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デジタルエコノミーと税制 早稲田大学 教授 青山慶二 1 2018.6.8JTI合同委員会

デジタルエコノミーと税制恒久的施設 (支店、工場 子会社等) (参考)デジタルエコノミーのもたらす源泉地における税収漏リスク (伝統的取引:源泉地にある仲介事業体を介しての間接取引)(デジタル取引:源泉地に対して外国法人が国境越えの直接取引を行うビジネスモデルの場合)

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デジタルエコノミーと税制

早稲田大学 教授

青山慶二

12018.6.8JTI合同委員会

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1.電子経済課税に関する国際協調の経緯その1

(1)1998年 OECD電子商取引に関するオタワ閣僚会議

• 課税枠組みのキーワードは、「中立性、効率性、確実性、簡易性、有効性、公平性」

• 3つの結論

――伝統的取引に適用される課税原則は電子商取引にも適用されうる

――現行の課税ルールはこれらの課税原則を執行しうる

――現行原則の執行を指向する限りにおいて新しい課税措置は排除されず

(2)2003年OECD租税委員会:電子商取引及び消費税に関するガイドライン

• 主な内容

――サービスや無形資産の国境越えのBtoB取引については、受取り側のビジネスの

所在地が消費地でありかつ課税地

――同様のBtoC取引については、消費者の所在地が消費地

(3)2005年OECDビジネス利得に関する技術的諮問グループ報告書

• 関連する結論

――ある国が財貨・サービスの供給市場を提供しているという事実のみでは、そこか

ら得られる所得の一部につき課税権を与えられるわけではない

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1.電子経済課税に関する国際協調の経緯その2

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(4)BEPSプロジェクト行動1での整理(2015年10月 BEPS最終報告書)1)検討内容--法人課税の対策を検討する上での3つの視点の提示と検討①PE例外規定の見直し②企業が収集したデータの価値に着目した課税③電子商取引の決済に着目した課税--消費課税についてのBtoC取引の効果的な徴収方法の検討2)報告書における勧告

--法人課税については、BEPSの他の検討項目(特に行動3,7,8-10)での対応で電子商取引のもたらすBEPSリスクにも基本的には対応可能上記の①については「PE認定の人為的回避」(行動7)の中で対応

上記の②及び③で検討された3つのオプション(「重要な経済的拠点」の概念に基づく新たなPE、一定のデジタル取引における源泉徴収、一定のデジタル取引についての平衡税の導入)については、勧告に至らず但し、BEPS措置の実施状況をモニタリングし、2020年までにその成果を反映した報告書作成

--消費課税については2015.11OECDガイドラインに沿って整理徴収方法はBtoBについてはリバースチャージ、BtoCについては事業者登録制での対応を勧告

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恒久的施設(支店、工場子会社等)

(参考)デジタルエコノミーのもたらす源泉地における税収漏リスク

(伝統的取引:源泉地にある仲介事業体を介しての間接取引)

(デジタル取引:源泉地に対して外国法人が国境越えの直接取引を行うビジネスモデルの場合)

当面の税収漏れリスクへの対応--消費地における消費税の課税漏れ対応(BtoBについてのリバースチャージ。BtoCについての登録)--顧客からの国内源泉所得の支払分についての顧客所在地国における所得税・法人税の申告納付

義務の確保(コミッショネア契約、準備的・補助的活動の見直し等PE概念の拡大によるものを含む)

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顧客親会社

顧客 親会社

契約履行を補助する者・引渡を担当する倉庫等最小限の存在

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2.OECD中間報告書(1)概要

• BEPS行動1の中間報告書「Tax Challenges Arising from Digitalisation – Interim Report 2018 by Inclusive Framework on BEPS」(2018年3月16日公表)

デジタルエコノミー課税に関する課題の現状分析と各国の立場及び施策のとりまとめ(長期・短期の施策に関する具体的勧告は行わず)

――長期的な解決に係る一般的な国際世論として、ユーザー参加の潜在的価値や現地国で収集されたデータの徹底的な使用に注目

――各国の暫定措置の必要性やメリットについてのコンセンサスはなく、それらの措置の導入を推奨するものでもない旨の確認

――暫定措置の実施に際しては、租税条約やWTO及びEU協定を含む国際的な取決め上の義務を遵守すること等へ考慮が必要とのガイダンスに合意

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(参考)中間報告書の構成

第1章:問題提起

第2章:電子化、ビジネスモデルと価値創造

第3章:BEPS勧告の実施とインパクト

第4章:関連する租税政策の開発(各国の課税措置の実施状況)

第5章:国際課税制度の電子経済への適応

第6章:電子化に伴う課税上の課題に対応するための暫定措置

第7章:補論:国際課税ルールの先(他の税制に対する電子化の

影響)

第8章:結論

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(3)中間報告の現状認識

• 税制がデジタル化の課題に確実に応えていくためには、デジタル化がどのように事業のやり方を変えているのか、どのように価値を創造しているのかについての理解が必須。そのためには、現に進行中のデジタル化の変革が価値創造にどのように影響を与えていくのかをモニタリングしていく必要性を指摘

• 喫緊の課題として、シェアリングエコノミーを含めたオンラインプラットフォーム上のユーザ情報などビッグデータの活用について、税務当局間で実務的な国際協力を進めること、及び暗号通貨やブロックチェ-ンなどの新テクノロジーの税への影響を検討する必要性を指摘。

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(3)中間報告の現状認識(続き)• 併せて、高度にデジタル化された特定のビジネスモデル(HDB:Highly Digitalized

Businesses)にみられる3つの特性の列挙--現地での物理的存在を伴わない規模の拡大(scale without mass)

--ビジネスモデルとして、知的財産権を含む無形資産への重い依存

--ネットワーク効果を含むデータとユーザ参画のIPとのシナジー

(注)以上の3つの特性が価値創造に貢献しているのかどうか、貢献しているとするとどの程度貢献しているのかについての見方が国によって様々。

その結果、これらの3つの特性が国際課税ルールに変革をもたらすかどうか、変革をもたらすとすると、どの程度の変革をもたらすべきかについての見方も国によって様々。

• とりわけHDBのビジネスモデルに共通の「データとユーザの参画」に関して、それらが企業の価値創造に貢献しているとみるべきか、そうであればどの程度貢献しているとみるべきかについて見解は不統一(デジタル化に対する課税ルールの在り方のコンセンサスは未達成)

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(4)BEPS参加国のスタンス(3つのグループ)

グループ1:特定のビジネスモデル(HDB)に既存のネクサスと利益配分のルールを適

用すると、課税の場所と価値創造の場所の不一致を招く点に焦点を当てた改正案を求めるもの

(HDBに焦点を当てて、ユーザーが創造する価値によって生ずる課題に対応する税制改革案)

グループ2:課税上の課題はHDBに特化したものではなくグローバル経済全体にかか

わるものとの立場。必要となる国際課税ルールの見直し(ネクサスと利益配分)の方向性については、単一の方向にまとまっているわけではない。中には、[データ及びユーザー参加」がユーザーの管轄地における事業による価値創造とみなされるべきという提言を明確に拒否するものもあり。

グループ3:BEPS最終報告書の対応で十分であり、追加措置は不要とするもの

BEPSプロジェクトは、二重非課税の問題に大方対応済みであり、現行税制に一般に満足であり、国際課税ルールの重要な変革を現時点では要しない。

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(5)2020年に向けた作業の方向性

• デジタル化の特色である価値の貢献の分析を通じた、ネクサスと利益配分のルールについて一貫した見直しの実施を行うことで一致

• 検討プロセスとして、ビジネス界、市民組織、アカデミックを含む利害関係者の参加、途上国への影響につき地域税務行政フォーラムとの連携

• 2020年までの長期的解決策のとりまとめ(2019年にアップデートを行う)

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(6)暫定的措置の検討

• 暫定的措置の必要性、メリットについて関係国の合意なき点の確認

• 賛否両論の紹介

(反) グロスベース課税の問題、法人税との二重課税、暫定措置に留める

困難性、コンプライアンスコスト、等

(賛) 価値の創造された場所での課税の実現、税制の公正性・信頼の確保、

不作為のままのリスクとの比較考量等

• 暫定的措置導入に当たっての考慮すべき事項の提示

租税条約、WTOルール等の遵守

一時的かつ対象を限定した(インターネット広告、オンライン仲介サービス

等)措置、低税率の設定、起業・小規模ビジネスへの配慮、コストの最小化、

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3.各国における税制対応(1)EU

2018.3.21欧州委員会によるデジタル課税指令案の提出

• 中長期的な見直し案(EU の CCCTB 指令案の中での改革の予定)

――支店など物理的拠点なくても課税できるネクサスの構築・機能分析による利得

配分

――ネクサスの閾値=「重要なデジタル拠点」の認定の要件:以下のいずれか)

EU所在ユーザーへの年間売上高700万ユーロ超

EUに所在する顧客ユーザー数が年間10万人以上

EU内で年間3000件以上のデジタルサービス提供のビジネス契約締結

• 短期的な見直し案(上記の中長期的な見直しまでの暫定措置の位置づけ)

――一定のデジタルサービスの提供から生じる収益に対し3%を課税する税(デジタ

ルサービス税:DST)の導入

(課税のための閾値)

世界売上高が年間7.5億ユーロ以上で、EU 域内の売上高が5000万ユーロ以上

(注)欧州委員会によれば120~150社が該当の見込み

――顧客の所在地に応じて加盟国が徴収

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(参考)EUで進行しつつある国別の課税例

• 英国:迂回利益税(DPT) 2015.4施行

国内でのPEを構成しないサポート活動により人為的に租税回避された大規模取引を対象

--25%の税率で課税。ただし、1年間のリビュー期間を設定

――取引ストラクチャーの変更(移転価格による代替納税を含む)あり

(注) 英はさらに2017.12にロイヤルティに対する源泉課税導入方針も発表

• イタリア:デジタル取引税(2019.1から施行予定)

インターネット又は電子ネットワークでなされるサービスの対価に対して3%の課税

--BtoB取引のみ対象(小企業の適用除外あり)

--税の徴収義務はイタリアの顧客が負う

--サービス供与者のPhisical Presenceに有無にかかわらず課税され、条約適

用対象外。国内顧客は納付税額を損金算入可。

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• ハンガリー:広告税

国内での広告時間又はスペースの販売から生じる企業の純売上高

に課税

--第1次納税義務:当局に登録したサービス提供者(7.5%の税率)

--第2次納税義務:地元広告主等の顧客(5%の税率)

• フランス:視聴覚コンテンツのオンライン等配信に関する税(通称「ユーチ

ューブ税」)

--2003年に有料配信サービスを対象に導入、

--2016年に視聴は無料であるが広告表示で収入を得るサービス

に適用対象を拡大

--税率は2%

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(2)EU外での税制対応

• インド:平衡税(Equalization Levy) 2016施行

非居住者によるオンライン広告サービスの提供への対価支払い総額

に対し6%の徴収

--インドビジネスが支払うBtoB取引に限定。源泉徴収による納付

--対象取引は、オンライン広告及びデジタル広告スペースの提供等

の一定のリスト化されたものに限定(ただし、第3者間取引のみな

らずグループ内取引を含む)

--少額適用除外あり。また、受取額がPE帰属所得としてインドで課

税される場合も免除。所得に対する税ではなく、条約適用外

インド:重要な経済的プリゼンスに基づくネクサス・ルール 2019.4施行

従来の物理的PE概念に対する代替的閾値

--地元収入額、地元ユーザー数に基づく課税対象の絞り込みあり

--条約のPE定義には劣後

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• オーストラリア:多国籍租税回避防止法 2015施行

国内でのPEを構成しないサポート活動により人為的に租税回避された

大規模取引を対象(英国のDPTを模したもの)

--みなしPEとしてそれに配分される所得を課税

--ALPに基づく帰属所得課税にプラスして、使用料(30%)、利子

(10%)等の源泉税も賦課

オーストラリア:迂回利益税 2017.4採択

既存の所得税に関する濫用防止規定の補完として成立

--居住者・非居住者の双方によるグループ内クロスボーダー取引

が対象。税率は40%

--所要目的テスト(PPT)による適用対象の抽出

--デミニマス閾値の設定(迂回利益を含む豪国内源泉所得2500

万豪ドル)

--12か月のレビュー期間設定

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• イスラエル:重要な経済的プリゼンステストを導入する通達

非居住者企業による遠隔地から国内顧客に提供されるオンラインサ

ービスが、「重要な経済的プリゼンス」を構成すれば課税する

--条約非締結国との間でのみ適用

--「重要な経済的プリゼンス」に該当するもの

オンラインでの契約締結、

デジタル産品及びサービスの利用

イスラエルにローカライズされたウェブサイト

イスラエル所在のユーザーが行う活動量に密接に関連する

収入を多大に得ている多面的ビジネスモデル

--課税ルールは、独立企業原則に基づく国内規定

--適用除外となる閾値なし

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4.デジタルエコノミー課税の課題

• 既存税制とのいくつかのミスマッチ

PE概念(ネクサス)

帰属主義・独立企業間原則の適用(利益配分)

機能、資産、リスク

申告納税制度・源泉徴収制度

租税条約と国内法

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(参考)BEPS最終報告書の処方箋とそのデジタルエコノミーに対する効果

(BEPS処方箋)

• PE認定の人為的回避の防止

• 移転価格税制(評価困難な無形資産HTVI等)

• CFC税制の強化

• 電子商取引への消費課税

• 有害税制への対応(Tax Rulingの自発的交換)

• 租税条約の濫用防止

(勧告の効果)

• 一部の高度にデジタル化されたビジネス(HDB)におけるビジネスモデルの変更(コッミッショネア契約の解消、IPのオンショア移転、VAT新ガイドラインの実行、等)

(注)2018.3「OECD中間報告書」による

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(1)PE概念

• デジタル経済における、物理的拠点を伴わない経済規模(Scale without mass)

経済的拠点(デジタル拠点)という新たな概念

• 物理的拠点を中心に発展してきた伝統的なPE概念の限界改訂OECDモデル5条の構成

1~4.1項支店、事業所等+建設工事準備的・補助的業務の除外

5~7項代理人PE

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(参考)2017.12改定OECDモデル条約 5条(1~4項)1.For the purposes of this Convention, the term “permanent establishment” means afixed place of business through which the business of an enterprise is wholly or partly carried on.

(1項:PEの定義、2項:PEの例示及び3項:建設PEは実質的改正がないので、1項のみ表示)

4.. Notwithstanding the preceding provisions of this Article, the term “permanent Establishment” shall be deemed not to include: (準備的・補助的業務条項)

a) the use of facilities solely for the purpose of storage, display or delivery ofgoods or merchandise belonging to the enterprise;

b) the maintenance of a stock of goods or merchandise belonging to the enterprise solely forthe purpose of storage, display or delivery;

c) the maintenance of a stock of goods or merchandise belonging to the enterprise solely for the purpose of processing by another enterprise;

d) the maintenance of a fixed place of business solely for the purpose of purchasing goods or merchandise or of collecting information, for the enterprise; e) the maintenance of a fixed placeof business solely for the purpose of carrying on, for the enterprise, any other activity;

f) the maintenance of a fixed place of business solely for any combination of activitiesmentioned in subparagraphs a) to e),

provided that such activity or, in the case of subparagraph f), the overall activity of the fixed Place of business, is of a preparatory or auxiliary character.

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同上・5条4.1(契約分割対応・新設)

4.1 Paragraph 4 shall not apply to a fixed place of business that is used or maintained by an enterprise if the same enterprise or a closely related enterprise carries on business activities at the same place or at another place in the same Contracting State and a) that place or other place constitutes a permanent establishment for the enterprise or the closely related enterprise under the provisions of this Article, or b) the overall activity resulting from the combination of the activities carried on by the two enterprises at the same place, or by the same enterprise or closely related enterprises at the two places, is not of a preparatory or auxiliary character, provided that the business activities carried on by the two enterprises at the same place, or by the same enterprise or closely related enterprises at the two places, constitute complementary functions that are part of a cohesive business operation.

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同上・モデル条約5条5~8項(代理人PE)5. Notwithstanding the provisions of paragraphs 1 and 2 but subject to the provisions

of paragraph 6, where a person is acting in a Contracting State on behalf of an enterprise and, in doing so, habitually concludes contracts, or habitually plays the principal role leading to the conclusion of contracts that are routinely concluded without material modification by the enterprise, and these contracts are a) in the name of the enterprise, or b) for the transfer of the ownership of, or for the granting of the right to use, property owned by that enterprise or that the enterprise has the right to use, or c) for the provision of services by that enterprise, that enterprise shall be deemed to have a permanent establishment in that State in respect of any activities which that person undertakes for the enterprise, unless the activities of such person are limited to those mentioned in paragraph 4 which, if exercised through a fixed place of business (other than a fixed place of business to which paragraph 4.1 would apply), would not make this fixed place of business a permanent establishment under the provisions of that paragraph.

6. Paragraph 5 shall not apply where the person acting in a Contracting State on behalf of an enterprise of the other Contracting State carries on business in the firstmentioned State as an independent agent and acts for the enterprise in the ordinary course of that business. Where, however, a person acts exclusively or almost exclusively on behalf of one or more enterprises to which it is closely related, that person shall not be considered to be an independent agent within the meaning of this paragraph with respect to any such enterprise.

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(2)帰属主義・独立企業間原則の適用

• デジタルエコノミーのうちHDBが持つ3つの課題

物理的拠点を伴わない事業規模

知的財産権を含む無形資産への依存

データ及びユーザー参加

• 機能・リスク分析の困難性

財務分析と所得計算

配分すべき所得の特定と配分キー

--創造される価値とは何か

--当該価値をどのように測定すべきか

--配分キーをどのように設定するか

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(参考)BEPSでの検討内容

• 帰属主義適用の事例検討

• 評価困難な無形資産(HTVI)への対応

評価手法の採用

PS法のガイダンス

所得相応性基準

• パテントボックス税制の審査におけるネクサス原則

• キャッシュボックス法人への対応

2018.6.8JTI合同委員会 25

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(3)申告納税制度・源泉徴収

• 各国が実施中の暫定措置の性格

所得税か売上税か

源泉徴収と二重課税の調整の必要性

デミニマス基準の設定 等

• 中長期的措置(新たなPE概念)の下での申告納税の確保

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(参考)参考となる制度

• VATにおける経験

事業者登録

ワンストップ・ショッピング

• EUにおけるCCCTB指令案による処方箋

• 多様な決済制度と源泉徴収義務

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(4)条約と国内法

• MLIの限界

• OECDモデル条約改定の見通し

• 各国で進むユニラテラルな税制改正をどのように国際協調の下で調整できるか

• 米国・欧州間の税源を巡る紛争への対応

2018.6.8JTI合同委員会 28