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6

O

第 

U

 青酸は毒の最も劃しさ.」ものにして舌に鯛

れば即時に艶る其間に時なし「モルヒネ」砒石は少しく寛に

して死に至るまで少しく時間あり大黄の下剃の如きは二三時間以上を経過するに非ざ

れば腸に威癒す

ることなし藥捌の性質相異なるを知る可し叉草木に施す肥料の如き之に賊する春意緩の励あり野菜の

類は肥料を受けて三日轍ち青々の色に愛すと錐ども樹木

は寒中これに施して其奴験は翌年の春夏に見

る可きのみ今人心は草木の如く教育は肥料の如し此人心に教育を施して其奴験三日に見る可き鰍、日

否なり三冬の育教来年の春夏に功を奏する欺日否なり少年を率みて學に就かしめ習字素讃よb漸く高

きに登b梢や事物の理を解して

16事の方向を走るに至るまでは速くして五年尋常にして七年を要す可

し之を草木の肥料に馨

れば戚雁

の最も遅

々たるものと云ふ可し

 叉草木は肥料に由て大に長茂すと錐ども唯其長茂を助るのみにして其生

々の根本を資る所は空気と

     

何                          四八三

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亀 -,i

      輻澤

全集

五巻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四八四

太陽の光熱と土壌津液とに在り空気乾熱の度を失ひ太陽の光熱物に遮られ、地性癖せて津液足らざる

へは假令ひ肥料を施すも功を奏すること少なきのみならす全く無功なるものあり教育も亦漸の如し

人の智徳は教育

に出て大に嚢達すと錐ども唯美獲達を耽るのみにして其智徳の根本を資る所は組先遣

の能力と其生育の家風と其杜會の公議輿論とに在り蝦夷人の子を養

ふて何程に教育するも真子

一代

にては漣も第

一流の大學着たる可らす源家八幡太郎の子孫に武人の彩しきも能力遺傳の賞讃として見

る可し叉武家の子を商人の家

に貰

ふて養

へば自から町人根性と爲b、商家の子を文人の家に養

へば自

から文に志す、幼少の時よb手に付けたる者なれば血統に非ざ

るも自然

に養父母の氣象を承るは普く

入の知る所にしで家風の人心を攣化すること有力なるものと云ふ可し叉職國の世には都て武人多くし

て出家の僧侶に至るまでも干犬を事としたるは叡山三井寺等

の古史に徴して知る可し杜會の公議輿論

師ち

一世の氣風はよく佛門慈善の智識をして殺人戦圖の悪業を爲さしめたるものなり右は何れも人生

の智徳を獲達せしめ退歩せしめ叉攣化せしむるの原因にして其力は却て學稜の教育に勝るものなり學

育固よb輕

々看過す可らすと錐ども古今の教育家

が漫に多を豫期して或は人の子を學稜に入

れて之を

育すれば自由自在に期す

る所の人物を陶冶し出す可しと思ふが如きは妄想の甚しきものにして其妄漫

                                              竃

なるは空氣太陽土壌の如何を問はす唯肥料の

一品に依頼して草木の長茂を期するに等しきのみ

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 狸諺

に云ぐ門前の小俗習はぬ経を読むと蓋し寺院の傍に遊戯する小童輩は自然

に佛法に慣れて其臭

氣を著るとの義ならん即ち佛の無風に制せらる\ものなり佛の風に當

れば佛に化し儒の風に當れば儒

に化す周園の空気に戚じて

一般

の公議輿論に化せらる\の勢は之を留めんとして駐む可らす如何なる

濁主濁行の十人と難ども此間に濁するを得ざるは傳染病

の地方に居て濁り之を免かる\の術なきが如

し、濁立の品行誠

に嘉みす可しと錐ども自から其限あるものにして限界を越え

て濁立せんとするも入

間生

々の中

に在て決して行はる可きことに非す例

へば言語

の如し

一地方に在て濁立濁行百事他人に殊

なりと稔す

る人にても翌ハ三r語には方言を用ひ壁を隔て

\之を聞くも某地方の人たるを知る可し今この

方言は誰

れに學びたりやと昇るに之を教

へたる者なし、徴

る音なくして之を知る即ち地方の空気に學

びたるものと云はざるを得す或は空気

の力に迫られたるものと云ふも可なり盤

に方言のみならす衣服

飲食の品類よb家屋庭園装飾玩弄

の物

に至るまでも

一時

一世の流行に外なるを得す流行のものを衣服

し、流行のものを飲食し、流行の家屋に居り、流行

の物を弄

ぶ、比熱より見れば人は恰も耐會の奴隷

にして典座制を蒙b毫も自由を得ざるものにして如何なる有力の士人にても古今世界に此歴制を免か

れたる者あるを聞かざるなり有形の物音撚り、然ぱ即ち無形の智徳にして濁b祉會の厘制を免かる\

の理ある可ら歩数

へすして知るの智あb學ばすして得るの憾あり共に流行の勢に從て其範囲を脱せす

     

育 如 何                           四八五

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幅澤

全集

五巻                       四八六

肚會は恰も智徳の大教場と云ふも可なり此教場の中に在て麗々の學稜を見

れば如何なる學制あるも如

何なる教則あるも其教育は唯僅に人

25の

一部分を左右するに足る可しとのことは必ずしも知識を侯て

然る後に知る可き事柄に非ざるなり

\診

第 二

 方今世に教育論者

あり真言に云く近來我国の子弟は其品行漸く軽薄

に赴き父兄の言を用ひす長老の

警を顧みす甚しきは弱冠の身を以て國家の政治を談じ動もすれば上を犯すの気風あるが如し畢覚學稜

の教育不完全にして徳育を忘れたるの罪なbとて專ら道徳の言を奨励する其方便として周公孔子の道

を説き漢土聖人の教を以て徳育の根本に立て、一切の入事を制御せんとする者

の如し我輩は論者の言

を聞き真夏る所は甚だ尤なbと思

へども此憂を救ふの方便に至ては毫も威服すること能はざる者なり

抑も論者の憂る所を概言すれば今の子弟は上を敬せすして不遜なり漫に政治を談じて軽躁なbと云ふ

に過ぎす論者の言甚だ是なb我輩とても固より同憂なbと錐ども少年輩が斯くまでにも不遜、軽躁に

攣じたるは軍に學稜教育の欽典のみに由て然るもの鰍、若しも果して然るものとするときは此欽典は

何に由て生じたるもの鰍、其原因を推究すること緊要なり教育の鉄典と云

へば教師

の不徳と教書の不

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経なることならん然るに我日本に於て開聞以降稀なる不徳の教師を輩出して稀なる不経の書を流行せ

しめたるは何ものなるそや或は前年文部省より定めたる學制に由て然るものなりと云はん歎、然

ぱ則

ち文部省をして斯る學制を定めしめたるは何ものなるそや之を推究せざる可らす我輩の所見に於ては

之を文部省

の學制に求

めす又教師の不徳、教書の不経をも餐めす是等は皆事の近因として更

に此近因

を生じたる根本の大原因に湖るに非ざ

れば事の得失を断ずるに足らざるを信ずるものなb蓋し其原因

とは何ぞや我開園に次で政府の革命即ち是なb

 開國以来我日本人は西洋諸因の學を勉め叉これを聞傳

へて漸く自主濁立の何ものたるを知りたれど

も未だ之を實際に施すを得す文典實施を目撃したることもなかりしに十五年前維新の革命あり此革命

は諸藩士族の手に成bしものにして其士族は数百年来周公孔子の徳教に育せられ満腔唯忠孝の二字あ

るのみにして

一身

以て其藩主に奉じ君の爲に死するの外、心事なかりしものが一旦開進の気運

に乗じ

て事を塞げ途

に奮政府を倒して新政府を立てたる真際に最初は香美藩主の名を以てしたりと錐ども事

成るの後

に至b藩主は革命の名利に興るを得すして功名利緑は藩士族の流

に帰し次で屡藩の大寒

に逢

へば藩主は得る所なきのみならす却て奮物を失ふて全く落路の入たるが如し従前は其藩に在て同藩士

の末座に列し所謂君公には容易に目通bも叶はざりし小家來が

一朝の機に乗じて新政府に出身すれば

     

育 如 何                           四八七

                       一9

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全集 第

五巻                          四八八

傲然たる正何位從何位にして蕾君公と同じく朝に立つのみならす君公却て從

にして家来正なるあb伺

甚だしきは公に奮君の名を以て奮家來の指令を仰ぎ私に其宅に伺候して依托することもあらん叉四民

同権の世態に攣じたる以上は農商も昔日の素肝入土百姓に非すして蕃地の士族を恐れざるのみならす

時としては奮領主を相手取りて出訴

に及び事と品に由りては蕾殿様

の家を身代限にするの奇談も珍ら

しからす、昔年馬に乗れば切捨てられたる百姓肝入の少年輩

が今日借馬に来て飛廻はb誤て奮蕃地の

士族を踏殺すも法律に於ては唯罰金の沙汰あらんのみ叉封建世禄の世

に於て家の次男三男に生れたる

者は別に立身の道を得す或は他

の不幸にして男児なき家あれば養子の所望を待て其家を相続し始て

の主入たる可し次三男出身

の血路は唯養子の

一方のみなれども男児なき家の数は少なくして次三男

出生の歎は多く、需要供給其平均を得すして常に父兄の家

に養はれ途

には二世にして姪の保護を蒙り

                      

ボねかちり

て死する老少なからす之を家の厄介と稔す俗に所謂糠噛

なる者なり既に

一家の厄介たり護れか之を算

                        な

敬す

る者あらんや如何なる才力あるも朦噛は則ち縢…噛にして殆ど入に歯せられす笹緑の武家にして斯

の如くなれば真風は自から他種族にも波及し士農工商共に家を重んじて権力は專ら長男に離し長少の

                       うでまへ

序も繁れざるが如ぐに見えし者

が近年に発ては所謂腕前の世と爲b才力さ

へあれば立身出世勝手次第

にして長兄愚にして貧なれば阿弟の智にして富貴なる者に軽侮せられざるを得す唯に兄のみならす前

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年の養子が朝野に立身して花柳の美なる者を得れば忽ち養家糟糠の細君を厭ひ養父母に談じて自身を

離縁せよ放逐せよと請求するは真名は養家より放逐せられたるも實は養子にして養父母を放逐したる

ものと云ふ可し、父子有税君臣有義夫婦有別長幼有序とは聖人の教にして周公孔子の以て貴き由縁な

れども我輩は右の事實を記して此聖教の行はれたる所を登見すること能はざるものなり

第 三

「ー

 撚りと錐ども以上枚果する所は十五年來の實際に行はれ、今日の法律に於て之を許し、今日の習慣

に於ても大に之を答ること能はざるものなb徳教の老眼を以て此有様を見

れば誠に驚くに堪

へたり元

緑年間の士人を再生せしめて之に維新以來の實況を語り叉今の世事の成行を目撃せしめたらば必す大

に驚骸して人倫の道も断絶したる暗黒世界なbとて痛心することならんと錐ども如何せん此世態の攣

は十五年以來我日本人が教育を怠bたるの故に非す唯開進の風に吹かれて輿論の面目を改めたるが爲

なり蓋し輿論の而目とは全國人事

の全面目にして學稜教育の如きも此全面中の

一部分たるに過ぎざる

のみ左れば今の世の敏育論者

が今の此不遜輕躁なる世態に戚動して之を憂

るは甚だ善し、叉之に驚く

も至當の事なれども論者は之を憂ひ之に驚て之を古に復せんと欲する鰍、即ち元蘇年間の士人と見を

      徳

何                      四八九

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ヨユニ 

ト まモヒづ ロィヨ りこ

  ミキさ

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戸●

      幅

澤杢集

五巻                         四九〇

同ふして元禄

の忠孝世界に復古せんと欲する鰍、論者

が頻りに近世の著書新聞紙等の説を厭ふて專ら

陶虞

三代の古典を謝るは果して此古典の力を以て今の新論を抹殺するに足る呵しと信ずる鰍、加之論

が今の世態の

一時己が意に適せすして局部に不便利なるを螢見し其罪を濁り學稜の教育に蹄して喋

喋するは果して其教育を以て世態を挽回す

るに足る可しと信する歎我輩は其方略に戚服する能はざる

者なb抑も明治年間は元蘇に異なり其異なるは教育法の異なるに非す公議輿論の異なるものにして若

しも教育法に異なるものあらば之をして異ならしめたるものは公議輿論なりと云はざるを得す而して

明治年間の公議輿論は何に由て生じたるものなりやと尋れば三十年前我開國と次で政府の革命是なレ

と答

へざるを得す開國革命以て今の公議輿論を生じて人心は開進の

一方に向ひ其進行の隙に弊風も亦

共に生じて徳教の薄きを見ることなきに非ざるも法律これを許し、習慣これを各めす甚しきは道徳教

育論に喋

々する其本人

が往々開進

の風潮

に乗じて利を射b、名を貧b、犯す可らざるの不品行を犯し・

忍ぷ可らざるの刻薄を忍び、古代の縄墨を以て糺すときは父子君臣夫婦長幼の大倫も或は明を失して

危きが如ぐなるも爾且

一世を購着して得

々横行す可き程の此有力なる開進風潮の中に居ながら學稜教

 の

一局部を攣革して以て現在の世態を左右せんと欲するが如きは肥料の

一品を加減して草木の生

を自在にせんとする者

に異ならす假令ひ或は其教育も他

の人事と共

に歩を共

にして進退するときは頗

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る有力なる方便なりと云ふも真数験

の現はる

\は極めて遅

々たるものにして肥料の草木に於けるが如

くなるを得す盆其迂澗なるを見る可きのみ

 左れば今の世の子弟が不遜軽躁なることもあらば其不遜軽躁は天下の大教場たる公議輿論を以て教

へたるものなれば此教場の組織を攣草するに非ざれば其弊を驕るに由なし而して其愛車に着手せんと

るも今日の勢に於てよく導て古に復するを得

べきや、今の法律を改めて奮套に返る可きや、李民の

乗馬を禁ず可きや次三男の自主濁行を止む可きや之を要するに開進の今日に到着して顧て封建世禄の

古制に復せんとするは喬木より幽谷

に移るものにして何等

の力を翔

るも到底行はる可らざること

\断

定せざるを得す目今其手段を求めて得ざるものなb論者と錐ども自から明

に知る所ならん既に大教場

の攣革に手段なきを知らば局部の學稜を攣革するも無盆なるや明なb故に我輩は今の世態に満足する

者に非す少年子弟の不遜輕躁なるを見て之を賛碁する者に非すと錐ども其局部に就て直接に改良を求

めす天下の公議輿論に從て之を導き自然に其行ぐ所に行かしめ其止る所に止まらしめ公議輿論と共に

順に蹄せしむること流

に從て水を治るが如くならんことを欲する者なり今試に肚會の表而に立

つ長者

にして子弟を警め汝は不遜なり何故に長者に事

へざるや、何故に尊きを尊ぱざるや、近時の新読を説

て漫に政治を談するが如きは輕躁の甚しきものなbと答めたらば少年は即ち云はん君は前年何故に慶

      徳

育,如 何                           四九一

                          

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「、…

.

      輻澤

全集 第

五巻                         四九二

藩の事を賛成して蕉主入の落路を傍観したるや、加之興奮主人と共に肚會に立ち或は其上に位して世

の尊敬を受るも悟として揮る色なきは何故なるや、且君に質問することあb君が維新の前後頻bに国

に奔走して政談に熱したるは其年齢凡そ幾歳の頃なbしや此時に嘗て世間或は君の輕躁・を悦ぱすし

て君に忠告すること今日君が我

々に忠告するが如き者はなか6しや常時君は其忠告を骨受したる鰍我

我籍に案するに君は決して斯る忠告を聴ぐ者に非す其忠告者をば内心に輕侮し因循姑息

の頑物なbと

て唯冷笑したるのみのことならん左れば我々年少なbと難ども二十年前の君の齢に等し我

々の暴動輕

躁なbと云ふも二十年前の君に比すれば深ぐ謎責を蒙るの理なし但し君は奮幕府

の末世に當て胤に庭

し叉維新の初

に於て創業

に際したることなれば自から今日の我

々に異なb我

々は今日治世に在て胤を

思はす創業

の後を承けて守成を謀る者なり時勢を殊

にし事態を同

ふせすと難ども熱心の熱度は前年の

君に異ならす着し此熱は我

々の身に於て濁登に非す其實は君の飴熱に戚じて傳染したるものと云ふも

可なb云々と利口に述

べ立

てられたらば長者の輩も容易に之に答ること能はすして或は籍に困却する

の意味なきに非ざる可し其趣は老成人が少年に向ひ直接に北人遊冶放蕩を責て却て少年の爲に己が昔年

の品行を摘登枚暴

せられ臼頭汗を流して赤面す

るものに異ならす直接の諮責は各自個々の間にても爾

且数を見ること少なし況んや天下債萬

の後進生

に向て之を責るに於てをや勢して功なきのみならす却

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て之を激するの備なきを期す可らざるなb

第 四

 我輩

は前節

に於

て教育

改良

の意見を述

べ英主とす

る所は天下

の公議輿論

に從

て之

を導

き自然

に其行

                        

く所

に行

かし

め其止ま

る所

に止ま

らし

め公議輿論と共

に順

に帰

せしむ

ること流

に從

て水

を治むるが如

ならしめんことを欲す

る者

なbと記した

れども其言少

しく漠然

たる

が故

に今夏

一二の事實を讃し

て其意を明

にせん元来我輩・の眼を以

て周公孔子

の教

を見

れば此教

の働を以

て人心を動

かす

こと固

より

からずと錐

ども其働は決し

て無限

のも

のに非すし

て働

の達す

る所

に達す

れば毫

も運動を逞

ふす

こと

能はざ

るものなbと信ず即ち

其極熱

は此教を奉

ずる國民

の公議輿論

に適す

べき

部分

に限りて働を

し其以上に於

ては輿論

の爲

に制

せらる

\を常とす例

へば支那と

日本

の習慣

の殊

なるも

の多

し就中

               

κ塾

の封建

の時

代と我徳川政府

封建

の時代と等しく

封建

なれども其士

人の出庭

を見

に支那

にては道行は

れざ

れば去

ると

て其去就甚

だ容易なb孔子は十

二君に歴

事したりと云ひ孟子

が齊

の宣王

に用

ひら

れす

                                     

     シ

       

をか

て梁

の恵王を干すも君

に仕

ること容易な

るも

のなり遽伯玉

の如き都有レ道則

仕、邦無レ道則可二巻而

懐フ

之と

て自国

を重

んず

るの念甚

だ薄

に似

れども嘗

て畿

を受けたる

ことなき

のみ

ならす却

て聖人

の賛

      

徳 育 如 何                .            

四九三

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"  『 「耀 兀    解σ璃 「

     

全集 第

五巻                         四九四

暴を得たり之に反して日本に於ては士人の去就甚だ嚴なり忠臣二君に仕

へす貞婦爾夫に見えすとは殆

ど下等肚會にまで通用の教にして特別の理由あるに非ざれば此教に背くを許さす日麦雨國の気風即ち

爾國に行はる

\公議輿論の相異なるものにして天淵蕾ならざるを見る可し然るに其國人の最も尊崇す

る徳教は何ものなるぞと昇るに支那人も聖人の書を讃で忠孝の教を重んじ日本入も亦撚り等しく同

の徳教を奉じて其徳育を蒙る者

が大事の實際に於ては全く反射の事相を呈す、怪しむ可きに非すや畢

覧徳教の働は英図の輿論に妨なき限界にまで達して其以上に運動するを得ざるの實謹なり若しも此限

界を越るときは徳教の趣を攣じて輿論に適合し其意味を表裏陰陽に解して恰も輿論に差支なきの姿を

装ひ以て真髄を全ふするの實を見る可し、螢夷夏を飢だるは聖人の憂る所なれども其聖人國を攣夷に

奪はれたるは今の大橋なれども大清

の人民も亦聖人の書を以て教と爲す可し、徳川政府も忠義の道を

以て天朝に奉じて誠に忠義なbしかども末年に至b公議輿論を以て其政府を倒せば之を倒したる者も

                        の

亦誠

に4.心義なり、故に支那にて士人の去就を自在にすれば聖人に稽せられ日本にて同様の事を行

へば

聖人の教

に背くとて之を各む可し、攣夷

が中華を働だるも聖人の道を以て之を防ぐ可し既に之を鼠だ

りて之を押領したる上は叉聖人の道を以て之を守る可し敵の爲にも可なり味方の爲にも可なb其働く

可き部分の内

に在て自由に働を逞し輿論に逢

へば則ち装を愛す呵し是即ち聖教の聖教たる所以にして

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尋常

一様小橋輩の得て知る所に非ざるなり

(孟子に放伐論あbなど\て英書を忌むが如きも小儒

の芳

しして笑

ふに堪

へたるものなり数百年間日本人が孟子を讃で之が爲に不臣の念を起したるものあるを

聞かす書中の

一字

一句以て人心を左右するに走るものなbとすれば君臣の義理固き我国に於て十二君

に歴事し公山佛騨の召にも癒せんとしたる孔子の書を謹むも亦不都合ならん確

々然たる儒論取るに足

らざるなり

 我日本砂開國に次で政府の革命以来全図人民の気風は開進の

一方に赴き其進行の勢力は之を留めて

駐む可らす即ち公議輿論の

一饗したるものなれば此際に嘗て徳教の働も固より消滅するに非すと錐ど

も自から輿論に適す

るが爲に大に其装を改めざるを得ざるの時節なb例

へば在昔は君臣の固結國中三

百所に相分れたる者

が今は

一團の君臣と爲りたれば忠義

の風も少しく趣を攣じて古風の忠は合日に適

せす、在昔は三百藩外に國あるを知らすして唯藩と藩との間に藩灌を事ひし者も今日は全図恰も

一大

藩の姿と爲りて在昔藩権の精神は面目を改めて國灌論に愛せざるを得す、在昔は祉曾の秩序都

て相依

るの風にして君臣父子夫婦長幼相依り相依られ、互に相敬愛し相敬愛せられ両者相野して然

る後に教

を立

てたることなれども今日自主濁立

の教に於ては先

づ我

一身を濁立せしめ我

一身を重んじて自から

其身を金玉親し以て他の関係を維持して人事

の秩序を保

つ可し新に休する者は必ず冠を弾し新に浴す

      徳

何                      

四九五

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  み▼' 幣

      輻

全集

五巻

 

 

 ・ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四九六

る者は必ず衣を振ふとは身を重んずるの謂なり我身金玉なるが故に窃も毅理を生す可らす汚械に近接

す可らす、此金玉の身を以て此醜行は犯す可らす此卑屈には沈む可らす、花柳の美愛す可し糟糠め老大

厭ふに堪

へたりと錐ども糟糠の妻を堂より下だすは我金玉の身に不似合なり、長兄愚にして載れ富貴

なbと錐ども弟にして兄を凌辱するは我金玉の身

に能くす可らす、愛に節を屈して権勢に走れば名利

を得

べしと錐ども屈筋以て金玉の身を汚す可らす、與ふるに天下の富を以てするも授るに將相の位を

以てするも我金玉

一鮎の暇理に易ふ可らム9。、一心此に至れば天下も小なb王公も賎し、身外無

一物唯我

金玉の

一身あるのみ

一身既に濁立すれば眼を韓じて他人の濁立を勧

め途に同国人と共に

一國の濁立を

謀るも自然の順序なれば自主濁立の

一義以って君に仕ふ可し以て父母に事

ふ可し以て夫婦の倫を全ふ

              ゆ

し以て長幼

の序を保ち以て朋友の信を固

ふし人生居家の細目より天下の大計に至るまで

一切の秩序を

包羅して洩らすものある可らす、故に我輩に於ては今世の教育論者

が古来の典経を徳育の用に供せん

とするを答るには非ざれども其経書の働を自然に任して正に今の公議輿論に適せしめ共働の達す可き

部分にのみ働を遅

ふせしめんと欲する者なり即ち今日の徳教は輿論に從

て自主濁立の旨に攣す可き時

節なれば周公孔子の教も亦自主濁立論の中に包羅して之を利用せんと欲するのみ今の世態果して不遜

軽躁に堪

へざる鰍㍗自主濁立の精神に乏しきが故なり論者其人の徳義薄ぐして其言論演説以て人を域

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O

動せしむるに足らざる鰍、夫子自から自由濁立の旨を知らざるの罪なb天下の風潮は夙に開進の

一方

に向て自主濁立の輿論は之を動かす可ら

す既

に其動

かす

可らざるを知らば之に從ふこそ智者

の策な

れ、益し學稜の教育をして順に帰せしむること流

に從

て水を治るが如くせんとは是の謂なり

O

何終

四九七

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払醐麺

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P

第 

 立国に兵備の敏く可らざるは今更特に喋

々の辮を侯たす外因交際の事實に就ては今世は両夫だ道理

の世界に非すして武力の世界なり或は語を少しく文蝕すれば口によく道理を言ふて實際によく武力を

用るの世の中と云て可ならん水祇出版の時事小言(明治十四年輻澤諭吉著)の第四編に云く

 (前略)此交際に情を以てせんとするは蕩

々想像す可きことにも非す既に情

に依頼す可らす然ば則ち

 何を以て之に接せん情の反劃は力なり外因交際は腕力に在bと決定す可きなり往古は此腕力なるも

 の眞實に入の腕を用ひしことなれども人智開明の今口に在ては腕

に代るに器械を以てし、腕を以て

 器械を使用し此器械を以て人を殺すことを獲明したり即ち軍艦銃砲是なり國を護るには人を殺すの

 器械なかる可らす古人の語に兵は凶器なり戦は不鮮なりと云ふと難ども此主義

に出て兵器を慶し職

 を止む可きに非す此語は唯漫に兵を弄する勿れとの警たるに過ぎす昔封建の時代に武家の習慣に抜

      兵    論                         五〇一

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     幅

澤全集

五巻

          

         五〇二

刀は嚴禁にして父母之を警め長者之を諭して少年血気

の輩も容易

し刀を弄するを得す、撚りと錐ど

も當時唯抜刀の不可なるを繁るのみにて刀を贋せす、蕾に磨せざるのみならす刀劒は武家至重の器

として常

に良工の作を撰び寳劒債千金なるも産を傾けて之を購求したるは何ぞや天下の武士帯刀の

世の中

に在て自身を保護して他の輕侮を防

がんが爲には欠く可らざるの用意として此凶器を帯びた

ることなb今日世界萬國と並立する

一國にして其國を保護して他國の輕侮を防ぎ叉随て之を威伏せ

んが爲に軍艦銃砲を備

へ海陸の兵備を嚴にするは封建の武士が刀劒を帯す

るに異ならす日本國内の

封建こそ屡止したれ世界は正に恰も封建割壕にして武を研ぎ勇を雫ふの最中なれば

一國の重大寳劒

たる海陸の軍備をぱ常に研き立て、常に良工の作物を撰び常に新規の工夫を蓮らし要用なるときは

一螂幾百千萬金をも愛しむ可らす若しも然らすして之を怠る者は封建の武士が木刀を帯するが如く

叉九腰なるが如し國を九腰にして他國の輕侮を防がんとするは亦た難きに非すや三歳の董子も其非

を知らんのみ

(中略)兵備の事に付き我日本と西洋二三の國と其比例を示さんが爲に各國の人口歳入灘陸軍及び其

歳費の数を記すこと左の如し此歎は千八百八十年出版の原書に擦るものなり

    佛

西

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海 軍 陸 陸 歳 入

軍    軍 軍:

費 艦 費 人 入 日日

    海 軍 陸 陸 歳 人

    軍   軍:軍

兵 英;    費 濫 費 入 入 口

  吉            非

  利      蔑論              入

口入

非常歳入を除く

入費濫費

三千⊥ハ百九十曲禺五千

五億九千九百十三萬圓

五十萬二千⊥ハ百九十七名

一億

一干〇五十八萬圓

四百九+八艘

四千二百

二十萬圓

四千二百七十二萬七千

一億三千五百十九萬圓

四十

一萬九千〇十四名

八千〇二十七萬圓

八十八艘

⊥ハ百二十五萬圓

五〇三

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零-弓

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……

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海 軍 陸 陸 歳 人海 軍 陸 陸:歳 人

 

澤全集

五"巻

 

 

 

費魯

西

 

 

 

費伊

三千百六十二萬八干

四億

一干五百五十七萬圓

十三萬五干六百二十五名

八千八百二十六萬圓

一一百三十⊥ハ艘

五千九百八十

]苗圃

八千五百六十八萬五千

四億干九百二十六萬圓

七十六萬五千八百七十二名

一億二干九百六十九萬圓

二百二十三艘

]干八百七十

一萬圓

五〇四

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海 軍 陸 陸 歳 入 塾  海 軍 陸 陸 歳 人

    軍   :軍:軍

兵 日 費 艦 費 人 入

        鱗        は所  本        之領論            をの        除地          く四          萬

    軍   車 庫

一 荷 費 艦 費 人 入 口

  蘭

二千⊥ハ百八十萬

一千

二億八干五百十

一萬圓

十九萬九千五百五十七名

四千五+八萬圓

八十六艘

八百六十七萬圓

三百五十七萬九干

四千八百二十六萬圓

⊥ハ萬

一千九百四十七名

七百八十六萬圓

八+五艘

五百四十七萬圓

1

五〇

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海 軍 陸 陸 歳.入

筆    軍 軍

輻澤

全集

口入入費濫費

五巻

三千五百七十六萬八干 十二年調

五千九百九十三萬圓 十三年豫算

七萬四干三百三十四名 十三年調

八百十五萬

一千圓  十三年豫算

二十九艘       十三年調

三百〇

一萬五千圓  十三年豫真

玉〇六

右の表に嫁b大数を以て比較すれば日本の人口は佛蘭西に同ふして其歳入の高及び陸海軍の有様は

 ま

日本に十倍し、又日本と荷蘭とを比較すれば我人口は荷蘭に十倍して歳入以下の箇條は殆ど相同じ

きを見る可し

一因の維持保護は英図人民の資力に依るものとす

れば我日本の人民は佛國荷國の人民

に比して其方僅に十分の

一なりと云はざるを得す即ち日本の十入は佛、荷の

一人に當ると云はざる

を得す、今

一歩を進めて云

へば日本全國の債は佛蘭西國の十分

一に相當するが故に日本國と荷蘭國

 ありかた

と在形のま\に交易するも損益の差なしと云ふも可ならん、誠に法外千高なる言にあらすや抑も實

際に於

て我國に殖産の路なく我人民に資力を有せざるものなれば止むを得ざるεなれども我輩未だ

其實を見す如何に説を作

って自国を蔑視せんと欲するも未だ其賞讃を見ざれば之を信ずること能は

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ざるなb議論は姑く閣5・秘現に二十年前封建の時代には我日本に於て四十萬の士族を養ふたるに非す

や即ち四十萬

の軍入なり但し其

これを養ふの法

に至ては濁り之を農民

の責に任じて偏重偏輕の弊あ

多かりしことなれども唯法の宜しからざるのみ今日に於て其法を改むるは難きに非す兎に角に昔年

は此四十萬

の軍人を養て之に武器を貯

へしむるのみならす當時の軍入は今の徴兵の類に非す各

一家

を成して其妻子家族をも人民より保護するの法なるが故

一家五口と算して絡計二百萬人の衣食を

給したる其費用即ち軍費は實に容易ならざる高なれども我入民は毎年このE額の軍費を供して之に

へたb荷蘭等の如き小國の企て及

ぶ所に非す大國と錐ども亦難んする所ならん我日本國の資力に

乏しからざること明に讃す可し今や此軍人四十萬の兵役を解て之に代るに七萬四千の陸軍と兵艦二

十九艘の海軍を作り其費用陸海合して僅

]千

一百飴萬圓のみ嚢

にはよく二百萬人を養ふの資力を

 有して今日は頓に之を失ひ復た

一歩を進むること能はざる欺、誰す可らざるの事實なり故に今我國

 に於て兵備を改良すると否との問題は之を人民の資力如何に謀からすして其國を護

るの熟心如何の

 一鮎に糺す可きのみ

 右は唯時事小言中の

一節にして該書は刊行既に

一年獲賞の数も頗る多くして其論説の旨は世人の知

る所なれば今裳に之を掲載するは電複に似たれども此

一節を冒頭し掲げて伺歎日の肚詮を記して其主

     

兵    論          

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五〇七

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噛撃冒一飛 醗 {

      輻

全集

五・巻

を撮め以て我輩の持論を世に公にして讃者の高評を乞はんとす

五〇八

第 二

                ワベ庵騨 '        マ,可叩醇w㍗阪      Ψ階暇 v「    `ρイη 喝 隣マ'∵-

聞F  訂  、 ㌃

饗 欝

 

支那の諺

に云ぐ勝則王侯敗則賊と父日本

の軍入の唄にも勝てぱ官軍負れば賊よと云ふことあり其意

味甚だ相似たり道理を以て云

へば王侯と賊と勝敗を以て相分る可きものに非す所謂義分の存する所な

れども人事の實際に於ては賊にして王侯たる可し王侯にして賊名を負ふたる者少なしとせす唯兵の強

弱如何に在て存するのみ然りと錐ども此王侯叉官軍は

一國内の名にして必すしも常

に兵力のみを以て

博す可らざるの事情あbて時としては全く兵力を室ふすること能はざるも大に其勢力を殺ぐもの多し

蓋し其事情とは藪百千年立國の習慣と教育の氣風とに由て入民

一般の公議輿論を成し此公議輿論に從

ふものを正理と認めて之に背くものを邪曲と名るもの是れなり例

へば我日本に於て立國の習慣は君を

て\之に奉することにして教育の氣風は唯忠義

の外ならす師ち大義名分を重んするは我國の公議輿

論なbと云ふ可し然るに此義分なるもの常に明なるに非す或は局庭に明にして全面に暗きこともあり

或は暫く暗くして叉忽ち明なることあり叉或は局虚に甚だ明なるものが忽ち明を失ふて全面

一般は其

割合に光を放

つこと能はざる時もあ画在昔北條氏

が國命を執てよく治安を致したるは北條の政府にも

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9

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σ

から大義名分の存するあればこそ然るものにして義分局庭に明にしてH本の全面には暗き時節なb

しが北條

の末年高時の世に至ては其兵力の術強きにも拘はらす割合よりも容易に驚れたるは勤王の大

義名分即ち忠義の公議輿論を、以て北條家の兵力を殺ぎたるものと云ふ可し又今の政府にても維新の事

を墨

る前に帝室直轄の兵とては更に無かりしものが忽ちにして革命の功を成し爾後十五年の今日に至

るまで奮政府の回復を口に籍して事を企るが如きは噂に聞たることもなく叉或は別の原因よりして現

に兵を暴げたる者もあれども直に帝室に敵したるものあるを聞かす畢覧大義名分の力を以て兵力の運

動を退ふせしめざ

るものと云はざるを得す左

れば勝則王侯敗則賊の諺も實際に於ては必すしも然

るこ

と能はざるの場合あり公議輿論の勢力強大にして義分の潭没す可らざること以て知る可し

(近來世間

 にて民灌論の少しく喧しきを聞き経世の思慮に乏しき學者流

が大に驚き勧王叉は官灌等の名を作て心

配するは未だ大義名分の眞意を能く解せざるものならん)

  右の如く

一國内の機關に於ては兵馬の力の外に公議興論なるものありて自から其力の運動を制す可

しと錐も伺且政府を立て\之を維持するには兵力莫る可らす即ち國に海陸軍を設て内鳳に備る由縁な

 b今内國を去り眼を轄じて外國の交際を覗察するときは兵力を棄て

、別に大に頼む可きものありや今

,の世界の實況に於ては我輩未だ之を見す固より世界の人民は日に文に赴く今日なれば口に文を蛍口ふて

      

兵 

 

 

論 

 

 

 

 

 

 

 

 

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五〇九

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↓      

澤全集

五巻

  

 

  

  

  

  

  

  

  

 五一〇

 道理を唱ふる者甚だ少なからず即ち彼の萬国公法なるものも此丈の結果にして假に之を世界人民の公

議輿論なりと稔じて幾分か兵力の暴動を制止するの場合もなきに非ざれども世界

の公議輿論は其勢力

誠に漠然たるものにして

一園内に行はる\大義名分等の議論に比すれば固より同日に語る可らす凡そ

世界各国の職事に勝て英名の正しからざるものなし、致して罪名を蒙らざるものなし、名正しくして

然る後によぐ勝つに非すしてよく勝たるが故に名正しきを得るも

のなb故に我輩は今日世界の某国と

某国と將さに戦を開かんとするを聞けば豫

め英名の正不正を問

ふを須ひす勝敗決す,るの後は其勝敗の

報道と共に閑職の名の執れか正しきをも知る呵し佛蘭西と普種土との職に第

一世「ナポ

レオン」の時に

は曲、普に在て第三世「ナポ

レオン」の時には佛蘭西の出たり、露土の職にも露は正にして土は曲たり、

今回埃及の事攣に就ても曲は埃及に在て英は正しきことならん、百年前在亜米利加の英図民が政府に

反して國を立てたb當時若し官軍の勢力強大にして反民等

が失敗したらんには今の合衆國も唯反賊の

古戦場たらんのみ是等の例を計ふれば枚暴に逞あらす徒に記して紙面を費すにも足らざるものなり在

れば勝則王侯敗則賊

の諺は

一園内

に通用するよりも寧ろ世界各國の交際上に行はれて今日正に其事跡

を見る可きものなb萬国公法の如き真言最も公卒にしてよく道理に叶ひよく入の口に唱

る所のものな

れども口に唱るものは必ずしも實際に行はる\に非す今日の實際を評すれば人の言論は道理公準の世

D

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/

にして其現行は武力侵略の活劇場と云ふ可し歎千萬言の萬国公法は硝鐵

一聲の燗を以て抹殺す可し

と云ふも可なり加之實事を行ふ者は往々織して之を決し、人に語らす又入の言を聴かざるもの多きが

故に公法の言論を以て真運動を制せんとするは釜難きを知る可きなb

第 三

          西洋各國の兵制は日に新にして月に改正を加

へ其強共鏡實に恐る可きものなれば筍も愛に外交の道

         を開て海外の各国と弁立の勢を成したる上は自国に相癒する程の兵備なかる可らす時事小言に云

へる

         如く今日世界

の各国は恰も封建時代の武士が双刀を帯びて武を誇るが如き時節なれば濁b我日本國に

〆        限

bて刀を慶す可らざるは三歳の章子にても知b易きことにして日本國中有も國を憂るの

25あらん者

         は西洋諸国

の強兵を心に関せざるはなし然bと錐ども国勢の進歩するは草木の成長に異ならす今日薄

         弱の國と推するものにても其國の人気長に

一塗して政治の方向を改るときは忽ち奮套を脱して強大の

         勢を致すこと草木の時無に適し培養を得て忽地に長茂するもの\如し例

へば近く我日本國の武備に就

         て之を論ずるも弘化嘉永文弱の極度に況て僅に弓矢捻倒の軍器に依頼したるものも開園の

一墨以て今

                」

         日の兵制と爲り前後三十年を比較すれば今の日本は奮日本に非す長者は今を見て驚き少者は古を聞て

              

兵 

 

 論 

 

 

, 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・五=

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  〆

剃 

、 

、ノ       1

      輻澤

全集 第

五巻                             五一二

驚くのみ撲把の相棒三十年の星霜に成木したるものと云ふ可し左れば世界の強国今日は唯西洋に在b

と云ふと錐ども今後十数年の気運に於て東洋亦

一強国を出現するなきを期す可らす我輩の所見に於て

は支那國即是なり抑も入の言に強兵の本は富国

に在りと云ふ此言果して是ならば支那は貧困に非す美

園民は忍耐勉強の質に乏七からすして英図土は天産人造の物品に富み蘭貢貿易の便利は全國の二面に

海を受けて良港少なからざる其上に楊子江黄河の二大川は深く内地に入て恰も萬里の長灘と云.ふも可

なb今日既

に貧困に非す今後殖産蘭貢

の源は汲めども娼きざるものにして世界第

一の富国たる可き亦

疑を容れす強兵の資本難なりと云ふ可し

 叉兵制の事は全く有形の物を以て成る可きものにして固より道徳宗教等の事に異なb叉政治法律等

の事にも同じからす

一因の徳教を攣動して其風俗を改めんとし又は政膿法律を改革せんとするが如き

は人民教育の根本より漸次

に實際に及ぼすに非ざれば叶はざることにして大に力を帯して叉歳月を費

すも術功なきもの多しと錐ども兵制は則ち之に異なり今日これを改革

せんと欲すれば明日より之に着

手す可し之に着手して即時に其功を見ること易し西洋諸国に軍艦銃砲あb鱗を以て之を買

へば我軍艦

銃砲たる可し、西洋諸国に兵士訓練の法あり兵艦運用の法あり我れ此法を掘れば即ち我法なb、或は

其器物を製造し其用法を學び得るには多少の智力と叉日月を要することなりと云ふも無形の道を學て

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r鋼■■■一 ■胴願風口 甲一■一 一 嗣一 一 一 一}}一 皿 一

精神を研くが如きとは全く類を異にして耳目四肢の働を以て直に學ぶ可きものなれば其得得甚だ易く

して甚だ速なb例

へば我日本人が開聞以来始

て蒸汽船なる者を目撃して乃ち其船を買ひ其用法を傳召

して自から之を運用し古来未見の太平海を渡て亜米利加

に行たるは僅に七年間の事業なbき

(時事小

言第四編註を見よ)有形の事を傳

へて之を習ふの容易なること以て知る可し故に今支那人

が其富實な

る資本を以て西洋諸因より

一般の軍艦を買

へば即ち支那の軍艦なり、

一門の大砲を買ふも支那の大砲

なり・其幾艘幾門の多寡は資本の厚薄如何に在て存するのみ或は其軍艦銃砲を自邸

に製造し自国人を

して之を使用せしめんと欲すれば唯英法を傳脅するの勢あるのみ必ずしも十数年の星霜を費す可き難

に非す若しも支那の政府

一旦活眼を開て立國の根本は兵力に在るを知り、其兵法は西洋諸國に取

るの必要なるを知り、兵器は銭を

以て買ひ叉銭を以て製造す可きを知り、其製法叉用法は之を傳著す

るの容易なるを知り、国論此に

一定して更に国財を愛ます全図の兵制を

一愛して盛に海陸軍を開くこ

とあらば東洋俄に

一撮國を出現して其勢力は殆ど當

る可らざるものならん入或は今の支那軍の振はざ

るを見て其國人を文弱なbと評するものあれども人の弱きにあらす器の弱きなり文典軍人の編制の弱

きなb方今世界中の職事は軍器の精不精と隊伍編制の巧拙に由て勝敗を決するものなれば人物の強弱

は第三

着の考案に附す可きものなり

      兵    込禰                        五一三

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一書

4

  瓢戸  胤「 「民至τ

五巻

第 四

一四

 支那入を文弱なbと目して之を軽侮す

るは多ぐは我武人流の所評にして當るものに非す叉裳に政治

學者流

の評論に於ても之を軽侮するもの多しと錐ども是亦戚服するに足らす其論に云く兵を強くして

國を護るは民心の

一致

に在b民心を

一致せんとするには困民各政治の思想を抱て自から護国の念を澄

するに非ざれば不可なb支那の政治風俗の如きは全く之に反するものなりとて其旨を推して論ずれば

専制政府の下に強兵なしと云ふもの\如しと錐ども所謂腐儒の理論にして實際を見ざる者の言のみ

図永遠の大計を目的として百年の経世上よめ観察を下だすときは此理論も亦甚だ撚りと難ども軍国兵

馬の事は百年の謀に非す歴制政府の兵にても自由政府の兵にても強き者は勝て弱き者は駁す可し其強

弱は軍人の多寡と兵器の精粗と隊伍編制の巧拙と国財資本の厚薄とに在て存するのみ露国の

「ペイト

ル」大帝は厘制至極の君にして兵力甚だ強く其屋制の政治は今日にまで持続して其強兵も亦今日にま

で持続す第

]世

「ナポ

レオ

ン」帝が佛兵を以て欧洲を躁幽したるは帝の政治自由寛大なりしが故に非

す、前年佛普の戦争に佛の敗したるは佛の政治の屋制にして普政の自由なりしが爲に非す事實の最も

賭易き者にして特に幾多の例を枚暴するに及ばざることならん故に政論と異論とは自から春物の問題

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にして政を座制にすれば富強の國にても途

には治

め難きに至らん今日の露国の如き是れなb或は濁逸

と錐ども今の政治の有様にて改革することなくんば文明改進

の風潮に制せられて亦途に治め難きに至

らん云々の談は誠に的當の所見にして我輩とても固より異論なしと錐ども目下の兵論に至ては殆ど政

治に関係なきものにして歴制政府の兵士よく職ふのみならす元来兵の性質は嚴令に束縛せられて恩威

に服従するものなれば厘制の長上に卑屈の軍人を附して却てよく功を奏するの事實を見る可し

 在れば今支那の政府は眞に座制なり其人民は眞に卑屈なbと難ども其兵制を改革す

るに政禮の如何

は意に介するに足らす今の帝政を遵奉して今

の相

將を採用

し今の國税を収

めて今の国庫を富まし唯

新式の兵備を増加すれば以て

一時の強國たるべし現に今日に於ても支那政府の眼力此に及ばざるに非

す明治十四年

一月我

陸軍

文庫登党

の隣邦

兵備略に嫁れば支

那全

図兵備の合計及び其景況の大略左

の如し

  碧 緑 八

兵   旗 旗

丘 丘 丘ノ、   ノ、  ノ、

  兵

三十

一萬〇九百三十三八

六十

一萬八千⊥ハ百二十七入

五萬

一干三百人

一五

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謂胴浬一一全能木 盈弟 五ぬ岱                                     五一六

   蒙  古  兵        十萬○〇七百八十二人

    合   計         一百○八萬

一千六百四十二入

 八旗兵は清朝譜代の親兵にして域内の各地に駐防し緑旗兵は漢人を以て編制して地方の静穏を維持

し勇兵は各地の壮兵を募て編制し機攣

に癒動せしむる者なり入換兵縁族兵は大概皆支那軍の古式なれ

ども勇兵は之に異なb、勇兵又これを郷勇と稔す即ち新募壮兵の名にして嘉慶(我享和年中)の初め川

楚の教匪を牛足するに嘗て始めて郷勇を募て額兵の不足を補けたれども十中二三の外は未だ功績の著

しきものを見ざbしが長毛賊

の起

るに及び楚勇湘勇天下に名を得て緑旗螢の如きは却て世の爲に詣癒

せらる、の勢と爲b湘勇は羅津南

に始まりて曾國藩これを統べ、楚勇は江忠源より起bたb此即ち清

國二百年來兵制の

一攣にして爾來其数盆増加し十八省中幾んど此設なきは非す李時と錐ども之を解散

せすして常

に螢中

に留め概ね與ふるに西銃を以てして教るに西洋の操法を以てす所謂機攣

に慮動す可

き清國第

一流

の精兵にして現

に李鴻章の旗下に矯する天津地方の潅勇の如き其最も著しきものにして

之を李大臣三萬

の精兵と構す右は隣邦兵備略中の大意にして此書は去年

一月の登免

に係り書中所記は

其前年の調査とするも既に五萬飴

の新式兵あり爾後必す次第に増加し今後叉増加

することならん此五

萬を増して十萬と爲し又二十萬と爲し途

には全國

一百八萬の兵員を悉く新式に訓練して新器を授るも

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亦決して期す可らざるの事に非ざるなb

      

 五

 叉隣邦兵備…略に縁るに・支那にては近来新式の兵器を造ること甚だ成皿なbと云ふ其百五十

一丁造兵局

の條に云く造兵局の如きも亦未だ其詳細を得

ること能はす僅に聞知する所を記するを以て固より全豹

一班に過ぎすと錐ども亦以て清國戒嚴の

一端を窺

ふに足る可し

     天  津

 弾藥あ

製造甚だ盛なb

     上 

 海

 施工

一名、弾工二名、學校教師二名即ち玉名の英人を雇ひ盛に銃砲弾薬を製造す製する所の大砲は

四十「ポ

ント」の「アルムスト

ロング」にして平均四週目に

一門を製するの比例なb明治十二年十二月に

在て既に落成せし者

]號より十五號に及ぶ其他二百「ポント」の互砲を製し又「レミントン」後装施條銃

一日雫均十挺及び砲弾平均十五箇を製す

     ぬし        

     わ   れ列

     

兵    論                          五一七

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      輻澤

全集

五巻

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

  五一八

 杭州の造兵局に於ては更に敵人を冊ひす都て國人の力を以て製造修理の事を駕し局内

二十馬力の蒸

気器械

一基を設く又小銃修繕所あb口径大約五寸の鋼鐵臼砲を製し明治十二年十二月に在て既に落成

せしもの

一號より十七號に及

べb其他要塞に備ふ可き十二「ポント」の野砲及び各種の小銃弾藥を製造

す     廣  州

 廣州城を湖

る十里の地及び文明門外に機械局あり

一は職工五十名、

一は二百名を役して共

に小漁船

を製造す又小銃及び弾藥の製造所あb未だ真数を詳にせす

     幅  州

 軍艦製造頗

る盛大

にして實

仁東洋第

一と構す

     江  寧

 城の南門外に機械局あb上海に比すれば梢や小なbと錐ども術職工七百除名を役し現に四斤牛の野

砲と各種の砲弾及び「レミント

ン」弾藥の製造盛なり

 又兵備略

に支那海軍

の景況を記して云く海軍は陸軍

に比すれば其進歩頗る迅速にして造船所を幅州

上海の二港に設けて盛に軍艦を製造し或は外因に就て之れを購求し既

に輻州造船所に於て落成したる

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                下田¶}                w}   『                皿         ¶ 一丁   『▼        }      一  }「  7  研  }一    7     「    『一

φ

もの二十艘に及べb又其編制は都て英國水師の建制に則b加るに備る所の大砲の如きも亦皆近世の製

造に因る者なり云々とて明治十二年の調査

に係る軍艦の名號艘数及び之に備る大砲の数等を記したる

に船

の数は五十五艘、大砲は介して二百七十四門あb此軍艦の内因艘は千八百七十七年英図製造の甲

鐵砲艦にして各艦三十八噸の大砲

一門を備

へて共に天津に停泊し又此外に四艘も英図製の甲鐵砲艦に

して近ごろ落成したる者なりと云ふ以下大小の軍艦に就て其船艦砲類の説明は兵備略に詳なれば此に

略す叉先月二十二日時事新報の雑報中に清國の軍艦表を記したり此表は明治十三年の調査とて其前年

の調査に比すれば既に五艦を増して六十艘の歎あb其進歩の實況亦以て見る可し

 以上所記に出て之を観るに清麗

にて近年海陸軍の改正を施したるは唯其

一小部分なれども其實藪を

れば殆ど我日本國の海陸軍に等しきのみならす海軍

に棄ては我.國の

一倍に近し方今、H本と支那と

の問は誠

に親睦

にして誠に平和なれども國と國との和親は百年の和親に非す殊更に我れよb敵を求る

                                    

つわ

に非ざれども世界古今の事實に徴するに外國の交際は友中常に敵あb唯美敵意を裏むに友情の外套を

以てするのみのことなれば

一旦の攣に際して此外套を脱却するときは世界萬國皆敵ならざるはなし此

鮎より見れば支那も亦敵

国中

一にして然

かも

一葦水を隔るの隣に在るものなれば此隣邦の兵備を聞

知して漠然

の観を駕す可けんや且我国の土入は動もすれば支那人を目して怯儒なりと評する者多しと

     

兵    論                       五一九

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輻澤

全集

五巻

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

  五二〇

錐ども明に其實讃あるに非す弘安蒙古の入冠

に日本刀を以て十萬の兵を塵

にしたりとの口碑を存すれ

ども六百年前の事を以て今を讃するに足らす、明家

に彼の海岸地方の者が日本人に磐められたりとの

事もあれども其顛末詳に知る可らす唯古楽我日本入は支那人を威したることあるも彼れに屈したるこ

となしと云ふまでの事にして何も今日爾國入の強弱を断ずるの標準たる可きものなし加之

一個入の盤

質に就て論じたらば日本人の腕力必すしも彼れに超越するとも思はれす貝原養生訓に云く

 中華の入は日本人よb生質健に腸胃強き故に飲食多くして且肉を多く食ふ日本人は生れつき薄弱に

 して腸冑弱く食少なくして牛馬犬羊

の肉を食ふに宜しからす、かろき物を食ふに宜し此故に藥剃も

 昔よb小服に調合す(中略)中華の法父母の喪は必ず三年是れ天下古今の通法なb日本の人は罷氣腸

 

胃薄弱なり此故に朝廷よb期の喪を定め給ふ云々

 

叉在横濱なる西洋留の話に日本人と支那人と其骨格略相似たりと錐ども支那人の病を治するは日本

 

入を療するよりも易きを畳

ふ蓋し支那國の食物は雫生肉類多きの故ならんと云ふ

 

在れば支那人の膿力は日本入に劣る者

に非す斯る禮力を有しながら街其軍人の怯備なるが如くに見

ゆるは何ぞや即ち前にも云

へる枷ぐ人の怯備なるに非す唯兵制の不完全なるが爲に然るのみ之を讐

ば今の支那國に兵制の整頓せざるは獅子にして爪牙を敏く者の如し

一旦これを生じて其爪を磨き其牙

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を鋭くしたらんには東洋諸国よく之に當

る者はなかる可し或は大象

にして獅子の爪牙を興る者と云ふ

も可ならん今日飢

に其爪牙

一部分を磨きたb我士人は爾これを怯備なbとし軽侮し了らんと欲する

か我輩

は士人と共に枕を高うするを得ざ

る者なb

第 六

 或は方今宇内

の形勢に於て支那帝国の治瓢をトするに到底内地の安寧を保存す可きものに非す近時

文明の利器たる蒸汽船車電信郵便印刷法の如きを利用して英図民の交通を便にし歎百千年来墜制卑屈

の睡眠を

一畳して民権自由の何ものたるを知らしむるに於ては漣も四徳の人民を

一政府の下に轟絆す

るを得す国勢四分五裂して幾多の小玉國を出現する轍叉は其内働の蚤に乗じて諸外囲の侵伐を蒙り廣

大なる國土も途に外人の手に落ることある可し左れば支那強兵の政略は今日其始あるも終ある可きも

のに非ざれば深く恐る\に足らすとの読を作すものあれども我輩は斯る攣働を豫期して.盆戒心を増す

者なり如何となれば英図勢果して四分五裂せん鰍攣鳳は十数年に持続するものに非す愛戯中既に武を

ぶの要に感じて真風を成し鼠走るの後も両真風を存して假令ひ幾多の小玉國を生するも英図は必ず

尚武の國たる可ければなb叉或は内灘騒擾の爲に国土を暴げて諸外國人に分取せられん鰍斯の如きは

      兵  

 

論 

 

  

 

  

 

  

  

 

  

 

 

.  

五一コ

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      輻

全集

五巻

 

    

    

   

    

   五二二

盆栽日本の爲に謀て危

きを覧

るなb如何となれば方今露なり英なb又濁、佛なり支那の地方に垂挺せ

ざる看なし

一旦の機

に由て此国々の入が東洋の

一大富国を分取したらば何を以て之を守る可きや必ず

大に兵力を用るの外に方便ある可らす西洋の諸強国は遠洋を隔るの地位に在てすら術且我輩・の常に苦

心して之に豫備する所の者なり然るを況んや今此強国が近く隣國に居を占めて直に我に接するの勢を

成すに於てをや盆我日本の嚴戒を促すものなればなり加之支那國果して自立を得すして果tて諸外國

人の手に潜ることなれば我日本人にして袖手傍観するの理なし我も亦奮起して共

に中原に鹿を逐はん

のみ是亦勢の止む可らざるものなれば我日本の兵力は消極の防禦を離れて積極の遠略に忙はしきこと

ならん

 

右は唯想像にして未来の萬

一を測り或は斯る形勢に立至ることもあらんと説を作bたるものなれば

喋論は姑く間く

.も現に今日の實際に於て支那の関係は度外視す可らざるものあb近く今回朝鮮の事攣

に際し支那政府は公然我に向て朝鮮爲支那之所属の論を吐かす叉朝鮮政府の外交を傍より干渉するの

痕跡をぱ現はさすと錐ども支那と朝鮮

と画図

限bの間柄を見れば決して対等の隣国には非ざるが如

し其図説の報を得て直に軍艦兵士を差向けたるは蓋し之を保護して力を貸す

の意ならん叉彼の馬建忠

が大院君を拉して本図に帰るも尋常の隣国なれば現に隣の國太公を捕

へて去るものなれば対等の間柄

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κ於ては蕩

々施す可らざるの暴動なれども半生これを所属観すればこそ之を断行して疑はざることな

らん斯る事の成行きにして今後支那政府は朝鮮に謝して如何の政略を施す可・》eや我日本は花房公使談

判の結果に從て今より

一年の間は我公使館保護のため我兵員を彼の地に屯熾せしめ或は事情に随て

年よb長きこともあらん此『月の問に支那政府は唯

の大院君を拉し参

るのみにして朝鮮國全面の

事は棄て

\忘れたるが如くせん鰍目下朝鮮海に振出の支那艦並に上陸の支那兵も

一時に引彿ふて今後

更に往来も稀なる可き歎未来の事は知る可らすと錐ども支那の政略、斯くまでに淡泊なる可しとは思

はれす假令ひ今度

の事攣は大陳君の支那行と花房公使の談判とを以て

落を終・。も過般以来西洋諸

国と締盟

の事も未だ其局を結たるに非ざ

れば朝鮮爲支那之所属の論は必ず

一場の問題となりて日本政

府,は固より大に之に関係し支那政府も此問題

に就ては恰も夫

の籍

を以て僻論することならん之を

辮論し

て所属論を屡棄

るか持張す

るか何

れにも談

判は面倒

〃。ものならんと臆

せy∂るを得

す固よ

b此談判を奇貨とし

て我

より敵を求

るに非す支那も亦初より敵意あ

るも

のには非

る可

しと錐ども前

                   

つお

節.に云

へる如く

外國

の交際

は双方

の敵意を裏む

に外面

の友情を

以てす

るのみにし

て談

判の背後

に兵力

の必要な

るは識者

を侯

たすして明

白な

ること

なれば兵

は輩に戦

に臨

で用

るの器

に非す其平和

の時

に入

用な

ること封建

の武士

が朋友談

の問も親戚懇

會の時

も坐臥進

退片時

も身

に刀を

さゾbし

が如くな

      兵     論     、                

。      

五二三

                     

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      輻

巻                      五二四

らざ

る可らす筍も方今我国肚會

の表

に立

て時事

を語b叉時事を執

る者

は在朝在

野多くは在昔

の封建

        リ       リ          り

の武士ならすや伐レ河

伐レ珂典則不γ遠試

に十五年前武士

の其身

に立戻り

て考

へたら

ば當

時無刀

にて武士

會の交

際を

能す

可しと

ふ者

はなから

ん當時武士

の交際

に帯刀を要す

ること

ならば今日外囲

の交際

に兵力を要す

るの理も他人

の論を聴

かすし

て自

から螢明す

ること

ならん

のみ

第 七

 前條々に記する所の論旨果して大に違ふことなくんぱ今の外國交際に於て西洋諸國に封し叉近く隣

國たる支那朝鮮に接しても兵力の敏く可らざ

るは誠に明白ならん既に其鉄く可らざるを知b叉目下我

兵備

の不十分なるを知らば

一日も早く其改進に着手せざる可らす印ち我海陸軍を籏張して我日本國に

適當する程のものに改進することなり此

一事の要用なるは必すしも我輩

の辮論を侯たすして朝野士人

のよく知る所ならんと錐ども袋に兵備据張の事を云

へば同時に胸裏に横たはる者は費用の

一黙にして

兵備論を抹殺するものは常に

一片の財政論あるのみ然りと錐ども是亦少しく推考を要することにして

自から兵と財との構衡もある可きものなれば我輩も亦唯灌衡の域内

に居て論を立てんと欲するのみ即

ち我輩の所見に於ては今の我兵備を以て足れbとする者に非す、足らざるが故に之を足さんと欲する

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なり、之を足さんとするには費用を要す、其費用の出て出る所は日本困民なるが故に困民より之を

支…擁すること常総なりとの旨を以て左に其論端を開かんとするものなり

 右の主義を以て愛に改めて論壇に上らんとするに當b前以て

二言せざる可らざるものあり即ち

 第

一には政府の當局者が虚心準氣にして聴くあらんことを折る、抑も我輩が時事を論ずるは素とよ

り爲にする所のものあるに非す今の政府に代て事を執らんと欲するが爲に非す、他人に囑托せられて

其人の爲にするに非す、政府を悪むに非す、政府を怨むに非す、況や之を羨むに於てをや之を雪目に饗

するも赤面に堪

へざる程の次第にして結局我輩の爲にする所のものを聞かんとならば唯國の爲にする

一言を以て答

へんと欲するのみ而して其國の爲にする

一段

に至ては我輩も政府も共に厚薄ある可ら

す政府の當局者が日本人にして日本の爲を思

へば我輩も亦日本人にして日本の爲を思ふ、國を思ふの

一念聾して言論に現はれ此言論にして實際に施す可きものあらば之を施行するは當局者の職分なれば

我輩は之を見て唯喜ぷのみ是を以て百事終ると云ふ誠に以て無私至極の主義なれば若しも我輩の言に

採る可きものあらば之を採

るに吝ならす断じて之を施行せられよ其効は即ち政府の効にして他に宰ふ

者ある可らす我輩は名利の報酬を求る者にあらざるなり

 

第二は世の民権新聞の論者にて我輩

の所論を通覧して公準なる評論あらんことを折

る、我輩の議論

      兵 

 

 

論 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五一一五

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                    弔.耐 w                  炉『乳「【 , 咋τ              秘ワ「 "写一門          、脚 下卿}び        γ 頭鴨π    「 可ド ポ弔¶ア岬へ,  }w 弘ぜ 罪 Ψ帰喝  ヤw   「

9

      蒲畑澤

一全集 第 五巻                                    五二六

中には直筆直言政府に忠告して或は論者が之を見て快しと思ふ者もあらんなれども本来の主義に於て

唯他の歓典のみを枚塾して自から樂むものに非ざれば或は往々民権論者の意に適せざるものを開陳す

ることもあらん自家の持論に異なる者は之を駁撃する當然

のことにして干駁百撃其自由に任して敢て

之を餅せすと錐ども唯他の輪読の

一班を窺ひ自家

の持論に都合宜しきものは之を賛成する鰍若しくは

駄々に附し去り顧て他の

一班を見て意に適せざる者あ

れば其局庭に就て漫に駁論を下だすが如きは我

                             

ぢやうぎ

の戚服せざ

る所なり之を讐

へば十丈の大木に長さ

一犬か二天の定規を嘗て

\其曲直を判断するが如

し誠に無益の勢にして事實を糺す

に足らす假令ひ我輩

に於て之に頓着せざるも斯る徒勢は論者

の爲に

取らざる所なb故に唯願ふ所は我輩

の所論を通臨肥して其全面に公平なる評論を下だされんことの

一事

のみ

 第三には世

に所謂在野官権新聞

の論者

にて我輩

の所論を賛成す

る勿らんことを折る、凡そ我持論を

吐露して賛成を求

めざるはなき筈なるに我輩

が特に官権論者

の賛成を謝絶するは蓋し又其由縁あ

り抑

も我輩

が曾て論じたる如ズ(八月十九日肚説)新聞紙なるものは正議議論、毫楚も他人に依頼すること

なきを以て本色と爲し他の囑托扶助を蒙bて説を屈し叉持論を左右するが如きは最も人の悦ばざる所

なり或は西洋諸因の如く政府も政黛を以て立ち民間にも公然たる政黛を團結して美園の何新聞は何某

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や一1

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        ユ

の機関

なりと明言す

るが如

き時勢な

れば官

権新聞

も政府

の機関

にて差支

なきことなら

んなれども今

の有様にては養

府は公然たる政愚黒の政府に非新

聞紙も亦公然たる政府の機関に非す、公

然たる機関に非すして間接直接に隠然元る扶助を政府の筋よb交るものを名けて之を官権新聞と云ふ

のみにして其性質甚だ曖昧なるもの-\如し凡そ事物は公明正大なるも術世俗の猜疑を招くは入事の常

なるに今の所謂官権新聞は性質既に曖昧なるのみならす其記者とても人物の強弱勇怯

に拘はらす自か

ら元気餓ゑて十分に筆を振ふこと能はざるの意味もあれば假令ひ如何なる名説を吐くも到底世人の信

を取るに足らす・世間に信用を失ふたる新聞紙にして偶然にも我輩の所論に同意を表し大に賛成せら

れては其人の好意は添なしと難ども我輩自家濁立の信を世

に失はんことを恐

る、なり之を讐

へば山野

濁歩の折柄偶然に我が後よb猟師の尾し氷るあれば我れも亦殺生する者

かと傍人に疑はれ、刀の十七

日要用を以て浅草

の方角

に行き観音ム参詣の群集の中を通行すれば我れも亦群集の士女と共

に観訟日の利

益を折る者かと思はる\が如し是即ち我輩

が官権論者

して甚だ氣

の毒

にも察し叉禮を失するが如

くにも思

へども其人の心術の如何に論な-官権の名著

る問は邸

言に賛成す

る勿らんことを斬る由縁

なb

      兵   論                  

五二七

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五巻

五二八

 右三條の序言を以て記者の所願を述べ三條共に所願の如くなるものと假定して乃ち愛に本論の主義

に入らん前に云

へる如く我輩は今の日本の兵備を以て不足なbとする者なり日本國の割合に不相當な

bとする者なb抑も兵備の用を云

へば其國民の安全を保護するに過ぎす左れば兵員は主保者にして國

民は被保者なb此圭保者と被保者との割合は如何して適當なbやと尋るは自國の地理に由り隣國の景

況に由り

一時自他の政略に由る等様々の事情に從

一概に定め難しと錐ども欧洲二三の國の比例を案

するに圭保者

一人に付被保者六七十人なるを最も手厚きものとして中等は百人より上て二百人以上な

るは稀なり即ち佛の入口は大歎三千七百萬

にして陸軍人の数は五十萬なるが故に人口七十に付兵員

名の割合なり此計算

に從

て日耳曼は百分の

一、露國は百十分の

一、伊太利は百三十分の

一、荷蘭は五

十七分の

一にして英國は殆ど海軍を以て國を守る者と稽しながら入口三干百六十萬に陸軍人十三萬五

千の数あbて爾二百三十分

一の割合なり

 濁ハ我日本に至ては大に此割合の外にして入口三千五百七十萬飴の被保者

に主保者たる陸軍八の数

は七萬四千に過ぎす卸ち四百八十人に

一人の割合なり讃者は此割合を見て如何の観を爲すや外職は猫

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出火の如く軍人は猫清防方の如し歓洲諸國にては此火事に備るに人口の惣数百分

一の男丁を養ひ我日

本は四百八十分

一を養ふ歓洲諸國の火事には四人八分の力を以て清防するものを我國にては唯

一人を

役す可きのみ加之右の大歎七萬四千とは豫備軍後備軍をも合したる数にして現に軍装して衛所に在る

のみに非す伺この上の鉄典を云

へば云ふ可き者甚

だ少からす現合將稜下士の未だ全備せざるが爲に

後備軍

の如きは假令ひ二萬

の数あるも實地に臨では士官

に乏くして用を爲すこと十分ならざる可し後

備軍にして術且斯の如し況んや國民軍に於てをや全國の男子にて兵役に堪る年齢の者は幾十百萬の歎

ありて其男子も至極勇なbと錐ども今日は其軍器戎服さ

へ未だ完全に至らす之を指揮す可き士官の如

きは差向き其用意に苦しむと云

ふ可き程の有様なれげ他事は姑く閣くも多ぐ士官を教育し叉今日野に

在て士官

に適する者は臨時の法を以て之を招集して或は現職に就かしむるか叉非役士官として之を養

ふこと緊要

なるべし

 

明治十九年に至れば豫備軍は三萬飴、後備軍は四萬絵の歎と爲り之に近衛鎭毫の見兵を加

へて十萬

飴…の歎を得

べき豫算

なりと聞たれども今後の五年は如何なる日月なる可きや安心の日月に非ざるなb

在昔大洋の天険を以て東洋諸國と西洋諸國と恰も別乾坤を成したるの時代なれば術可なbと錐ども今

や近時の交通至便にして東西萬里も比隣軒を並ぶるに等しき今日に在ては欧洲の事攣も彼岸の火事

      兵    論                          五二九

k    隊

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      編澤

全集

五巻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五三〇

非すして其延焼する所實に測る可らす況や近隣の支那に於ても近年は漸く兵備の改革あるに於てをや

何様に説を作て強ひて自から安心せんとするも今の我陸軍を以て我国の保護に足れレとの理由は我輩・

に於て之を磯明す

る能はす明治十九年を待たすして今月今日十萬

の数あるも尚不足なbと云はざるを

得す況や現今近衛鎭墓の常備兵は三萬五干にも足らざるに於てをや盆其蓼煮たるを費えるものなれば

當局者の意見に從て急に之を増す轍叉は徐々にする鰍事實に行ふ可き事ならば

一日も猶豫せすして兵

の増員は最も緊要なる可しと信ず

 

又本邦の兵員たる者は大概皆其卒生に於て粗食に慣

れたる者なりとは錐ども今の陸軍の成規に兵士

一日の食料白米六合と金六銭の割合は如何にも手薄きものと思はる殊

に今日の如き紙幣下落して物償

騰貴したる時節に於て⊥ハ銭を以て茶代、薪、炭、味噌、醤油、魎より浴湯の費までを辮するは極めて

苛き賄にして漣も鮮魚肉類を喰ふは難きことならん此外に毎月給料なるものあれども是亦

一日五六銭

に過ぎす日曜の休暇散歩の時僅に鮎

36

]杯の酒代に足るか足らざるのみ西洋諸國の兵士は大抵

一日に

一斤を給せざるものなしと云ふ古來の習慣にて我國人は食に肉を要すること少なしと云ふと錐ども

方今物債高き地方に於ては鶏卵

一個にても

]銭五厘乃至二銭を費す可し

一日六銭を以て諸色を賄はん

とするは到底行はる可きことに非す之を李ロにしては病者の歎に差響き非常

の時に當ては軍人の強弱

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勇怯

に関す兵食の専決して等閑

に附す可らざるなb

第 九

 海軍の不完全なるに至ては陸軍より更に

一層の甚しきものと云ふ可し四面海に濱する海図にして海

軍の無く可らざるは其理由を言ふも江湖なれば唯讃者の自知に任じ去て之を間

き今試に我海軍を以て

我航海の師國たる荷蘭の海軍に比較するに我れに二十九艘

の軍艦あれば蘭

には八十五般あり荷蘭國は

日本國の十分の

一にして其海軍は殆ど我

れに三倍せb或は海軍の強弱は輩に軍艦の歎を以て標準にす

可らすと云はん顛、左らば之に費す金の多寡を以て知る可し日本の海軍費は三百萬圓にして荷蘭

の海

軍費は五百四十萬圓なり伊大里は八百六十萬圓にして英國は五千九百萬風なb亦以て強弱を知るに足

らん我軍艦の数

二十九艘なbと云ふも其實際遠洋に航して水戦に適す可5・稿ものは僅に半数ならんのみ

比容

々たる軍艦を以て

一旦海上の警を聞たらば如何す可きや近く前月朝鮮の事攣に際しても我輩も世

人も共

に第

一着に危擢を抱きたるは海軍薄弱の

一事なbき固よb我海軍入は航海に巧にして職圃に勇

なb朝鮮事攣

の如きに座するは誠に易々たらんと錐ども天攣亦恐る可し維新の年に脱走の兵が奮幕府

の軍艦を拉して去b真中に開場九あb嘗て荷蘭に注文して新に成b堅牢第

一と稔する軍艦にして脱兵

      兵 

 

 論 

 . 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五三一

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『望増調1♂】閣

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      輻澤

全集

五巻

                   五三二

の最も依頼する所のものなりしが明治元年十

一月十二日江刺の海にて烈風に逢ひ途に暗礁に濁

れて破

砕し是より賊氣大に沮喪したることあり脱走兵は

一般の開場艦に依頼して之を失ふて大に英気を挫き

                                          

たり今我海軍人は果して幾艘

の開場艦に依頼するや江刺の烈風再たびす可らざるに非す之を再たびし

之を三たびしたら

ば如何ん我海軍の士気は未だ戦はすして大に沮喪せざるを得ざるなb稀有の天攣を

豫期しても其不安心なること斯の如し然るを況や入・攣繁多なる今の外國交際の中

に在るに於てをや凡

そ内外の形勢を知る人にして今日の我海軍を以て足れりとする者はなかる可し我國人にして造船航海

の學士なきに非す其願に慮じ其力に任すれば成らざる者なしと錐ども彼の横須賀の造船所を見よ二年

一艦を造り五年に二艦を製し随て新艦を製造すれげ蕾艦は随

て破

れ更に進歩の實況を見る可らす他

なし海軍の費額に乏しきが故のみ筍も憂國の志士にして之を憂どせすして又何事を憂ふ可きや頃日政

府より百三十萬圓の金を出して共同蓮喩會祉なるものを設立せしめたるは牛日は蓮送

に從事して商業

を螢み事あるときは之を軍艦に用ゆるの趣向なbと聞たれども第

一百三十萬圓の金を以て幾艘の船を

製遣す

べきや誠に頼むに足らざる数なり第二商用と兵用と爾面の用に供するとは其工風巧なるに似た

れども軍馬と小荷駄馬と、軍銃と猟銃と、具足と小袖と、刀劇と出刀庖丁と自から其用を異にすれば

其作も亦異ならざるを得す固より小荷駄

なり叉猟銃なり事急なるときは両無きに勝るとは云ひな

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がら軍馬軍銃

一と通りの用意整ひし上にて豫

備の又豫備

には兎も角もなれども今日は爾未だ其豫備

を云ふの暇

なき筈なb我輩

にてもよく之を知れb況や當

局者

に於

てをや固よb其窮策たるを知るな

らんと難

ども之を知

て伺之を行ふは何ぞや費額に乏しきが故のみ我輩

の考にては僅に百三十萬の金

を斯く巧に摺るよりも寧ろ断然海軍費に充て少なくも二三艘の軍艦

を作る方に賛成

せざるを得

ざる

なb

 抑も目冷海軍費

の不足なるは明白にして誰れも知る所なれども唯俄に其費額のみを増すも海軍全盟

の組織に注意するに非ざれば資金を得て却

て當惑するの情なきを期す可らす我輩の最も不案内

なるこ

となれども海軍人の言を聞くに目下軍艦十二艘を

一艦隊と爲し四艦隊合して六十四艘あるも之に適す

る將稜士官水夫に差支あることなし且この六十四艦は實際の職用に當

る可き完全のものなれば

一時に

製作す可きにも非す毎年六艘を作るも十年の月日を費し其中には士官校

の生徒に卒業する者も少なか

らす水夫の歎も次第に増加す可ぎ方便あれば十年の後には此六十四艘を増して百艘に爲すこと甚だ容

易にして迅速なる可しと云ふ叉右の如く毎年六艘以上の軍艦を作るには現在の横須賀

一所にては迎も

                                          魚

叶ふ可きことに非ざれば何れにも内海に地理を見立て\造船局を設立すること緊要ならん叉船を作る

に新伐の材木は用に適せざるが故に今よb山林を調査して伐木を要することならん叉造船に鐵の入用

     

兵     論                            .  五三三

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0

     

全集

五巻                      五三四

なるは材木と同様なれば探鐵の法も今よb

一層注意して大に起業を要することならん何れも皆十年

十年の計なれば今日

一日を猫豫すれば後年に至て其事業

の齪臨は蕾に

一日ならす

一年ならす悔ひて及

ばざることあらんを恐る\なり

       第 十

 兵備を改進橿張せんとするに最第

一の要は資金にして資金の由て出る所は其國の人民なること固よ

り言はすして明なり故に兵備の厚薄は人民の資力に関係することなれば今我日本

に兵備の改進を謀る

には先

づ人民

の資力如何を問ひ今日我政府の歳入は果して國民のカを賜して此以上には

一歩も進む可

'

らざるもの歎、或は然らすして民間に絵力あれば目下何れの邊にまで進む可斗.・もの鰍、又差向きの庭

は某の鮎にまで進むも殖産の次第

に増進して國力の富實を致すに從ひ尚何れにまで達するものと豫算

す可きや之を論ずること甚だ緊要ならんと信ず

 我輩の所見に於ては今の歳入は国民のカを蝿したるものに非すして民間に醗力あbと云はざるを得

す欧洲諸因牧税の多寡を以て日本に対照すれば近年の庭にて人口

一入に付大凡そ左の割合なり

  佛

西

 

 

 

 

 十六圓二十四銭

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日 荷 伊 落 菓

    大

本'蘭 里 国 國

「一

十三圓十四鎮

西圓八十九鑓

十圓六十四銭

十三圓四十八銭

一図六十八鑓

 國税の多寡は英図殖産の盛否と国民の貧富とに関するものなれば今遽に欧洲諸國の例を以て日本し

対照す

るも必ず讃者に異議ある可きを以て袈に外因の例を離れて唯日本國の前後に就て之を設かん封

建の時代に嘗て三百

の諸侯

が領民を取扱

ふに正税雑税を綿密に賦課し両翼外にも種々の課役を命じ御

用金を取上げたるが如きは非常

の事なりしが維新贋藩

の時

に既に人民は恰も塗炭の中に放れて往時

疾苦を忘れ次で明治九年地租改正の

一暴

以来税法の麗なる千古未曾有の有様と云ふ呵し時事小言第三

に曰く

 (前略)殊

に財政の事に至ては寛大の甚しきものと云はざるを得す紙幣

の論は下編に譲て髪に略し先

 

づ地租の始末を述ん明治九年改正の事を行ひ常時の豫算

にても政府は幾分の減租を人民に許したる

 其上に改正未だ牛に至らすして百分の三を減じて二分五厘となし又之に知

るに改正の後五年間の米

     

兵     へ冊                           五三五

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「        ド伽' ド  粗ず乏h艘帰櫛      甲一 」酔  兀『天F  }「「、-門華甲▼   「

9

    

…蝸 澤 帽全集  第 五 ぬ管                                        五三山ハ

債を平均して更に改正す可き約束を定め爾後米償頻りに騰貴したるが故に約束の如く再び改正する

ときは税額は必ず大に増加す可き筈なれども故らに其期を延ばしたるは之を寛大なbと云はざるを

得す恰も政府自から約束を履行せすして寛大を行ふたる者と云ふ可し假に此有様を翻して最初改正

の後米領頻bに下落し牛均

一五四圓五十鑓なbしものをして二圓

二十五銭と爲らしめなぱ人民は米

を費

て地租の金を梯ふに苦しみ必ず苦情を訴

へて速に改正を歎願することならん、即ち今の政府は

改正の後通貨の債頻りに下落し此麺貨を費て歳費を彿ふに苦しみ正しく人民に向て苦情を訴ふ可き

の局に當て却て自から改正を延期したる者なb我輩今入民の

一方に眼を注で其個々の私利を謀れば

此改正の始末も甚だ賀す可きに似たれども聯か眼界を廣くして此

一國を

一家と覗徹し其維持保護を

以て最大の目的と爲す時は此財政の始末を以て能く其目的を達するに足る可きやと問はれて否と答

へざるを得す有も眞成に國を憂て兼て叉計算の考あらん者は必す我輩と見を同ふすることならん況

や當局の政府に於てをや國財の嬰ならざるに就ては飽くまでも之を苦慮することならん、之を苦慮

して柱げて其豊ならざるに庭するは何ぞや民情を覗察して果断の底置を施すに怨ぱざる者なb、政

権の働を是ふする能はすして強ひて自から抑制する者なり、内を顧るに忙はしくして外を憂るに蓬

あらざ

る者なb、

一國を

一家の如く覗徹すの場合に至らざる者なり云ん、

'

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 地租改正報告書に全國の耕宅地八十四萬八千五百六十七町絵、雑種地七百四十七萬五千三百九十八

町飴

にして此税額明治十五年歳入出豫算表に採れば四千二百九十四萬五千八百五十三圓とあり

 天保七年の調査に幕府諸藩収納

の石高三千四十三萬五干二百石飴にして之を四つ物成とすれば現米

千二百十七萬四千石蝕と爲る叉明治四年贋藩立縣の際地租の金額は米千二百五十四萬九千三百石飴と

あり奮幕府時代に諸藩の報告は必す實際より減少して書出すの慣行なれば天保調査の石数は固より實

を讃するに足らす且天保七年より明治四年までは正に四十年にして耕地も大に開け随て諸藩の牧納も

増加したることなれども明治の調査に石歎の大に増さゾるは慶藩の際諸藩にて幾分か蕾税額を減じて

新縣に引渡したるの情實もありて然るものならん今この千二百五十四萬九干三百石を

一石に付き銀貨

五圓とすれば代債六千二百七十四萬六千五百圓、これを紙幣にして

一圓銀貨相場

一圓五十銭とすれば

九千四百十二萬圓と爲る之を明治十五年の歳入六千六百八十

一萬四干圓

の高に比すれば二千七百三十

萬圓の差あり即ち此高は屡藩後の誠税なb殊に地租のみに就て見れば牛額以上を減じたるものと知る

    

可し

】論

五三七

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㌔   噛

イ'

      爾

澤全集 …第

五巻                          五三八

 明治四年と十五年とを比較して正税は二千七百萬圓の減少なれども内務省出版の地方税豫算吹出表

に十四年度地方税

の吹入は国庫下渡金等を除き實際各地方より出したるもの

一千六百飴萬圓

の高あり

是亦人民より國用に供したる金なれば昔年の年貢に異ならすと錐ども封建の時代には村役郡役あb宿

騒助郷

の勤あり其他池普請、川普請、道普請等の力役を今の金に積りたらば今の地方税協議費に樹し

て超過するも少なきことはなかる可し是等は入民支出の米銭力役にて目に見る可きものなれども直接

の實物を閣き封建政府の筋

にて民間の事業を妨げたる間接の害を計れば枚塞に邊あらす河海の目付は

河海の民業を保護するよbも却て之を妨げ山林の官吏は山林を妨げ物産の役所は物産を妨げ十中の七

八皆人民の難澁たらざるものなし加之將軍又は領主地頭が狩をするが爲に山を封して猪鹿を蹟属せし

め鶴を保護して田畑を荒らし或は江戸の近傍にて鷹匠叉は鳥見など稽する吏人は將軍の鷹野に役する

者にして李日田含の地方を俳徊し田地山林を踏荒らし農民を叱陀して傍に鑓を貧b或は農家にて少し

く富豪

の者

が自家の宅地田園

に二階屋など普請すれば鳥見の吏人は直に行て之を答む如何となれば遠

方よb御鷹野の鳥を見るに妨げあればなりとて其これを答るの内實は銭を求る者なり此他諸藩の士族

が其藩地に彿徊して或は猪狩川狩と稻して自由に農民を役し農家に止宿して必す至當の儂を彿はす叉

幕吏が國中を往來するときの威光の如きは今時の少年に於て其想像を作るも難』、」ことならん幕吏

が公

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用にて各地方の族館に止宿するとき之に山海の珍膳を供するは通常の事なれども所謂公儀の御法も亦

厳重にして旅中婦人を近くるの

一事は固く之を禁じて法を破るを得す然

るに或る吏人が九州地方通行

の時某蕃地に止宿して例の如く厚き饗懸の其席

に年の頃十六七歳とも思ぼしき半髪の美少年両三名給

事として客

の左右に周旋し食事経て寝に就けば量計らんや此半髪の少年は女子の男装したる者にして

主客黙々の間の饗慮なbしとの奇事あb蓋し此女子は娼妓か藝.妓か叉は常民の子か之を知らすと錐ど

も祷も女子普通の髪の装を攣じて之を使役するには尋常の金を以て叶ふ可き事柄に非す幕吏

一夜の待

遇に其地方の爲には百干の大金を費したることならん而して其大金の出庭を尋

れば直接に非ざれば間

接にして其地方の入民よb出でざるを得す蕾に其金のみならす斯くまでに厚くする吏人の通行なれば

宿騨多事も容易ならす五里の山に出迎ひ十里の津

に見途b實に

一地方の混難を極る其有様は幕吏の

行腿風の通過に等しと云ふも可なり畢覧二百七十年問に養成したる弊風にして必すしも常局の本人の

みを罪す可らすと錐ども封建時代民間の疾苦は今日より想起するも人をして惨然たらしむるものなり

 

右の次第にして現今我日本國の租税は蕎幕府の時代よb減じたるのみならす既に減じたる明治四年

の租額よbも更に

一履を減じ假令ひ正税

の外に地方税協議費あるも封建時代村役郡役宿騨川場等の費

と人民の力役とに比すれば今を苛なbと云ふ可らす況や士族吏人

が民間に關して施し及ぼしたる有形

      兵 

 

 論 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五三九

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τ一計

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                    岬町洗『  ㌧,                、㍑ -  艸P            贈         r  喝冗          ¶ 観         弔      町 ㍉皿 凡    叫 }団  も皿"『π「「'「隔「

              始

      

輻澤

全集

五巻

                   五四〇

無形の民害を枚暴すれば際限もなきことにして何れの鮎より見るもA「の日本人民は古來未曾有の富樂

と云はざるを得す固よb目今にても國民の多歎は貧苦にして小民の貧なる者は誠に貧なb此貧苦の様

を見て安樂と幕するは當らざるに似たれども元來苦樂貧富は相調の語にして今人の貧苦を以て今人の

富樂

に比して貧苦を見るのみ之を土日年に照らすときは幾分か其貧苦の度を減却した6と云はざるを得

す貧苦の度を減する臓師ち富樂の度を増したるものにして我輩は之を稔して富樂と云ふものなり試に

近年の地方を見よ小學の生徒甚だ多し假令ひ政府より詮論し叉脅迫するも事實の衣食に飴裕あるに非、

ざれぱ學問

に就くを得ざる筈なb、近年地方の入民は衣食住に奢bて冠婚葬祭も目立つ程に外見を飾

り伊勢墾宮本願寺塞bと稔する輩までも昔日は莚を着たる者

が今日は舶來の毛織物を身に覆ふ叉田舎

・の小民

が漸次

に食物の品を上進して近來は米を食

ふ者多く之が爲に自から米債の下落を支るの情あり

とは米商の常に語る所にして信す可きもの

A如し衣食の美に走るは人の天性にして之を留めんとする

も駐む可らす其土F年に粗悪にして今日に美なるは入民の性質の攣じたるに非す其生計の面目を改めた

るの實誇なb何難の説を作るも合日の入民を評して塗炭に苦しむ者とは云ふ可らざるなり

'

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「 右の次第なれば今の日本國庫の歳入は民力を鍋したるものに非す民間爾絵力あbと云はざるを得す

既に飴力あらば其幾分を出して兵備の用に供し焦眉の急を救ふは國民たる者の義務に非すや我輩は之

を信じて疑はざる者なb抑も

一國の殖産は人民の飴力よb獲生するものにして次第に増殖し次第に加

倍する其有様は恰も動植物生殖

の理に異ならす荷も民間に絵力の在るあれば今年の

一は倍して來年の

二と爲り二は四と爲b四は八と爲る可きが故に其蝕力を未だ加倍せざるに奪去るは動物の雛を殺し植

物の苗を切るに等し加之國民に絵力あbとて其資を集めて軍備

に用ひ國中の男丁屈張なる者を撰で之

を養ふは男丁の燈力を殖産の域より奪去るのみならす叉随て之に衣食を給することなれば之を讐

へば

國中幾萬の男子を取b故さらに病

に罹らしめて之に醤樂するものに異ならす唯病のみにても既に其人

の働力を失ふ、其上に叉随て馨藥の資を費す不経濟の甚しきものと云ふ可し其甚しきの極に至ては讐

の債の爲に産を傾けて家をじぽすものなきを期す可らす兵備の殖産に害あること斯の如し我輩これ

を知らざるに非す又恐

れざるに非すと錐ども都て事を論じ業を謀るには極端

に走

るを禁す極端の弊を

暴げて全面の利盆を抹殺するも妨なきものとするときは我輩の持論も敢て他人の駁論を煩はすを須た

す自から開陳して自から駁撃すること容易なれども方今我國人の知見は漸く進歩して噺く其眼界を廣

くし内治の利害

に兼て叉外交の得失を議する者も少なからす學者の識量も漸く高術を致して漸く論理

      兵    論                        

五四一

φ

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澤全集

五巻                        五四二

の膿裁を備るの時節

なれば我輩は此國人

一般の知見と學者

の識量とに依頼し恰も之を抵當にして鄙見

を述るものなり

一図の公財は民力に由て生すること固よb論を侯たす民の資力は工業蘭貢殖産の方便

に由て生すること亦論を侯たすと錐ども方今我国殖産の全面を通覧し叉後来盛衰

の如何を推考して我

-工業蘭質は漸く退歩の勢

に傾く鰍或は正に進歩するもの鰍と昇れば我輩は断じて進歩の中に在りと答

へざるを得す明治十

一年度雁義塾出版の通俗国権論

第六章に云く

 

(前略)未来を明言するは固よb能す可らすと錐ども事物を勉強して上達するの理は古今世界の實験

 

に於て明なる所ならん讐

へば開港二十年以来日本の人民が學問に勉強して此間に學者の歎の増加し

 

て其撃力の上達したるは世人の許す所ならん然らば即ち商費工業

の事も二十年水入の勉強する所な

 

れば特b此事のみ上達せざるの理ある可らす殊

に士族の如きは昔日は職業を以て恥辱と爲し偶ま之

 

を勉むるものを内職と稚し藩法に於ても公然

これを許

さゴる程の風なりしが摩藩の今日に至ては如

 

何なる奮大臣も良士族も業

に就かざる看なし假令ひ未だ之に就かざ

るも之に就かんことを思はざる

 

看なし士族業を求れば他も亦これに競ひ天下

一般今日は無職無業を

以て恥辱とするに至れり固より

 

此輩の職業

に失敗す

るものも多しと錐ども之を前年に比して進歩と云はざるを得す其趣は學稜の生

 

徒に中絶屡學する者多くして数年の弛張も徒勢

に属す

るが如ぐなれども全図に李均すれば

一般に學

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の歎を増して撃力の進歩を駕したるものに異ならす既に全國に平均して職業の進歩するあれば政

府が濁b之を専らにせんとす

るも勢

に於て能す可きに非す政府の専制は僅

に人民の無力に依頼して

行はる\のみ深く恐る\に足らす叉深く答るに足らす況や外囲と灌を

事ふの

一段に至ては優々たる

内國政府の廃置の如きは唯是れ肚會中の

一局事にして全面の大利害に比較すれば論ず可らざるもの

多きに於てをや合の人民は唯飴念なく業を勉め内に勢を得て以て外に灌を事ふ可さ、」なb

論者或は謂らく職業の目を以て見れば昔日の士族は固より遊民なれども今日は叉兵隊巡査あり是亦

一種の遊民にして其人員も少なからず其費用も甚だ多くして正に職業に就く可き人民の中より其幾

分を引除く者なbとの説あれども論者は唯今日の外面を見て昔日の内情を詳にせざる者なb兵の用

は國を護るより外ならす昔日の士族は即ち此護国兵にして真数四十萬、今の兵士より多きε凡十倍

なb叉今の東京の巡査七千名甚だ多きに似た

れども昔を思

へば毫も驚くに足らす徳川の時代に江戸

々の夜番火の番は姑く之を除き大名旗本屋敷の門番辻番所の番人にても今の巡査の歎よりも多か

らん三百

の大名に平均三箇所

の屋敷あれば真数凡九百これに上等旗本の屋敷を加

へて大数干に下ら

す此干屋敷に毎日開閉する門番所の歎九千五百ならん

一所の門

に交代する番人を平均西名とすれば

既に六千の歎あり叉この屋敷外にある辻番所の歎も槌に知り難しと錐ども寄合辻番を差引して假に

     兵     論                            五四三

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                    鱗璽慰鴨、》腎                ¶"耳蝉魔ザ幽卵 割              7所為四『          T  -F~早 τPこ夙        興}聯w      例ワ「}}    ▼ し夙   'T「が   "側 、L

     輻

全集

五巻                         .五四四

一千とすれば其番人四千より少からず合して

一高

の歎あり今の巡査よb多きこと三千なり此外幕府

本城諸見付の番士番人、下座見なb小者なり仲間なb其歎殆ど歎

へ難し何れも皆警衛の爲にして其

職分は巡査に異ならす術これよりも無.盆に人を費すε多くして天下に普通なbしものは貴族繕紳の

従者供勢を以て最とす大名の行列は特別のものとして姑く間き幕府の旗本御家人諸藩士の公務に勤

仕する人にて少しく身分ある着なれば出入

に従者を召連

る\は無論親族朋友の往来にも濁歩するこ

となし而して其從者の職分を葬

れば必ずしも重大の物を負撫するに非す所謂若黛草履取なる者にし

                               

みもまち

て唯主人の行く庭に從ひ真庭を去るを待て復た從て家に帰るのみ之を供待と云ふ必党人の働を用る

に非すして人の形を飾に翔る者と云ふも可なb蕾に幕臣藩士のみに非す富商豪農僧侶神官何れも從

者あるの風俗なれば凡常時日本圃中に於て主人に随行し叉供待する者の歎を計

へなば日に幾十萬

人員にして之を兵隊

に編成したらば幾百大隊を得べし今の陸軍巡査の如きは論ずるに足らざるなり

慶藩の

一暴

以て大名の行列を慶し、武家屋敷の門番辻番人は巡査と交代し日本國中無用の従者を飾

に用るものなし然ば即ち今日の兵隊巡査は之を

一虚に集めて其外需を見れば衆多なるが如くなれど

も全図の職業に関して遊民たるの憂は畢覧要るに足らざるの憂のみ,国民既に職業を拗るの心を生じ

て其人員も亦非常に増加したり富国の目的明なりと云ふ可し凡そ人として私の利を思はざる看なし

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'

今後我人民の事に慣る\に絶て次第に英和を永年に李均するを知り次第に私利の大なるものを求む

るに至らば特に富国の論を喋

々せすして富国の實は言はざるの際に成る可きなり

 以上開陳する如く今の日本

の兵備は國の割合にして十分ならざるや切なb、十分ならざるが故に之

を足すの要用なることも亦明なり、之を足す

には国財を要して其国財の出庭は即ち國異なることも亦

明なり、国民

の資力術弱しと云ふも之を封建

の前年に比すれば製なりとのことも亦明なb、資力の源

は殖産にして方合我國の工業商費は正に進歩の中に在るの事情も亦明なり然ば則ち此焦眉の急たる兵

備改正の爲に國財を集るの工風ある可きは智者を侯たすして明なる可し況や政府の當局者

に於てをや

固よb之を知らざるに非す然るに今日に至るまで知て之を施行せざるは何ぞや我輩の最も解する能は

ざる所のものなり政府は兵備改正の爲に特に國財を徴牧せざるのみならす現在戦事の爲に財を費して

其財の出庭なきものにても術且獣

々に附して之を人民に徴すことを爲さす其

一例を暴げんに時事小言

第五編に曰く

 (前略)両此理由を明にせんが爲に

一例を示さん愛に

一村あり村杜臨時の祭禮

に神樂を奏し花火を揚

     

兵    論                          五四五

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習一

竺   マ膨'づ        別丁騨唱囎 ㌧    「.響臓髄脳F  、印押費▼恥「一"ゾT

甲町罫 .

     

面目澤

全集 第,五巻'                        

五四六

ることを企てん、之が爲に数十固文歎百圓の金を要するは當然のことにして村内毎戸其貧富に癒じ

                                         

ゐ      む

て数十饅文数圓の出金を課するも當然のことなb蓋し此祭禮は本年の流行病魔除の爲に臨時の祭禮

なれば本年に限bて臨時に金を出すとの事も亦明

に知る可し何れも皆事の賭易きものにして

一村内

に之を疑

ふ者はなかる可し若し或は村内各戸の出金なくして祭禮を執行したることもあらば其時こ

そ却て疑惑を抱

て物論の生することもある可けれ、然るに此村を大にして日本全図に於ては此事情

.に反するものあり戊辰以來國事の多端なbしは姑く欄き近ぐ明治十年我日本の西南より鹿児島の騒

働なるもの起りて其勢は蕾に流行病

のみに非す政府は此騒闘を騙除せんが爲に幾萬

の兵を出して日

に幾十萬の弾藥を放機し全國の入民束走西馳の混難は村の祭禮に人氣の動揺するよりも甚しきもの

凡そ九箇月にして始て鎭定したり取も直さす明治十年は日本の人民が全國臨時の大祭禮を催ふして

九箇月の問毎日大花火を打揚げたるものと云ふ可し然るに此大祭禮の最甲にも叉其鎭定の後にも曾

て國内

に其費用の出金を促す者なきは不可思議に非すや、

一村の小祭には金を要して全國の臨時大

祭には之を要せざる歎、歎理に於てある可らざることなb、聞ぐ所に依れば其費用四千絵萬圓なり

しと云ふ、左れば日本人民は此年

一戸

に付六圓飴の臨時割前を出して相當なるに、促がす者あらざ

れば出

す者もなく、悟として今日に至りしことなれども

一度び費したるものは去て復た返らす此西

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O

 

干飴萬圓も間接に人民の負債たること明なり云々

 

叉合同朝鮮の事件に就ても政府は必ず二三百萬圓の金を費したることならん二三百萬

の金は固より

,国庫の大計に差響ぐ程の高にも非ざれども其多少に論なく臨時の軍費と云はざるを得す臨時の軍費と

あれば計算上の混雑を生せざるの限bは臨時に之を徴牧す可きこと無論なりと思

へども今日に至るま

で朝野共

に此邊

の議論あるを聞かす加之政府は維新以来次第に租税を減じて人民の之を悦

ぶは無論、

政府も亦自から得意の風を爲し減税は恰も政府最上の美徳

たるが如き有様にして上下共に之を信じて

疑はざるの最中なれば偶ま新に税を課する欺叉は税を増す芝あるも民

26を掛酌するの情は自から外面

に溢れ例

へば官吏が地方人民に説諭するにも口頭とは云ひながら政府も云々の次第なれ催轡田分の中こ

の税を斯の如ぐすと云ふ其當分の語は課税は暫時の問臨機の法にして途には獲た減少す可しとの意味

を含むもの

、如し故に人民は次第

に之に慣

れ政府の改革とあれば租税は必ず減少することならんと不

言の際に之を信じて豫期するも亦謂れなきに非ざるなb益し政府

が困民に謝し斯くまでも遠慮して徴

牧を悼るは所謂る斯民を休養するの旨鰍我輩は人民の爲に謀て休養を願はざるに非す租税は盆寛なら

んを欲し私有は盆豊ならんを斬ると錐ども今の文明世界に立て

一図の禮面を維持し假令ひ進んで取ら

ざるも能く返て守らんとするに今の日本政府の財政を以て今の日本國の兵用に給し果して枕を高ふし

     

兵   

論                      五四七

/

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燐藤

'

     

全集 第

五巻                         五四八

て安心す可きや如何に時勢に暗き愚夫にても之に答

へて然りと云ふ者はなかる可し租税愈寛なれば人

民愈休息して安からん其休養の旨は謝す可きに似たれども畢覧

一身

一家内の安楽のみ眼を韓じて廣く

戸外を見れば

一図

の形勢安楽ならざるを如何せん之を讐

へば門培

の守を薄くして鎖鋸の費を省き以て

家人の飲食を饒にす

るもの\如し

一時

の口腹愉快ならざるに非すと錐ども

一家

の守警嚴ならざるが爲

に不時の賊難を如何せん我輩とても口腹

の慾あるは猶他人の如しと錐ども葺

の大少軽重を思

へば其飲

.

食を甘んずるを得ざるなb時事小言第二編に云く

 (前暑)術甚しきの極は國會開設の遊説者が民間に開設の便利を説諭する其便利の

一箇條に国富果し

 

て開くときは或は現今の租税も術

一瞬の寛大を致す可しとて人間の私情に依頼して民

25を動かす者

 

あるに至る其遊読者は遊説を以て事とする者なるが故に

一時

の方便に此説諭の策を用る者なりとし

 

て之を許すも筍も憂国の士君子を以て自から居る筆者論客

が其民心の動揺を見て某地方には農高

 

有志者あり其志は云々其團結は云々とて暗に之を奨勒して自から欣喜の顔色を開くが如きは誠に憐

 

れむに堪

へたり論者をして果して其志を返るを得せしめて之に國事を議するの地位を授けたらば何

 

とするや婁に減租の夢を妄想せしめたる其人民の名代と爲りて改めて増税の事を議する歎甚しき詐

 

欺なり偶合ひ或は之を増さゾるも前約

の如く減するを得ざるときは如何せん、前言は之に熾る、の

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みとて遮れん鰍民事は戯に非す、孔子日教

へざる民を以て戦ふ足れ之を棄

つと云ふと今の論者は民

を教

へざるのみならす叉随て之を欺ぐものなり何の面目か以て獲た人民を見んとする乎維新の以前

世の有志者なるものは頻bに尊王接夷の説を主張し

一時に天下の民心を籠絡して遽

に幕府を倒し天

下太平の東天將

に明けんとする其時に於て嬢夷の説は早ぐ既に跡を収めて消滅したb此時に於ても

世の物論喧しからざるに非す渾身嬢夷を以て成立したる血気の肚「年は恰も他人に費られたるの思を

爲して大に不雫を抱き途

に之を兵器に訴

へて明治の初年に長州の胤、次

て肥後の紳風連の暴の如き

は真精帥の登表したる者なb在

れども維新の事は兵馬の天華

にして強大なる奮幕政府を倒す

が爲に

國人

の血を流したることなれば其大鐘動

の際に或は前説を敗るも大饗中

一細事として人を購着す

るの機もある可しと錐ども此度の國會開設は王政維新に異なb固より少年血気の事に非す固より兵

馬の力を籍るものに非す其出て来る所は學者の議論

にして其事に當るものは政治家の働なり徹顕微・

尾道理に基て腕力に依らざるものなれば其道理論中に荷も入を欺き人を費るの元素を含有したらば

賓際に於て進退惟谷るの窮に陥ることある可し眞に慈然ならすや云々

三3八.

画購

五四九

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~弓碓㎡鷲    脚 ψく  礎穐 ま聯轡`「融,    WY刷㌦げΨP 特写夙

      祠澤

全集

五巻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

. 

 

 

 

 

五五〇

 軍費償却租税徴牧の事に付き是

れまで政府が曾て断然たる廃置を施さ.\るは當局者に於て其人の心

の罪に非す其

一心には斯民を休養するの情を抱く・即ち側隠の良心なb叉

一心には内治外交の㈲様を通

覧して國灌の維持裾張に眼を聴するときは焦眉の急にして他を顧

るに邊なきものあり我輩傍観者にし

て尚且之を洞察す當局者

の心緒多端なる實に氣

の毒

に堪

へざるなり去漣は際限もなきことにして到底

財政の改革は目下猫豫す可らざる場合なれども年

一年、日

一日以て今日に至bて尚共議を聞かざるは,

何ぞや我輩これを気運

の然らしむるものと云はざるを得す蓋し其気運とは如何なるものぞと昇れば天

下人心の傾縛にして官民不調和の

一黙即ち是なb抑も官民の間柄は法律を以て云

へば誠

に明白衛軍な

るものにして官

の命ずる所、民これに背くを許さす臨時の軍費を償却せんと欲する鰍これを命じて可

なり尋常の租税を増課せんと欲する歎、これを令して可なり政府の命令する所にして然

かも國の公用

の爲にし結局全國人民の利益幸福を保護し叉増進する薦めの主意なれば護れか敢て之に背く者あらん

や若しも・此主意を解する能はざるものは不智同順の頑民として之を

一時

に塵制して永遠の結果を示す

の外方便ある可らすと云

へば云

ふ可きに似たれども去漣は智恵もなく思慮もなく極めて拙き政策のみ

・ならす人事十中の七八情を以て組織する今の此社倉に於て淡冷なる法は濃熱なる情を制すること能は

すして如何なる禍災を引起す可きやも測る可らす左れば何れの時代何れの政体にても萄も天下公共

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,

O

9

財を集めて天下公共の事を成さんとするには天下公衆の心を牧擁して其情を制し人心世情に温暖を催

ふして其和気春の如くなるに非ざれば行はれ難きこと

\知る可し君主濁裁の政に於ては此有様を名け

て能く百姓の心を得たるものと稚し立憲国會の政に於ては民心の多数を得たるものと云ふ其許目異な

bと錐ども真義は

一なり然るに今我日本國に於ては政治の事に付て人民の思想を異

にするや甚し其大

.体の偏別を云

へば官権黛と民権黛と相謝して其主義論説水火相容れざるもの\如く日に相論じ相駁し

て盆其論鋒を鋭くし其鋭利の極は或は罵署読誇の失体に陥る看なしとせす人民の和気春の如きものと

云ふ可らざるなり抑も官権黛とは護れの命ずる所にして何に出て斯る名を得たる鰍、これを知る可ら

すと錐ども民灌論者の主義に反する者たるや明なb或は官権論者の眼を以て民権黛を見たらば亡國論

の如く思はる\ことならん其趣は民権論者が官権電…を見て人非人観するに異ならす議論の極度自然の

にして必ずしも其人を答るにも足らすと錐ども世間の通稽に官の字あるが爲に或は今の政府の旨を

奉じて暗

々裏に之に癒接する煮たbとの嫌疑なきを得す斯の如きは則ち政府の爲に謀て最も不利にし

て最も其英断

の政略に妨害たる可きものと云はざるを得ふ9。如何となれば今の在野の官罐黛は果して政

府の友なる歎、友を得るは祝す可きに似たれども

一友を得るが爲に三献を生するの弊なきを期す可ら

ざればなり唯尋常

一様政談の學者論客

が各黛涙を作て相競争するものなれば其競争は唯民間に止まる

      

兵    論                       

五五一

                                      の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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            、        ア琴興    炉 "  馬一     ¶   下  斗}唄 曜嚇 }㎝,曜2脚 樺戸竹

'

      

澤全集

五巻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五五二

可けれども筍も其

一方の黛涙が官に黛するとありては政府

一方に政治の黛與を得

ると同時に他の

方に政敵を得るの姿なれば之を利益なりと云ふ可らす即ち官民軋礫の出て生する原因なb我輩

の考る

にては今

の政府は政堂…の政府と云ふ可らす政黛の政府に非ざるの限りは民間に如何なる政談あるも

如何なる政黛あるも図法を犯さゾる問は之に干渉す可らす若し或は其政黛なるものが相互に軋礫して

李稔ならざるの萌もあらば陰に陽に力を蓋して其調和を謀b無偏無黛公明正大なる中央政府の旨を以

'て双方を説諭し其過度の軋礫を鎮撫調和するこそ當局者の老手段なる可けれ我輩が政府に望む所は唯

この

一事のみ民間にても少しく経世の志を抱

て老練の考

へあるものは常に此邊に憂慮せざるはなし況

や政治の實際を経歴して手練百磨と稔する政府の人に於てをや必ず其心事の

一方には之を思慮するな

らんと錐ども又

一方には種々様々の事情に妨げられ叉事情を聞込み之が爲に自家

の心事も自から

26の

如くならざることにや今に至るまで民間歎賞…の軋礫を鎮撫調和する沙汰を聞かす加之彼の官権堂…なる

ものは官

の字を奇貨として之を利用し恰も今の政府の御味方を申すと云はぬばかりの顔色を爲して其

反樹黛なる民樺論者を攻撃し真柴暴を害し其實利を妨げんとして些細の庭にまで切込むが故に民権黛

の不李は日に盆甚しからざるを得す而して此不李なるもの輩に政堂癌と政黛との問に止まbて双方共に

毫も政府に関係を有せす政府は高く局外の上流に位するの有様なれば両町なりと錐ども如何せん

一方

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は官権の名を冒して或は官より特励の保護を蒙る者なbと稚し或は今の政府は己れと同主義なりと揚

言するが故に浴

々たる天下の廣き此官権堂…の暴動を見て正しく政府の趣意ならんと認る者も多かる可

し我輩の見る所にては政府は斯る民間の政黛などに依頼して政を爲す者とは思はざれども此官黛の名

あるが爲に政府の不利たるは實に容易ならざるものと信す如何となれば世間この官黛に敵する者甚だ

多し之に敵するものは政府に封して間接に反樹を表す

る者なればなb無偏無黛の大政府にしてあれば

民間に幾多の政黛あるも之を不問に附して可なり或は之を調和して可なり然

るに安に不幸にも官灌黛

の現出して官

の御味方を申すに至ては政府の爲に謀て俗に所謂有難くして迷惑なるものと云はざるを

得す抑も此官灌黛なるものは近來の出生にして其起原は官

の筋よb促して之を助成し今も伺之を助る

もの鰍或は民間有志者の登意にて毫も政府に由縁なきもの鰍我輩之を云ふ能はすと難ども兎に角に此

堂…の出生したるが爲に間接に政府の主義に反調する者を増したるは疑を容れざる所なり

 下民を牧敏して自から奉するとは往古濁裁政府の國に行はれたることにして人民は少しも上の情を

知らす其膏血を集めたる國財が何物に攣じて何人の快樂

に用を爲す鰍、

一切これを聞くに由なし上下

     

兵 

 

 論

 

 

 邑 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五五三

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      ㍉鵠F   袖  ψド    w、 穿`  一 馬7㍗w四 四 四脚 酬 甲一

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一,一  9;

一{,-一、{津竃y一期調「一

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、罰毒

      幅

全集

五巻

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五五四

隔絶して困民は恰も國君の爲に家畜視せら

る\の時代には吸飲自奉の評も當

る可しと錐ども今我日本

の事情は之に異なb國曾こそ未だ開けざれども上に牧敷高奉の君なきのみならす帝室の御分量は薄き

に過るとて我輩も常に之を切論し世の論者も中

26に我輩と同論ならん、真下にして政府の官吏が如何

なる私を警む可きや何程のこともある可らす其俸給とて素より讐なるに非す賄賂も大に行はれす私托

も甚だ盆

なし固より政府も人類の集る庭なれば官吏に慾心深くして鄙劣なる者もあらんと錐ども多人

の中

には珍らしからぬことにして如何ともす可らざる者なり唯数年の間、多歎の官吏に卒均し之を

他年他政府に比較して正きものは之を名けて正き政府と云ふのみ斯の如くして考

へたらば今の政府も

決して不正なる政府とは云ふ可らざる者ならん我輩政府の内情に就ては甚だ不案内なれども是れまで

貴顯の位に居り叉相癒の職を奉じたる者を世間より見て何某こそ必す富有ならんと評したるに其人が

官を罷たる後の實際を聞けば富有なる者は甚だ稀にして多くは清貧の君子に非ざれば赤貧の窮鬼のみ

日本政府の官途は利の爲に香ばしき地位にあらざること以て知る可し左れば今兵備据張の爲に國財を

集めんとするは唯國民の私財を

一・庭に集めて其庭より更に復た散するのみのことなれば政府は取りも

さす國財出納

の取次する者

に異ならす往古の時代に行はれたる下民を牧敏して自から奉するも、のに

比すれば大に趣を異

にする所を見る可し

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β

 黙りと錐ども財の出納

に就ては動もすれば双方に疑念も深く叉間違も生じ易きものなるが故に西洋

諸国にて國曾の設あるも專ら此疑念を解き此間違を防ぐ

が爲なbと云ふ國會の有無に拘はらす何れに

も最第

一の要

は唯人民をして安心せしめ政府を疑

ふの念を却拝して財を出す

に客なるε無らしむるに

                                           

 

在るのみ即ち前節

に云

へる何れの時代何れの政体にても天下公共

の財を集めて公共の事を成さんとす

るに天下公衆の心を牧擁して其情を制すること緊要なbとは是の謂なり此言果して是ならば目下我國

に於ても漬く在野の人物を政府に容

れて官民合体同

一の針路に向ひ民情をして安からしむるは焦眉の

急要に非すや今の民権蕪と云ひ文官灌黛と云ひ本来人種の殊なるに非す民灌黛或は大に不忠なるが即

くに見ゆることもあらんと錐ども昔年は大忠臣着たりし者多し官権黛も目下大に忠なるが如くに思は

る\こともあらんと錐ども歎年前は大不忠たりし者も少なからず入

心の同じからざる其面の如し人心

の攣化も亦面の如し心怒

れげ価色も亦怒る、心和すれば而色も亦和す人の面色生涯同

一様なる可らす、

心も亦同

一様ならす、今日忠と評し不忠と目するも其忠不忠を標する,に足るものみらざれば遽に他の

面色の喜怒を見て其畢生の心事を断定するに異ならす謂れなきの甚しきものなり世論常に云,両明治政

府大小の官吏は奉職中の忠臣にして官を去れば則ち不忠に愛すと、ム、姑ぐ論者0言口に任じて果して然

bとせん・黙りと錐ども明治年間は日本の開聞以来特励ρ時限にして此時限に官吏たる者は特別の精

      兵  

論         、      

五五五

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7 『r輔 ♂                }邑 一 再応, 晒  一            } 『' 7曲          僻 書祠}        皿 闇¶      r T皿}鯛「      ▼   }、  一"   丁     中丸-

                             

3

     

需細 濫四一全集  第 五 巻                                        五五山八

神を具する者歎、我輩これを信ずるを得す等しく日本國中

の父母に生れたる日本人にして

一種奇異の

心術ある者

に非す、奇異の入物に非すして乍ち忠乍ち不忠なるが如き奇異なる事相を呈するは何ぞや

其人物の奇なるに非す事情の然らしむるものと云はざるを得す人心の定則に於て斯る事情に逢

へば斯

る攣を生すること果して違

ふことなきものとすれば忠不忠の攣化は特に是れまで官を去転たる人のみ

に限らす斯

る事情

のあらん限bは斯る攣化の止むことある可らすと断言するも可ならん、我輩

の所見

にては比恵不忠の攣化も

一時面色の攣化に等しきものなれば意に介するに足らすと思

へども是亦姑く

論者

に譲りて眞實中

25よb斯る鐘化あbとせんも雨跡あるを見す、忠よb不忠に愛すること容易なれ

ば不忠より忠に攣することも亦容易ならざ

るを得す政

府たる者

は其官吏奉職中の智徳を利用するの

み、職に在

るの間誠

に忠實にして終始

一の如くならば既往の不忠を問ふを須ひす之を忠臣現して可な

り術近く

一例を想像して之を示さん金髪に忠實活溌無

二と構する官権論者あbとせん政府は大に之を

痛みして事を談じ財を與

へ或は其事業たる新聞耐雪

に救助保護す

るが故に論者は盆熱して深切を蓋し

れこそ永日依頼し又依頼せらる可き交際なりとて双方相信ずること.盆厚ぐして相互に疑ふ所なしと

せん、然

るに叉重ねて裳に想像して政府が此入物に就て少しぐ疑

ふ可き鮎を獲見して漸く之を疎外し

事に托して其保護を薄くし其救助を減じ交情復わ、從前の如くならすして漸く互に苦情を抱き途

には此

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苦情を衷に包蔵する能はすして其人の非を無げ罪を鳴らし救助保護をも

一切之を取上げて断然謝絶す

るの場合に至るとせん、然

る時に此官灌論者の塞動は如何に攣化す可きや昨日の忠實無二は今日の不

忠不實たる可き萬

々疑を容る可らす其攣化は遠ぐ之を他國異年の歴史に徴するに及ぱす現に其官灌論

者の身の展歴を案じて明臼に知る可し或は官灌たb或は民灌たb唯時の宜しきに從て移b易はるは通

の人情

にして今世に在て通常以上の人を求むるは甚だ難し即ち其人の罪

に非す事情の然らしむるも

のなり士は知己の爲に力を蓋すと云ふと錐ども今の士は昔の士に異にして其蓋すや畢生の心事に非す

唯己を知るの年月の間これに盆すのみ昨日の知己今日の不知己と爲れば昨日の盤力は今日の不蓋力た

る可きのみ封建世蘇の臣が其君に近接して忠義を盤し不幸にして其身は疎外せられ其榮墨名利は概奪

せら

れ甚しきは君に殺さる

\も伺怨望せざるが如き精紳は決して今口に見る可らざるなb

 右の想豫果して違ふことなくんば今日の官灌論者を攣じて民灌論者と爲し政府の反封黛たらしむる

こと甚だ易し蓋し前節

に云

へる如く士は知己

の爲に蓋すと云ふも今世

の士は唯己を知るの問のみ盤す

者なればなり此浴々たる天下の風潮に當b濁り屹立して己を知る者あるも喜ぱす、知る者なきも亦悲

      兵  

 

論  

 

  

  

  

  

  

  

  

  

 

五五七

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        ハ怖■ 姻    鞠   げ     、   5  ▼,r              ¶四四 嘱 '7η}            州≠▼ワ 叩        Ψ房曇一隅Y7「τ      伊興響P「}    岬「叩一一  甲「  亀町`㌦叩  腎F 町¶ 叩-

      輻

全集 第一五,{巷                           五五八

します天下百年の成敗を以て

一身に負推して終始

一の如くなる者を求めんとするは甚だ難きεにして

假分ひ其人あるも全図

甲に指を屈するに足らざる着なれば實際の當局着たる者は斯る得難き求を爲す

よbも寧ろ之を度外親して唯今日に行はる可き路を求ること緊要ならん即ち今の官権黛を攣じて政府

の反封民構黛

に攣化せしむるの手段順序を想像して斯くしたらば誰

れも反封す可し是れも不卒を鳴ら

す可し数月を出ですして満天下をして政府の反謝民権論

の,肚會たらしむる甚だ

易しとの事實を瞑目し

て考案し果して心に得たらば今陶は叉心事を

一韓して其反封を想像し天下現在の民灌論者をして官橿

論者に攣化せしむるの圖書を作るも亦甚だ容易なる筈なb抑も今の民樺論者なるものは日本國

中異種

の人には非ざれども其言論に喋

々するは政治論に他と意見を異にして不挙を抱くものならん其不干の

近因は種々様々なりと錐ども蓬因の根本は現在の政治肚會に入るを得す叉民間に私の事業も少なく才

を有して事なきに苦しみ無事の蝕りに頻bに肚會の攣動を好む者より外ならず身に才學の資を抱て執

る可き事業を得ざるは齊力ある人

が逸居して運動せざるものに異ならす逸居安樂は入の好む所なりと

錐ども齊力勃々之を禁じて禁す可らす幸にして執る可き力役あれば可なbと錐ども若しも其力役を禁

じて筋骨の働を轡積せしむるときは或は時として奪套して家を破り物を殿

つなきを期す可らす然らざ

れば病を磯して死する者あり屈強の肚者を幽閉して頓に衰弱を致し往

々憤死するの例を見て之を知る

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『   一 了     

r}

可し左れば今の世の民灌論者も流行雷同の群衆は姑ぐ之を除き筍も其中等以上の人物は日夜無事に署

めらる、こと彼の力士が

一室に幽閉せられて自己の齊力に窮めらる、者

に異訟らす其情實甚だ賭易き

のみ世人若し此に疑あらば試に民権論者の履歴に就て之を視察せよ其論者

が維新十五年来如何なる時

に得々して如何なる時に不平を鳴らしたる歎美得々たbしは正に事を執て心身忙はしき時にして不平

なるは閑散無事の時ならん然

ぱ則ち此閑散をして繁忙ならしむれば不平も亦同時に消散して痕

なきに

至る可きや疑を容る可らざるなり

 閑散の入をして繁忙ならしめんとす

るも執

る可きの事なければ之を如何ともす可らすとの論もあら

んと錐ども方今我國の朝野に爲す可き事甚だ多し前節

にも記したる如ぐ兵制の

一方に就ても士官の歎

は現に不足するに非すや正則の士官生徒は次第に卒業す可しとするも目下の後備軍國民軍は如何す可

きや生徒の卒業を待つ可きに非す叉政府中に於ても内治外交共に事務は日に繁多ならざるを得す僅に

大藏省中の租税課の

一局を改正するも其事は容易ならざる可し現今の實況を聞ぐに本省より収税員と

して全國の各地方に涙出する者は小吏

のみにして奏任以上なるは大阪名古屋静岡仙肇等三四名に過ぎ

す収税は政府の大事なb小吏の人物は兎も角も其官小なれば責任も亦重からすして實際に於て往々不

都合あるは我輩の常に聞く所なり畢覧大藏省にて

一年僅に十四五萬圓の収税費を以て事を穽せんとす

     

兵    論                          五五九

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剛o

  

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全集

五巻                        五六〇

るが故に人を掘るを得ざるのみ租税課の如き唯

一局部の事なれども概して政府中を通覧すれば高尚の

人を要するの地位甚だ少なからず樹上て参事院元老院あb目今の議政部とも云ふ可き場所なれば特に

大に其門を隔て入を容る

\に妨なきことならん又民間の事業の如きは政府より勉て之を奨倒して其自

由に任して可なり近来の世論には商人の事業に至るまでも強ひて黛涙の名を附し何杜何會は何黛に由

縁あるが故に云

々せざる可らすなど

\児戯に等しき小計略を蓮らずが如きは経世の大計上に於て沙汰

の限りに非すや斯る気風の世に流行して或は業を失ふ者もあらん或は体面を傷けらる

\者もあらん亦

叉不卒の種子にして締する所は間接に政府の利益に非す是等に就ても政府は注意して小計略の流行を

防ぐのみならす勉めて公平大膳の政略を以て之を助けざる可らす

一事

一業

にても民間に功を奏する者

あれば全図不雫の

一部分を減少したること

\知る可し政治の針路相異なbとて人を疑ひ入を拒て之を

異類観すれば異類の者は11に増加して

層残飴…の同類も途

には頼む可らざるに至らんのみ今の日本の政府

が果して政黛の政府ならば異類同類の沙汰も至極尤なる芝なれども政府は唯中央の

一政府にして公子

一様の政を施す着なれば天下に異類の者ある可らす或は之あるに似たる者は有志者が無事に磐められ

て私に政厳…などの名を作b強ひて自から無柳を慰るものに過ぎざれば共和を攣じて公と爲し若しも之

に黛名を附せんと欲せぱ天下唯

一官権堂…と稚して可ならん廣き世界を見れば日本は唯是れ東洋の

一小

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島國のみ島民三千萬、同心協力

一人の如くなるも術且安心なりと云ふ可らす然るを何の因果なる歎何

の理由なる歎將た何人の心術に出でたることか此小島國の入心を分て二と爲し三と爲し

一方に解す可

らざる不理窟を蓮る者あれば叉

一方も解す可らざる小計略を以て之に封し言論計略の間は術可なりと

錐ども

一國保護の爲に警備を要し警備の爲に國財を要する實際の場合に至て意の如くならざるの不幸

を致すとは長大息に堪

へざるなb攣鯛角上何ぞ夫

れ多事なるや眼を韓じて宇内近時の實況を見たらば

或は嚢明することもあらんのみ

 議論稽や多岐に亘りたるが如ぐなれども本編に於て我輩の執

て主義とする所は今日宇内の形勢を察

すれば我日本の兵備は

一暦の改正を加

へざる可らす、之を改正せんとするには國財を要するが故に之

を國民より徴牧せざる可らす、之を徴牧せんとするには民心を反封せしめては辻も行はる可き事に非

ざるが故に先

づ其心を牧掩して其情を繋

がざる可らす、入民の心情を得んとするには天下の有力者を

政治杜會に入

れて其庭を得せしめざる可らす、廣く有力者を入れんとするには其主義針路

の小異同を

問ふ可らす假令ひ

一目したる所にて異同あるが如くなるも唯

一時其面色の怒るが如く叉和

するが如く

     

兵 

 

 

請 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五山二

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擁    騨  τ吻,層    一  」 -  肝  聯関『甥 ▼7  -

'

      葡柵澤

ム出集  第 五巻                                     五六二

見ゆるものにして畢生の心事を

一時の面色に出て断ず可らす、官灌必すしも畢生の味方ならす民灌必

すしも永劫の敵ならす官たり民たb是れぞ自由の世の中なれば民権論者固より葬る可し官権論者必す

しも放逐するにも及げす之を

一庭に混同すれば自から亦混和同禮のものを生す可し云々の旨を述たる

.

ものにして即ち我輩が常

に希望すお所の大膳政略とは此邊の大計を謂ふなり爾重ねて之を云

へば国財

を集るとて吸飲自から奉ずるの奮套に非す、政府は唯困民の財を集めて獲た散するに其取次の事を行

ふまでにして結局民と相和して國の急務を廃するものなれば固よb斯民を敵税す可らす、官民の和気

春の如くにして国財の徴牧も始て意の如くなる可し、故に筍も困民中に不和とあれば其不和なるもの

が假令ひ直接に政府に反封せざるにもせよ百方周旋して其中間に入り之を調和するこそ政府たる者の

道徳上に於て其責任と云ふ可きものなれ、何等

の事情あるも今日の政膿に於て政府

が国民の

一方に無

一圭義に偏するの理由ある可らす、

一方とは即ち國の

一牛なb全國の

一牛を表現するが爲に他の

牛が精神上に政府柔反謝するの結果を呈するときは政府は不知不識の際に民心牧掩

の領分を半減す

に異ならす蕾に政府の不利なるのみならす政事の翠らざるあれば

一因百歳の不幸なり云々の旨を述た

るものなり讃者よく通編の主意を玩味して之を譲ることなくば幸甚のみ

 或入の言に今の政府に入を馨れんとするも政の實構を掌握する唯

一名の實力者の在るありて

一切政

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,

寝賑

事の方向を左右するに非ざれば政壇に人物多きも其人の用を爲さす多

々盆軋礫を生じて却て其弊害の

みを見る可し以前にも典例なきに非す

一時は試に之を馨れたることもありしかども随て容るれば随て

内の不調和を生じ途に無益たbしは人の知る所なり畢党我政府にも濁逸國の宰相

「ビ

スマルク」の如

一個の實力者を得るに非ざれば百事意の如くなる可らすとの論あb比論甚だ是なり我輩は必ずし為

濁相の才徳に戚心するには非ざ

れども其政府に在るの地位と名望とに出て百官を己が意の如くに御す

の有様は甚だ羨しきことなり然bと難ども足れは人物の才不才に由るに非す猫逸政府全艦の組織習

慣に獲て然るものなれば之を我國に望む可らす、之を望て得

べからざるを知らば徒に愚痴を蓮るより

も寧ろ決然断念するに若かす之を断念して他に賓力猫行の法を求るに如何して可ならん當路数名の人

が眞實に私心を去て同心含膿恰も

一個入の如く成bて

一針路に向ふことを得ぱ則ち此目的を達す可し

即ち歎願を合して

一頭と爲すの法,にして此法をして實際に行はれしむれば真成跡甚だ美ならんと錐ど

も之を彗ば数名の叢工をして

一幅の山水を霊かしむるが如くにして假令ひ各妙手にても其筆勢全面に

達するを得す牛山は険阻にして牛山は頓に平易に憂し

一線の流水乍ち緩にして又乍ち急なるの奇観を

呈し衆工皆美技禰を逞ふするを得すして遺憾を賊す可きのみ在れば衆當路者の其人に私なくして誠意

誠心なおも真誠を政治の全面に達せしむるは甚だ難きことなり然ぱ則ち如何して可ならん止むことな

      兵 

 

 論 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五さ二

1

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輻澤

全集

五巻                       五六四

くんぱ多数に決するの

一法あるのみ多数

の議決も随分遅鈍なるものにして甚だ願はしきことには非ざ

れども窮策甲の良策にして他に好手段あらざれば之に從はざるを得す例

へば今の参事院元老院の議事

の如し議員中

一名の意を以て事を決しては何か不都合なるが故に多数の議に從ふことならん勝つを好

て召ハるを悪むは人情寵して

一人と

一入と相野すれば之に資けて甚だ不愉快なれども多数の爲に敗北し

たりとあらば人々-自から其痛心を慰るに足る可し故に目下の急要として政府は大に入を容る、の門を

開き官民の偏主義を問はすして天下の方向を

一ならしめんこと我輩の希望する所にして叉實際仁施す

可き手段なりと信ず人を容

る\には大より小に及ぼすこと固より自然の順序にして先づ大人を容れた

らば其大人が目から蛍…與の人を率ゐ来りて政府全膿

の組織を動揺せしむるの恐れもあらん叉其大人等

が各自の持論を主張して更に軋礫を生するとの掛念もあらんと錐ども大事は多数を以て決す

ると畳悟

を定めたらば各自の持論も其方を逞

ふす

るを得す人々自由ならすして却て不自由の問に自由を覧るこ

とならん斯る不自由の甲に居て各力限bの技禰を呈せんとすることなれば随分苦々しき情實もあらん

其極度に至で

は権謀術数鄙劣なbと云ふ可き程の暴動もあらんと難ども足れは初より豫期して政治壇

上の常態と心得、多数議決に免かる可らざる者とすれば必ずしも驚くに足らす況や其権謀術数も亦不

宮前にして力を是ふすること能はざるに於てをや結局政府の権力は公才公望兼備して事實の才徳を有

O

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し其地位名分共に廣く世に現はれたる部類の人に蹄ず可くして天皇陛下も亦必す其人に任じ給ふこと

ならんと信じ奉るなり抑も國會の開設は数年の後

に在り其準備として憲法の取調等も大切ならんと錐

ども大抵は紙上の論に止まるもの多し我輩の見て以て準備とするものは今日より政府の基礎を固くし

て其組織を洪大にし租税

の改革より兵備の盤張に及ぼし

一切萬事大日本國の政府と稔して班るなき程

の規模を豫定して他年この國の政灌

が誰の手に落るも此根本の規模を攣することなからしむるの

一事

に在るのみ而して其大規模を定るに今の所謂官民を調和せしむるに非ざれば固よb行はる可きに非す

一度び調和したる上は(行はる可きものならば)道徳上に同心合禮するも可なb或は多歎決の法に從

も可なb其時宜に由る可しと錐ども此調和の策たるや

一日を怠慢すれば

一段の難澁を増し途には双方

共に事實の利害を第二着に置き間違よb妄想を生じて妄想より執拗を生じ相近づくの機を失ふて如何

ともす可らざ

るに至るは必然の勢なれば特

に迅速の英断を希望す

るものなり

 我輩の想像果して事實に行はれて政府は大に入を奪る\の門を開き國中に徳望ある入物は悉皆政府

の内

に集b今の現在の當路者と同心協力して前途の大規模を計雷するの場合に至るとせん即ち我輩の

     

兵    論                         五六正

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        賜一摩亀甲戦帥 置側      }    一 「^  …中郷w晒叩丁 ¶

     

輻…澤

全集 第

五巻             .            五六六

所謂國會開設の準備にして國會未だ開かざるも天下の民心既に調和すれば数年の後に至b實際開設の

時に臨で之に慶すること甚だ容易なるべし、外より迫bて開く國會にては漣も平穏を期す可らず他国

の歴史を見て明白なれば筍も國の安寧を重んずるの心あらん者は主義の小異同を問はすして先づ全図

の人心を

一政府に籠絡して他年、内よb之を開くの準備緊要なるのみ叉この間に政府の基礎を固くし

て其組織を洪大にするとは今の日本國と今の日本政府とは其大小の灌衡を得たるものに非ざるが故に

政府百般の規模を大にす

ることなb若し今日の實際に行はれ難きものもあらば動かす可らざるの大計

を豫算して数年の後の成功を期して可なり入は百年の身に非ざるも國は千萬年の國なb況や官吏が

時奉職中の日月に於てをや僅に五年十年の此日月に何等の成跡を見る可き唯大人は能く其眼を遠きに

及ぽして後世子孫に謀を遺し其從て踏む可きの路を開くのみ今愛に讃者

の了解を便ならしめんが爲に

一例を示さん我政府にて皇居を造螢して又随て太政官を建築す可きは我輩

の持論なり此建築に就き今

の諸官省を

一庭に集めて百年の後に至るまでも政務に適す可き洪大

堅牢のものを作らんとすることな

れば其費用も必す且額ならん假に之を

一千萬圓とせん

一千萬金を

一時に支出すること今日の實際に行

はれ難きことならば二十年を期して毎年五十萬圓を費すの計を豫算し今よb建築學士に命じて其地を

測量し其圖面を製し次で土功を起して地形に取掛b漸くして石を積むの順序に至b年々歳々怠慢する

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ことなくして二十年の後には壮麗無比の日本國太政官の功成b以て之を百千年の後に傳

ふ可し即ち太

政官

の・建築に付き大計の豫算なるものなb政府の百事この趣意に基き本論の主義たる兵備籏張の事

付ても目今焦眉の急にして捨置き難く無理にも之を増補せんとして其遣あるものは之を増補し其極度

に至て如何にも今日の國力に及ぱざる部分は詳に其大計を豫算し幾年の後は陸軍は斯の如く海軍は斯

の如くなる可し其費用の支出も本年より租税の法を斯の如くして幾年の問に幾分を増加し地租は云々

酒税は云

々叉其他資産歳入税の如きも大凡そ斯の如くなる可しと唯廟堂の胸算

に存するのみならす其

大凡の方向を國民に明示し結局今の政府の組織にては日本國の外交を維持するに足らす之を維持する

が爲に私財を出すは人民の義務にして之を國庫に牧

めて國の爲に支出するは政府の職分なれば十年の

計は斯の如くし二十年の計は云々して今後假令ひ政府

に何等

の攣遷改革あるも此大計の方向は易攣す

可らざるものなりと政府より大令を嚢する歎叉は至極事を鄭重にすれば勅諭を下だし給ふも過當の事

には非ざるべしと信す

 抑も政府の當局者に於て其壽命を短きものと思ひ其在職の問に施行して在職の問に見る可き成跡を

目的とすることなれば唯目下の障碍物を除去して目下の同志者を集合し以て目下の功名を成すこと亦

難きに非す例

へば愛に官途

に更迭あれば新令タ

が奮令歩の失を枚暴し之を改革し之を攣易し之を駿し

      兵   

論      

               

五六七

 

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      幅

全集

五巻                       五六八

之を興す其間には権勢の締する所、同志者も亦蝟集して其新政略を賞舞賛成せざるはなし

一時の外見

甚だ美

にして或は

一時

の俗眼に映すれば功名の如ぐなれども其美や百年の美に非す前節の比喩を以て

へば太政官の建築には非すして唯

一官省の普請を牛年に成就し新築美なbとて属官輩の覗詞を聞く

ものに過ぎす固よb今の當局者の心に於て屑しとせざる所ならん試に心を静にして己が

]身を假に死

後の地に置き地下に在て既往の歴史を讃む者とせよ若しも今日斯る細功名に安んするの心術にして果

して細事に汲々したらば其歴史に何と記しある可きや明治何年の頃何々新令歩は何々奮令サに代b其

奮政略を攣易して

一時の小風波を起し朝野に得意なる者もあれば失意なる者むありしかども結局政治

上の常態にして歎年の後に其成跡を覗察すれば新奮共に尋常

一様

にして敢て歴史上の

一節として見る

可きものなし唯當時は不思議なる間違よbして官灌民灌

の議論

一時に喧しく、全國の民心二に分れ三

に離れて人民頻りに熟

36すれば政府も亦これが爲に甚しく苦慮したるもの\如し我

々は今日よb當時

の事情を推究す

ちに由なし何故に人民

が斯の如く熟して政府

が斯の如く苦慮したる歎

これを知る可ら

すと錐ども要するに此時代は目下の小事情に忙はしくして永遽の大事を顧る者少なく入々皆小計略に

頴敏にして大規模を語

るに逗あらざりしものならん云々の文を見ることならん之を想像しても今の當

局者

の本

35に非ざるを知る可し左れば今目下の細功名は政府の入の求る所に非す蓋し之を求めざれば

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に大に求

る所のものあるが爲ならん王政維新の大功名は當路者の身に属したる功名なり天下諮れか

之を事ふものあらんや細功名を取らんとすれば入亦之を取らんとし、小計略を運らさんとすれば入亦

之を蓮らす、細小に汲々して重大を失ふ我輩傍観者

に在ても尚且其不利を知る況や當局の人に於てを

や決して爲さざる所ならん維新の大功を維持して其終を善くし更に天下の人物を容れて更に奮饗し大

の政略以て百年の大計を定め後世子孫の爲に出て進む可きめ路を開くは我輩が合の政府に希望して

必ず其然るを信ずる所のものなり

丘ノ 、

五六九

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