 ................................................................ 23

4.3 自動車部品生産業における収入についての分析 ................................................................ 24

4.4 自動車部品生産企業の原価についての分析 .......................................................................... 25

4.5 自動車部品生産業の支出についての分析 ................................................................................ 26

4.6 自動車部品生産業の利潤についての分析 ................................................................................ 27

第 5章 中国自動車部品業界における輸出入の現状 ......................................................................... 28

5.1 自動車部品の輸出入品目 ................................................................................................................. 28

5.1.1 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸出入状況分析 ............................................ 29

5.1.2 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸出状況分析 ................................................. 30

5.1.3 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸入状況分析 ................................................. 30

5.2 自動車部品輸出入地域の分析 ....................................................................................................... 31

5.3 自動車部品輸出入の総量分析 ....................................................................................................... 33

第 6章 自動車部品業界の市場販売ルート分析 ................................................................................. 35

6.1 市場販売ルートモデル ........................................................................................................................ 35

6.2 市場販売ルート構造 ............................................................................................................................. 37

6.2.1 主力型ルート ........................................................................................................................................ 37

6.2.2 緊密型ルート ........................................................................................................................................ 38

6.2.3 パートナー型ルート ........................................................................................................................... 39

6.2.4 自然形成型ルート .............................................................................................................................. 39

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第 7章 自動車部品産業が抱える問題について ................................................................................. 40

7.1 深刻な需給バランスの崩壊と確立されていないパートナーシップ .................................... 40

7.2 周縁化する現地自動車部品企業 ................................................................................................... 41

7.3 乏しい自主開発能力とブランドの欠如 .......................................................................................... 41

7.4 未完備のアフターサービス ................................................................................................................ 43

7.5 コスト管理の重圧 ................................................................................................................................... 43

7.6 自動車部品輸出構造における調整の必要性............................................................................ 44

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第 1 章 中国自動車部品業界の発展状況概要

1.1 自動車部品市場および製品紹介

1.1.1 市場評価

中国自動車部品市場は、OEM市場とポストマーケティング市場(以下、「PM市場」という)

とに分けることができる。

OEM 市場は比較的簡単な構造となっており、完成車の OEM 製造業者が直に加工を受け持

つことで成り立ち、後期のマーケット運営はブランド生産者のブランド効果、利益、およ

び経営能力によって決まる。これに対し、PM市場はやや複雑で、部品生産、部品流通、部

品使用の三つの役割を含むとされる。

自動車部品市場の状況について

図 1 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

自動車部品市場

OEM

市場

PM

市場

完成車メーカー

部品メーカー

PM 市場の三つの経営主体:

①部品メーカー②部品流通業者③車両修繕業者

部品流通業者

車両補修業者

自動車所有者

•OEM工場は一般メーカーおよび

海外メーカーを含む

•一次卸売り業者、ディーラー、

小売業者を含む流通の中継点

•自動車部品の主要販売ターミナ

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二つのマーケットにおいて、PM市場は既に自動車部品メーカーの主な利潤獲得先とな

っており、その経営主体は、通常、部品メーカー、部品流通業者、車両修繕業者に分けら

れる。主な特徴は下図を参照。

自動車部品ポストマーケティング市場の状況について

図 2 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

1.1.2 自動車部品の製品分類について

自動車部品はその最終用途によって分類され(即ち各パーツが取り付けられる位置によ

って分類され)、大きく分けて 7 系列、100 種余りに分けられる。詳しい分類および主な

製品は次の表のとおり。

部品メーカー

部品流通業者

車両補修業者

自動車所有者

OEM メーカ

一般メーカー

海外メーカー

•国内で最も多いタイプのメーカー、

しかし規模は皆極めて小さい。直接 PM

市場へ向けた国内外の車種部品を生

産。数多くの完成車メーカーを偽証す

るブランドが販売仲介業者を経て PM

市場へ進出している。

•中国自動車部品市場へは、既にボッシ

ュ、デルフィ 、モービル、ミシュラン等

の海外メーカーが参入しており、各ブラ

ンドとも中国 PM 市場へ進出している。

何れも中国企業との合弁会社である OE

M工場の多くは依然やはり完成車メー

カーとして PM市場に進出している。

自社ブランド

で PM 市場に参

入する独立生産

メーカー。 数は

比較的少なく、

目下の PM 流通

市場の発展を阻

害する主な要因

の一つである。

•完成車製造のために部品を生産す

るメーカーの一つ。同時に PM 市場に

部品を供給。しかし基本的には自社ブ

ランドではなく完成車メーカーのブラ

ンドを借り、完成車メーカーを通して

PM市場に進出。

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自動車部品の製品分類

製品系列 製品

エンジン

ピストン、ピストンリング 、シリンダーパッド、ワッシャー 、エアバ

ルブ 、スターター 、交流発電機、点火プラグ、エンジンコントロール

装置、 ブレーキシステム制御装置等

電気装置および

電子装置 燃料ポンプ、電子制御式燃料噴射ポンプ等

照明、メーター

などの電子装置

フロントライト、速度計 、ワイパーモーターおよびその他モーター、

各種開閉装置、イグニションスイッチ、ワイヤー等

動力伝達装置

および操縦装置

クラッチギア、マニュアル・トランスミッション 、オートマチック・

トランスミッション 、方向転換補助装置 、スピードユニバーサルジョ

イント、シャフト 、車輪、変速器操縦レバー等

サスペンション

およびブレーキ

装置

スチールプレートスプリング、 サスペンション、ブレーキ装置、ブレ

ーキ抵抗器、ブレーキチューブ等

車体 車体フレーム、ガソリンタンク、サッシ、ドアの取手およびロック等

付属部品 時計、ラジオ、エアコン、車両カバー、修理用塗料、立体音響装置等

表 1 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

1.2 自動車部品業界の現状

中国は高度経済発展の段階において、「世界の工場」として労働資源、原材料価格、地

理条件を中心にあらゆる方面にわたって優勢を誇っており、それらの利点を価格の安さに

反映することに成功した。初期段階においては、これらのアドバンテージが国内における

雇用や経済の促進、外国資本からの有利な条件を引き出すことに効果を発揮したが、国内

の経済が単純な OEM 加工方式では中国の経済発展の需要を全く満たせなくなるほど発展

するにつれて、この問題の影響が自動車部品業界にも及ぶと考えられる。

現在、中国の自動車部品業界、特に要となる部品の業界においては、依然として先進諸

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国に遅れをとっているのが現状だ。中国の自動車工業の立ち上がりの遅さに起因する経済

発展国との格差拡大により、自動車部品業界は世界の先端水準から大きく引き離され、現

在も経済発展国との間には常に一定の差が存在している。

中国の自動車部品メーカーは主に 3種類に分けられる。一つ目が外資向けメーカー。こ

れは主にグローバルな自動車企業グループの投資によって成立し、かつ自社グループ内か

ら供給される部品によって業務を行う、あるいは国外の知名度の高い部品製造分野に対す

る巨額の投資から成るものである。二つ目が国内向け OEMメーカー。この種の企業は、海

外自動車メーカーに部品を供給しており、その技術もまた海外から導入されることが多い。

三つ目が中国本土向けメーカー。これらの企業のうち、一定の規模、高度な技術を備える

企業はごく尐数であり、ほとんどが低品質の製品を供給するに止まり、主に大手メーカー

の発注を受け、自動車メーカー全体の下請け会社、孫受け会社となる。

WTO 加盟後の 10 年間、中国国内の自動車工業は急速に発展し、自動車工業の発展の持

続を背景に自動車部品業界への需要も年々拡大し、2005年から 2010年にかけて、自動車

部品業界の販売収益も継続して増加傾向を保っている。2008 年の世界経済危機の影響に

より一度は成長が鈍くなったものの、2009 年から状況は改善しており、2010 年には再度

大幅な収益増加、成長率上昇がみられ、その増収幅は 44.21%を記録した。

図 3 出所:彗聡ネット

4,016.19

5,240.02

7,566.54

9,268.29

11,400.00

16,440.00

5.10%

30.47%

44.40%

22.49% 23%

44.21%

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

30.00%

35.00%

40.00%

45.00%

50.00%

0.00

2,000.00

4,000.00

6,000.00

8,000.00

10,000.00

12,000.00

14,000.00

16,000.00

18,000.00

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

億人民元

2005~2010年 中国自動車部品業界の収入状況

収入 成長率

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Automotive News の「世界自動車部品セット供給企業ランキングトップ 100」によれば、

2010年の企業ランキングではアメリカ 30社、日本 28社、ドイツ 17社が全体の 75%を占

め、その他 25社もフランス、韓国、カナダ、スウェーデンなどの 10カ国が選出されてい

る。中でも韓国企業のパフォーマンスが目を引ひき、4 社がランキング入りした。2007

年から 2010年 4月まで、 世界のトップ 100にランキングした企業のうち、世界一の自動

車市場を誇る中国の自動車部品メーカーは 1社もランキング入りできていない。

即ち、中国自動車部品業界全体の産業規模は急速に拡大し企業数も大幅に増加したが、

経済効果という視点から見るとその成長規模は乏しく、中国大陸における自動車部品産業

は、脆弱で、小さく、まとまりのない構造ばかりで、とりわけコアとなる部品の細分領域

ではかなりの部分を外国資本に占められているのが現状だ。

1.3 自動車部品業界の市場分布状況

中国の自動車部品業界は、自動車市場全体の好況に牽引される形で、市場競争と政府主

導の推進という二重の効果により、1990 年代中盤以降、自動車および交換部品産業グル

ープが次第に形成されていった。現在、中国大陸においては東北、京津冀(けいしんき)、

川渝(かわゆ)、両湖、長三角、珠三角といった 6大市場集合地帯が形成されており、これ

らに加えて長春、上海、重慶、天津、アモイ、台州、武漢、蕪湖、合肥、広州、保定(ほ

てい)、柳州(りゅうしゅう)等に 12の国家級自動車部品輸出地帯が存在する。

国際的に見ると、自動車産業は主に次の二つの理由からコロニーを形成する傾向にある。

一つ目は、コロニー現地において自動車部品の基礎・工業基本的施設が確立されている、

あるいは現地で新規大型の自動車メーカー設立が進行していること。二つ目は、現地に大

手自動車メーカーが既に進出しており、部品投資家達が将来的な発展を見込んで本拠地で

の顧客獲得を目指し、自動車メーカーを設立することである。現在、中国における自動車

工業では生産の集団化ではなく、集中化がより顕著に表れている。以下、中国各地の自動

車部品市場集合地帯について概要を述べる。

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東北地帯:

東北は古くからの工業地帯として名を馳せ、自動車工業においても重要なエリアの一つ

に数えられる。当地域は比較的早くから工業の発展が見られ、現在では東南エリアの勢い

に押され気味ではあるものの、長春の一汽集団、ハルビンの哈飛汽車集团、瀋陽の華晨汽

車、金杯通用汽車といった中国を代表的する大手の自動車メーカーが集中している。また、

これらの大型自動車メーカーを取り巻く部品メーカーとして富奥汽車零部件股份有限公

司、長春一汽四環汽車股份有限公司、(長春) 大陸汽車電子、(長春) 天合汽車安全系統有

限公司、長春一汽富維汽車零部件股份有限公司、ジョンソンオート、吉林東光集団有限公

司、天合富奥汽車安全系統(長春)有限公司、西門子威迪欧汽車電子(長春)有限公司、一汽

凯尔--海斯汽車底盤有限公司等が挙げられ、自動車部品供給業者のグループも形成されて

いる。

京津冀地帯:

京津冀地帯とは、中国北部で最も重要な北京・天津と、この二都市を取り巻く河北省一

帯のことを指し、北京ジープ、北京ベンツ、北京ヒュンダイ、北汽 FOTON、天津トヨタ、

天津一汽、保定長城自動車等が集中している。これらの自動車生産に関わる自動車部品メ

ーカーには、北京ヒュンダイ MOBIS、天津一汽トヨタエンジン、戴卡輪毂制造有限公司、

中信戴卡輪毂制造有限公司、中信戴卡輪毂制造股份有限公司、天津英泰汽車飾件有限公司、

河北凌雲工業集団有限公司、天津デンソー、北京星宇車科技有限公司、万都(北京)汽車底

盤系統有限公司等がある。

西南地帯:

西南地帯の自動車工業は重慶に代表され、長安集団、長安福特マツダ、長安スズキ、リ

ーファン汽車等が所在する。当該地域の自動車部品メーカーとして、柳州正菱集団有限公

司、重慶紅宇精密工業有限責任公司、貴州貴航汽車零部件股份有限公司、重慶青山工業有

限責任公司、成都新大地汽車有限責任公司、中国南方工業汽車股份有限公司、四川建安車

橋分公司、重慶長安金陵汽車零部件有限公司、重慶平偉科技(集団)有限公司、綦江歯輪伝

動有限公司等が挙げられる。

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華中地帯:

華中地帯は中国の内陸に位置し、自動車生産メーカーとして東風汽車、東風シトロエン、

東風ホンダ、長豊汽車、南豊集団、南方宇航、チェリーオートモバイル、江淮汽車等が挙

げられる。また、当該地域を代表する自動車部品メーカーに、広州昭和汽車零部件有限公

司武漢分公司、河南省定角実業総公司、東風德納車橋有限公司、東風車橋有限公司、東風

実業有限公司、安陽市德億車橋有限公司、河南省中原内配股份有限公司、武漢テイエステ

ック全興汽車零部件有限公司、林州市円通鋳業有限公司、カルソニックカンセイツーリン

グ襄陽支社等がある。

長江デルタ地帯:

長江デルタ地帯は、南京、鎮江、常州、無錫、上海等の都市に代表され、中国の中心と

なる産業ベルトを形成している。中でも、万全の規模を誇る自動車生産メーカーとして、

上海ワーゲン、上海GM、上海メープル、浙江 GEELY、南京 NAVECO 等があり、代表的な

自動車部メーカーには、万向集団公司、連合汽車電子有限公司、上海汇衆汽車制造有限公

司、延峰偉世通汽車飾件系統有限公司、博世汽車部件(蘇州)有限公司、德尔福派克電気系

統有限公司、博世汽車柴油系統股份有限公司、儀征汽車配件有限公司、江阴模塑集団有限

公司、江蘇 MOBIS汽車零部件有限公司等がある。

珠江デルタ地帯:

球江デルタ地帯は、中国の改革開放による経済発展の影響を強く受け、最も早い発展を

遂げた地域の一つで、現地の高度経済成長をバックに、広州トヨタ、広州ホンダ、東風日

産BYD等、多くの自動車メーカーが起業し、代表的な自動車部品メーカーにはカルソニ

ックカンセイコーポレーション、ホンダ自動車部品、広州樱泰汽車飾件有限公司、広州T

S、カルソニックカンセイ支店、惠州住潤電装有限公司、汕头経済特区矢崎汽車部件有限

公司、広州デンソー、深圳市航盛電子股份有限公司、広州ユニプレスコーポレーション等

がある。

以上の 6大地帯の自動車部品生産高と自動車部品企業数は、全国シェアにして 80%以上

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を占める。

この他にも、国務院法務部の最新の発表によると、中国自動車部品産業の大部分が外資

によって占められており、国産部品の販売収入は業界全体の 20%から 25%に過ぎないこと

がわかる。強力な海外メーカーが中国において自動車部品の合弁会社を次々と設立するに

従い、産業規模を拡大している合弁企業は中国自動車部品業界を益々席巻しつつある。

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第 2 章 中国自動車部品産業の政策環境分析

近年の中国自動車産業の発展は、特に WTO加盟以降にその急速な規模拡大が見て取れる。

自動車の生産量は、2000年には 207 万台だったが、2010 年には 1,826万台にまで増加し

ており、販売台数も 2000年の 208万台から 2010年の 1,806万台と、それぞれ 10年間で

約 8倍の成長を遂げている。

だが同時に、部品業界を含む自動車産業全体の急速な発展に伴い、労働賃金等のコスト

が猛烈な勢いで高騰しており、政策のバックアップが不可欠となっている事実も存在する。

自動車部品業界に対する景気刺激政策は自動車産業全体に対する景気刺激政策と密にリ

ンクしているが、ここでは特に影響力のある政策について、その概要を紹介する。

まずは、2004 年に国家発展改革委員会により公布された「自動車産業発展政策」につ

いて、同政策が公布、実施されてから、最新テクノロジーの導入、ジョイントベンチャー

の促進、自主開発力の増強、投資の多様化といった目的に従い、中国の自動車部品メーカ

ーの製品レベル、設備水準、製造技術、管理水準は大幅に向上し、より大規模で一定の水

準を持つ「完成された自動車部品の供給システム」が形成された。完全な統計による数字

ではないが、2010 年末の段階で、中国全土に約 3 万社の自動車部品メーカーが存在し、

年間 1,800万台の完成車生産能力を備えていると言われる。

2009年 3月 20日に公布された「自動車産業の再編再活性化計画」では、自動車産業の

再編と振興に関する次の 8 大課題が提起された。即ち、1、自動車マーケットの育成 2、

自動車産業再編の促進 3、企業のイノベーションへのサポート 4、技術特殊改造の実施

5、新エネルギー自動車戦略の実施 6、自社ブランド戦略の実施 7、自動車製品輸出戦

略の実施 8、現代における自動車サービス業の発展 である。同政策の実施によって、

自動車工業分野の自主開発能力の形成が強化され、中国自動車部品業界全体のレベル底上

げ、自主開発能力の向上が推進されるようになった。

2010年 5月には、国家発展改革委員会等の複数政府部門から「再製造産業の発展促進

に関する意見」が共同で公布された。政府は自動車エンジン、ギアボックス、発動機等の

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部品の再製造に重点を置き、自動車部品の再生試験作業場の扱う範囲をプロペラーシャ

フト、オイルポンプ、ポンプなどの部品にまで拡大した。

また、2010年 9月に国務院から公布された「企業の吸収合併促進に関する意見」では、

自動車、鋼鉄、セメント、機械製造、電解アルミニウム、レアメタル等の産業を中心に、

有力企業の強力な連携を推進し、地域を超えた吸収再編、外国企業の買収と投資合作、産

業集中度の向上、大規模化、集約的経営の促進、そして知的財産やブランド力をバックボ

ーンとする企業および国際競争力を備える巨大企業グループの産業構造の最適化並びに

アップグレードの推進を掲げている。

最後に、2011年 8月には「エコカーと新エネルギー車産業計画(2011-2020年)」の草案

が国務院により審査されたと報道された。同政策は、2015年までに、エコカーと新エネ

ルギー車のキーパーツの発展を扶助することを目標としている。発動機、電池といった重

要部品の分野において、3社から 5 社の、バッテリーや発動機等を柱とする企業の産業集

中度を 60%以上にするとのこと。仮に同政策が実施されれば、新エネルギー車の部品メー

カーに多大なビジネスチャンスがもたらされ、より多くの自動車部品メーカーが新エネル

ギー車の部品生産に参入することが見込まれるため、新エネルギー車分野の更なる発展が

期待される。

近年実施された中国自動車産業発展に関する政策

時間 部門 政策 主な内容

2004年

6 月 発展改革委員会

自動車産業発展

政策

国内自動車部品産業の発展をサポートし、自主

開発・製造システムの形成を目的とする。国内

の完成車メーカーに十分な部品供給が可能な

レベルにまで引き上げること、かつ国際的な自

動車部品調達の枠組みに参入することを奨励。

2006年

12月 発展改革委員会

自動車産業構造

の調整政策

一定の要件を備える自動車産業グループを強

力にサポートし、自動車部品のパイオニア企業

による地域を超えた合併、連携、再編をリード

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しつつ強大な自動車部品メーカーを創りあげ

ることを目的とする。

2008年 発展改革委員会 産業構造調整指

導目録 新エネルギー車の正式な奨励目録入りを達成。

2009年

1 月

工業情報化部/

工商総局

自動車購入減税

政策

2009年 1月 20日から 12月 31日にかけて排出

量 1.6以下の自動車を購入すると、自動車購入

税が 5%減税される。2011 年 1 月 1 日をもって

終了。

2009年

3 月 国務院

自動車産業の再

編再活性化計画

(2009-2011)

自動車マーケットの育成の提起、自動車産業再

編の推進、新エネルギー車戦略の実施、自社ブ

ランド戦略と自動車製品輸出戦略等の重要 10

項目、および自動車購入税の減税、地方の自動

車普及や企業のリストラ政策遂行の為の政策。

2009年

7 月

発展改革委員会

など

技術導入、製品輸

入の奨励

減税によるサポート又は関税減免政策による

技術導入、製品輸入の奨励。

2010年

5 月

発展改革委員会

など

再製造産業の発

展促進に関する

意見

自動車エンジン、ギアボックス、発動機等の部

品の再製造を重点とし、資金投入の強化、制度

的ボトルネックの排除、リサイクルシステムの

改善、流通市場の規制を行う。

また、建設機械、旋盤等の再製造の推進。

2010年

9 月 国務院

企業の吸収合併

促進に関する意

自動車、鋼鉄等の 6大産業を対象に、早急な再

編を要求。まず、企業合併時の地域制限に関す

る規定を完全撤廃し、地域の利益分配を正常化

すると共に民間資本の市場参入を緩和。次に企

業の合併の促進、扶助政策を進める。主に税収

優遇政策の執行、資金投入の強化、財政支援の

拡大、資本市場主導型の役割の十分な発揮、土

地管理政策に関する改善等。

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2010年

10月 国務院

戦略的新興産業

の発展と育成の

加速に関する決

バッテリー、モーター、電子制御分野のコア技

術発展に力を注ぐ。

2011年

8 月 工業情報化部

エコカーと新エ

ネルギー車産業

計(2011-2020年)

(意見募集稿)

2015 年までにエコカー、新エネルギー車のキ

ーパーツの発展を扶助し、バッテリーや発動機

などを柱とする3社から 5社のメーカーの産業

集中度を 60%以上にすることを目的とする。

表 2 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

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13

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第 3 章 中国自動車部品の川上•川下産業状況分析

3.1 産業リンケージ

自動車業界における生産のリンケージは、鋼鉄、冶金、プラスチック、セラミック等の

原材料産業、および電子、電機等その他 10 以上の産業が絡み、これらの産業は完成車産

業と非常に密接な関係にある。

自動車産業および関連産業

図 4 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

自動車部品は自動車産業リンケージの中で特に重要な位置を占める。自動車部品業界は

広い産業リンケージを有し、他の産業とも密接に関連していることが特徴だ。自動車部品

の種類は非常に多く、一般にトラックの部品点数は 7,000~8,000 個、乗用車の部品は更

に多く、1万個以上である。自動車生産のコストのうち、自動車部品が占める割合はおよ

车工厂

有 銅 ラジエ-タ、電機

色 アルミ スタータ、ホイール等

金 錫、亜鉛 排気浄化システム

属 レアメタル

オイル ガソリン、ディーゼル油、潤滑油

グリース、ブレーキ・タービンオイル

電機 各種ライト、メーター、スターター

部品 発電機、バッテリ、カーステレオ

電話、車載テレビ

電子制御システム

燃料 鋳造、鍛造、コークス

熱処理 ガス

石油

水 洗浄、冷却、飲料

樹脂 ハンドル、バンパー、電機

フロントグリル、内装部品

ゴム タイヤ、シーリングパーツ、

防振パッド、ゴム管等

木材 トランク、ボディパーツ

ガラス ウィンドウ、バックミラー、ライト

紡績 シート生地、アクセサリー材料

品 シートベルト

セラミック プラグ、絶縁体

皮革 シート、アクセサリー

塗料 防錆用、外装塗装用

鋼 普通鋼 ボディ、ホイール等

特殊鋼 ベアリンク、スプリング等

鉄 鋳鉄 シリンダーブロック、シェル等

化学 不凍液、切削液、

製品 洗浄液、冷却材

制品 冷气工质

電力 照明、動力

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そ 70~80%と言われる。

自動車部品産業の川上産業には、主に鋼材、プラスチック、ゴム、有色金属、ガラス、

皮、紡績品等の素材産業が挙げられ、川下産業には、主に自動車メーカー、自動車部品代

理店、4S店、自動車修理店、自動車エンジン・変速器メーカー等が挙げられる。

自動車部品産業の川上産業

図 5 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

鋼鉄

有色金属

ゴム

ガラス等原材料

自動車部品

メーカー

関連生産設備

自動車

メーカー

部品

代理店

業界関連

政策

4S

自動車

修理店

消費者

ユーザー

エンジン・

変速器メーカー

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3.2 川上産業

3.2.1 鋼材業界概況

自動車部品用の鋼には主に、炭素結合鋼、合金鋼、快削鋼、スプリング鋼、高張力鋼、

軸受鋼、歯車用鋼、耐熱鋼等が含まれる。鋼材原料は、トランスミッション、伝動システ

ム、エンジン、サスペンションおよび操縦システム、自動車標準部品等の自動車部品に広

く応用されている。

中国商務部の発表したデータによると、2010年世界の鋼総生産量は 14.1億トンで、2009

年に比べ約 16.8%増加した。とりわけ中国は絶対的な世界第 1 位の鋼生産国で、2010 年

1~12月の生産量は 6.3億トンに達し、世界の総生産量 44.3%を占めている。

2005 年から 2010 年にかけて中国の銑鉄•粗鋼および鋼材の生産量は軒並み拡大の傾向

にある。2008 年には世界経済危機の影響を受け、生産増加率は近年で最も落ち込んでい

るが、生産量は依然として増加しており、世界経済の回復に伴い、鋼鉄業界も正常な状態

に戻ったと言える。2009 年には銑鉄•粗鋼および鋼材の生産量は大幅に回復し、生産増加

率は 2008年以前の水準に及ばないものの、生産量は安定した成長を維持している。

図 6 出所:国家統計局

2005~2010 年 銑鉄生産量及び増加率

34,375.19

47,651.63 47,824.42

55,283.46 59,733.34

41,245.19

28.12

15.53

0.36

15.6

8.05

19.99

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

2005 2006 2007 2008 2009 2010

(万トン)

0

5

10

15

20

25

30

(%) 銑鉄(万トン) 同期比(%)

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図 7 出所:国家統計局

図 8 出所:国家統計局

公開された資料によると、2011 年には 4,000 万トン前後の生産能力拡大を計画してお

り、総生産能力は 8 億トン近くに達する。鋼材市場の動向などから、2011 年の粗鋼生産

量は 6.8~6.9億トンに達する見込みである。

2005~2010 年 鋼材生産量及び増加率

80276.58

69405.4

37771.14

46893.36

60460.29

56560.87

18.12

24.15

6.89

14.8

15.66

20.62

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

2005 2006 2007 2008 2009 2010

0

5

10

15

20

25

30

鋼材(万トン) 同期比(%) (万トン) (%)

2005~2010 年 粗鋼生産量及び年増加率

35,323.98

41,914.85 48,928.8 50,305.75

57,218.23 63,722.99

16.73

2.81

13.74

11.37

24.86

18.66

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

2005 2006 2007 2008 2009 2010

0

5

10

15

20

25

30

粗鋼(万トン) 同期比(%) (万トン) (%)

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3.2.2 合成樹脂材料業界概況

合成樹脂産業は国家経済を計る上での重要な指標であり、GDPの計測に対して極めて重

要な意味を持つ。過去、各国は合成樹脂の一人当たり消費量を国の経済状況を計る指標と

して用いてきた。中国の合成樹脂産業は近年拡大の傾向にあり、2010 年の生産量は

5,830.4 万トンに達する。「財経早報」によると、2010 年の中国一人当たりのプラスチッ

ク消費量は 46 キロに達し、2005 年の 22 キロに比べ約 2 倍の増加となっている。これは

同時期の世界平均である 40キロを上回っている。

図 9 出所:工業年鑑

合成樹脂は自動車工業において重要な役割を持つ。軽さ、高強度、絶縁性、耐摩耗性、

成形加工性等の特徴を有し、また金属に比べ、化学安定性(空気、水、薬品等に対し変化

が尐ない)を備える。50年以上前から自動車部品として用いられてきた合成樹脂は、現在

では樹脂加工技術の発達により、更なる応用範囲の広がりを見せている。樹脂製品は、内

装部品を主として、外装部品やエンジンルーム内の機能部品等にも応用されており、合成

樹脂材料の面でも、プラスチックを主として、複合材料や樹脂合金等に広く使われている。

今後は外装部品、構造部品の開発に重点が置かれるだろう。

自動車部品用の合成樹脂には、PP、PU、PA、ABS、PC、PBT、PPO、熱硬化性樹脂および

2,308.9

2,602.6 3,184.5

3,680.2

4,479.3

5,830.4

-2.4%

12.7%

22.4%

15.6%

21.7%

30.2%

-5.00%

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

30.00%

35.00%

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

2005 2006 2007 2008 2009 2010

万トン

2005~2010年 中国合成樹脂生産量及び増加率

合成樹脂 同期比

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その他高性能複合樹脂等がある。合成樹脂は自動車の内装部品、外装部品に応用されてい

るが、内装部品としては主に、メーターパネル、ドア内装パネル、ダッシュボード、座席

等に、外装部品としては主に、フェンダー、ホイールカバー、エアロパーツ等に使用され

る。 合成樹脂を使用した自動車部品の中でも、バンパーは最大の部品の一つであり、中

国自動車産業における合成樹脂使用量の 10%を占めている。

3.2.3 ゴム材料業界概況

ゴム製部品もまた自動車の重要な構成部分であり、中国自動車産業と他の関連産業が発

展するに伴い、ゴムに対するニーズも拡大してきた。現在中国は、世界第一位の天然ゴム

消費、輸入国である。国内の主なゴム生産地は、広州、山東、雲南等の地域だが、国内の

生産需要に対しては自給率を高めるのと同時に、輸入によってその供給を一部まかなって

いる。天然ゴムは主に、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム等の東南アジア諸国

から輸入している。

図 10 出所:中国税関

中国税関発表の資料によると、2011年 9 月における中国の天然ゴム輸入量は 24 万トン

で、前年同期比 26.3%の増加であった。また、同年 1~9月の天然ゴムの累計輸入量は 144

万トンで、こちらは前年同期比で 7.7%の増加。

141

161 165 168 171 186

9.5%

14.2%

2.5%

1.8% 1.8%

8.8%

0.00%

2.00%

4.00%

6.00%

8.00%

10.00%

12.00%

14.00%

16.00%

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2005 2006 2007 2008 2009 2010

万トン

2005~2010年 中国天然ゴム輸入量及び増加率

天然ゴム 同期比

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天然ゴムは高弾力性という特徴を有し、物理的には、耐摩耗性、絶縁性、不透水性、不

通気性などの特性を持ち、また、耐油、耐腐食、耐熱、耐寒、耐老化などの特性も備える。

また、各業界における生産の諸領域に広汎に採用され、ゴム産業の総生産高は年々上昇し

ている。中国における 2006~2010年のゴム総生産高は 1,237 億元から 2,561 億元に増加

し、増加幅は 107%に達した。

図 11 出所:ゴム工業協会

中国ゴム工業協会の最新データによると、2011 年 1~8 月の総生産高は 1,954.35 億元

で、同期比 19.34%の増加である。

ゴムは自動車産業において、主にタイヤ、各種ゴム部品に使用されている。ゴム製品は

自動車生産コスト全体の 6%前後を占め、毎年、世界のゴム消費量のうち、70%以上が自動

車産業に使用されている。自動車産業での内訳は、約 60%がタイヤ、40%がゴム製品であ

る。

3.3 川下産業

自動車部品産業の川下産業とは、自動車メーカー本体による産業を言う。中国の近代自

動車産業の発展は 1950年代の手工業製作から始まり、2010年には生産台数 1,800万台を

1,237

1,540 1,737 1,921

2,561

22.7% 26.9%

11.9%

9.4%

22.6%

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

30.00%

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

2006 2007 2008 2009 2010

億人民元

2006~2010年 中国ゴム産業総生産高及び増加率

ゴム産業総生産高 同期比

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突破するに至った。すでに、原材料の供給、各種部品加工、自動車組立、販売ルート、修

理点検、自動車保険、自動車ローン等の産業リンケージが形成されている。

図 12 出所:国家統計局

現在、中国の自動車産業は中国大陸(内資)の自動車メーカーおよび外資との合弁自動車

メーカーによって形成されている。 全体から見ると、設立年数、高知名度、高品質等の

要因により海外メーカーが優位に立っていることから、合弁メーカーによる国内自動車業

界および市場の占有率は国内メーカーよりも高い。だが、2010 年、中国の自動車販売台

数は 1,806万台に達し、国産ブランドはこれまでにない成長を遂げた。これにより、前年

同期比増加率はこれまでの平均増加率を上回り、市場占有率を上昇させることに成功して

いる。

国産自動車ブランドは主に三つに分類される。第 1 は従来からの中国国産ブランドで、

主にメーカーや所属する企業グループとの合弁、あるいはその他資本が入った自動車メー

カーを指す。第 2は海外メーカーによる中国国内生産のためのブランド。第 3は合弁企業

による新規ブランドである。従来からの国産自動車は、技術、資金等の制約のため市場占

有率はかなり低く、近年積極的に海外から技術を吸収し、海外からの部品調達に対する投

資の拡大を続けているものの、現状においては、やはり务勢を強いられている。

570

728 889 935

1,380

1,826

12.1%

27.6% 22.1%

5.1%

48.2% 32.4%

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

40.00%

50.00%

60.00%

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2005 2006 2007 2008 2009 2010

万台

2005~2010年 中国自動車生産量及び増加率

自動車生産量 同期比

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国産ブランドの中でも、古くからある老舗国産ブランドは、外資合弁ブランド製品が拡

大する中、技術、資金等の制約により大きな打撃を受けた。政府による支援政策も大きな

効果を発揮せず、シェア縮小のプレッシャーに面している。現在、国内の商用車市場は基

本的に老舗の国産ブランドが主であり、MPV、SUV 等を含む乗用車市場のシェアでは 4 割

以上、普通乗用車市場では 3割尐しを占めるが、利潤の大きいハイエンドクラスの乗用車

市場では、海外ブランドや合弁ブランドが絶対的なシェアを占めている。

2000 年以降、中国の WTO 加盟に伴い、中国経済の発展は世界が注目するところとなっ

た。自動車製造業も相応に発展し、現在中国本土の自動車産業は一定の水準に達している。

しかし、欧米先進国の技術、品質と比べると、依然として遅れを取っていることは否めな

い。また、自動車産業発展の段階で多くの外資企業が参入し、現在の中国における乗用車

製造の需要はほぼ外資によって占められているとも言える。中国政府は国産自動車の投資

拡大を提唱しているが、国内の大手自動車グループと自動車メーカーについて見ると、総

合的な実力、技術レベル、投入資金、業務規模等の面で苦戦しているのが事実だ。逆に大

手の海外企業は中国大陸での自動車産業の見通しは明るいと見るや、次々に中国市場を山

分けする投資計画を決定している。国内メーカーも積極的に対応しているが、コアとなる

部分は依然としてグローバル企業の下へ集中している。

2011 年、自動車業界は市場の需要が生産増加を促進するという構造から、次第に、一

部の企業による供給が生産増加を推進する構造へと転換しつつあり、その競争はますます

激しくなっている。自動車市場が急速に拡大する一方、労働力コスト、原材料価格は上昇

し続けており、国による一定の自動車購入優遇政策は打ち出されるものの、自動車台数の

急激な増加に従い、地方によっては自動車購入が規制によって抑えられてしまうケースも

存在する。例えば、北京政府は 2010 年末、交通渋滞緩和のため自動車の購入を規制した

が、他の交通渋滞が深刻な都市でも将来これに似た政策が行われると思われる。これらを

勘案すると、中国自動車産業は依然として拡大発展の傾向にはあるが、将来その成長は

徐々に緩やかなものになることが予測される。

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第 4 章 中国における自動車部品生産企業の財務状

況分析

4.1 自動車部品生産業における企業資産についての分析

資産状況表

単位:百万元

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

資産総額 495,194.86 669,753.68 753,397.22 941,413.50 1,178,016.07

総資産増

加率(%) -- 35.25 12.49 24.96 25.13

総資産回

転率(回)

-- 1.14 1.18 1.24 1.41

表 3 出所:国家統計局

図 12 出所:表 3に基づき作成

中国自動車部品産業の総資産額は 2006 年の 4,951.95 億元から 2010 年には 1 兆

1,780.16億元へと伸び、137.89%の成長となった。途中、金融危機の影響により成長率は

495,194.86

669,753.68 753,397.22

941,413.50 1,178,016.07

35.3%

12.5% 25.0% 25.1%

1.14 1.18 1.24

1.41

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

0.00

200,000.00

400,000.00

600,000.00

800,000.00

1,000,000.00

1,200,000.00

1,400,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 中国自動部品産業における資産状況

資産総額 資産総額増加率 資産回転率

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2007年の 35.25%から、最も低いときで 2008年の 12.5%にまで下降したものの、2009年初

めから 2010 年に至るまで比較的安定した成長を続け、更に自動車部品産業の運用能力が

徐々に強化されていることが反映され、総資産成長率は着実に増加している。

4.2 自動車部品生産業における負債についての分析

負債状況表

単位:百万元

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

負債総額

272,888.28

367,310.15

439,909.56

534,460.55

652,384.08

資産負債率(%) 55.11 54.84 58.39 56.77 55.38

表 4 出所:国家統計局

図 13 出所:表 4に基づき作成

2007年から 2010 年にかけて、中国自動車部品産業は、その資産規模が拡大するに従っ

て負債額も上昇し、2007年は 2006年に比べて負債総額の大幅上昇を見せたものの、この

272,888.28

367,310.15

439,909.56

534,460.55

652,384.08

55.11%

54.84%

58.39%

56.77% 55.38%

53.00%

54.00%

55.00%

56.00%

57.00%

58.00%

59.00%

0.00

100,000.00

200,000.00

300,000.00

400,000.00

500,000.00

600,000.00

700,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 中国自動車産業における負債状況

負債総額 資産負債率

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年の負債率は 54.84%に上り、前後の 2006 年、2008 年の各 55.11%、58.39%と比べて変動

幅は小さい。2006~2010年において、負債資産率が2008年に最高となる58.39%を記録し、

前後 2年に比べ、変動率は 2~4%の間を推移し、変動幅も大きくない。全体としてみると、

産業全体における長期的な返済能力は高く、基本的に安定した水準を保っている。

4.3 自動車部品生産業における収入についての分析

収入状況表

単位:百万元

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

製品売上高 470,086.76 663,529.27 837,913.60 1,051,760.72 1,496,094.40

年間成長率(%) -- 41.15 26.28 25.52 42.25

表 5 出所:国家統計局

図 14 出所:表 5に基づき作成

中国自動車部品産業の売上高は年々増加しており、2006 年から 2010 年にかけて全体的

に緩やかな上昇を保っている。経済危機のあった 2008 年、2009 年にも成長率は 25%以上

470,086.76

663,529.27 837,913.60

1,051,760.72

1,496,094.40

41.15% 26.28%

25.52%

42.25%

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0.45

0.00

200,000.00

400,000.00

600,000.00

800,000.00

1,000,000.00

1,200,000.00

1,400,000.00

1,600,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 中国自動車部品産業における収入状況

製品売上高 年間成長率

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を維持し、2010年には売上高 1 兆 4,960.94億元に達し、年間成長率はここ数年で最高の

42.25%に達している。自動車部品産業の売上高の増加は、主に国内自動車市場における消

費者の需要によってもたらされたものであり、現在も国内の自動車消費にはまだ成長の余

地が多く残されていることから、消費者の需要が維持される中で自動車部品産業の売上高

は更に伸びていくと思われる。

4.4 自動車部品生産企業の原価についての分析

原価状況表

単位:百万元

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

売上原価 402,244.25 564,317.35 714,245.45 890,400.84 1,250,300.58

年間成長率(%) -- 40.29 26.57 24.66 40.42

表 6 出所:国家統計局

図 15 出所:表 6に基づき作成

自動車部品生産業における原価とは、原材料費、人件費、土地費用等を指し、業界全体

402,244.25 564,317.35

714,245.45

890,400.84

1,250,300.58

40.29% 26.57%

24.66%

40.42%

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0.45

0.00

200,000.00

400,000.00

600,000.00

800,000.00

1,000,000.00

1,200,000.00

1,400,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 自動車部品生産企業の原価状況

売上原価 年間成長率

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の売上高が年々上昇している状況の下、原価も必然的に上昇の一途をたどっている。2010

年の自動車部品生産業における売上原価は約 1兆 2,505億元で、年間成長率はここ数年で

最高となる 40.42%を記録した。自動車部品生産業の原価は売上高と密接な関連性を有し、

相互に対応しながら増加、あるいは減尐を表している。

4.5 自動車部品生産業の支出についての分析

支出状況表

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

販売費 11,159.69 16,203.97 19,216.79 22,761.88 30,940.82

管理費 26,550.37 35,280.78 41,706.46 50,913.48 66,312.82

財務費 4,771.12 6,018.97 7,937.16 9,542.68 9,914.95

支出総額 42,481.18 57,503.72 68,860.41 83,218.04 107,168.59

年間成長率(%) -- 35.36 19.75 20.85 28.78

単位:百万元

表 7 出所:国家統計局

図 16 出所:表 7に基づき作成

自動車部品産業における支出には販売費、管理費、財務費が含まれる。2006年から 2010

年にかけて、この三つの費用総額は上昇傾向にあることが見て取れる。 2010年の支出総

42,481.18

57,503.72

68,860.41

83,218.04

107,168.59

35.63%

19.75% 20.85%

28.78%

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

0.4

0.00

20,000.00

40,000.00

60,000.00

80,000.00

100,000.00

120,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 自動車部品産業における支出状況

支出総額 年間成長率

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額は 1,071.69億円に達し、2009年から 28.78%の増加となった。国家統計局の資料を見る

に、支出において最も大きな割合を占めているのは管理費であり、2006~2010 年におい

て自動車部品産業の管理費支出は、常に総支出の 50%以上を占めていることから、管理費

が自動車部品産業の支出の重要ポイントであると言えるだろう。管理費の割合が高い理由

として、主に人件費や固定資産投資の維持費、消耗品費用、日常雑費、業務費が高騰して

いることが考えられる。

4.6 自動車部品生産業の利潤についての分析

利潤状況表

単位:百万元

項目 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

利潤総額 28,432.09 48,487.36 53,876.60 74,457.48 119,323.21

年間成長率(%) -- 70.54 11.11 38.20 60.26

販売利潤率(%) 6.05 7.31 6.43 7.08 7.98

表 8 出所:国家統計局

図 17 出所:表 8に基づき作成

28,432.09

48,487.36

53,876.60

74,457.48

119,323.21

70.54%

11.11% 38.20%

60.26%

6.05% 7.31% 6.43% 7.08% 7.98%

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.00

20,000.00

40,000.00

60,000.00

80,000.00

100,000.00

120,000.00

140,000.00

2006 2007 2008 2009 2010

百万人民元

2006~2010年 中国自動車部品産業における利潤状況

利潤総額 年間成長率 販売利潤率

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2009年以降、中国の自動車部品サプライヤーは世界で最も高い利潤を獲得するようにな

り、2010 年の自動車部品産業の利潤総額は 1,193.23 億元に達し、2006 年の 284.32 億元

から 319.68%の成長を記録している。中国自動車部品産業は現在最も利潤の高い産業と見

られており、自動車全体のセールスと比較しても、自動車部品産業のセールスとサービス

の利潤が比較的高くなっている。

注釈:第 4章における国家統計局のデータは当時の 1-11月のデータに基づく。データの報告は各年 1-11

月の累計データに基づく。

第 5 章 中国自動車部品業界における輸出入の現状

5.1 自動車部品の輸出入品目

自動車部品の種類は極めて多く、一般的には自動車を構成するシステム、装置、組立部

品、付属部品等を指す。主要なものとしては、伝動システム部品、電装部品、エンジン部

品、走行システム部品、ブレーキシステム部品、操縦システム部品、装飾等が挙げられる。

現在、中国の自動車部品のうち主に輸出入される部品は、車体外装部品、伝動システム部

品、電装部品、エンジン部品、走行システム部品、ブレーキシステム部品および操縦シス

テム部品の 7品目に分けることができる。

自動車部品輸出の構成から見ると(表 9)、車体外装部品、電装部品、エンジン部品と走

行システム部品が主要部分を占め、これらは 2011 年上半期の主要な部品輸出全体の

83.97%を占めている。輸出される自動車部品構成の主な特徴として (1)技術レベルがそ

れほど高くない労働集約型と資源集約型の製品であること (2)製品の種類構成に大きな

変化が無く、相対的に安定していること (3)車種の縛りをあまり受けない汎用的な部品

が比較的多いこと 等が挙げられる。

次に、自動車部品輸入の構成から見ると(表 9)、車体外装部品、伝動システム部品とエ

ンジン部品が主要部分を占め、2011 年上半期の主要な部品輸入の 76.42%を占めているこ

とがわかる。輸入される自動車部品構成の主な特徴として (1)完成車の輸入と密接な関

係にあり、自動車部品産業の急成長が自動車輸入の牽引に一役買っていること (2)【国

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務院発展研究センター情報ネットの公開資料によると】多くが乗用車用部品であること

等が挙げられる。

5.1.1 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸出入状況分析

中国自動車工業協会のデータによると、2011 年 1~6月期における中国自動車部品の累

計輸出総額は 204.06 億米ドルとなり、前年同期より 28.90%増加した。

2011 年 1~6月期における中国自動車部品の輸出入状況

単位:億米ドル

品目 1~6月期輸出

前年比増 1~6月期輸入

前年比増 貿易収支

2010 2011 2010 2011 2010 2011

車体外装部

品 21.25 24.93 17.29% 26.23 30.82 17.53% -4.98 -5.89

伝動システ

ム 部品 9.10 11.44 25.70% 40.87 46.92 14.80% -31.77 -35.48

電装部品 32.41 38.23 17.94% 8.19 9.69 18.30% 24.22 28.54

エンジン部

品 16.63 23.02 38.45% 17.3 22.23 28.49% -0.67 0.79

走行システ

ム 部品 62.24 85.16 36.83% 5.87 7.54 28.48% 56.37 77.62

ブレーキシ

ステム部品 13.52 16.93 25.21% 5.73 6.03 5.23% 7.79 10.90

操縦システ

ム 部品 3.16 4.35 37.91% 6.04 7.59 25.67% -2.88 -3.24

合計 158.31 204.06 28.90% 110.23 130.82 18.68% 48.08 73.24

表 9 出所:中国税関、中国自動車協会、上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

表 9から、貿易収支に着目してみると、2011年上半期の自動車部品貿易は 73.24億米ド

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ルの黒字を記録し、前年同期(48.08米ドル)より 52.33%増加していることがわかる。

5.1.2 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸出状況分析

下記の図 18 より、2011 年 1~6 月期の主要自動車部品の輸出額は、高い方から順に、

走行システム部品、電装部品、車体外装部品、エンジン部品、ブレーキシステム部品、伝

動システム部品、操縦システム部品と続いた。中でもエンジン部品の輸出増加率が最も高

く、前年同期比で 38.45%、6.39 億米ドル増加した。その他、輸出額の増加率が主要部品

の輸出平均水準である 28.90%より高いものに走行システム部品と操縦システム部品があ

り、それぞれ 36.83%、37.91%の増加となっている。主要部品の輸出平均水準(28.90%)を

下回ったのは車体外装部品、伝動システム部品、電装部品およびブレーキシステム部品で、

それぞれ 17.29%、25.70%、17.94%、25.21%の増加。

図 18 出所:表 9に基づき作成

5.1.3 2011年 1~6月期 自動車部品の品目別輸入状況分析

下記の図 19 より、2011 年 1~6 月期の主要自動車部品の輸入額は、高い方から順に伝

動システム部品、車体外装部品、エンジン部品、電装部品、操縦システム部品、走行シス

17.29%

25.70%

17.94%

38.45% 36.83%

25.21%

37.91%

0.00% 5.00% 10.00% 15.00% 20.00% 25.00% 30.00% 35.00% 40.00% 45.00%

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

2010年上半期

2011年上半期

前年同期比 (億米ドル)

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テム部品およびブレーキシステム部品と続いた。中でもエンジン部品と走行システム部品

の輸入増加率が最も高く、それぞれ昨年比 28.49%、28.48%の増加となっている。これ以

外に、伝動システム部品も主要部品輸入額増加率の平均水準(18.68%)より高く、25.67%

に達した。また、車体外装部品、伝動システム部品、電装部品およびブレーキシステム部

品の輸入額増加率は平均水準(18.68%)を下回り、それぞれ 17.53%増、14.80%増、18.30%

増および 5.23%増となっている。

図 19 出所:表9に基づき作成

5.2 自動車部品輸出入地域の分析

輸入に関しては、下記表 10にまとめたとおり、主要自動車部品最大の輸入先は、日本、

アメリカ、韓国、イギリス、ドイツ等であることがわかる。中国税関および自動車部品業

界の関連サイトの情報によると、2010 年中国の自動車部品は日本からの輸入額が全体の

40%前後を占めており、中国最大の自動車部品輸入先となっている。その他の重要な輸入

先はドイツと韓国で、輸入総額に占める割合はそれぞれ 25%、12%である。中国自動車部

品の輸入における日本の役割は非常に大きく、中でも伝動システム部品、ブレーキシステ

ム部品、エンジン部品、操縦システム部品が比較的高い割合を示している。2011 年 3 月

に発生した東日本大震災は中国との貿易に大きな影響を与えた。日本の自動車産業が短期

17.53%

14.80%

18.30%

28.49%

28.48%

5.23%

25.67%

0.00%

5.00%

10.00%

15.00%

20.00%

25.00%

30.00%

0 5

10 15 20 25 30 35 40 45 50

2010年上半期

2011年上半期

前年同期比 (億米ドル)

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での回復を困難とし、中国国内の合弁企業がその影響を受けただけでなく、日本のエンジ

ン技術を多用している中国企業にも尐なからず影響が及んだ。一方、輸出に関しては同じ

く表 10 から、主要自動車部品最大の輸出先としてアメリカ、日本、韓国、ドイツ等が挙

げられる。中国税関および自動車部品業界の関連サイトの情報によると、2010 年中国の

自動車部品はアメリカへの輸出が総輸出額の 25%前後を占めており、中国最大の自動車部

品輸出先となっている。これ以外に、日本も重要な中国自動車部品の輸出先の一つに数え

ることができ、輸出総額の 12%を占めている。

2010年 中国主要自動車部品輸出入国の状況

部品品目

金額

(米ドル)

前年比

増加率 主要輸出入先

エンジ

ン部品

輸入 35.51億 49.89% 日本、ドイツ、韓国、アメリカ、ハンガリー等

輸出 36.67億 49.45% アメリカ、日本、ドイツ、韓国、英国等

操縦シ

ステム

部品

輸入 12.43億 60.11% ドイツ、日本、フランス、韓国、リヒテンシュタ

イン等

輸出 6.99億 46.27% 日本、アメリカ、韓国、メキシコ、インド等

ブレー

キシス

テム部

輸入 11.90億 43.67% 日本、ドイツ、韓国、アメリカ、フランス等

輸出 29.97億 38.62% アメリカ、日本、カナダ、ドイツ、英国等

伝動シ

ステム

部品

輸入 83.35億 50.00% 日本、ドイツ、韓国、フランス、アメリカ等。

輸出 19.66億 59.48% アメリカ、日本、ドイツ、韓国、インド等

走行シ

ステム

部品

輸入 12.71億 51.79% 日本、ドイツ、アメリカ、韓国、イタリア等

輸出 139.96億 39.77% アメリカ、アラブ首長国連邦、日本、英国、オー

ストラリア等

電 装

部品

輸入 16.29億 44.56% ドイツ、日本、韓国、ベルギー、チェコ等

輸出 73.51億 48.34% 日本、アメリカ、韓国、オランダ、ドイツ等

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表 10 出所:中国税関、中国自動車協会、上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

中国の自動車部品は、車軸、シャーシ、ステアリング、ブレーキ、電装、装飾、安全装

備、排気システムの製造に関しては既にかなりの高水準に達しており、国外自動車メーカ

ーの要求にも応えられるレベルである。また、やはり価格面で優位(特に製造コストに関

しては国外同製品の 1/3程度と言われる)に立っており、中国自動車部品は国際市場にお

いて強い競争力を有し、世界的な自動車部品輸出大国となっている。現在、中国の自動車

部品は世界の主要自動車生産国へ数多く輸出されており、中でもアメリカ、日本、韓国、

ドイツ、カナダ、イタリア等の国が主要輸出先として挙げられる。左記の 6カ国への輸出

額の総和は、中国自動車部品輸出総額の 50%に達する。

5.3 自動車部品輸出入の総量分析

2001~2010 年 自動車部品輸出入総額の推移

単位:万米ドル

輸入総額 前年比増加率 輸出金額 前年比増加率

2001 261,767 1.82% 163,215 11.89%

2002 295,874 13.03% 221,006 35.41%

2003 879,585 197.28% 625,559 183.05%

2004 1,040,684 18.32% 915,447 46.34%

2005 919,130 -11.68% 1,151,936 25.83%

2006 1,247,048 35.68% 2,154,721 87.05%

2007 1,421,524 13.99% 2,869,119 33.16%

2008 1,526,812 7.41% 3163,103 10.25%

2009 1,695,998 11.08% 2,927,598 -7.45%

2010 2,474,184 45.88% 4,170,867 42.47%

表 11 出所:中国自動車工業年鑑

車体外

装部品

輸入 53.82億 43.80% ドイツ、日本、韓国、アメリカ、チェコ等

輸出 46.64億 44.26% アメリカ、日本、韓国、英国、ドイツ等

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図 20 出所:表 11に基づき作成

輸入自動車部品の総量分析:

上記の表 11より、中国自動車部品の輸入額は 2005年に一度マイナス成長したことを除

き、全て前年比で増加しており、増加幅は最大 197.28%(2002~2003 年度)に達し、2010

年の自動車部品輸入額は 247.4億米ドル、前年比 45.88%の増加となった。「中経専網」に

よると、2010 年の自動車部品の国内需要のうち 9.0%は輸入によりカバーしており、2006

年の 13%および 2007 年の 11%よりも若干減っている。国内自動車部品の需要減尐をもたら

した主な原因として、中国自動車メーカーが国産の自動車部品を使用し始めたこと、国内

自動車部品の技術水準が上がったこと等が考えられる。更に自動車業界の競争が近年益々

激化する中、価格および利潤におけるアドバンテージを保持するためにも、国産化率を上

げることは必然的な趨勢であると言えるだろう。

輸出自動車部品の総量分析:

同じく、先の表 11 より、2010 年の中国自動車部品輸出額は 417.1 億米ドル、前年比

42.47%の増加となった。輸出額は一貫して速いスピードで伸びており、最大の増加幅は

183.05%(2002~2003)となっている。ただ、輸出額の成長は順調に進んではいるものの、

輸出成長を有利に導く強力な要因も現れていないのが現状だ。2008 年の金融危機は世界

経済の環境を悪化させ、国外市場の需要に尐なからずマイナスの影響をおよぼした。この

2001~2010 年 自動車部品輸出入額及び増加率

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

3,500,000

4,000,000

4,500,000

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

(万米ドル)

-50.00%

0.00%

50.00%

100.00%

150.00%

200.00%

250.00%

輸入額 輸出額 輸入額前年比 輸出額前年比

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ため、2008 年の業界輸出額の増加率は明らかに下落したが、このような不利な要素があ

りながらも、2008 年の輸出額の増加率は 10.25%に達し、相対的に他の業界より高い増加

率を保った。2009 年には金融危機の影響が世界に蔓延し始め、中国もこれを回避するこ

とはできず、大きな影響を受けた。数字的には初のマイナス成長を記録している。しかし、

2010 年、金融危機の暗い影が去ると同時に輸出額は大幅に上昇し、2008 年の最高水準を

超えるに至っている。

第 6 章 自動車部品業界の市場販売ルート分析

6.1 市場販売ルートモデル

現在中国の自動車部品販売ルートは、主に自動車部品取引マーケット、専門店販売、自

動車修理チェーン店、ネット販売、業界展示会等に分類することができる。中国自動車市

場の絶え間ない拡大に伴い、自動車部品の販売ルート構造も静かに変化しつつあり、多く

の自動車部品メーカーは、従来型の販売ルート開拓に加え、新しい販売ルートを模索して

おり、その部品販売ルートはより多元化してきている。

自動車部品取引マーケット販売:

現在、中国自動車部品業界は、自動車部品取引マーケット(卸売市場)での販売をメイン

としており、中国語で部品(パーツ)城と呼ばれる専門商業施設は大小合わせて 300余り存

在する。その中でも特に大規模なものに、上海東方汽配城、武漢万国汽配城、天津汽車車

配件城等がある。

専売店販売:

販売業者の乱立による価格の混乱を避け、かつメーカーのブランドイメージを維持する

ため、一部の部品メーカーはメーカーブランドの専売店設立や代理店販売を始めている。

専売店による販売により、製品の価格は統一され、過当競争による値崩れなどを避けるこ

とが可能になると共に、製品品質やブランドイメージの保証にも一役買っている。

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自動車修理チェーン店販売:

自動車修理、部品販売およびメンテナンスを一体とした総合修理工場は、自動車メーカ

ー主導による※4S店モデルの強力な競合相手である。※4S店モデル…sale:自動車販売 、

sparepart:自動車部品、 service:アフターサービス、 survey:情報フィードバックの

四位一体を主とした自動車経営モデル

ネット販売:

ネットによる販売は、まだ黎明期の初歩的な段階にある。自動車業界関係者の分析によ

ると、ネット販売への関心が最も高いのは乗用車メーカーである。80%以上の乗用車メー

カーがネット販売を重視しており、その多くはネットによる販売戦略を既に採択している。

一方、ネット販売への関心が最も低いのは自動車部品メーカーであり、「ネットビジネス

がビジネスチャンスとブランドイメージの上昇につながる」との意識を示した部品メーカ

ーは 10%足らずであった。

業界展示会販売:

自動車部品業界が内陸へ自動車部品の最新情報を伝えるための、そして製品を展示販売

するためのプラットフォームである。2010年下半期から 2011年に開催された比較的影響

力の大きい自動車部品展示会は下表のとおり。

開催期間 展示会名称 展示場

2012 年 8 月 30~9 月 1

中国(重慶)国際自動車部品展示会

China(Chongqing) International Auto

Parts Expo

重慶国際会議展覧中心

2012年 9月 12~14日 中国(上海)国際跨国采購大会

ISF CHINA

上海世貿商城(上海マ

ート)

2012年 10月 17~19 日 中国(北京)国際自動車製造業博覧会

CIAME

北京中国国際展覧中心

2012年 10月 26~28 日 中国国際自動車部品博覧会

CIAPE

北京中国国際展覧中心

2012年 10月 27~29 日 全国自動車部品交易会

CAPF

南京国際会展中心

2012年 11月 14~16 日 寧波国際自動車部品(用品)輸出入交易会

Zhejiang International Auto Parts and

寧波国際汽車城

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Accessories Trading Fair

2010年 11月 22~12月 2

中国(広州)国際自動車展覧会

CAPE

広州国際会議展覧中心

2012年 12月 11~14 日

フランクフルト上海自動車部品展(オー

トメカニカ)

Automechanika Shanghai

上海新国際博覧中心

表 12 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

6.2 市場販売ルート構造

6.2.1 主力型ルート

主力販売ルートとは、数ある販売ルートの中でも販売の 30%以上を占め、他の販売ルー

トを補助する役割を有するものを指す。中国自動車部品の主力販売ルートは、自動車部品

取引マーケットである。現在中国における大多数の自動車部品メーカーは国内重点都市や

中心都市が設立した卸売商、あるいは各地の有力な自動車部品卸売商と提携し、これら卸

売商の代理販売を通じて自社製品を販売している。これらの部品卸売商は一般に自動車部

品取引マーケットに所在地を置く。

図 21 出所:上海彦陽投資諮詢有限公司データベース

自動車部品 販売ルート

独立専門店 自動車修理

チェーン店

自動車部品取引マーケット

その他

専売チェーン店

に相当する。中国

各地に広く分布

し、製品の品質は

良いが価格は比較

的高価であるのが

特徴。

自動車修理と

部品販売(自動車

メンテナンス等

を含む)を一体化

した形態。大き

な潜在力を有す

る。

急速に発展傾向にある。近

年、多くのマーケットが、従来

の企業誘致方式から、市場のニ

ーズに従って有名企業を選定

して誘致する方式にシフトを

図っている。メーカー直営店や

専売店等の形態が主流となり、

“雑貨店”式の企業は淘汰され

つつある。

主にネット販売と

展示会販売がある。

ネット販売は基本的

に他の販売ルートの

補完的な位置にあ

る。また、展示会で

は最新製品の展示に

より潜在顧客の発掘

を行う。

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6.2.2 緊密型ルート

緊密型販売ルートモデルでは、部品メーカーが顧客の資源管理、査定、信用管理を実施

し、また、販売価格の決定、価格維持と代理店リベートの策定、販売促進戦略の推進等を

行う。具体的な市場状況に基づき、適切な製品分配モデルが採用される。部品メーカーか

ら販売会社への製品分配の方法は、主に以下の三つのモデルに分けられる。

区域配送センター分配モデル:

自動車部品メーカーは需要予測や区域センターからの申請等に基づき、計画的に販売商

品を分配し、あらかじめ製品を区域配達センターに入庫する。区域センターは製品の保管

に責任を負う。一般に、この時点では製品の所有権は移転しない。販売ルートを構成する

企業からの販売ニーズがあれば、統一的に区域センターあるいは部品メーカーが計画を定

め、製品を分配する。構成企業の販売決済完了後、販売ルート内部の取引決済を行う。ま

た、部品メーカーは販売業績の統計分析を行い、これに基づき販売計画を作成する。

自動車部品販売会社分配モデル:

自動車部品販売会社は商品の販売業務を行う上で、市場に迅速に対応するため、部品メ

ーカーに対し事前に製品の分配を申請し、自社倉庫へ製品をストックしておく。顧客から

ニーズがあれば自社倉庫から出荷する。顧客との販売決済が終了した後、部品メーカー等

と内部決済を行う。

販売会社の発注に対する工場直接出荷モデル:

このモデルは上記二つの緊密型販売モデルの補完的な役割を占める。販売会社に販売ニ

ーズがあれば部品メーカーが統一して分配を行う。製品販売者と出荷場所、出荷計画を確

定し、販売者は販売と出荷を行う。販売会社が顧客との決済を終了した後、内部取引の決

済を行う。また、部品メーカーは販売業績の統計分析を行い、これに基づき販売計画を作

成する。

緊密型販売ルートモデルの利点は、集団統制、内部協力、資源共有、統一分配による効

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率化、また集団化による規模の効果および利益である。

6.2.3 パートナー型ルート

パートナー型または販売ルート共有型モデルでは、販売ルートを構成する企業は相互の

信用と長期目標の共有により、長期的かつ密接な協力関係を築く。この関係は、本質的に

言えば、販売ルートの構成企業間の協力関係であり、一体化するほどの強い提携には至ら

ない。多額のコストを必要とせずに提携関係の利点を得ることができる。

パートナー型販売ルートを構成する企業には、共通の長期目標、相互信頼、相互協力、

情報および利益の共有が必要である。一般に、製品が競合する部品メーカー間ではこのル

ートの構成は難しい。部品メーカーは他社の販売ルートを自社の販売ルートを補完するも

のか一時的なものとしか見ていないことが多い。しかし他社の販売ルートを利用できれば

販売ルート開拓の費用を節約でき、同時に製品販売ルートを拡大できるはずである。パー

トナー型販売ルートの拡充には、自動車企業と部品企業の発展の歩調を合わせる必要があ

る。このため、この種の販売ルートは中国においては未だ主流ではなく、企業間の提携は

依存型が多数を占め、協力提携モデルは尐ない。

2006年 6月、米其林(Michelin)と殻牌(Shell)、江森自控などの自動車部品メーカーが

販売ルートの提携合意に達し、また、 2007 年 1 月、固特異(Good year)と殻牌(Shell)、

徳爾福(Delphi)、杜邦および輝門が部品販売提携の枠組みに合意するなど、自動車部品メ

ーカーの販売ルート共有の試みが行われている。

6.2.4 自然形成型ルート

自然形成型販売ルートとは、製品販売を通じて自然に形成された販売ルートである。各

販売ルートには密接な関係性は存在せず、どの販売ルートを欠いても大きな影響はない。

主に小型特約店等が該当する。中国自動車部品市場では、現在この販売ルートを採用して

いる企業は尐ない。

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第 7 章 自動車部品産業が抱える問題について

中国の WTO加盟後、自動車部品産業は、完全にオープンな環境に置かれ、元来からの企

業の多さに加えて、その規模の小ささ、供給製品の品質の低さ、組織構造、製品構造等の

問題を改善する必要があることに加え、国際的な競争圧力にさらされ、国際資本の管理の

強化、市場開拓の難しさ、そして自動車関連企業のコア技術方面の海外依存度等の問題が

浮かび上がってきた。

この数十年来の中国自動車部品産業の業績は誰もが認めるところではあるが、先進国と

比べると中国自動車部品のグローバルなサプライチェーンとしての地位は非常に脆く、近

年益々深刻化していることが窺える。本章では中国の自動車部品業界が直面している問題

について分析する。

7.1 深刻な需給バランスの崩壊と確立されていないパートナーシップ

WTO加盟以来、中国政府は自動車部品産業の持続的な発展を推進し続けているが、ばら

撒き財政の問題を上手く解決できているとは言い難い。反映されている主なポイントとし

ては、一つは市場ニーズを遥かに上回る供給(超供給過多)と低い生産効率、もう一つは非

合理的な産業構造等が挙げられる。

第 1章でも取り上げたとおり、Automotive News による世界のランキングトップ 100世

界一の自動車市場を誇る中国の自動車部品サプライヤーが 1 社もランクインしていない

ことが、中国の自動車部品業界への信頼性の低さを物語っている。

供給過多とばら撒き財政問題の解決が遅れれば遅れるほど、市場競争問題の解決もより

困難になることが予測される。また、悪意の競争が生じれば、システム開発やモジュラー

構成による自動車部品企業グループの設立が妨げられ、自動車メーカーとサプライヤーの

間における、組立工場と部品工場の戦略的パートナーシップの確立もスムーズに進まなく

恐れが出てくる。

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7.2 周縁化する現地自動車部品企業

中国自動車部品産業は、合弁会社を介して多くの先端技術を取り入れた。例えば、EFI

システム(上海連合電子、北京万源德尔福) 、自動変速機(東風本田) 、高圧オイルポンプ

(无锡威孙)、ABS(上海汽車制動系統公司)、排気ガス浄化システム(大連華特吉莱特排気系

統公司)等々。しかし、欧米、日韓のグローバル自動車メーカーは続々と中国市場への参

入を続けており、その進んだ管理システム、技術、高い品質、継続する相補関係に加え、

国内の安価な労働力等、どの角度からみても明らかに優位に立っていると言える。合弁メ

ーカーの内部において、中国企業の仕入れ方面での発言権はさほど大きくなく、とりわけ

パーツの調達においては頻繁に外資合弁相手に掌握されており、これが中国資本による自

動車部品メーカーの市場参入のネックになっている。海外メーカーも新テクノロジーの漏

洩を防ぐため厳格な管理体制を敷いており、合弁企業と一口で言っても、その実、外資系

によって生産管理された商品を市場に送り出しているに過ぎず、中国の自動車部品メーカ

ーが投資、技術、市場等の方面において著しく立ち遅れていることは否めない。

中国商務部のデータによれば、現在市場に流通している自動車部品のシェアのほとんど

が外資系に独占されており、国産の部品売上高は産業全体の 20%から 25%に止まっており、

外資が参与している部品メーカーが産業全体の 75%以上を独占している状態だ。これらの

外資系メーカーの内訳は、ドイツ資本企業が 55%、中国と海外メーカーの合弁企業が 45%

である。国産部品は主に自社ブランド自動車に使われており、市場シェアは低い。特に電

子制御装置やエンジン部品といった高度の科学技術を擁する分野において外資系の市場

シェアは 90%にも上る。EFI システム、エンジンマネジメントシステム、ABS およびエア

バック、自動変速機などメインパーツの生産量における外資企業のシェアはそれぞれ

100%、100%、91%、69%である。

7.3 乏しい自主開発能力とブランドの欠如

自動車産業の発展に伴い、自動車部品産業もまた国内の自動車生産システムを徐々に整

備してはいるものの、自動車部品メーカーは規模の小ささ、低いリスクマネジメント能力、

実用価値の低い技術、持続的な発展能力の欠如などが常々指摘されており、特に乗用車の

コア部品における技術方面での务勢が著しい。自主開発能力が务る企業のほとんどは研究

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開発に投入する予算が売上高の約 2%程度であり、グローバル企業の平均 5%に遥かに及ば

ない。研究開発費の不足は直接に研究開発設備の不足につながり、また有能な人材の不足

も深刻な問題となっており、この研究開発能力の低さがタイムリーに競争能力のある新製

品を生み出せない要因となっている。

図 22 出所:中国自動車部品産業調査研究

海外部品メーカーの発展および世界での認知度を比べると、中国自動車部品メーカーの

ブランド力は遥かに务り、市場において自社ブランドの認知度が乏しいとブランド製品の

欠如にもつながる。自主開発力の不足と自社製品の競争力の不足は、自動車部品産業の発

展を著しく妨げ、中国の自社ブランドを掲げる自動車部品はまだグローバルなサプライチ

2009 年企業別売上高に占める研究開発費の割合

6%

8%

4%

2%

0

5.1%

HE

LL

A

デンソー

BO

SC

H

DE

LP

HI

Valeo

Beh

r

大陸集団

ZF

MA

HL

E

AU

TO

LIV

NG

K

Visteo

n

高田

小幺制作所

豊田合成

上位1

000

社の平均

福耀ガラス

柴潍動力

Calso

nic K

ansei

万向钱潮

宁波華翔

華域汽車

中鼎股份

一汽富维

青島双星

国内平均

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ェーンへと展開する準備が完全に整っていない状況にある。

7.4 未完備のアフターサービス

現在、多くの中国自動車部品メーカーは、サービスネットワークを十分に整備できてお

らず、(企業の知的財産権と特許保護に対する意識の低さ、偽造品・务悪品・不法偽造の

横行等)未だ秩序のある整った自動車部品のアフターマーケット市場は形成されていない。

「中国汽車要聞」の報道によれば、政府機関は偽造自動車部品の違法な生産に対して繰り

返し指導を行っているものの完全な排除は困難で、アフターマーケットに流通する 20%前

後の部品が偽造品だとのこと。

また、中国自動車部品メーカーの資源配置と戦略的ビジネス展開等にも問題があると指

摘される。資源配置については、国際的に知名度のある自動車部品企業(グループ)のほと

んどが世界規模の資源配置戦略を取り入れ、一流の品質を提供できる世界規模の資源サプ

ライヤーに目を付け、低いコストと最先端技術という二重のアドバンテージを併せ持った

企業となっている。ところが中国の自動車部品企業は往々にして決まった資源サプライヤ

ーもしくは一定の地域にしか対応できないシステムしか持たず、またリソースの最適化も

達成しておらず、企業戦略の展開においては、品質向上どころではなく、あまねく存在す

る悪質な価格競争を続けている状態にあり、企業の長期的発展には望ましくない状況下に

置かれている。

7.5 コスト管理の重圧

現在の自動車部品コストコントロールの困難化の理由は大きく分けて三つある。

まずは人件費。中国自動車産業の高度発展に伴って自動車部品産業も急速な発展を見せ

たが、その副作用として業界の人件費も上昇し続け、特に一部の技術者に関しては、ライ

バル企業からの引き抜きを防ぐためにも増給によって人材を繋ぎ止めている。

次に、物流コスト。自動車部品メーカーは製品を各地の倉庫に運送する必要があるため、

国際的な原油価格の上昇に伴い、とりわけ広大な国土を有する中国ではこの運送コストの

上昇は避けられない。

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最後に各産業の発展状況に応じて左右されるコスト。例えば自動車製造において重要な

鋼鉄産業は現在世界シェアの約 70%を海外の三つの巨大企業(リオ・ティント、BHP

BILLITON、CVRD)が独占しており、これらのビックカンパニーが値上げを続けるために鉄

鉱石獲得のコストは大幅に値上がりしている。また世界的に有名な自動車部品サプライヤ

ーであるデルファイ、ビステオン、デンソーの現地化戦略および国内の鉄鋼業界が直接自

動車部品のサプライチェーンに介入していることから、自動車部品メーカーはより激しい

競争に直面している

7.6 自動車部品輸出構造における調整の必要性

中国の自動車備品輸出は安定した成長を見せてはいるものの、輸出構造における非合理

的さは依然として存在している。現在、中国の高技術テクノロジー製品の輸出においては

成長の一面を見せながらも、「三低一高」(即ち、低い付加価値、低技術、低価格、高エネ

ルギー消費)が中国自動車部品輸出製品の旧態依然的な特徴であり、輸出状態も未だ材料

密集型および労働密集型のぞんざいな状況にあり、これらの点が中国の自動車部品輸出の

低い利益、低い競争能力の原因となっており、不毛な競争が続けられている。

2009年各国 HS8708系部品の輸出価格比較

単位:$/t

商品分類 世界 中国 アメリカ ドイツ 日本 韓国 ロシア ブラジル インド

バンパー 10,136 4,796 10,876 23,098 14,475 7,342 2,746 10,462 4,661

シートベル

ト 13,635 7,210 9,994 15,287 18,494 6,864 6,800 15,396 15,339

ボディアク

セサリー 7,463 7,232 8,917 8,516 8,768 5,129 3,487 5,569 5,346

変速機 16,226 21,145 21,145 19,232 16,488 12,195 7,973 14,952 9,670

駆動軸 6,802 3,256 8,839 7,691 7,437 5,306 3,195 7,863 4,462

タイヤ 4,212 3,118 5,351 5,273 4,342 4,387 2,164 2,727 2,947

ショックア

ブソーバー 7,010 3,260 9,762 8,533 7,341 4,289 2,306 6,796 4,674

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ラジエータ

ー 13,435 16,360 16,360 18,750 15,886 9,318 8,720 16,003 8,329

マフラー 10,282 6,127 11,308 16,616 14,412 6,442 2,715 12,885 3,704

クラッチ 9,057 4,885 11,146 9,525 11,973 5,204 3,873 9,207 3,903

ステアリン

グ 14,479 6,509 16,862 16,002 16,987 9,052 5,769 12,916 7,056

その他 8,753 4,337 10,094 11,917 10,249 7,617 3,448 7,301 4,443

表 12 出所:中国自動車工業協会部品部

上記の表 12に見て取れるように、中国の各主要部品の平均的な輸出価格は 8 カ国の最

低レベル群に位置し、トランスミッションとラジエーターの輸出価格以外は全て世界平均

を下回っている。

他にも中国の自動車製品の輸出が拡大するに従って、様々な自動車部品の貿易摩擦が日

増しに複雑化の様相を呈しており、特に自動車部品分野において深刻になっている。多く

の先進国が自国の自動車部品産業を保護するために大々的にアンチダンピング、規格外の

補助金の抑制を実行しており、また同時に国家による検査を実施して知的財産権保護の登

録を増やし、環境保護、社会的責任の引き受けに注力しながら中国からの自動車部品の大

量流入を抑制する非関税保護措置を整えている。例えば、2010年末に米国と欧州連合(EU)

が中国からのアルミ車輪軸にそれぞれ 22.3%、59.31%のアンチダンピング税を設定したこ

と等が好例として挙げられる。

結論から言えば、現状、国内外資本企業の研究開発力、生産規模、ブランド影響力等に

対して中国製品がグローバルメーカーのハイエンド製品(特にカーエレクトロニクス製

品)に打ち勝つ術はなく、この分野においては著しい务勢を強いられていることから、長

期的に見れば、中国自動車産業の持続可能な発展のネックになることは間違いないだろう。

以上